第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第2四半期累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

また、当第2四半期累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)において、前事業年度の有価証券報告書(第17期、提出日:2021年3月26日)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書提出後、本四半期報告書提出日(2021年8月6日)までの間において、変更及び追加すべき事項が生じており、当該変更及び追加箇所については下線部分で示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

また、当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の99%以上が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、第1四半期会計期間より業績管理の方法を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。このためセグメント別の記載を省略しております。

 

創薬事業における研究開発について

(1) 事業の内容について

④  技術革新にかかる事項

当社が推進する創薬事業にかかる技術分野においては、いずれも技術革新及び進歩の度合いが著しく速いと考えられます。(省略)

 

⑤  競合にかかる事項

当社の業務領域と完全に一致する企業は国内に見当たりませんが、国内創薬系バイオ企業の研究開発の動向を適宜確認するとともに、海外も含めたウイルス製剤の研究・開発・販売の動向は注視しています。

創薬事業の医薬品開発において本書提出日時点で当社にて把握できている競合品としては、世界の多数企業が腫瘍溶解ウイルスの開発を行っている中、中国が最も先行しており、Shanghai Sunway Biotech Co.,Ltd.(中国)が有する当社と同じ増殖型アデノウイルス製剤Oncorineが、頭頸部がん治療薬として既に上市されております。

(省略)

また、がん検査薬への開発において、当社が対象としている血中循環がん細胞(CTC)の検出分野では、現在Veridex社(J&Jグループ)のCTC検出機器CellSearchシステムが唯一米国にて薬事承認されており、その後多数の企業によるCTC検査系の開発競争が激化しております。

(省略)

 

⑥  アライアンスにかかる事項

当社の収益構造は、当社が研究開発する医薬品ならびに臨床検査薬について、その研究開発の進捗に伴って評価された製品的価値の初期評価であるProof of Concept(POC)に基づいて製薬企業等とのライセンス契約を締結し、その対価として契約一時金・研究協力金・開発協力金・マイルストーン収入及び製品の上市以降その販売に伴って発生するロイヤリティ収入等を段階的に見込むものであります。

現時点において導出が完了しているのは、中外製薬とのテロメライシン(OBP-301)の日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約並びに日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション契約、及びTransposon社との核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)の全世界における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス契約を締結しています。また、がん検査薬テロメスキャンについては、リキッド社(米国)との間で北米エリアにおける独占的実施権許諾を付与する導出契約を締結しています。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 業績の状況

当第2四半期累計期間(2021年1月1日~2021年6月30日)における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延が懸念される中、個人消費や物流停滞による不安を抱えつつも、コロナワクチン接種の拡がりや経済活動制限の緩和を追い風に、緩やかな景気拡大が期待されます。

 

 このような状況下、当社は経営の効率化を図り、積極的に創薬事業における研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。当社活動の詳細に関しては、「(7) 研究開発活動」をご確認ください。

なお、当社は従来「医薬品事業」、「検査事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、当社売上高の99%以上が医薬品事業により構成されており、今後も継続が見込まれることから、第1四半期会計期間より業績管理の方法を変更し、「創薬事業」の単一セグメントへ変更いたしました。このためセグメント別の記載を省略しております。

 

当第2四半期の創薬事業において、がんのウイルス療法テロメライシンは、ライセンス先である中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)によって、日本国内での食道がんを対象とした放射線併用の臨床試験及び肝細胞がんを対象とした臨床試験が推進されました。さらに、中外製薬による食道がんを対象とした化学放射線療法併用の臨床試験の患者様の募集も国内で開始されています。一方、当社においては、頭頸部がんを対象とした米国での臨床試験の第1例目の投与が開始されました。

新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011においては、前臨床試験の開発スピードを上げ臨床試験開始までの期間を短縮することを目的に株式会社新日本科学(以下「新日本科学」)と共同研究契約を締結しました。治験薬原薬のGMP製造を委託しているスペラネクサス株式会社(旧:岩城製薬株式会社)および新日本科学と、2022年の治験申請を目指した活動を推進しています。

がん検査薬テロメスキャンにおいては、順天堂大学と血液中を循環しているがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自動化プラットフォームの確立を目的に、共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を開設しました。当社は、血液中で生きている悪性度の高いCTCを検出できるテロメスキャンと、検査効率を上昇させるAI技術を組み合わせたプラットフォームを2024年までに完成させ、商業用への応用を目指します。

 

以上の結果、当第2四半期の業績は、売上高193,067千円(前年同四半期は売上高136,115千円)、営業損失633,599千円(前年同四半期は営業損失660,290千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息238千円、為替差益24,514千円等を、営業外費用として支払利息2,109千円、譲渡制限付株式報酬償却27,135千円、株式交付費10,977千円等を計上した結果、経常損失649,015千円(前年同四半期は経常損失662,891千円)、四半期純損失650,860千円(前年同四半期は四半期純損失664,734千円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第2四半期における資産は、新株発行による増資等による現預金の増加2,579,157千円、売掛金の増加40,168千円等により5,197,403千円(前事業年度末比85.9%増)となりました。また、負債は、未払金の減少等により716,556千円(前事業年度末比9.6%減)となりました。純資産は、新株発行による増資や四半期純損失等により4,480,847千円(前事業年度末比123.7%増)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度の1,822,850千円から4,402,007千円へと2,579,157千円増加しました。当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは594,589千円の支出(前年同四半期は747,216千円の支出)となりました。これは主として、税引前四半期純損失649,015千円、未払金の減少122,086千円、株式報酬費用156,659千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは327千円の支出(前年同四半期は36,201千円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出743千円や投資有価証券の売却による収入486千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは3,148,769千円の収入(前年同四半期は51,462千円の収入)となりました。これは主として、新株発行による収入3,085,224千円、長期借入れによる収入100,000千円、長期借入金の返済による支出66,672千円等によるものであります。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第2四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

当社の当第2四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、321,294千円となりました。なお、当第2四半期累計期間における創薬事業の研究開発活動の状況は以下の通りです。

 

1) 研究開発体制について

 2021年6月30日現在、研究開発部門は13名在籍しており、これは総従業員数の36.1%に当たります。

 

2) 研究開発並びにビジネス活動について

当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

 

 (1)がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)(国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動

当社は、2019年4月に中外製薬とテロメライシンに関する日本・台湾の独占的ライセンス権並びに日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における独占的オプション権を付与するライセンス契約を締結しました。中外製薬が独占的オプション権を行使した場合、当社が中外製薬から受領するライセンス契約の総額は500億円以上となる可能性があり、既に、中外製薬から本契約の契約一時金及び第1回マイルストーンを受領しています。なお、2021年7月26日現在、中外製薬はテロメライシンの承認申請を2024年に予定しており、上市に向けた活動を中外製薬と共に推進しています。

さらに、当社は、全世界における食道がんの患者様の大半を占める中国・香港・マカオに対して、新規ライセンス契約に向けた活動を積極的に継続しています。

 

 

テロメライシンの食道がんへの開発に対して、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を2020年6月に米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)から受けました。本指定により、テロメライシンの開発におけるFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇処置を受けられます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。2019年4月に指定を受けた先駆け審査制度と合わせて、テロメライシンを食道がんの治療薬として開発していく方針です。

2021年2月には、世界保健機関(WHO:World Health Organization)によって、テロメライシンの国際一般名称が「suratadenoturev」に決定されました。世界保健機関(WHO)による医薬品の国際一般名称の決定は、新薬の承認申請を進める上で重要な手続きであり、新薬として承認後は世界共通名称として使用されます。

 

2021年6月30日現在、ライセンス先の中外製薬において以下の4つの臨床試験が国内で進められています。

i) 放射線併用による食道がんPhase2臨床試験

ii) 化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験

iii) 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験

iv) 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験

 

上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって2020年3月に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例であり、外科手術による根治的な切除や根治的化学放射線療法が困難な食道がんの患者様を対象に進められています。

 

上記ii)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1臨床試験」は、ライセンス先の中外製薬によって、 局所進行性の食道がん患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、現在患者様の募集が開始されています。本試験の目標症例数は20例であり、安全性を主要な評価項目とし、副次的に有効性を評価することを目的としています。

 

上記iii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験」は、中外製薬によるテロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験として、2021年1月に第1例目の投与が開始されています。本試験の目標症例数は20例であり、安全性を主要な評価項目とし、副次的に有効性を評価することを目的としています。

 

上記iv)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1臨床試験」は、中外製薬によって、局所進行性の頭頸部がんの患者様を対象に臨床試験開始に向けた準備が進められ、患者様の募集が計画されています。本試験の目標症例数は23例であり、テロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、化学放射線療法併用時の安全性を主たる評価項目とし、副次的に有効性を評価することを目的とした臨床試験です。

 

また、当社においても、以下の4つの臨床試験を国内外で進めています。

v)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験

vi)化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験

vii)放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験

viii)抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験 

 

 

 上記v)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最も重症度が高いステージ4の患者様を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した際の有効性及び安全性の評価を行います。既に2020年12月末に評価可能な8例において米国で中間検討会が実施され、PR(Partial Response:部分奏効)が1例、SD(Stable Disease:安定)が1例の結果が得られました。特にPRの結果が得られている症例においては、ペムブロリズマブ単独では見られない局所反応が認められており、これはテロメライシン投与による効果である可能性が高いと示唆されています。2022年中に18例における中間評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。

 

上記vi)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーグループが中心となり、最大21例の登録を目標に、2021年中に第1例目への投与開始を目指しています。前述の通り、テロメライシンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。

 

上記vii)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2021年5月に第1例目の投与が開始されました。本治験は、テロメライシンと放射線療法の併用による局所作用の相乗効果に加え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。2022年に12例における評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。

 

上記viii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。食道原発巣に投与したPhase1a臨床試験の結果は、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性と、一部症例での有効性が示されました。また、現在進行しているPhase1b臨床試験では、11例の登録が完了し患者様のフォローアップが継続しています。今後、学会等での発表を視野に入れ、データの取り纏めを実施する方針です。

 

(2) 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動

 当社は、2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌範センター長率いる同センター・鹿児島大学キャンパスの研究グループと創薬研究を進めてきました。その結果、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有する化合物OBP-2001を特定しました。さらに、この化合物は、承認済みの新型コロナウイルス感染症治療薬レムデシビル(ギリアド社)と同等以上の活性を示すことが、同じ実験系での比較実験において確認されました。さらに、レムデシビルとのメカニズムの違いも示唆されました。

当社はその後、鹿児島大学との共同研究で新たな化合物を化学合成し、その中からより活性の高いOBP-2011を見出しました。この化合物はこれまでに行われた前臨床試験の結果から、経口投与が可能であることが確認されており、探索的毒性試験や探索的遺伝毒性試験においても検査の異常は認められませんでした。また、細胞培養系の実験において、イギリス型やブラジル型などのワクチン治療に抵抗性を示す可能性のある変異型コロナウイルス株に対して野生型と同等の活性を示すことが確認されており、さらに、2002年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年に発生した中東型呼吸器症候群(MERS)の他のコロナウイルスに対しても野生型と同等の活性を示すことが確認されました。

ワクチン接種が開始されパンデミックの抑制が試みられていますが、変異株の発生や接種率の問題により、ワクチンによる予防だけでパンデミックを抑えることは容易ではないと考えられています。また、21世紀に入り3度(SARS、MERS、COVID-19)のコロナウイルスによるパンデミックが発生しており、今後も世界的流行が繰り返される可能性があると予想されています。当社は、2022年の治験申請を目標に、早期の患者様を対象とした臨床試験でPOCを取得し、短期間でSARS-CoV-2の陰性化が可能となる経口治療薬の開発を目指してゆきます。

 

 

(3)次世代テロメライシンOBP-702に関する活動

OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「がん遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。当社はOBP-702を、中外製薬に導出済みのテロメライシンに続く「次世代テロメライシン」として位置付けています。また、OBP-702は2017年4月と2020年3月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学藤原教授の研究グループにより非臨床試験が進められており、これまでに複数の学会で報告されています。なお、当社は従来2022年にOBP-702のIND申請を行う計画でしたが、治験薬のGMP製造のバリデーションにおいて予想より時間を要しているため、2023年を目標に米国でのIND申請を行う方針です。

 

(4)がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動

テロメスキャンは、血液中を循環している生きたがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を2021年6月に開設いたしました。AI技術を活用することで検査処理の時間短縮だけでなく、CTCの画像解析の感度および検査精度の向上を目指します。

また、臨床研究においては、順天堂大学呼吸器内科と肺がんを対象とした医師主導臨床研究が2020年2月から開始されています。北米地域のライセンス契約を締結している米国Liquid Biotech USA, Inc.(以下「リキッド社」)においては、肺がんや婦人科がん領域などへの応用を目的に米国の研究機関と共同研究を進めています。今後、順天堂大学で完成したプラットフォームを導入し検査事業を推進してゆきます。

 

(5)核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)に関する活動

2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)が抗HIV薬のPhase2臨床試験を完了しましたが、BMS社の戦略変更を理由にライセンス契約は終了しました。その後、当社は、2020年6月にTransposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)との間で総額3億ドル超の新規ライセンス契約を締結しました。なお、Transposon社は、2020年11月に第1回マイルストーンを達成しています。

当社は、Transposon社によるOBP-601の開発進捗を継続的に確認していくと共に、2021年に神経変性疾患を対象とした臨床試験の開始を見込んでいます。

 

(6)HDAC阻害剤OBP-801に関する活動

2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生したため、現在新規患者様の組入れを一時中断し、他の薬剤との併用など別プロトコルでの再スタートの可能性について検討しています。また、OBP-801の新規適応領域である眼科領域への適応が試みられており、2021年6月開催の国際緑内障学会(World Glaucoma Congress)で、京都府立医科大学による研究結果が報告されています。

 

 

主なパイプラインの開発状況は、以下の通りです。

開発品

適応疾患

併用療法

開発地域

開発ステージ

テロメライシン

(OBP-301)

(suratadenoturev)

食道がん

放射線

日本

Phase2

(中外製薬)

食道がん

化学放射線療法

日本

Phase1

(中外製薬)

米国

Phase1

肝細胞がん

抗PD-L1抗体アテゾリズマブ

分子標的薬

日本

Phase1

(中外製薬)

(テロメライシン単剤)

韓国・台湾

Phase1

(完了)

頭頸部がん

抗PD-L1抗体アテゾリズマブ

化学放射線療法

日本

Phase1

(中外製薬)

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

放射線

米国

Phase2

胃がん・

胃食道接合部がん

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

米国

Phase2

食道がん

(固形がん)

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

日本

Phase1

OBP-2011

新型コロナウイルス

感染症

全世界

前臨床

OBP-702

固形がん

抗PD-(L)1抗体を想定

米国/日本

前臨床

OBP-601

(Censavudine)

神経変性疾患

未定

米国

Phase1

(準備中)

HIV感染症

欧米他

Phase2b

(終了)

OBP-801

各種固形がん

抗PD-(L)1抗体を想定

米国

Phase1

眼科領域

日本

前臨床

テロメスキャン

(OBP-401)

固形がん

日本

臨床研究

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第2四半期会計期間(2021年4月1日~2021年6月30日)において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。