当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使して、『人』+『サイバー・フィジカル空間』の融合、すなわち、人とテクノロジーが一緒になって支え合うテクノピア・サポートの未来社会「Society5.0/5.1」の実現、サイバニクス産業の創出による社会変革・産業変革を目指しています。
「サイバニクス産業」創出の推進
当社グループは、IoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、ロボット、AIなどによるサイバニクス技術で医療、福祉、生活、職場、生産を繋ぎ、社会が直面する課題解決を実現する「サイバニクス産業」という人・ロボット・情報系が複合融合した新産業の創出を事業としています。当社の先端技術の独自性と優位性は、医療、福祉、生活、職場、生産の分野において、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)に加えて、人の外的情報(行動情報・生活情報など)や環境情報をスーパーコンピュータで一体的に繋げる点にあります。これにより、当社のデバイスやインタフェースで得られた全てのIoH/IoTビッグデータ(脳神経系、生理系、身体系、行動系、生活系、環境系)の集積・解析・AI処理等を実現してまいります。当社グループは、「サイバニクス産業」の創出の加速に向けて、研究・製品開発、事業推進並びに事業連携を同時並行で進めています。
事業推進の状況
≪新型コロナウイルス感染症による影響≫
当第3四半期連結会計期間においては、上期のロボケア事業やドイツでの治療サービス事業の一時的な休止、新規の商談・契約・出荷の一時的な遅延(特に医療機関向け)や、空港向けのHAL®腰タイプ作業支援用のレンタル減少による、売上への短期的な影響が継続しています。
一方で、当社グループは、新型コロナウイルス感染症という新たな社会課題や社会構造の変化を、「サイバニクス産業」を加速させる機会と捉え、「遠隔」「在宅」「デジタル」をキーワードとして、『人』+『サイバー・フィジカル空間』の融合を推進しています。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う外出自粛による運動機会喪失による身体機能の低下リスクを抱える高齢者のフレイル対策として、2020年4月に非接触型の新しい在宅サービス「自宅でNeuro HALFIT」を開始し、2020年11月にはHAL®がクラウドとデータ連動することで生体電位信号や姿勢情報を可視化するHALモニターや専門スタッフによる遠隔でのオンラインサポートを追加しました。また、次世代型清掃ロボット(CL02)については除菌剤噴霧ユニットや紫外線照射ユニットなどの除菌機能を追加し、2020年3月の羽田空港への導入に続き、成田空港、公共施設、オフィスビル等で稼働しております。
≪医療分野≫
当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療とする取り組みを進めています。
医療用HAL®「下肢タイプ」については、日本の脳卒中患者への適応拡大に向けた医師主導治験が2020年12月に完了し、今後は治験結果を踏まえ、適応拡大に向けた医療機器申請を予定しています。また、2017年12月の米国食品医薬品局(FDA)による医療機器承認(脊髄損傷のみ)を契機にAPAC(アジア太平洋)の主要国での医療機器化を推進しており、マレーシア、タイ、インドネシアに続き、台湾(脊髄損傷のみ)、オーストラリア、シンガポール、トルコにおいて、脳卒中、脊髄損傷、神経筋難病等の幅広い疾患で医療機器承認・認証を取得しました。また、2020年10月には、米国FDAより、医療用HAL®の対象疾患について、これまでの脊髄損傷に加えて、脳卒中及び神経筋難病への適応拡大が承認されました。
HAL®「単関節タイプ」については、2019年10月に欧州における医療機器の認証を取得していますが、2020年7月に日本でも医療機器としての認証を取得し、同年8月には脳血管疾患などのリハビリテーションに対して運動量増加機器として保険適用が決定しました。欧州や日本に続いて、米国やAPACの主要国(タイ、インドネシア、台湾、オーストラリアなど)でも医療機器化の準備を進めています。
≪福祉分野≫
当社グループは、主に高齢者の要介護度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。
(施設型サービスの展開)
HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促す「Neuro HALFIT」プログラムを提供するロボケア事業は、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働により、全国16箇所で展開しています。また、2020年11月には、エムスリーグループの株式会社ワイズと事業提携し、同社が運営する生活期の保険外リハビリ最大手「脳梗塞リハビリセンター」でもHAL®単関節タイプ・腰タイプを利用した専用プログラムをご利用いただけるようになりました。
(個人向けサービス「自宅でNeuro HALFIT」の展開)
2020年4月より個人向けレンタルとして非接触型の新しい在宅サービス「自宅でNeuro HALFIT」の提供を開始しました。本サービスの本格展開にあたり、2020年11月には、サイバーダインのクラウドとデータ連動することで身体動作を指令する生体電位信号や姿勢情報等を可視化するHALモニターによって、装着者自身が視覚的にフィードバックを得ることができるだけでなく、セラピストやトレーナーなどの専門スタッフによる遠隔でのオンラインサポートが可能になりました。同時に、当該サービスのオンラインストア「CYBERDYNE STORE」をオープンし、個人の利用者様へのアクセスを容易にいたしました(2020年12月末時点で累計契約65件)。2021年2月より、関東圏でテレビCMを開始するなど、今後更なる認知度向上と普及を図ってまいります。
≪生活・職場分野≫
(作業支援用HAL)
防塵・防水対応の「HAL®腰タイプ作業支援用(LB03)」は、作業者の腰部負荷低減による労務環境改善に向けて空港、建設、物流などの大口ユーザーへの導入を進めています。また、令和2年7月豪雨で甚大な被害を受けた熊本県及び大分県のボランティアの方の作業負荷軽減のため、更に12月の大雪被害で通行止めとなった関越自動車道でのNEXCO東日本のグループ会社の作業員の方の除雪作業の負荷軽減のため、HAL®腰タイプ作業支援用を無償貸与し、災害復旧活動に貢献しています。
(自律走行ロボット)
世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット(CL02)は、商業施設やオフィスビル及び国際空港(成田10台、羽田8台)で本格運用されています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に対応して、2020年3月にCL02に消毒液噴霧器を搭載した自律走行ロボットの展開を開始し、羽田空港・成田空港、公共施設、オフィスビル等で運用されています。2020年5月には日本信号株式会社との協業を開始し、駅や駅ビルなどの交通インフラ施設にCL02の展開を進めています。さらにエレベータを自動昇降するためのマルチベンダー対応エレベータ連動ユニットを開発し、2020年8月に株式会社東急コミュニティーと共同実証を開始しています。
研究・製品開発の状況
疾病の予防・早期発見を目的とした小型バイタルセンサーについては、動脈硬化・不整脈を早期に捉えることを目的とした手のひらサイズの動脈硬化計に対してユーザビリティを高める新機能追加などを進めています。また、心電等の各種バイタル情報の小型センシングデバイスや、微細血管情報のリアルタイム解析のための光音響イメージングの研究開発を進めています。
また、当社グループは、高齢者や障がい者向けの自立支援ロボットとしては、歩行機能を維持向上するための衣服型HAL、バイタル・環境情報を取得しつつ会話機能を備えてADL(日常生活動作)を維持向上するための見守り・コミュニケーションロボット、歩行困難な方のためのパーソナルモビリティロボットなどの研究開発を進めています。さらに、サイバニクス技術を搭載した各種サイバニクスデバイスから得られたIoH/IoTビッグデータの集積・解析・AI処理等を行う統合サイバニクスシステムの開発も進めており、2020年11月にはサイバーダイン・クラウドをリリースしました。
なお、川崎市殿町(キングスカイフロント)における革新的医療産業創出推進拠点の(仮称)サイバニクスA棟建設計画については、2020年12月に着工し、2022年2月の竣工を予定しています。
製品稼働状況について
医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増台により、2020年12月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて340台(内、国内レンタル契約81台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、2020年12月末時点で363台が稼働中です。
HAL®福祉用等の下肢タイプは、耐用年数経過機体の廃棄があり、2020年12月末時点の稼働台数は342台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、旧モデル廃棄があったものの、個人向けレンタルが増加し、2020年12月末時点で1,005台(内、個人向けレンタル契約31台)が稼働中です。
HAL®腰タイプ作業支援用は、空港向けのレンタル減少等により介護・自立支援用への転用を進めた結果、2020年12月末時点の稼働台数は515台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2020年12月末時点において97台が稼働中です。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は、商品及び製品の販売売上等が増加したものの、新型コロナウイルス感染症の影響によるトレーニングサービス売上等の減少のため、1,247百万円(前年同期比1.4%減少)を計上し、売上総利益は858百万円(同6.8%減少)を計上しました。
研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により510百万円(同9.4%減少)を計上、その他の販売費及び一般管理費は958百万円(同0.2%減少)を計上しました。
その他の収益は、受託研究事業収入などにより116百万円(同66.1%増加)を計上、その他の費用3百万円(同56.0%減少)を計上した結果、営業損失は498百万円(同7.8%減少)を計上しました。
また、金融収益は投資有価証券評価益などにより565百万円を計上、CEJファンドに係る損益334百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより328百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は81百万円を計上しています。
なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当第3四半期連結会計期間において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益302百万円を「CEJファンドに係る損益」として計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用92百万円を「法人所得税費用」として計上、CEJファンドの外部投資家持分への振替額145百万円を計上した結果、「四半期利益」に与える影響額は65百万円となります。
(2)財政状態の分析
① 資産
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度比268百万円増加し、48,076百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が1,454百万円、使用権資産が57百万円、営業債権及びその他の資産が49百万円減少したものの、その他の金融資産(非流動)が1,781百万円増加したことによるものです。
② 負債
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末比575百万円増加し、4,124百万円となりました。これは主として、リース負債(非流動)が67百万円、営業債務及びその他の債務が62百万円、その他の流動負債が246百万円減少したものの、CEJファンドにおける外部投資家持分が792百万円、繰延税金負債が166百万円増加したことによるものです。
③ 資本
当第3四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末比307百万円減少し、43,952百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上に伴い利益剰余金が86百万円増加したものの、その他の資本の構成要素が383百万円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,454百万円減少し8,182百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、588百万円の資金流出(前年同四半期連結累計期間は322百万円の資金流出)となりました。これは主に、税引前四半期利益を389百万円、減価償却費及び償却費を346百万円、営業債権及びその他の債権の減少による資金流入を49百万円計上したものの、金融収益を565百万円、CEJファンドに係る損益を334百万円、営業債務及びその他の債務の減少による資金流出38百万円を計上し、その他に前連結会計年度の法人事業税(資本割)や固定資産税の納付等による資金流出が生じたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,495百万円の資金流出(前年同四半期連結累計期間は296百万円の資金流入)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,215百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、640百万円の資金流入(前年同四半期連結累計期間は1,319百万円の資金流入)となりました。これは主に、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入による資金流入680百万円によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は510百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。