第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、ヘルスケア分野の研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献する[ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー]を目指して活動をしてまいります。

これらの活動を通じて、産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力の向上(SDG’s目標9)に貢献していきます。その結果クライアント企業及び自社の製品化・サービス化により、健康危険因子の早期警告・緩和・管理、感染症などへの予防・対処、精神保健などの改善(SDG’s目標3)に貢献していきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、前連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、当連結会計年度におきましても大幅な増収増益となりました。引き続き収益を伴う持続的な成長を遂げていくことがステークホルダーから期待されているものと認識しております。

2021年9月に開示いたしました2026年6月期までの5年間の中期経営計画におきましては、当社の企業理念の実現に向けた道のりの通過点として、最終年度には以下の経営指標を目標としております。

 

1)連結売上高    16億円(5年間平均年率成長率7%以上)

2)親会社株主に帰属する当期純利益   2億円

3)財務体質    配当可能な財務体質への転換

 

(3) 経営環境

当社が属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の一つであります。また現在の新型コロナウイルス感染症対策のみならず将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載したとおり、当連結会計年度での直接的な影響は軽微であったと考えております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループの中期経営戦略は、基盤となる先端研究開発支援事業の持続的収益拡大とヘルスケア・ソリューション事業の早期確立です。

先端研究開発支援事業では、新サービスメニューの拡充や生産性の向上を通じて、さらなるオペレーショナル・エクセレンスを高めてまいります。この結果、当面は当該セグメントからの利益が当社グループ全体の利益成長を牽引することを計画しております。

ヘルスケア・ソリューション事業では、開発中のバイオマーカーの社会実装に向けて取り組むとともに、ヘルスケア分野における新規事業の創出を目標としてまいります。当該セグメントは当面セグメント損失が続きますが、費用対効果の高い開発投資を継続することで2026年6月期には1億円程度の売上を計上し、全社共通配賦経費を除けばセグメント利益を計上できることを目指します。

上述の中長期的な会社の経営戦略に基づいて、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりです。

① 先端研究開発支援事業の持続的成長と収益力の向上

 新解析サービス拡充に向けてさらなる技術開発を進め、最先端の研究開発を支援してまいります。そのために、当社が競争優位性を持つ高感度網羅解析技術を進化させ、付加価値の高いサービスを提供してまいります。特に、ニーズが増大しているヒト臨床試験等での利用拡大に注力し、拡販に努めてまいります。さらに、測定時間短縮メソッドの運用や生産工程の一部ロボット化等による生産性向上を図ってまいります。

 また、業務提携等を通じて、他のオミクス解析メニュー等の拡充・強化を図り、お客様の先端研究を支援するサービス・プロバイダーを目指してまいります。2020年6月期において業務提携を行ったリピドーム解析は、サービスメニューの拡充と拡販に注力した結果、特に製薬企業からのニーズを捉え、好調に推移しております。今後ともお客様のニーズを満たす高付加価値サービスの開発・導入などにより、持続的な成長を目指してまいります。

 

② ヘルスケア・ソリューション事業の推進

 メンタルヘルスや軽度認知障害に関連するバイオマーカー等につきましては、引き続きアカデミアとの研究開発を推進していくとともに、早期社会実装に向けて取り組んでまいります。

 ヘルスケア分野における研究開発を支援することを目的として、2021年12月にバイオマーカー探索サービス「メタボロインデックス」を上市し、2022年5月には業務提携により非侵襲的に生体情報の測定を可能とする皮膚ガス測定サービスの提供を開始いたしました。このような新たなサービス開発・導入・連携等を通じて、新規事業を早期に立ち上げ、ヘルスケア分野におけるソリューションプロバイダーを目指してまいります。

 また、バイオマーカーとしての利用や再生医療など治療への応用が期待されているエクソソームにつきましては、アカデミア等との共同研究を継続し、エクソソーム精製をはじめとする関連技術開発に取り組んでまいります。

 以上のように、新規ソリューション開発及び新規事業開発に継続して取り組み、ヘルスケア・ソリューション・プロバイダーとして研究開発に携わる人々のベストパートナーとなることを目指してまいります。

③ リスク管理体制の強化

 基本経営戦略では、新規サービス、新規ソリューションの開発・導入が持続的成長のカギとなるため、多くのチャレンジをバランスよく行うことが求められており、全社としてのリスク管理体制を整備していくことが重要となっています。また事業環境の変化に伴うリスクも増加しており、これらに対する不断の対策検討も必要となっています。

 当社ではリスク管理委員会による全社横断的なリスク評価と対策検討を行うことに加えて、月次開発会議での開発に係る討議を行うことで、機動的なリスク管理を実施しております。またサイバーセキュリティリスクに関しても、一定の対策を講じ、継続的に対応強化を推進しております。

④ 従業員の成長

 当社の付加価値を創造しているのは従業員です。当社がヘルスケア・ソリューション・プロバイダーへ成長するためには、従業員が新たな価値を創造し、社会実装につなげるという一連のサイクルを高速に回すことが重要となります。そのためには、従業員のさらなる成長が不可欠であり、新たな取り組みにも積極的にチャレンジし、成長できる環境(体制・ツール)の整備などに取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のような事項があります。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社グループに関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 売上高の季節変動に関するリスク

 当社グループの主力顧客である大学及び公的研究機関は、公的な補助金を活用し、研究開発活動を進めております。補助金の多くは、6月から7月にかけて徐々に予算の執行が始まります。近年は、早期に予算を執行する傾向にありますが、顧客は年度末までに予算を執行すればよいことや、測定試料の準備が遅延する場合もあり、依然下期に測定試料の到着が集中しております。その結果、当社グループの売上高は第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の受領が遅れた場合には年度内の解析が困難になり、受注がキャンセルされるリスクや、解析量が当社の能力を超え、機会損失が発生するリスクがあります。

 当社グループはこのような季節変動による影響を抑えるため、補助金への依存度の低い民間企業や年度末の時期が異なる海外からの受注拡大を図ってまいります。

 

(2) 国内外での競合リスク

 当社収益の中心となっているメタボロミクス受託サービスは国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられるようになってきています。価格競争に巻き込まれると当社グループの収益性が損なわれる可能性があります。またメタボロミクス以外の解析受託サービスの拡大に関しても市場は拡大していますが、既存競合との競争は避けられず、当社グループがこれらの解析受託市場において一定のシェアを確保できるかどうかは当社グループの技術開発力、営業提案力次第となります。

 メタボロミクス受託サービスについては生産性の改善を通じて、原価の引き下げを図り、価格競争力のある収益構造を構築すべく対応を進めております。メタボロミクス以外の解析受託サービスに関しては、当社グループの独自開発による解析サービスを中心に拡大を図り、またワンストップでの解析サービスの提供などにより、競争優位性を維持強化することで対応を進めてまいります。

 

(3) 事業化及び商品開発の遅延リスク

 当社グループの成長は主に新規開発によるイノベーションによってもたらされます。新規性の高い開発には失敗がつきものであるため、開発が困難な障害によりとん挫すること、期待する成果を得るために克服すべき障害が想定より多く発生し、成果に至るまでの期間が長引く可能性があります。これらは当社グループの成長戦略に影響を与えることになります。

 こうした開発遅延によるリスクを最小化するために、当社グループでは開発プロジェクトの優先度を精査し、毎月経営者による確認・意思決定を迅速に行うこととしております。また研究者・技術者による新規開発を促進するために、業務時間の一定割合を新規開発に費やすこと、新規アイデア創出に必要な費用を予算化するなどにより、イノベーション創出を促進してまいります。

 

(4) 知的財産権のリスク

 当社グループは、メンタルヘルスや軽度認知障害に関するバイオマーカー探索研究を進めております。こうした研究開発活動において得られたバイオマーカーは積極的に権利化を進め、民間企業との提携による最終製品の共同開発、又はライセンス等により収益を獲得していく方針です。

 しかしながら、何らかの理由により発見したバイオマーカーに関連する特許が成立しない場合には、ヘルスケア・ソリューション事業の収益獲得が困難になり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 学校法人慶應義塾から供与を受けているメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」について

 当社グループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」の利用について学校法人慶應義塾よりライセンスを受けております。同解析ソフトは、メタボローム解析において基盤となる重要な解析ソフトウエアであることから、当社グループは複数年のライセンス契約を担保するため、別途学校法人慶應義塾と「「KEIO Master Handsソフトウエア」使用の更新に関する合意書」を締結しておりますが、今後何らかの理由により契約が終了した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害によるリスク

 現在の収益の中心である解析受託サービスはその大半が鶴岡本社にて実施されております。鶴岡本社が自然災害その他の事故などにより大きな被害を受けた場合には、その復旧に係る費用並びに一定期間営業が停止することによる機会損失など当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また当該期間中に顧客が競合に移管してしまう可能性なども考えられます。

 当社グループではこうしたリスクに対応するために、復旧に要する費用については保険を付保し、また軽度の災害・事故による影響については、その影響が短期的な業績に影響を与えないような対策(停電対策など)を順次講じていますが、当社グループの規模では分析設備の分散などは業務生産性を大きく損なうため、とりうる対策としては限界があります。

 

(7) 小規模組織のリスク

 当社グループの役職員数は、当連結会計年度末現在、役員5名及び従業員65名と小規模組織であり、個々の役職員の果たす役割が大きく、一定数の人材が流出した場合に当該分野での事業が一定期間滞る可能性があります。

 当社グループでは、こうした人材流出を抑制するために透明性の高い社風を構築し、社員と会社のおかれている環境・成果などを共有し、一体感の醸成に取り組んでおります。また業績連動賞与を導入することで会社の利益と個々の役職員の利益の連動性を持たせ、利益配分が公正に行われる体系としております。

 

(8) 情報漏洩リスク

 当社グループは顧客の研究開発支援としての解析受託サービスなどを行っているため、顧客の営業秘密にかかわる情報を扱う場合がございます。特に今後成長牽引を期待して展開・拡大を進めていくヘルスケア・ソリューション事業においては顧客からの秘密情報が多く含まれることが想定されるため、当社グループの重過失又はサイバーセキュリティ被害などによる情報漏洩は、顧客に多大なる損害を与える可能性があると同時に、当社グループ自身もその損害賠償リスク並びにレピテーションリスクにさらされる可能性があります。

 当社グループではこうしたリスクに対応していくために、社内情報管理体制の強化並びにサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。

 

(9) 新型コロナウイルス感染症等について

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症等について、当連結会計年度の業績に大きな影響は出ておりませんが、感染状況の収束が遅れることで学術講演会の中止・延期による営業活動の停滞、測定試料の入手遅れ、当社従業員の罹患によって業務に支障が出ること等により、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループでは政府・自治体のガイドラインに従い、感染拡大防止に向けた取り組みを実施し、リスクの最小化のための取り組みを行っております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年7月~2022年6月)における世界経済並びに日本経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化し、国内では2021年7月から9月には第5波による第4回目の緊急事態宣言が都市部で発出され、また2022年1月から3月には第6波によるまん延防止等重点措置が発出される等、経済活動に大きな影響を与えました。加えて2022年2月下旬からのロシアのウクライナ侵攻による地政学上のリスク、2022年3月以降の中国上海等でのロックダウンに加え、エネルギー・原料価格の高騰とその沈静化対策としての米国などにおける金融引き締め政策、それらの影響による円安ドル高等による国内消費の減退懸念などにより、期待されていた景気拡大に不透明感が高まっている状況です。

当社グループが属するライフサイエンス業界においては、新型コロナウイルス感染症対策としての治療薬・ワクチン等の開発に加え、免疫力向上等の感染症予防を促進するための機能性表示食品開発といった健康管理へのニーズの高まりを受けた研究開発が引き続き増加していると思われます。

このような状況の中、当社グループではWebを活用した営業活動を精力的に行うことで先端研究開発支援事業の受注拡大を図りました。付加価値の高い高感度網羅解析サービスの拡販を行うことで、受注が大幅に増加し、それに伴い売上も増加いたしました。また引き続き一般管理費の削減にも取り組みました。特に2021年12月に欧州子会社の閉鎖が完了したことが、一般管理費削減に大きく貢献しました。

ヘルスケア・ソリューション事業においては引き続き大うつ病性障害(以下「うつ病」といいます。)バイオマーカーの事業化に向けた研究開発を継続するとともに、新規事業開発等にも継続して取り組みました。2021年12月にはバイオマーカー探索の新サービスとしてメタボロインデックスを上市し、2022年5月には皮膚ガス測定サービスを開始いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は、1,223,281千円(前年同期比8.8%増)となりました。一般管理費削減等に努めた結果、当連結会計年度の営業利益は191,150千円(前年同期比385.5%増)となりました。また急激な円安による米国子会社への融資等に係る為替差益46,092千円の計上等により、経常利益は253,078千円(前年同期比325.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は267,785千円(前年同期比360.0%増)と大幅な増収増益となりました。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載したとおり、当連結会計年度での直接的な影響は軽微であったと考えております。

 

 

2021年6月期

2022年6月期

増減率

売上高

1,124,067千円

1,223,281千円

8.8%

営業利益

39,368千円

191,150千円

385.5%

経常利益

59,503千円

253,078千円

325.3%

親会社株主に帰属する当期純利益

58,214千円

267,785千円

360.0%

 

 

セグメント別には、次のとおりであります。

<先端研究開発支援事業>

 

2021年6月期

2022年6月期

増減率

売上高

1,119,593千円

1,220,425千円

9.0%

(内国内売上高)

926,362千円

1,028,794千円

11.1%

(内海外売上高)

193,230千円

191,630千円

△0.8%

セグメント利益

141,349千円

331,992千円

134.9%

 全社的にアカデミア分野では、医歯薬系の基礎研究においてメタボロミクスがより幅広く活用された結果、大きく売上増加に貢献しました。また製薬分野と化学その他の分野も大きく伸長いたしました。製薬分野は、会計年度における大型プロジェクトの需要の変動の影響もありますが、高感度網羅解析サービスや脂質解析サービスへの需要が拡大いたしました。化学その他の分野では、化粧品の研究開発などへの需要が拡大いたしました。さらにSDGsへの取り組みを進めるための基礎研究開発でもメタボロミクスが活用されるようになり、新規の取引企業も増加いたしました。

 また海外事業につきましては、米国では、アカデミア、製薬企業からの受注が堅調に推移したことに加え、培養肉研究開発へのメタボロミクスの活用が一層拡大した結果、食品分野での売上も増加しました。一方でアジア・パシフィック地域では新型コロナウイルス感染症による影響を受けて、十分な営業活動ができない中、大きく受注が減少し、売上も減少いたしました。この結果、売上高は1,220,425千円(前年同期比9.0%増)となりました。セグメント利益も、売上増加に加えて、欧州子会社の閉鎖などによる一般管理費の大幅削減などにより大幅に増加し、331,992千円(前年同期比134.9%増)となりました。

 

<ヘルスケア・ソリューション事業>

 

2021年6月期

2022年6月期

増減率

売上高

4,474千円

2,856千円

△36.2%

(内国内売上高)

4,474千円

2,856千円

△36.2%

(内海外売上高)

-千円

-千円

セグメント損失(△)

△101,980千円

△140,842千円

当事業セグメントにおいては、PEA(うつ病バイオマーカー)の共同研究・共同開発及び研究用検査受託の拡大等を継続いたしました。2021年12月にはバイオマーカー探索サービスとしてメタボロインデックスを上市し、2022年5月には業務提携による皮膚ガス測定サービスを開始いたしました。これら以外にも新規事業としてのヘルスケア・ソリューション開発支援の研究開発を推進いたしました。

研究用検査受託等を継続した結果、売上高は2,856千円(前年同期比36.2%減)、セグメント損失は、研究開発投資を増加した結果、140,842千円(前年同期は101,980千円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ259,693千円増加し、1,504,744千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは324,033千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益261,911千円の計上及び減価償却費64,896千円の計上等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは152,314千円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出141,973千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは80,491千円の収入となりました。これは短期借入金が100,000千円増加したこと等によるものであります。

 

③ 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,741,967千円となり、前連結会計年度末に比べ285,073千円増加しました。これは、営業キャッシュ・フローの改善並びに短期借入金の増加等により現金及び預金が259,693千円、受注が好調に推移したことにより仕掛品が11,796千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は326,761千円となり、前連結会計年度末に比べ160,485千円増加しました。これは、最新の測定機器の導入に伴い工具、器具及び備品が111,025千円、建物及び構築物が35,500千円、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産が36,627千円増加した等によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は546,279千円となり、前連結会計年度末に比べ228,952千円増加しました。これは、短期借入金が100,000千円、未払金が69,238千円、未払法人税等が16,929千円及び賞与引当金が40,089千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は35,871千円となり、前連結会計年度末に比べ9,841千円減少しました。これは、リース債務が9,864千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,486,577千円となり、前連結会計年度末に比べ226,448千円増加しました。これは、為替換算調整勘定が33,393千円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益267,785千円を計上したこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

  至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

生産高(千円)

生産高(千円)

 先端研究開発支援事業

1,920

3,187

合計

1,920

3,187

(注)1.上記の金額は、先端研究開発支援事業のうち、試薬キットに係る部分を記載しております。

2.その他研究開発支援事業及びヘルスケア・ソリューション事業については、業務の性質上生産として把握することが困難であるため、記載しておりません。

 

(2) 仕入実績

 仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

  至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

仕入高(千円)

仕入高(千円)

 先端研究開発支援事業

17,976

20,150

合計

17,976

20,150

(注)1.上記の金額は、先端研究開発支援事業のうち、限外ろ過フィルターに係る部分を記載しております。

2.その他研究開発支援事業及びヘルスケア・ソリューション事業については、業務の性質上仕入として把握することが困難であるため、記載しておりません。

 

(3) 受注実績

 受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

  至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

受注高(千円)

受注残高(千円)

受注高(千円)

受注残高(千円)

 先端研究開発支援事業

996,967

199,325

1,400,598

398,361

 ヘルスケア・

 ソリューション事業

4,474

3,000

2,856

3,000

合計

1,001,442

202,325

1,403,454

401,361

 

(4) 販売実績

 販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

  至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

販売高(千円)

販売高(千円)

 先端研究開発支援事業

1,119,593

1,220,425

 ヘルスケア・

 ソリューション事業

4,474

2,856

合計

1,124,067

1,223,281

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載しておりません。

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高につきましては、先端研究開発支援事業においては、Webを活用した営業活動を精力的に行うこと、付加価値の高い高感度網羅解析サービスの拡販を行うことで、受注が大幅に増加し、それに伴い売上も増加いたしました。これらの結果、先端研究開発支援事業において当連結会計年度末の受注残高は398,361千円(前連結会計年度末は199,325千円)となりました。ヘルスケア・ソリューション事業においては、引き続き大うつ病性障害バイオマーカーの事業化に向けた研究開発を継続するとともに、新規事業開発等にも継続して取り組みました。2021年12月にはバイオマーカー探索の新サービスとしてメタボロインデックスを上市し、2022年5月には皮膚ガス測定サービスを開始いたしました。これらの結果、当社グループ全体の売上高は1,223,281千円となりました。

 生産面では先端研究開発支援事業においては、設備増強に伴う減価償却費及び新サービス売上増加に伴う外注費の増加等で売上原価が増加しました。

 販売費及び一般管理費につきましては、効率的な営業活動を推進したこと、人員配置の最適化を進めたこと、欧州子会社の閉鎖手続き完了による一般管理費の大幅な削減等により、大幅なコスト削減を行うことができました。これらの結果、営業利益は191,150千円、経常利益は253,078千円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は267,785千円となりました。営業外収益として、急激な円安により当社が保有する外貨建資産及び在外連結子会社の債権債務などにかかる為替差益46,092千円を計上しております。

 当社グループ全体といたしましては、持続的に収益を計上できる企業体質へと転換が進んだと考えております。引き続き必要な投資は継続しつつ、収益の持続的成長に向けた取り組みを推進してまいります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 資金の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、新サービス・新事業開発のための研究開発資金や、最先端の測定解析を可能とする設備購入のための資金、需要の繁閑に伴う短期的な運転資金などの資金需要が発生します。これらに対し、保有する現預金などの自己資本で研究開発投資、設備投資並びに運転資金需要に対応することを基本としています。必要に応じて主に新規研究開発事業への投資等に必要な資金は新株発行等により調達し、設備投資や短期的な運転資金については、銀行借入により調達いたします。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症による経営成績等への影響について

 新型コロナウイルス感染症の影響については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載したとおり、当連結会計年度での直接的影響は生じておりません。

 今後の状況につきましては、現在の政府の感染対策方針に基づき経済優先の施策が継続することを前提にいたしますと、研究開発などに大きな影響を与える可能性は低いと考えられます。
 新型コロナウイルス感染症の更なる拡大を考慮し、業績への影響については引き続き注視してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 先端研究開発支援事業

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

国立大学法人弘前大学

日本

共同研究契約

2019年

4月1日

2019年4月1日から

2024年4月30日まで

青森県弘前市(岩木地区)で実施している健康診断(岩木健康増進プロジェクト)により収集した健康情報データとメタボローム解析により得られたデータにより、新たな健康指標に繋がるバイオマーカーを探索し健康評価法を開発する。

 

(2) ヘルスケア・ソリューション事業

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

AIREX株式会社

日本

業務委受託基本契約

2022年

5月17日

2022年5月17日から

2027年6月30日まで

(期間満了の6ヶ月前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

AIREX株式会社が提供するヒト皮膚ガス測定サービスを独占的に提供するものとする。

当社

国立大学法人九州大学

日本

共同研究契約

2022年

6月27日

2022年7月1日から

2023年6月30日まで

うつ病バイオマーカー(マルチマーカー)を評価指標とした休職・復職支援システムの開発。

 

(3) 事業全般に関する契約

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

学校法人慶應義塾

日本

特許のライセンス

2003年

10月22日

2003年10月22日から

2004年10月21日まで

(期間満了の1ヶ月前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

学校法人慶應義塾は、当社に対し同大学が保有する特許「陰イオン性化合物の分離分析方法及び装置」(特許第3341765号)の全ての範囲について通常実施権を許諾する。また、同大学は本特許発明に関する改良技術について特許を取得した場合には、当社に対してその全ての範囲について通常実施権を許諾する。

 

 

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

学校法人慶應義塾

(先端生命科学研究所)

日本

共同研究及び成果の相互利用

2007年

8月8日

2007年4月1日から

2008年3月31日まで

(研究期間満了の30日前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

当社と慶應義塾大学先端生命科学研究所は、メタボローム測定・解析法の改良及び新たな手法の開発のため、共同研究を行う。当社は、2022年4月1日からの6年間の取扱について合意し、毎年400万円を本共同研究遂行のための費用として、慶應義塾大学先端生命科学研究所へ支払う。

本共同研究により得られた発明等は両者共有とし、その持分は両社双方の貢献度によりその都度協議の上決定する。

本契約に基づき両者が所有する測定機器等について、相手方の要請に基づき相互に利用できる。

当社

学校法人慶應義塾

日本

ソフトウエアのライセンス

2007年

8月8日

2007年4月1日から

2008年3月31日まで

(研究期間満了の30日前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

当社と学校法人慶應義塾は、前記契約第4条(機器等の相互利用)において規定される「KEIO Master Hands」のライセンス料について、2022年4月1日からの6年間の取扱について合意し、当社は学校法人慶應義塾に対し、ライセンス料として年額300万円を支払う。

当社

エムスリー株式会社

日本

資本及び業務提携契約

2016年

5月24日

2016年5月24日から

期間の定めなし

当社の実施する第三者割当増資の引受、並びにうつ病バイオマーカーの実用化を中心とした業務面での協力及び協業体制の構築。

 

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度においては、メタボローム解析新サービスのための技術開発、PEAの実用化・事業化に向けた製品開発、並びに新規サービスの開発・研究等を中心に進めてまいりました。当連結会計年度における研究開発費の総額は158,289千円であります。

 セグメント別では、先端研究開発支援事業において、生産と開発の連携強化に取組み、生産技術及び解析ソフトウエアの開発等を推進したこと等により、研究開発費の金額は72,966千円となりました。ヘルスケア・ソリューション事業においてはPEAの実用化・事業化に向け、臨床研究やエクソソーム精製に係る研究開発活動に取組んだこと等により、研究開発費の金額は85,322千円となりました。