文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、『アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)は、クライアント(お客様)と建築家と建設会社が共有する高度なプラットホームを構築し、新しいスタイルのサプライチェーン・マネジメントを確立し、美しい日本を創造します。』を経営理念としております。
経営の基本方針は以下のとおりであります。
① クライアント(お客様)にご満足いただけるサービスの提案・提供を行い、顧客満足度向上を追求してまいります。
② 情報管理・コミュニケーション・コストマネジメントにASJが独自開発したIT技術を投下し、登録建築家及び加盟建設会社(スタジオ運営会社)とお互いに協力して事業を展開し、成果と成功の共有を目指してまいります。
③ 企業としての社会的責任を果たすとともに、経営基盤の強化と収益力の向上を図り、健全で持続的な成長を実現してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、経営の基本方針を実現するための目標とする経営指標として、「売上高」「営業利益」を重要な指標として認識しております。
当社グループは、目標とする経営指標を達成すべく、売上の向上に注力し、コストの最適化を通して効率的な経営を推進するとともに新規諸施策の展開等により、企業価値の向上を目指してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
次期におきましては、住宅業界を取り巻く環境は政府による各種補助金制度の継続などの後押しはあるものの、中長期的な新築住宅着工棟数の減少傾向に加え、住宅ローン金利の先高観、土地価格や建築コストの上昇等により住宅取得マインドの低下など依然として厳しい状況が続くものと思われます。
このような状況において、当社グループが単一セグメントとして展開してきたASJ建築家ネットワーク事業は当期までの直近3期の業績において株式上場以来の低水準で推移しており、これは販管費削減といった小手先の対策では対応出来るものではなく、組織改編、事業改編を伴う「収益構造の改革」と「財務基盤の強化」が当社にとっての重点課題であり、急務であります。そのために2024年3月12日に中期経営計画を策定し、建築家ネットワーク事業の単一セグメントから脱却して「住まい」から「暮らし」まで事業領域を拡大した収益構造への転換を目指すことと致しました。
基本的な経営方針を「生活の質はデザイン次第」から「生活そのものを Design する“暮らし提案企業”へ」と設定し、これまでの「住まい」を提供する事業展開から 衣+食+住+遊+健康=「暮らし」それも心まで豊かにするような「暮らし方」を提案・提供できる企業へと転換を図ることで、より多くの方の、より多くのニーズに応えられる「住」ビジネスを基点とした事業多様化による企業グループ化を図り、企業価値向上を目指すことと致しました。加えてASJ建築家ネットワーク事業の対象市場を海外に求める、海外展開を図り、事業の国際化による新たな収益の確保も目指していきます。
当社は中期経営計画の成長戦略を「事業多様化によるセカンドステージへ」として、将来的には新たなセグメントに基づく企業グループを構築し、企業価値の向上を図ります。次代に対応可能な企業への転換を目指す、当社の企業としてのセカンドステージへのステップアップを図るべく、4つのステージアップを目指すことといたしました。
① 企業体のステージアップとして
「組織改編=事業展開に応じた組織へ+企業グループ化」により企業力の向上を図ります。
② 企業規模のステージアップとして
「資本増強+資金調達」により、課題である収益基盤・財務基盤の強化を図ります。
③ 対象市場のステージアップとして
「住空間から生活全般へ、そして海外展開を」事業再構築・営業基盤の拡充を図ります。
④ 事業展開のステージアップとして
「日本から世界へ」&「世界から日本へ」対象市場を海外まで拡充させます。
中期経営計画で目指すのは『「暮らし」提案企業:トータル・ライフサポートが可能な企業グループへ』であり、それが当社の目指すセカンドステージであります。
当社は事業領域拡大に伴い、新たなセグメントとして下記3つのセグメントへ変更し、それぞれの事業がお互いを補完し合える事業基盤の構築を図ります。
1)「住まい」関連事業
既存のASJ建築家ネットワーク事業を「住まい」関連事業に昇華させ、建築家ネットワーク事業の質的向上と量的拡大を目指すこととします。
1-1 ネットワーク事業:スタジオ加盟数の増加を重要課題として取り組んでいきます。
1-2 プロデュース事業:新規サテライト開設とプロデュース案件数の増加を目指します。
1-3 リノベーション事業:市場拡大が予想される市場へ本格的参入を目指します。
1-4 ビジネスサポート事業:スタジオとの関係強化と増収増益の為に機能させます。
1-5 クリエイティブ事業:CASABELLA プロジェクト/PROTOBANK プロジェクト
1-6 海外事業:プロジェクト受注と空間プロデュース分野で日本の建築家を輸出します。
2)「暮らし」関連事業
「住まい」から派生する「暮らし」に関連する事業を事業多様化戦略の下に展開するのが「暮らし」関連事業です。取扱いジャンルは「衣+食+住+遊+健康」をテーマにしています。これは今後の当社の成長因子となる重点事業として展開していきます。
2-1 当社を介して住宅建設した顧客及び ASJ アカデミー会員を対象としたサービス
① 家具・インテリア関連商品の販売
② 絵画・オブジェ・アートの販売
③ グルメコンシェルジュプロジェクト
④ 「生活そのものを Design する」をテーマとした催事+販売イベント
今後、事業展開を検討していく事業候補として
⑤ ヘルスケア関連事業:「健康とアンチエイジング」をコンセプトとした事業です。
2-2 マーチャンダイジング事業
コンセプトを「ASJ だから提供できる上質な製品とサービスの提供」として商品・サービスの提供を行います。EC 販売(仮称「コンシェルジュデスク」サイト開設予定)及び当社催事での販売を中心に展開します。将来的に一般顧客まで対象として参ります。
3)投資関連事業
既存 ASJ 建築家ネットワーク事業等「住まい関連事業」及び「暮らし関連事業」のサポートの一環として、中期経営計画のスピードアップに貢献する投融資を積極的に展開していきます。
3-1 ASJ パートナー企業への投融資
3-2 ASJ 建築家ネットワーク事業の顧客への各種ローン
3-3 住まい関連事業リフォーム顧客への各種ローン
3-4 事業投資(事業多様化戦略に貢献するような事業・企業への投融資)
※従来は環境事業としていた「ALIN プロジェクト」は当社が研究開発からその実用化に向けてアライアンス面を中心に参画しており、来期は投資関連事業として計上することとし、実用化段階時点では総合監修的な立場で関与していく予定としました。
以上のように中期経営計画における施策を着実に実行し「住まい」関連事業に加えて「衣+食+住+遊+健康」=「暮らし」関連事業として展開することにより、事業の質的向上と量的拡大を目指します。「暮らし」関連事業を中期経営計画における成長因子となる重点事業として位置づけ「住まい」から「暮らし」まで事業領域を拡大した収益構造への転換を目指すと共に販売費及び一般管理費のすべての費用項目について一層の削減に努め、新たな資本政策の導入も含め、当社の財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図るべく努めてまいる所存であります。
当社グループの使命は、2025年3月期を大きな転換点として、これまで達成できなかった対処すべき課題であった収益構造・財務体質の改善を確実に達成し、まずは単年度での黒字化を果たし、ステークホルダーの皆様の付託に応えられる、新たなASJとして、企業価値を高めることにあります。そのためには不退転の決意をもって、改革を断行して参ります。
以上に加え、引き続き販売費及び一般管理費のすべての費用項目について、管理可能経費の一層の削減に努めてまいります。また、ASJ建築家ネットワーク事業にシナジーや関心を有する企業との資本・業務提携を模索することにより、財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図るべく努めてまいる所存であります。
当連結会計年度においては売上高897,496千円、営業損失96,615千円、経常損失92,982千円及び親会社株主に帰属する当期純損失79,904千円となり、営業活動によるキャッシュ・フローは84,249千円のマイナスとなりました。これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。当社グループは、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策を実行することにより、収益力の向上及び財務体質の改善に努めてまいる所存であります。なお、当該対応策につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。
当社グループの使命は、ASJ建築家ネットワーク事業における加盟建設会社・パートナー企業において確実な収益メカニズムとして確立されること、また登録建築家にとっては参画することの価値が高まることであります。ASJ建築家ネットワーク事業は「建築家との家づくり」を訴求ポイントとし、住宅・リフォーム・商業施設等の建設計画がある顧客に、建築家を活用した建物づくりの選択肢を提供するものであります。当社は、「建設計画のある方が、最寄りのASJのスタジオを利用するのは当たり前」となることを目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、現状ではサステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サステナビリティに関する課題について、当社が具体的に対処すべき課題を明確にし、その具体的な対処法をリスク管理と収益化の観点を含め、開示できるような取り組みを、継続的に検討してまいります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないため、サステナビリティ関連のリスク及び機会、管理するためのガバナンス過程、統制及び手続等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。
当社グループのガバナンスについては、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。
(2)戦略
当社グループでは、永続的に事業を継続し、持続的に成長を遂げるため、人材の確保と定着率の向上、そして育成強化が必要不可欠であると認識しております。そのため年齢や性別に関係なく、安定した人材確保や創発人材の育成をはじめ、従業員の給与水準の向上、働きやすい環境の整備、自己成長の機会の提供、組織の活性化等に取り組み、人的資本の充実を図ってまいります。また、当面の目標として従業員の有給休暇取得率を現在の58%から65%に向上させることとしています。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを、その他経営上のリスクと一体的に監視及び管理しております。当社におけるリスクマネジメントの取組については、「第2事業の状況 3.事業等のリスク」記載しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連の戦略におけるリスク及び機会に対処するための重要な取り組み、関連指標や目標については、検討中であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 収益構造について
① スタジオの展開について
ASJ建築家ネットワーク事業におきましては、加盟建設会社が運営するスタジオが重要な役割を担っております。加盟建設会社が複数のスタジオを運営するケースはありますが、原則として地域ごとにフランチャイズ制をとっており、20~30万世帯の人口圏に1スタジオを展開する方針であります。建設会社とフランチャイズ契約(ASJスタジオ運営契約)を締結するにあたっては、当該建設会社の施工技術や施工実績等を総合的に勘案して当該契約を締結しておりますが、新たな建設会社との新規加盟店契約が締結できない場合には、スタジオの新規展開に支障が生じることにより売上の増加が見込めず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、新規の建設会社に対して新規加盟に向けたリクルート活動を継続して実施することにより、新規加盟店の加入促進を図ってまいります。
② 加盟建設会社の経営について
加盟建設会社は、わが国の経済環境や各々が展開する地域経済の状況に大きく影響を受ける傾向があります。加盟建設会社が、経営状況の悪化、経営方針の変更や予期せぬ理由によりASJ建築家ネットワーク事業を継続することが困難となった場合は、稼働スタジオ件数の減少による売上の減少や債権回収期間の長期化、貸倒引当金計上の増加等、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、営業担当であるSVを通して加盟建設会社のスタジオ経営に関する企画や運営のサポート等に一層努めてまいります。
③ 第4四半期への売上集中について
当連結会計年度に計上された契約ロイヤリティに関する売上高は285,211千円であり、売上高全体の高い割合を占めております。例年3月に顧客と加盟建設会社との工事請負契約が増加し、第4四半期に売上計上が集中する傾向があります。しかしながら、諸事情により想定どおりに工事請負契約等が締結されなかった場合は、第4四半期の売上高が計画未達となるおそれがあり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、工事請負契約や建築設計・監理業務委託契約の締結時期の分散化及び物件進捗管理の徹底を図ることにより、第4四半期の売上計上の平準化に努めてまいります。
(2) 小規模組織及び人材の確保について
当社グループは、有価証券報告書提出日現在、取締役4名(うち非常勤取締役1名)、監査等委員である取締役3名(うち非常勤3名)、従業員49名の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制となっております。営業担当のSVは、加盟建設会社に協力して各スタジオにおけるイベントの企画・運営をサポートするだけではなく、登録建築家・加盟建設会社に対する各種コンサルティングや新規の建築家・建設会社のリクルート等ASJ建築家ネットワーク事業のけん引役となって活動しております。加えて、直営業部門(当社が直接プロデュースを行う部門)の営業職は、住宅・不動産に関する知識等が必要となっております。
このため、業容に応じた人員の確保が順調に進まず役職員による業務執行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、売上の減少等により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、営業担当をはじめ全従業員の質的向上、処遇面や労務面での所要の対応を図ってまいる方針であります。
(3) 特定人物への依存について
当社の創業者であり、取締役会長である丸山雄平は、ASJ建築家ネットワーク事業の運営、特に多くの建築家との人脈の構築等により、当社ビジネス全般について重要な役割を果たしております。しかしながら、何らかの理由で丸山雄平が業務を執行することが困難となった場合は、事業活動に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、経営ノウハウの共有、権限委譲や組織の整備、さらには新たな人材の獲得等により、丸山雄平に過度に依存しない事業体制の構築に努めてまいります。
(4) 特定の外部委託先への依存度について
当社は、ASJ建築家ネットワーク事業運営に関わるIT基幹システムのソフトウエア開発等について、外部委託先との連携を推進し、効果的な開発体制の構築に努めております。
外部委託先は、高度な専門性、業務の品質や迅速な対応等を勘案し、継続的に良好な提携関係を図ることが可能な取引先を選定しており、現状は株式会社イン・コントロールへの依存度が高くなっております。しかしながら、同社の経営方針の変更等によって当社との連携が不安定となったり、ソフトウエア開発が計画どおり進展しない場合は、ASJ建築家ネットワークの事業運営に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、当該外部委託先と一層の信頼関係の醸成に努め、良好な連携関係を継続することにより、リスクの軽減を図っております。
(5) 情報システムについて
当社では、経営の効率化、受注確率や生産性の向上等を目的として、独自開発したA-POS(情報管理システム)、COSNAVI(建築家対応積算ソフト)の基幹情報システムを構築しております。しかしながら、これらの情報システムに何らかの予期せぬ不具合やコンピュータウイルス等でシステムダウンやシステム障害が発生した場合は、ASJ建築家ネットワークの事業運営に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、当該基幹情報システムのハードウエアの構成やソフトウエアの開発プロセス等において、システムダウンやシステム障害等の発生を防止する諸施策を講じております。
(6) 個人情報の管理について
ASJ建築家ネットワーク事業におきましては、加盟建設会社が運営するスタジオにおけるイベントへの来場者及び顧客の個人情報を当社、登録建築家及び加盟建設会社が共有しております。しかしながら、不測の事態により個人情報が流出した場合には、損害賠償、社会的信用の失墜等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、個人情報の利用・管理の重要性を関係者が共有するとともに、個人情報の紛失、盗難、改ざん及び漏えい等を防止するためのデータの保管、不正アクセス及びコンピュータウイルス等に対する適切なセキュリティー対策を講じております。
(7) 自然災害等による影響について
地震や津波、台風等の自然災害により、人的・物的な被害が生じた場合、あるいはそれらの自然災害に起因する電力・ガス・水道・交通網の遮断等が発生した場合は、当社や取引先の正常な事業活動が阻害され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、自然災害の発生後速やかに社内の対策組織を立ち上げ、被害の規模・現況の把握や対応策等について検討を行い、迅速な対応を講じる所存であります。
(8) 減損会計の適用について
当社は、経営環境の変化や経済的要因、当社の業績動向等により、固定資産について減損損失を計上する必要が生じた場合は、当該損失の計上により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、経営計画の達成に努めるとともに、新規の設備投資案件については慎重に検討のうえ実施することにより、減損損失の計上に至る状況を回避する所存であります。
(9) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当連結会計年度において、売上高は897,496千円、営業損失96,615千円、経常損失92,982千円及び親会社株主に帰属する当期純損失79,904千円となり、営業活動によるキャッシュ・フローは84,249千円のマイナスとなりました。これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。
当該事象又は状況を解消又は改善するための対応策は実施途上にあることから、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
当社グループは当該リスクへの対応策として、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」に記載しており、当該対応策の着実な実行を図ってまいる所存であります。
(10)資金調達について
当社は、財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図るため、新株式の発行等による資金調達を行う可能 性があります。しかしながら、経済情勢の悪化や当社の業績動向等により資金調達の実現に不確実性が生じた場合は、手元流動性や運転資金の減少により、当社の事業及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。また、将来における新株式等の発行は、株式の希薄化を生じさせる可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、経営計画の着実な達成に努めるとともに、当社グループ事業にシナジーや親和性のある企業との資本・業務提携を模索し、必要とする資金調達の実現に努める所存であります。
(11) 株式会社東京証券取引所「グロース市場」の上場維持基準について
当社は、株式会社東京証券取引所新市場区分グロース市場に移行いたしました。株式会社東京証券取引所の関連規則に基づき算定される流通株式時価総額は5億円以上であること、時価総額は40億円以上(上場後10年経過後から適用)であることがグロース市場上場維持基準の要件の一部となっておりますが、2025年3月31日時点で、流通株式時価総額は5億円以上、時価総額は40億円未満となっております。2026年3月期までに上記上場維持基準を充たすため、各種取組を進めてまいりますが、財政状態及び経営成績並びに経済情勢や市場環境により、2026年3月期までにグロース市場の上場維持基準及び経過措置の維持基準を充足できない場合は、当社株式は上場廃止となる可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、全社一丸となって業績の回復に努め、企業価値の向上を図ることにより、株価を通して株主・投資家の評価をいただき、当該リスクの顕在化を回避する所存であります。
(12) 訴訟の可能性について
当社グループは、事業を展開する上で、当社グループの瑕疵又は責任の有無に拘わらず、損害賠償等の訴訟を提起される場合があります。また、取引関係や労使関係その他において何らかのトラブルが生じた場合には、訴訟等に発展する可能性があります。さらに訴訟が発生した場合には、その内容や賠償額により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、役職員に対して、各種法令の遵守とコンプライアンスの意識・行動の向上に努めております。
(13) サステナビリティ課題に関する対応
当社グループを取り巻くステークホルダーをはじめ、社会全体でサステナビリティ課題への意識や、課題解決への期待が高まっております。そのため脱炭素社会への移行等に伴う気候変動政策、環境に関する法令、顧客のニーズに対応できない場合には、当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当該リスクへの対応策として、サステナビリティ課題への取り組む枠組みとして、「ガバナンス」及び「リスク管理」を整備し、サステナビリティ課題及び当社グループの経営課題を踏まえた重要課題を選定し、重要課題に対する「戦略」、「指標及び目標」の策定を進めることで、サステナビリティ課題への対応を図る所存です。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
a.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や感染症の収束などで個人消費の持ち直し、過去最高の海外からの来日者数によるインバウンド需要の増加となったことから、サービス消費を中心に日本国内の経済活動正常化の流れは活発化しました。しかしながら、一方、ウクライナ・ガザにおける国際紛争の収束が見通せない不透明な海外情勢や為替市場の混乱と円安の長期化は、過去に類をみない物価上昇を継続させており、家計への影響は大きく、よって個人消費は停滞傾向にあり、景気動向に深刻な影響を与えています。トランプ関税などによる経済的な混乱と金融資本市場への影響等も相まって、国内外の経済活動、国際情勢は、まだまだ先行き不透明な状況が継続しております。
こうした社会情勢の中で、当社の主たる事業の1つである「住まい関連事業」の対象市場である住宅業界におきましては、物価高及び建材資材、住宅設備機器等の高騰、人件費の上昇と慢性的な人手不足に伴うコスト・販売価格の上昇によって消費者マインドは低下傾向にあり、新設住宅着工戸数は、依然として減少傾向で推移、持家の着工についても、前年同期比11.5%という大幅な減少となって前年割れの状況が依然として続いている状況であります。市場は購買層・市場が二極化していると言われ、富裕層及び海外からの投資家の好立地住宅案件への購買欲は高く、都市部に限らず、不動産価格は上昇傾向にあり、こうした歪な市場環境は、当社を含めて業界にとっては決して追い風とはならず、結果としては厳しい事業環境であると言えます。こうした状況と市場傾向を改善するような要素は見当たらず、しばらくは住宅市場を取り巻く状況の厳しさは継続することが予想されております。こうした市場環境を見越して、当社は中期経営計画により、収益構造改革を目指して「住まい」関連事業に加え、「暮らし」関連事業と「投資」関連事業による事業展開を開始してきております。
このような状況の下、当連結会計年度におきましては、当社グループは当連結会計年度中間期より、中期経営計画に沿った事業展開を開始しており、3つのセグメントによる当連結会計年度の売上高は897,496千円(前期比51.4%の増収)となりました。これは「住まい関連事業」においてイベント数、対象案件数は減少したものも建設費高騰等の要因による単価の増加により、ほぼ前年並の565,121千円を計上したこと、当連結会計年度中間期より開始した「暮らし関連事業」による売上、「投資関連事業」によるALINプロジェクトの売上及び新規案件、ESJ株式会社からの収益によるものです。
前期比での増収は達成しながらも、中期経営計画における当連結会計年度の計画値には未達となり、その主な要因は当連結会計年度中に資本業務提携により当社グループ会社化したMED株式会社、株式会社チャミ・コーポレーション、株式会社トルネードジャパンの3社につき、その収益を当連結会計年度では連結対象外としたこと、当社株価が行使価額を下回っていたために新株予約権の行使が予定よりも遅れ、事業資金調達が想定よりも遅延したことと「暮らし関連事業」の開始準備に想定以上の時間を要したことから「暮らし関連事業」の売上計上が2026年3月期にずれ込んだことがその要因となりました。
営業利益は「住まい関連事業」及び「暮らし関連事業」の収益率が若干改善したものの、計画売上高の計上が行えなかったこと及び「投資関連事業」のALINプロジェクトにおいて追加費用の発生もありましたが、継続して経費削減に努めたことから販売費及び一般管理費は703,328千円となり、営業損失は96,615千円(前期営業損失216,506千円)となりました。営業外収益は主に、加盟店より預かった保証金について、返却義務が消滅したものを預り金戻入益として7,011千円計上しております。営業外費用は主に支払利息5,152千円を計上し、経常損失は92,982千円(前期経常損失236,217千円)となりました。
また、現在当社事業に必要な基幹管理システムAPОSのソフトウェアの開発改修に伴って当連結会計期間に計上したソフトウェア仮勘定、「住まい関連事業」の東京・二子玉川の東京サテライトの店舗設備の固定資産等について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき回収可能性を検討し、将来の収益見込み等を勘案した結果、当社の固定資産簿価の36,341千円の減損処理を行いました。加えて係争中の訴訟案件につき予期せぬ判決に係る訴訟損失引当金繰入額61,590千円を計上したことにより、特別損失99,018千円を計上いたしました。しかしながら、資本業務提携によるグループ会社化に伴う特別利益として、MED株式会社の株式取得に伴う負ののれん発生益54,546千円、株式会社トルネードジャパンの株式取得に伴う負ののれん発生益57,196千円が計上されました。
その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は79,904千円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失361,355千円)となりました。
b.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は2,131,397千円となり、前連結会計年度末と比べて1,587,211千円増加いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ、164,220千円増加し、630,582千円となりました。これは主として現金及び預金51,745千円の減少、短期貸付金126,606千円、売掛金34,728千円の増加等によるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、1,422,990千円増加し、1,500,814千円となりました。これは主として投資不動産1,297,981千円、のれん5,694千円の増加、差入保証金75,967千円の減少等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は1,896,148千円となり、前連結会計年度末と比べて1,415,216千円増加いたしました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ、307,183千円増加し、575,656千円となりました。これは主として1年内返済予定の長期借入金81,180千円、前受金75,934千円、訴訟損失引当金61,590千円の増加等によるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ、1,108,032千円増加し、1,320,491千円となりました。これは主として長期借入金984,068千円の増加等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は235,249千円となり、前連結会計年度末と比べて171,994千円増加いたしました。これは主として資本金56,525千円、資本剰余金56,525千円の増加、利益剰余金の減少79,904千円によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、51,745千円減少し、211,375千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は84,249千円(前年同期は204,231千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失80,257千円、負ののれん発生益111,742千円、売上債権の増加額12,792千円、未払金の減少額34,143千円等の支出要因のほか、訴訟損失引当金の増加額61,590千円、減損損失36,341千円等の収入要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は46,690千円(前年同期は90,719千円の支出)となりました。これは主に子会社株式の取得による収入87,889千円、子会社株式の取得による支出55,295千円、保証金の差入による支出36,918千円等の支出要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は77,870千円(前年同期は245,026千円の収入)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入102,672千円等の収入要因によるものであります。
当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
ASJ建築家ネットワーク事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注状況に関する記載はしておりません。
当社グループは、当連結会計年度より、従来のASJ建築家ネットワーク事業の単一セグメントから、「住まい関連事業」と「暮らし関連事業」、「投資関連事業」の3つの報告セグメントに変更しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析
当社グループの売上は例年3月に集中する傾向にありますが、資材高騰の影響により見積調整に時間がかかったことや建設計画の延期及び中止並びに規模縮小などが原因で、建築設計・監理業務委託契約及び工事請負契約の成約数は前期と比較して微減となりました。また、主要施策であるスタジオの新規加盟契約件数につきましては、新しく加わったフランチャイズメニューにより加盟件数は増加いたしました。以上のことから売上高は897,496千円となりました。また、営業損益においては、想定していた売上高が下振れしたことから、営業損失は96,615千円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金と設備投資資金であります。
運転資金は、主に人件費、販売促進費、建物賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。また、設備投資資金は事業運営に係る基幹システム開発及び社内業務効率化のためのシステム開発等を目的としたソフトウエア開発費用であります。
当社グループは、運転資金と設備投資資金については、自己資金により充当いたしました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)ASJスタジオ運営契約
当社は、加盟建設会社との間で、以下のようなASJスタジオ運営契約を締結しております。なお、契約内容の要旨は次のとおりであります。
(2)PROTO BANK Station 運営契約
当社は、加盟建設会社との間で、以下のようなPROTO BANK Station運営契約を締結しております。なお、契約内容の要旨は次のとおりであります。
(3)ASJ建築家登録契約
当社は、登録建築家との間で、以下のようなASJ建築家登録契約を締結しております。なお、契約内容の要旨は次のとおりであります。
(4)当社は、2024年8月13日にSupaSpacePTE LTDの新株発行引受契約を締結し、同社の株式を取得して子会社化することとなりました。なお、2024年8月20日付で当該株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
(5)当社は、2024年12月27日にMED株式会社の株式譲渡契約を締結し、同社の株式を取得して子会社化することとなりました。なお、2024年12月27日付で当該株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
(6)当社は、2025年2月3日に株式会社チャミ・コーポレーションの株式譲渡契約を締結し、同社の株式を取得し、その後2025年3月19日に当該株式の株式交付に伴う株式譲渡契約を締結して、子会社化することとなりました。なお、2025年2月3日及び2025年3月19日付で当該株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
(7)当社は、2025年3月17日に株式会社トルネードジャパンの株式譲渡契約を締結し、同社の株式を取得して子会社化することとなりました。なお、2025年3月17日付で当該株式を取得しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。