第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第2四半期累計期間(平成30年1月1日~平成30年6月30日)において、有価証券報告書(第14期、提出日平成30年3月30日)及び四半期報告書(第15期第1四半期、提出日平成30年5月2日)(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等提出後、本四半期報告書提出日(平成30年8月3日)までの間において変更及び追加すべき事項が生じており、当該変更及び追加箇所については   罫で示しております。なお、文中における将来に関する事項は当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
 
「事業等のリスク」
(中略)
(6) その他
① 新株予約権及び株式にかかる事項
当社は役員、従業員及び社外協力者等に対して、当社事業及び研究開発へのモチベーションの向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)を発行しています。また、事業会社や金融機関等に対して、事業推進のための資金調達を目的として、株式や新株予約権を発行しています。今後も優秀な人財・社外協力者の確保や事業推進のための資金調達を目的として、同様の施策を実施する可能性があります。さらに、今後も優秀な人財の確保のためにストック・オプションをはじめとするインセンティブプランや必要に応じた資金調達を実施するために、新たな新株予約権や株式が発行される可能性があります。
また、平成30年6月29日開催の取締役会において、第三者割当による第17回新株予約権の発行を決議しました。本新株予約権の目的となる普通株式は合計2,200,000株であり、当社の発行済普通株式総数(平成30年5月31日現在の発行済株式総数)の19.84%を占めております。
これらの新株予約権の行使や株式発行が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、当社株価形成に影響を与える可能性があります。
 
② 資金使途及び資金調達にかかる事項
当社が保有する資金並びに本新株予約権の発行及び行使により調達される資金は、主に既存パイプラインの研究開発費用、新規パイプラインの導入及びその研究開発費用、戦略的な投資に充当する考えです。当社が本書提出日時点で計画している資金使途は上記の通りですが、急激な事業環境の変化等により、計画通りに使用した場合においても、当初の想定どおりの成果が得られない場合があります。
また、当社株価が下落した場合には、必要資金を計画通りに調達できない可能性があります。計画通りに必要資金を調達できない場合には、資金使途を変更する可能性があるとともに、当初の想定通りの成果を得られない可能性があります。

 

2 【経営上の重要な契約等】

当社は平成30年5月23日開催の常勤役員会において、英Stabilitech社とのテロメライシン製剤改良に関するライセンス契約締結を承認しました。

 

その主な内容は、次の通りであります。

契約締結日

契約の名称

相手先

契約の概要

平成30年5月23日

License Agreement

Stabilitech Biopharma Limited(英国)

スタビリテック社が保有するウイルス保存安定製剤特許の全世界における実施権の許諾

 

 

 

 

3 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

(1) 業績の状況

当第2四半期累計期間(平成30年1月1日~平成30年6月30日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景に緩やかな回復基調にあるものの、賃金の伸び悩みや米国トランプ政権の政策に起因した米中貿易摩擦リスクなどの外部要因もあり、株価や為替の不安定な動向など景気の先行き不透明な状況が続いております。

このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。

 

医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。また、検査事業では、テロメスキャン(OBP-401/1101)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。当社活動の詳細に関しては、「(5)研究開発活動」をご確認ください。
 

以上の結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高90,445千円(前年同四半期は売上高19,904千円)、営業損失643,722千円(前年同四半期は営業損失509,662千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息9,116千円等を、営業外費用として為替差損3,942千円等を計上した結果、経常損失639,994千円(前年同四半期は経常損失517,038千円)、四半期純損失641,822千円(前年同四半期は四半期純損失518,662千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 医薬品事業

医薬品事業におきましては、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関するMedigen Biotechnology Corp.(台湾 以下「メディジェン社」)からの開発協力金収入などを計上した結果、売上高86,011千円(前年同四半期は売上高なし)、営業損失265,224千円(前年同四半期は営業損失211,272千円)となりました。

② 検査事業
検査事業におきましては、血中浮遊がん細胞(CTC)検査薬テロメスキャンの販売やアカデミアからの研究目的受託検査収入が生じた結果、売上高4,434千円(前年同四半期は売上高19,904千円)、営業損失93,421千円(前年同四半期は営業損失54,125千円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

当第2四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の減少等により2,808,451千円(前事業年度末比20.4%減)となりました。負債は、未払金の減少等により518,289千円(前事業年度末比12.8%減)となりました。純資産は、四半期純損失の発生等の理由により2,290,161千円(前事業年度末比21.9%減)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度の1,922,454千円から1,507,104千円へと
415,350千円減少しました。当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次
のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは616,900千円の支出(前年同四半期は519,460千円の支出)となりました。これは主として、税引前四半期純損失639,994千円、売上債権の減少36,445千円、前払金の減少11,565千円、未払金の減少40,148千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは242,560千円の収入(前年同四半期は343,218千円の収入)となりました。これは主として、定期預金の払戻による収入600,000千円、投資有価証券の取得による支出356,310千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは32,071千円の支出(前年同四半期は1,042,018千円の収入)となりました。これは主として、短期借入金減少10,000千円、長期借入金の返済による支出16,668千円等によるものであります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当社の当第2四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業216,843千円、検査事業80,855千円、両セグメント共通11,111千円、合計308,810千円となりました。なお、当第2四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。

 

1) 研究開発体制について

平成30年6月30日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の40.6%に当たります。

 

2) 研究開発並びにビジネス活動について

当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

 ① 医薬品事業

1) がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動

 がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がん医師主導臨床研究、ii)放射線併用食道がんPhaseⅠ企業治験、iii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がん医師主導治験、iv)メラノーマPhaseⅡ並びにv)肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ、の5つの臨床試験が同時に進行しています。

 

 上記i)の外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンの放射線治療併用における安全性及び有効性を評価する「放射線併用食道がん医師主導臨床研究」では、合計13例の組込みが完了しています。平成30年7月に開催された日本臨床腫瘍学会では、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原俊義教授グループにより、「原発巣の治療効果は13例中8例でCR (Complete Response:完全奏功)。重篤な有害事象は生じていない。」という発表がされました。

 

 「放射線併用食道がん医師主導臨床研究」と同様の患者を対象とした、ii)の「放射線併用食道がんPhase Ⅰ企業治験」においては、平成30年3月に効果安全性評価委員会より低用量群でのテロメライシンの安全性確認の報告を受領し、高用量群への投与が進行しています。本治験の実施施設は岡山大学病院と国立がん研究センター東病院で、最大12例まで投与を行う予定です。

 本PhaseⅠ臨床試験は平成30年中に終了の計画であり、厚生労働省の諮問機関である独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)とPhaseⅡ/Ⅲ臨床試験の方針と実施要項に関する話し合いも始めています。平成30年7月には国内の食道がん専門医とPhaseⅡ/Ⅲ臨床試験の実施内容を詳細に検討するための研究会を開催しました。更に、食道学会とも協力体制を構築することで、Phase Ⅱ/Ⅲ臨床試験を開始するための準備を着実に進めております。

 

 iii)の食道がんを中心とする各種固形がんに対して免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用する「各種固形がん抗PD-1抗体併用医師主導治験」は平成29年12月に投与が開始されており、今後最大28例までの投与を行います。また、本治験の実施計画書は、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院先端医療科により、平成30年6月に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO: American Society of Clinical Oncology)で発表されました。

 

 iv)のメラノーマPhaseⅡ臨床試験においては、切除不能又は転移性メラノーマ患者を対象に、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。治験実施施設は、Atlantic Health System等米国の複数施設で最大50例まで進める計画です。

 

 v)の肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ臨床試験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設としてコホート1~4までの12例による単回投与試験の結果をまとめ、現在、反復投与によるコホート5を実施中です。平成30年内のPhaseⅠ臨床試験の終了を計画しています。

 上記に加えて、米国コーネル大学を中心に進行性食道がんを対象にした抗PD-1抗体を併用した医師主導治験の準備が進められています。さらに、中国でのテロメライシンのライセンス先であるハンルイ社(江蘇恒瑞医薬股份有限公司、中国)は、中国政府への治験申請に向けた準備を行っています。

 

 知的財産権の点からは、平成30年5月に英国のStabilitech Biopharma Limited(本社:英国 以下「スタビリテック社」)と、テロメライシンの保存安定製剤の技術導入を目的としたライセンス契約を締結しました。スタビリテック社のウイルス保存安定化技術を用いることにより、これまで実現できなかったテロメライシン取扱いの簡易性・簡便性向上の実現を目指すと共に、テロメライシン製剤の特許保護期間が最長で2031年3月まで延長されることになります。

 

 今後も、食道がん領域のテロメライシン臨床データを日本・米国で更に幅広く積み上げることで、他の「がんのウイルス療法」と対象疾患の差別化を図り、大手製薬会社とのライセンス契約の実現に繋げていく考えです。

 

2) その他の医薬品事業に関する活動

 アステラス製薬より導入した新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としてPhaseⅠ臨床試験を行っていますが、用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)がコホート3の6例中2例で発生したため、新規患者の組込みを中断しています。現在、他の薬剤との併用可能性を含めたプロトコールの変更などを検討しています。また、新規適応領域として京都府立医科大学眼科の研究グループとの眼科領域での共同研究が進行し、平成30年7月にはOBP-801の眼科領域での適応に関する特許出願を行いました。

 新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げ、開発パートナーを模索しています。

 その他に、新規B型肝炎治療薬や次世代テロメライシン候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に積極的に取り組んでいます。また、平成30年2月に、新規腫瘍溶解アデノウイルス開発に特化した米バイオベンチャーUnleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国以下「アンリーシュ社」)へ資本参加すると共に、アンリーシュ社が保有していたPrecision Virologics Inc.(米国)の普通株式を譲り受けています。遺伝子改変アデノウイルスのパイプラインを擁し世界トップクラスの技術を有する上記2社との関係をより強固なものとし、当社が国内外で研究開発を推進しているテロメライシンをはじめとする「遺伝子改変アデノウイルスを用いたがんのウイルス療法」のプラットフォームを拡大し、「がんと重症感染症」パイプラインを推進し、将来的なビジネスチャンス拡大につなげていきたいと考えています。

 

   医薬品事業における臨床試験の状況は、以下の通りです。

 

開発コード

商標又は名称

適応疾患

開発地域

開発ステージ

OBP-301

テロメライシン
(がんのウイルス療法)

食道がん

放射線併用

日本

Phase I

メラノーマ

(皮膚がん)

米国

Phase Ⅱ

肝細胞がん

韓国・台湾

Phase I/Ⅱ

各種固形がん

抗PD-1抗体併用

日本

Phase I

食道がん

放射線併用

日本

臨床研究

OBP-801

エピジェネティックがん治療薬

各種固形がん

米国

Phase I

OBP-601

センサブジン(抗HIV剤)

HIV感染症

欧米他

Phase Ⅱb(終了)

 

 

② 検査事業

 がん検査薬テロメスキャンは、血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)領域では、平成29年11月に順天堂大学とCTC検査システムの自動化と臨床適応を拡大するための共同研究を継続し、順天堂大学がん関連診療科の横断的研究プロジェクトとして推進しています。また、島根大学と婦人科がん領域における共同研究契約を締結し、子宮頸がん患者由来のCTCからヒトパピローマウイルスの遺伝子を検出することで、より高感度・高特異度を有するCTC検査系を構築し、子宮頸がんを血液だけで検出できるようなサービスを提供して患者様の心理的負担の小さいがん検査法の事業化を目指してゆきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)は、ペンシルベニア大学を中心に肺がん領域でのCTC検出技術を用いた臨床試験に向けた活動を開始しています。さらに、Wonik Cube Corp.(韓国)は韓国でのCTC検査承認取得を目指し、テロメスキャンのウイルス製造準備を進めています。なお、平成30年7月にOBP-1101(テロメスキャンF35)に関する出願特許が、欧州で特許登録されました。今後もがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社やアカデミアへ積極的に提案し、新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャンの販売を拡大させていく計画です。