当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」をグループ経営理念に掲げ、グループの創意を結集し、地域の持続的成長に貢献していく方針です。また、当社グループの長期ビジョン2030において「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を目指す姿に掲げ、株式会社常陽銀行と株式会社足利銀行が培ってきたお客さま、地域とのリレーション、地域への深い理解を維持・深化しつつ、広域ネットワークを活用した経済交流圏域の広がりの追求、総合金融サービスの規模・範囲の拡大を図り、「地域産業の掘り起し、地域経済の活性化や新たな市場創造」に取り組み、地域とともに持続的成長を目指してまいります。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題
①金融経済環境
2022年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」といいます。)による厳しい行動制限等が緩和され、設備投資や生産の持ち直しの動きが継続するとともに、個人消費や雇用にも回復の動きが見られるなど、社会経済活動の正常化に向けた動きが進みました。一方、世界的な金融引き締め等に起因する海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっているほか、物価上昇が継続するなど、停滞感の強い状態が続くこととなりました。
当社グループの主要営業地盤である北関東地域においても、新型コロナの感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、設備投資や生産、個人消費に持ち直しの動きが見られるとともに、雇用環境にも改善の動きが見られました。
金融市場では、円の対米ドル相場は、米国の金融引き締めによる日米金利差の急拡大を背景に、年度初めから円安ドル高が進み、10月には32年ぶりに1ドル150円台を付けました。以降、日本銀行の政策修正の思惑や米国の金利動向に影響される展開となり、年度末には132円台となりました。日経平均株価は、米国をはじめとした世界各国のインフレの加速や金融引き締めの波及、国内の金融政策や経済動向に左右され、年度を通じて値動きの荒い展開となりました。長期金利は、日本銀行が12月の金融政策決定会合において10年国債利回りの変動許容幅を拡大したことを受け、変動許容幅拡大前の0.25%水準から0.5%水準まで一気に上昇しましたが、米国地方銀行の破綻を契機とした金融不安の高まり等により、年度末は0.35%水準まで低下しました。
②経営環境
地域金融機関を取り巻く経営環境は、長引く金融緩和政策や競争の激化、少子高齢化、産業・就労構造の変化、世界的な金融引き締めによる市況急変などによって、預金や貸出金、有価証券運用といった伝統的な金融サービス分野では厳しさが増しています。他方、脱炭素・循環型社会への移行などの大きな潮流に加え、資源高や物価高、新型コロナの世界的な感染拡大を契機としたライフスタイルや社会行動の変化、さらには非金融分野での規制緩和の進展によって、総合金融サービス分野や非金融サービス分野の広がりが期待されます。
③優先的に対処すべき課題
上記の経営環境を踏まえ、当社グループは、両子銀行が長年培ってきた地域への深い理解やお客さまとのリレーション、経営統合によって生まれた広域ネットワークを最大限に活かし、中長期的な視点での課題にも目を向け、その解決に取り組み、地域とともに持続的成長を実現していく必要があります。
このため、当社グループは、長期ビジョン2030で目指す姿として掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を実現すべく、2022年度からの3年間を「持続的成長に向け、進化に挑戦する期間」と位置づけ、第3次グループ中期経営計画の達成に向け全力で取り組んでまいります。伝統的銀行領域の革新と総合金融サービス領域の深化に引き続き取り組み、経営体質を一層強化するとともに、新事業領域への種まきと育成に着実に取り組むことにより、従来の枠組みを超えて地域に貢献してまいります。
また、持続可能な社会の実現や脱炭素化への関心の高まりにより重要性が増しているサステナビリティについては、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」のもと、「グループサステナビリティ方針」に定める5つの重要課題(①地域経済・地域社会の活性化、②気候変動対応・環境保全、③デジタル化の推進、④高齢化への対応、⑤ダイバーシティの推進)に対し、グループの機能と知見を結集させ引き続き積極的に取り組んでまいります。
(3)中期的な経営戦略
当社グループでは、長期ビジョン2030に掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」の実現に向け、2022年度より「第3次グループ中期経営計画」(計画期間:2022年度から2024年度までの3年間)をスタートしました。「地域を支えるビジネスモデルの追求」、「持続可能な経営基盤の構築」、「人材の育成・活躍促進」の3つの基本戦略のもと諸施策を展開しております。
① 地域を支えるビジネスモデルの追求
当社グループが提供する地域・お客さまの課題解決に関するサービスの質を高め、事業領域を拡げていくことで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。また、デジタルサービスによる利便性と対面での高度なサービス・安心感を提供し、地域になくてはならない存在となることを目指してまいります。
伝統的銀行領域においては、デジタル技術や非対面サービスの活用によるお客さまの利便性向上、相談機能の強化や課題解決との一体提供によるサービス価値の向上のほか、有価証券運用・投融資の多様化に取り組んでまいります。総合金融サービス領域においては、コンサルティングやグループ機能を強化し、より多くのお客さまの課題解決への貢献に取り組んでまいります。加えて、新事業領域においては、当社グループの強みや戦略的な投資・提携等を活用した従来の枠組みを超える価値提供に挑戦してまいります。
② 持続可能な経営基盤の構築
デジタル技術の活用等を通して、ビジネスモデルの変革と業務革新に取り組み、新しい価値を創出するとともに経営体質を強化してまいります。
DXを推進し、非対面・リモート手続きの拡充、デジタルチャネルと対面チャネルを活用したデータの蓄積を進めるとともに、蓄積したデータやデジタル技術を活用し、新サービスの提供や従来サービスの高付加価値化に取り組んでまいります。また、伝統的銀行領域における業務革新を加速させることで経営資源を捻出し、コンサルティングなどの付加価値の高い業務や新しい事業領域に投入していくほか、事業領域の拡大に対応した経営管理体制を整備することで、グループ経営の高度化を図ってまいります。
③ 人材の育成・活躍促進
価値創造できる人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と自立性を備える集団を形成し、地域・お客さまに、新しい価値と安心を提供していくことで、従業員一人ひとりのエンゲージメントを高めてまいります。
価値を創造する人材の育成・確保に向け、総合金融サービス領域の深化や事業領域の拡大に向けた人材の育成に取り組むほか、デジタル化の進展を踏まえたリスキリング機会の拡充などに取り組んでまいります。また、多様な人材の活躍機会の拡大や持続的な成長を支える組織風土の醸成に向け、ダイバーシティの実践や働きがいの充実に取り組んでまいります。
こうした取り組みを通じて、質の高い総合金融サービスの提供を実践するとともに、当社グループの企業価値の向上を図り、地域とともに持続的な成長を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、第3次グループ中期経営計画の中で以下の経営指標を目標として利用し、各種施策に取り組んでおります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般
当社グループは、サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題として認識し、地域の課題解決と持続的な成長とともに、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環を図ることを目的として「グループサステナビリティ方針」を制定するとともに、社会・経済動向の変化と環境認識を踏まえ、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、「ⅰ.地域経済・地域社会の活性化」、「ⅱ.気候変動対応・環境保全」、「ⅲ.デジタル化の推進」、「ⅳ.高齢化への対応」、「ⅴ.ダイバーシティの推進」を特に重点的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として設定し、地域の課題解決に向けて取り組んでいます。
加えて、環境、人権およびダイバーシティに関する取り組みを明確化すべく、「グループ環境方針」、「グループ人権方針」、「グループダイバーシティ方針」、「環境・社会に配慮した投融資方針」、「調達・購買ガイドライン」を制定し、各方針に基づき業務運営を行っています。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティを巡る課題を重要な経営課題として認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っています。
≪取締役会による監督体制≫
取締役会は、サステナビリティにかかる議案(方針策定、目標設定や取り組みの進捗状況等)について監督する役割を担っており、サステナビリティ委員会を開催する都度、審議内容を取締役会へ付議・報告することで、取締役会が当社グループの取り組みについて監督する態勢を構築しています。
≪サステナビリティにかかる経営者の役割≫
サステナビリティにかかる事項は、取締役社長が統括します。また、取締役社長はサステナビリティ委員会の委員長としてサステナビリティを巡る課題・対応が事業に与える影響について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、達成状況の管理を統括します。
≪サステナビリティ委員会≫
当社グループは、サステナビリティに関する取り組みの策定・進捗を一元的に管理するとともに、サステナビリティへの取り組みを一層強化するため、取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、半年に1回以上開催しております。
サステナビリティ委員会は、取締役社長を委員長とし、業務執行取締役全員および執行役員全員ならびに経営企画部統括部長、経営管理部統括部長、地域創生部統括部長をもって構成し、必要に応じ子会社の社長や子銀行の担当部署の部長等を参集し、気候変動や生物多様性などの環境問題や人的資本をはじめとしたサステナビリティに関する施策・方針、取り組み状況などについて審議・報告を行っています。
≪サステナビリティにかかる所管部署≫
当社グループは、サステナビリティに関する専門組織(当社に「サステナビリティ統括グループ」、子銀行の常陽銀行および足利銀行に「サステナビリティ推進室」)を設置し、サステナビリティにかかる統括・推進を行っています。
当社サステナビリティ統括グループは、サステナビリティ委員会の事務局を担当するとともに、サステナビリティ戦略にかかる企画・立案および管理を行い、全社的なサステナビリティにかかる事項をサステナビリティ委員会に提言します。
≪グループ内の連携・統制≫
中核事業会社である常陽銀行および足利銀行のほかグループ内会社においては、それぞれの機能に応じた会議体により、当社のサステナビリティ委員会およびサステナビリティ統括グループと連携をとることによりグループ会社全体の統制を図っています。
②戦略
当社グループは、「グループサステナビリティ方針」の制定に際し、社会・経済動向の変化と環境認識を踏まえ、持続可能な地域社会の実現に貢献するため、特に重点的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として次の5項目を設定し、地域の課題解決に向けて取り組んでいます。
(ⅰ)地域経済・地域社会の活性化
(ⅱ)気候変動対応・環境保全
(ⅲ)デジタル化の推進
(ⅳ)高齢化への対応
(ⅴ)ダイバーシティの推進
(注)第3次グループ中期経営計画の個別戦略の詳細は、
当社グループでは、リスク管理を企業価値向上の重要な取り組みと位置付け、ALM・リスク管理委員会を設置しています。
ALM・リスク管理委員会は、取締役社長を委員長とし、業務執行取締役全員および執行役員全員ならびに経営企画部統括部長、経営管理部統括部長、経営管理部バーゼル室長をもって構成し、リスク対応方針やリスク対応議題について、意思決定を図る機関です。ALM・リスク管理委員会の中で、各種リスクについてモニタリングをしており、経営に及ぼす影響の大きさを総合的に判断し、対応方針を決定しています。
なお、サステナビリティにかかる事項は、ALM・リスク管理委員会とサステナビリティ委員会が連携して対応を行い、サステナビリティにかかるリスクのモニタリング・再評価および重要リスクの絞り込みを行ったうえで、グループ戦略に反映しています。
当社グループでは、サステナビリティの取り組みにおいて次の3つの目標を設定しています。
(ⅰ)サステナブルファイナンス
(ⅱ)CO2排出量
(ⅲ)係長以上に占める女性比率
(2) 気候変動への取り組み
当社グループは、地球温暖化・気候変動への対応を優先的に取り組むべき重要な課題として捉え、2021年3月にTCFD提言への賛同を表明しました。パリ協定の目指す脱炭素社会(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする)の実現に向け、「グループ環境方針」、「環境・社会に配慮した投融資方針」、「調達・購買ガイドライン」に基づき、投融資先を含むサプライチェーンへの働きかけや、当社グループのCO2排出量ネット・ゼロに向けた取り組みの展開など、気候変動への対応の強化と情報開示を進めています。
①ガバナンス
ガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般」の「①ガバナンス」を参照してください。
なお、2022年度は、サステナビリティ委員会において「CO2排出量ネット・ゼロに向けたロードマップの策定」、「調達・購買ガイドラインの制定」、「インターナル・カーボンプライシング(ICP)の試行」、「TCFD提言に基づく今後の対応」などについて、審議・報告を行いました。
②戦略
経済の発展は生活や教育などの社会条件によって成り立ち、社会は自然の環境によって支えられております。持続可能な地域社会の実現ならびに地域社会および当社グループの持続的な発展は、環境の維持・保全が大前提となることから、気候変動への対応は、事業戦略上、重要なファクターであると認識しています。
当社グループでは、事業活動に影響を与えると想定される気候変動のリスクと機会について特定し、財務インパクトの評価を実施し、その評価結果を踏まえ、リスクの軽減ないし機会の獲得に向けた対応を進めています。
リスクは、低炭素社会を目指す過程における政策や技術の変化によって生じる移行リスクと、地球温暖化の進行に伴う自然災害の激甚化等によって生じる物理的リスクを特定しています。機会は、脱炭素社会への移行や自然災害の激甚化等へ備えることに伴う各種ビジネス機会を特定しています。
なお、移行リスクについては、国際エネルギー機関(IEA)が策定した1.5℃シナリオ、気候変動に関する政府間パネルが策定した2℃シナリオ、物理的リスクについては、気候変動に関する政府間パネルが策定した4℃シナリオとグループ内外の情報に基づき、事業インパクトと財務影響度を評価しています。
③リスク管理
気候変動リスクは、信用リスクやオペレーショナル・リスクのほか、広範かつ複雑な経路や様々な時間軸を通して波及し、当社グループの事業運営・戦略・財務計画に大きな影響を及ぼす可能性があると認識しています。
当社グループは、グループの事業が気候変動によって受ける影響を把握し、評価するため、気候変動により想定されるリスクの波及範囲を考察し、シナリオ分析を行い、現時点で想定される気候変動のリスクと機会を特定しています。
また、環境・社会に負の影響を与える可能性のあるセクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を定め、環境・社会への影響の低減・回避に向け努めているほか、投融資方針に則り、適切に運営されているかについて定期的にモニタリングを行っています。
④指標と目標
指標と目標については、「(1)サステナビリティ全般」の「④指標と目標」を参照してください。
なお、2022年度の実績は次のとおりとなります。
気候変動への取組に関する詳細は、
(3)人的資本経営への取り組み
①ガバナンス
ガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般」の「①ガバナンス」を参照してください。
なお、2022年度は、サステナビリティ委員会において「人材育成方針」、「社内環境整備方針」、「リスク管理」、「指標と目標」などについて、審議・報告しました。
②戦略
≪人的資本経営の取り組み≫
当社グループの経営理念である「質の高い総合金融サービスの提供を通じ、地域とともに、ゆたかな未来を創り続けます。」を体現し、企業価値向上を図っていくための最大の経営資源は「人材」であるとの考え方のもと、人材育成、社内環境整備に取り組んでいます。
≪人材育成方針・社内環境整備方針策定にあたっての前提(考え方)≫
当社グループでは目指す姿に「地域とともにあゆむ価値創造グループ」(2022年4月策定 長期ビジョン2030)を掲げ、この実現に向けて以下の取り組みを確実に遂行していく方針です。このため、当社グループでは、地域への深い思いや理解に加え、金融の知識にとどまらず多様な角度から地域・お客さまの課題を発掘し、解決に向けて行動できる人材の育成、増強に取り組む必要があると考えています。
(長期ビジョンにおける主な取り組み)
(ⅰ)伝統的銀行領域や総合金融サービス領域といったコアビジネスを強化しながら、その強みを活かした事業領域の拡大に挑戦していく。
(ⅱ)従来の金融サービスの枠組みを超えて地域課題の解決に挑戦し、その取り組みにより得られたノウハウをコアビジネスに還元していくことで、新しい価値を創造していく。
(長期ビジョンの実現に向けた人的資本)
当社グループでは、次のようなスキルを有する人材の育成、増強ならびにこれらのスキルを有する多種多様な人材が、持てる力を最大限発揮し、活躍できる社内環境を整備することで人的資本の充実を図り、長期ビジョンの実現に繋げていきます。
<目指す姿に向けた人的スキル例>
≪人材育成方針≫
お客さまの期待と信頼に応えるための課題解決力の向上に向け、専門的なスキルを有する人材やお客さまの多様化するニーズにお応えし、新たな価値を創造する人材の確保・育成に取り組んでいきます。また、リスキリング機会の充実を図り、将来にわたり事業環境の変化に適応し続けられる人材を増強していきます。
≪社内環境整備方針≫
多様な知見、能力を持った人材一人ひとりが持てる力を最大限発揮することができるよう、次の方針に基づき社内環境を整備します。
■自律的な成長を後押しする組織風土
従業員の自律的な成長やチャレンジを促進するため、「成果と貢献が適切に評価され成長を実感できる」、「従業員が自律的にキャリアを切り拓くことにより新たな価値を創造し続ける」組織風土を醸成します。また、意欲・能力のある従業員が、より高いフィールドで活躍し、輝くことができる環境を整備していきます。
■ダイバーシティ&インクルージョン
一人ひとりが活躍し、持続的に成長できる企業グループであり続けるため、年齢・性別等にかかわらず、従業員それぞれの多様な考え方や経験を活かし、多様性と自律性を備える集団を形成することで、組織力の向上を図っていきます。また、ライフスタイルや就業意識の変化を踏まえつつ、多様な人材が当社グループで長く活躍できるよう、働きやすい職場環境・諸制度の整備を進めていきます。
■健康経営
地域社会・地域経済の発展に貢献していくためには、従業員が心身ともに健康であることが必要不可欠であるとの認識のもと、従業員一人ひとりが健康でいきいきと働くことができ、力を最大限発揮できるよう、健康の保持・増進を支援していきます。
(長期ビジョンと人的資本)

≪足元の取り組み状況≫
1.人材育成にかかる取り組み状況
社内外研修機会の充実、トレーニー派遣・外部からの出向受け入れなどにより、高いスキルと課題解決力を有する人材の育成を進めるとともに、キャリア採用等により即戦力となる外部人材の確保を進めています。また、デジタル化やDXの進展に伴うリスキリング施策の展開や、グループ内子銀行における研修共通化を進めています。
成果の一例として、グループサステナビリティ方針にかかる重要課題(マテリアリティ)の一つとして設定した「デジタル化の推進」に関しては、地域・取引先のDX支援と当社グループのDX推進の土台となる「DXベース人材」(ITパスポート取得者)の早期育成・確保を目的に2024年3月末に3,000名体制とする目標を掲げて資格取得奨励・育成に注力した結果、2022年12月末に、1年以上前倒しで3,000名を突破しました。
2.社内環境整備にかかる取り組み状況
(1)自律的な成長を後押しする企業風土
従業員に対して分野・部門毎に必要とするスキルを明示し、習得したスキルを評価・認定するなどの施策を展開しているほか、従業員が自ら手を挙げて、行内外トレーニーや研修に参画する仕組みの導入や特定部署への公募による配属、各種休日講座・ワークショップの開催、E-ラーニングの拡充など、自律的なキャリア形成を支援し、チャレンジを促進する環境の整備を行っています。
上記のほか、ワークライフバランス充実に向けた諸制度の整備により、従業員が働きがいの充実を感じることができる組織風土の醸成を図っています。
(2)ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループ全体の女性活躍推進をリードし、若手女性従業員のロールモデルになりうる女性リーダーを育成するための「めぶき女性塾」開催をはじめ、女性の活躍機会拡充・上位職登用に向けた取り組みを強化しているほか、休暇・休職制度や時短勤務など、ライフイベントに応じた働き方や仕事と家庭との両立が図れるよう、諸制度の整備や社内全体の理解を深める取り組みを展開しています。
また、多様化する個々人のライフスタイルや価値観にも最大限配慮しつつ、全従業員に早期の自己成長を促し、公平なキャリアアップ機会を提供するとともに、意欲・能力に優れた従業員は、年齢・性別・国籍等にかかわらず登用できるよう、両子銀行において人事制度を改定しました。担当業務の難易度・貢献度に応じた納得性・公平性の高い処遇体系の実現により、全従業員が持てる能力を最大限発揮できるよう、体制を整備しました。
人事制度改定とともに、今後増加していくシニア人材のスキル・経験を活かせる活躍機会の拡充にも取り組んでいます。
(3)健康経営
健康経営宣言に基づき、からだの健康の保持・増進の観点から、疾病の早期発見と重症化および生活習慣病の予防に向け、人間ドックや定期健康診断の実施などに取り組んでいます。新型コロナウイルス感染拡大下においては、ワクチン職域接種を実施して接種の迅速化を図り、一人でも多くの希望者が早期にワクチン接種を受けられるよう対応するなど、感染拡大防止に努めてきました。
併せて、全従業員を対象としたストレスチェックの実施や相談窓口の設置など、心の健康づくりを推進しているほか、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みなど、従業員の心身の健康促進に取り組んでいます。
また、従業員の資産形成面での「豊かな暮らしの実現」は、心身の健康に影響を与えるとともに、従業員と当社グループがともに成長していくために必要不可欠であると考え、従業員向け資産形成支援として、持株会、確定拠出年金をはじめとした福利厚生制度の拡充に取り組んでいます。
③リスク管理
当社グループの事業の進化および事業戦略の遂行にあたっては、「人材」が重要なファクターであり、人的資本に関するリスクについては、対応次第でリスクにも機会にもなりうると認識し、対応しています。人的資本のリスクと機会について、以下の通り認識し、対応を行うとともに、人的資本への投資を強化する必要があると認識しています。
■環境認識等を踏まえたリスク・機会と対応の方向性
④指標と目標
(ア)人材育成
当社グループでは、様々な角度から地域・お客さまの課題を発掘し、解決に向けて行動できるコンサルティング人材の育成・確保を当面注力すべき取り組みと捉えています。
昨今のDX・デジタル化の進展に適応し、当社グループのビジネスモデルの変革やお客さまのDX・デジタル化支援においてベースとなる人材を早急に育成・確保する観点から、第3次グループ中期経営計画において「DX人材・DXベース人材の育成」を目標に掲げ取り組んでいます。
コンサルティング領域は幅が広く、DX関連以外の指標もいくつか考えられますが、当社グループの中核事業は金融業であることを踏まえ、「高度資格保有者(FP1級、中小企業診断士、証券アナリスト保有者ののべ人数)」および「FP2級保有者」を指標としました。このほか、専門人材の育成・確保にあたっては、専門分野に応じた資格を取得することを推奨して取り組んでいます。
※1 デジタルを活用した新たなビジネス創出や業務革新を企画し牽引する本部人材および取引先企業へのDX支援を実行できる人材で、両子銀行ごとに設定された要件により認定された人材
※2 ITパスポート取得者
(イ)人材確保
当社グループの人材ポートフォリオを踏まえると年齢構成に偏りがあるため、持続的な成長に向けては、安定的な「新卒・第2新卒の採用」はもちろんのこと、事業領域の拡大、コンサルティング機能の深化や事業戦略の進展に応じて、戦略遂行に必要なスキルを有する人材の確保が重要と認識しています。その一つとして、高いスキルと専門性を有し、即戦力となる「キャリア採用」を強化していくことから、「キャリア採用人数」を指標として掲げました。
※1 キャリア採用人数÷年間採用人数
(ⅱ)社内環境整備方針にかかる指標と目標
(ア)自律的な成長を後押しする組織風土
当社グループは、従業員一人ひとりが自律的にスキルアップやキャリア形成することで個人および組織が成長し、組織の活性化と強固な組織の構築につながり、経営戦略が実現できると考えています。
従業員が専門的なスキルを身に付け、様々な場面において、様々な角度から専門性を活かすことができるよう、当社グループとして支援し続けることが必要不可欠であることから、従業員が自ら手を挙げて内外の知見を吸収し、成長できる機会である「グループ内外トレーニー派遣数」を目標とするとともに、「公募によるトレーニー、ポストチャレンジ制の応募者数および派遣・配置者数」を指標としました。
また、様々な場面や角度において気づき、専門性を活かすためには、幅広い業務において一定程度のスキルが必要との認識から、「複数分野の研修受講者数」を指標としました。
これらの指標や目標以外にも、各種休日講座・ワークショップの開催、E-ラーニングの拡充など、自律的なキャリア支援・チャレンジを促進する環境の整備を行っています。
※1 従業員が自ら手を挙げ、トレーニーや特定のポジションに応募、派遣・配置した従業員数および比率
※2 様々なカテゴリーの研修に参加した従業員数および比率(パートタイマーおよび休日講座を除く)
(イ)ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループの人材ポートフォリオを踏まえ、外部環境の急速な変化に適応するとともに、価値を創出し、企業理念の体現と企業価値向上を図っていくためには、女性、シニア層、専門性と様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材を起用し、それぞれの特性や能力を最大限発揮できる環境を継続的に整備していくことが必要不可欠と認識しています。
多様な考え方や経験を活かし、組織のマネジメントや意思決定を担う候補者を増やす方策として、女性の活躍機会拡充・上位職登用に向けた取り組みを強化しているほか、休暇・休職制度や時短勤務など、ライフイベントに応じた働き方や仕事と家庭の両立が図れるよう、制度の整備・拡充、社内全体の理解を深める取り組みを展開しています。将来のマネジメント層の人材プール確保状況を示すものとして、「係長以上に占める女性比率」を目標として掲げたほか、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「代理以上に占める女性比率」、「男女の賃金の差異」に加え、「女性の育児休職後の復職者数・復職者率」を指標としました。
多様な人材が働きがいを感じ、多様な考え方や経験を活かすことができる組織を構築することで、新しい価値とイノベーションを創出し、持続的な成長を実現していきます。
※1 産前産後休業、育児休業(育児休業等)から復職した従業員数
※2 育児休業等から復職した従業員の総数÷育児休業等の後復職する予定だった従業員の総数×100
同一コース・同一職位・同一職種の場合、男女の賃金の差異はございません。なお、下表のとおり総体では男女の賃金の差異がありますが、正規雇用労働者については、当社グループの人材ポートフォリオの人員構成・年齢分布および女性の上位職比率が低いがゆえに差異が生じております。また、パート・有期労働者については、管理職以上の従業員を定年後に再雇用する際の雇用形態である嘱託行員など、相対的に給与水準の高い雇用形態の従業員が男性に多いため、差異が生じております。今後、女性の積極的な登用を通じて男女の賃金の差異を解消していきます。
■正規雇用労働者の役職別人員構成(男女の賃金の差異の要因)
■パート・有期労働者の雇用形態別人員構成(男女の賃金の差異の要因)
(ウ)健康経営
当社グループでは、企業が健全であるためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが必要不可欠であると認識しております。保健指導や産業医面談等による従業員の健康保持・増進やメンタルヘルス対応としてカウンセリング窓口を設置するなど、フィジカルヘルス、メンタルヘルスの両面で不調者の早期発見に努めるとともに保健指導などを行っています。
これら健康経営の状況を示すものとして、「平均有給休暇取得日数」、「健康診断受診率」、「特定保健指導対象者率」を指標としました。
なお、常陽銀行と足利銀行は、2023年3月に経済産業省および日本健康会議主催の「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されました。
※1 人間ドックの受診を含む
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載が無い限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当該リスクについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のリスク管理体制のもと、適切に対応しております。
(1) 戦略リスク
①ビジネス戦略
当社グループは、2022年4月から2025年3月までを計画期間とする第3次グループ中期経営計画(以下、「中期経営計画」といいます。)のほか、さまざまなビジネス戦略を実施しております。しかしながら、以下のような要因から、中期経営計画において業績目標としている利益等については、想定した結果を得られない可能性があります。
・中堅・中小企業を中心とした法人、および個人向けの貸出が想定通りに拡大しないこと
・市場金利の変化や競合激化により、貸出利回りが想定通りに推移しないこと
・経済環境の悪化による貸出先の業況悪化等により、与信関係費用が想定通りに推移しないこと
・株式市場の低迷や企業業績の悪化等により、株式等関連損益が想定通りに推移しないこと
・投資信託や保険等の預り資産商品の販売が想定通りに拡大しないこと
・長期金利の変動等により、債券関連損益等が想定通りに推移しないこと
②地域経済の動向に影響を受けるリスク
当社グループは、茨城県、栃木県およびその隣接地域を主な営業地盤としていることから、地域経済が悪化した場合は、業容の拡大が図れないほか、信用リスクが増加するなどして当社の業績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
③競争
金融制度の規制緩和や主要行等の中堅・中小企業向け貸出の強化などにより、一層競争が激化することで、当社グループの競争力が相対的に低下し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
④自己資本比率
・自己資本比率の悪化
当社グループの2023年3月末の自己資本比率は13.32%(連結ベース)です。当社または子銀行の自己資本比率が国内基準で要求される4%を下回る場合は、金融庁から業務の全部または一部の停止等の命令を受けることとなります。
・繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定を含めて繰延税金資産を算出しておりますが、予測・仮定の前提条件が変わることにより、繰延税金資産の全部または一部を回収できない場合には、当社グループの業績及び自己資本比率に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤規制変更
将来における法律、規則、会計基準、政策、実務慣行、解釈等の変更により、当社グループの業績遂行等に影響が発生し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(2) 信用リスク
①不良債権の状況
当社グループの金融再生法ベースの不良債権額(破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権の合計額)は、2023年3月末現在で1,971億円、総与信額に占める割合は、1.55%です。将来の景気、金融政策、地域経済の動向、不動産価格等の変動、当社グループの貸出先の業況の変動等によっては、予想以上に不良債権が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
②貸倒引当金の状況
当社グループは、貸倒による損失の発生状況や貸出先の状況、不動産・有価証券等担保の価値などに基づいて、貸倒引当金を計上しています。貸倒発生の増加、貸出先の業況の悪化、担保価値の下落等により貸倒引当金が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
③貸出先への対応
・中小企業等に対する貸出金について
当社グループは、地元の中小企業及び個人向け貸出金の増強に継続して取り組んでおり、小口化によるリスクの分散を図っておりますが、中小企業の業績や担保不動産の価格、個人の家計等の動向により、当社グループの業績及び財務内容に悪影響が及ぶ可能性があります。
・特定の業種等への取引集中に係るリスク
当社グループは、小口分散化された貸出ポートフォリオの構築を進めてきておりますが、不動産及び製造業に対する貸出金の占める割合が他の業種に比べて高くなっております。今後これらの業種の経営環境が悪化した場合は、不良債権額及び与信関係費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(3)市場リスク
①保有株式のリスク
当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、景気・市場の動向、株式発行体の業績悪化等により株式の価格が下落し、減損処理等の損失発生により、当社の業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
②投資活動に伴うリスク
当社グループは投資活動において、債券、投資信託等を保有するとともに、デリバティブ取引等を行っております。これらは、適切なリスク管理態勢を構築しておりますが、金利、為替、株価及び債券価格の変動リスク等を負っておりますので、当社グループに不利に変動した場合には、減損処理等の損失発生により当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、市場の混乱等により取引が出来ない、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる、あるいは減損処理等の損失発生の可能性があります。
③為替リスク
当社グループの資産及び負債の一部は外貨建てとなっております。これらの外貨建資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、または適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(4) 流動性リスク
内外の経済情勢や市場環境が大きく変化した場合に、当社グループの資金繰りに悪影響を及ぼしたり、通常より高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。
格付機関により当社や子銀行の信用格付が引き下げられた場合には、インターバンク市場における当社グループへの与信限度額圧縮や短期借入金等の調達コストの増加を招き、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(5)オペレーショナルリスク
①システムリスク
プログラムの不備、情報通信機器の故障、外部委託先の役務提供の瑕疵等の内的要因に加えて、災害、コンピューターの不正使用、サイバー攻撃等の外的要因により、当社グループの情報通信システムが停止または誤作動し、業務処理の誤りや遅延、情報の破壊や流出が生じるおそれがあります。この場合、損害賠償やシステムの機能回復等にかかる損失の発生、当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
②事務リスク
当社グループはお客さまとの取引等に伴い膨大な事務処理を行っておりますが、適正な処理が行われなかった場合には、損害賠償責任を負うこと等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
③情報漏洩等
当社グループが管理している顧客情報や経営情報などについて漏洩、紛失、改ざん、不正使用等が発生した場合、損害賠償責任を負うことや社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
④内部管理
コンプライアンスが徹底しないことやリスク管理・内部監査態勢が適切に機能しないこと等により、不祥事件等を防げない場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑤業務委託リスク
当社グループ業務の委託先において、当社グループが委託した業務に関し、事務事故、システム障害、情報漏洩などの事故が発生した場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑥金融犯罪等に係るリスク
当社グループでは、キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融犯罪による被害を防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止を経営の重要な課題と位置付け、管理態勢の強化に取り組んでおります。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦自然災害等のリスク
地震や風水害等の自然災害、犯罪等により、当社グループの有形資産等が毀損することなどで、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、貸出先が被害を受けたり、不動産価格の低下による担保価値の下落の影響を受けることにより、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑧感染症の流行
新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等感染症の流行により、地域の経済活動が停滞し、また、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
⑨風評リスク
当社グループに関する謂れなき風評等により当社グループに対する信頼が低下し業務運営に支障をきたした場合、社会的信用の失墜等によって当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(6) 気候変動リスク
気候変動に伴う異常気象や自然災害等によってもたらされる物理的な被害、気候関連の規制強化や低炭素社会への移行が当社グループ および貸出先の事業や財務状況に及ぼす悪影響等を通し、当社グループの業績及び財務状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(7) その他のリスク
①退職給付に係る資産・負債
当社グループの年金資産の時価下落や、退職給付債務を計算する前提条件の変更などにより、退職給付費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
②固定資産の減損会計
固定資産の減損に係る会計基準および適用指針を適用し、所有する固定資産に損失が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
③財務報告に係る内部統制に関するリスク
当社は、金融商品取引法に基づき財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を内部統制報告書において開示しております。
当社グループは、自らの事業活動全体が効率的かつ適正に行われ、財務報告の信頼性が確保できるよう適切な内部統制の構築に努めておりますが、予期しない重要な不備が発生した場合や、監査人より財務報告に係る内部統制が十分に機能していないと評価された場合は、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
④持株会社のリスク
当社は銀行持株会社であるため、当社の収入の大部分を傘下の子銀行から受領する配当金に依存しております。一定の状況下で、様々な規制上または契約上の制限により、その金額が制限される場合があります。また、子銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対する配当の支払が不可能となる可能性があります。
⑤外的要因によるリスク
特定地域が抱える政治的、軍事的、社会的な緊張の高まりなどの地政学的リスクの顕在化に伴い、世界経済の停滞等を通じてお取引先の経営環境が悪化した場合は、当社グループの不良債権残高や与信関係費用が増加し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、銀行業務を中心とした総合金融サービスを提供しております。当社グループが営む銀行業務以外の事業については重要性が乏しいことから、セグメント情報の記載を省略しております。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの連結業績は、経常収益が前連結会計年度比613億66百万円増加の3,294億57百万円となり、経常費用が前連結会計年度比797億27百万円増加の2,828億25百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度比183億60百万円減少の466億31百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比107億81百万円減少の321億76百万円となりました。
また、包括利益は前連結会計年度と比べ299億51百万円の減少となりました。
当社グループの連結財政状態につきましては、総資産が、日本銀行への預け金の減少および有価証券の減少等により、前連結会計年度比2兆7,380億円減少し21兆3,874億円となり、純資産はその他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度比542億円減少し9,047億円となりました。
主要勘定の残高につきましては、預金は、個人預金を中心に前連結会計年度比3,115億円増加の17兆1,372億円、貸出金は、法人向け、公共向け貸出を中心に増加したこと等により前連結会計年度比6,988億円増加の12兆4,361億円、有価証券は、相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組んだ結果、前連結会計年度比1兆199億円減少の3兆6,623億円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加や日本銀行からの借用金の減少等により、3兆3,680億円の支出(前連結会計年度は1兆2,321億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却が取得を上回ったことを主因に9,224億円の収入(前連結会計年度は3,585億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得及び配当金の支払いによる支出等により166億円の支出(前連結会計年度は318億円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ2兆4,623億円減少し、4兆8,023億円となりました。
(参考)
(1) 国内・国際業務部門別収支
資金運用収支については、国内業務部門で1,388億42百万円、国際業務部門で100億71百万円、全体では1,489億13百万円となりました。
また、役務取引等収支については、国内業務部門で456億25百万円、国際業務部門で69百万円、全体では426億76百万円となりました。
(注)1 「国内」「海外」の区分に替えて、「国内業務部門」「国際業務部門」で区分しております。
国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去及び国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借利息を計上しております。
3 資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)を控除して表示しております。
資金運用勘定の平均残高は、国内業務部門で18兆1,794億円、国際業務部門で1兆1,212億円となり、合計で17兆8,740億円となりました。また、利回りは、国内業務部門が0.77%、国際業務部門で2.79%となり、全体で0.95%となりました。
一方、資金調達勘定の平均残高は、国内業務部門が21兆1,986億円、国際業務部門が1兆842億円となり、合計で21兆5,856億円となりました。また、利回りは、国内業務部門が0.00%、国際業務部門が1.95%となり、全体で0.10%となりました。
(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4,707,461百万円、当連結会計年度4,207,823百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,000百万円、当連結会計年度2,702百万円)及び利息(前連結会計年度△0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
(注)1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、銀行業以外の連結子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国際業務部門は、当社及び連結子会社の外貨建取引であります。
3 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度3,835百万円、当連結会計年度2,889百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度1百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
(注)1 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去並びに国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息を計上しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4,711,294百万円、当連結会計年度4,210,713百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度2,002百万円、当連結会計年度2,704百万円)及び利息(前連結会計年度0百万円、当連結会計年度0百万円)をそれぞれ控除して表示しております。
役務取引等収益は、国内業務部門が613億24百万円、国際業務部門が4億45百万円となり、合計で569億43百万円となりました。
一方、役務取引等費用は国内業務部門が156億99百万円、国際業務部門が3億75百万円となり、合計で142億66百万円となりました。
(注)1 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。
特定取引収益は、国内業務部門で商品有価証券収益47百万円、特定金融派生商品収益に3億9百万円、国際業務部門で商品有価証券収益に15億33百万円計上いたしました。特定取引費用は、ありません。
(注)1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
特定取引資産は、国内業務部門で商品有価証券に12億79百万円、特定金融派生商品に26億82百万円計上いたしました。
特定取引負債は、国内業務部門で特定金融派生商品に11億22百万円計上いたしました。
(注)1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
2 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。
○ 預金の種類別残高(末残)
(注)1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
3 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
4 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注)「国内」とは、当社及び連結子会社であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、「銀行等金融機関の資産の自己査定並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号2012年7月4日)に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしております。ただし、前連結会計年度及び当連結会計年度の外国政府等向け債権残高は該当ありません。
(7) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注)1 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
2 国内業務部門は当社及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当社及び連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引及び特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 相殺消去額は、連結会社間の相殺消去額を計上しております。
(8)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社常陽銀行及び株式会社足利銀行の2行であります。
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
また、当社グループは、銀行業務を中心とした総合金融サービスを提供しております。当社グループが営む銀行業務以外の事業については重要性が乏しいことから、経営成績等の状況に関する分析・検討内容の記載を省略しております。
①財政状況
(ⅰ)主要勘定の状況
当連結会計年度末の預金等(譲渡性預金を含む)及び貸出金の残高は、新型コロナの感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、当社の第3次グループ中期経営計画の基本戦略である「地域を支えるビジネスモデルの追求」に注力した結果、いずれも増加いたしました。
うち、預金等の残高は、個人預金を中心に前連結会計年度末に比べ、3,721億円増加(増加率2.1%)となる17兆5,085億円(うち預金は17兆1,372億円)となりました。また、貸出金の残高は、法人向け、公共向け貸出を中心に増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6,988億円増加(増加率5.9%)となる、12兆4,361億円となりました。
また、有価証券の残高は、相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組んだ結果、前連結会計年度末に比べ1兆199億円減少となる3兆6,623億円となりました。
(単位:百万円)
なお、当連結会計年度末における連結ベースのリスク管理債権残高は、1,971億円で、前連結会計年度末に比べて44億円増加となりました。
(単位:百万円)
(ⅱ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当社の第3次グループ中期経営計画の基本戦略である「地域を支えるビジネスモデルの追求」への取り組み等により、貸出金の増加や日本銀行からの借用金の減少等により、3兆3,680億円の支出(前連結会計年度は1兆2,321億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、相場動向に応じた適切な有価証券ポートフォリオ運営に取り組み、ポートフォリオのリバランスを実施した結果、有価証券の売却が取得を上回ったことを主因に9,224億円の収入(前連結会計年度は3,585億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得(総額50億円)及び配当金の支払いによる支出等により166億円の支出(前連結会計年度は318億円の支出)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度末に比べ2兆4,623億円減少し、4兆8,023億円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりです。
当面の設備投資、成長分野への投資ならびに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。
また、当社グループは正確な資金繰りの把握及び資金繰りの安定に努めるとともに、適切なリスク管理体制を構築しております。貸出金や有価証券の運用については、大部分をお客さまからの預金にて調達するとともに、必要に応じて日銀借入金やコールマネー等により資金調達を行っております。なお、資金の流動性の状況等については定期的にALM・リスク管理委員会ならびに取締役会に報告しております。
次連結会計年度において計画している重要な設備の新設等及び資金調達方法は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 新設、改修」に記載のとおりです。今後の配当を含む株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
②経営成績
(ⅰ)経営戦略
当社グループでは、長期ビジョン2030に掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」の実現に向け、2022年度より「第3次グループ中期経営計画」(計画期間:2022年度から2024年度までの3年間)をスタートしました。「地域を支えるビジネスモデルの追求」、「持続可能な経営基盤の構築」、「人材の育成・活躍促進」の3つの基本戦略のもと諸施策を展開いたしました。
「地域を支えるビジネスモデルの追求」では、法人分野において、子銀行である常陽銀行、足利銀行(以下、常陽銀行と足利銀行をあわせて「両子銀行」といいます。)を中心に、取引先事業者の資金繰りなど金融面の支援に留まらず、持続的な成長と地域の環境・社会課題の解決の両立(サステナビリティ)に向けた対話等に基づく支援メニューの充実を図りました。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する新たなWEBサービスを開始するなど、コンサルティング機能の強化に加え、取引先事業者のサステナビリティに向けた取組み支援の強化にも注力しました。さらに、スタートアップ企業との協業による事業創出、地域のカーボンニュートラルに資する事業や地元企業との協業による地域商社事業を展開する子会社を設立するなど、事業領域の拡大にも取り組みました。
個人分野では、2021年3月に両子銀行でリリースした「バンキングアプリ」の利便性向上に向けた各種取引機能の追加とともに利用者拡大に取り組んだ結果、ユーザー数はリリース後2年間で85万先超に伸長しました。資産運用の面では、ライフプランコンサルティング強化に向けた営業体制の見直し、ご相談窓口となる店舗の営業時間延長やオンライン相談サービスの取扱い開始など、資産形成や多様な資産運用ニーズにお応えしました。さらに、高齢社会における金融ジェロントロジーの知見を活用した取組みでは、高齢者のデジタルデバイド解消やデジタルライフの充実に向けた総合サポートの実施、非金融分野を含めたサービスの拡充を行うなど、地域の皆さまが安心して暮らし続けることができる取組みを展開いたしました。
「持続可能な経営基盤の構築」では、グループ共通の「DX戦略ロードマップ」を策定し、ペーパーレスの進展、デジタルチャネルの利便性向上やデータ利活用の高度化などに取り組みました。業務のデジタル化をはじめとしたDX基盤強化、取引先事業者へのDXコンサルティングサービスの提供、両子銀行における融資契約手続きの電子化サービスの導入を図るなど、お客さまの利便性向上と高品質なサービス提供及び業務効率化に取り組みました。
また、気候変動リスクへの対応をはじめとした持続可能な社会の実現に向け、2030年にCO2排出量をネット・ゼロとするロードマップを策定し、両子銀行の本店を含む5ヵ所のビルにおいて再生可能エネルギーの利用を開始しました。さらに、環境や社会に配慮した責任ある購買活動に努めるべくグループ共通の「調達・購買ガイドライン」を制定するなど、当社グループの持続的成長と企業価値向上の好循環に向けた取組みを着実に進展させました。
「人材の育成・活躍促進」では、両子銀行の「ダイバーシティ推進室」において、多様な人材がより一層活躍できる環境の整備を進めました。従業員のスキルアップや自己成長、そして地域社会への多面的な貢献を目的とした副業制度の導入、不妊治療と仕事との両立支援制度を拡充するなど、働きがいの充実に向けた環境整備に取り組みました。また、ITパスポート資格の取得促進やDX認定制度に基づく研修プログラムを開催するなど、地域のDXを牽引する人材育成の強化にも取り組みました。
(ⅱ)損益の状況
当社グループにおける当連結会計年度の損益の状況は以下のとおりです。
(ア)損益概要
当社グループの連結粗利益は、コンサルティング機能強化により「役務取引等利益」が増加した一方、国債等債券損益が減少したことを主因として、前連結会計年度比762億16百万円減少の1,183億48百万円となりました。経常利益は、与信関係費用及び営業経費の減少、株式等関係損益が増加したこと等により、前連結会計年度比183億60百万円減少となる466億31百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比107億81百万円減少し、321億76百万円となりました。
(イ)資金利益
貸出金は、法人向け、公共向け貸出を中心に増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ貸出金残高が6,988億円増加(増加率5.9%)したこと等により、貸出金利息は前連結会計年度比36億6百万円増加となる1,100億18百万円となりました。有価証券利息配当金は、運用利回りの改善を主因として前連結会計年度比104億96百万円増加となる554億91百万円となった一方、預け金利息は、日本銀行への預け金の減少を主因として前連結会計年度比18億17百万円減少となる48億17百万円となりました。資金調達費用は、海外金利上昇に伴う外貨調達費用の増加等により前連結会計年度比187億98百万円増加となる222億10百万円となりました。
これらの結果、資金利益は前連結会計年度比61億36百万円減少となる1,489億13百万円となりました。
(ウ)役務取引等利益
「地域を支えるビジネスモデルの追求」に取り組むなか、コンサルティング営業体制の強化によりビジネスマッチングや事業計画策定支援関連の手数料が増加しました。また、取引先とのデリバティブ取引が好調であったこと等から、役務取引等利益は前連結会計年度比23億94百万円増加し427億3百万円となりました。
(エ)その他業務利益
相場動向に応じた適切なポートフォリオ運営に取り組み国内外の債券等の入れ替えを行った結果、金融派生商品収益の増加等により、その他業務収益は前連結会計年度比132億66百万円増加となる164億56百万円となりました。一方、その他業務費用も、国債等債券売却損の増加を主因として、前連結会計年度比830億99百万円増加となる916億16百万円となりました。この結果、その他業務利益は前連結会計年度比698億33百万円減少し751億60百万円の損失となりました。
(オ)営業経費
営業経費は、「持続可能な経営基盤の構築」に取り組むなかで店舗ネットワーク最適化等を進めた結果、減価償却費が減少したほか、退職給付費用が減少したこと等により、前連結会計年度比76億7百万円減少となる1,070億16百万円となりました。
(カ)与信関係費用
与信関係費用は、企業倒産の落ち着いた状況が継続していることを背景とした貸倒引当金繰入額の減少等により、前連結会計年度比107億44百万円減少し108億53百万円となりました。
(キ)株式等関係損益
相場動向に応じた適切な有価証券ポートフォリオ運営に取り組みポートフォリオのリバランスを実施したほか、政策保有株式の縮減にも積極的に取り組んだ結果、株式等関係損益は前連結会計年度比403億15百万円増加し、438億57百万円となりました。
(注) 連結粗利益=(資金運用収益-(資金調達費用-金銭の信託運用見合費用))+(役務取引等収益+信託報酬-役務取引等費用)
+(特定取引収益-特定取引費用)+(その他業務収益-その他業務費用)
(ⅲ)経営成績
これらの取り組みの結果、当連結会計年度における経営成績は、以下のとおりとなりました。
(注) 1. 連結ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷((期首自己資本※1+期末自己資本※1)÷2)
※1 自己資本=純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分
2. コアOHR = 経費÷(業務粗利益※2-国債等債券損益)
※2 業務粗利益は、投信解約損益及び先物・オプション損益を除いて算出しております。
当社グループは、長期ビジョン2030で目指す姿として掲げた「地域とともにあゆむ価値創造グループ」を実現すべく、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域といったコアビジネスを強化しながら、その強みを活かした事業領域の拡大に取り組んでおります。従来の金融サービスの枠組みを超えて地域課題の解決に挑戦し、その取組みにより得られたノウハウをコアビジネスに還元していくことで、新しい価値を創造してまいります。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号。)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。また、当連結会計年度末より、バーゼルⅢ最終化を早期適用しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を採用し、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社常陽銀行及び株式会社足利銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(注)上記は自己査定に基づき、与信関連債権の査定結果を記載しております。
なお、金額は単位未満を四捨五入しております。
「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当社は、当社の直接出資子会社との間で、当社が行う経営管理について、「経営管理業務委託契約書」及び「経営管理業務委託契約書に関する覚書」を締結しております。
該当ありません。