文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、グループの存在意義として「Make the World “HOTTO” 知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」を掲げています。当社グループの経営の基本方針は、ソーシャルメディアが利用され、知恵が社会全体で共有され、企業や個々人のために有効活用されるという、高度な知識循環の社会基盤が構築される中で、長年培ってきたテキストマイニング・機械学習・AI(人工知能)の基礎研究をもとに、真にAIオリエンテッド(AI志向)な企業としてグローバルな情報社会に貢献することを目指し、「データとAIで意思決定をサポートする」ことです。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
ソーシャルメディアが社会に広く普及したことにより、インターネットに接続する環境さえあれば、誰もが双方向のリアルタイムコミュニケーションを行える世の中となりました。現代は、企業側から人々への一方的な情報発信である従来のマスメディアだけではなく、ソーシャルメディアに投稿される様々な「生の声」が人々の購買傾向に大きな影響を与えております。総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」報道資料によると、ソーシャルネットワーキングサービスを利用している個人の割合は、平成30年60.0%から令和元年69.0%と上昇しており、企業のマーケティングにおいても重要度は年々増していると言えます。世界においても、デジタルマーケティングの市場規模は、2021年は約42.1兆円、内ソーシャルメディアマーケティングは約11.6兆円、2025年には、それぞれ約51.8兆円、約14.6兆円に拡大すると推定されております。(December 2020、Statista調べ)
当社グループは、ソーシャル・ビッグデータ市場における事業者の役割を、次の3つに分類して捉えております。ソーシャル・ビッグデータの収集・加工・流通を担う「収集領域」、ソーシャル・ビッグデータの分析ツールやレポートを企業へ提供する「分析領域」、ソーシャル・ビッグデータによって企業のマーケティングやブランディング等に活用する「活用領域」です。
当社グループの強みは、これらのインターネットやソーシャルメディアに投稿される様々なテキスト情報、画像や動画、位置情報などのソーシャル・ビッグデータをリアルタイムに収集(「収集領域」)、かつインターネット検索分析の創成期である2000年に創業して以来、人々の発言や行動内容を分析するテクノロジーを、事業として積み上げてきたこと(「分析領域」)、そしてこれらを一気通貫して活用するノウハウを持っていること(「活用領域」)であります。
この3つそれぞれの領域において、複数の事業をポートフォリオとして持ち、有機的に組み合わせ、中期的には拡大していく「活用領域」のソーシャルメディアマーケティング市場において、データと分析テクノロジーをベースとし、企業や団体の様々な活動に貢献することによって事業を拡大し、企業価値を高めていくことをグループの成長戦略としております。それぞれの分類における当社グループの事業は、次のとおりであります。
「収集領域」:DaaS事業
「分析領域」:SNSマーケティング支援事業内 SNS分析ツール
「活用領域」:SNSマーケティング支援事業内 SNS広告・SNS運用コンサルティング、クロスバウンド事業
(3)目標とする経営指標
主な成長性・収益性の指標として、売上高、売上成長率及び営業利益率を重視しております。なお、当社グループは中長期的な成長を目指して新サービス開発、M&A等の投資を積極的に行う方針でありますので、短期的には営業利益率が低下することがあります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、短期的な業績の向上、中長期的な企業価値の向上を遂げるため、以下の主要課題に取り組んで参ります。
1) グループ全体の経営管理と株式市場に対する事業状況の説明の充実
日本・米国・中国に所在する当社グループの連結会社のガバナンスと経営スピードの両立を目指し、グループ経営管理体制の構築と維持に取り組んで参ります。また、株式市場への当社グループの事業状況の説明の充実を目指し、IR活動の強化に努めて参ります。
2) SNSマーケティング支援事業
日本市場向けSNSマーケティング支援サービスの事業拡大は、人材の質と量に一定程度依存しております。当社支援の成功事例やSNSマーケティングに有用な情報発信を通じ、優秀な人材の採用に努めるとともに、社内研修による育成に努めて参ります。また、人材への依存度を低下させるべく、社内業務の効率化による生産性向上に努めて参ります。
SNS分析ツール市場においては、参入企業の増加とグローバル化により競争が激化する傾向にあり、これに対応すべくコストの見直し等に努めて参ります。
3) DaaS事業
SNSデータアクセス権販売における、個人情報保護規制による市場の需要の変化への対策とビジネスチャンス化のため、多様なデータアクセス権の新規獲得に努めて参ります。
4) クロスバウンド事業
中国市場向けマーケティング支援事業の急速な事業成長に対応すべく、体制の進化と強化に努めて参ります。
以下において、経営者が当社及び当社の連結子会社で構成される当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。また、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありません。
<特に重要なリスク>
① 新型コロナの拡大に関するリスク
新型コロナの感染拡大により、今後も国内外の経済状況や市場環境に影響を及ぼすことが見込まれます。また、当社グループの従業員等の健康、安全が脅かされ、損なわれる可能性があります。こうした影響を通じて、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼし、当社の株価下落につながる可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、取締役会やグループ経営会議などを通じて役員及びグループ会社間での密接な連携を実現し情報共有に努めるとともに、就業形態を原則リモートワークに変更するなどの感染拡大防止対策をとることで、これらのリスクの低減に努めております。
今般、ソーシャルメディアが益々浸透し、生活者がインターネット上に発信するデータが日々大量に生成されるようになりました。このような状況において、ソーシャルメディアデータに関する法整備においては、インターネット上の検索サービスを提供する事業者がその検索サービスに必要な情報を収集する行為が一定の条件下で認められるようになったほか、柔軟性のある権利制限規定が設けられ、著作物の利用について従来より一定程度の緩和がされるようになりました。しかしながら、今後の新たな法律の制定や既存の法律の変更により、自主規制が求められるようになる可能性があります。一方、海外においても、EU一般データ保護規則をはじめとする諸外国・地域における法令等の制定や変更により、当社グループのビジネスに影響を与え得る事態が生じることも想定されます。このように当社グループのサービスを提供する上での情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。ソーシャルメディアから日々大量に生成されるソーシャルメディアデータを有償又は無償にて情報取得しておりますが、ソーシャルメディアの運営側の方針転換により、情報提供の方針に変更が加えられた場合、サービスの品質が低下し、また、情報の取得に対して追加コストが発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、ヒアリング調査等を通じて、情報収集を継続的に行い、必要な対策をとること、及び代替的なデータソース獲得に向けた研究開発を継続することで、これらのリスクの低減に努めてまいります。
当社グループの事業は、サービスの基盤を大規模なコンピュータサーバー群やインターネット通信網に依存しており、大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避すべく、稼働状況の監視及びシステムの冗長化、セキュリティー対策等の未然防止策を実施しております。
④ 人材確保・維持について
当社グループの成長を支えている最大の資産は人材であり、優秀な人材の採用と維持は当社にとって重要な課題であると認識しております。優秀な人材を確保・育成できない場合、また事業変革に伴うニーズにマッチした人材の補充ができない場合、当社グループの経営成績や成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、積極的なリファラル採用の実施、また採用イベントの開催等による採用広報の強化等に取り組むことで、リスクの低減を図ってまいります。
<重要なリスク>
当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資その他投資を行うことがありますが、この投資が所期する効果を得られない可能性、これら投資先企業の経営の悪化あるいは運用成績の悪化により投資額の価値が著しく下落し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、投資委員会を設置し、投資に際しては当委員会において入念な検討を実施し、かかるリスクの低減を図ってまいります。
・当社グループ保有の知的財産権について
当社グループでは「ホットリンク/HOTTO LINK」「Trend Express」「BUZZ SPREADER」「ULSSAS」「UDSSAS」等の社名及びサービス名について商標登録を行っております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
・当社による第三者の知的財産権侵害について
当社グループによる第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社グループの事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社グループに対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、これらのリスクについては、権利を積極的に保護する姿勢のもと、従業員の教育にも努め、リスク低減を図ってまいります。
当社グループは今後の業容拡大を踏まえ、内部管理体制の強化を進めており、具体的には規程・マニュアルの制定、監査役監査及び内部監査の実施により、法令やルールを順守する体制の充実を図っております。しかしながら、このような対応にもかかわらず法令等に抵触する事態や不正行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、グループ経営会議の設置によりガバナンスの強化を行い、また専門家とも連携し、かかるリスクの防止に努めてまいります。
当社グループは、成長戦略のひとつとして、既存事業の関連分野におけるM&Aを国内外において検討・実施しており、これにより企業価値の向上と成長の加速を目指しております。買収後における事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、買収事業が当初の目標どおりに推移せず、場合によっては当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行うことで、リスクの低減に努めてまいります。
当社グループでは、グローバル展開を積極化しており、海外事業の存在感は徐々に高まってきております。日本国内のみならず海外事業においても、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣の相違、労使関係、国際政治、テロ攻撃、地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延など、さまざまなリスク要因があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
このような状況に対し、当社グループでは、各国政府の規制等を遵守しつつ、適切に事業活動が行えるよう、従業員への教育と、ガバナンスの強化による適切な体制・仕組みの整備に努めてまいります。
当社グループは現在、成長過程にあると認識しており、獲得した資金については優先的にシステム等の設備投資、又は人材の採用、育成に充てるため、過去においては配当を行っておりませんでした。今後につきましては、株主に対する利益還元を経営上の重要な課題の一つとして認識し、将来的には中間配当又は期末配当による株主への利益還元を予定しております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。
当社グループは、米国子会社Effyis, Inc.と共同で、元取締役のDarren Kelly氏に対し、和解合意の有効性の確認等で、現在ミシガン州東部地区連邦地方裁判所において、差戻審を係属中です。今後の訴訟の展開によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
この状況に対しては、今後も現地専門家と密接に連携を取ることにより、適切に対処してまいります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度の業績は、売上高4,385百万円(前年同期比18.7%増)、営業損失25百万円(前年同期は1,699百万円の損失)、当期損失51百万円(前年同期は1,679百万円の損失)となりました。なお、EBITDAは397百万円(前年同期は△278百万円)となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ382百万円増加し、5,767百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ463百万円増加し、2,795百万円となりました。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ81百万円減少し、2,972百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて366百万円増加し2,067百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、466百万円(前年同期は379百万円の使用)となりました。この主な要因は、税引前損失84百万円、法人所得税の支払60百万円により資金が減少した一方、減価償却費及び償却費423百万円の非資金項目の調整、日本における法人所得税還付61百万円および米国における新型コロナ補償に係る助成金受取54百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、342百万円(前年同期は538百万円の使用)となりました。この主な要因は、無形資産の取得による支出284百万円、事業譲受による支出150百万円、関係会社株式の売却による収入66百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、255百万円(前年同期は648百万円の増加)となりました。この主な要因は、長期借入による収入290百万円、子会社の成長資金のための新株発行に対し非支配株主からの払込による収入49百万円があった一方、長期借入金の返済55百万円及びリース負債の返済79百万円を行ったことによるものであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、ソーシャルメディアマーケティング支援事業の単一セグメントであります。事業区分について、当連結会計年度から、より分かりやすい説明を目指し以下の新区分としております。なお、前連結会計年度についても変更後の区分で記載し対比を行っております。第21期有価証券報告書 (事業年度2019年1月1日から2019年12月31日、2020年3月30日提出)記載の経営方針、経営戦略、サービスの内容から重要な変更はありません。
(グループ全体、事業別の振り返り)
1) グループ全体
当連結会計年度において、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で移動や企業活動の制限がなされました。日本においても感染拡大の第3波により再び緊急事態宣言が出され、経済は下げ止まりから一部で持ち直しの動きも見られるようになったものの、依然として先行きは不透明な状況となりました。
一方、デジタルマーケティング市場においては、従来からの市場拡大の流れに加え、新型コロナウイルス感染防止のため外出を控える状況となり、世界中の人々がインターネットに費やす時間が増えたため、その拡大速度は増しました。また、人々の情報の収集・発信・交換手段としてのソーシャルメディアの重要性がこれまで以上に高まりました。
当社グループは、2019年末において既に、デジタルマーケティング市場の中でも、ソーシャルメディアのマーケティング市場が今後より重要になるであろうと考え、中長期的な戦略として、データと分析テクノロジーを強みとし、この市場での顧客のマーケティング支援ビジネスを、注力し拡大する事業と位置づけておりました。
この戦略に沿い、企業努力を尽くした結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,385百万円(前年同期比18.7%増)、営業損失25百万円(前年同期は1,699百万円の損失)、当期損失51百万円(前年同期は1,679百万円の損失)となりました。なお、EBITDAは397百万円(前年同期は△278百万円)となりました。
また、グループ一体となって機動的かつ効果的な施策を打つため、当連結会計年度よりグループ戦略室を設け、定期的にグループ経営会議を開催しております。IR活動につきましても、従来からの年2回の決算説明会、投資家とのワンオンワンミーティング等に加え、当連結会計年度より各四半期の決算補足資料に基づいた説明動画のコーポレートサイト掲載を開始し、活動の強化に努めております。引き続き、ガバナンスと株式市場への当社グループの事業状況の説明の充実を目指して参ります。
2) SNSマーケティング支援事業
当事業は、主に日本国内向けのSNSマーケティング支援から成り立っており、その主なサービスは、SNS広告・SNS運用コンサルティングと、SNSの分析ツールである「クチコミ@係長」などであります。これらのサービスは、当社が保有する膨大なデータと、長年に亘り蓄積してきたSNS分析・運用ノウハウで、分析から施策立案、効果測定までを一気通貫でサポートするものです。
当事業の売上高は1,434百万円(前年同期比50.0%増)となりました。これは主に、SNS広告・SNS運用コンサルティングが継続して好調だったことによるものであります。
SNS広告・SNS運用コンサルティングについては、4月から5月にかけて新型コロナウイルスによる影響により売上が一時減少したものの、6月より回復傾向となり、当連結会計年度は前年同期比約2倍の売上高となりました。これは、新型コロナウイルスの影響によりイベント関連など一部業種の顧客企業がプロモーションを抑制し案件の延期やキャンセルなどが発生したものの、新しい生活様式の中でSNSマーケティングの重要性が高まり需要が増加したと同時に、前年から順調に実績を積み上げている当社サービスへの顧客からの評価が高まったことによるものと考えております。当サービスにおいては、人材の採用及び育成が重要な要素であるため、人材投資を重点的に行い、順調に体制の整備が進んでおります。また、社内業務の効率化に資するシステムを開発し生産性向上に努めております。
SNS分析ツールについては、営業人員をSNS広告・SNS運用コンサルティングに集中したことにより、売上高は前年同期比△7.8%の減少となりました。当社グループは、前年度後半より利益体質への転換を図り、コスト構造を見直すため、社内リソースのシフトを行いました。その一環として、当サービスにおいては、分析ツールの一部新規機能開発を停止し、これらに伴い、2020年5月11日付で一部人員の削減を行いました。
3) DaaS事業
当事業は、主にSNSデータアクセス権の販売から成り立っております。
当社の米国子会社であるEffyis,Inc.のSNSデータアクセス権の販売は安定した売上を維持しており、当事業の売上高は1,837百万円(前年同期比11.5%増)となりました。Effyis,Inc.は、世界中のソーシャル・ビッグデータを保有するメディアとの間で良好な関係を維持しており、当連結会計年度においても安定したデータ提供や新規メディアからのデータアクセス権の契約を順調に獲得しております。
当社グループのコスト構造見直しのための社内リソースシフトの一環として、当事業においても、前第4四半期連結会計期間において、注力市場の見直しと大幅な人材の適正配置による削減を行いました。引き続き、効果的な新規市場の選別と開拓に取り組んで参ります。
4)クロスバウンド事業
当事業は、主にソーシャル・ビッグデータを活用したクロスバウンドの消費行動を分析するレポーティングとプロモーション支援、越境ECサービスから成り立っております。当事業を構成するサービスは、子会社である株式会社トレンドExpress(以下、トレンドExpressという)が提供しており、中国国内での事前の市場調査と分析、訴求戦略の策定、露出メディアの選定、プロモーション実施後の効果測定までの一連のサービスを提供しております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの対応のため中国からの入国制限がなされた2月より訪日中国人向けプロモーション(インバウンド)需要が停止いたしました。一方、中国市場向けプロモーション(アウトバウンド)においては、第2四半期以降は中国国内の消費者の購買意欲の回復が見られ、高まる当社顧客企業の中国市場向けプロモーション需要を積極的に獲得して参りました。これらの結果、当事業の売上高は1,113百万円(前年同期比2.0%増)と、新型コロナウイルスの影響を大きく受けながらも前年度より増加いたしました。
トレンドExpressの子会社として2019年11月14日付で設立した新会社「数慧光(上海)商務諮詢有限公司」(以下、数慧光という)は、クロスバウンド事業における長年の協業先であった普千(上海)商務諮訊有限公司(以下、普千という)から、2020年1月1日付で全部の事業を譲り受けました。これは、トレンドExpressと普千の人材、経営資源を結集することで、中国本土を中心とした中華圏におけるマーケティング支援事業の強化とさらなる事業の拡大を目指すものであります。
事業別の売上高
(連結財政状態計算書)
・資産の部
流動資産は、現金及び現金同等物が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて381百万円増加し、2,710百万円となりました。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて1百万円増加し、3,057百万円となりました。これは主に、クロスバウンド事業において2019年11月14日付で設立した数慧光が、2020年1月1日付で普千から全部の事業を譲り受けたこと等に伴い、のれんが295百万円増加した一方、保有する株式会社リリーフサイン(持分法適用関連会社、以下、リリーフサインという)株式の一部を譲渡したことにより持分法で会計処理されている投資が63百万円減少したこと、リリーフサインの長期貸付金の回収25百万円ならびに従業員短期貸付金24百万円への振替等によりその他の金融資産が74百万円減少したことなどによるものです。
以上により、当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べて382百万円増加し、5,767百万円となりました。
・負債の部
流動負債は、営業債務及びその他の債務が35百万円減少したこと、未払消費税等また仮受金の増加、普千の事業譲受対価未払分等によりその他の流動負債が206百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて139百万円増加し、932百万円となりました。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて323百万円増加し、1,863百万円となりました。これは主に、普千の事業譲受対価未払分によりその他の非流動負債が150百万円増加、借入金が247百万円増加した一方、リース負債が78百万円減少したことによるものです。
以上により、当連結会計年度末における負債の合計は前連結会計年度末に比べて463百万円増加し、2,795百万円となりました。
・資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べて81百万円減少し、2,972百万円となりました。これは主に、当期損失51百万円、また海外子会社の財務諸表の為替換算調整によるその他の資本構成要素が79百万円減少したことにより、親会社の所有者に帰属する持分が32百万円減少、非支配持分が48百万円減少したものであります。
(連結損益計算書)
・売上高
売上高は、前連結会計年度に比べて689百万円(+18.7%)増加し、4,385百万円となりました。売上高の分析につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (グループ全体、事業別の振り返り)」をご参照ください。
・営業費用及び営業利益
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べて188百万円(+7.3%)増加し、2,770百万円となりました。当社グループは、前年度後半より利益体質への転換を図り、コスト構造を見直すため、社内リソースのシフトを行いました。その一環として、SNSマーケティング支援事業においては、SNS広告・SNS運用コンサルティングサービスへの人材の再配置を行う一方、分析ツールの一部新規機能開発を停止し、これらに伴い、2020年5月11日付で一部人員の削減を行いました。DaaS事業においても、前第4四半期連結会計期間において注力市場の見直しと大幅な人材の適正配置による削減を行いました。これらの施策、また売上高の増加により、当連結会計年度の売上総利益率は36.8%と、前年同期の30.1%から好転しております。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ221百万円(△11.7%)減少し、1,674百万円となりました。主な要因は、業容拡大に伴う人件費が増加した一方、コスト削減に努め業務委託費と広告宣伝費が減少したこと、従業員の在宅勤務とともに出張の自粛を進めたため、旅費交通費などが減少したことなどによるものであります。
金融費用は59百万円(前年度比110.3%増)となりました。主な要因は、為替差損によるものであります。
以上の結果、営業損失は25百万円(前連結会計年度は営業損失1,699百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の税引前損失84百万円、法人所得税の支払60百万円により資金が減少しましたが、減価償却費及び償却費423百万円の非資金項目の調整、日本における法人所得税の還付61百万円および米国における新型コロナ補償に係る助成金の受取54百万円により資金が増加した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは466百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、342百万円の支出となりました。この主な要因は、ソフトウェアの開発に係る無形資産の取得による支出284百万円、クロスバウンド事業において2019年11月14日付で設立した数慧光が、2020年1月1日付で普千から全部の事業を譲り受けた対価の支払による支出150百万円、また2018年12月にe-mining事業を行うリリーフサインの株式の過半を譲渡しておりましたが、当連結会計年度において一部を追加譲渡したことによる収入66百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当社グループの経営の機動性を確保するための長期借入金290百万円、子会社の成長資金のための新株発行に対し非支配株主からの払込による収入49百万円などの資金調達を行った一方で、長期借入金の返済55百万円やリース負債の返済79百万円などを行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは255百万円の収入となりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、運転資金および設備投資資金(主にソフトウェア等)であり、運転資金需要の主なものは、人件費及び外注費であります。資金需要は手元資金で賄うことを基本としつつ、短期の運転資金の調達のために、必要に応じて変動金利の有利子負債による資金調達を実施しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は、1,544百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,067百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づいて作成されております。なお、個々の「重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り」と「新型コロナウイルス感染症に伴う会計上の見積り」については、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断 5.追加情報」に記載のとおりであります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、売上成長率及び営業利益率を重視しております。当連結会計年度における売上高は4,385百万円、売上成長率は18.7%(前連結会計年度は14.0%)であります。営業利益率については、営業損失25百万円(前年同期は1,699百万円の損失)となりました。詳細につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。
当社グループは、ソーシャルメディアマーケティングの効率化・高付加価値化や新規サービスの開発に向け、AI(人工知能)技術を用いてソーシャル・ビッグデータを分析し、ソーシャルメディアアカウント運用や広告出稿・広告運用を支援する機能の開発を進めております。AI(人工知能)技術のうち、特にソーシャルメディアアカウント運用や広告出稿・広告運用に注力しております。同じく新規サービスの開発及び既存サービスの機能向上を図る目的で、AI(人工知能)技術を用いてソーシャル・ビッグデータから社会課題を発見する手法を大学及びPR会社と共同で進めております。また、ブロックチェーン技術にも着目し、東京大学のブロックチェーン寄付講座に参画すると共に、ブロックチェーン技術を用いた新たなサービス・事業の可能性について検討を重ねております。当連結会計年度における研究開発費は