第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、山海嘉之が創出したサイバニクス技術を駆使して、社会が直面する様々な課題を解決するため、革新技術(イノベーション技術)の創出と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開します。即ち、革新技術の創生と新産業(サイバニクス産業)創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成の3本柱を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業を目指しています。

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(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、研究開発型企業として革新的製品の研究開発や臨床・実証研究及び各種認証取得を推進し、その製品の上市やサービス展開によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれます。

 当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 最近5年間のHAL®等の稼働台数の推移は、本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤ 経営上の重要な非財務指標」に記載のとおりです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、『人』+『サイバー・フィジカル空間』を一体的に扱う新領域「サイバニクス(人・ロボット・ AI/情報系の融合)」を駆使して、誰ひとり取り残さないイノベーションによって人とテクノロジーが共生し相互に 支援し合う「テクノ・ピアサポート社会」の実現、ロボット産業、IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による社会変革・産業変革を目指しています。当社グループは、「サイバニクス産業」の創出の加速に向けて、研究・製品開発、事業推進並びに事業連携を同時並行で進めていますが、対処すべき課題は、次のように考えています。

① ポストコロナ時代に対する新たな取り組み

新型コロナウイルス感染症の影響により人々の行動や生活様式がパラダイムシフト的に変化する中にあって、当社グループのサイバニクス技術は、ポストコロナ時代の社会課題の解決にも有用な技術であり、すでに様々なソリューションを提供しています。当社グループは、現在、感染リスクの高い医療現場でも遠隔からサポートできるサイバニック・デバイス(医療分野)、外出自粛の環境下におけるフレイル・ロコモ予防のための個人向けの在宅プログラム(福祉分野)、空港や駅などの交通インフラにおいて世界最先端の自律走行技術を搭載した除菌消毒作業ロボット(生活・職場分野)など、様々な分野において当該サイバニクス技術を投入しています。当社グループは、ポストコロナ時代の新たな社会においても人や社会に役立つ革新的サイバニクス技術を駆使することで、『人』+『サイバー・フィジカル空間』が融合した未来社会「Society5.0/5.1」の実現をより一層加速してまいります。

 

② 革新技術・新産業創出のための研究・製品開発

当社グループが目指す「サイバニクス産業」の創出のためには、IoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)、ロボット、AI等を駆使したサイバニクス技術で、社会が直面する課題の解決に向けた継続的な研究開発・製品開発が必要となります。当社の先端技術の独自性と優位性は、人の内的情報(脳神経情報・生理情報など)に加えて、人の外的情報(行動情報・生活情報など)や環境情報をスーパーコンピュータで一体的に繋げる点にあります。当社グループは、国内外の大学・研究機関、医療機関、行政機関、企業等と連携し、引き続き、最先端サイバニクス技術を駆使したサイバニックシステム(サイバニックデバイス、サイバニックインタフェースなど)の研究開発・製品開発、さらにサイバニックシステムから得られるIoH/IoTビッグデータの集積・解析・AI処理を実現する統合サイバニックシステムの構築を推進してまいります。

 

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③ サイバニクス治療の臨床試験の推進

世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療のグローバルな標準治療化のために、各種臨床試験を通じてサイバニクス治療の有効性と安全性の確認を推進しています。日本国内においては、2015年11月にHAL®医療用下肢タイプが8つの神経・筋難病疾患に対して「新医療機器」として医療機器承認を取得していますが、2020年11月に5年間に渡る市販後の使用成績調査を終了し、実際の臨床使用において極めて高い有効性と安全性を示す結果が得られました。また、HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症を対象に行った医師主導治験結果をもとに、適用疾患の拡大の承認審査が進んでいます。脳卒中については、HAL®医療用下肢タイプ(単脚モデル)を用いて、2016年9月に開始した医師主導治験が2020年12月に終了し、医療機器化について当局との協議を進めています。また、2022年1月に小児脳性麻痺に対する医師主導治験が開始いたしました。当社グループは、国内外での適用疾患の拡大や他のタイプのHAL® (単関節タイプや腰タイプ)の医療機器化に向けて、国内外の主要な医療機関との連携を強化し、各種臨床試験を推進してまいります。

 

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④ グローバルでの医療機器承認の取得

 HAL®のグローバル展開に向けては、世界各国における医療機器の承認取得が必要となります。HAL®医療用下肢タイプは、米国食品医薬品局(FDA)により、2020年10月に従来の脊髄損傷に加えて脳卒中や神経筋難病疾患に対して医療機器承認を取得しました。さらに、APAC(アジア太平洋)の主要国を中心に医療機器化を推進しており、2019年10月以降、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、オーストラリアで幅広い疾患に対して医療機器承認を取得しています(台湾では脊髄損傷のみ)。また、HAL®医療用単関節タイプは、2019年10月に、第三者認証機関であるTÜV Rheinlandより医療機器の認証(欧州医療機器指令への適合に対する認証)を取得し、米国、およびAPACの主要国(タイ、インドネシア、オーストラリアなど)でも医療機器化が進みました。サイバニクス治療を必要とする方々へ革新的治療技術を届けられるよう、承認や許認可関連の規制の枠組みを世界的に主導している日米欧の各国において医療機器化を達成した当社の臨床開発実績を活かしつつ、引き続きグローバルでの展開を推進してまいります。

 

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⑤ 世界各国での保険適用

 HAL®のグローバルな普及拡大を進めるためには、各国における公的及び民間保険の適用が必要となります。日本では、HAL®医療用下肢タイプ(両脚モデル)について、8つの神経・筋難病疾患に対して2016年9月から公的医療保険による治療が開始されており、2022年4月の診療報酬改定においては、関連する医学会(日本神経治療学会)からの医療技術評価提案を受け、DPC対象病院においても出来高評価となるとともに増点が認められました。また、並行して民間保険会社とも連携し、医療保険及び介護保険(大同生命)や損害保険(AIG、損保ジャパン) への適用や付帯が始まっています。米国では、民間保険の適用に向けて、パートナー医療機関との連携を進めています。欧州では、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用下肢タイプによる治療費の全額が公的労災保険に収載されていますが、公的医療保険の適用を目指し、欧州の主要な国での申請準備を継続しています。 また、ドイツやポーランドでは、脊髄損傷患者に対して大手民間保険会社による保険適用が開始されていますが、引き続き各国の民間保険会社との協議を進めてまいります。

⑥ 自立支援のための個人向けサービス強化

 現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が2020年10月1日現在約3,619万人(総人口の28.8%)、介護保険制度における要介護者又は要支援者は2018年度末で約645.3万人(※1)となっており、年々増加傾向にあります。当社グループは、主に高齢者の要介護度の改善や重度化防止及び加齢による身体機能が低下するフレイルの予防や自立維持に向けて、歩行機能向上の促進を目的とする「下肢タイプ」、肘・膝の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹・下肢機能向上の促進を目的とする「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促す「Neuro HALFIT」プログラムを提供するロボケアセンターの拠点拡大に加えて、コロナ禍初期の緊急事態宣言が発出された2020年4月より開始した、自宅で「Neuro HALFIT」ができる新たな個人向けサービスの更なる充実を図ることにより、個人の方に対して、日常的に脳神経・筋系の機能の向上を促し、自立度を高め、要介護予防をサポートする取り組みを引き続き進めてまいります。

 

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⑦ 事業推進体制の強化及び人材の育成

 当社グループは、「サイバニクス産業」の創出を推進する経営・営業・研究開発・生産体制の強化及び次世代の人材育成を進める必要があります。「サイバニクス産業」創出の担い手である当社グループの社員には、出口志向の発想力、自分の責任領域にこだわらない適応性・柔軟性、そして目標達成の観点から必要とあれば、たとえ異分野であってもその専門家となって推進する突出した能力が求められています。当社グループは、事業成長の段階に合わせて、十分な体制を維持・強化すべく、多種多様な分野において優れた知見と才能を持つ人材を集積し、研究開発から社会実装までを機能横断の全社視点でグローバルに一貫して推進する体制とすることにより、未来開拓型人材の育成を図ってまいります。

※ 出典 内閣府「令和3年版 高齢社会白書」

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しています。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で、行われる必要があると考えています。

 また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスク全てを網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。なお、当該記載事項は本書提出日現在における当社グループの認識を基礎とした記載であり、将来の環境変化等によって当該認識は変化する可能性があります。

 

1.当社グループの事業遂行上のリスク

(1) 当社グループの事業が新しい事業領域であることについて

 当社グループの主力製品であるHAL®は、当社の代表取締役社長山海嘉之が開発した世界初の装着型サイボーグです(注1)。当社グループは、現状、日本、欧州、米国、APAC(アジア太平洋)、中近東において医療用HAL®を、国内においてHAL®福祉用(下肢タイプ)、HAL®自立支援用(下肢タイプ・単関節タイプ・腰タイプ)、HAL®腰タイプ 介護支援用・作業支援用等を事業展開しています。当社グループの技術は、医療・介護福祉分野、生活・重作業分野、エンターテインメント分野等さまざまな領域に活用できると考えていますが、従来にない新しい事業領域であることによる不確実性が高く、市場が順調に成長する保証はなく、また当社グループ製品の市場への浸透が計画どおりに進まないあるいは収益性を確保することができない場合等には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争について

 当社グループは、HAL®を中心として、医療、福祉、生活、職場、生産分野での事業展開を行っています。現在、国内外の企業により自律制御を用いた装着型ロボットの開発が行われていますが、人間の脳から発する生体電位信号を活用するサイバニック随意制御技術は当社グループ独自(注2)のものであり、差別化による当社グループ製品の優位な競争力は保たれていると認識しています。サイバニック随意制御技術の基本特許をはじめとするHAL®の知的財産については、当社グループと国立大学法人筑波大学が特許を共同保有しています。当社グループは、この全ての特許権を独占的に使用する専用実施権を保有しており、装着型ロボットの市場における強みと考えていますが、国内外の様々な企業が装着型ロボットの研究や実用化を進めており、また、巨大なテクノロジー企業を含む多数の企業が商業用ロボットの分野に新規参入するなど、当社グループを取り巻く競争環境は変化しており、競合他社が当社グループと比べて、資本、人材、コスト構造の効率性、ブランド、製品の多様性等の点において、より競争優位性を有する可能性があります。HAL®のような先進的技術を用いた製品の開発、実証試験、安全規格認証や医療機器認証の取得及び保険適用等を含む商用化には多大な時間と費用を要する一方で、これが成功する保証はありません。上記のような事業環境において、他社が当社グループの製品よりも新しい技術やより有用な製品の開発に成功した場合には、当社グループの製品の優位な競争力が持続できず、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(注1、2)人とロボットを機能的に融合・一体化させるサイバニックシステムであるHAL®は、装着する人間の身体機能を改善・補助・拡張・再生させる世界初の技術であり、当該技術が国際的なプラットフォームとなるよう配慮し多数の知財を取得しています。基本特許として下記の登録があります。

出願番号/登録番号

発明の名称

特願 2004-068790/特許第4200492号

(出願日 2004.3.11)

装着式動作補助装置 発明者:山海嘉之

特願 2004-040168/特許第4178185号

(出願日 2004.2.17)

装着式動作補助装置、装着式動作補助装置における駆動源の制御方法、及びプログラム 発明者:山海嘉之

特願 2004-045354/特許第4178186号

(出願日 2004.2.20)

装着式動作補助装置、装着式動作補助装置の制御方法及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之

特願 2005-018295/特許第4178187号

(出願日 2005.1.26)

装着式動作補助装置及び制御用プログラム 発明者:山海嘉之

 

(3) 会社組織に関するリスク

 当社は、2004年6月24日に設立されましたが、下記のようなベンチャー企業特有の課題があると認識しています。

① 経営面及び新技術の開発において創業者である代表取締役社長山海嘉之に多くを依存しています。今後何らかの要因により同氏の業務執行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 優秀な研究開発人材を多数有していますが、当社グループが必要とする優秀な人材が退職した場合には、当社グループ製品開発のスピードに影響を及ぼす可能性があります。

③ 事業の拡大に伴い、営業・生産・管理部門の人員増強及び内部管理体制の一層の充実を図る方針ですが、優秀な人員の確保及び内部管理体制の充実が円滑に進まなかった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定製品への依存リスク

 当社グループの主力製品はHAL®であり、当連結会計年度において、それに関連する売上収益は当社グループの売上収益の大半を占めています。今後につきましても、当面の間HAL®が収益源になると予測していますが、各国の法規制、医療政策等の変更や、医療保険などの保険制度の整備の遅れ等が生じた場合には、当社グループの事業及び収益性に影響を及ぼす可能性があります。これらの要因に加え、HAL®の使用又はこれに関連した訴訟等の提起、HAL®に代替する新規技術や技術革新、より競争力のある同種製品の発表、関連する法規制等の変更、筑波大学との間のHAL®に関する特許権の独占的に使用する専用実施権の付与に関する関係の変化等、何らかの要因により、HAL®の持続的な市場拡大が見込めなくなった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 医療機器承認について

 HAL®を中心とした当社グループの製品について、医療機器として販売するためには、各国又は地域における法規制に基づき、一定の治験・審査等を経た上で当局の承認を得ることが必要になります。当社グループは、EU、日本、米国等において医療用HAL®の医療機器としての承認・認証を得ていますが、それ以外の国又は地域において、HAL®又はその他の当社グループ製品について医療機器としての承認を受けられる予めの保証はなく、また承認を受けられるとしてもその時期は各国・地域毎に異なる可能性があります。また、承認後に当該国又は地域における法規制や制度に変更等が生じた場合には、既に得られた承認が更新できるとは限らず、また取り消される可能性もあります。このような場合において、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 保険収載について

 当社グループは、HAL®を中心とした当社グループ製品を使用したサイバニクス治療が多くの国又は地域で公的及び民間の医療保険に収載され、HAL®を導入する医療機関が保険金の支払いを受けることができることが、治療が普及・浸透するための重要な要素であり、当社グループの事業展開における大きな課題であると認識しています。しかしながら、保険制度は各国又は地域により異なるほか、保険収載に際して適用疾患の範囲や保険金支払いの程度等は各国又は地域の公的保険機関や民間保険会社等によりそれぞれ決定されるため、その状況如何によって当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) スタートアップとの資本業務提携について

 当社グループは、国内外のスタートアップと戦略的な資本出資及び業務提携を行っていくことが、当社グループのサイバニクス産業創出を加速するための大きな課題であると認識しており、積極的に推進しています。しかしながら、出資及び提携等を行うに際して、出資及び提携による効果を事前に完全に予測することは困難であり、かかる出資及び提携等が円滑に行われる保証はありません。戦略的な資本提携及び業務提携が、当初見込みとおりの期間で予想どおりの効果を得られるという保証はなく、出資及び提携等による効果を当社グループが適切に活用できない可能性があります。また出資先の経営状況により、株式評価を変更する必要が生じる可能性があります。これらの事情により、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業活動全般に関するリスク

 当社グループは、国内外で事業活動を展開していますが、全ての国・地域において下記のようなリスクがあると認識しています。なお、新型コロナウィルス感染症の感染リスクへの対応としては、テレワークやWEB会議を推進するとともに、オフィスにおけるソーシャルディスタンスの確保など感染予防活動と従業員への啓蒙を継続的に行っています。

・政治状況、経済状況等の地政学リスク

・感染症等の拡大や災害等のリスク

・法制度、税制等が変更されるリスク

 また、海外での事業活動においては、下記のようなリスクがあると認識しています。

・商習慣等が異なるリスク

・大規模なストライキ等、労働環境が混乱するリスク

・文化的な違い等による、現地採用人材、事業運営等の管理が困難となるリスク

・日本への送金等が困難となるリスク

・為替に関するリスク

 これらのリスクは当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品の不具合による顧客の損失について

 当社グループは、ISO13485(医療機器の品質マネジメントの国際標準規格)に基づいて製品品質の更なる向上に継続的に取り組んでいますが、将来にわたって製品に欠陥がなく、製造物賠償責任請求及びリコール等に伴う費用が発生しないという保証はありません。万が一、製品の欠陥により損害が生じた場合は、製造物責任請求についてはその全部又は一部について製造物責任(PL)保険の対象となりますが、当社グループ及び製品の社会的信用が低下することにより、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

① 当社グループのHAL®は人間の生体電位信号を活用する独自の技術を利用するものですが、HAL®に利用されるこのような技術について、当社単独保有の特許を除き、原則として全ての国内特許は当社と筑波大学の共同保有となっています。さらに、当社グループは筑波大学と特許権に関する独占的実施許諾契約を締結することで特許技術を利用しています。この契約は当社グループが事業活動を行う上で重要な事項であり、許諾を受けた知的財産権の権利期間の満了日まで効力を有するものの、本契約に違反した場合、合併や重要資産の買収がなされた場合や当社事業の重要部分が譲渡された場合など何らかの理由によりこの契約の継続が困難となった場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 当社グループの事業に関連した特許権等の知的財産権について、現時点において、第三者との間で訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はなく、当社グループの事業に関し他者が保有する特許権への侵害等の知的財産権侵害に関する問題の発生により、当社グループの事業に重大な支障を及ぼす可能性は低いものと認識しています。また、技術調査等を継続して行っていくことで知的財産権侵害問題の発生を回避するよう努めています。しかしながら、当社グループのような研究開発型の企業にとって、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難です。今後、当社グループが第三者との間の法的紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議の上、その内容によって個別具体的に対応策を検討していく方針ですが、当該第三者の主張の適否にかかわらず、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があり、また、当社グループの技術に関しては、細心の注意を払って管理していますが、第三者が当社グループの技術を侵害した場合であっても、解決に時間及び多額の費用を要する可能性があります。その場合には当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 法的なリスクについて

 当社グループの事業は、以下の事項を含め、各国又は地域における各種法令、規則その他の規制の適用を受けており、これらの法規制等による制約に服しています。例えば、当社グループの様々な事業活動において、国内外を問わず、当社グループが関与する技術・製品・サービス等についての知的財産権や製造物責任、また薬事、商取引、輸出入規制、関税を含む税務、贈賄や腐敗防止に関する法規制、競争法、労働法、消費者関連法、個人情報保護法、環境法、外為法その他事業に関連して様々な法規制等の適用を受けており、またこれらの法規制等や慣行を巡って予期しない課題が提起される場合があります。特に、当社グループが現在取り扱っている製品の一部は、日本では薬機法により定められた医療機器として厚生労働省による製造販売承認を取得しており、日本以外の各国又は地域においても同様の規制当局による承認等が必要であるとともに監督当局による監督に服します。この承認審査は、製品の有効性、安全性等の確認を目的として行われるものであり、審査の結果、製造の承認が取得できなかったり、承認の時期が遅れたりする可能性があります。さらに、承認の取得後、製品を販売している間においても、当該製品の有効性、安全性に問題が生じた場合には、承認が取り消されることもあります。上記のほか、当社グループが、当社グループの事業に適用のある法規制等に違反した場合、民事、行政、刑事上の制裁を課される可能性があり、また当社グループの社会的信用に影響する可能性があります。これらの場合には当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 個人情報に関するリスク

 当社グループではHAL®の利用者の個人情報を取得しています。当社グループでは、当該情報に接することができる者を制限するとともに、全役職員との間で守秘義務契約書を締結しています。また、当社グループは、個人情報保護規程を制定するとともに、個人情報保護管理者を任命する等、個人情報の管理には十分留意し、現在まで顧客情報の流出等による問題は発生していません。しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 平和倫理委員会について

 当社グループは、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用されることを防止するため、平和倫理委員会を設置しています。平和倫理委員会は、代表取締役社長及び全ての社外役員により構成され、審議事項の判定は、出席委員の3分の2以上の賛成をもって行うものとしており、当社グループの企業行動規範で定める「医療、介護福祉、災害復旧」の事業領域に含まれないおそれがある事業領域へ参入する際に、その参入により、当社グループの先進技術が人の殺傷や兵器利用を目的に利用される可能性の有無について審議・検証し、判定の結果を取締役会へ報告します。

 この平和倫理委員会の審議・検証の結果が、短期的には当社グループの業績向上に必ずしも資さない可能性があります。

2.大学教授兼任に関するリスク

(1) 筑波大学教授等の兼任について

 当社代表取締役社長である山海嘉之は筑波大学の教授職を兼業しています。当該兼業に伴う①代表取締役社長及び大学教授を兼ねていることによる当社グループと筑波大学との間における利益相反防止体制、②代表取締役社長兼務への支障の有無については、それぞれ以下のとおりです。

 

① 利益相反防止体制

 大学との取引や共同研究契約の締結など利益相反に係る意思決定は全て取締役会決議を行っており、当該決議に際しては、山海嘉之を含む筑波大学関係者を除いた取締役5名(うち社外取締役3名)によって意思決定を行うことにより、利益相反を防止する体制を構築しています。更に監査役監査にて利益相反に係る事項を日々モニタリングし、取締役会で報告する体制を構築しています。

 

② 代表取締役社長業務への支障の有無

 サイバニクス研究にかかる当社グループと筑波大学での業務は一体的且つ不可分ですが、純粋な筑波大学職員としての職務(授業、大学教授としての学内会議への出席等)が、当社代表取締役社長固有の業務(取締役会出席、稟議決裁、投資家対応等)に与える影響は限定的であり、代表取締役社長としての職務執行が十分に可能な状態にあります。

 しかしながら、山海嘉之が当社代表取締役社長としての立場よりも大学教授の立場を優先した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.先端機器事業全般に関する事項

(1) 開発事業全般に関するリスク

 先端技術開発の分野では、世界各国の企業が技術革新の質とスピードを競い合っています。また、先端技術の基礎研究、開発から製造及び販売に至る過程では、各国における諸規制に従ってこれを推進していくことから、長期間にわたり多額の資金を投入することになります。このため、研究開発には多くの不確実性が伴い、当社グループの現在及び将来における開発品についてもこのようなリスクが内在しています。また、当社グループは、事業計画に基づき、事業領域を拡大してまいりますが、事業領域が計画通り拡大する保証はなく、また適用された保険等の制度が将来的に見直されたり、変更されたりするリスクが存在しています。このようなリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新規開発品の創出に関するリスク

 当社グループは、筑波大学を中心に研究機関と共同研究を行うことで、新規開発品の探索及び創出を図っており、既に事業化されているHAL®下肢タイプ(医療用・福祉用・自立支援用)や単関節タイプ及び腰タイプ(作業支援用・介護支援用・自立支援用)、人工知能AI搭載型の搬送ロボットや除菌・清掃ロボットに加えて、複数の新規開発製品をリリースすることを重要な事業戦略としています。

 しかしながら、これらの新規開発品の探索及び創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により、新規開発品の探索及び創出活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 研究開発に内在する進捗遅延に関するリスク

 当社グループは、研究開発型企業グループとして筑波大学との共同研究関係を中心として外部との協力関係を構築することで効率的な研究開発の推進を図っています。しかしながら、研究開発活動が計画通り進む保証はなく、当初計画したとおりの研究開発による結果が得られない場合、各種試験の開始又は完了に遅延が生じた場合あるいは医療機器としての製造販売承認の取得が遅れる又は制限される可能性などは否定できません。当社グループは、このような事態を極力回避すべく、各開発品の進捗管理及び評価を適時に行い、各開発品の優先順位付け、投下する経営資源の強弱の変更あるいは一時中断の決定などの対応を図っています。このように、当社グループは研究開発費が大きく増加するリスクを低減していますが、研究開発が計画どおりに推移しない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.B種類株式の導入について

(1) 本スキームの概要

 当社グループは、「テクノロジーは人や社会に役立ってこそ意味がある」という基本理念のもとで、HAL®を中心とした先進技術を平和的な目的の場で活用しており、人の身体能力を改善・補助・拡張・再生するサイバニクス技術を平和目的に利用することは、到来した超高齢社会のニーズと合致し、当社グループの長期的な企業価値の向上に繋がるものです。一方で、当該技術は、人の殺傷や兵器利用を目的とした軍事産業への転用など、平和的な目的以外の目的で利用される可能性があります。そこで、当社は、資本市場から資金調達を行いつつ、先進技術の平和的な目的での利用を確保するため、上場する普通株式とは異なる種類のB種類株式を発行しています(当社のB種類株式を用いたスキームを、以下「本スキーム」といいます。)。

 当社グループの将来ビジョンである、超少子高齢化という社会が直面する課題を解決しつつ、サイバニクス産業という新しい産業分野を開拓するためには、サイバニクス技術の研究開発と事業経営を一貫して推進する必要があります。当社代表取締役社長である山海嘉之は、このサイバニクス技術を創出し、現在もサイバニクス研究の中心的な存在であり、更にその革新的な技術を社会に還元するための事業推進者でもあります。このため、当社グループの企業価値向上(株主共同利益)には、当面の間、山海嘉之が経営に安定して関与し続けることが必要であると考えており、これを実現可能とする本スキームは、株主共同利益の観点で必要性の高いスキームであると認識してします。

 具体的には、当社は、上場する普通株式と比較して、剰余金の配当及び残余財産の分配については同一の権利を有しますが、単元株式数について異なるB種類株式を設けています。普通株式の単元株式数を100株とし、B種類株式の単元株式数を10株とすることにより、B種類株式を有する株主(以下「B種類株主」といいます。)が有する議決権の数は、同数の普通株式を有する株主(以下「普通株主」といいます。)に比べて、10倍となります。B種類株主は、山海嘉之、山海嘉之が代表理事を務める一般財団法人山海健康財団及び一般財団法人山海科学技術振興財団(以下「本財団法人」と総称します。)のみであり、山海嘉之は、当連結会計年度末時点において普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%となります。

 普通株式及びB種類株式並びに本スキームの概要は、以下のとおりです。

(i)株式の概要

 

普通株式

B種類株式

剰余金の配当・残余財産

の分配

同順位・同額

単元株式数

100株

(100株につき1個の議決権)

10株

(10株につき1個の議決権)

譲渡制限

制限なし

取締役会の承認が必要

(B種類株主間の譲渡には不要)

種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め

あり

なし

取得請求権

なし

あり

(B種類株式1株を

普通株式1株に転換)

取得条項

なし

あり

(B種類株式1株につき

普通株式1株を交付)

株式の分割・株式の

併合等

同時・同一の割合

上場

上場

非上場

 

 

(ⅱ)単元株式数の相違

 普通株式とB種類株式は、剰余金の配当及び残余財産の分配は同順位かつ同額で受領する権利を有しますが、単元株式数については、普通株式は100株、B種類株式は10株と異なります。これにより、例えば、B種類株式100株を有するB種類株主は株主総会において10個の議決権を有するのに対し、同数(100株)の普通株式を有する普通株主は株主総会において1個の議決権を有することとなり、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなります。なお、当連結会計年度末時点における当社の普通株式の発行済株式の数は137,445,809株、B種類株式の発行済株式の数は77,700,000株であり、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有するため、取締役の選任及び組織再編を含む株主総会の決議事項を自らの議決権行使により可決させることができます。

 

(ⅲ)B種類株主の変更を抑制するための仕組み

 B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものです。そこで、B種類株式が本書提出日におけるB種類株主又は当社以外の者に譲渡されることを防止するため、定款上、①B種類株主以外の者がB種類株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する旨、及び、②B種類株主以外の者によるB種類株式の取得について譲渡承認請求(会社法第136条又は第137条に定める承認の請求をいいます。)がなされた場合及びB種類株主が死亡した日から90日が経過した場合(ただし、他のB種類株主に相続又は遺贈されたB種類株式及び当該90日以内に他のB種類株主に譲渡されたB種類株式を除く。)には、当該請求がなされたB種類株式又は当該死亡したB種類株主が有していたB種類株式の全部を普通株式に転換(当社がB種類株式を取得し、B種類株式1株と引換えに、B種類株主に対して、普通株式1株を交付することをいいます。以下同じです。)する旨が定められています。

 本書提出日における当社のB種類株主は、山海嘉之及び本財団法人であり、それぞれが有するB種類株式は、山海嘉之が77,696,000株、本財団法人が4,000株です。山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡することを予定しています。また、本財団法人は、B種類株式を継続して保有する予定であるとのことです。

 なお、B種類株主である本財団法人は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保し、当社グループの企業価値が毀損されることを防止するため、いずれも以下の内容の議決権行使ガイドラインを定めています。

 財団法人は、その所有する当社が発行するB種類株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使するにあたり、次の各号に規定する決議事項について、それぞれ当該各号に規定する場合には、反対の議決権を行使するものとする。なお、財団法人は、議決権行使ガイドラインの内容を変更する場合には、理事会の決議による承認を得るものとし、財団法人が定める方法により変更内容を公表する。

a.取締役の選解任に係る決議については、当該取締役の選解任によって、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損される形での経営が行われると判断される場合

b.その他の決議については、当該決議が可決されると、当社グループにおける先進技術の平和的利用が妨げられ、又は当社グループの企業価値が毀損されると判断される場合

 

(ⅳ)ブレークスルー条項

 当社は、極めて小さい出資割合で会社を支配するような状況が生じた場合には本スキームの解消が可能となるようにするため、当社の発行する株式につき公開買付けが実施された結果、公開買付者の所有する当社の株式の数が当社の発行済株式(自己株式を除きます。)の総数に対して占める割合が4分の3以上となった場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のブレークスルー条項(注)を定款に定めています。

(注)「ブレークスルー条項」とは、発行済株式総数のうち一定割合の株式を取得した者が現れた場合にスキームを解消させる条項をいいます。

 

(ⅴ)サンセット条項

 B種類株式は、上記(ⅲ)のとおり、山海嘉之は、本スキームの継続性を確保するため、その時点で有するB種類株式の一部を本財団法人へ無償で譲渡し、本財団法人はB種類株式を継続して保有する予定であり、本スキームは、当社グループの先端的なロボット技術の開発を行った山海嘉之が当社の取締役を退任し、又は死亡した後も継続することが予定されています。しかし、山海嘉之が取締役を退任した後も本財団法人がB種類株主として当社議決権を行使することが、普通株主を含む当社株主の意思と合致しない可能性があるため、山海嘉之が取締役を退任(但し、重任その他退任と同時若しくは直後に選任される場合を除く。)した場合は、当該退任の日(当該退任と同日を含む。)から1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに、また直前の株主意思確認手続の日の後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものの終了後3か月以内に普通株式及びB種類株主全体の意思を確認するための株主意思確認手続を実施することとしています。具体的には、B種類株式の単元株式数を100株とみなして計算される普通株主及びB種類株主の議決権の3分の1以上を有する株主の意思が確認でき、意思を確認した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が賛成した場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨のサンセット条項(注)を定款に定めています。

(注)「サンセット条項」とは、議決権種類株式導入の目的が終了した場合又はこれらの事由が生じたとみなすことのできる場合に、スキームを解消させる条項をいいます。

 

(ⅵ)普通株主を構成員とする種類株主総会の排除

 当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合には、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨を定款に定めています。

 但し、種類株主総会を排除しても普通株主が不当に害されないようにするため、会社法第322条第1項各号に掲げる行為のうち、①株式の併合、株式の分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て、株式及び新株予約権の株主割当、株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合を除きます。)並びに単元株式数の変更については、同時に同一の割合で(株式移転については同一の割合で)行う旨を定款に定めており、また、②当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換又は株式移転(他の株式会社と共同して株式移転をする場合に限ります。)にかかる議案が全ての当事会社の株主総会(株主総会の決議を要しない場合は取締役会)で承認された場合には、B種類株式の全部を普通株式に転換する旨の取得条項を定款に定めています。

(2) 本スキームのリスク

 B種類株式は、当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために発行されたものですが、本スキーム導入により想定されるリスクには、以下のものが含まれます。これらのリスクが顕在化した場合、当社の普通株式を保有する株主の権利や利益に影響を及ぼす可能性があります。

 

① B種類株主の議決権行使による強い影響力に関するリスク

 当連結会計年度末において、山海嘉之は、普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の約38%にあたる普通株式3,042,000株及びB種類株式77,696,000株を有し、その有する議決権の数は、当社の総株主の議決権の数の約85%を有することとなり、当社の事業運営に強い影響力を有することとなります。これにより、普通株主による議決権行使による当社に対する影響力は限定的となります。また、B種類株主の議決権行使は、特に当社グループの先進技術の平和的な目的での利用を確保するために行使される場合、普通株主の利益と相反する可能性があります。

 

② 当社株式の買付けを妨げるリスク

 本スキームの導入により、B種類株主は、普通株主に比べて同数の株式につき10倍の議決権を有することとなり、より少ない数のB種類株式でより多くの議決権を有することが可能です。当社定款にはブレークスルー条項及びサンセット条項が定められていますが、ブレークスルー条項及びサンセット条項によりB種類株式の全部が普通株式に転換するのは、それぞれ、公開買付者が普通株式及びB種類株式の発行済株式総数の4分の3以上を所有することとなった場合及び株主意思確認手続(上記(1)(ⅴ)に記載)において3分の2以上の多数の株主が普通株式への転換に賛成した場合に限られます。よって、本スキームは、普通株主にとって利益となるような当社株式の買付けを妨げる可能性があります。

③ 普通株式を構成員とする種類株主総会の排除に関するリスク

 当社は、会社法第322条第1項各号に掲げる行為をする場合(法令又は定款に別段の定めがある場合を除きます。)であっても、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を要せず当該行為を行うことができるため、普通株主の意思が当社の意思決定に反映されない可能性があります。

 

④ B種類株式の転換に関するリスク

 B種類株式には普通株式を対価とする取得請求権及び取得条項が付されているため、今後、B種類株式が普通株式に転換することにより、上場している普通株式の発行済株式の数が増加し、普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。

 

5.その他のリスク

(1) 配当政策について

 当社グループは、早期の営業黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針です。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が想定通りに進捗せず、今後も安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。

 

(2) 資金繰り及び資金調達等に関するリスク

 当社グループでは、研究開発活動の進捗に伴い多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じています。今後も事業の進捗に伴って運転資金、研究開発投資、設備投資及びM&A等の資金需要の増加が予想されます。今後も継続的に財務基盤の強化を図ってまいりますが、収益確保又は資金調達の状況によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) マイナスの利益剰余金を計上していることについて

 当社グループは、これまで研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、マイナスの利益剰余金を計上しています。当社グループは、早期の黒字化を目指しており、その後も安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指していますが、当社グループの事業が計画通り進展せず、マイナスの利益剰余金が計画通りに解消できない可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 税務上の繰越欠損金について

 当社グループは研究開発型企業として先行的に開発投資を行ってきたため、本書提出日現在において、税務上の繰越欠損金を有しています。今後の税制改正により欠損金の繰越控除制度が見直され、欠損金の繰越控除制限が強化された場合、研究開発に投下した資本の一部を回収する機会を喪失する等、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 為替相場の変動について

 当社グループの連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算して当社の連結財務諸表に反映するため、為替変動による影響を受けるリスクがあります。従いまして、今後、大幅な為替変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号、以下、「連結財務諸表規則」)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

(2)経営成績の分析

(%表示は対前期増減率)

 

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

2022年3月期

2,150

14.7

△868

△379

△492

2021年3月期

1,875

4.6

△700

408

348.9

△59

 

 当社グループは、『人』+『サイバー・フィジカル空間』を一体的に扱う新領域「サイバニクス(人・ロボット・AI/情報系の融合)」を駆使して、誰ひとり取り残さないイノベーションによって人とテクノロジーが共生し相互に支援し合う「テクノピア・サポート社会」の実現、ロボット産業、IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による社会変革・産業変革を目指しています。

 

サイバニクスを駆使した「健康未来社会」

 当社グループは、サイバニクスを駆使し、IoH/IoT(ヒトとモノのインターネット)を介して取得されるヒューマンビッグデータ (人間に関わる生理・心理・生活・行動・環境情報など)を集積・解析・AI処理し、人間の機能改 善・再生・拡張・支援が可能な各種サイバニクス技術を好循環のスパイラルが構成できるよう社会実装していま す。また、サイバニクスで取り扱うデバイス・ソフトウェア等はすべて通信機能を有しており、IoH/IoTを介した クラウドによって病院、介護施設、自宅、職場までをデータやサービスの連携でシームレスに繋げ、人々の多様な 活動シーンに対応しています。当社グループは、廃用・疾患・障がいという身体状態であっても、高い自立度と健 康度を維持しながら社会参加を実現する「健康未来社会」、健康で持続可能な社会としての「Society5.0/5.1」の実現を進めてまいります。

 

事業推進の状況

《医療》

 当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療とする取り組みを進めています。医療用HAL®「下肢タイプ」(両 脚モデル)については、緩徐進行性の神経筋難病疾患に対する使用成績調査での極めて高い有効性と安全性を示す結果を踏まえ、「他に有効な治療方法が確立していない緩徐進行性の神経・筋難病疾患の患者に対して、既承認薬も含め前例のない顕著な機能改善効果が確認された」(日本神経治療学会提案の医療技術評価提案書より抜粋)として診療報酬の再評価を提案いただいた結果、令和4年度診療報酬改定において、難病医療拠点病院等の約8割を占める DPC対象病院の入院患者に対しても医療用HAL®の診療報酬の算定が認められ、さらに診療報酬点数が増点されました。今後、この使用成績調査結果を世界各国の保険収載などの手続きにも活用することで、有効な治療法が確立されていない進行性神経筋難病疾患にとっての標準治療化と、医療用HAL®のグローバル展開を加速してまいります。

 

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 医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の脳卒中片麻痺患者に対する医師主導治験については、本治験の評価ポイントとして最重要とされている臨床的な意義と主要評価項目の統計学的有意差について、治験調整医師や統計専門家を交えて当局と協議しております。なお、本治験の有効性と安全性の評価結果は、諸外国での脳卒中患者に対する医療保険の適用申請にも有用なデータになると考えています。また、2022年1月には新たに小児脳性麻痺 等に伴う運動姿勢障害を呈する患児の粗大運動能力の向上を目的とする医師主導治験が、筑波大学附属病院を中心に開始されました。

 

 

 EMEA(欧州や中東)においては、新たに導入されたスペインやフランスに続いて、主要各国でのサイバニクス治療の普及を進めています。米国においては「医療サービス事業」強化のため、2021年12月にカリフォルニア州南部で事業展開するRISEフィジカルセラピー社を買収し、事業統括会社として新設したRISEヘルスケアグループ(RHG) 社を中心に現在の19拠点から更なる拠点拡大を進めるとともに、当社の革新的な医療技術との複合サービスの展開準備を進めています。

 APAC(アジア太平洋)においては、2022年2月にAPACの事業推進拠点として、CYBERDYNE MALAYSIA社を設立し、サイバニクス治療の更なる普及を加速してまいります。

 

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《介護・自立支援》

 当社グループは、主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。

 

 

(施設型サービスの展開)

 HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT」を提供するロボケア事業は、 個人向けの医療ヘルスケアサービス事業のハブ拠点として、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働 により全国16箇所で展開し、今後、更なる拠点拡大を計画しています。

 

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(個人向けサービス「自宅でNeuro HALFIT」の展開)

 個人向けレンタルとして非接触型の在宅サービス「自宅でNeuro HALFIT」は、サイバーダインのクラウドとデータ連動し、身体動作を指令する生体電位信号や姿勢情報等を可視化するHALモニターによって、装着者自身が視覚的にフィードバックを得ることができるだけでなく、セラピストやトレーナーなどの専門スタッフによる遠隔でのオンラインサポートを提供しています。

 

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≪予防・早期発見≫

 心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理することで、 不整脈や心房細動などのリスクを管理し、心筋梗塞や脳梗塞などを予防することを目的とした超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズの製品化を進めています。また、「Cyvis」は、睡眠時の呼吸状態の計測というオプション機能も備えており、SAS(睡眠時無呼吸症候群)のリスクを簡便に高精度スクリーニングすることが可能となります。また、2021年8月に睡眠を見える化するヘルスケア・アプリ「熟睡アラーム」を開発・運営するC2社を買収し、当社グループとしてヘルスケア事業の強化を進めています。なお、Cyvisシリーズの初モデル「Cyvis-1」は2022年4月に医療機器届出を行い、同年5月よりユーザー向けに試験提供を開始しています。

 

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《生活・職場分野》

(介護支援用途)

 2021年10月より英国ハンプシャー州の介護施設向けに「HAL®腰タイプ介護自立支援用」の出荷が開始し、今後はハンプシャー州との契約をモデルケースとして、同州と協力して英国の他のエリアや欧州各国への展開を進めてまいります。

 

(作業支援用途)

 防塵・防水対応の「HAL®腰タイプ作業支援用」は、空港、建設現場、物流倉庫などの大口ユーザーへの導入を進めるとともに、労働者の作業負荷や身体状態を可視化して労務管理と作業効率を統合した生産管理の実用化を進めています。

 

(除菌・清掃用途)

 世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、空港、公共施設、 オフィスビル等で導入を進めています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に対応して除菌剤噴霧機能や紫外線照射機能による非対面・非接触での除菌作業が実現するとともに、マルチベンダー型エレベータ連動ユニットにより、人を介さずにエレベータ自動昇降も可能となっており、ポストコロナ社会での次世代技術の実用化を進めています。

 

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研究・製品開発の状況

 微細血管情報のリアルタイム解析のための光音響イメージングは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)の「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)」に採択され、新しいイメージングモダリティの画像診断装置の事業化に向けた研究開発を進めています。

また、当社グループは、高齢者や障がい者向けの自立支援ロボットとして、歩行機能を維持向上するための衣服型HAL、バイタル・環境情報を取得しつつ会話機能を備えてADL(日常生活動作)を維持向上するための見守り・コミュニケーションロボット、歩行困難な方のためのパーソナルモビリティロボットなどの研究開発を進めています。

 なお、川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)において、HAL®等のサイバニクス治療の臨床研究に加えて再生医療や創薬などのバイオ系の研究を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟の本体建屋が2022年3月に完成し、追加の内装工事を進めています(2022年度中に稼働予定)

 

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製品稼働状況について

 医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増台により、2022年3月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて368台(内、国内レンタル契約86台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、 2022年3月末時点で492台が稼働中です。HAL®福祉用等の下肢タイプは、2022年3月末時点の稼働台数は341台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、旧モデル廃棄により、2022年3月末時点で1,143台が稼働中です。HAL®腰タイプ作業支援用は、主に空港向けのレンタル減少により、2022年3月末時点の稼働台数は417台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2022年3月末時点において147台が稼働中です。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は、海外向けHAL等のレンタル売上及び新型コロナウイルス感染症の影響からの回復と米国拠点の獲得によるサービス売上の増加により、2,150百万円(前期比14.7%増加)を計上しました。売上総利益は1,462百万円(同13.9%増加)となりました。

 研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により713百万円(同3.4%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費はM&Aの影響により1,787百万円(同21.5%増加)を計上しました。

 その他の収益は、受託研究事業収入などにより175百万円(同3.0%減少)を計上、その他の費用6百万円(同36.3%増加)を計上した結果、営業損失は868百万円(同23.9%増加)を計上しました。

 また、金融収益は投資有価証券評価益などにより398百万円、CEJファンドに係る損益115百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより136百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は492百万円(同739.1%増加)を計上しています。

 

 なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式については、IFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当連結会計年度末に公正価値を算定した結果として、投資有価証券評価益469百万円を「金融収益」及び「CEJファンドに係る損益」に含めて計上しています。なお、当該評価に関する繰延税金費用161百万円を「法人所得税費用」として計上、また、CEJファンドの外部投資家持分へ振替額41百万円を計上した結果、「当期利益」に与える影響額は267百万円となります。

 

 

(3)財政状態の分析

① 資産

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比1,341百万円増加し、49,459百万円となりました。これは主として、その他の金融資産(流動)が3,856百万円、現金及び現金同等物が1,027百万円、オペレーティング・リース資産が45百万円減少したものの、その他の金融資産(非流動)が2,300百万円、のれんが2,047百万円、有形固定資産が1,210百万円増加したことによるものです。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比1,670百万円増加し、6,002百万円となりました。これは主として、CEJファンドにおける外部投資家持分が1,201百万円、繰延税金負債が179百万円、その他の流動負債が100百万円増加したことによるものです。

 

③ 資本

当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末比329百万円減少し、43,457百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上に伴い利益剰余金が492百万円減少したことによるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,027百万円減少し5,677百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、564百万円の資金流出(前連結会計年度は775百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費を473百万円計上したものの、金融収益を398百万円、税引前損失を379百万円、棚卸資産の増加による資金流出281百万円を計上したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,788百万円の資金流出(前連結会計年度は2,794百万円の資金流出)となりました。これは主に、投資の償還による収入26,000百万円を計上したものの、投資の取得による支出19,499百万円、定期預金の預入による支出2,500百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,008百万円、投資有価証券の取得による支出1,848百万円、有形固定資産の取得による支出1,770百万円を計上したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,248百万円の資金流入(前連結会計年度は617百万円の資金流入)となりました。これは主に、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入1,360百万円によるものです。

(5)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

258

67.0

合計

258

67.0

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績は記載していません。

2.金額は、製造原価及び自社製作資産により表示しています。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

ロボット関連事業

2,485

101.6

274

539.7

合計

2,485

101.6

274

539.7

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載していません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

ロボット関連事業

2,150

114.7

合計

2,150

114.7

(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載していません。

2.外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しています。

 

(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 経営成績に重要な影響を与える要因について

 本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、現在、運転資金及び開発投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としています。当連結会計年度末時点において、事業活動の維持に必要な手元資金を保有しており、充分な流動性を確保していると考えています。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めています。具体的には本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

④ 新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響について

 新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響に関して、当社が会計上の見積りを行うにあたり置いた仮定については、本書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営上の重要な非財務指標

 当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

 当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれます。

 当社グループは、恒常的な業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。

 

(単位:台)

稼働台数

2018年3月末

 

2019年3月末

 

2020年3月末

 

2021年3月末

 

2022年3月末

HAL®医療用

(下肢タイプ)

257

 

291

 

310

 

351

 

368

HAL®福祉用等

(下肢タイプ)

398

 

357

 

357

 

342

 

341

HAL®単関節タイプ

234

 

252

 

300

 

391

 

492

HAL®腰タイプ

自立支援用及び

介護支援用

847

 

919

 

951

 

1,074

 

1,143

HAL®腰タイプ

作業支援用

372

 

572

 

624

 

459

 

417

清掃ロボット及び

搬送ロボット

27

 

44

 

75

 

141

 

147

合計

2,135

 

2,435

 

2,617

 

2,758

 

2,908

 

 

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)特許等の独占的実施許諾に関する契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約

締結日

契約期間

契約内容

国立大学法人

筑波大学

茨城県つくば市

2012年

3月14日

契約締結日から許諾特許の最終特許期間満了日まで

ロボットスーツの製品に関する許諾特許及び本技術を実施する独占的実施権

(注)1.特許経費として許諾特許維持のために必要な経費を負担することになっています。

2.実施料として正味販売価格の1%に相当する金額又は保証額を支払うことになっています。

 

(2)共同研究契約

相手先の名称

相手先の所在地

契約

締結日

契約期間

契約内容

国立大学法人

筑波大学

茨城県つくば市

2011年

4月1日

2011年4月1日から

2023年3月31日まで

ロボットスーツを始めとするサイバニクス分野に属する技術の実用化、高機能化に関する研究開発

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の研究開発活動を記載していません。

 当社グループは研究開発型のテクノロジー企業として、設立以来、サイバニクス技術を用いて人や社会の役に立つ製品・サービスを研究・開発しており、当連結会計年度の研究開発費の総額は713百万円と、販売費及び一般管理費全体の28.5%であり大きな割合を占めています。

 研究開発に関しては、社会が直面する少子・超高齢化に伴う様々な課題に対処できる技術開発として、サイバニクス技術を駆使して、(1)次世代サイバニクス技術、(2)ロボット医療技術、(3)生活支援ロボット技術までを広く包括できる人支援技術を研究開発しています。基礎研究レベルから社会実装に至るまでの人とロボットと情報系が融合複合したトータルシステムの研究開発に注力しています。