第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復しております。先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要であります。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要があります。

当社グループがサービスを提供する市場におきましては、人口減少等の社会構造の変化や、コロナ禍を契機に加速した働き方の多様化などを背景にDX(注)やデジタル化に向けた投資需要は高まり続けております。

流通食品小売業においては、物価高の影響により、消費者の「節約志向」「買い控え傾向」が根強く続いております。さらに、仕入価格や光熱費、物流費、人件費の上昇等、コスト面での負担も重なり厳しい経営環境が続いております。中長期的には、人口減少に伴い、市場の縮小や、事業を担う人材の不足の深刻化が懸念されることに加え、業界内でのM&Aの活発化や、異業種からの参入による業界の垣根を越えた競争の激化などが想定されます。このように厳しさを増す経営環境を打開するには、DXの推進等による店舗運営の効率化や、卸売業・製造業との連携によるサプライチェーンの最適化等、生産性向上に向けた取組を進めることが不可欠であります。足元では、企業間の垣根を越えた物流の効率化に向けた取組が進むなど、非競争領域における協業やリソースの共同利用の考え方が着実に広がりを見せております。

官公庁においては、総務省から示されている「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、原則として2026年3月までにガバメントクラウド(注)を活用した標準準拠システムへの移行が進められており、官公庁および自治体におけるDXの本格的な展開が期待されます。また、マイナンバーカードと健康保険証・運転免許証との一体化をはじめとするマイナンバーカードの利用促進や行政手続の簡素化など、住民サービスの向上と行政の効率化に向けた取組も進展しております。

また、上記のように、商取引、行政手続など、あらゆる場面においてDXが推進される中、紙・対面に基づく様々なやりとりをサイバー空間において実現するためのデータ流通基盤となる「トラストサービス」へのニーズが飛躍的に高まっており、簡易かつ信頼性の高いサービスへの需要が今後拡大していくと考えられます。

携帯電話販売市場においては、端末の高価格化等による買い替えサイクルの長期化や、オンラインショップでの販売や中古端末の流通拡大により、店頭での販売台数が減少傾向にあり、店舗数・店舗規模については、NTTドコモよりマーケットに合わせた戦略的な出店、効率化の方針が示されております。一方で、2026年3月に予定されている3Gサービス終了に伴う端末買い替え需要が拡大しております。

このような状況のもと、「LINK Smart~もたず、つながる時代へ~」をブランドコンセプトに、「シェアクラウド(共同利用型クラウド)」による安心、安全、低価格で高品質かつ高機能なクラウドサービスの提案を積極的に進めてまいりました。

また、当社は、WorkSmart「一人ひとりが主役~健康で活き活きと働きがいのある職場づくり~」をビジョンに掲げ、2025年度は最大9.0%(全社平均3.9%)となる給与水準の引き上げを実施いたしました。今後も持続的な待遇向上をはじめ、人的資本投資を進めてまいります

以上の結果、当中間連結会計期間における業績は、売上高8,849百万円(前中間連結会計期間比11.5%増)、営業利益990百万円(前中間連結会計期間比74.6%増)、経常利益990百万円(前中間連結会計期間比73.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は673百万円(前中間連結会計期間比101.9%増)となり、中間連結会計期間として過去最高業績となりました。

当社グループが経営上の重要指標と位置付ける定常収入(注)は、サービス提供の拡大等により301百万円増加し、4,250百万円(前中間連結会計期間比7.6%増)となり、順調に推移しました。

 

当中間連結会計期間におけるセグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

① 流通クラウド事業

流通クラウド事業におきましては、卸売業向けEDIサービス 「クラウドEDI-Platform」や、小売業向けEDIサービス「BXNOAH」、専門店向け販売管理システム「RetailPro」等の普及拡大による定常収入の増加、前期にリリースした「@rmsV6」の導入作業の進行に伴う売上の増加、各種サービス料金を改定したことによる売上の増加等により、増収となりました。一方、給与水準の引き上げや導入体制及び開発力強化のための採用に伴う労務費・人件費の増加や、「@rmsV6」の開発に係るソフトウェア償却費の増加等により減益となりました。

主力サービスである食品小売業向け基幹システム「@rms」については、前期にリリースした中大規模顧客向けの新バージョン「@rmsV6」が、2025年3月に1社(既存顧客におけるバージョンV3からの切替)、同年4月に1社(新規顧客)稼働いたしました。引き続き、受注済案件について導入を着実に進めるとともに新規受注にも注力してまいります。

また、小売業向け生鮮発注システム「せんどねっとV2」については、生鮮EDIに対する市場の需要が高まりつつある中、豊富な導入実績を有する当社サービスへの引き合いが増加しております。こうした市場環境の変化を的確に捉えた営業展開の推進も奏功し、複数の新規受注を獲得いたしました。

また、卸売業向けEDIサービス「クラウドEDI-Platform」については、他社サービスと当社サービスを併用していた大手顧客において当社サービスへの完全移行が完了するなど、シェア拡大を進めました。

さらに、「C2Platform」の商談支援サービスについては、一般社団法人日本加工食品卸協会がメーカー・卸売業間における商談業務の標準化推進を目的に新たに構築した商談支援システム「N-Sikle」のエンジンとして2024年12月に稼働を開始しており、卸売業界向けへの展開に向けた取組を進めました。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は2,503百万円(前中間連結会計期間比8.5%増)、セグメント利益(経常利益)は328百万円(前中間連結会計期間比4.0%減)となりました。

 

② 官公庁クラウド事業

官公庁クラウド事業におきましては、自治体の防災行政無線工事案件や、医療分野における大型のシステム更新案件の貢献により増収となりました。また、機器販売の比率が大きかった前年同期と比べ利益率が改善したほか、自治体基幹システムの統一・標準化関連などの案件の進行、前期に稼働した文書管理システムの定常収入が増加したことなどが寄与し大幅な増益となりました。

自治体DX関連サービスに関しましては、各サービスの全国展開に向けた取組を推進しました。文書管理システム「ActiveCity」について、2025年4月に和歌山市や熊本県(市町村共同調達)等で稼働したほか、営業活動にも注力し、大田区や船橋市の大型案件をはじめとする複数の団体で受注を獲得いたしました。

また、自治体専用の電子認証サービス「マイナサイン」については、2025年3月に東京都町田市が運用する図書館情報システムとの連携を開始しました。さらに、オンライン行政相談窓口の「みんなの窓口」についても同月に奈良市で稼働を開始しました。加えて、2025年7月開催の展示会(自治体DX展)に出展し、今後のさらなるサービス展開に向けた取組にも注力いたしました。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は4,148百万円(前中間連結会計期間比19.3%増)、セグメント利益(経常利益)は697百万円(前中間連結会計期間比196.8%増)となりました。

 

③ トラスト事業

トラスト事業におきましては、デジタル証明書発行サービス「CloudCerts」のサービス提供拡大等により増収となりました。一方で、営業体制の強化に伴う人員増強、外部支援サービス活用に伴う費用の増加等の影響により減益となりました。

「CloudCerts」については、2025年2月に「和歌山県高校eスポーツ選手権」の大会公式認定証を発行するなど、官公庁クラウド事業と連携し、自治体向け市場の開拓に向けた取組を進めました。また、2025年4月開催の展示会(Japan DX Week)では過去最高のリード顧客数を記録しました。継続的なフォローを実施し、新規受注獲得に繋げるとともに、さらなる案件の創出を目指して営業活動に一層注力してまいります。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は51百万円(前中間連結会計期間比9.6%増)、セグメント損失(経常損失)は53百万円(前中間連結会計期間はセグメント損失41百万円)となりました。

 

④ モバイルネットワーク事業

モバイルネットワーク事業におきましては、端末販売台数が減少した一方で、NTTドコモが定めるインセンティブ体系の変更に対応して各指標の目標達成に注力し、増収、増益となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は2,145百万円(前中間連結会計期間比2.1%増)、セグメント利益(経常利益)は236百万円(前中間連結会計期間比46.4%増)となりました。

 

 (注)上記に用いられる用語は以下のとおりであります。

DX:デジタルトランスフォーメーション。企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

ガバメントクラウド:政府共通のクラウドサービスの利用環境。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とするもの。

定常収入:情報処理料や保守料等の継続的に得られる収入で、安定収益の拡大を目指す当社グループ独自の管理指標のこと。

 

当中間連結会計期間末の総資産は13,722百万円となり、前連結会計年度末に比べ170百万円増加しました。

流動資産は、182百万円の減少となりました。これは主に現金及び預金647百万円減少したことと、受取手形、売掛金及び契約資産204百万円、仕掛品が134百万円、流動資産のその他に含まれる前払費用が95百万円増加したことによるものです。

固定資産は、352百万円の増加となりました。これは主に取得等によりソフトウエアが500百万円、投資その他の資産に含まれる長期前払費用が229百万円、有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品が134百万円、建物及び構築物75百万円土地63百万円増加したことと、ソフトウエアへの振替により無形固定資産のその他に含まれるソフトウエア仮勘定が574百万円、償却によりのれん82百万円減少したことによるものです。

負債は、191百万円の減少となりました。これは主に返済により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が198百万円、買掛金141百万円減少したことと、借入により短期借入金200百万円未払法人税等52百万円増加したことによるものです。

純資産は、361百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により673百万円増加し、剰余金の配当により189百万円減少したことと、自己株式の取得により156百万円減少したことによるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ647百万円減少し、879百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは448百万円の資金の増加(前中間連結会計期間は、906百万円の資金の増加)となりました。資金の増加の主な要因は、税金等調整前中間純利益987百万円、減価償却費490百万円となっております。資金の減少の主な要因は、法人税等の支払額285百万円、売上債権の増加額204百万円、仕入債務の減少額141百万円、棚卸資産の増加額133百万円となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは724百万円の資金の減少(前中間連結会計期間は、700百万円の資金の減少)となりました。資金の減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出425百万円、無形固定資産の取得による支出241百万円となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

財務活動によるキャッシュ・フローは368百万円の資金の減少(前中間連結会計期間は、672百万円の資金の減少)となりました。資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出198百万円、配当金の支払額189百万円、自己株式の取得による支出156百万円となっております。資金の増加の主な要因は、短期借入金の純増額200百万円となっております。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は120百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(1) 販売に関する契約

当社は、取引条件の軽微な変更に伴い、コネクシオ(株)との間で、新たにドコモショップの業務再委託契約を締結いたしました。また、本契約を締結したことに伴い、第61期有価証券報告書で開示しております同社との契約(2024年4月1日締結)は失効いたしました。

会社名

 相手先
 の名称

相手先の
 所在地

契約品目

契約
 締結日

契約期間

契約内容

当社

コネクシオ㈱

日本

ドコモショップの業務再委託

2025年
 4月1日

2025年4月1日から
 2026年3月31日まで
 以降、1年毎の自動更新

ドコモショップ業務の許諾