(1)会社の経営の基本方針
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、高機能な樹脂製品でクルマの軽量化や樹脂の循環サイクルをリードするとともに、新しい価値の創造へのチャレンジ を積極的に行い、お客様の期待と要望の一歩先を行く、提案型企業を目指します。また、安全と環境にやさしいものづくりも追求し続け、真に社会に貢献できる企業を目指しております。基本方針として、次のとおり企業理念を掲げて企業活動を行っております。
・社員の幸福と繁栄を願い、人・社会・地球を大切にする企業を実現します。
・感動創造企業を目指し、技術開発と革新的なものづくりにチャレンジします。
・企業倫理の徹底を図り、地域から信頼される企業を築きます。
(2)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題
当社グループは従来からの国内の売上高比率および特定取引先の売上依存度の高さ、サステナブルな社会の実現に向けた人材育成、電動車への対応、業務のプロセス改革(DX)、BCP(事業継続計画)等の長期を見据えた対応が経営課題であると認識しております。これらの経営課題に対処すべく、長期ビジョンを策定し、その達成に向け2027年度を最終年度とする中期経営計画の諸施策を進めております。
① 長期ビジョン
[Vision 2040]
当社グループは、樹脂で新たな価値を生み出しサステナブルな社会を実現することで、すべてのステークホルダーにとって「なくてはならない企業」となることを目指してVision2040を策定しており、「樹脂の循環サイクルを確立し、新たな分野へ商品を提供している」、「エンゲージメントが向上し、全社員が会社に誇りをもっている」の2点を具体的な姿として掲げております。
<Vision 2040>
個性豊かな人材が、樹脂の可能性を追求し、グローバルで
人・社会・地球に貢献しているエッセンシャルカンパニー
② 中期経営計画
2027年度を最終年度とする中期経営計画は、以下のとおりです。
[中期経営方針]
長期ビジョン実現に向け、以下の3点に焦点を当て、取り組みを行っております。
・樹脂の循環サイクルを実現した商品のモデルを生み出す
・ビジネスパートナーを倍増させることを見据えたマーケティングを実施する
・社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、快適で働きやすい職場環境を整備する
[中期経営指標]
中期経営指標は、以下の通りです。
[経営戦略]
顧客戦略、商品戦略、ものづくり戦略、経営基盤戦略の4つを柱とする以下の経営戦略を掲げ諸施策を推進しております。
<顧客戦略>
1)樹脂による新たな市場開拓に向けたマーケティング
2)グループ全体の営業機能の強化
<商品戦略>
1)樹脂による新たな価値の創造(自動車関連/新たな分野)
2)システムクリエイターとして新たな価値を提供
<ものづくり戦略>
1)次世代製品の品質マネジメント体制を実現
2)あらゆる変化に対応し、バリューチェーン全体で高効率なものづくりを実現
<経営基盤戦略>
1)一人ひとりの個性を活かすひとづくり
2)社員の健康維持/促進の取り組み強化(健康経営)
3)公平、公正な事業活動とガバナンス強化
4)地域との共存共栄
5)デジタル技術を活用した業務プロセスの改革
6)グループ連結経営の強化
7)財務機能の強化
以上の戦略を通じて、経営課題に対処するとともに、市場ニーズを先取りする独創的、革新的な樹脂製品や技術開発への積極的なチャレンジにより、事業拡大を進めております。
長期ビジョン、中期経営計画の詳細につきましては、当社ホームページをご確認ください。
https://www.daikyonishikawa.co.jp/ir/management/plan.html
(長期ビジョン、中期経営計画)
https://www.daikyonishikawa.co.jp/ir/library/results-briefing.html
(決算説明資料)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、次のとおりサステナビリティ基本方針を掲げて、持続可能な社会の実現を目指しております。
・社員一人ひとりがサステナブルな社会の実現を自分事として捉え、
担当業務と一体化し、課題解決に取り組みます。
・ものづくり力を駆使し、創造と変革を起こし、社会課題の解決に貢献します。
また、SDGs17のゴールのうち、製造業としての責任を果たしつつ、持続可能な社会の実現に向けて、「社員一人ひとりが主役となれる」12のゴールを選定し、SDGs宣言を策定いたしました。

サステナビリティに関して、社員の安全・健康は事業活動の基盤であり全てに優先させ、人間尊重を基本とした危険・有害要因ゼロで、安心して活き活きと働き続けられる企業を築きます。
サステナビリティに関する内容につきましては、経営会議や取締役会にて適宜審議し、また全社環境委員会やリスク管理委員会等の各会議体で活動及び報告を行っております。
想定されるリスクに対する未然防止及び万一リスクが顕在化した場合に適切・迅速な行動を取るため「リスク管理委員会」を設置し、リスクに対する基本的事項を取りまとめた「リスク管理規程」を制定しております。
① 環境保全活動
環境保全活動に関しては、以下の環境理念と方針を掲げ、経営管理本部担当取締役を委員長とし、全社環境委員会を年4回開催しております。また、委員会では、全社活動の運営と環境法令順守および法令改正等の情報を共有しております。
a.環境理念
全員参加で、 徹底した環境保全活動を 継続的に行い、
人・社会・地球に やさしい企業になります。
b.環境方針
1.企業活動が環境に与える影響を把握し、環境目標を定め、定期的な見直しを行うとともに、環境マネジメントシステムにより環境パフォーマンス向上のための継続的改善を図り、環境の保護及び汚染の予防に努めます。
2.企業活動、製品及びサービスの環境に与える影響の中で、特に廃棄物の削減とリサイクル化、省資源・省エネルギーの推進、環境負荷物質の管理・低減を優先的に活動し、徹底したロス低減と環境改善に取り組みます。
3.環境に関連した法規制およびその他の要求事項を順守します。
気候変動に関しては、環境保全活動の一環として、気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動等に与える影響や2020年に政府が掲げた「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現について、カーボンニュートラル対応の専門部署である技術本部生産企画部を中心に取り組みを進めており、活動報告会を年2回開催しています。また、情報開示におきましては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の考えに基づき、同等の枠組みで分かり易く情報開示に努めてまいります。
当社の気候変動に対する対応は、以下に示すとおりです。

c.指標及び目標
当社は、「2030年に2013年度比50%減(売上高比)」という目標を掲げCO2排出量削減に取り組んでおり、2024年度までに26.7%の削減を行っております。
② 人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備
a.人材育成方針
当社グループでは、企業理念において「社員の幸福と繁栄を願い、人・社会・地球を大切にする企業を実現します。」を掲げており、社員の成長こそが、会社が成長する上での最も重要な要素であると考えております。社員が誇りをもって働けるよう“ものづくりから向かうはひとづくり”という未来図を描き、新たな可能性を創り未来の社会を支える企業となるため、次世代に活躍できる人材の育成に取り組んでおります。
近年、企業を取り巻く事業環境や人々の行動が大きく変容していく中にあっては、持続的な成長を実現するためには未来に向けた成長投資(人的資本投資)がより重要であると認識しております。
永続的な企業として未来の社会を支えるため、社員の幸せに向き合っていくために、ものづくりを超えたひとづくりへと今ある枠を超えた新たなことにチャレンジしようとする社員を様々な施策でサポートし、育成してまいります。
具体的には、社員が自身の目指すべきキャリアを描けるよう、各主要ポスト毎の求める人物像、必要な役割・スキルを体系化し、階層別の教育と職種別の専門教育、さらにはDNCブランド構築・共有活動にも力を入れ、社員の柔軟な思考と力強い推進力を育成することで『DNC-Way』(行動指針)を体現できる次世代人材(リーダー)を輩出します。
また、多様な人材を活かす仕組みの構築として、タレントマネジメントシステムを導入し、社員の経歴やスキル、資質、キャリアプランなどの情報を採用や育成、配置において、戦略的に活用することで、個々人のパフォーマンスの最大化を図ります。さらに、若手海外チャレンジ研修や社内公募制度の他、社外研修プログラムなど自社内での経験や価値観にとどまらない学習を通して、意識・行動変革へ果敢に挑戦する社員に対し自己成長と自己実現の場を提供することで、社員の自律的なキャリア形成を支援します。
b.社内環境整備方針
当社グループは、「一人ひとりが力を発揮することで、会社は成長する」という考え方のもと、経営基盤戦略のひとつに「一人ひとりの個性を活かすひとづくり」という方針を掲げ、多様な人材が、長期に渡って活躍し続けられるようにするための職場環境整備や組織風土づくりに取り組んでおります。
『D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進』
誰もが尊重され、活躍できる職場をつくるため、目指す姿を“あらゆる個性を持った社員がその人格を尊重され自然に活躍できる職場が、特段の施策などなく日常となっている姿”とし、それを実現するための行動の着眼点として、次の3つを掲げ、全社をあげた取組みに注力しています。
・ 質の高いコミュニケーションの追求
無意識による相互理解の機会損失を、質の高いコミュニケーションで防ぐことができる職場をつくる。
・ ライフとワークが相乗効果を生み出す職場環境づくり
私たちがお客さまに提供する価値の性質上、時間的・場所的制約はあるものの、生活の充実が仕事のやる気に繋がり、仕事の充実が生活の満足に繋がるような、「今の自分に合わせた働き方」を後押しできる職場をつくる。
・ 継続的に学び、成長を志向する風土の醸成
より効率的に成果を出すために継続的に学び、教え、メンバーが共に育つ職場をつくる。
ダイバーシティ&インクルージョンを推進していくことは、人材確保の観点や、CSR活動の一環に留まらず、社員一人ひとりの異なる強みや特性を活かし、その能力を最大限発揮すると共に、多様な考えを取り入れることにより、新たな知の結合(イノベーション)が生み出され、それが新しい価値創造に繋がるという認識の下、重点的に取り組みを行っております。
2024年度から、全社横断型のD&I推進プロジェクトを立ち上げ、次の5つの柱を設定し活動を進めております。
1. 理念の共有
トップメッセージ配信、協働する上での共通基盤を整備
2. 多様な働き方の実現
メンバー間の情報共有、仕事の見える化、柔軟な働き方(時間と場所)、時間意識の高い働き方、
職場の環境整備
3. 多様な人材を活かす仕組みの構築
多様な人物像の設定、希望する働き方やキャリア志向の把握、多様な正社員制度
4. 心理的安全性の確保
新しいマネジメントスタイル、ヒューマンスキル(特に傾聴力)の高度化
5. アンコンシャスバイアスの解消
多様な価値観への理解と気づき、多様な役割経験による個人内多様性の実現
これらの5つの柱を整備して実行することで、社員のエンゲージメント向上へ繋げ、さらには会社として持続的成長・企業価値向上を目指します。
『多様な働き方の推進』
「ライフとワークの両立」を実現するため、総労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進はもちろんのこと、社員の多様な働き方を支援する施策を推進することで、社員が活き活きと働き続けられる職場環境づくりに取り組んでおります。ライフが充実することでワークがはかどり、ワークがうまくいくことでライフもより潤うという好循環を目指します。
・ フレックスタイム制の拡充
コアタイムを勤務地毎にパターン化するなど制度の見直しを行い、製造本部を含む全間接部門で導入が出来るよう取り組みを進めております。
・ 休暇制度の充実
「ファミリーサポート休暇」や「ヘルスサポート休暇」に加え、「時間単位の年次有給休暇制度」といった新たな休暇制度を導入する等、休暇制度を充実させることで、社員の多様な働き方を支援します。
・ テレワークの推進
ライフワークバランスの促進に加えて、BCP対策の実現、さらには移動ロス低減によるCO2削減に貢献するため、テレワークの推進に取り組んでおります。また、組織と個人の生産性を維持・向上させるため、コミュニケーションツールや文書管理システム、社内決裁システムなどのITインフラ整備を進めると共に、全社基幹システムの再構築も進めております。
・ ジョブリターン制度
ライフイベント等で貴重な経験を積んだ元社員に改めて活躍の機会を提供し、その経験から得られた知見や従来にない発想や考え方を取り入れることで、会社のさらなる発展・成長に繋げることを目的としております。
『社員エンゲージメント向上』
2024年度から、エンゲージメントサーベイを導入し社員のエンゲージメントレベルを測定しています。分析結果に基づき組織の強みや改善点を特定し効果的な施策を立案、実行することで、継続的な職場環境整備を実現します。
c.指標及び目標
当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
ただし、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(注)正規雇用労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、記載内容及び将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在していること、並びに投資に関連するリスク全てを網羅するものではないことにご留意下さい。
当社グループは、グローバルな事業展開のため、社内外での積極的な語学研修への参加、経験豊かな中途採用などにより多様な人材の確保・育成に努めておりますが、転職・不慮の事故・休職により、人材の流失、ノウハウの逸失が発生する可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、市場・顧客からの環境対応・軽量化・低価格等のニーズに応えるため、樹脂の循環サイクル実現に向けた取り組みを行うとともに、金属やガラスから樹脂への代替製品の開発を積極的に行い、環境対応、軽量化、低コスト化等に向けて製品開発を実施・提案しております。
例えば、樹脂製テールゲートにおいては、当社の材料開発技術と生産技術を活かした軽量化製品を開発するなど、常に顧客の求める製品を提供するため、世界に誇れる技術開発力を活かし、コスト競争力向上、商品性向上、易解体性等の環境対応力向上、軽量化・新規アイテム提案等に向け、さらなる製品開発力・技術力の強化に注力しております。
しかしながら、市場・顧客ニーズの変化に対応できず、魅力ある新製品を開発できない場合やタイムリーに提供できない場合、将来の成長と収益性を悪化させ、また投下資金の負担により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他社製品との差別化のため、製品・製造技術等に関連する特許等の知的財産権を取得しております。また、第三者の知的財産権侵害防止のため、随時特許調査を行っております。
知的財産権による完全な保護が困難であるか、限定的にしか保護されない国または地域で自社特許の製品を生産された場合は、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方、当社グループの製品または製造技術が、将来的に第三者の知的財産権を侵害していると判断される場合は、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
製品品質については、国際的な品質管理基準であるISO9001をはじめ、当社グループでの開発から生産までの品質保証体系に基づいて日常管理を行っています。しかしながら、当社グループの製品すべてについて欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては多額の追加コストが発生する可能性があります。
また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険によりカバーできないリスクもあります。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコスト負担につながり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品の需要は、主要得意先であるマツダ株式会社をはじめとする自動車関連メーカーの販売状況の影響を受けます。
自動車関連メーカーの販売状況は製品販売先の国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、主要市場(日本、北米、欧州、アジア)における景気動向、金利動向、為替動向等が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、自動車業界では、部品量産を開始した以降は継続した原価低減活動の実施により、顧客から製品価格の引き下げの要請を受ける商慣行があります。当社グループは計画的な合理化・原価低減活動を実施し、製品価格の引き下げがなされても、収益性が低下しないようコスト管理に取り組んでおりますが、顧客からの要請の内容によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要顧客はマツダ株式会社であり、マツダ車に関わる売上高は約7割を占めております。そのため、顧客の自動車生産及び販売動向が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループの持続的な成長基盤を築くため、中米・北米(メキシコ、米国)、アセアン地域(タイ、インドネシア)、東アジア(中国、韓国)においても事業展開を行っております。
グローバル展開を行う上では、当該進出国での以下に掲げるリスクに直面する可能性があります。
a 予期しない法律または規制の変更
b 人材の採用と確保の難しさ
c ストライキ等の労働争議
d テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
これらリスクを最小限に抑えるため、現地に精通した弁護士、監査法人等からも迅速に情報を入手し、いち早く対策が打てるよう努めておりますが、リスクの顕在化により、材料調達や生産が困難になることや販売の中止等の困難が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
自動車業界の価格競争の激化を受け、部品メーカーにおいても他社との競合による価格競争が激化しております。当社グループは、環境への配慮、軽量化、低価格等の市場のニーズに応えながら、技術開発等で付加価値を高め価格維持に努めておりますが、競合先の低販売価格に対して、販売の維持・拡大、収益性の確保ができなくなる可能性があります。この場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達し製品を生産しております。安定した調達を行うため、原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の経営状況確認や品質管理を徹底しながら発注を行っておりますが、原材料やエネルギーの供給不安、原油価格の高騰や需要状況の逼迫による、原材料費・エネルギー費・物流費等の高騰、供給元での不慮の事故等による供給の中断等により、安定したコスト・納期で原材料及び部品等を調達できない、または高騰分を製品価格に転嫁できない場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、生産設備の定期的な保守、耐震工事等の災害対策整備等を行っております。
しかし、予期しない自然災害、感染症の流行、不慮の事故等に起因する生産設備の火災・故障、停電等により、生産や納品等に関し、遅延や停止が生じる可能性があります。特に、当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の多くは、中国地方に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティのリスクに対して、セキュリティ対策を講じ、社員に対する啓発活動・教育等のセキュリティ強化に努めておりますが、サイバー攻撃やコンピュータウイルスによる、外部への機密情報漏洩や情報の喪失、情報システム等に障害が生じる可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、自然災害等偶然な事由によりネットワーク機能が停止した場合に備え、サーバー機の設置を分散することによりネットワーク機能の停止による復旧対策にも努めておりますが、被害の規模により製品の受注・発注が滞り生産不能に陥る可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
為替レートの変動については、以下の内容等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
a 当社グループの取引の内、外貨建て取引分。
b 海外事業の業績。
c 当社保有の債権の中にある、回収の期間が長期予定の外貨建債権。
当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率といった前提条件に基づいて算出しております。
しかし、実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来に亘って当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本をはじめ事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループはコンプライアンスを重要な経営課題と認識し、役員、従業員に対してコンプライアンス教育を実施するなど、管理体制の強化に努めております。
しかし、急な法改正・強化がされる場合、新たな規制遵守のために発生する追加費用によって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績につきましては、売上高は米国生産拠点の2直生産が通期で寄与したこと及び邦貨換算影響等により、前連結会計年度と比べ9,541百万円(6.0%)増加の168,561百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、メキシコペソとアメリカドルとの為替影響によるマイナスはありましたが、コスト改善活動、減価償却費等の減少等により、前連結会計年度と比べ1,314百万円(15.1%)増加の10,004百万円となりました。
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ912百万円(10.4%)増加の9,688百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ715百万円(12.4%)増加の6,498百万円となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ6,670百万円(4.1%)減少し、154,554百万円となりました。主な要因は、建設仮勘定が増加した一方で、現金及び預金並びに機械装置及び運搬具が減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度に比べ13,365百万円(17.1%)減少し、64,605百万円となりました。主な要因は、未払金並びに支払手形及び買掛金が増加した一方で、長期借入金が減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度に比べ6,695百万円(8.0%)増加し、89,949百万円となりました。主な要因は、利益剰余金及び為替換算調整勘定が増加したことによるものであります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ92円54銭増加の1,227円65銭に、自己資本比率は、前連結会計年度の50.1%から6.4ポイント上昇の56.5%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して8,123百万円(25.3%)減少し、23,999百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、16,783百万円の収入(前連結会計年度は20,372百万円の収入)となりました。主な要因は、法人税等の支払額3,861百万円があった一方で、減価償却費10,998百万円及び税金等調整前当期純利益9,543百万円の計上によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,582百万円の支出(前連結会計年度は1,593百万円の収入)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出7,369百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、18,348百万円の支出(前連結会計年度は8,801百万円の支出)となりました。主な要因は、グループ全体の効率的な資金活用を進めた結果による、長期借入金の返済13,266百万円であります。
当社は取引先の生産順序どおりに生産納入する方式を採用しており、確定受注は主に納期直前であることから、生産実績及び受注実績は、販売実績と重要な相違はないため記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の世界経済は、地政学リスクによる資源価格の高止まりや世界的なインフレの進行など不透明な状況が続きました。
当社グループの主要事業である自動車部品事業においては、環境面への対応としてサーキュラーエコノミーへの取り組みや自動車の電動化が着実に進んでおり、中国・東南アジアでの中国の新興メーカーの躍進、また、米国の政策動向など、急激な環境変化に直面しております。
このような状況の中、当社グループは中期経営計画の4つの経営戦略を推進してまいりました。
顧客戦略においては、自動車OEMやティア1メーカーに幅広くアプローチを行い、世界初の透過加飾技術を活用した新たな製品や電動車向けの高電圧バスバーの受注に繋げました。
商品戦略では、樹脂の循環サイクルを実現させるための技術開発を完了し、既存技術を進化させた電動車向けの製品についても商品化を実現いたしました。
ものづくり戦略では、品質と収益力の向上を目指したスマートファクトリーを実現するために、全自働化や無停止生産、不良ゼロの工程づくりを進めております。
経営基盤戦略では、多様な人材が、能力を開発しつつ、持てる能力を最大限に発揮できるよう人的資本経営と、DXによる経営の効率化に取り組んでおります。
当社グループは引き続き、事業環境の変化を企業体質変革のチャンスとするべく、4つの経営戦略の施策と実行タイミング、スピードの見直しを進め、厳しい事業環境の中でも、市場優位性を確保できるように技術革新と効率化を同時に追求してまいります。
当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高は米国生産拠点の2直生産が通期で寄与したこと及び邦貨換算影響等により、前連結会計年度と比べ9,541百万円(6.0%)増加の168,561百万円となりました。営業利益はメキシコペソとアメリカドルとの為替影響によるマイナスはありましたが、コスト改善活動、減価償却費等の減少等により、前連結会計年度と比べ1,314百万円(15.1%)増加の10,004百万円となりました。経常利益は、前連結会計年度と比べ912百万円(10.4%)増加の9,688百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ715百万円(12.4%)増加の6,498百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
日本では、主要顧客の生産台数は減少しましたが金型売上とその他売上の増加により、売上高は前連結会計年度と比べ823百万円(0.8%)増加の108,855百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、コスト改善活動、減価償却費等の減少等により、前連結会計年度と比べ2,083百万円(44.2%)増加の6,797百万円となりました。
(中米・北米)
中米・北米では、米国生産拠点の2直生産が通期で寄与したこと及び邦貨換算影響により、売上高は前連結会計年度と比べ8,134百万円(21.3%)増加の46,336百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、その他売上の減少及びメキシコペソとアメリカドルとの為替影響等により、前連結会計年度と比べ739百万円(20.0%)減少の2,957百万円となりました。
(アセアン)
アセアンでは、タイ、インドネシアともに顧客生産台数が減少したことにより、売上高は前連結会計年度と比べ1,310百万円(10.6%)減少の11,044百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、減収影響等により、前連結会計年度と比べ198百万円(26.7%)減少の544百万円となりました。
(中国・韓国)
中国・韓国では、現地顧客への製品売上、金型売上の増加と邦貨換算影響により、売上高は前連結会計年度と比べ1,687百万円(22.5%)増加の9,185百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は98百万円の損失(前連結会計年度は352百万円のセグメント損失)となりました。
当社グループの資金需要につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄っておりますが、一部の設備投資についてはリースにより調達しております。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して8,123百万円(25.3%)減少し、23,999百万円となりました。これは当社グループの支払債務及び投資活動を勘案しつつ、適正な流動性を確保するために資金の調達・運用を行ったものであります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(4) 経営者の問題意識と今後の方針
当社グループは、対処すべき課題に記載のとおり、長期ビジョンと2027年度を最終年度とする中期経営計画を推進しております。また、急速な事業環境変化を企業体質変革のチャンスと捉え、中期経営計画で策定いたしました4つの経営戦略の施策と実行タイミング、スピードの見直しを進め、厳しい事業環境の中でも、持続的成長が果たせるよう商品主導の成長と経営の効率化を進めてまいります。
財務上の特約が付された金銭消費貸借契約
連結子会社であるDaikyoNishikawa USA Inc.は、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約を締結しております。
契約に関する内容等は、以下のとおりであります。
(1) 連結子会社の名称 DaikyoNishikawa USA Inc.
(2) 連結子会社の住所 米国アラバマ州
(3) 連結子会社の代表者氏名 代表取締役社長 山田勝己
(4) 契約締結日 2019年12月4日
(5) 金銭消費貸借契約の相手方の属性 株式会社広島銀行及び株式会社みずほ銀行
(6) 金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高及び弁済期限並びに当該債務に付された担保の内容
① 債務の期末残高 17,476百万円
② 債務の弁済期限 2032年5月31日
③ 当該債務に付された担保 該当事項なし
(7) 財務上の特約の内容
本契約には以下の財務制限条項が付されております。
・2025年12月決算期以降の各事業年度の純資産額が一定金額以上であること
・2023年12月決算期以降の各事業年度の税引前損益が一定金額以上であること
CO2排出による気候変動が大きな社会問題となり、政府より2050年カーボンニュートラルが宣言されました。自動車業界も脱炭素に向けた取り組みが一段と加速しており、パワートレインの電動化に加え、ものづくりにおけるCO2排出量の低減も急務となっております。また、車と外部の情報通信、自動運転技術等の新しいモビリティ社会実現に向けた技術開発も重要な課題となっております。このような業界動向に対し、当社は製品の軽量化や植物由来材料の採用、樹脂の循環サイクル実現に向けた取り組みにより、CO2排出量の低減を推進しています。また、樹脂と電装デバイスの融合による操作性の向上や、センシング技術の組み込み等で安全に貢献する技術開発も進めています。これらの独自技術の深化により、心地よいクルマ社会に貢献してまいります。
当社において、R&D本部、開発本部、技術本部が中心となり、材料、加工、構造等の要素技術の研究から新製品の開発まで、一貫した研究開発活動を行っております。また、関係会社との連携体制としては、加工技術分野の金型、機械、治具等の研究開発は、主に子会社のデック株式会社と共同で行い、構造設計分野におけるCAD設計・CAE解析の研究開発は、主に子会社の帝恩汽車部件(上海)有限公司、DaikyoNishikawa Korea Co., Ltd.と共同で行っております。その他、材料研究を中心に、大学・研究機関・外部企業と幅広く共同研究活動を行っており、特に本社近隣の各研究機関との連携強化を図っています。
当連結会計年度における当社の研究開発費の総額は
(1)軽量化及び樹脂の循環サイクル強化
当社では樹脂の循環サイクルの実現を目指し、市場で使われた樹脂材料の機能を復元する技術や、劣化しにくい樹脂の基礎研究について産官学連携で推進しています。
外装部品領域においては、内製ブレンド樹脂材料、独自成形工法を用いたテールゲートなどの新規の樹脂化開発により、スチールに比較して約30%軽量化するとともにコスト低減も達成しました。軽・小型自動車に加えて乗用車に採用を広げております。更なる車種展開のため、機能・付加価値向上と原価低減の開発を推進しております。また、植物由来材料(セルロースナノファイバー)の軽量・高リサイクル性の特性を生かした工法の基礎開発を完了し、製品開発に移行しています。
内装部品領域においては、内装トリム、トランクトリム部品、空調ダクト等に樹脂発泡成形技術を展開し、約25%の軽量化を達成しました。発泡成形技術については、内装部品への適用拡大に加え、外装部品への展開を視野に入れ、微細発泡技術を活用した新たな成形工法の開発を推進してまいりました。現在では製品評価を完了し、顧客への提案活動を進めております。また、循環型社会に貢献するため、捨てられる素材を再利用した新たな価値を付加する加飾部品の開発にも力を入れています。
パワートレイン部品領域においては、電気自動車、PHEVなどの電動化対応として、大型バッテリーパックの高付加価値化やインバーターの樹脂化に取り組んでおります。また、電動化により冷却系統が複雑化しており、当社が開発した樹脂製の冷却水パイプへの期待は高まっています。
製品開発の領域においては、MBD(モデルベース開発)に取り組み、シミュレーション技術の進化による製品品質の向上、使用材料の最小化、量産立ち上げ時のロスの削減、そして製品開発期間の大幅短縮等、開発力の向上に取り組んでいます。
ものづくりの領域においては、製造する上で排出される廃棄物を再利用するための技術開発を進め、廃棄物『ゼロ』を目指した活動にも取り組んでいます。
(2)快適性向上開発
自動車の車内における快適性を向上させる加飾、塗装、縫製技術等のデザイン提案を行い、次世代車の内装部品への適用を目指しております。乗員の触れる内装部品の質感、触感向上においては、表皮材やウレタンフォームの研究を完了し、車両搭載を実現しました。また、電動車では高い車内の静粛性が求められるため、車内の遮音・吸音性能を向上させると同時に車の走行距離を伸ばす熱マネージメント技術の開発にも着手し、商品化を進めています。
(3)樹脂と電装デバイスの融合
デザイン性や安全性の向上を狙った透過加飾技術と電装技術を融合させた操作デバイスにおいては、基礎開発を完了し、車両搭載のための製品開発に移行しています。また、電子部品の機能安全を保障する開発プロセスを構築し、お客様に安全なデバイスを提供する開発体制を整備しました。
(4)独自技術の深化
新製品開発を支える要素技術である樹脂材料、成形技術、金型技術の領域において、独自の技術開発を実施しております。要求品質を満足するため、自社独自の樹脂材料ブレンド技術を開発し、バンパー、樹脂ボディ部品の薄肉化や低比重化を実現し、車両の軽量化に貢献しております。また、要素技術開発領域においては、複合材料に関するMBR(モデルを用いた研究開発)を大学との共同研究により推進しており、高度な分析技術と現象のモデル化を通じて、短期間での材料開発を目指しております。
(5)次世代技術の研究開発
当社は、4つの商品戦略(コクピット、フロントエンド、パワートレイン、テールゲート)の中で、軽量化、遮音性、断熱性等の商品価値を高める技術開発を推進しています。特に、コクピット領域においては、車室内の機能や性能向上の要求が高まっており、今後は部品単体ではなくキャビン全体として新たな価値を提案できるインテリアシステムクリエイターを目指します。また4つの商品戦略に加えて、自動車樹脂製品に限らずこれまで培った技術を新分野へと展開できるよう、さらなる樹脂の可能性を探求し具現化する活動も推進しています。