文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
すべての分野において「より大切に、より迅速に、すべてはお客様のために」をモットーに、商品の品質・性能・お客様への対応・サービスの向上は無限と考え、徹底してこだわり、お客様満足を徹底的に追求していくということを経営理念としております。
また、公正な競争を通じて付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担うとともに、広く社会にとって有用な存在であり続けたいと考えており、その実現のため働くすべての人々が企業理念に基づき、高い倫理観を持って活動し、社会的責任の重さを自覚し、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会から信頼され続ける企業を目指し行動する「企業行動憲章」を定めております。
当社グループは、外的環境の影響リスクを保守的に評価しつつ、総合不動産会社であるワンストップ体制のメリットを活かし、シナジー効果の最大化を推進することで、持続的成長と高収益体質の実現を目指してまいります。
今後の見通しにつきましては、経済活動の正常化により緩やかな回復基調となることが期待されますが、当社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、建築資材の高騰や供給制約に伴う建築コストの増加、金利上昇等の懸念材料がより顕在化してくるものと想定しております。一方で、インバウンド観光客数の回復や国内の移動が増加したことにより宿泊施設の稼働改善・収入増加に伴う、不動産の資産価値向上が進んでおります。
このような中、安定的な成長を実現できる事業基盤を構築するため、既存事業の深耕及び拡大、経営基盤の強化を推進するとともに利益確保及び最大化を図ってまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「(2)経営戦略」に記載の当社グループの経営戦略を実現するため、優先的に対処すべき課題については以下のとおり取り組んでまいります。事業上及び財務上の課題においては、本書提出日現在において判断したものであり、実際の結果と異なる可能性があります。
①主要事業領域における深耕と拡大
当社の事業において継続的に安定した成長を実現していくためには、全社において個人主体から組織主体の体制への転換、人員の増加だけに頼らない規模の拡大をさせていく必要があります。そのために従業員一人ひとりのスキルアップを含め、作業効率の向上に必要なDXなど様々な方法を検討してまいります。また、主要商圏である和歌山をはじめ、大阪などの近隣地域への拡大も推進することで更なる不動産事業及び派生事業の深耕を強化してまいります。
②経営基盤の強化
上記の既存事業の深耕と拡大を推進していくためには、ガバナンス体制の強化、バックオフィス体制の見直し、財務基盤の強化を図ってまいります。
ガバナンス体制の強化については、危機管理体制の整備、事業継続計画(BCP)の策定・実施及び情報管理体制も含めたリスクマネジメント体制の強化を進めてまいります。
バックオフィス体制の見直しについては、全社横断的に業務効率化を図り、DX化を検討・導入して、生産性の向上を図ってまいります。
財務基盤の強化については、物件の仕入・販売のリスク管理・スケジュール管理を徹底していくとともに不動産特定共同事業法による参画など資金調達先の多様化を検討してまいります。
③利益の確保及び最大化
当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。株主の皆様への利益還元につきましては、収益力の向上を図り、配当原資を確保することにより継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針として株主利益の最大化を目指した経営戦略を実践することにより、収益力の向上と事業基盤の拡大に努めてまいります。
当社グループは、収益性を明確に表す経常利益及び売上高経常利益率と安全性及び健全性を表す自己資本比率を経営指標としております。なお、売上高経常利益率については、8%以上、自己資本比率については、40%以上とすることを目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティ基本方針>
当社グループでは、サステナビリティに関する活動を全社的な視点から、認識したマテリアリティ(重要課題)に対する取組テーマ及び取組内容については、以下のとおりですが、この取組みを通じてSDGsへの貢献にも対応してまいります。
当社は、経営の健全性を維持しながら競争力を強化し、継続的に企業価値を向上させていくためにコーポレート・ガバナンスの充実を図ることが経営における重要課題であると認識しており、経営の透明性を自律的に確保し、経営環境の変化に迅速に対応できる体制の構築に努めております。ESG活動については、経営企画部が外部からの情報収集や各部署と連携を図り、必要に応じて経営会議で検討し、取締役会の承認を得ることとしております。また、サステナビリティに関連する重要課題や実効性の高い活動を実現するため、委員長を代表取締役社長 東行男とし、取締役及び各部門長から組織された「リスク・コンプライアンス委員会」にその機能を追加し、体制強化を実施いたしました。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
a.人材育成方針
当社グループは従業員一人ひとりがもつ多様なスキル・経験・属性など、「個性」と「能力」を理解の上、従業員の自主性とチャレンジ精神を大切にし、組織とともに成長していくことを目指しております。また、社会の変化や顧客ニーズに敏感に対応できる人材を中長期的・計画的に育成してまいります。
具体的には適切な人事評価の実施や、スキルアップのための教育研修の実施等により従業員のモチベーションの向上を図りつつ、高い専門性や知識を追求する人材育成に取り組んでまいります。
b.社内環境整備方針
企業価値向上のためには、多様な人材が意欲をもって活躍できる職場環境や仕組みの整備が重要であるという観点から、引き続き健全な組織の構築に取り組んでまいります。
従業員の心身の健康を守る健康経営をはじめ、社内コミュニケーションや職場の人間関係の円滑化を図ることや、生活と仕事の両立を支援する育児・介護等の支援施策にも力を入れてまいります。
当社は、危機管理規程を定めており、直面するおそれのある事態に迅速かつ的確に対処するための体制を確立し、リスクの防止を行っております。また、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、各部門等より提出されたリスクの発生及び発生するおそれのあるリスクやコンプライアンス違反等にかかる事案について、未然の防止及び損失の最小化を検討するとともに事業の継続及び再建に関するBCPを策定しております。また、サステナビリティに関連するリスクについても、同委員会において管理を行っていますが、「人も環境も健康に」を実現するために同委員会においてその機能を追加することで体制強化を図り、サステナビリティに関連するリスクについても管理を行い、適切な対応を実施します。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において、記載した人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
■女性活躍推進法に関する目標及び取組内容
当社は、女性活躍推進法に基づく行動計画を提出届出しており、以下の目標を掲げております。
(注)1.勤続年数は少数第2位を四捨五入しております。
2.不動産部門とはホテル事業を除く不動産・建設事業、不動産賃貸事業、土地有効活用事業、本部を指しております。
3.実績値は各年3月31日現在の数値を指しております。
(注)勤続年数は少数第2位を四捨五入しております。
■次世代育成支援対策推進法に関する目標及び取組内容
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループといたしましては必ずしも事実上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項につきましては、情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項記載内容等を慎重に検討した上で行う必要があります。
なお、以下の記載につきましては、本書提出日現在における判断によるものであり、当社グループの事業等及び株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。また、将来に関する事項につきましては、本書提出日現在で当社グループが判断したものであります。
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、経済情勢、金利動向、地価の動向等に影響を受けやすい特性があり、これらの影響から購入者の需要動向が悪化した場合等、取得価額と正味売却価額を比較し、正味売却価額が取得価額を下回っている場合には、商品評価損を計上することとしております。また、当初計画どおりに販売が進まない場合、販売用不動産が在庫として滞留する可能性があり、滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が簿価又は取得価額を下回り、商品評価損を計上することも予想され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
固定資産についても、将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っておりますので、地価動向や景気動向等によっては、固定資産の減損損失を計上することも予想され、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、保有する有形固定資産で実施する事業の収支状況などの計画と実績の差異を定期的にモニタリングすることで、減損の兆候を適時に把握することとしております。また、販売用不動産の販売状況などにおいても適時にモニタリングを行い、販売価格等の収支状況を把握し、適正価格などの検証などを行い、収益改善のための個別の対策を検討・実施しております。
当社グループは、不動産業及び建設業に属し、「宅地建物取引業法」、「建設業法」及び関連する各種法令により規制を受けております。また、ホテル業及び飲食業にも属し、「旅館業法」、「食品衛生法」及び関連する各種法令により規制も受けております。
現時点において、当該免許及び許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該免許及び許認可等が取消され、又はそれらの更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、当社の業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループでは、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備を行うことで、関連法規制の遵守に努めるとともに遵守状況において、内部監査等において適時にモニタリングを行っております。また、各種法規制の動向について、業界団体や専門家、関係取引先等からの情報を収集・分析し、適宜、弁護士等のアドバイスを受けながら、対応の検討を行っております。さらに、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすと予想されるものついては、リスク・コンプライアンス委員会において諮問し、対応の検討を行うことで、リスクの低減に努めております。
アズマハウス株式会社
株式会社賃貸住宅センター
株式会社シージェーシー管理センター
株式会社アイワライフネット
興國不動産株式会社
(3)競合について
当社グループが事業展開する不動産業界においては、大手企業を含む事業者が多数存在し、これらの事業者との競合が生じておりますが、セグメント間のシナジー効果をはじめとする不動産関連派生事業などのワンストップ営業を展開し、他社との差別化を進め、事業基盤の拡充を図っていく所存であります。
しかしながら、同業他社においては、当社と比較して、資本力、ブランド力等に優れる企業が多数あり、これらの企業との競合等により当社の想定どおり進捗する保証はなく、更に競合が激化した場合には、販売期間の長期化や値引販売等による採算悪化等が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業展開するホテル業及び飲食業においても、顧客確保のための企業間競争は激化しており、品質及びサービスの向上を行い、他社との差別化を図ってまいりますが、企業間競争の激化が進行する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、長年にわたり培った経験と知見において、他社との差別化を図り、お客様ニーズを徹底的にこだわり、優位性を確保しております。顧客満足度の向上に特化した情報を活かし、販売力の強化と差別化を図ってまいります。
感染症等の拡大により様々な生活様式やサプライチェーンの停滞、遅延などにより経済活動に制約が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、資材原価の上昇については、可能な限り取引先との交渉や徹底した工程管理及び品質管理を行い、発注方法の見直しなど最大限の縮減を図っております。また、自然災害等も含めた発災などの様々な環境の変化に対して、危機管理規程を定め、発生したリスクに対して被害の最小化を図り、継続あるいは復旧の対策を検討しております。
当社グループは、飲食店を営業しておりますが、食品衛生法に基づき運営し、品質管理の重要性を十分認識した上で従業員に対して品質管理の指導を行っておりますが、食中毒、異物混入等の問題が発生した場合は、営業停止あるいは風評被害等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、食品衛生に関するマニュアルを定め、厚生労働省による「HACCP」に取り組んでおります。また、内部監査等による適時にモニタリングを行い、発生リスクの低減に努めております。
当社グループは、不動産の取得資金を主に金融機関からの借入金によって調達しているため、有利子負債への依存度が高い水準にあります。今後は、主力行をはじめとする金融機関との良好な取引関係の構築・維持に努めるとともに資金調達手段の多様化に取り組んでまいりますが、金融情勢の変化等により金利水準が変動した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、健全な財務体質の構築・維持に努め、金利動向や金融機関の融資姿勢を注視するとともに取引金融機関の開拓・拡大や親密なコミュニケーションを通じて関係強化を図り、資金調達の円滑化と多様化に努めております。
当社グループは、縦割りの組織ではなく、横との連携を密に取り、効率的かつ機動的な経営を指向し、柔軟に事業推進を行い、少人数で最大のパフォーマンスを生み出す組織体制の構築を目指しております。当社グループが推進する不動産に係る事業については、様々なノウハウを要する業務であり、人材は極めて重要な経営資源であります。当社グループが確実な事業推進と企業成長をしていくためには、ノウハウ・情報の共有化、従業員の継続的能力の向上に努めるとともに、専門性の高い人材の確保やマネジメント層並びに次世代を担う若手社員の採用及び育成・教育が不可欠であります。しかしながら、当社グループが求める人材の確保や育成が計画どおり進まない場合は、あるいは、現時点における有能な人材が社外流出した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループは、不動産業をはじめ、不動産賃貸業、建設業並びにホテル業、飲食業と多岐に事業を展開する上で、様々なセミナーの受講や専門家とのアドバイザリーにより、社員教育を有効的かつ積極的に活用しております。また、表彰制度や資格取得などの報奨金制度の策定などを通じ、従業員のスキルアップに積極的に取り組んでおります。「わかやま推進事業所」の認定や「健康経営優良法人2023(中小規模法人)」の認定を受け、従業員の健康管理を経営視点で捉え、より良い職場環境及び労働環境の保全を図り、人材の確保と育成リスクの低減に努めております。
地震・火災・水害等の自然災害、大規模な事故等の人為的災害の発生に対しては、危機管理規程及び災害対策マニュアルを策定し、事業継続計画を設けておりますが、当社グループが所有する資産に毀損があった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼし、また、所有する資産の価値が低下する可能性があります。対策としましては、旧建築基準法下で建築された物件の購入をしない、あるいは、新耐震基準の物件と入れ替えるなど順次対応をしておりますが、当社グループの所有する資産圏内に想定を超える甚大な災害等により、当社グループの資産に予期せぬ毀損等が発した場合は、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
自然災害等の発生リスクについては、人為的災害以外に関して低減が困難であるものの発生した場合、早期に事業活動を復活させるために危機管理規程及び災害対策マニュアルを整備し、事業活動の継続及び復旧の計画を策定しております。さらに、災害避難訓練などを実施し、人為的災害リスクの低減を図っております。また、当社で施工する建物は、「住宅瑕疵担保責任保険」及び「地盤保証」の対象としており、当該制度を実現するため、工事期間中に設計施工管理部門の自主検査及び第三者機関の検査を行うことで、災害発生時のコストを最小限にする体制を整備しております。
当社グループは、事業活動により様々な個人情報をお預かりしております。当社グループは、個人情報の取扱に関して、管理規程を設け、体制整備を行い、また、システム上においては、ファイル保管の厳重化、監視ソフトの導入、アクセス権限の制限等を行っており、個人情報以外の情報の取扱も含めて情報管理全般にわたる体制強化を図っております。しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に漏洩するような事態となった場合は、当社グループの信用の失墜、賠償責任を課せられる可能性もあり当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
個人情報を含む情報の管理については、情報に応じた閲覧権限の設定、ID登録、外部侵入防止システムの採用及び持ち出し制限システムなどにより情報流出の防止を図っております。また、「個人情報取扱管理規程」、「特定個人情報取扱管理規程」及び「情報管理規程」を定め、情報管理の知識及び意識の徹底を図ることにより情報漏えいリスクの低減に努めております。
当社グループは、当連結会計年度末現在において、当社グループの業績に影響を及ぼす訴訟を提起されておりませんが、万が一将来において、顧客との認識の齟齬、瑕疵の発生等に伴いクレーム、トラブルが発生した場合、リスク・コンプライアンス委員会において対応の検討あるいは弁護士の関与のもと相手先との協議・交渉を行っておりますが、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(リスクへの対応策)
当社グループでは、訴訟情報の前兆を把握するため、当社グループ内での報告・組織体制を構築しており、従来の職制ラインに加え、内部監査室が法務窓口となり、弁護士等との連絡を緊密にしております。また、当社グループでは、土地の選定・仕入、建築設計の段階から一貫して事業に携わることで、各工程で発生しうるリスクに対して早期に発見できる品質管理体制を構築しております。さらに、関連法令やマニュアルの遵守状況において内部監査等で適時にモニタリングを行うことにより、訴訟リスクの低減に努めております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、行動制限の撤廃や入国制限緩和により社会経済活動の正常化が進み、個人消費の回復など経済に前向きな動きが顕在化しております。しかしながら、原材料価格、エネルギー価格の高騰は継続しており、依然として経済全体の先行きは不透明な状況が続いております。
不動産関連業界におきましては、住宅ローン金利の上昇懸念等はあるものの各住宅取得支援策は継続しており、実需の住宅取引は堅調に推移いたしました。しかし、建築資材・住宅設備の断続的な上昇による影響が顕在化しており、近畿圏における新築住宅及び中古住宅の成約件数については、共に前年同期比を下回る結果となりました。
このような事業環境の中、当社グループは、総合不動産会社であるメリットを活かし、不動産販売事業・不動産賃貸事業においてワンストップ体制のシナジー最大化戦略に注力することで収益力の強化に取り組みました。
当社グループの不動産・建設事業においては、住宅取得支援策に支えられる中、安全性を重視した商品開発を行い、品質管理及び原価管理を徹底的に行うことでお客様ニーズを追求し、新規契約の獲得及び利益確保に努めてまいりました。
不動産賃貸事業につきましては、当社グループが保有する自社物件及び管理物件の安定的な収益を維持しつつ、新規顧客の獲得及び管理サービスの充実を図ることで新規オーナー様の獲得を行い、利益確保に努めてまいりました。
土地有効活用事業につきましては、不動産賃貸事業とのセグメント間シナジー効果と様々な情報チャネルを活用して、安定的な賃貸経営の事業提案を行ってまいりました。
ホテル事業につきましては、行動制限の撤廃、入国制限の緩和及び円安などの影響を受け、訪日外国人が増加し、事業運営が回復いたしました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高は13,087百万円(前年同期比7.6%減)、営業利益は1,012百万円(前年同期比15.9%減)、経常利益は961百万円(前年同期比16.4%減)、売上高経常利益率は7.4%(前年同期8.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は797百万円(前年同期比10.1%増)となりました。
セグメントごとの販売状況は次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については含めて記載しております。
2.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
3.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、連結子会社(興國不動産株式会社)等の事業活動を含んでおります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
セグメント間取引については含めて記載しております。
(不動産・建設事業)
不動産・建設事業は、土地分譲263件、建物194件、中古住宅35件の販売を行いました。その結果、売上高は8,408百万円(前年同期比86.3%)、セグメント利益は209百万円(前年同期比48.4%)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸事業は、自社物件2,141戸、管理物件14,704戸を保有し、賃貸経営、賃貸管理及び賃貸仲介を行いました。その結果、売上高は2,989百万円(前年同期比104.1%)、セグメント利益は895百万円(前年同期比99.6%)となりました。
(土地有効活用事業)
土地有効活用事業は、賃貸住宅22件、賃貸中古住宅11件の販売を行いました。その結果、売上高は1,034百万円(前年同期比109.7%)、セグメント利益は120百万円(前年同期比120.6%)となりました。
(ホテル事業)
ホテル事業は、3箇所のビジネスホテル、3箇所の飲食店舗を運営しました。その結果、売上高は751百万円(前年同期比105.8%)、セグメント利益は117百万円(前年同期比178.3%)となりました。
(その他)
その他事業は、連結子会社(興國不動産株式会社)において不動産仲介及び賃貸管理を行いました。その結果、売上高は69百万円(前年同期比108.3%)、セグメント利益は16百万円(前年同期比167.4%)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ316百万円増加し、当連結会計年度末には3,456百万円となりました。
また、当連結会計年度中における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、793百万円の収入(前連結会計年度は1,293百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,189百万円、非資金取引である減価償却費441百万円、支払利息158百万円、前払金の減少額93百万円、投資有価証券評価損84百万円及びのれん償却額37百万円であります。主な減少要因は、法人税等の支払額379百万円、棚卸資産の増加額362百万円及び投資有価証券売却益309百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,130百万円の支出(前連結会計年度は903百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入546百万円、定期預金の払戻による収入109百万円及び有形固定資産の売却による収入21百万円であります。主な減少要因は、有形固定資産(主として賃貸用不動産)の取得による支出1,811百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、653百万円の収入(前連結会計年度は1,166百万円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入4,092百万円であります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出3,099百万円、配当金の支払額279百万円、社債の償還による支出40百万円及び短期借入金の純減少額11百万円であります。
a. 生産実績
当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における不動産・建設事業、土地有効活用事業セグメントの受注高及び受注残高は次のとおりであります。不動産賃貸事業及びホテル事業においては受注が存在していないため、記載しておりません。
(注)1.セグメント間取引については、含めて記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.アズマハウス株式会社に関連する受注高及び受注残高を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の主要な相手先がいないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、13,087百万円(前年同期比7.6%減)となりました。
不動産・建設事業においての売上高は、8,408百万円(前年同期比13.7%減)となりました。これは主に、土地分譲販売件数及び新築住宅の契約件数の減少よるものであります。
不動産賃貸事業においての売上高は、2,989百万円(前年同期比4.1%増)となりました。これは主に、当社グループが保有する自社物件及び管理物件の安定的な収益を維持しつつ、新規顧客の獲得及び管理サービスを行ったことによるものであります。
土地有効活用事業においての売上高は、1,034百万円(前年同期比9.7%増)となりました。これは主に、賃貸住宅販売の件数には大きく差がないものの、受注金額の影響によるものであります。
ホテル事業においての売上高は、751百万円(前年同期比5.8%増)となりました。社会経済活動の正常化に向けた動きが進み、訪日外国人が増加するなど回復したことによるものであります。
その他においての売上高は、69百万円(前年同期比8.3%増)となりました。これは主に、不動産仲介手数料収入の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は8,663百万円(前年同期比9.0%減)、売上総利益は4,423百万円(前年同期比4.7%減)となりました。売上高に対する売上総利益率は33.8%(前年同期は32.8%)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費3,411百万円(前年同期比0.8%減)を受け、1,012百万円(前年同期比15.9%減)となり、前連結会計年度に比べ191百万円減少しました。売上高に対する営業利益率は7.7%(前年同期は8.5%)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、営業外収益123百万円(前年同期比4.9%増)と営業外費用174百万円(前年同期比2.1%増)を受け、961百万円(前年同期比16.4%減)となり、前連結会計年度に比べ189百万円減少しました。売上高に対する経常利益率は7.4%(前年同期は8.1%)であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税金等調整前当期純利益の減少に伴い392百万円(前年同期比4.7%減)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は797百万円(前年同期比10.1%増)となり、前連結会計年度に比べ73百万円増加しました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,558百万円増加し、32,436百万円となりました。
流動資産については、前連結会計年度末に比べ490百万円増加し、10,615百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加208百万円、販売用不動産の増加180百万円及び未成工事支出金の増加94百万円を反映したものであります。
固定資産については、前連結会計年度末に比べ1,067百万円増加し、21,821百万円となりました。これは主として、建物及び構築物(純額)の増加943百万円、土地の増加514百万円、繰延税金資産の増加76百万円、その他の有形固定資産(純額)の増加42百万円、投資有価証券の減少438百万円、のれんの減少37百万円及び建設仮勘定の減少13百万円を反映したものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,114百万円増加し、15,849百万円となりました。
流動負債については、前連結会計年度末に比べ711百万円増加し、4,341百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金の増加648百万円、未払法人税等の増加56百万円、その他の流動負債の増加16百万円及び短期借入金の減少11百万円を反映したものであります。
固定負債については、前連結会計年度末に比べ402百万円増加し、11,507百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加395百万円、その他の固定負債の増加49百万円及び社債の減少40百万円を反映したものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ443百万円増加し、16,586百万円となりました。これは主として利益剰余金の増加515百万円及びその他有価証券評価差額金の減少80百万円を反映したものであります。自己資本比率は51.1%(前連結会計年度末は52.3%)となりました。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度中におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の仕入の他、工事費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、賃貸用不動産等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容や変動により経営成績に生じる影響など、「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、業績予想に比べて売上高、営業利益及び経常利益は下回り、親会社株主に帰属する当期純利益は若干上回る結果となりました。
なお、経営指標としております、売上高経常利益率については、目標8%以上に対して7.4%と下回りましたが、自己資本比率については、目標40%以上に対して51.1%と上回る結果となりました。
当連結会計年度の業績予想及び実績は以下のとおりであります。
該当事項はありません。