第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第2四半期累計期間(2022年1月1日2022年6月30日)において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を第1四半期会計期間の期首から適用しております。このため、当第2四半期累計期間における経営成績に関する説明の売上高については、増減額及び前年同四半期比(%)を記載せずに説明しております。

 

(1) 業績の状況

当第2四半期累計期間(2022年1月1日2022年6月30日)における日本経済は、まん延防止等重点措置の解除や外国人観光客の受け入れ再開などコロナ自粛の解禁はあったものの、国内外の金利差発生に起因した急激な円安の進行や物価高の発生により、経済活動は低迷しています。また、世界経済においても、日本を除く主要国の金融引き締めは実施されたものの、インフレ加速による先行き不透明感は強く、世界経済の見通しは見極めづらい状況です。

このような状況下、当社は「未来のがん治療にパワーを与え、その実績でがん治療の歴史に私たちの足跡を残してゆくこと」をビジョンとし、経営の効率化及び積極的な研究・開発・ライセンス活動を展開いたしました。

特に、「がんのウイルス療法」と「重症ウイルス感染症治療薬」を事業領域とした「ウイルス創薬」を目指し、研究・開発・ライセンス活動を推進させています。また、核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)は、ライセンス先であるTransposon Therapeutics, Inc.(以下「Transposon社」)により、同社の全額費用負担によって複数の臨床試験が進められています。

当社活動の詳細に関しては、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (7) 研究開発活動」をご確認ください。

 

当第2四半期の業績は、売上高426,152千円(前年同四半期は売上高193,067千円)、営業損失658,898千円(前年同四半期は営業損失633,599千円)となりました。また、営業外収益として、受取利息284千円、為替差益84,344千円等を、営業外費用として支払利息1,937千円、譲渡制限付株式報酬償却14,289千円、株式交付費30千円等を計上した結果、経常損失590,514千円(前年同四半期は経常損失649,015千円)になりました。一方、Unleash Immuno Oncolytics, Inc.(米国ミズーリ州、以下 「アンリーシュ社」)の転換社債をアンリーシュ社へ売却したことにより、21,406千円の特別利益を計上しました。その結果、四半期純損失570,569千円(前年同四半期は四半期純損失650,860千円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第2四半期会計期間末における資産は、現金及び預金の減少等により3,504,831千円(前事業年度末比18.3%減)となりました。負債は、契約負債の増加等により767,194千円(前事業年度末比9.9%増)となりました。純資産は、四半期純損失等により2,737,637千円(前事業年度末比23.8%減)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物は、前事業年度の3,209,635千円から2,613,656千円へと595,979千円減少しました。当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは722,482千円の支出(前年同四半期は594,589千円の支出)となりました。これは主として、税引前四半期純損失569,108千円、売上債権の減少321,697千円、契約負債の減少151,697千円、為替差益82,550千円、未収入金の増加77,824千円、未払金の減少49,980千円、株式報酬費用41,705千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは20,841千円の収入(前年同四半期は327千円の支出)となりました。これは主として、債券の売却による収入21,406千円、有形固定資産の取得による支出635千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは29,599千円の収入(前年同四半期は3,148,769千円の収入)となりました。これは主として、長期借入による収入100,000千円、長期借入金の返済による支出72,220千円等によるものであります。

 

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第2四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期累計期間において、新たな事業上及び財務上の対処すべき課題の発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

当社の当第2四半期累計期間における創薬事業の研究開発費は、585,265千円となりました。なお、当第2四半期累計期間における研究開発活動の状況は以下の通りです。

 

1) 研究開発体制について

 2022年6月30日現在、研究開発部門は18名在籍しており、これは総従業員数の47.4%に当たります。

 

2) 研究開発並びにビジネス活動について

当社は、以下のプロジェクトを中心に研究開発並びにビジネス活動を進めました。

 

① がんのウイルス療法テロメライシン(OBP-301)(国際一般名称:suratadenoturev)に関する活動

当社は日本国内で再生医療等製品の「先駆け審査指定」を受けているテロメライシンの「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」の完了を最優先事項としており、現在2024年の国内承認申請を行う計画です。中外製薬株式会社(以下「中外製薬」)からの治験施設などの臨床試験引継ぎ後に、再度製薬会社に臨床施設の引継ぎを行うことによる時間ロスを考慮し、現在8割以上の患者の症例組入れが進んでいる同治験の組入れ完了から国内の承認申請までを、自社で実施する計画です。また、製造面では、商用製造スケールでのテスト製造及び品質試験のバリデーションが順調に進んでいます。

一方、ビジネス面では、当社独自での製造販売体制を構築するべく活動を開始するとともに、テロメライシンの国内承認後に販売パートナーとなる複数の候補企業と、アライアンスに向けたデューデリジェンスを実施しています。また、海外に関しては、米国FDAによるオーファンドラッグ指定を活かした臨床試験デザインを提案することにより、再ライセンス活動を推進しています。

なお、中外製薬は日本国内で実施中の臨床試験について、当社に引き継ぐまでの期間、同社の全額費用負担で進めます。また、テロメライシンのGMP製造開発に関する費用負担は、2022年10月15日までに当社が製造委託先から受領した請求額の約50%を中外製薬が負担します。

 

2022年6月30日現在、テロメライシンは以下の6つの臨床試験が国内外で進められています。

 

i) 放射線併用による食道がんPhase2臨床試験

ii) 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験

iii) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験

iv) 化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験

v) 頭頸部がんPhase2医師主導治験

vi) 抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験

 

上記i)の「放射線併用による食道がんPhase2臨床試験」は、2019年4月の先駆け審査制度の指定に基づき進められており、中外製薬によって2020年3月に第1例目の投与が日本国内で開始されました。目標症例数は37例で、2021年10月のライセンス契約解消の決定後も、順調に組入れが進み、既に目標に対して8割以上の症例への投与が開始されています。当社は、2022年10月15日までに中外製薬から本試験を引き継ぎますが、それまでの期間、中外製薬は本試験を同社の全額費用負担で進めます。当社は、2022年中に本臨床試験の最終症例の投与を開始することを目指しています。

 

上記ii)の「抗PD-L1抗体アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブ併用による肝細胞がんPhase1臨床試験」は、中外製薬の全額費用負担によりテロメライシンと抗PD-L1抗体アテゾリズマブを初めて併用する臨床試験として、2021年1月に第1例目の投与が開始されましたが、当社と中外製薬の協議により、本臨床試験は2022年10月までに終了する予定です。なお、本試験の中止理由は、安全性や有効性の問題ではないことを、当社と中外製薬は確認しています。

 

上記iii)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による胃がん・胃食道接合部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2019年5月に第1例目の投与が開始されました。最も重症度が高いステージ4の患者を対象に、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブを併用した場合の有効性及び安全性の評価を行います。これまでに目標とする18症例のうち15症例への投与が開始されています。年内に結果を集計して、早い時期での学会報告を目指しています。また、胃がんを中心とした新たな試験計画について、メガファーマと協議を行っています。

 

上記iv)の「化学放射線療法併用による食道がんPhase1医師主導治験」は、米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーグループが中心となり、2021年12月に第1例目への投与を開始しました。本試験はテロメライシンと化学放射線療法を併用した際の安全性の確認を主目的に実施し、現在までに3例の食道がん患者へ投与されています。これまでに問題となるような副作用は報告されていません。テロメライシンは米国において食道がんのオーファンドラッグ指定を受けており、同指定の下、本治験は実施されます。そのため、臨床試験実施においてFDAからの助言相談が可能になることに加え、補助金の支給や臨床研究費用の税額控除の優遇を受けることができます。さらに、米国においてテロメライシン承認後の7年間は先発権保護が与えられ、その期間中は市場独占権が得られます。

 

上記v)の「頭頸部がんPhase2医師主導治験」は、米国コーネル大学を中心に、2021年5月に第1例目の投与が開始されました。本治験は、テロメライシンと放射線療法の併用による局所作用の相乗効果に加え、抗PD-1抗体を併用することによる全身性の臨床効果を検討していました。しかし、本治験開始後に頭頸部がんの治療指針が変化したため、症例の組入れを中止して、今後、新たな試験計画をメガファーマに提示し、企業治験を目指します。なお、現在までに、安全性や有効性において、問題となるような事象は報告されていません。

 

上記vi)の「抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用による固形がんPhase1医師主導治験」は、国立がん研究センター東病院を中心に2017年12月に投与が開始されました。合計22例におけるPhase1a及び1b臨床試験の結果では、テロメライシンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用における安全性と、一部症例における食道がん局所での有効性が示されました。現在、新たな臨床症例の組入れは終了し、臨床サンプルを用いたバイオマーカーの解析を行い、動物実験での再確認を行っています。これらの実験結果をまとめた学会発表を2022年度中に行う予定でしたが、予定が延期され2023年4月にアメリカで開催予定のAACRで発表することを目指しています。なお、本試験は医師主導治験のため、当社が発表内容に介入することは差し控えています。

 

② 核酸系逆転写酵素阻害剤OBP-601(censavudine)に関する活動

2006年にYale大学から導入したOBP-601は、2010年から2014年にかけてBristol-Myers Squibb Co.(以下 「BMS社」)へライセンスし抗HIV薬としてPhase2臨床試験を完了しましたが、BMS社の戦略変更を理由にライセンス契約は終了しました。その後、当社は2020年6月にTransposon社との間で、難治性神経疾患領域を主な対象とした総額3億ドル超の新規ライセンス契約を締結し、同年11月にTransposon社は第1回マイルストーンを達成しています。現在、Transposon社によって「進行性核上性麻痺(PSP: Progressive Supranuclear Palsy)」と「筋萎縮性側索硬化症(ALS: Amyotrophic Lateral Sclerosis)及び前頭側頭型認知症(FTD: Frontotemporal Degeneration)」を対象とした2つのPhase2a臨床試験が、それぞれ欧米において10以上の治験施設で進められています。PSPを対象としたPhase2a臨床試験は、2021年11月に1例目への投与が開始されました。また、ALSとFTDを対象としたPhase2a臨床試験も、2022年1月に投与が開始されました。いずれの臨床試験もプラセボを比較対象とした二重盲検試験で実施され、現在までにこれらの臨床試験で試験を中止するような安全性上の問題は報告されていません。2024年までにはこれらの臨床試験の結果が報告される予定です。Transposon社による上記のOBP-601に関する臨床試験は、全額同社の費用負担で進んでいます。また、Transposon社はOBP-601の開発に注力しており、OBP-601が塩漬けになるリスクは低いと考えています。

 

③ 新型コロナウイルス感染症治療薬OBP-2011に関する活動

当社は、OBP-2011がヌクレオカプシド阻害剤であることを実験結果から推定しています。現在、世界の製薬企業が開発している経口コロナ治療薬の主なメカニズムはポリメラーゼ阻害やプロテアーゼ阻害ですが、OBP-2011は異なる新規メカニズムであり、ウイルスの突然変異などの影響に左右されないことが期待されています。これまでに前臨床試験や原薬のGMP製造を鋭意進めてきましたが、経口コロナ治療薬の緊急承認が継続審議になるなど、新型コロナ治療薬の承認ハードルは上がったため、開発方針の見直しの必要性が生じました。このような状況を勘案し、詳細なメカニズム解明のために、鹿児島大学や国立感染症研究所と共同研究体制を敷いて標的タンパクの特定を進め、製薬会社との共同開発体制を探ってゆきます。

 

④ 次世代テロメライシンOBP-702に関する活動

OBP-702は、強力ながん抑制遺伝子p53による「がん遺伝子治療」とテロメライシン(OBP-301)の「腫瘍溶解機能」を組み合わせた2つの抗腫瘍効果を持つウイルスです。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成金事業に採択され、岡山大学消化器外科学藤原俊義教授の研究グループにより非臨床試験が進められており、これまでに多くの学会でその有効性が報告されています。特に、ゲムシタビン耐性すい臓癌細胞株のマウスモデルを用いた実験においては、OBP-702にPD-L1抗体を併用することで、OBP-702又はPD-L1抗体単独投与よりも強い抗腫瘍効果が認められました。今後、すい臓がんなどの難治性がんに対する新しい治療法として開発してゆくことが期待されます。

 

⑤ がん検査薬テロメスキャン(OBP-401)に関する活動

テロメスキャンは、がん患者の血液中を循環している生きたがん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)の検査自動化プラットフォームの確立を目的に、順天堂大学と共同研究講座「低侵襲テロメスキャン次世代がん診断学講座」を2021年6月に開設いたしました。また、2022年3月に株式会社CYBOと共同開発契約を締結し、臨床検体を用いて自動検出ソフトウェアの開発を進めます。AI技術を活用することで検査処理の時間短縮だけでなく、CTCの画像解析の感度および特異度の向上を目指し、このプラットフォームの国内実用化を目指しています。

 

⑥ HDAC阻害剤OBP-801に関する活動

2009年にアステラス製薬株式会社から導入したヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤OBP-801は、米国でのPhase1臨床試験で用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)が発生したため、がん領域での開発を中断しました。一方、新規適応領域である眼科領域は、京都府立医科大学により研究が続けられています。

 

主なパイプラインの開発状況は、以下の通りです。

開発品

適応疾患

併用療法

開発地域

開発ステージ

テロメライシン

(OBP-301)

(suratadenoturev)

食道がん

放射線

日本

Phase2

(中外製薬※1)

化学放射線療法

米国

Phase1

肝細胞がん

抗PD-L1抗体アテゾリズマブ

分子標的薬

日本

Phase1

(中外製薬※2)

韓国・台湾

Phase1

(終了)

胃がん・

胃食道接合部がん

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

 

米国

Phase2

頭頸部がん

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

放射線

米国

Phase2

(終了)

食道がん

(固形がん)

抗PD-1抗体ペムブロリズマブ

日本

Phase1

(終了)

OBP-601

(censavudine)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

/ 前頭側頭型認知症(FTD)

未定

米国

Phase2a

進行性核上性麻痺(PSP)

未定

米国

Phase2a

OBP-2011

新型コロナウイルス

感染症

未定

日本

前臨床

OBP-702

固形がん

抗PD-(L)1抗体を想定

米国/日本

前臨床

テロメスキャン

(OBP-401)

固形がん

日本

臨床研究

OBP-801

眼科領域

日本

前臨床

 

※1:現在、中外製薬が実施していますが、2022年10月15日までに当社が引き継ぐ予定です。

※2:現在、中外製薬が実施していますが、2022年10月15日までに終了する予定です。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第2四半期会計期間(2022年4月1日2022年6月30日)において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。