第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

  当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

 当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使して、『人』+『サイバー・フィジカル空間』の融合、すなわち、人とテクノロジーが一緒になって支え合うテクノピア・サポートの未来社会「Society5.0/5.1」の実現、サイバニクスによる社会変革・産業変革を目指しています。

 当社グループは、IoH(Internet of Humans)/IoT、ロボット、AIによるサイバニクス技術で医療、福祉、生活・職場、生産を繋ぎ、社会が直面する課題解決を実現するサイバニクス産業の創出を事業としています。当社の先端技術の独自性と優位性は、人の外的情報(行動情報・生活情報など)に加えて、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)を、医療、福祉、生活・職場、生産を繋ぎ一体的に扱う点にあります。当社のデバイスやインターフェースは、全てIoH/IoT化されており、それらを介することによって、脳神経系、生理系、身体系、行動系、生活系、環境系からスーパーコンピュータまでを一体的に繋げることが可能になります。当社グループは、現在、社会が直面する課題解決を実現するサイバニクス産業の創出の更なる加速に向けて、研究・製品開発、事業推進、事業連携を同時並行で進めています。

 

研究・製品開発の状況

 当社グループでは、脳卒中や心筋梗塞等の循環器系疾患の予防・診断に取り組んでおり、その主たる原因である動脈硬化・不整脈を早期に捉えることを目的とした手のひらサイズの小型バイタルセンサー「心電脈波検査装置 VS-AS01」を開発し、2018年12月に厚生労働省より医療機器としての製造販売承認を取得しました。本製品を用いた血管伸展性検査は2019年1月に公的な医療保険適用となりました。現在、量産・販売に向けた準備を進めています。また、微細血管情報の解析のための光音響イメージングや、各種バイタル情報のセンシングデバイスの研究開発を進めています。

 生体電位信号をはじめとする各種生体情報の解析・処理を行うセンシングデバイスであるCyin®は、その高度なセンシング技術をまず福祉分野で応用し、神経・筋難病など重度の疾患などにより発話や身体動作が著しく困難な方であっても、意思伝達やナースコールなどさまざまな環境制御機器の操作を可能にする重度障害者用意思伝達装置「Cyin®福祉用」の一般販売を2018年9月に開始しています。今後、Cyin®は研究用などへの展開を見込んでいます。

 更に、当社グループは、世界最高水準の自律走行と清掃能力を持つ、次世代型清掃ロボット(CL02)を製品化し、2018年3月より展開しています。本製品は、AI・ビジョンシステムによる最先端の自律走行技術・環境認知技術を搭載しており、今後、この自律走行技術を、搬送ロボットなどに加え、高齢者の移動、車椅子からの移乗、排泄支援ロボット、見守りロボットなどへ応用する見込みです。

 その他、高齢者や障がい者向けの自立支援ロボットとしては、歩行機能を維持向上するための衣服型HAL、バイタル・環境情報を取得しつつ会話機能を備えてADL(日常生活動作)を維持向上するための見守り・コミュニケーションロボット、歩行困難な方のためのトイレドッキング型排泄支援ロボットなどの研究開発を進めています。

 

事業推進の状況

(医療分野)

 当社グループは、脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療をグローバルな標準治療とする取り組みを進めています。

 日米で約8百万人の脳卒中患者への適用拡大に向けて、「HAL®医療用下肢タイプ単脚モデル」の多施設(日本の15の医療機関)での医師主導治験が進行しています。適用身長の拡大に向けては、2Sサイズを開発し、当局と医療機器化に向けた協議を進めています。さらに、超軽量・コンパクトで肘・膝関節に対応した「HAL®単関節タイプ」についても、脳卒中急性期の治療を目的として京都大学医学部附属病院を研究開発代表機関とする医師主導治験に向けた準備が進められています。

 グローバル展開に向けては、医療用HAL®が、2017年12月にFDA(米国食品医薬品局)より、歩行機能の改善において医学的治療効果が認められる医療機器として市販承認を取得したことを契機に、当社グループは欧米に加えてアジアでの事業展開を加速しています。また、医療用HAL®以外の製品についても、グローバルでの認証・承認取得の準備を進めています。

 米国では、全米有数のリハビリテーション医療グループであるBrooks Rehabilitation(以下、Brooks)との合弁会社CYBERDYNE & BROOKS,Inc.を設立し、2018年3月に、フロリダ州ジャクソンビルにBROOKS CYBERNIC TREATMENT CENTERを開設し、米国内におけるサイバニクス治療の普及と人材育成の拠点形成を進めています。さらに、全米での事業展開加速を目的として、米国事業を統括する経営人材を選定し、営業体制を強化する準備を進めています。

 欧州では、ドイツにおいて治療サービス事業を継続しており、公的労災保険に加えて、公的医療保険への適用拡大を目指し、各種取り組みを進めています。営業面では、2017年に導入済みのポーランドの医療機関に加えて、2018年11月にはイタリアの脳神経系疾患の治療研究に特化した医療機関(San Girolamoセンター)への導入が完了しました。

 欧米以外においては、2017年に導入済みのサウジアラビアに加えて、APAC(アジア太平洋地域)の医療機関においても導入に向けた協議が進んでいます。2018年11月には、マレーシアの政府機関である社会保障機構の医療機関(SOCSOリハビリテーションセンター)が、医療用HAL®及びその他のHAL®(単関節タイプや腰タイプ)合計24台(単一の医療機関における最多導入数)を導入し、運用を開始しています。

 

(福祉分野)

 当社グループは、要介護者の自立度やQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上に向けて、下肢に障がいがある方や脚力が弱くなった方の下肢機能向上の促進を目的とする「HAL®自立支援用下肢タイプPro」や、足腰などが弱った方の体幹・下肢機能向上の促進を目的とする「HAL®腰タイプ自立支援用」を展開しています。日本政府は2018年10月の未来投資会議において、次回介護報酬改定で自立支援のインセンティブ強化の方針を示しており、今後、当社も自立支援に向けた新製品を展開していく計画です。

 また、各地域の有力施設との協働により、HAL®を使用したフィットネストレーニング事業(HAL FIT®)も強化しています。2018年10月には、特定非営利活動法人永寿と連携し、国内5箇所目となる大阪ロボケアセンターを開設し、2018年12月には、日本車いすスポーツ協会と連携し、浦安ロボケアセンター(千葉県)を開設しており、今後、全国主要都市へ展開する計画です。

 

(生活・職場分野)

 作業者の腰部負荷低減による労務環境改善に向けて、大口ユーザーを中心に防塵・防水対応の「HAL®腰タイプ作業支援用(LB03)」の導入が進んでいます。次世代型清掃ロボット(CL02)は、三井不動産系の商業施設(ダイバーシティ東京 プラザ、ららぽーと豊洲など)及び住友商事系のオフィスビル(住友商事大阪本館、住友商事名古屋ゲートタワーなど)、空港での導入が進んでいます。

 

事業連携の状況

 当社グループは、社会実装のための仕組みづくりとして、保険会社との事業連携を推進しています。AIGジャパン・ホールディングス株式会社は、2017年10月より、下肢機能に障がいを有する50名の小中高生に、HAL®を使用した歩行機能向上促進プログラムを提供してきました。2019年1月より、AIG損害保険株式会社が、同社の自動車保険又は法人向け傷害保険の被保険者向けに、HAL®の利用プログラムを無償(当初10回分)で提供するサービスを開始しています。

 また、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行っており、2018年7月には、サイバニクス産業の創出を更に大規模に加速することを目的として、スタートアップの支援・育成の新たな産業インフラとなるCEJファンド(サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合)を設立し、運用を開始しています。

 

製品稼働状況について

 医療分野においては、医療用HAL®は、国内外の主要病院を中心に展開しており、2018年12月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて277台(内、国内レンタル74台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、臨床研究を目的として日本国内の病院を中心に導入されており、2018年12月末時点で252台が稼働中です。

 福祉分野においては、日本国内の福祉施設や病院等でHAL®自立支援用下肢タイプProが増加したものの、旧モデルとなるHAL®福祉用下肢タイプの耐用年数経過に伴う廃棄があり、HAL®福祉用等の下肢タイプは、2018年12月末時点の稼働台数は354台となっています。また、HAL®腰タイプ自立支援用は、2018年12月末時点で110台が稼働中です。HAL®腰タイプ介護支援用は、2018年12月末時点で788台が稼働中です。

 生活・職場分野では、HAL®腰タイプ作業支援用は、新モデル(LB03)の空港・工場・倉庫などへの導入が順調に推移し、2018年12月末時点において558台が稼働中です。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2018年12月末時点において38台が稼働中です。

 

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は医療用HAL®を中心にレンタル売上等増加の影響等により、1,234百万円(前年同期比6.0%増加)を計上しました。売上総利益は、粗利率が71.8%と前年同期比1.8ポイント向上した結果、886百万円(同8.6%増加)となりました。

研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により693百万円(同11.7%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費は851百万円(同2.4%増加)を計上しました

その他の収益は、受託研究事業収入などにより286百万円(同15.8%増加)を計上、その他の費用6百万円(同568.4%増加)を計上した結果、営業損失は12百万円改善し、378百万円(同3.0%減少)を計上しました。

また、金融収益は投資有価証券評価益などにより197百万円を計上、CEJファンドに係る損益37百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより49百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する四半期損失は181百万円改善し、208百万円(同46.6%減少)を計上しています。

 

なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しております。2019年3月期第3四半期(2018年10月1日~2018年12月31日)において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益172百万円を「金融収益」として計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用50百万円を「法人所得税費用」として計上した結果、「四半期利益」に与える影響額は122百万円となります。

 

(2)財政状態の分析

①  資産

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度比257百万円減少し、46,342百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が11,215百万円、棚卸資産が326百万円、その他の金融資産(非流動)が392百万円、その他の流動資産が29百万円増加したものの、その他の金融資産(流動)が12,004百万円、営業債権及びその他の債権が131百万円減少したこと等によるものです。

 

②  負債

当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末比400百万円増加し、1,324百万円となりました。これは主として、その他の流動負債が235百万円、営業債務及びその他の債務が39百万円減少したものの、CEJファンドにおける外部投資家持分が573百万円、繰延税金負債が100百万円増加したこと等によるものです。

 

③  資本

当第3四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末比657百万円減少し、45,017百万円となりました。これは、主として、その他の資本の構成要素が592百万円、親会社の所有者に帰属する四半期損失の計上等に伴い利益剰余金が73百万円減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11,215百万円増加し22,035百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、545百万円の資金流出(前年同四半期累計期間は6百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費を322百万円計上、営業債権及びその他の債権の減少による資金流入131百万円を計上したものの、税引前四半期損失169百万円を計上、金融収益を197百万円計上、棚卸資産の増加による資金流出326百万円を計上したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、11,111百万円の資金流入(前年同四半期累計期間は1,857百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資の取得による支出18,000百万円、投資有価証券取得による支出618百万円、有形固定資産の取得による資金流出271百万円を計上したものの、投資の償還による収入30,000百万円を計上したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、650百万円の資金流入(前年同四半期累計期間は17百万円の資金流出)となりました。これは主に、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入660百万円によるものです。

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は693万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

  3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。