第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期累計期間(平成29年1月1日~平成29年3月31日)において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

 

 アライアンス契約ならびに資本提携契約

契約締結日

契約の名称

相手先

契約の概要

平成29年3月24日

Amended #2 and Restated Strategic Alliance and License Agreement

Medigen Biotechnology Corp.

テロメライシン(OBP-301)の特定適応症に関する戦略的アライアンス改訂契約

 1.肝臓がんに加え、食道がんとメラノーマの共同開発権を付与

 2.開発費用を両社で按分する適応症に関し、上記がん種を追加

 3.契約期間:特許満了日または先発権(データ保護期間、再

   審査期間等)満了日のどちらか遅い方まで

平成29年3月29日

Exclusive License Agreement

Precision

Virologics Inc.

アデノウイルスを基とする新興感染症ワクチンの研究開発に特化したPrecision社に出資を行い、取締役1名を派遣すると共に、同社が開発する全プロジェクトに関しアジア地域での第一拒否権を得る契約

契約期間:当社がPrecision社株式を保有する期間

 

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当第1四半期累計期間(平成29年1月1日~平成29年3月31日)におけるわが国経済は、政府による経済政策等を背景に緩やかな回復基調にあるものの、個人消費は低調に推移しました。また、米国トランプ政権の政策動向や英国のEU離脱問題、中東や東アジアの安定感に欠ける情勢などの外部要因もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。

 

医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)、新規B型肝炎治療薬OBP-AI-004、新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。また、検査薬事業では、テロメスキャンⓇ(OBP-401/1101)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。当社活動の詳細に関しては、「(4)研究開発活動」をご確認ください。

 

以上の結果、当第1四半期累計期間の業績は、売上高15,380千円(前年同四半期は29,560千円)、営業損失235,115千円(前年同四半期は営業損失182,061千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息1,049千円等を、営業外費用として為替差損6,845千円及び支払利息695千円等を計上した結果、経常損失241,578千円(前年同四半期は経常損失185,545千円)、四半期純損失242,547千円(前年同四半期は四半期純損失186,228千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

①医薬品事業

医薬品事業におきましては、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしましたが、当第1四半期累計期間において計上すべき売上はありませんでした。

この結果、売上高なし(前年同四半期は売上高なし)、営業損失90,802千円(前年同四半期は営業損失66,094千円)となりました。

 

 

②検査事業

検査事業におきましては、血中浮遊がん細胞(CTC)検査薬テロメスキャンⓇの権利許諾先からのライセンス収入及びアカデミアからの研究目的受託検査収入が生じた結果、売上高15,380千円(前年同四半期は売上高29,560千円)、営業損失23,299千円(前年同四半期は営業損失11,907千円)となりました。

 

(2)財政状態

  資産、負債及び純資産の状況

当第1四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の増加等により3,174,613千円(前事業年度末比1.1%増)となりました。負債は、未払金の減少等により461,896千円(前事業年度末比11.7%減)となりました。純資産は、新株予約権の権利行使や四半期純損失等の理由により2,712,717千円(前事業年度末比3.6%増)となりました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

 (4)研究開発活動

当第1四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業72,775千円、検査事業23,651千円、両セグメント共通4,929千円、合計101,355千円となりました。

なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況は以下の通りです。

 

1)研究開発体制について

平成29年3月31日現在、研究開発部門は12名在籍し、これは総従業員数の38.7%に当たります。

 

2)研究開発活動について

当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

 

①医薬品事業

ⅰ)がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)に関する活動
 がんのウイルス療法テロメライシンⓇ(OBP-301)は、放射線併用の食道がんPhase Ⅰ、他の治療法併用の食道がん医師主導治験、メラノーマPhase Ⅱ、肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ、の4つの臨床試験の同時推進を計画しています。

 

平成29年3月に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ放射線併用の食道がんPhase Ⅰ臨床試験実施申請を行いました。外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、放射線治療併用によるテロメライシンⓇの安全性・有効性及び腫瘍免疫応答の評価を実施する予定です。なお、岡山大学藤原俊義教授による同疾患を対象としたテロメライシンⓇと放射線の併用に関する医師主導臨床研究では、既に10例の投与が完了しており、今後最大投与量群に移行する予定です。

米国では、平成28年8月にアメリカ食品医薬品局(FDA)に切除不能または転移性メラノーマを対象としたPhaseⅡ臨床試験の臨床試験実施計画書を提出し、現在被験者登録準備を進めています。テロメライシンⓇの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としています。

Medigen Biotechnology Corp.(本社:台湾 以下「メディジェン社」)と共同で進めている肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験は、FDAよりさらに高い投与量群に関するプロトコル修正の承認を得て、台湾と韓国にて被験者登録を開始しています。

 

平成29年3月にメディジェン社とテロメライシンⓇの戦略的アライアンスに関する改訂契約を締結しました。これにより、肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験を継続するとともに、新たに食道がん及びメラノーマの共同開発権をメディジェン社へ付与し、今後の同領域での研究開発費が継続して圧縮されます。

また、平成28年11月にライセンス契約を締結したJiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd. (本社:中国 )では、中国でのテロメライシンⓇの臨床試験開始に先立ち、テロメライシンⓇのGMP自社製造準備が進められています。

 

ⅱ)その他の医薬品事業に関する活動
 アステラス製薬株式会社より導入した新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象とするPhase I臨床試験が進行中です。

 

新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げていますが、市場ニーズが見込める可能性がある新規徐放製剤の開発を武庫川女子大学と進め、一定の徐放効果を確認しています。

 

平成29年3月に、米ワシントン大学発バイオ企業Precision Virologics Inc. (本社:米国 以下「プレシジョン社」)と資本提携契約を締結しました。 プレシジョン社は、アデノウイルス研究の専門家であるワシントン大学医学部のD.T.キュリエル教授が新たな遺伝子治療を実用化するため設立された会社です。同社が研究開発を進めるジカウイルス感染症ワクチンは既に米国立衛生研究所(NIH)等の助成金に採択されており、樹状細胞を標的とするウイルスベクターを投与することで特異的な免疫を高めるという特徴が期待されています。当社の「重症感染症」ラインナップに「現時点では治療法のない熱帯病の予防ワクチン」を追加し、将来的なビジネス機会の拡大につなげていきたいと考えています。

 

また、平成29年3月には、国立大学法人大阪大学と共同研究契約を締結し、水口裕之教授の研究グループと、次世代テロメライシンⓇおよび次世代テロメスキャンⓇの創製を目的とした共同研究を開始しました。

その他、新規B型肝炎治療薬候補品・新規抗癌剤候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミア等との共同研究や製薬会社との情報交換に積極的に取り組んでいます。

 

 

医薬品事業における主なパイプラインは以下の通りです。

開発コード

商標又は名称

適応疾患

開発地域

開発ステージ

OBP-301

 テロメライシン

 (がんのウイルス療法)

放射線併用

食道がん

日本

治験届提出済

他の治療法併用

食道がん

日本

医師主導臨床試験

契約締結

メラノーマ

米国

Phase II

肝細胞がん

台湾・韓国

Phase I/II

各種固形がん

米国

Phase I(終了)

OBP-801

 エピジェネティックがん治療薬

各種固形がん

米国

Phase I

OBP-601

 センサブジン(抗HIV剤)

HIV感染症

欧米他

Phase IIb(終了)

 

②検査事業

  ペンシルベニア大学及び同大学元教授等による研究開発成果の商業化を目的に設立され、当社も戦略的投資を行っているLiquid Biotech USA, Inc.(本社:米国)では、血中循環がん細胞(CTC)検査薬テロメスキャンの北米での承認取得を目指した臨床研究が進捗しています。

  Deciphera Pharmaceuticals, LLC(本社:米国)では、同社が開発する新規分子標的抗がん剤の臨床試験において副次的な有効性評価項目の一つとしてテロメスキャンによるCTC検査を位置付け、臨床研究が進められています。

  韓国においては、WONIK CUBE Corp.(本社:韓国)による韓国での承認取得を目指した開発が進められると共に、韓国国内でのテロメスキャンGMP製造を目指して韓国における製造実施権を追加許諾しています。

 

  ビジネス面では、事業会社やアカデミアとのコラボレーション提案を行うと共に、権利許諾先からのライセンス収入及びアカデミアからの研究目的受託検査収入を得ました。

  今後も引き続き、事業会社やアカデミアへ積極的なコラボレーションを提案し、新規ライセンス契約締結や検査試薬テロメスキャンⓇの販売を拡大させていく計画です。