文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第1四半期(2019年1月1日~2019年3月31日)における日本経済は、雇用や所得環境が改善するなか、個人消費は持ち直しの傾向にありますが、中国向け輸出の低迷を主因に鉱工業生産は弱含みで推移しました。今後は、外
需にリスクが残るものの、内需主導による緩やかな回復が続く見通しです。
このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。
医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。また、検査事業では、テロメスキャン(OBP-401/1101)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。当社活動の詳細に関しては、「(5) 研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当第1四半期の業績は、売上高48,383千円(前年同四半期は売上高33,874千円)、営業損失364,582千円(前年同四半期は営業損失302,664千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息6,000千円等を、営業外費用として支払利息589千円、為替差損98千円を計上した結果、経常損失359,220千円(前年同四半期は経常損失310,439千円)、四半期純損失360,185千円(前年同四半期は四半期純損失311,386千円)となりました。
なお、当社は2019年4月8日に中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)とテロメライシンに関する独占的ライセンス契約及び資本提携契約を締結しましたが、同契約は2019年8月に開示を予定している2019年12月期第2四半期決算より寄与します。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 医薬品事業
医薬品事業では、Medigen Biotechnology Corp.(台湾以下「メディジェン社」)からのテロメライシンの開発に応じた開発協力金収入等を受領しました。この結果、売上高48,383千円(前年同四半期は売上高33,754千円)、営業損失120,369千円(前年同四半期は営業損失126,686千円)となりました。
② 検査事業
検査事業では、研究開発及びビジネス活動を展開しましたが、売上高は発生しませんでした。この結果、売上高なし(前年同四半期は売上高120千円)、営業損失96,384千円(前年同四半期は営業損失29,577千円)となりました。
当第1四半期会計期間末における資産は、現預金の減少等により3,310,500千円(前期比3.5%減)となりました。
負債は、借入の実行により697,528千円(前期比31.9%増)となりました。純資産は、新株発行による増資や四半期
純損失等により2,612,972千円(前期比9.9%減)となりました。
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当社の当第1四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業99,109千円、検査事業83,922千円、両セグメント共通5,111千円、合計188,144千円となりました。なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。
1) 研究開発体制について
2019年3月31日現在、研究開発部門は18名在籍しておりこれは総従業員数の52.9%に当たります。
2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びに積極的なビジネス活動を進めました。
① 医薬品事業
1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がんPhase 1企業治験、ii)抗PD-1
抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase 1医師主導治験、iii)メラノーマPhase 2、iv)肝細胞がんPhase1/2
並びにv)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase 2医師主導治験の5つの臨床試験
が同時に進行しています。
上記i)の「放射線併用食道がんPhase 1企業治験」に先行して岡山大学で実施された「放射線併用医師主導臨
床研究」は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンの
放射線治療併用における安全性及び有効性の評価を既に完了し、2018年7月に神戸で開催された日本臨床腫瘍
学会で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学の藤原俊義教授グループにより「原発巣の治療効果
は13例中8例でCR (Complete Response:完全奏功)であり、重篤な有害事象は生じていない。」という発表が
されました。また、2019年4月に米国アトランタで開催されたアメリカ癌学会(AACR:American Association
for Cancer Research)でも、同内容についてプレナリーセッションで討議がなされました。
一方、上記i)の「放射線併用食道がんPhase 1企業治験」は、2019年3月に効果安全性評価委員会より低用量
群でのテロメライシンの安全性確認がなされ、高用量群での投与が進行しています。Phase 2臨床試験へ速やか
に移行するために、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices
Agency)とPhase 2臨床試験に関する治験相談を行い、当社の方針がPMDAに認められました。
2019年4月には、厚生労働省の定める「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定されました。本指定により、
薬事承認にかかわる相談、審査において独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)により優先的な取り扱
いを受けることができ、早期の実用化を期待します。
上記ii)の食道がんを中心とする各種固形がんに対して免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体ペムブ
ロリズマブを併用する「各種固形がん抗PD-1抗体併用Phase 1医師主導治験」は2017年12月に投与が開始され、
既にPhase 1aの投与が完了し、Phase 1bに移行しています。2019年3月に米国アトランタで開催されたアメリ
カ癌学会(AACR:American Association for Cancer Research)で本治験の中間報告が発表されました。
上記iii)のメラノーマPhase 2臨床試験においては、2017年7月に被験者への投与が開始されました。本治験
では、切除不能又は転移性メラノーマ患者を対象とし、テロメライシンの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の
評価を目的としています。米国の複数施設で最大50例まで進める計画でしたが、予想以上の競合状態にあり、
症例組入れが当初計画より大幅に遅れています。この環境は今後も継続することが見込まれており、少数例で
の評価を行い、本臨床試験を早期終了させることを検討しています。
上記iv)の肝細胞がんPhase 1/2臨床試験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験
実施施設として単回・反復投与を含めPhase 1の17例への投与を行いました。Phase 1の終了予定時期は遅れて
いますが、2019年中に本治験を終了させる予定です。
上記v)米国コーネル大学での抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase 2医師主導
治験は、1例目の投与の準備を進めています。最大37例に投与を行い、テロメライシンと抗PD-1抗体ペ
ムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。
当社が中国・香港・マカオでのテロメライシンの研究・開発・製造・販売権を付与したハンルイ社(江蘇恒
瑞医薬股份有限公司、中国)は、中国政府(NMPA: National Medical Products Administration)への治験申
請に向けた準備を行っています。
なお、当社は2019年4月8日に中外製薬とテロメライシンに関する独占的ライセンス契約及び資本提携契約
を締結しました。本契約により、日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセン
スを中外製薬に付与しました。また、既にハンルイ社に付与した中国・香港・マカオを除く全世界における開
発・製造・販売に関する独占的オプション権を中外製薬へ付与しました。
本契約の契約一時金は5.5億円ですが、テロメライシンの臨床試験において一定の効果が確認され、中外製薬
が独占的オプション権を行使した場合には、本ライセンス総額は500億円以上になります。さらに、テロメライ
シンの上市後は、売上額に応じた販売ロイヤリティを、ライセンス契約総額とは別に受領します。
本契約は、2019年8月に開示を予定している2019年12月期第2四半期決算より寄与します。
2)その他の医薬品事業に関する活動
アステラス製薬から導入したHDAC阻害剤OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を
対象としてPhase 1臨床試験を行っていますが、コホート3の段階で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting
Toxicity)が6例中2例で発生したため、新規患者の組入れを中断し、他の薬剤との併用など今後別プロトコ
ルでの再スタートの可能性について検討しています。また、新規適応領域として眼科領域への適応について、
京都府立医科大学眼科の研究グループとの共同研究が進行し、2018年7月には特許出願を行いました。
新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げて開発パート
ナーを模索していますが、依然としてHIVマーケットが過飽和状態であり新規ライセンスの可能性は非常に低下
しています。新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、Yale大学へのOBP-601権利返還を検討し
た上で、パイプラインの選択と集中を進めていきます。
その他に、新しいシーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に
取り組んでいます。2018年2月に、新規腫瘍溶解アデノウイルス開発に特化した米バイオベンチャーUnleash
Immuno Oncolytics, Inc.( 米国以下「アンリーシュ社」) へ資本参加いたしました。また、Precision
Virologics Inc.(米国)に資本参加いたしました。遺伝子改変アデノウイルスのパイプラインを有する上記2
社との関係をより強固なものとし、当社が国内外で研究開発を推進しているテロメライシンをはじめとする
「遺伝子改変アデノウイルス」のプラットフォームを拡大し、「がんと重症感染症」パイプラインを推進し、
将来的なビジネスチャンス拡大につなげていきたいと考えています。
医薬品事業における臨床試験の状況は、以下の通りです。
② 検査事業
がん検査薬テロメスキャンは、2017年11月に順天堂大学と血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor
Cells)の共同研究契約を締結し、肺がん領域での臨床応用を検討していきます。また、島根大学では婦人科が
んを、大阪警察病院とはすい臓がんでの臨床応用の検討を行っていきます。北米エリアの権利を許諾した
Liquid Biotech USA, Inc.(米国)では、大学・研究機関との共同研究を開始するための準備を進めていま
す。
今後もがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社や大学・研究機
関へ積極的に提案し、日本・中国・欧州での新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャン販売の拡大を目
指していきます。