第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当第3四半期累計期間(平成29年1月1日~平成29年9月30日)におけるわが国経済は、政府による経済対策及び金融政策等の影響もあり、雇用情勢の改善等緩やかな回復基調が続く一方で、東アジアの地政学的リスクの高まりや米国の政策動向に伴う影響等、先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。

このような状況下、ウイルス学に立脚した技術を駆使して、がんや重症感染症の治療法にイノベーションを起こし、世界の医療に貢献することを使命としている当社は、経営の効率化を図り積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。

医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)、新規B型肝炎治療薬OBP-AI-004、新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801を中心に、検査事業ではテロメスキャン(OBP-401/1101)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進しました。

当社活動の詳細に関しては、「(4) 研究開発活動」をご確認ください。

 

以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高29,027千円(前年同四半期は46,540千円)、営業損失768,416千円(前年同四半期は営業損失679,556千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息2,964千円等を、営業外費用として為替差損8,909千円及び支払利息2,454千円を計上した結果、経常損失776,782千円(前年同四半期は経常損失682,662千円)、四半期純損失779,361千円(前年同四半期は四半期純損失731,550千円)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

医薬品事業

医薬品事業におきましては、Medigen Biotechnology Corp.(本社:台湾 以下「メディジェン社」)からのテロメライシン(OBP-301)に関する開発協力金収入が発生し、当第3四半期累計期間において売上高9,122千円(前年同四半期は売上高なし)、営業損失288,022千円(前年同四半期は営業損失289,099千円)となりました。

 

②検査事業

検査事業におきましては、キナーゼ阻害剤の開発に特化したDeciphera Pharmaceuticals, LLC(本社:米国 以下「ディサイフィラ社」)に対して、がん検査薬テロメスキャンを販売しました。同社は、抗がん剤臨床試験で有効性を検証するために、テロメスキャンを用いて血中浮遊がん細胞(CTC)を測定しています。その結果、売上高19,904千円(前年同四半期は売上高46,540千円)、営業損失83,485千円(前年同四半期は営業損失84,907千円)となりました。

 

(2)財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

当第3四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の増加及び投資有価証券の増加等により3,775,634千円(前事業年度末比20.2%増)となりました。負債は、借入金の増加等により610,300千円(前事業年度末比16.7%増)となりました。純資産は、新株予約権の権利行使や四半期純損失等の理由により3,165,334千円(前事業年度末比20.9%増)となりました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業217,065千円、検査事業68,937千円、両セグメント共通20,912千円、合計306,915千円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況は以下のとおりであります。

 

1)研究開発体制について

 平成29年9月30日現在、研究開発部門は13名在籍し、これは総従業員数の41.9%に当たります。

 

2)研究開発活動について

 当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。

 

医薬品事業

1)テロメライシン(OBP-301)に関する活動

 がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、①放射線併用食道がんPhase Ⅰ、②メラノーマPhase Ⅱおよび③肝細胞がんPhaseⅠ/Ⅱ、④抗PD-1抗体ペンブロリズマブ併用の固形がん医師主導治験、⑤放射線併用食道がん医師主導臨床研究の、5つの臨床試験が同時進行しています。

 

 放射線併用食道がんPhase Ⅰ臨床試験は、平成29年7月に第1例目の被験者への投与が開始されました。現時点までに安全性に関する問題は生じていません。本治験では、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者を対象に、テロメライシンの放射線治療併用における安全性及び有効性を評価します。治験実施施設は岡山大学病院と国立がん研究センター東病院の2施設で、最大12例まで投与を行う予定です。

 メラノーマPhase Ⅱ臨床試験は、平成29年7月に第1例目の被験者への投与が開始されました。本治験では、切除不能または転移性メラノーマ患者を対象とし、テロメライシンの有効性、安全性及び腫瘍免疫反応の評価を目的としており、治験実施施設はAtlantic Health Systemなど米国5施設で進める計画です。

 肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験は、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験実施施設として単回投与12例への投与が完了し、平成29年7月に反復投与を開始しました。

 食道がんを中心とする各種固形がんに対して抗PD-1抗体ペンブロリズマブを併用する医師主導治験は、被験者への投与準備が進んでいます。本治験では、進行性又は転移性固形がん患者を対象に安全性・忍容性などの評価検討を行います。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授研究グループによる放射線併用食道がんPhase Ⅰ臨床試験と同じ疾患を対象としたテロメライシンと放射線併用の医師主導臨床研究では、平成29年8月に11例目への投与が開始されました。なお、藤原俊義教授の研究グループは、平成29年7月開催の日本消化器外科学会、日本臨床腫瘍学会、日本遺伝子細胞治療学会でその試験の中間成績の発表をしました。

 

 ビジネス面では、平成29年3月にメディジェン社とテロメライシンの戦略的アライアンスに関する改訂契約を締結し、肝細胞がんPhase Ⅰ/Ⅱ臨床試験を継続するとともに、新たに食道がん及びメラノーマの共同開発権をメディジェン社へ付与しました。

 また、平成28年11月にライセンス契約を締結したJiangsu Hengrui Medicine Co., Ltd. (本社:中国)は、同社によるテロメライシンのGMP製造施設を設立し、テロメライシンの実製造開始の準備を進めています。また、中国国内での開発方針についてCFDA(China Food and Drug Administration)との交渉が開始されました。

 

2)その他の医薬品事業に関する活動

 アステラス製薬より導入した新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801は、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性固形がん患者を対象としてPhase I臨床試験が進行中です。更に、効能追加としての眼科用製剤の開発について、京都府立医科大学眼科の研究グループと共同研究が進行中です。

 新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、現在の抗HIV薬市場の状況に鑑み開発優先順位を下げ、開発パートナーを模索しています。

 その他、新規B型肝炎治療薬候補品・次世代テロメライシン候補品等の新しい医薬品開発シーズのパイプライン化を行うべく、アカデミアとの共同研究や製薬会社との情報交換に積極的に取り組んでいます。

 

 

 

 

 

医薬品事業における主なパイプラインは以下の通りです。

開発コード

商標又は名称

適応疾患

開発地域

開発ステージ

OBP-301

テロメライシン

(がんのウイルス療法)

放射線併用

食道がん

日本

Phase I

メラノーマ

米国

Phase II

肝臓がん

台湾・韓国

Phase I/II

抗PD-1抗体併用

各種固形がん

日本

Phase I

放射線併用

食道がん

日本

臨床研究

OBP-801

エピジェネティックがん治療薬

各種固形がん

米国

Phase I

OBP-601

センサブジン(HIV感染症治療薬)

HIV感染症

欧米他

Phase IIb(終了)

 

検査事業

 がん検査薬テロメスキャン(OBP-401/1101)は、従来の血中浮遊がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)に加えて、腹腔内のがん細胞から拡散したがん細胞(PTC: Peritoneal Tumor Cells)の検出法に開発領域を拡げています。現在、膵臓がん患者の腹腔洗浄液を用いた腹腔内遊離がん細胞(PTC)を検出して、膵臓がんの腹腔内転移と患者の予後を予想する方法を検討しています。血中浮遊がん細胞領域では、順天堂大学とCTC検査システムの自動化を確認するための共同研究を開始しました。更に、WONIK CUBE Corp.(本社:韓国)は韓国でのCTC検査承認取得を目指し、テロメスキャンのパイロット製造準備を進めています。

 ビジネス面では、ディサイフィラ社へCTC検査薬テロメスキャンを販売しました。同社は、テロメスキャンを用いたCTC測定を、新規分子標的抗がん剤の臨床試験における副次的有効性評価項目の一つに位置付けています。

 今後も、血液や腹腔洗浄液に含まれるがん細胞を検出する液体生検(Liquid Biopsy)へのテロメスキャンの活用を事業会社やアカデミアへ積極的に提案し、新規ライセンス契約やがん検査薬テロメスキャンの販売を拡大させていく計画です。