当事業年度におけるわが国経済は、継続的な政府による経済対策や日銀の金融緩和を背景に、企業収益や雇用環
境の改善も見られ、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、中東や東アジアでの地政学的リスクの高まり
や米国の政策動向に伴う影響等により、先行きは依然として不透明な状況で推移しております。
このような状況下、当社は、未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残し
てゆくことをビジョンとし、経営の効率化を図りながら、がんのウイルス療法OBP-301 (テロメライシンⓇ)及び新
規エピジェネティックがん治療薬OBP-801、がん検査薬テロメスキャンの研究・開発・事業活動を推進させました。
当社活動の詳細に関しては、「第2 事業の状況 6.研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当事業年度は、売上高229,139千円(前期は売上高178,313千円)、営業損失1,078,389千円(前期は営業損失861,311千円)を計上しました。また、営業外収益として、受取利息3,887千円等を計上し、営業外費用として為替差損9,441千円、支払利息3,274千円等を計上しました結果、経常損失1,087,185千円(前期は経常損失864,241千円)、当期純損失1,090,703千円(前期は当期純損失931,397千円)を計上しました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 医薬品事業
医薬品事業では、Medigen Biotechnology Corp.(本社:台湾 以下「メディジェン社」)とテロメライシンⓇの戦略的アライアンスに関する契約を改定し、肝細胞がんに加えて食道がん及びメラノーマの共同開発権をメディジェン社へ付与すると共に、メディジェン社からテロメライシンⓇの開発に応じた開発協力金収入を受領しました。また、Jiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd.(本社:中国 以下「ハンルイ社」)と締結しているテロメライシンⓇの中国エリアにおけるライセンス契約に基づき、第1回マイルストーン収入を受領しました。
この結果、売上高196,552千円(前期は売上高118,512千円)、営業損失438,213千円(前期は営業損失318,238千円)となりました。
② 検査事業
検査事業では、WONIK CUBE Corp.(本社:韓国 以下「ウォニックキューブ社」)と締結したテロメスキャンの韓国エリアにおけるライセンス契約に基づきマイルストーン収入を受領しました。また、Deciphera
Pharmaceuticals, LLC(本社:米国 以下「ディサイフィラ社」)へのテロメスキャン販売収入等を計上しました。
この結果、売上高32,586千円(前期は売上高59,801千円)、営業損失103,521千円(前期は営業損失105,058千円)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、1,922,454千円(前期比35.5%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,096,840千円(前期は903,424千円の支出)の支出となりました。これ
は主として、税引前当期純損失1,087,185千円、売上債権の増加22,385千円、前払金の減少39,910千円等によるもの
です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは131,662千円(前期は256,627千円の収入)の収入となりました。これは、
主に定期預金の払戻による収入600,000千円、定期預金の預入による支出400,006千円、投資有価証券の取得による
支出55,670千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,476,503千円(前期は6,423千円の収入)の収入となりました。これは主
に株式の発行による収入1,409,382千円、長期借入による収入100,000千円等によるものです。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせて頂きます。
当社は創薬バイオベンチャー企業として研究開発先行型の事業を展開しており、独自性の高い基盤技術であるウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬、新規がん検査薬の開発を行い、さらに重症感染症などの難病に対する治療薬の開発と事業化を推進しています。
特にがん領域においては、がんのウイルス療法OBP-301(テロメライシンⓇ)、エピジェネティックがん治療薬OBP-801、がんの早期発見または再発予測を行うテロメスキャンⓇを揃え、がんの発見から治療までを網羅するパイプラインを構築しました。また、感染症領域では、抗HIV薬やB型肝炎治療薬を軸に、重症感染症領域のパイプラインを構築しています。更に、医療現場のニーズが高い希少疾病治療薬のパイプラインの拡充に取り組んでいます。
「オンコリスなしでは医療現場が、ひいては患者が困る」そういう存在感ある創薬を展開することを基本方針とし、いち早く医療現場の課題解決に貢献していきたいと考えています。
当社は、これらを実現するため、組織戦略において下記の課題を重要な課題として取り組んでおります。
a.経営理念の浸透
当社のビジョンは、未来のがん治療にパワーを与え、その実績ががん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくことです。
私たちが求めて止まないのは、医療の“イノベーション”です。そのために、普段からの医学研鑽を惜しみません。少人数で大きな仕事を成し遂げてこそ、アドベンチャーと言えるでしょう。大企業にできないことこそ、私たちが成し遂げるべき目標です。いくら儲かるからではなく、どれだけの人を救えるかに価値観をもち、その結果としての利益を追求してゆきたいと考えます。経営者と社員だけではなく、株主様ともこの意識を共有してゆきます。常に透明な経営を心がけ、定期的な情報公開を行ってゆきます。社会貢献を目指す社会人として、常にコンプライアンスの遵守を心がけます。
経営理念を役職員に浸透させ、経営理念に基づいた経営戦略の遂行を柔軟且つ活気を持って執り行う組織を構築することが、重要な経営課題です。そのために、経営理念を具現化するための行動規範を策定し、役職員に行動規範の遵守を指導するとともに、経営トップが役職員に経営理念を語る機会を積極的に設定しています。その上で、研究開発部門と事業開発部門が一元的に情報を共有することを第一義に組織を構築しています。また、社内リソースを管理する業務管理部門は、常にステークホルダーを意識し、コンプライアンス遵守を徹底します。さらに、内部監査部門は、経営理念及び行動規範の浸透状況をはじめとするモニタリング機能を充実させていきます。
b.人財の確保と成長
役職員個々の自発的な成長こそが当社の成長を支える必須要素です。その実現のために人財の採用・育成を積極的に推進します。社内外ネットワークを活用し、確かな技術・能力・成長意欲のある人財の採用を行い、併せてOJTや各種研修プログラムによる人財育成を行うことで、陣容の充実を図ります。また、業績評価を充実させ、業務のスピード及び質を最大化することに努めます。
c.研究開発体制の強化
当社の研究開発は、医薬品及び検査薬候補の探索・創製から前臨床試験及び初期臨床試験までを対象としています。従って、研究開発計画の企画立案並びにその進捗管理を主たる業務とするプロジェクトリーダーを担える人財の確保並びに育成が重要な課題です。そのため、引き続き研究開発部門の質的・量的充実化に努めます。また、研究機関との共同研究開発を通じて先進技術を取り込み、技術レベルの向上を図るとともに、経営理念を共有できるアウトソーシング先を積極的に活用し、ローコスト且つハイレベルな研究開発体制の構築を行います。
d.事業開発部門の強化
当社は、がん治療薬領域においてウイルス製剤を用いており、この業界においては非常に特殊な製品の事業化を目指しています。従って、この領域に明るい事業開発担当者を確保・育成し、世界の製薬企業とのネットワークをより強固なものとし、当社のキャッシュ・フロー獲得に貢献する事業開発体制を構築します。
e.検査事業の独立採算化
検査事業は、韓国と北米の2エリアでライセンス契約を締結していますが、各ライセンス国において開発が進展し、経常的な売上計上に至るまでには数年の時間がかかる見通しです。検査事業の単年度黒字化を早期に達成するとともに、経常的な独立採算実現に向け、迅速にグローバルなライセンスエリアの拡大を図り、将来の検査キットの販路確保に努めます。
f.アウトソーシング戦略
アウトソーシングを主体とする当社のビジネスにおいて、その効率化は重要な課題であります。必要且つ十分な研究開発及び製造力の確保に向け、外部委託会社であるCRO(Contract Research Organization)及びCMO(Contract Manufacturing Organization)との関係を強化するために、定期訪問等による綿密なコンタクト体制をとるべく全組織に啓蒙しています。また、常に最良のアウトソーシング体制を確保するべく、各々の業務領域において特定の1社依存にならぬよう、セカンドコントラクターの探索及び関係構築も行います。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。
医薬品及び検査薬の研究開発について
当社が行う医薬品及び検査薬の研究開発は、その期間が長期にわたり、コストも多額であります。
当社は、保有するパイプラインにおいて初期の臨床試験までの開発を効率的に進める事に注力し、そこで得られた有効性と安全性のデータを以って製薬企業へのライセンス契約締結を実現することを基本的な事業活動と位置付けています。また、各種政府補助金を利用して経費を下げるとともに、ライセンス契約締結後の後期臨床試験以降の開発費用はライセンス先の拠出となりますことで、当社が負担する開発コストを最小限に抑えるとともに、契約一時金収入及びマイルストーン収入を確保することで、新規パイプラインへの再投資が実現することを事業サイクルとしております。
しかしながら、万一、ライセンス契約締結及び維持に支障が発生した場合は、当社の事業収入が減少し、新規パイプライン開発への再投資が困難になる可能性があります。また、ライセンス対象となるパイプラインの開発費用をライセンス先が負担しないため、当社に発生する多大な研究開発費負担が当社業績を圧迫し、結果として開発の大幅な遅れや開発中止といった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が開発する医薬品及び検査薬のパイプラインにおいて、安全性や有効性の評価に問題が発見された場合は、開発が大幅に遅れる可能性もしくは開発そのものを中止する可能性があります。
当社は、保有するパイプラインの安全性及び有効性の評価を確実なものとするために、
ⅰ) 科学評価顧問等のネットワークを最大限活用したパイプライン価値の適正な評価
ⅱ) 非臨床・前臨床段階における徹底的な安全性及び有効性の検証
ⅲ) PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)やFDA(米国食品医薬品局)等の監督官庁との治験申請
事前ミーティング
等を実施し、パイプラインの安全性及び有効性評価のための情報をより効率的に収集できるように努めております。また、臨床試験の実施に当たっては、臨床試験のモニタリングを委託致しますCRO(受託臨床試験機関)と綿密なコンタクトを取り、常に最新の臨床現場情報を収集するとともに、医学専門家を交えたSRB(安全性評価委員会)を設置する等、臨床試験の安全な実行に対して最大の努力を図っております。加えまして、治験保険への加入による損害賠償リスクの移転を図っております。
上記のような対策を行ってはおりますが、予期せぬ副作用による開発の遅滞・中止のリスクを完全に排除することは困難であり、開発の大幅な遅れや開発中止もしくは国内外の監督官庁の承認が得られないといった事態に及んだ場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
医薬品製造に関連する規制と致しまして薬機法があります。医薬品の前臨床試験においてはGLP(Good Laboratory Practice)、原薬等の製造においてはGMP(Good Manufacturing Practice)ならびに臨床試験においてはGCP(Good Clinical Practice)がそれぞれ定められており、その操作手順やQA/QCが確実に実施されている事が必須条件になっております。また、当社の検査薬についても、臨床現場でがんの診断に用いられるようにする為には、臨床性能試験を実施し、体外診断用医薬品として承認を受ける必要があります。当社はこれらの試験を全てアウトソーシングしております。
また、当社は遺伝子組換えウイルス製剤を開発しておりますが、日本においては、平成12年に生物多様性条約特別締約国会議で採択された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書(カルタヘナ議定書)」に準拠した国内法「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)の定めるところに従って開発・製造・販売を行っていく必要があります。当社は、国内のウイルス取扱施設において、文部科学大臣より「遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする間に執る拡散防止措置の確認」について確認を得るとともに、日本国内でOBP-301(テロメライシンⓇ)の臨床試験を実施するために、カルタヘナに関する厚生労働大臣の承認を得ております。
また、臨床施設では厚生労働省等の監督官庁への届出および承認を確認しています。
しかしながら、将来医薬品・ウイルス製造等に関する新たな法律や条例などが制定・施行される可能性があり、それにより当社の事業が何らかの制約を受ける可能性があります。
当社が推進する医薬品事業及び検査事業にかかる技術分野においては、いずれも技術革新及び進歩の度合いが著しく速いと考えられます。当社は、常に最新の技術情報の収集・集積に注力しておりますが、万一、医薬品及び検査薬の競合技術等が、当社の対応の及ばない状況下で格段の進歩を遂げた場合、当社の事業に影響を与える可能性があります。また、当該技術の導入等に多大な費用や時間を要する場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の業務領域と完全に一致する企業は国内に見当たりませんが、国内創薬系バイオ企業の研究開発の動向を適宜確認するとともに、海外も含めたウイルス製剤の研究・開発・販売の動向は注視しています。
医薬品事業において本書提出日時点で当社にて把握できている競合品としては、世界の多数企業が腫瘍溶解ウイルスの開発を行っている中、中国が最も先行しており、Shanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.(中国)が有する当社と同じ増殖型アデノウイルス製剤Oncorineが、頭頸部がん治療薬としてすでに上市されております。また、遺伝子改変ヘルペスウイルス製剤Talimogene laherpareovec:T-VEC(Amgen社:米国)が、進行性黒色腫治療薬として平成27年10月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けるとともに欧州医薬品庁(EMA)の諮問委員会の承認推奨を受けました。これにより、欧米で初めて、ウイルス製剤が医療現場で使用されることとなりました。
上記以外に、現在、遺伝子改変レオウイルスReolysin(oncolytic Biotechnology社:カナダ)、遺伝子改変ワクシニアウイルスJX-594(Sillajen社:韓国)、遺伝子改変ヘルペスウイルスHF10(タカラバイオ社:日本)などが開発されています。当社では、開発スピードを早め、悪性黒色腫(メラノーマ)以外にも食道がん・肝臓がんなど他社のウイルスとは異なる適応を目標とすることで、差別化を図って参ります。
また、OBP-601(Censavudine)の対象疾患であるHIV感染症領域やOBP-801のがん疾患領域は未だに患者数は増え続けており、世界での開発競争が繰り広げられています。これらについては、作用機序が同じ医薬品が既に多数上市されておりますが、当社は既存の競合品と比して優れた有用性を発揮できる戦略を踏まえて開発を進めております。
しかしながら、これらは未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験において、重篤な副作用の発生等で競合品と比して差別化が図れないと判断しうるデータを取得した場合、開発中止の可能性や開発の遅延の可能性もあります。また、将来、他社との開発販売契約を締結した場合、提携先の開発戦略の変更や契約解消による開発活動の遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
検査事業において、当社が対象としている血中循環がん細胞(CTC)の検出分野では、現在Veridex社(J&Jグループ)のCTC検出機器CellSearchシステムが唯一米国にて薬事承認されており、その後多数の企業によるCTC検査系の開発競争が激化しております。しかしながら、CellSearchをはじめとする競合の多くは、EpCAMと呼ばれる細胞表面マーカーを検出する方法を用いており、その細胞表面マーカーの発現が低いと言われている肺がん細胞等の検出が困難であるという欠点を持っております。
一方、当社のウイルス改変検査薬においては、肺がん細胞をはじめとするほとんどの種類のがんにおいて、まだ血中で生きたままのがん細胞を蛍光発光させることが可能であることが判明しており、競合品との差別化ができており、その臨床有用性を確認していく予定です。
いずれの開発領域におきましても、本書提出日時点、当社が把握する競合の存在及びその研究開発進捗が必ずしも当社にとって直接マイナスの影響をもたらすものではありませんが、競合品が飛躍的に市場を寡占化した場合等、当社のパイプライン導出や将来のロイヤリティ収入に影響を与える可能性があります。
当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品ならびに臨床検査薬について、その研究開発の進捗に伴って評価された製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)に基づいて製薬企業等とのライセンス契約を締結し、その対価として契約一時金・研究協力金・開発協力金・マイルストーン収入及び製品の上市以降その販売に伴って発生するロイヤリティ収入等を段階的に見込むものであります。
当社は、現時点において、HIV感染症治療薬OBP-601(Censavudine)がPhase IIb臨床試験終了の段階にありますが、その他のパイプラインは製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)獲得に向けた研究開発段階にあります。現時点において導出が完了しているのは、医薬品事業におけるHengrui社(中国)とのOBP-301(テロメライシンⓇ)の中国における独占的実施許諾と、検査事業におけるWONIK CUBE Corp.社(韓国)とのOBP-1101(テロメスキャンF35)の韓国における独占的実施権許諾およびLiquid Biotech USA, Inc.社(米国)とのOBP-401(テロメスキャンⓇ)の北米エリアにおける独占的実施権許諾です。
導出前の各パイプラインにおきましては、導出先候補となる製薬企業や検査薬企業等のニーズを考慮し、研究開発の進捗状況を効果的に情報提供する等の活動を続けており、既にアライアンス交渉下にあるものも存在しております。しかしながら、当社のパイプラインが導出先候補企業のニーズを満たす保証はなく、導出に至らない、または導出契約の時期や条件が当社の想定するものと大幅に乖離した場合等において、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
また、パイプラインを導出した場合、導出後の研究開発・承認申請・製造及び販売活動を導出先企業が行なう事になるため、当社の収益は導出先企業の戦略及び開発進捗等に依存することとなります。導出先企業が実施する臨床試験において予期せぬ副作用が発生した場合、及び導出先企業における戦略変更によるポートフォリオの見直し等により、導出済みパイプラインの開発中止等の決定がなされた場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、予期せぬ副作用により開発中止された場合を除き、当社は速やかに引継導出先を見つける活動を行いますが、引継導出先が早期に決定しない場合は、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
現在、当社の業務委託先及び提携先については、欧米の企業・機関がその大半を占めております。外貨建取引は、財務諸表上全て円換算しております。これらの項目は、現地通貨における価値が変化しなかった場合も、換算時のレートによって円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。
為替相場の変動に起因する影響を軽減するために、必要に応じて為替予約などのリスクヘッジを行って参りますが、これによって全てのリスクを回避することは困難であり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、本書提出日時点において、当社の事業に対する特許権等の知的財産権に関する第三者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。さらに、社内に知的財産権の専任担当者を設置するとともに、顧問弁護士及び弁理士との連携を以って可能な限り特許侵害・被侵害のリスクを軽減すべく活動しております。また、発明者、TLO法に基づく大学等の知的財産管理機関、企業及び研究機関から、「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、又は「実施権の許諾」を受け、事業化が推進できる体制を築いております。
しかし、当社の展開する医薬品・検査事業の一般的なリスクとして、自社で出願した特許以外にも第三者特許が関連する可能性があります。なお、今後、当社が第三者との間で係争に巻き込まれた場合、当社は弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対応策を検討していく方針でありますが、係争の解決に労力、時間及び費用を要する可能性があり、その場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来的な事業展開においては、他社が保有する特許権等への抵触により、事業上の制約を受けるなど、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
主力パイプラインにかかる主要な特許の状況は以下のとおりです。
注:日本特許は当社と関西ティー・エル・オー株式会社との共有、日本以外の指定国における特許は当社単独保有であります。
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、関西ティー・エル・オー株式会社(日本)より「特許権又は特許を受ける権利」を正当に譲り受け、事業化が推進できる体制を築いておりますが、一部の要素について他社が保有する特許に関連しています。そのため、当該他社特許期間の満了前に製造販売承認を受け、製造販売を開始する場合には、当該他社特許のライセンスを受ける必要があります。また、当該他社特許期間の満了前にOBP-301(テロメライシンⓇ)を他社にライセンス導出する場合には、当該他社特許のライセンス導入を受ける必要性を、ライセンス導出契約先が考慮することになります。
OBP-301(テロメライシンⓇ)は、現在の臨床開発計画上、順調に開発が進んだとしても、製造販売承認を受ける時期は当該他社特許期間の満了以降であります。また、当社は、本書提出日時点において、当該他社特許権者との間での苦情及び訴訟等といった問題は認識しておりません。
当社は、必要に応じて当該他社特許のライセンス導入に努めてまいりますが、万一、適時に当該他社特許のライセンス導入を受けることができない場合には、当該他社特許の満了時期まで製造販売を開始する時期やライセンス導出する時期を遅らせなければならないことも想定され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社における職務発明の取扱に関しては、取締役・従業員が協議の上、取締役会決議により「職務発明規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載の通りであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合、もしくは当社にとって不利な改定が行なわれた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更されたりした場合には、当社の事業戦略及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の事業活動においては、当社代表取締役社長である浦田泰生の製薬企業での経験・知識に基づく研究開発及び事業開発戦略に依るところが多く存在しております。浦田泰生の経営ビジョンを、企業理念・経営戦略として明確化して組織に浸透させること、及び後継者育成に専心し、浦田泰生に一元依存しない体制を構築することに努めております。
しかしながら、組織強化や後継者育成が遅れをきたし、事業承継が円滑に実施できない場合には、それにより当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、小規模な組織であり、社内における管理体制についてもこの規模に応じたものとなっております。当社においては、業務上必要な人員の増員及び育成等を図っていく方針でありますが、各部門において従業員に業務遂行上の支障が生じた場合、人財流出が生じかつ代替要員の不在等の問題が生じた場合には、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社が成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人財の確保であります。
当社はアウトソーシングを活用したファブレス経営モデルを構築することで、必要人員の絶対数を削減し、統括的なプロジェクトマネジメント能力を有する人財を重点的に確保しつつ、将来当社を担う人財の育成に注力しております。
また、経営理念を社内に浸透させ、その崇高な目的に共感できる従業員を育成すること、トップが率先して基幹人財間のコミュニケーションの充実に関与すること、及び社内の評価制度や人事制度を充実させること等により、社内人財の定着率向上に努めております。
しかしながら、人財育成が円滑に進まない場合、又は各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万一社外に流出した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、神戸に検査センター施設を保有しております。同センターで遺伝子組み換えウイルスを検査薬として取り扱うにあたっては、いわゆるカルタヘナ法の定めに基づき、必要な設備を監督官庁に届け出てその確認を受けております。また、遺伝子組み換えウイルスの取扱に関して、その管理方法を教育指導し徹底した予防管理に努めております。しかしながら、何らかの要因により火災や環境汚染事故等が発生した場合には、重大な損失を招くリスクがあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は、東京都港区に本社を設置しており、事業活動に関わる資料・データ及び人員の半数以上が本社に集中しております。万一、首都圏直下型の大型地震の発生・台風・津波等の自然災害や大規模な事故・火災・テロ行為等により本社社屋の倒壊、資料・データの散逸、人員の死傷等不測の事態が発生した場合には、事業活動の継続が困難となる状況が生じ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は知的財産権及びその実施権をビジネスの基盤としておりますため、事業を展開する上で、当社の責任の有無に関わらず、第三者から権利または利益を侵害したとの主張による損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。また、臨床試験において被験者の健康被害が発生した場合、取引関係や労使関係において不測のトラブルが発生した場合等においても、損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があります。当社では、十分な知的財産権の管理や治験保険への加入等リスクの回避・低減に努めております。しかしながら、訴訟が提起された結果、金銭的負担の発生や当社に対する信頼・風評の低下により、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は役員、従業員及び社外協力者等に対して、当社事業及び研究開発へのモチベーションの向上を目的として、新株予約権(ストック・オプション)を発行しています。また、事業会社や金融機関等に対して、事業推進のための資金調達を目的として、株式や新株予約権を発行しています。今後も優秀な人財・社外協力者の確保や事業推進のための資金調達を目的として、同様の施策を実施する可能性があります。これらの新株予約権の行使や株式発行が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、当社株価形成に影響を与える可能性があります。また、今後も優秀な人財の確保のためにストック・オプションをはじめとするインセンティブプランや必要に応じた資金調達を実施するために、新たな新株予約権や株式が発行される可能性があります。なお、新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1.株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご覧下さい。
当社が保有する資金は、主に既存パイプラインの研究開発費用、新規パイプラインの導入及びその研究開発費用、戦略的な投資に充当する考えです。当社が本書提出日時点で計画している資金使途は上記の通りですが、急激な事業環境の変化等により、計画通りに使用した場合においても、当初の想定どおりの成果が得られない場合があります。
また、当社株価が下落した場合には、必要資金を計画通りに調達できない可能性があります。計画通りに必要資金を調達できない場合には、資金使途を変更する可能性があるとともに、当初の想定通りの成果を得られない可能性があります。
(注) 平成18年12月22日付け特許持分譲渡契約及び本契約により、日本の特許は当社と関西ティー・エル・オー株式会社の共有、海外指定国における特許及び特許出願は当社単独保有となりました。
当社の当事業年度における研究開発費は、医薬品事業452,738千円、検査事業89,805千円、両セグメント共通27,997千円、合計570,541千円となりました。
なお、当事業年度における研究開発活動の状況は以下の通りです。
平成29年12月31日現在、研究開発部門は14名在籍しておりこれは総従業員数の43.8%に当たります。
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。
1)テロメライシンⓇ(OBP-301)に関する活動
がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)は、①放射線併用食道がんPhase Ⅰ、②メラノーマPhase Ⅱ、③肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ、④抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がん医師主導治験、⑤放射線併用食道がん医師主導臨床研究の、5つの臨床試験が同時に進行しています。
放射線併用食道がんPhase Ⅰ臨床試験は、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。本治験では、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンⓇの放射線治療併用における安全性及び有効性を評価します。治験実施施設は岡山大学病院と国立がん研究センター東病院の2施設で、最大12例まで投与を行う予定です。
メラノーマPhase Ⅱ臨床試験は、平成29年7月に被験者への投与が開始されました。本治験では、切除不能または転移性メラノーマ患者を対象とし、テロメライシンⓇの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としており、治験実施施設はAtlantic Health Systemなど米国の複数施設で進める計画です。
肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験は、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設として単回投与12例への投与が完了し、平成29年7月に反復投与を開始し平成30年内の終了を予定しています。
食道がんを中心とする各種固形がんに対して抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用する医師主導治験は、平成29年12月に被験者への投与が開始されました。本治験では、進行性又は転移性固形がん患者を対象に安全性・忍容性などの評価検討を最大28例で行います。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授研究グループによる放射線併用食道がんPhaseⅠ臨床試験と同じ疾患を対象としたテロメライシンⓇと放射線併用の医師主導臨床研究も進行しており、藤原俊義教授の研究グループは、平成29年7月開催の日本消化器外科学会、日本臨床腫瘍学会、日本遺伝子細胞治療学会でその試験の中間成績の発表をしました。本臨床研究は平成30年内の終了を予定しています。
ビジネス面では、メディジェン社とテロメライシンⓇの戦略的アライアンスに関する契約を改定し、肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験を継続するとともに、新たに食道がん及びメラノーマの共同開発権をメディジェン社へ付与し、メディジェン社からテロメライシンⓇの開発に応じた開発協力金を受領しました。また、中国ライセンス契約を締結したハンルイ社から平成29年12月に第1回マイルストーンフィーを受領しました。さらに、ハンルイ社による中国国内でのテロメライシンⓇの開発方針についてCFDA(China Food and Drug Administration)との交渉が開始されました。なお、平成29年10月にCFDAは海外データの受入れを正式に発表しています。
2)その他の医薬品事業に関する活動
アステラス製薬より導入した新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としてPhase I臨床試験が進行中です。更に、効能追加として眼科用製剤の開発について、京都府立医科大学眼科の研究グループと共同研究を進行すると共に、幅広い適応追加を検討しています。
新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げ、開発パートナーを模索しています。
その他に、新規B型肝炎治療薬・次世代テロメライシン候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に積極的に取り組んでいます。
医薬品事業における臨床試験の状況は以下の通りです。
がん検査薬テロメスキャンは、従来の血中循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)に加えて、腹腔内のがん細胞から拡散したがん細胞(PTC: Peritoneal Tumor Cells)の検出法に開発領域を拡げています。現在、膵臓がん患者の腹腔洗浄液を用いた腹腔内遊離がん細胞(PTC)を検出して、膵臓がんの腹腔内転移と患者の予後を予想する方法を検討しています。血中循環がん細胞領域では、順天堂大学とCTC検査システムの自動化と臨床的応用を拡大するための共同研究を開始しました。また、Liquid Biotech USA, Inc.(本社:米国)へ北米エリアの権利を許諾し、肺がんを中心とした臨床的応用を検討しています。さらに、ウォニックキューブ社(本社:韓国)は韓国でのCTC検査承認取得を目指し、テロメスキャンのパイロット製造準備を進めています。
ビジネス面では、ディサイフィラ社(本社:米国)へCTC検査薬テロメスキャンを販売しました。同社は、テロメスキャンを用いたCTC測定を、新規分子標的抗がん剤の臨床試験における副次的有効性評価項目の一つに位置付けています。また、平成29年3月には韓国の権利を導出したウォニックキューブ社からマイルストーンフィーを受領しています。
今後も、血液や腹腔洗浄液に含まれるがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社やアカデミアへ積極的に提案し、新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャンの販売を拡大させていく計画です。
文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積もりが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積もりを行なっております。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は前事業年度末より325,195千円増加し、3,071,713千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金2,867,512千円、売掛金88,736千円、前払費用51,011千円です。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は前事業年度末より60,713千円増加し、454,508千円となりました。その主な内訳は、投資有価証券400,194千円、敷金及び保証金29,212千円、関係会社長期貸付金11,079千円、関係会社株式10,173千円です。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は前事業年度末より34,186千円増加し、239,035千円となりました。その主な内訳は、未払金88,740千円、短期借入金93,336千円、未払法人税等32,826千円です。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は前事業年度末より37,213千円増加し、355,293千円となりました。その主な内訳は、長期借入金344,440千円、リース債務7,140千円です。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末より314,510千円増加し、2,931,893千円となりました。その主な内訳は、資本金5,802,444千円、資本剰余金5,794,944千円、利益剰余金△8,660,016千円です。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」をご参照下さい。
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」をご参照下さい。
当社は、研究開発型ベンチャー企業として、先行投資的な事業資金等を支出してまいりました事により、これまで利益配当を実施しておりません。しかしながら、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、経営基盤の一層の強化と積極的な事業展開に備えた内部留保の充実を勘案しながら、各期の経営成績を考慮に入れて配当政策を決定して参ります。
当社の事業ステージは先行投資の段階にあり、現時点では当期純損失を計上しております。今後、保有しているプロジェクトのライセンス導出、事業化を成功させて得られる収益により損益が改善され、さらに売上に応じたロイヤリティ収入により、利益を拡大する計画です。これらの見通しについては、入手可能な情報及び将来の業績に与える不確実要因に関しての仮定を前提としております。
また、経営者の問題意識と今後の方針については「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。