第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当事業年度におけるわが国経済は、緩やかに持ち直しがみられました。7~9月期の実質GDP(1次速報値)  は、前期比年率2.2%増と3四半期連続のプラス成長となり、設備投資も、宿泊施設や大都市圏の再開発など建設投資の増加を背景に、小幅ながら3四半期ぶりに増加となりました。政府は、平成28年8月に事業規模28兆円超の経済対策を閣議決定し、11月には、財源の裏付けとなる平成28年度第2次補正予算が成立しました。内訳をみると、「21世紀型のインフラ整備」や「熊本地震・東日本大震災の復興、防災強化」などの金額が大きいことから、公共投資の増加が景気を一定程度押し上げると期待されます。
  当社の主力である戸建住宅部門の属する住宅関連業界においては、平成29年1月31日に国土交通省が、平成28年12月の住宅着工動向を発表し、12月の住宅着工戸数は7万8406戸と前年同月比3.9%増で、6ヵ月連続の増加となりました。 利用関係別では、持家、貸家、分譲住宅、いずれも増加しました。また、この結果平成28年の新設住宅着工戸数は、96万7237戸、前年比6.4%増で、2年連続の増加となり、消費税率8%への引き上げを前に駆け込み需要が発生した平成25年(約98万戸)以来、3年ぶりの高い水準となりました。利用関係別では、持家、貸家、分譲住宅、いずれも前年より増加しました。
 建築物部門の属する建築物の着工棟数については、分譲マンションが前年比0.9%減少となりましたものの、民間非居住系建築物の着工床面積においては、前年と比較すると工場及び事務所が増加したため全体で0.9%増加となりました。
 リフォーム部門の属する住宅リフォーム市場においては、上半期でマイナス7.7%となり、消費税の増税延期の影響で市場に一服感が出ております。
 このような状況の下、当社は「人と地球にやさしい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に、「アクアフォーム」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。戸建住宅部門においては、主力商品の「アクアフォーム」が、住宅着工戸数の安定と、平成32年までに新築戸建住宅において半数をZEH(ゼロエネルギー住宅)対応にするという政府目標が追い風となり、売上高は前年同期比で15.8%増加しました。建築物部門においては、前事業年度に生じた原料不具合による影響が当事業年度前半の受注活動に影響し、第3四半期から受注状況は改善したものの、受注からの施工売上高は前年同期比で9.0%の減少となりました。その他の部門においては、リフォーム市場の不振によるリフォームカーの販売が伸びなかったこともあり、売上高は1.4%の減少となりました。
 その結果、当事業年度の売上高につきましては、15,608百万円(前年同期比8.3%増)となりました。営業利益につきましては、自社製造原料による原料コストの削減が継続していること、工務社員の施工協力会内での独立支援制度の推進による固定費の削減が進んだことから1,404百万円(前年同期比38.6%増)となりました。経常利益は1,404百万円(前年同期比38.1%増)となり、当期純利益につきましては、一部の原料メーカーとの原料供給契約解除にともなう受取解約金175百万円が支払われたことなどから979百万円(前年同期比612.9%増)となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による収入1,502百万円、投資活動による支出834百万円、財務活動による支出489百万円となりました。このため、現金及び現金同等物の期末残高は2,569百万円となり、前年同期に比べ179百万円の増加となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とこれに係る要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,502百万円の収入(前年同期は748百万円の支出)となりました。これは、税引前当期純利益1,565百万円、仕入債務の増加額366百万円、たな卸資産の減少190百万円、減価償却費183百万円、受取解約金の受領175百万円などが収入に寄与した一方、売上債権の増加額283百万円、未収入金の増加額402百万円、工事損失補償金の支払112百万円、法人税等の支払332百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、834百万円の支出(前年同期は1,501百万円の支出)となりました。これは、主に有形固定資産の取得789百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、489百万円の支出(前年同期は1,645百万円の収入)となりました。これは、短期借入金の返済による支出400百万円、ストック・オプションの行使による収入197百万円、セール・アンド・リースバックによる収入51百万円に対し、長期借入金の返済による支出199百万円、配当の支払による支出103百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出35百万円によるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、受注を契機として施工を行い、かつ主力の戸建住宅分野では施工期間が原則1日間と短期であることから、生産実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。

(2) 受注実績

当社の主たる事業である断熱材の施工販売は、そのほとんどにおいて、受注から施工実施、販売までの期間が短期であることから、受注実績と販売実績とは近似しており、記載を省略しております。

(3) 販売実績

当社は、単一セグメントでの事業を行っておりますが、当事業年度(自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日)における販売実績を品目別及び地域別に示すと、次のとおりであります。

 

品目別販売実績 

品目

当事業年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

戸建住宅向け断熱材

10,903,527

115.8

建築物向け断熱材

2,601,267

91.0

商品販売

2,103,461

98.6

合計

15,608,255

108.3

 

地域別販売実績

地域

当事業年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

東北ブロック

1,650,238

110.1

北関東ブロック

2,407,581

86.1

南関東ブロック

2,741,463

132.7

中部ブロック

2,221,707

109.8

関西ブロック

2,223,181

104.9

中国四国ブロック

1,480,915

100.8

九州ブロック

2,040,011

115.2

営業本部

843,159

127.5

合計

15,608,255

108.3

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前事業年度

(自 平成27年1月1日

至 平成27年12月31日)

当事業年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

丸紅建材㈱

1,840,480

12.8

1,924,674

12.3

伊藤忠建材㈱

1,618,832

11.2

1,671,431

10.7

 

   2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【対処すべき課題】

当社が事業を推進していくために重要な課題と認識している点は以下のとおりです。

(1) マーケットシェアの拡大

断熱材市場における当社のマーケットシェアを拡大することを重要な課題と認識しております。そのために次の施策を進めていきます。

①拠点の拡大

受注拡大と安定した施工を目的に平成28年12月31日現在38拠点に営業拠点を展開しております。当社は、北海道から九州までの全国にわたり営業拠点を展開しており、住宅着工件数の市場規模に合わせて重点的な取り組みを行ってきております。今後もさらに機能的な営業拠点展開を進め、受注の拡大、マーケットシェアの拡大を図って参ります。

②RC造マンション等の建築物市場への積極展開

当社は、RC造のマンション、病院、学校、倉庫等の建築物への断熱材の施工販売を本格的に展開してきておりますが、今後は建築物用の原料の全国のウレタン工事業者に対する販売にも注力して参ります。建築物市場は、木造戸建住宅市場と異なり当社の販売する硬質ウレタンの断熱材が主流であり、そのため当社は工務人員の採用、施工技術向上のための人材の育成と共に、認定施工店を含む施工体制の整備を行い、大手ゼネコンをはじめとした幅広い顧客からの受注獲得を進めております。今後も引き続き建築物市場におけるマーケットシェアの拡大を図って参ります。

また、自社原料の製造を開始したことから、今後は施工受注のみならず、今まで競合関係にあった施工業者に対し、原料の販売を行うことで、協力関係を築いて参ります。

   注.RCとはReinforced Concreteの略称。
  RC造とは、コンクリートと鉄筋とが一体となった構造で鉄筋コンクリートのこと。コンクリートの中に
  鉄筋を入れ、圧縮にも引張りにも強い部材を作るのがこの構造の特徴。

③断熱リフォーム市場への参入

当社は、更なる成長を目指して前々事業年度よりリフォーム断熱市場へ参入し、リフォーム事業部を立ち上げました。2tトラックに搭載していた従来の発泡システムを、ワンボックスカーに収まるようコンパクト化したものを新たに開発し、狭小地からマンションまで施工可能にしたことで、リフォーム現場でも施工が可能となりました。自社による施工に加え、リフォーム事業者に対して本コンパクトシステムを提供することによってマーケットシェアの拡大を図って参ります。

今後は、断熱リフォーム市場の構築を図るため、ホームセンターの商流に断熱リフォーム工事を乗せる取り組みや、マンションディベロッパー系のリフォーム会社との関係強化を積極的に推し進めて参ります。

④施工能力の強化

営業エリアを全国7ブロックに分割し、各ブロックに中核拠点を設置する計画が順調に進んでおり、前事業年度の4月に鳥栖営業所、10月に岡山営業所及び11月に大阪営業所を開設し、当事業年度の9月に仙台営業所を新たに開設しました。これらの中核拠点では原料の備蓄倉庫としての機能のほか、シャワールームの設置等のリフレッシュ機能、事務機能等を整備することで、工務人員の労働環境の改善を図り、士気の向上を目指します。また、技術研修を行うことにより工務社員の技術力を向上させ、受注拡大に対応できる施工能力を強化します。

⑤ハブ&スポークによる拠点の効率化

ハブ機能の中核拠点として、前事業年度の4月に鳥栖営業所、10月に岡山営業所及び11月に大阪営業所を開設し、当事業年度の9月に仙台営業所を新たに開設しました。これらの中核拠点は、原料の備蓄倉庫としての機能を有しており、スポークである営業拠点が使用する原料を保管・輸送することで、全社レベルでの業務の効率化を図って参ります。

(2) 施工体制の拡充

当社の売上を増やすためには、受注の増加と施工能力の強化をすることが課題と認識しております。そのためには、前述のとおり自社工務部門の生産性の向上とともに、認定施工店網の拡充が必須条件となります。当社は、地域に根ざす認定施工店を断熱材施工業務の委託先としてのみならず、営業活動における情報収集や顧客の紹介等、きわめて重要なパートナーとして位置づけており、今後も各地で認定施工店網を強化して参ります。また、社内で独立支援制度を推奨し、有能な工務社員を当社の認定施工店として独立支援することで、さらに施工体制を拡充して参ります。

 

(3) 硬質ウレタンフォーム施工品質管理の強化

当社の現場吹付による硬質ウレタンフォーム断熱工事の施工棟数はここ数年で大きく増加しており、これに比例して社会的責任も増しております。そこで、当社は施工品質が所期のとおりであるかを確認するため、技術本部内に品質管理部門を設置いたしました。品質管理の担当者(品質管理者)は硬質ウレタンフォーム及びその施工に関する知識、並びに関連法規、関連規格に関する知識を有している者が選定され、全国7ブロックに1名ずつ配置いたします。

品質管理者の主な役割は、当社の工務及び認定施工店が施工する木造戸建住宅、もしくはコンクリート造、鉄骨等の建築物の施工現場に立ち会い、原料の取扱状況と硬質ウレタンフォームの検査を行い施工品質の確認を行います。その結果、是正すべきものがあった場合に関連部門へフィードバックし、常に施工品質の向上に努めてまいります。

(4) 安全管理の強化

①自社施工部門の安全管理の強化

施工品質の確保と並んで現場安全管理の強化も最重要課題であると認識しております。現場での安全指導に加え、定期的に安全委員会を開催しております。安全委員会は代表取締役社長を委員長に、原料開発部門、管理部門及び各ブロックの工務責任者を委員として運営されております。これにより、施工現場に係る安全衛生、安全運転管理、並びに営業所倉庫の防火・防災を趣旨として工務全社員の安全意識の向上を図っております。

②認定施工店の安全管理の強化

当社の認定施工店に対する安全管理の徹底周知には、毎年1回ブロック毎に安全大会を開催しております。安全大会では、作業者の安全対策、安全衛生対策、健康管理、及び化学品である原料の安全な取扱方法・知識について講義、指導を行っております。

(5) コスト削減の強化

当社の収益性を向上させるには、コスト削減が重要な課題であると認識しております。そのために、当社の主たる事業である断熱材の施工販売において、使用する原料のコスト削減を図ります。前事業年度より自社ブランドによる原料の委託製造を開始いたしました。これにより良質で安定した原料を低価格で製造できる体制が整い、大幅な原料コスト削減が可能となりました。

原料の価格は、原料が石油製品であるため、ナフサの国際価格の影響を受けます。当社は、拠点の倉庫機能の拡充を進める一方、原料製造用の素原料を大量に仕入れることにより、物流コストの削減と仕入価格の引き下げを図り、売上原価の低減に努めております。また、積算業務について、フィリピンの日系企業への外注移管をしておりましたが、積算戸数の増加に伴い積算能力の向上が必要となり、新たに現地法人を立ち上げました。これにより積算関連業務のコスト削減を図って参ります。さらに、主要副資材の調達を本社購買で一括して行い、品目別に集中購買することで仕入単価の削減を図っております。

(6) 関連資材の販売強化

売上を増加させるために、アクアフォーム®と併せて施工・設置する関連資材の販売強化を図り、1棟当たり受注単価の向上を図ることが課題であると認識しております。住宅の断熱性能をより向上させるアクエアーシルバー(通気層確保用スペーサー)、アクアシルバーウォール(透湿・防水シート)とともに、木造住宅床材用の接着剤、床下用換気システム、床用断熱ボード等の商品をパッケージ化して工務店、ビルダーに提案していきます。

(7) 技術開発、テクニカルセンターの開設

当社は、新たな省エネルギー基準に対応した商品を提供することが課題であると認識しております。そのため、平成26年3月にテクニカルセンターを立ち上げました。そこでは、既存の断熱材の品質の検証等を行うとともに、新たな省エネルギー基準に対応できる断熱材の研究開発を行っております。

また、テクニカルセンターではマイナス25℃の環境下等の様々な環境におけるウレタンの耐久性の実験や、現場で吹付する際の実証実験、及び熱伝導率や圧縮・接着強度の実験を行っており、自社ブランドの原料における品質の安定化および性能の向上に寄与しております。これらのテクニカルセンターでの研究によって、将来に向けた事業の拡大・成長を図って参ります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社が事業を継続していく上で、リスクとして考えられる事項のうち、主なものは以下のとおりです。なお、文中において将来について記載した事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1) 住宅建築市場の悪化

断熱工事に対する需要は、マクロ経済指標である新設住宅着工件数の影響を受けます。これまで当社は新設住宅着工件数が伸び悩む中でも、積極的な営業展開、事業の範囲の拡大などで、業績を拡大してまいりました。今後においても、着実な成長を持続するために営業所の新設、施工能力の拡充、価格競争力の強化、建築物向け断熱施工の強化などの施策を実行していく所存ですが、金融危機の発生、消費税等の増税、金利の上昇などにより住宅建築市場が悪化した場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(2) 原材料の調達環境の悪化

断熱施工に使用するウレタン原料の主成分は石油製品であります。従いまして原油価格の上昇や円安により原料価格が高騰した場合、当社の原料調達価格が上昇する可能性があります。また、原料メーカーが当社以外の断熱施工会社に安価な原料を供給するようになった場合、当社の価格競争力が低下する可能性があります。加えて、何らかの理由により、内外の原料メーカーからの調達が困難になり、施工に使用する原料が不足するという状況に陥った場合、工期に遅延が生じる可能性があります。当社は、原料メーカーとの協力関係を強化し、安定購買の継続、中核拠点に原料備蓄倉庫を設置したことにより、これらの事象が発生した場合でもリスクを最小限度に抑えて参ります。しかし、構造的な要因で長期にわたってこれらの事象が発生した場合には、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(3) 素原料の調達環境の悪化

委託製造しておりますウレタン原料の素原料の主成分は石油製品であります。従いまして、原油価格の上昇や円安により素原料価格が高騰した場合、当社の原料調達価格が上昇する可能性があります。また、委託加工先が事業の変更、または災害により原料の製造が継続できなくなり、施工に使用する原料が不足するという状況に陥った場合、工期に遅延が生じる可能性があります。そのため、当社は複数の委託加工先と製造委託契約を締結し、一部の委託加工先に製造が継続できない事由が発生した場合でも、リスクを最小限に抑えて参ります。しかし、構造的な要因で長期にわたってこれらの事象が発生した場合には、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(4) 受注の伸びに対する施工体制の遅れ

当社は平成23年に自社施工を本格化しました。これは認定施工店のみでは、当面の受注拡大に対応が困難になると判断したためであります。その後、自社の工務社員数を積極的に増やし、国内全域にわたって施工に対応しうる体制を整えました。さらに、建築物分野事業の開始に伴い、施工体制の強化が急務となっています。当社は新規採用のみならず、有能な社員を当社の認定施工店として独立支援することで包括的な施工体制の強化を図っておりますが、何らかの理由で工務社員の新規採用が困難になった場合、または独立支援スケジュールに遅れが生じた場合、これを原因として受注機会を逸する可能性があり、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(5) 高性能断熱材市場への新規参入

アクアフォーム®は、硬質ウレタンフォーム以外の断熱材に比べ、相対的に高価格である一方、高い断熱性能を有しております。しかしながら、当社と同じ硬質ウレタンフォームを使用して性能等で優位性のある製品を供給する業者が現れた場合や、新しい素材を使用して優れた断熱性能を発揮する強力な断熱材が商品化された場合、当社の事業成長に悪影響が及ぶリスクがあります。

(6) 自社原料の生産に伴う資金負担の増加

当社は、原料の仕入価格を低下させるため、当事業年度より自社ブランド原料の委託製造を本格化させております。原料は、委託加工先の生産プラントにおいて、素原料、触媒、難燃材等をブレンドして生産します。当社の生産計画に基づき、各委託加工先に有償支給する素原料等は、主に近隣のアジア諸国及び北米より調達しております。原料の生産ラインを効率よく動かし、生産計画を実現させるために素原料等を自社で在庫する必要があり、その為の資金負担が増加しております。原料製造代金の回収は断熱工事が完成・引き渡しされた後に、得意先が振り出す約束手形が資金化又は売掛金が現金で回収されますが、原料製造及び原料仕入に係る買掛金の決済がこれに先行して到来することもあり、この場合に資金収支にズレが生じます。
  当社は在庫の積み増しによる資金負担増の軽減及び資金収支のズレを改善するため、支出面では、委託加工先及び素原料の仕入先との取引条件の改訂、さらに、収入面では、工事を伴わない原料の売切り販売を伸ばすことにより、資金の回収期間の短縮に取り組んでおります。しかしながら、当社の業容拡大によって原料の委託製造量が増大する場合、当社の資金の負担が増加するリスクがあります。

(7) 事故や瑕疵による当社に対する信頼感の低下

当社は、断熱施工会社としてその施工中の事故や施工の瑕疵に対して責任を負います。当社は作業の安全と施工品質の確保のため、自社の工務社員はいうまでもなく認定施工店に対しても研修と指導を行っております。また、新しい断熱材の原料を導入する際には、テストを繰り返して仕様を改良してから採用しています。しかしながら、自社または認定施工店で、施工者の不注意により重大な事故が発生した場合、工事や断熱原料に由来する瑕疵に対して重大なクレームが発生した場合は、当社に対する信頼感が低下し、当社業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(8) 売上の季節変動

断熱工事に対する売上計上基準は、工事完成基準により行います。また、当社の断熱工事は、住宅が完成する2,3か月前に行いますので、住宅の引渡しが多くなる年度末12月の2,3か月前より完工がピークとなり、その傾向は、第3四半期に増加し始め、第4四半期に集中する傾向があります。その結果、第1四半期及び第2四半期で売上が停滞し経費が過多になるため、損失が発生するリスクがあります。

 第12期事業年度(自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日)及び第13期事業年度(自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日)の各四半期における売上高を参考までに掲げると以下の通りです。

四半期ごとの売上高の推移 

 

 

第1四半期
(1月~3月)

第2四半期
(4月~6月)

第3四半期
(7月~9月)

第4四半期

(10月~12月)

 

平成27年12月期(千円)

3,126,792

3,504,915

3,611,662

4,162,938

 

平成28年12月期(千円)

3,456,147

3,607,808

3,965,278

4,579,019

 

(9) 株式会社桧家ホールディングス及びその関係会社との関係

 ①資本的関係について

当社は、株式会社桧家ホールディングスの連結子会社であり、平成28年12月末現在、同社は当社発行済株式総数の50.6%を保有しております。同社グループは、連結会社13社、非連結子会社1社及び関連会社3社で構成されており(平成28年12月31日現在)、注文住宅の請負・販売、設計、施工及び監理を行う注文住宅事業、戸建分譲住宅の設計、施工、販売並びに土地の分譲及び仲介を行う不動産事業、保育・介護事業等を中心とした事業を営んでおります。平成21年2月の株式譲渡により当社は同社の子会社となり、以降、当社は同社グループにおいて断熱材事業を行っております。

 ②人的関係について

当社取締役10名のうち、株式会社桧家ホールディングス及びその子会社出身者は、常務取締役平野光博、取締役江川弘の2名であり、同社グループからの受入出向者はおりません。また、監査役長谷川臣介は株式会社桧家ホールディングスの監査役を兼務しております。

 ③取引関係について

株式会社桧家ホールディングスの関係会社は、断熱材施工販売事業において当社の販売先の位置付けにあります。この取引にかかる価格をはじめとする取引条件は、他の取引先と同水準にて設定しております。

 ④経営の独立性について

上記のとおり、当社は株式会社桧家ホールディングスを親会社としつつも、取締役における同社出身者は2名であり、当社売上高に占める同社グループへの依存度は1割を下回ることから、経営や取引における独立性は確保している状況にあります。しかしながら、今後も同社が当社の大株主であることは継続すると見込まれるため、同社の事業戦略やグループ管理方針等の変更がされた場合、当社の経営に影響を及ぼすリスクがあります。

(10) 特定人物への依存

当社代表取締役社長の中村文隆は、創業以来、豊富な業務知識とリーダーシップにより当社の営業を企画推進してまいりました。当社では、過度に特定の役員に依存しない経営管理体制の強化に努めておりますが、現時点において何らかの事情により同氏が業務を遂行できない事態となった場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(11) 法的規制

当社は、建設業法、建築基準法、住宅の品質確保の推進等に関する法律、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、消防法、道路交通法、土壌汚染対策法等、多くの法令や規制のもとで事業活動を遂行しております。これらの法令等を遵守するため、役職員のコンプライアンス意識の強化に取り組んでおりますが、万一役職員の一部がこれらの法令等の遵守を怠った場合は、当社の社会的信用が失墜し、当社の経営に重大な悪影響が及ぶリスクがあります。また、当社にとって対応が困難な法的規制が新たに設けられた場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。

(12) 主要な事業活動の前提となる事項について

当社の主要な事業活動である熱絶縁工事業は建設業許可が必要な事業であり、当社では一般建設業許可(熱絶縁工事業)を取得しております。

建設業許可は、5年ごとの更新が義務付けられており、本書提出日現在の許可の有効期限は平成31年1月であります。また、建設業法第29条に建設業許可の取消し、第28条において業務停止等の処分の要件が規定されており、当該要件に抵触した場合には、許可の取消しまたは期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。

当社には、現時点において許可の取消しまたは業務の停止等の事由となる事実はないと認識しておりますが、当該許可の取消しまたは業務の停止等を命じられた場合には、社会的信頼の毀損や契約破棄等により当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 個人情報の取扱いについて

当社は事業を行う上で入手したお客様に関する個人情報を保有しております。
これらの情報管理に関しましては、社内規定の整備、社員教育の徹底、管理体制の強化に努めておりますが、万が一これらの情報が外部に漏洩した場合、当社に対する信用失墜や損害賠償請求等によって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。

(2) 経営成績の分析

当社の当事業年度の経営成績は順調に推移し、当事業年度の売上高は15,608百万円と前期に比べ1,201百万円(前年同期比8.3%)の増収となりました。

当社の主力である戸建住宅部門の属する住宅関連業界においては、平成29年1月31日に国土交通省が、平成28年12月の住宅着工動向を発表し、12月の住宅着工戸数は7万8406戸と前年同月比3.9%増で、6ヵ月連続の増加となりました。 利用関係別では、持家、貸家、分譲住宅、いずれも増加しました。また、この結果平成28年の新設住宅着工戸数は、96万7237戸、前年比6.4%増で、2年連続の増加となり、消費税率8%への引き上げを前に駆け込み需要が発生した平成25年(約98万戸)以来、3年ぶりの高い水準となりました。利用関係別では、持家、貸家、分譲住宅、いずれも前年より増加しました。
 建築物部門の属する建築物の着工棟数については、分譲マンションが前年比0.9%減少となりましたものの、民間非居住系建築物の着工床面積においては、前年と比較すると工場及び事務所が増加したため全体で0.9%増加となりました。
 リフォーム部門の属する住宅リフォーム市場においては、上半期でマイナス7.7%となり、消費税の増税延期の影響で市場に一服感が出ております。
 このような状況の下、当社は「人と地球にやさしい住環境を創ることで社会に貢献」という経営理念を基に、「アクアフォーム」を中心とする硬質ウレタンフォーム断熱材の施工・販売に注力してまいりました。戸建住宅部門においては、主力商品の「アクアフォーム」が、住宅着工戸数の安定と、平成32年までに新築戸建住宅において半数をZEH(ゼロエネルギー住宅)対応にするという政府目標が追い風となり、売上高は前年同期比で15.8%増加しました。建築物部門においては、前事業年度に生じた原料不具合による影響が当事業年度前半の受注活動に影響し、第3四半期から受注状況は改善したものの、受注からの施工売上高は前年同期比で9.0%の減少となりました。その他の部門においては、リフォーム市場の不振によるリフォームカーの販売が伸びなかったこともあり、売上高は1.4%の減少となりました。
 その結果、当事業年度の売上高につきましては、15,608百万円(前年同期比8.3%増)となりました。営業利益につきましては、自社製造原料による原料コストの削減が継続していること、工務社員の施工協力会内での独立支援制度の推進による固定費の削減が進んだことから1,404百万円(前年同期比38.6%増)となりました。経常利益は1,404百万円(前年同期比38.1%増)となり、当期純利益につきましては、一部の原料メーカーとの原料供給契約解除にともなう受取解約金175百万円が支払われたことなどから979百万円(前年同期比612.9%増)となりました。

(3) 財政状態の分析

(流動資産)

当事業年度における流動資産は9,345百万円となり、前事業年度より733百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、受取解約金の受領等による現金及び預金の増加179百万円増加したこと、売上の増加に伴い受取手形が182百万円、売掛金が89百万円、未収入金が354百万円増加したこと、施工機械購入による前渡金が49百万円増加したことなどによるものであります。

(固定資産)

当事業年度における固定資産は3,251百万円となり、前事業年度より608百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、仙台営業所開設による建物が221百万円、構築物が37百万円、土地取得による土地増加324百万円、及びソフトウェア仮勘定33百万円の増加に対し、セール・アンド・リースバックによる車両運搬具の減少13百万円などによるものであります。

(流動負債)

当事業年度における流動負債は5,060百万円となり、前事業年度より483百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、売上の増加に伴い原料仕入等による買掛金が366百万円増加したこと、課税所得の増加により法人税額の増加に伴う未払法人税等が284百万円の増加、未払消費税が141百万円の増加に対し、工事損失補償引当金が一部合意により取崩しとなったことによる80百万円の減少、短期借入金が返済により400百万円の減少したことなどによるものであります。

(固定負債)

当事業年度における固定負債は873百万円となり、前事業年度より213百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、長期借入金が1年以内返済予定の長期借入金への振替により199百万円減少したことなどによるものであります。

(純資産)

当事業年度における純資産は6,663百万円となり、前事業年度より1,072百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、新株予約権の行使による資本金及び資本準備金がそれぞれ98百万円の増加、利益剰余金が875百万円の増加となったことよるものであります。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

(5) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するように努めております。現在の経営方針は以下のとおりであります。

第1に、戸建住宅において年間1次エネルギー消費量を削減させるため、断熱強化と設備性能の向上を図るZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及を推進することで、アクアフォーム®のシェアを拡大させて参ります。2020年の省エネ義務化を追い風に断熱材市場におけるシェアを拡大させるために、コスト削減により価格競争力の強化を進めて参ります。

断熱施工の営業は、地域密着で地場工務店、ビルダー等にアプローチすることが基本であります。また、施工能力の確保も重要であり、自社工務と併せて認定施工店の施工能力拡充を図ります。自社工務では、工務人員の採用とスキルの向上を進めていきます。認定施工店では、既存の認定施工店の施工能力を増やすとともに新規認定施工店の獲得、また独立支援制度による社員から認定施工店へ独立にも力を入れ、包括的な施工能力の向上を目指してて参ります。価格競争力においては、自社ブランドによる原料の製造委託をさらに強化し、原価低減に注力して参ります。

第2に、建築物向け断熱施工を今後さらに強化して参ります。

建築物向け断熱施工は、自社施工中心から外注へ徐々にシフトする方針で、元請けのゼネコン等が要求する品質、工期を遵守できる外注施工先の増加に努めていきます。また、大手ゼネコンとの関係をより強化し、オゾン層破壊係数(ODP)ゼロで、地球温暖化係数(GWP)1であるHFO原料「アクアフォームNEO」の施工販売を拡大して参ります。また、4年後の東京オリンピック特需の取り込みや施工業者向けの原料販売の強化、さらに建築物を施工できる認定施工店を育成し、施工能力の強化に努めて参ります。

さらに、自社ブランドの原料製造を開始したことにより、これまで競合関係にあった全国の断熱施工業者と協力関係を築き、施工だけでなく、断熱施工業者への原料の販売にも注力して参ります。

第3に、リフォーム向け断熱施工を順次強化して参ります。

リフォーム事業者に断熱リフォームを積極的に提案し、全国で2000万戸ある無断熱住宅をターゲットに営業展開して参ります。営業戦略としては、ホームセンターの商流を活用して断熱リフォーム施工の受注獲得、また、大手リフォーム会社との提携を進め、販路の拡大と断熱リフォーム市場の構築に注力して参ります。

第4に、産業資材事業として新たな商材を開発して参ります。

ウレタン原料を使用したフローリングの接着剤・コーキング剤の製造を開始し、自社流通網を活用して積極的に販売をして参ります。

第5に品質管理・開発体制を強化して参ります。

平成26年3月に横浜市に開設しましたテクニカルセンターで、アクアフォーム®および新技術・新商品の研究を進め、JIS・省エネルギー技術への対応して参ります。平成28年10月に、当社の製造する鉱工業品(自社製造原料)及びその加工技術の工場並びに事業場について、JISマーク表示製品として認証を取得しました。

また、施工研修の専門部署を立ち上げると共に品質管理専門の人員を全国7ブロックにそれぞれ配置し、熟練度の増加に伴う技術の向上や品質管理の安定を進めて参ります。