文中における将来に関する事項は、本書提出日(2024年6月26日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営の基本方針は、中古住宅再生事業を通じて、良質な住まいを提供し続けることで社会に貢献していく、という理念に立ち、お客様に満足して頂ける住まいを提供し、また、社会的に信頼される企業であり続けることであります。
これらを実現していくために、商品の品質向上を図っていくとともに、法令遵守を徹底し、経営体制の一層の強化を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は財務健全性と資本効率性を重視し、自己資本比率及び自己資本利益率(ROE)等の指標の維持・向上を図ってまいります。また、累進配当制度による安定的な配当を実施し、株主還元の充実に努めてまいります。
(3)経営環境及び経営戦略の現状と見通し
当社が属する中古住宅流通市場では取引件数は年々増加しており、その中で中古住宅再生事業の事業者による取引シェアも拡大傾向にあります。中古住宅はサステナビリティの観点でも注目されており、今後もますますの市場成長が期待されます。
このような市場環境の下で当社は、組織の効率化と人材の育成により生産性を向上させ、居住用物件の収益力強化を図ってまいります。収益用物件につきましては、取り扱いは順調に増えており、引き続きノウハウを積み上げてまいります。また、商品ラインナップを拡大して幅広い顧客に訴求するため、高価格帯マンションの販売やリゾート事業にも取り組んでまいります。
次期の業績見通しにつきましては、事業環境は先行き不透明な状況ながら、人件費や原材料の価格高騰の影響により新築マンションおよび新築戸建の販売価格は高い水準を維持すると考えられ、引き続き中古住宅への需要は根強いと予想されます。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、2022年3月期よりスタートした中期経営計画の最終期である2024年3月期につきましては、中古住宅再生事業では居住用、収益用ともに当初の売上計画を達成いたしましたが、利益面では計画に未達で長期保有物件の削減が翌年度の課題として残りました。
新たな第3次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、長期保有物件の削減を進めるとともに、以下の事項を重点課題として取り組み、これからも中古住宅再生事業を通して持続可能な社会の形成に貢献し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
① 中古住宅再生事業
中古住宅流通市場の取引件数は年々増加しており、中古住宅再生事業の事業者による取引シェアも拡大傾向にあります。中古住宅はサステナビリティの観点でも注目されており、今後もますますの市場成長が期待されます。
このような環境下で、当社は、組織の効率化と人材の育成により生産性を向上させ、仕入力と販売力の強化に取り組み、年間取引数1,000戸体制の構築を目指してまいります。さらに、都心部中心にハイグレードマンションの再販にも取り組み、販売ターゲット層の拡大を目指してまいります。
また、物件の仕入から売却までの保有期間を適切に管理することで物件の長期化を抑制し、収益力の向上に努めてまいります。
② 収益再販事業およびその他の事業
収益用物件の取り扱いは順調に増えております。引き続き再生・再販ノウハウを着実に積み上げてまいります。
また、商品ラインナップを拡大して幅広い顧客に訴求するため、リゾート事業にも取り組んでまいります。
③ 品質向上と商品企画の取り組み
当社物件の競争力を維持向上させるため、商品企画と品質の向上に努めることで魅力ある住宅をお客様に供給するとともに、アフターサービスの拡充により顧客満足度の向上を図ってまいります。
④ コンプライアンス体制の強化
企業価値の最大化を図るためには、経営の健全性、透明性及び客観性を高めることが重要であると考えております。監査体制の充実、社内諸規程・業務マニュアルの整備、社員教育の拡充、定期的な内部監査によって内部統制の有効性を高め、多様化するリスクを適切に管理する体制を整備・構築してまいります。
⑤ 株主価値向上に向けた財務・資本政策
自己資本比率や自己資本利益率(RОE)の維持向上に努めることで、財務の健全性を保つとともに資本効率の向上を図ってまいります。
また、株主還元の充実を重要な経営課題と位置づけ、累進配当を導入して安定的かつ継続的な配当を実施してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
当社では、中古住宅再生事業を通じて、良質な住まいを提供し続けることで社会に貢献していく、という経営理念のもと、快適で安心して暮らせる住まいのご提供を通じて豊かな社会の実現に貢献することが私たちに期待されているサステナビリティであると考えております。そのため当社は、ステークホルダーと共に、持続可能な社会の形成と持続的な企業価値の向上を目指しております。
(2)具体的な取組み
<ガバナンス>
当社は、事業環境の変化に対応した迅速な意思決定を重視し、経営の効率性を高めるとともに、永続的な事業発展、持続的な企業価値の向上、企業を取り巻く株主、顧客、取引先、従業員等の利害関係者から信頼が得られるよう、経営の健全性、透明性の確保並びにコンプライアンスの徹底に磨きをかけ、最大限のコーポレート・ガバナンスが発揮されるよう努めてまいります。
当社におけるコーポレート・ガバナンスの体制は、経営の意思決定機関としての取締役会と、監査機関としての監査等委員会を中心とした監査等委員会設置会社となっており、その概要は次の図のとおりであります。
サステナビリティに関する重要な課題への取組や進捗管理等については、経営会議で審議されたうえで取締役会に報告され、監査等委員会による監督も実行されております。
<リスク管理>
当社は、事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理、実践を可能にすることを目的として、「危機管理規程」で会社のリスクマネジメントに関する基本的な事項を定めております。
具体的な取り組みとして、代表取締役社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を四半期毎に開催し、様々な事業リスクを審議し、事業等のリスクの検討を行っております。その結果は取締役会に報告され、監督を受けております。
また、緊急時には、代表取締役社長を最高責任者とする危機管理体制をとるものとし、必要に応じて、代表取締役社長を本部長とする緊急対策本部を設置して対応方針を協議および決定し、損失の拡大防止並びに危機の収束の措置を実施します。収束後には、再発防止に向けた指針を定めることとしております。
<戦略>
①人材の多様性の確保を含めた人材の育成に関する方針
当社では、性別や国籍に関係なく、能力や実績を重視する人物本位の人材登用を目指しております。
また、管理職登用の基準に新卒入社・中途入社による区別はなく、異なる経験やキャリアを有する多様な価値観を持つ人材を採用し、これらの人材が活躍できる社内環境を整備することによって、持続的な成長と企業価値の向上を図っていく方針であります。
社員の育成については、職場のOJTに加えて、新人から管理職までの幅広い階層や職種に応じた研修を実施して、社員の能力、スキルや専門性の向上を図っております。また、当社ではメンター制度によって、業務以外の面も含めて新人の成長をサポートしております。
②社内環境整備に関する方針
当社では、様々なバックグラウンドを持った人材が活躍できる社内環境を目指しております。社内の多様性の確保に向けて、「くるみん認定」、「健康経営優良法人」認定を取得し、次世代法および女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を新たに策定する等、女性社員の活躍促進、ワークライフバランスに配慮した各種の取組みによって、育児と仕事を両立できる職場環境づくりを推進しております。
<指標および目標>
当社では、上記<戦略>において記載した、人材の多様性の確保を含めた人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
・女性管理職比率
女性の管理職登用に関する当社の課題は、まず管理職候補となりうる人材を採用し、育成していくことであり、社内でその意識醸成が必要であるため、女性活躍推進法における「一般事業主行動計画」にて、計画期間中に女性管理職(課長以上)を1名以上登用するという目標を設定し、現状課題の把握や取組を実施する対策をしてまいります。
・正社員における女性社員比率 26.2%(2024年3月末日実績)
女性活躍推進法における「一般事業主行動計画」にて、計画期間における女性正社員を毎年5%以上増加させることを目標としており、採用強化や制度導入の検討をしてまいります。
・月間平均残業時間 9.5時間(2024年3月末日実績)
・有給休暇取得率 90.1%(同上)
有給休暇取得率に関しましては、取得意識が社内で十分に浸透しているため、この取得率を維持することを目標としております。
また、残業時間抑制に対する意識も社内で十分に浸透しているため、特段の数値目標は設定しておりませんが、現在の水準が維持されるよう努めております。
以下には、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項について、投資家に対する積極的情報開示の観点から記載しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えます。また、以下の記載は、当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日(2024年6月26日)現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる場合があります。
-当社の事業に関連するリスクについて-
① 不動産市況及び税制等の動向と当社の業績について
当社の主たる事業である中古住宅再生事業においては、一般に、景況感が悪化し不動産市況が低迷した場合には計画通りに物件の販売ができず販売価格の引下げが必要となる等のリスクが生じる一方で、中古不動産の仕入価格は下落する傾向があります。他方、不動産市況が活況である際には在庫不動産の回転が早期化することや販売価格が上昇する等のメリットが生じる一方で、中古不動産の仕入価格が高騰する可能性があります。また、消費税率の改定や金利の変動が不動産を購入する顧客層の購買動機に影響を及ぼし、当社の物件販売にも影響を及ぼす可能性があります。このように、当社の業績は景気動向や金利動向及び不動産市況の影響を受ける特徴があり、過年度の業績推移は、将来の業績を予測するうえで、必ずしも適切な指標とはならないと考えられます。
② 棚卸資産の長期在庫について
当社は、各地域での需要予測、近隣地域環境、お客様のニーズ等を慎重に分析調査を行ったうえで、物件の仕入、リフォーム、販売を行っております。しかし、不動産市況の悪化等によって物件の販売が滞った場合や、リフォーム資材の流通不安定化等により工期の遅延が発生して早期の販売活動ができなくなった場合には、物件保有期間の長期化に繋がる可能性があります。当社のビジネスモデルとして、長期在庫となった場合は販売価格等を見直しての売却処分や棚卸資産の評価損処理が必要となる場合があるほか、滞留在庫の増加により有利子負債が増加する等、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ リフォーム工事および資材の調達について
当社では、取得した中古住宅のリフォーム工事を外注することによって人件費等の増加を抑制し、経費の軽減効果を見込んでおります。しかしながら、外注先を十分に確保できなかった場合や外注先の経営状態の悪化、大工の不足等により工期の遅延が発生した場合には商品化が遅れ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、リフォームに用いる資材は外部調達により仕入れておりますが、国内外の動向により原材料・資材の価格が上昇し価格へ転嫁することが難しい場合や、国内外において物流が滞るような事態となり資材供給に遅延や不足が発生することにより商品化が遅れることとなった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合他社の参入について
中古不動産の売買自体は、継続的に業として行う場合に宅地建物取引業免許の取得が必要となるほかは新規参入に特段の制約はなく、また、競売は各地方裁判所で行なわれる公的な制度であり、競売への応札に特別な許認可や登録等は必要ありません。したがって、今後、競合他社の参入状況によっては、物件の仕入や販売において価格競争等が生じる、あるいは競売への応札者が増加し競売での落札数が減少するまたは落札価格が上昇する等の事象が生じた結果、仕入や販売の件数が減少した場合、また仕入価格の上昇や販売価格の下落によって利益率が低下した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有利子負債への依存と資金調達について
当社では、物件の仕入資金を主として金融機関からの借入によって調達しているため、有利子負債への依存度は比較的高い水準にあります。そのため、市場金利の上昇は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社では財務状態を良好に保つために自己資本の充実に注力しておりますが、財務状態の著しい悪化等により当社の信用力が低下した場合は資金調達に制約を受けることとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 不動産競売における明渡しについて
当社では、不動産競売による物件仕入を行っております。当社が競売により落札取得した物件に占有者がいる場合には、当該物件の明渡し業務が発生する場合があります。民事執行法では、買受人が簡易かつ迅速に競売物件の引渡しを受けられるように引渡命令の手続きが定められておりますが、一定期間を経過した場合は明渡し訴訟の提起が必要になります。この場合には、物件の明渡し期間が長期化することによって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各地方裁判所の引渡命令や明渡し訴訟の手続きが何らかの事情により遅滞ないし延期された場合にも、物件の明渡し期間が長期化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 固定資産の減損について
当社は、その他不動産事業として賃貸事業を営んでおります。これら保有している賃貸用不動産について、地価の下落等の影響により固定資産の減損損失を計上することとなった場合には、当社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
-当社事業に関連する諸制度に関するリスクについて-
⑧ 法的規制や免許・許認可事項について
当社の事業は、宅地建物取引業法をはじめ各種法令による規制を受けております。当社では法令遵守の徹底を図るとともに、法令の改廃等の情報を日頃より収集して社内に伝達しておりますが、今後これらの関係法規の改廃や、新たな法的規制が生じた場合には当社の事業活動において制限を受ける可能性があり、その場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、宅地建物取引業免許は当社の主要な事業活動に必須の免許であります。現時点において当該免許の取消事由や更新欠格事由は発生しておりませんが、将来何等かの理由により免許の取消や更新欠格による失効等があった場合は当社の事業活動に大きく支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 不動産登記に公信力がないことについて
日本の不動産登記には公信力(公示を信頼して取引した者には、公示どおりの権利状態があったのと同様の保護を与える力)がないことから、登記を信頼して取引した場合でも保護されない場合があります。また登記から事前に不動産に係る権利義務を知りえない場合があります。したがって、当社が取得した権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受け、あるいは第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。当社は、仕入に際して登記内容を確認する他、物件の権利関係に関する情報を可能な限り入手するようにしておりますが、現実にこのような事態が発生した場合には、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 契約不適合責任について
当社が物件を仕入れた後、当該物件に契約不適合が見つかった場合、必ずしも物件売主に対してその責任を追及できるとは限らず、重大な契約不適合があった場合には、その修復のため追加費用の負担が発生し、当社の業績に影響が生じる可能性があります。また、当社が販売した物件について重大な契約不適合があった場合には、それに起因する契約解除や損害賠償請求、契約不適合部分の修復のための費用が発生するとともに、当社の信用が失墜する事態が考えられ、その場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 訴訟等について
当社は、事業活動の中で生じる各業務について適法かつ適正な業務処理を行っており、現時点において業績に影響を及ぼす重要な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、業務手続に適法性や適正性を欠いた場合にはクレーム等を受け、それらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。このような訴訟・係争ないしは請求が生じることのないようマニュアルや業務フローを定め、社内体制の整備に努めてはおりますが、今後そうした事態が発生した場合、その内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 個人情報等の管理について
当社は、お客様や取引先等の個人情報や重要な経営情報等の内部情報管理につきましては、社内規程を定めて社員への教育・周知に努めるとともに、情報システムのセキュリティ対策の強化にも努めております。しかしながら、万が一、当社が保有する個人情報等が何等かの理由で社外に漏えいしてしまった場合には、当社の信用が失墜し、損害賠償による損失が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
-その他のリスク-
⑬ 自然災害、人為的災害及び大規模な疾病の流行等の不測の事態について
当社では、広域にわたって事業を展開することにより、特定エリアで発生する自然災害や火災、事件、暴動等(以下、「災害事故等」という。)によるリスクの分散を図っております。また、原則として、当社が保有する不動産物件については火災保険等を付保して、災害事故等に備えております。しかしながら、万が一、甚大な災害事故等が発生した際に、当社が保有している物件につき滅失、劣化または毀損等が発生し、保険でカバーできない場合や、消費者の購入マインドが著しく低下した場合には、当社の業績に影響する可能性があります。また、大規模な疾病の流行等の不測の事態が起きた場合には、被害の発生状況および行政当局の指示・要請によっては、営業活動の自粛や事業所の休業等の措置が必要となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化により企業収益や雇用状況が改善し、国内景気は緩やかな回復基調を取り戻しております。一方、為替変動による円安進行、物価高による内需の低迷が懸念される等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属する中古住宅流通市場におきましては、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、2024年3月度の首都圏中古マンションの成約件数は3,810件(前年同月比10.7%増)となり、10ヶ月連続で前年同月を上回り、成約価格は4,821万円(同8.6%増)で46ヶ月連続で前年同月を上回りました。また、在庫件数も26ヶ月連続で前年同月を上回っております。
このような市場環境の下、当社の仕入活動につきましては、物件価格の上昇に対して慎重に仕入を行った結果、当事業年度における居住用物件の仕入件数は828件(前事業年度比12.1%減)となりました。
販売活動につきましては、長期保有物件を中心に販促を強化したことにより当第4四半期会計期間の販売件数が257件(前年同四半期比19.0%増)と増加した結果、当事業年度における居住用物件の販売件数は868件(前事業年度比0.3%増)となり、平均販売単価は2,425万円から2,546万円(同5.0%増)に上昇しております。また、収益用物件につきましては、一棟マンション6棟を販売しました。
利益面につきましては、長期保有物件の販促において実施した価格見直しの影響により、居住用物件の利益率は低下しましたが、収益用物件の販売において利益率を確保した結果、当事業年度における売上総利益率は16.4%となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は27,321百万円(前事業年度比6.0%増)、営業利益は2,013百万円(同23.9%減)、経常利益は1,845百万円(同24.9%減)、当期純利益は1,264百万円(同27.5%減)となりました。
事業別の状況は次のとおりであります。
<中古住宅再生事業>
中古住宅再生事業におきましては、居住用物件の販売による売上が22,102百万円、収益用一棟マンションを含む収益用物件の販売による売上が4,669百万円となり、物件販売による売上高は26,771百万円となりました。また、収益用物件の保有期間中の賃貸収入が285百万円となりました。その結果、当事業年度における中古住宅再生事業の売上高は27,116百万円(前事業年度比6.3%増)となりました。
<その他不動産事業>
その他不動産事業におきましては、賃貸用不動産の賃貸収入等により、当事業年度におけるその他不動産事業の売上高は205百万円(前事業年度比23.9%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べて1,805百万円増加し、6,146百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果、獲得した資金は4,549百万円(前年同期は706百万円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,833百万円、棚卸資産が3,460百万円減少し、支払利息が202百万円であった一方で、利息を188百万円、法人税等を719百万円支出したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果、使用した資金は1,246百万円(前年同期は1,548百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得により979百万円を支出したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果、使用した資金は1,497百万円(前年同期は1,575百万円の獲得)となりました。これは主に、新規の長期借入1,710百万円を実行した一方で、長期借入金2,352百万円を返済し、配当金の支払いにより492百万円を支出したことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当事業年度の仕入実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
|
事業別 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
||
|
仕入件数 |
仕入高 (千円) |
|||
|
中古住宅再生事業 |
居住用物件 |
828 |
13,545,807 |
△13.5 |
|
収益用物件 |
4 |
667,773 |
△72.8 |
|
|
小計 |
832 |
14,213,581 |
△21.6 |
|
|
その他不動産事業 |
- |
- |
- |
|
|
合計 |
832 |
14,213,581 |
△21.6 |
|
(注)販売用不動産の仕入実態を明確にするため、上記仕入高には販売用不動産本体価格を記載し、リフォーム資材を含む仕入に係る付随費用等は除いております。
c.受注実績
当社は受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
|
事業別 |
当事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比 (%) |
||
|
販売件数 |
売上高 (千円) |
|||
|
中古住宅再生事業 |
居住用物件 |
868 |
22,102,500 |
5.3 |
|
収益用物件 |
8 |
4,669,133 |
8.4 |
|
|
その他収入 |
- |
345,102 |
50.1 |
|
|
小計 |
876 |
27,116,736 |
6.3 |
|
|
その他不動産事業 |
- |
205,216 |
△23.9 |
|
|
合計 |
876 |
27,321,952 |
6.0 |
|
(注)1.販売実績を明確に表示するため、中古住宅再生事業の売上高は、居住用物件、収益用物件及びその他収入を区分して表示しております。なお、その他収入は短期賃料収入、固定資産税及び都市計画税精算金による売上であります。
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
当事業年度末における総資産は、26,851百万円となり、前事業年度末の27,425百万円から574百万円の減少となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、25,412百万円となり、前事業年度末の24,738百万円から673百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が2,077百万円、販売用不動産が548百万円増加した一方で、仕掛販売用不動産が1,826百万円減少したことによります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、1,439百万円となり、前事業年度末の2,687百万円から1,248百万円の減少となりました。これは主に、有形固定資産が1,264百万円減少したことによります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、8,475百万円となり、前事業年度末の9,032百万円から557百万円の減少となりました。これは主に、短期借入金が361百万円減少、未払法人税等が185百万円減少したことによります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、7,292百万円となり、前事業年度末の8,088百万円から795百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が776百万円減少したことによります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、11,082百万円となり、前事業年度末の10,304百万円から778百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が778百万円増加したことによります。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、27,321百万円となり、前事業年度の25,785百万円から1,536百万円の増加(前事業年度比6.0%増)となりました。その主な要因は、居住用物件の販売による売上が1,121百万円増加したことによります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、22,851百万円となり、前事業年度の20,729百万円から2,121百万円の増加(前事業年度比10.2%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加及び仕入価格・リフォーム費用の上昇に伴うものであります。
以上の結果により、当事業年度の売上総利益は、4,470百万円(前事業年度比11.6%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,457百万円となり、前事業年度の2,411百万円から45百万円の増加(前事業年度比1.9%増)となりました。その主な要因は、売上高の増加に伴う仲介手数料の増加や人件費が増加したことによります。
以上の結果により、当事業年度の営業利益は、2,013百万円(前事業年度比23.9%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、移転補償金及び受取保険金等の計上により、90百万円となりました。また、当事業年度の営業外費用は、支払利息等の計上により、258百万円となりました。
以上の結果により、当事業年度の経常利益は、1,845百万円(前事業年度比24.9%減)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、1,264百万円となり、前事業年度の1,744百万円から479百万円の減少(前事業年度比27.5%減)となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金需要)
当社の資金需要は、主として販売用不動産の仕入のための仕入資金があります。また、設備資金としては賃貸用不動産の設備投資があります。
(財務政策)
販売用不動産の仕入資金は、主に物件毎に短期借入金で調達しておりますが、機動的かつ効率的に調達するため、各金融機関と当座貸越やコミットメントラインによる極度額の設定を進めております。
設備資金につきましては、融資条件等を慎重に比較検討のうえ、案件毎に借入先金融機関を決定しております。賃貸用不動産購入資金は、原則として長期借入金または社債(私募債)で調達しております。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗情報
当社は財務健全性と資本効率性を重視し、2022年3月期から2024年3月期までの中期3か年計画において、自己資本比率を30%以上、自己資本利益率(ROE)を12%以上とすることを目標にしており、計画最終年度である当事業年度におきましては、自己資本比率は41.1%、ROEは11.9%となりました。
また、2024年5月20日に発表した第3次中期経営計画では、2025年3月期から2027年3月期までの3か年における自己資本比率を30%以上、ROEを12%以上とすることを引き続き目標にしております。
特筆すべき事項はありません。
該当事項はありません。