第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する」ことを企業理念とし、その達成のために、ヘルスケア分野の研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献する[ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー]を目指して活動をしてまいります。

これらの活動を通じて、産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力の向上(SDG’s目標9)に貢献していきます。その結果クライアント企業及び自社の製品化・サービス化により、健康危険因子の早期警告・緩和・管理、感染症などへの予防・対処、精神保健などの改善(SDG’s目標3)に貢献していきたいと考えております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、前連結会計年度に続き、当連結会計年度におきましても大幅な増収増益となりました。引き続き収益を伴う持続的な成長を遂げていくことがステークホルダーから期待されているものと認識しております。

2023年8月に開示いたしました2026年6月期までの中期経営計画におきましては、当社の企業理念の実現に向けた道のりの通過点として、最終年度には以下の経営指標を目標としております。

 

1)連結売上高    16.5億円

2)連結営業利益      3億円

 

(3) 経営環境

当社が属するライフサイエンス業界は、少子高齢化といった国内環境にあっても、成長が見込まれる数少ない分野の一つであります。また将来の感染症予防・対策への関心も高く、研究開発投資が高水準で継続しており、今後も同様に推移することが想定されます。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループの中期経営戦略は、基盤となる先端研究開発支援事業の持続的収益拡大とヘルスケア・ソリューション事業の早期確立です。

2020年6月期以降、2023年6月期までは会社の経営基盤の構築期間と位置付け、不採算事業の整理や生産性向上を推進し、持続的な事業活動を可能とする財務体質の強化に努めてまいりました。この結果、メタボローム解析受託を中心とする先端研究開発支援事業においては増収増益を継続し、安定した事業基盤・収益基盤を構築することができました。また、中長期的な成長エンジンと位置付けておりますヘルスケア・ソリューション事業においては研究開発に注力し、当社のパーパスを実現しうる新事業の創出を推進しました。この結果、2023年7月より機能性素材開発のワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)を上市しました。

2024年6月期から2026年6月期までの中期経営計画 [Challenge to Healthcare Value Innovator 25] は、これまでの先端研究開発支援事業の戦略を継続し、当該セグメントにおける着実な増収増益を図るとともに、成長エンジンであるヘルスケア・ソリューション事業の飛躍的拡大のための事業基盤構築の時期と位置付けております。

 

 

2023年6月期

2026年6月期

成長率

売上高

1,299,225千円

1,650,000千円

+27.0%

(先端研究開発支援)

1,251,738千円

1,400,000千円

+11.7%

(ヘルスケア・ソリューション)

47,487千円

250,000千円

+426.5%

営業利益

210,982千円

300,000千円

+42.2%

 

[先端研究開発支援事業]

高感度網羅解析技術を活用した新サービスメニューの拡充や生産性の向上を通じて、さらなるオペレーショナル・エクセレンスを高めてまいります。このような活動を推進することでこれまで同様、持続的な増収増益を目指します。

 

[ヘルスケア・ソリューション事業]

2023年7月に上市した機能性素材開発のワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の提供を通じて、機能性素材開発企業の画期的な製品開発を支援し、飛躍的な成長に向けて事業基盤を構築してまいります。また開発中の自社バイオマーカーの社会実装に向けて引き続き取り組んでまいります。当該セグメントは開発投資が先行するため、当面セグメント損失が続きますが、費用対効果の高い開発投資を継続することで2026年6月期には2.5億円の売上を目標とし、全社共通配賦経費を除けばセグメント利益を計上できることを目指します。

 

上述の中期計画達成のために、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりです。

① 先端研究開発支援事業の持続的成長と収益力の向上

 新サービス拡充に向けてさらなる技術開発を進め、最先端の研究開発を支援してまいります。そのために、当社が競争優位性を持つ高感度網羅解析技術をさらに進化させ、付加価値の高いサービスを提供してまいります。特に、ニーズが増大しているヒト臨床試験等での利用拡大に注力し、拡販に努めてまいります。また、測定時間短縮メソッドの運用や生産工程の一部ロボット化等による生産性向上を図り、原価低減にも努めてまいります。

 この他、業務提携等を通じて、他のオミクス解析メニュー等の拡充・強化を図り、お客様の先端研究を支援するサービス・プロバイダーを目指してまいります。

 

② ヘルスケア・ソリューション事業の事業基盤構築

 消費者の健康志向の高まりと共に機能性表示食品をはじめとするヘルスケア関連市場が拡大しております。高付加価値の機能性素材開発を可能とする当社独自技術・ノウハウに加え、提携企業の技術を活用し、顧客の課題をワンストップで解決するサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の提供を2023年7月より開始いたしました。機能性素材開発における関与成分の探索や科学的根拠の取得等を包括的に支援することにより、顧客の研究開発のスピードを向上し、当該市場の更なる拡大に貢献してまいります。特に我が国においては素晴らしい食材・食品が地域に根付いており、地方活性の有力な手段の一つになることが見込まれております。この市場において事業基盤を構築することにより、当社の飛躍的かつ持続的な成長につなげてまいります。

 またメンタルヘルスや軽度認知障害に関連するバイオマーカー等につきましては、引き続きアカデミアとの研究開発を推進していくとともに、早期社会実装に向けて取り組んでまいります。

 バイオマーカーとしての利用や機能性素材としての活用、再生医療など治療への応用が期待されているエクソソームにつきましては、アカデミア等との共同研究を継続し、エクソソーム関連技術開発に引き続き取り組んでまいります。

 

③ リスク管理体制の強化

 中期経営計画では、新たなサービス・ソリューションの開発・導入が持続的成長のカギとなるため、チャレンジングな取組みを効率よく実行することが求められています。また、当社を取り巻く事業環境の変化に対する継続的なリスク対策の検討も必要となっています。

 当社ではリスク管理委員会による全社横断的なリスク評価と対策検討を行うことに加えて、月次開発会議での開発に係る討議を行うことで、機動的なリスク管理を実施しております。また情報セキュリティリスクに関しても、一定の対策を講じ、継続的に対応強化を推進しております。

 

④ 従業員の成長

 当社の付加価値を創造しているのは従業員です。当社がヘルスケア・ソリューション・プロバイダーへ成長するためには、従業員が新たな価値を創造し、社会実装につなげるという一連のサイクルを高速に回すことが重要となります。そのためには、従業員のさらなる成長が不可欠であり、新たな取組みにも積極的にチャレンジし、成長できる環境(体制・ツール)の整備などに取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、「未来の子供たちのために、最先端のメタボローム解析技術とバイオ技術を活用した研究開発により、人々の健康で豊かな暮らしに貢献する。」という企業理念のもと、中長期的な企業価値の向上の観点から、「ヘルスケア・ソリューション・プロバイダー」として、ヘルスケア分野の研究開発に携わる人々のベストパートナーとして、画期的なヘルスケア製品・サービスの創造に貢献することを通じてサステナビリティをめぐる様々な社会課題に取り組み、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立を目指しております。

 

(1)ガバナンス

 社会環境の変化に伴い当社グループを取り巻く環境も変化しており、持続的な成長を実現するために必要となる課題も変化しております。サステナビリティに関連した課題については、取締役会の中で適宜、その内容及び課題に対する取組みについて議論し、対応策の検討を行っております。

 

(2)戦略

 当社の付加価値を創造しているのは従業員です。高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保及び育成、自律的にチャレンジしながら創造・変革を推進する人材の増加が当社の持続的成長には不可欠です。そのために人事制度の改訂や研修の拡充など実施してまいりました。具体的には、人事評価における期待する能力要件を再定義し、その評価基準を明確にするとともに、能力向上のための研修時間を大幅に増加いたしました。また仕事のしやすい環境整備のために、ハラスメント研修やグループ討議などを実施して、従業員同士の理解を深めています。当社の業績連動賞与も分配基準を明確にしており、従業員の努力が報酬にも結び付く体系となっています。これらにより従業員エンゲージメントスコアも過年度と比較して大幅に改善いたしましたが、さらに以下を推進してまいります。

① 人材情報基盤の整備

② 専門能力向上のための能力開発・登用

③ 自律・自走成長する組織文化の醸成

 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の戦略については記載を省略しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループの持続的な成長を実現するためのリスク管理につきましては、リスク管理委員会にてリスク評価・対策検討を行い、経営会議・取締役会で定期的にモニタリングを行っております。重要性の高いリスクに対しては経営会議で検討を行い、実効性の高い対応を実施しております。

 事業機会管理につきましては、経営会議で重点テーマを管理しつつ、優先順位を設定し、具体的な展開につなげております。

 

(4)指標及び目標

 当社の人的資本に関する指標及び目標は下記の通りであります。

取組テーマ

具体的施策

指標及び目標

人材情報基盤の整備

・従業員の専門能力やスキル、エンゲージメント等の定期モニタリング

年2回定期モニタリングを実施します。

専門能力向上のための能力開発・登用

・リテンション向上施策

・専門能力向上のための研修強化

・事業戦略遂行のための多様性のある専門人材の登用促進

離職率を削減し、時間当り付加価値労働生産性の向上を目指します。

自律・自走成長する組織文化の醸成

・マネジメントスキル向上のための研修継続

・従業員の発案をより促進する体制整備

エンゲージメントスコアの向上を目指します。

 上記の点以外に現状重要性の高いサステナビリティ関連リスク及び機会を認識していないため、その他の指標及び目標については記載を省略しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のような事項があります。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社グループに関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 売上高の季節変動に関するリスク

 当社グループの主力顧客である大学及び公的研究機関は、公的な補助金を活用し、研究開発活動を進めております。補助金の多くは、6月から7月にかけて徐々に予算の執行が始まります。近年は、早期に予算を執行する傾向にありますが、顧客は年度末までに予算を執行すればよいことや、測定試料の準備が遅延する場合もあり、依然下期に測定試料の到着が集中しております。その結果、当社グループの売上高は第3四半期(1月~3月)に集中する傾向があります。測定試料の受領が遅れた場合には年度内の解析が困難になり、受注がキャンセルされるリスクや、解析量が当社の能力を超え、機会損失が発生するリスクがあります。

 当社グループはこのような季節変動による影響を抑えるため、補助金への依存度の低い民間企業や年度末の時期が異なる海外からの受注拡大を図ってまいります。

(2) 国内外での競合リスク

 当社収益の中心となっているメタボロミクス受託サービスは国内外の競合が増加傾向にあり、価格競争も一部でみられるようになってきています。価格競争に巻き込まれると当社グループの収益性が損なわれる可能性があります。またメタボロミクス以外の解析受託サービスの拡大に関しても市場は拡大していますが、既存競合との競争は避けられず、当社グループがこれらの解析受託市場において一定のシェアを確保できるかどうかは当社グループの技術開発力、営業提案力次第となります。

 メタボロミクス受託サービスについては生産性の改善を通じて、原価の引き下げを図り、価格競争力のある収益構造を構築すべく対応を進めております。メタボロミクス以外の解析受託サービスに関しては、当社グループの独自開発による解析サービスを中心に拡大を図り、またワンストップでの解析サービスの提供などにより、競争優位性を維持強化することで対応を進めてまいります。

(3) 事業化及び商品開発の遅延リスク

 当社グループの成長は主に新規開発によるイノベーションによってもたらされます。新規性の高い開発には失敗がつきものであるため、開発が困難な障害によりとん挫すること、期待する成果を得るために克服すべき障害が想定より多く発生し、成果に至るまでの期間が長引く可能性があります。これらは当社グループの成長戦略に影響を与えることになります。

 こうした開発遅延によるリスクを最小化するために、当社グループでは開発プロジェクトの優先度を精査し、毎月経営者による確認・意思決定を迅速に行うこととしております。また研究者・技術者による新規開発を促進するために、業務時間の一定割合を新規開発に費やすこと、新規アイデア創出に必要な費用を予算化するなどにより、イノベーション創出を促進してまいります。

(4) 知的財産権のリスク

 当社グループは、メンタルヘルスや軽度認知障害に関するバイオマーカー探索研究を進めております。こうした研究開発活動において得られたバイオマーカーは積極的に権利化を進め、民間企業との提携による最終製品の共同開発、又はライセンス等により収益を獲得していく方針です。

 しかしながら、何らかの理由により発見したバイオマーカーに関連する特許が成立しない場合には、ヘルスケア・ソリューション事業の収益獲得が困難になり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 学校法人慶應義塾から供与を受けているメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」について

 当社グループは、慶應義塾大学先端生命科学研究所が開発したメタボローム解析ソフト「KEIO Master Hands」の利用について学校法人慶應義塾よりライセンスを受けております。同解析ソフトは、メタボローム解析において基盤となる重要な解析ソフトウエアであることから、当社グループは複数年のライセンス契約を担保するため、別途学校法人慶應義塾と「「KEIO Master Handsソフトウエア」使用の更新に関する合意書」を締結しておりますが、今後何らかの理由により契約が終了した場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害によるリスク

 現在の収益の中心である解析受託サービスはその大半が鶴岡本社にて実施されております。鶴岡本社が自然災害その他の事故などにより大きな被害を受けた場合には、その復旧に係る費用並びに一定期間営業が停止することによる機会損失など当社グループの経営に大きな影響を与える可能性があります。また当該期間中に顧客が競合に移管してしまう可能性なども考えられます。

 当社グループではこうしたリスクに対応するために、復旧に要する費用については保険を付保し、また軽度の災害・事故による影響については、その影響が短期的な業績に影響を与えないような対策(停電対策など)を順次講じていますが、当社グループの規模では分析設備の分散などは業務生産性を大きく損なうため、とりうる対策としては限界があります。

 

(7) 小規模組織のリスク

 当社グループの役職員数は、当連結会計年度末現在、役員5名及び従業員57名と小規模組織であり、個々の役職員の果たす役割が大きく、一定数の人材が流出した場合に当該分野での事業が一定期間滞る可能性があります。

 当社グループでは、こうした人材流出を抑制するために透明性の高い社風を構築し、従業員と会社のおかれている環境・成果などを共有し、一体感の醸成に取り組んでおります。また業績連動賞与を導入することで会社の利益と個々の役職員の利益の連動性を持たせ、利益配分が公正に行われる体系としております。

 

(8) 情報漏洩リスク

 当社グループは顧客の研究開発支援としての解析受託サービスなどを行っているため、顧客の営業秘密にかかわる情報を扱う場合がございます。特に今後成長牽引を期待して展開・拡大を進めていくヘルスケア・ソリューション事業においては顧客からの秘密情報が多く含まれることが想定されるため、当社グループの重過失又はサイバーセキュリティ被害などによる情報漏洩は、顧客に多大なる損害を与える可能性があると同時に、当社グループ自身もその損害賠償リスク並びにレピテーションリスクにさらされる可能性があります。

 当社グループではこうしたリスクに対応していくために、社内情報管理体制の強化並びにサイバーセキュリティ対策を強化してまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染状況については徐々に改善が見られ、経済活動の活性化が進む一方、日米金利差に起因する円安、資源価格の高止まりに伴う国内物価の高騰、世界景気の減速懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。

当社グループが属するライフサイエンス業界においては、感染症対策としての治療薬・ワクチン等の開発に加え、免疫力向上等の感染症予防を促進するための機能性表示食品開発等、健康管理へのニーズの高まりを受けた研究開発の増加傾向が継続しています。

このような状況の中、当社グループでは代謝物の高感度網羅解析サービスの営業活動を精力的に行うことで先端研究開発支援事業の受注拡大を図るとともに、研究開発費を除く一般管理費の削減に引き続き取り組みました。研究開発においては、機能性素材開発における革新的なワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の開発を中心に、メンタルヘルスバイオマーカーの事業化のための研究開発等を推進しました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は、1,299,225千円(前年同期比6.2%増)と増収となりました。将来の成長に向けて研究開発に注力した結果、研究開発費が増加した一方、売上増加に加えて、生産性向上による一般管理費を削減したことにより、営業利益も210,982千円(前年同期比10.4%増)と増益となりました。一方で経常利益は前連結会計年度に計上した為替差益が減少したこと等により、営業外損益が40,299千円減少し、232,611千円(前年同期比8.1%減)となりました。この結果に加え、当連結会計年度より繰延税金資産の回収可能性の分類を変更したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は285,758千円(前年同期比6.7%増)となりました。

 

 

 

2022年6月期

2023年6月期

増減率

売上高

1,223,281千円

1,299,225千円

6.2%

営業利益

191,150千円

210,982千円

10.4%

経常利益

253,078千円

232,611千円

△8.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

267,785千円

285,758千円

6.7%

 

セグメント別の状況は、次のとおりであります。

<先端研究開発支援事業>

 

2022年6月期

2023年6月期

増減率

売上高

1,220,425千円

1,251,738千円

2.6%

(内国内売上高)

1,028,794千円

1,032,767千円

0.4%

(内海外売上高)

191,630千円

218,970千円

14.3%

セグメント利益

331,992千円

353,609千円

6.5%

 当事業セグメントにおいては、国内外ともに代謝物の高感度網羅解析サービスや、提携先から導入したその他オミクス受託サービスの販売が堅調に推移し、製薬分野を中心として売上が増加し、一般管理費の削減にも努めた結果、増収増益となりました。

 この結果、売上高は1,251,738千円(前年同期比2.6%増)となりました。全社費用配賦後のセグメント利益は、353,609千円(前年同期比6.5%増)となりました。

 

<ヘルスケア・ソリューション事業>

 

2022年6月期

2023年6月期

増減率

売上高

2,856千円

47,487千円

1,562.5%

(内国内売上高)

2,856千円

47,487千円

1,562.5%

(内海外売上高)

-千円

-千円

セグメント損失(△)

△140,842千円

△142,627千円

当事業セグメントにおいては、機能性素材開発における革新的なワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の開発やメンタルヘルスバイオマーカーの共同開発を進めるとともに、皮膚ガス測定サービスなどの拡販を推進しました。

この結果、売上高は47,487千円(前連結会計年度は2,856千円)と増収となりました。一方、新事業等に向けて研究開発に注力し研究開発費が増加したため全社費用配賦後のセグメント損失は、142,627千円(前連結会計年度は140,842千円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ152,045千円増加し、1,656,789千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは284,962千円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純

利益237,002千円の計上及び減価償却費80,386千円の計上等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは116,755千円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出98,786千円等によるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは13,754千円の支出となりました。これはリース債務の返済による支出

13,730千円等によるものであります。

③ 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,848,331千円となり、前連結会計年度末に比べ106,364千円増加しました。これは、現金及び預金が152,045千円増加したこと等によるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は442,727千円となり、前連結会計年度末に比べ115,965千円増加しました。これは、最新の測定機器の導入に伴い工具、器具及び備品が95,470千円、生産管理システムの導入により

無形固定資産が15,690千円増加したこと、また繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産が

71,195千円増加した等によるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は493,007千円となり、前連結会計年度末に比べ53,272千円減少しました。これは、未払金が49,863千円、未払法人税等が24,451千円減少したこと等によるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は25,723千円となり、前連結会計年度末に比べ10,147千円減少しました。これは、リース債務が10,170千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,772,328千円となり、前連結会計年度末に比べ285,750千円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益285,758千円を計上したこと等によるものであります。

 なお、2022年9月22日に開催された株主総会において、資本準備金の額の減少及び剰余金の処分の件が決議

されたため、会社法第448条第1項の規定に基づき、資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金に振替える

とともに、会社法第452条の規定に基づき、振替後のその他資本剰余金を繰越利益剰余金へ振替える処理を、

第1四半期連結会計期間において実施しております。

④ 生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

生産高(千円)

生産高(千円)

 先端研究開発支援事業

3,187

1,918

合計

3,187

1,918

(注)1.上記の金額は、先端研究開発支援事業のうち、試薬キットに係る部分を記載しております。

2.その他研究開発支援事業及びヘルスケア・ソリューション事業については、業務の性質上生産として把握することが困難であるため、記載しておりません。

(2) 仕入実績

 仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

仕入高(千円)

仕入高(千円)

 先端研究開発支援事業

20,150

13,175

合計

20,150

13,175

(注)1.上記の金額は、先端研究開発支援事業のうち、限外ろ過フィルターに係る部分を記載しております。

2.その他研究開発支援事業及びヘルスケア・ソリューション事業については、業務の性質上仕入として把握することが困難であるため、記載しておりません。

 

 

(3) 受注実績

 受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

受注高(千円)

受注残高(千円)

受注高(千円)

受注残高(千円)

 先端研究開発支援事業

1,400,598

398,361

1,267,152

427,910

 ヘルスケア・

 ソリューション事業

2,856

3,000

49,141

5,310

合計

1,403,454

401,361

1,316,294

433,220

 

(4) 販売実績

 販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

  至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

販売高(千円)

販売高(千円)

 先端研究開発支援事業

1,220,425

1,251,738

 ヘルスケア・

 ソリューション事業

2,856

47,487

合計

1,223,281

1,299,225

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載しておりません。

 

(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高につきましては、先端研究開発支援事業においては、国内外ともに代謝物の高感度網羅解析サービスや、提携先から導入したその他オミクス受託サービスの販売が堅調に推移し、製薬分野を中心として売上が増加し、一般管理費の削減にも努めた結果、増収増益となりました。これらの結果、先端研究開発支援事業において当連結会計年度末の受注残高は427,910千円(前連結会計年度末は398,361千円)となりました。ヘルスケア・ソリューション事業においては、機能性素材開発における革新的なワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の開発やメンタルヘルスバイオマーカーの共同開発を進めるとともに、皮膚ガス測定サービスなどの拡販を推進しました。これらの結果、当社グループ全体の売上高は1,299,225千円となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、研究開発費を除く一般管理費の削減に引き続き取り組みました。研究開発においては、機能性素材開発における革新的なワンストップソリューションサービス(機能性素材開発包括支援サービス)の開発を中心に、メンタルヘルスバイオマーカーの事業化のための研究開発等を推進しました。これらの結果、営業利益は210,982千円、経常利益は232,611千円となりました。この結果に加え、当連結会計年度より繰延税金資産の回収可能性の区分を変更したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は285,758千円となりました。

 当社グループ全体といたしましては、持続的に収益を計上できる企業体質へと転換が進んだと考えております。引き続き必要な投資は継続しつつ、収益の持続的成長に向けた取組みを推進してまいります。

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 資金の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、新サービス・新事業開発のための研究開発資金や、最先端の測定解析を可能とする設備購入のための資金、需要の繁閑に伴う短期的な運転資金などの資金需要が発生します。これらに対し、保有する現預金などの自己資本で研究開発投資、設備投資並びに運転資金需要に対応することを基本としています。必要に応じて主に新規研究開発事業への投資等に必要な資金は新株発行等により調達し、設備投資や短期的な運転資金については、銀行借入により調達いたします。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 先端研究開発支援事業

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

国立大学法人弘前大学

日本

共同研究契約

2019年

4月1日

2019年4月1日から

2024年4月30日まで

青森県弘前市(岩木地区)で実施している健康診断(岩木健康増進プロジェクト)により収集した健康情報データとメタボローム解析により得られたデータにより、新たな健康指標に繋がるバイオマーカーを探索し健康評価法を開発する。

 

(2) ヘルスケア・ソリューション事業

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

AIREX株式会社

日本

業務委受託基本契約

2022年

5月17日

2022年5月17日から

2027年6月30日まで

(期間満了の6ヶ月前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

AIREX株式会社が提供するヒト皮膚ガス測定サービスを独占的に提供するものとする。

当社

国立大学法人九州大学

日本

共同研究契約

2022年

6月27日

2022年7月1日から

2023年9月30日まで

うつ病バイオマーカー(マルチマーカー)を評価指標とした休職・復職支援システムの開発。

 

 

(3) 事業全般に関する契約

契約

会社名

相手先の名称

相手先の

所在地

契約品目

契約

締結日

契約期間

契約内容

当社

学校法人慶應義塾

(先端生命科学研究所)

日本

共同研究及び成果の相互利用

2007年

8月8日

2007年4月1日から

2008年3月31日まで

(研究期間満了の30日前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

当社と慶應義塾大学先端生命科学研究所は、メタボローム測定・解析法の改良及び新たな手法の開発のため、共同研究を行う。当社は、2022年4月1日からの6年間の取扱について合意し、毎年400万円を本共同研究遂行のための費用として、慶應義塾大学先端生命科学研究所へ支払う。

本共同研究により得られた発明等は両者共有とし、その持分は両社双方の貢献度によりその都度協議の上決定する。

本契約に基づき両者が所有する測定機器等について、相手方の要請に基づき相互に利用できる。

当社

学校法人慶應義塾

日本

ソフトウエアのライセンス

2007年

8月8日

2007年4月1日から

2008年3月31日まで

(研究期間満了の30日前までに両者のいずれかから書面による申出があった場合を除き、1年ごとに延長される)

当社と学校法人慶應義塾は、前記契約第4条(機器等の相互利用)において規定される「KEIO Master Hands」のライセンス料について、2022年4月1日からの6年間の取扱について合意し、当社は学校法人慶應義塾に対し、ライセンス料として年額300万円を支払う。

当社

エムスリー株式会社

日本

資本及び業務提携契約

2016年

5月24日

2016年5月24日から

期間の定めなし

当社の実施する第三者割当増資の引受、並びにうつ病バイオマーカーの実用化を中心とした業務面での協力及び協業体制の構築。

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度においては、機能性素材開発包括支援サービスのための技術開発、メタボローム解析新サービスのための技術開発、メンタルヘルスバイオマーカーの実用化・事業化に向けた研究開発、並びに新規サービスの開発・研究等を中心に進めてまいりました。当連結会計年度における研究開発費の総額は185,615千円であります。

 セグメント別では、先端研究開発支援事業において、生産と開発の連携強化に取り組み、生産技術開発等を推進したこと等により、研究開発費の金額は67,450千円となりました。ヘルスケア・ソリューション事業においては機能性素材開発包括支援サービスの実用化・事業化に向け、臨床研究やエクソソーム精製に係る研究開発活動に取り組んだこと等により、研究開発費の金額は118,165千円となりました。