当第1四半期累計期間(2022年1月1日~2022年3月31日)において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当第1四半期会計期間の期首から適用しております。このため、当第1四半期累計期間における経営成績に関する説明の売上高については、増減額及び前年同四半期比(%)を記載せずに説明しております。
(1) 業績の状況
当第1四半期(2022年1月1日~2022年3月31日)における日本経済は、まん延防止等重点措置の解除はあったものの新型コロナウイルス感染症による自粛の長期化や、原油高の発生により経済活動は抑制されました。また、世界経済においても、ウクライナ侵攻による急速なドル高ユーロ安及びドル高円安の進行や、ロシア向け経済制裁や原油を始めとした資源価格上昇に伴うインフレ懸念など先行き不透明感は強く、今後の世界経済への影響は見極めづらい状況です。
このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。
特に、がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)や新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011を中心に、「がんのウイルス療法」と「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域とした「ウイルス創薬」を目指し、研究・開発・ライセンス活動を推進させています。また、核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(Censavudine)においては、Transposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)とのライセンス契約の下、同社の全額費用負担により臨床試験が進められています。
当社活動の詳細に関しては、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 研究開発活動」をご確認ください。
当第1四半期の業績は、売上高193,125千円(前年同四半期は売上高62,603千円)、営業損失384,747千円(前年同四半期は営業損失349,453千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息153千円、為替差益39,380千円を、営業外費用として支払利息864千円、譲渡制限付株式報酬償却3,520千円、株式交付費30千円を計上した結果、経常損失349,628千円(前年同四半期は経常損失349,626千円)になりました。一方、Unleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国ミズーリ州、以下 「アンリーシュ社」)の転換社債をアンリーシュ社へ売却したことにより、21,406千円の特別利益を計上しました。その結果、四半期純損失328,960千円(前年同四半期は四半期純損失350,567千円)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の減少等により3,856,416千円(前事業年度末比10.1%減)となりました。負債は、未払金の増加等により877,140千円(前事業年度末比25.7%増)となりました。純資産は、四半期純損失等により2,979,275千円(前事業年度末比17.1%減)となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当社の当第1四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、347,834千円となりました。なお、当第1四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。
1) 研究開発体制について
2022年3月31日現在、研究開発部門は16名在籍しており、これは総従業員数の44.4%に当たります。
2) 研究開発並びにビジネス活動について
当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。
① がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)(国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動
当社は、2021年12月に中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)とテロメライシンのライセンス解消契約に合意しました。この契約に従い、当社は2022年10月15日までに中外製薬が日本国内で実施中の食道がんPhase2臨床試験を引き継ぎます。それまでの期間、中外製薬は実施中の臨床試験を同社の費用負担で進めます。また、テロメライシンのGMP製造開発に関する費用負担は、2022年10月15日までに当社が製造委託先から受領した請求額の約50%を中外製薬が負担します。
2022年3月31日現在、テロメライシンは以下の6つの臨床試験が国内外で進められています。
i) 放射線併用による食道がんPhase2臨床試験
ii) 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験
iii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験
iv) 化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験
v ) 放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験
vi) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験
今後、当社は日本国内で再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けているテロメライシンの「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」の完了を最優先事項とし、2024年の国内承認申請を目指す方針です。一方、海外に関しては、米国FDAによるオーファンドラッグ指定を活かし、これまでの臨床試験を継続し、同時に再ライセンス活動を推進いたします。
上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、2019年4月の先駆け審査制度の指定に基づき進められており、中外製薬によって2020年3月に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例で、2021年10月のライセンス契約解消の決定後も、順調に組入れが進んでいます。当社は、2022年10月15日までに中外製薬から本試験を引き継ぎます。それまでの期間、中外製薬は本試験を同社の全額費用負担で進めます。
上記ii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験」は、中外製薬によるテロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験として、2021年1月に第1例目の投与が開始されましたが、当社と中外製薬の協議により、本臨床試験は2022年10月までに終了する予定です。なお、本試験の中止理由は、安全性や有効性の問題ではないことを、当社と中外製薬は確認しています。
上記iii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最も重症度が高いステージ4の患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した場合の有効性及び安全性の評価を行います。既に2020年12月末に評価可能な8例において中間検討会が実施され、PR(Partial Response:部分奏効)が1例、SD(Stable Disease:安定)が1例の結果が得られました。特にPRの結果が得られている症例においては、ペムブロリズマブ単独では見られない局所反応が認められており、これはテロメライシン投与による効果である可能性が高いと考えられました。一方、問題となるような副作用は報告されませんでした。現在治験施設を追加し、症例組入れの加速を図っています。2022年中に18例における中間評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。
上記iv)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーグループが中心となり、最大21例の登録を目標に2021年12月に第1例目への投与開始を開始しました。テロメライシンは米国においてオーファンドラッグの指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。そのため、臨床試験実施においてFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。
上記v)の「放射線及び抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2021年5月に第1例目の投与が開始されました。本治験は、テロメライシンと放射線療法の併用による局所作用の相乗効果に加え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討します。2022年中に12例における評価を行い、臨床試験の継続可否の判断を行う方針です。
上記vi)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。合計22例におけるPhase1a及び1b臨床試験の結果では、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性と、一部症例における食道がん局所での有効性が示されました。現在、新たな症例の組入れは終了しています。本試験の内容は2022年1月のASCO-GIで発表予定と報告を受けていましたが、臨床試験に付随したバイオマーカーの解析に想定以上の時間を要しているため発表が延期された、との報告を受けました。なお、本試験は医師主導治験であり、当社が発表内容を事前にチェックすることは差し控えています。
② 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動
当社は2006年に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、ヒトレトロウイルス学共同研究センターの馬場昌範センター長と各種難治性ウイルス疾患に対する創薬研究を進めてきました。現在までに、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対して強い増殖抑制効果を有するOBP-2011を見出し、これまでに行われた前臨床試験の結果から経口投与が可能であることが確認されています。
現在、世界の製薬企業が開発している経口コロナ治療薬の主なメカニズムは、ポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害ですが、OBP-2011はウイルス増殖過程の後期であるヌクレオカプシド阻害剤であることを実験結果から推定しています。これは現在開発されている他剤とは異なる新規メカニズムであり、ウイルスの突然変異などの影響に左右されないことが期待されています。
また、細胞培養系の実験においても、世界保健機関(WHO)が懸念すべき変異株(VOC: Variants of Concern)として指定するアルファ株、ガンマ株、デルタ株、ベータ株及びオミクロン株の全てのVOCに対する効果が確認されました。さらに、2002年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)、2012年に発生した中東型呼吸器症候群(MERS)といった他のコロナウイルスに対しても野生型と同等の活性を示すことも確認されており、幅広いコロナウイルスの増殖抑制効果を持つことが確認されました。
現在、筑波大学とマウス病態モデルを使用した有効性を評価する共同研究が進められています。また、国立感染症研究所とOBP-2011の詳細な作用メカニズム解明を目的とした共同研究が進められています。これらの共同研究の成果などをまとめて、大手製薬企業と新規ライセンスを行い、短期間でSARS-CoV-2の陰性化が可能となる経口治療薬として、次のパンデミックにも対応できるようにしたいと考えています。
当社は、2022年にOBP-2011の治験届を提出し、2023年に臨床試験を開始する計画です。
③ 核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動
2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下「BMS社」)へライセンスし抗HIV薬としてPhase2臨床試験を完了しましたが、BMS社の戦略変更を理由にライセンス契約は終了しました。その後、当社は2020年6月にTransposon社との間で、難治性神経疾患領域を主な対象とした総額3億ドル超の新規ライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。
現在、Transposon社の全額費用負担によって「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」と「筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象とした2つのPhase2a臨床試験が進められています。PSPを対象としたPhase2a臨床試験は、2021年11月に1例目への投与を開始しました。また、ALSとFTDを対象としたPhase2a臨床試験も、2022年1月に投与が開始されました。いずれの臨床試験もプラセボを比較対象とした二重盲検試験で実施され、2024年までにはこれらの臨床試験の結果が報告される予定です。
Transposon社による上記のOBP-601に関する臨床試験は、全額同社の費用負担で進んでいます。
④ 次世代テロメライシンOBP-702に関する活動
OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「がん遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学消化器外科学藤原俊義教授の研究グループにより非臨床試験が進められており、これまでに多くの学会でその有効性が報告されています。特に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、OBP-702にPD-L1抗体を併用することで、OBP-702又はPD-L1抗体単独投与よりも強い抗腫瘍効果が認められました。今後、すい臓がんに対する臨床試験をPD-L1抗体との併用で実施していくことが期待されます。
⑤ がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動
テロメスキャンは、がん患者の血液中を循環している生きたがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を2021年6月に開設いたしました。また、2022年3月に株式会社CYBOと共同開発契約を締結し、臨床検体を用いて自動検出ソフトウェアの開発を進めます。AI技術を活用することで検査処理の時間短縮だけでなく、CTCの画像解析の感度および特異度の向上を目指し、このプラットフォームの国内実用化を目指しています。
⑥ HDAC阻害剤OBP-801に関する活動
2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生したため、がん領域での開発を中断しました。一方、新規適応領域である眼科領域は、京都府立医科大学により研究が続けられています。
主なパイプラインの開発状況は、以下の通りです。
※1:現在、中外製薬が実施していますが、2022年10月15日までに当社が引き継ぐ予定です。
※2:現在、中外製薬が実施していますが、2022年10月15日までに終了する予定です。
当第1四半期会計期間(2022年1月1日~2022年3月31日)において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。