当第1四半期累計期間(2020年1月1日~2020年3月31日)において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」から重要な変更があった新たな事項は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。また、見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」の項目番号に対応しています。
(5) 業務上の事故やトラブル等のリスクについて
② 自然災害等にかかる事項
当社は、東京都港区に本社を設置しており、事業活動に関わる資料・データ及び人員の半数以上が本社に集中しております。万一、首都圏直下型の大型地震の発生・台風・津波等の自然災害や大規模な事故・火災・テロ行為等により本社社屋の倒壊、資料・データの散逸、人員の死傷等不測の事態が発生した場合や、有効な治療薬がない感染症等のパンデミックが発生した場合には、当社の事業活動および国内外において進めている臨床試験の停滞や継続が困難となる状況が生じ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第1四半期(2020年1月1日~2020年3月31日)における日本経済は、新型コロナウイルスによる医療崩壊を避けるために不要不急の外出自粛要請が各地方公共団体の首長から出されるなど、深刻な消費縮小が懸念されています。金融市場でもリーマンショックを超える混乱が生じ、日本経済・世界経済ともに先行き不透明な状態です。また、各製薬メーカーが、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンの開発を進めていますが、実用化にはまだ時間がかかる見通しです。
このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。また、医薬品事業の研究開発活動を加速させることを目的として、2020年4月に当社100%子会社OPA Therapeutics Inc.(以下、「OPA」という)を設立しました。OPAは米国カリフォルニア州を事業拠点とし、非臨床試験の遂行を担当します。なお、OPA社長には、腫瘍溶解ウイルスの研究開発に20年以上の経験を持つFrank Tufaro博士(元DNAtrix Inc. 代表取締役社長)が就任しました。
医薬品事業では、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)を中心に研究・開発・ライセンス活動を推進させました。また、検査事業では、テロメスキャン(OBP-401)を中心に研究・開発を推進させました。当社活動の詳細に関しては、「(5) 研究開発活動」をご確認ください。
以上の結果、当第1四半期の業績は、売上高70,274千円(前年同四半期は売上高48,383千円)、営業損失287,690千円(前年同四半期は営業損失364,582千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息5,107千円を、営業外費用として支払利息776千円、為替差損1,669千円等を計上した結果、経常損失285,059千円(前年同四半期は経常損失359,220千円)、四半期純損失286,022千円(前年同四半期は四半期純損失360,185千円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 医薬品事業
医薬品事業では、岡山大学からの次世代テロメライシンOBP-702に関する業務請負収入やMedigen Biotechnology Corp.(台湾 以下「メディジェン社」)からのテロメライシンに関する開発協力金収入が発生しました。この結果、売上高70,274千円(前年同四半期は売上高48,383千円)、営業損失99,646千円(前年同四半期は営業損失120,369千円)となりました。
今後は、OBP-702の臨床試験に向けたGMP製造や非臨床試験を進めるとともに、海外で進行中のテロメライシン(OBP-301)の医師主導治験も推進してゆきます。
② 検査事業
検査事業では、肺がん患者の血液中の循環がん細胞(CTC: Circulating Tumor Cell)による治療予後予測を検討する順天堂大学との臨床研究を開始させるとともに、AIシステムによるCTC検査自動化に向けた準備を進めておりますが、売上高は発生しませんでした。この結果、売上高なし(前年同四半期の売上高は発生なし)、営業損失13,034千円(前年同四半期は営業損失96,384千円)となりました。
当第1四半期会計期間末における資産は、現預金の減少等により3,885,211千円(前期比11.3%減)となりました。
負債は、未払金の減少等により719,070千円(前期比22.3%減)となりました。純資産は、四半期純損失等により3,166,140千円(前期比8.3%減)となりました。また、単元未満株主からの買取請求により取得した自己株式41千円は、純資産の部に計上しています。
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当社の当第1四半期累計期間における研究開発費は、医薬品事業131,142千円、検査事業6,039千円、両セグメント共通18,870千円、合計156,053千円となりました。
なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。
1) 研究開発体制について
2020年3月31日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の43.3%に当たります。
2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。
① 医薬品事業
1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)に関する活動
当社は、2019年4月に中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)とテロメライシンに関する日本及び台湾の独占的ライセンス契約及びオプション契約を締結しました。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500億円以上であり、既に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受領しています。
現在、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)は、i)放射線併用食道がんPhase2臨床試験、ii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の固形がんPhase1医師主導治験、iii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験、iv)肝細胞がんPhase1企業治験の4つの臨床試験が同時に進行しています。
上記i)の「放射線併用食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先である中外製薬によって2020年3月に第1例目の投与が国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がん患者様を対象に進められています。なお、中外製薬の開示資料によると、2020年4月23日現在、テロメライシンを2022年に申請する予定です。
上記ii)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用して食道がんを中心に開発を進めている「各種固形がん抗PD-1抗体併用Phase1医師主導治験」は2017年12月に投与が開始され、食道原発巣にテロメライシンを投与するPhase1a臨床試験の投与が完了し、肝転移部位に投与するPhase1b臨床試験に移行されています。食道原発巣に投与するPhase1a臨床試験の結果、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性が示され、9例中3例で全身での部分寛解(PR)が得られたと報告されました。現在進行しているPhase1b臨床試験では、目標症例数13例に対して9例の組入れが完了しています。2020年末までには中間データの取り纏めを行い、企業治験への移行の可能性を踏まえ検討してゆきます。
上記iii)の米国コーネル大学での「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」においては、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最大37例に投与が行われる予定であり、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。2020年中に10例程度での中間成績による検討を目指してゆきたいと考えています。
上記iv)の肝細胞がんPhase1企業治験においては、国立釜山大学(韓国)と国立台湾大学(台湾)を治験施設として、2020年4月に最終症例への投与が完了しました。今後、データを纏め、2020年末までに今後の方針を固めてゆきたいと考えています。
また、米国で放射線化学療法を併用した食道がんPhase1医師主導治験や抗PD-1抗体と放射線療法を併用した頭頸部がんPhase2医師主導治験を開始するための準備が進められています。更に、乳がんを対象とした非臨床試験が実施されています。
当社が中国・香港・マカオでのテロメライシンの研究・開発・製造・販売権を付与した江蘇恒瑞医薬股份有限公司(中国 以下「ハンルイ社」)は、テロメライシンのGMP製造を確立し、2019年10月にPre-INDを実施するなど中国政府(NMPA: National Medical Products Administration)への治験申請に向けた準備を行っています。
2)次世代テロメライシン(OBP-702)に関する活動
腫瘍溶解遺伝子治療OBP-702は、がん抑制遺伝子p53による「遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬やハンルイ社に導出済みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の研究グループがOBP-702の非臨床試験を進め、これまでに複数の学会で非臨床試験結果を報告しています。今後、当社はOBP-702のGMP製造や非臨床試験を進め、2022年までに臨床試験を開始することを目指します。
3)その他の医薬品事業に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生し、現在新規患者様の組入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応については、2018年7月に京都府立医科大学の眼科研究グループと特許出願を行っており、共同研究を進めています。
新規抗HIV剤OBP-601(センサブジン)は、HIVマーケットが過飽和状態であり感染症領域での新規ライセンスの可能性は非常に厳しい状況となっています。現在、感染症領域以外でのOBP-601の新規ライセンス契約の締結に向けたビジネス活動を積極的に進めていますが、新規ライセンス契約の締結が不可能と判断した場合には、Yale大学へOBP-601の権利を返還し、当社経営資源を有効に活用するために、パイプラインの選択と集中を進めていきます。
抗ウイルス薬プロジェクトであるOBP-AI-004は、B型肝炎ウイルス(HBV)以外の感染症領域での用途開拓に向けて、鹿児島大学の抗ウイルス薬研究グループと共同研究を進めていきます。
医薬品事業における臨床試験の状況は、以下の通りです。
② 検査事業
がん検査薬テロメスキャンは、順天堂大学と血中循環がん細胞(CTC)の肺がん領域で医師主導臨床研究が実施されています。また、婦人科がん領域への応用では、子宮頸がん患者由来のCTCからヒトパピローマウイルスの遺伝子検出を行い、より確度の高いCTC検査系を立ち上げてゆきます。北米エリアの権利を許諾したLiquid Biotech USA, Inc.(米国)では、米国の大学や研究機関との共同研究を進めており、当社と共同でより幅広いマーケットを獲得できるよう共同体制を取ってゆきます。
今後は、AIによるCTC自動検出システムを立ち上げ、「スループット向上」と「検査品質の標準化」の実現を目指します。さらに、テロメスキャンを用いたCTC有無の判定だけでなく、検出したがん細胞の遺伝子検査などを可能にし、がん患者の治療選択につなげられる検査系へと成長させてゆきたいと考えています。
当第1四半期会計期間(2020年1月1日~2020年3月31日)において、Geron Corporationと締結していましたEXCLUSIVE COMMERCIAL LICENSE AGREEMENTを、2020年2月に解消いたしました。