第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「環境保全に役立つサービスや製品の提供を通して、環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献する」ことを経営理念としております。

経営理念に基づき、「地盤環境・エネルギーに関わる問題解決を担う企業集団」として社会的課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するというビジョンを掲げて、以下の3つの事業を展開しております。

① 土壌汚染対策事業

② ブラウンフィールド活用事業

③ 自然エネルギー事業

 

当社グループでは、上記事業を通して取り組む重要課題として以下に示す4つを定めております。

① 安心・安全な国土利用への貢献(土壌汚染対策事業)

② 循環型社会の実現への貢献(ブラウンフィールド活用事業、自然エネルギー事業)

③ 脱炭素社会の実現への貢献(自然エネルギー事業)

④ 環境問題解決で国際社会への貢献(土壌汚染対策事業、自然エネルギー事業)

 

また、以下に示す6つの経営方針のもとで事業を実施し差別化を図り、企業価値の最大化を目指してまいります。

① 顧客満足を第一に考え、成果、品質、価格、アフターサービスにおいて、期待以上に満足してもらえるように継続的な改善に努める。

② 競争力のあるサービスと製品を提供し続けるために、バイタリティーとスピードをもって技術革新に挑戦し、新たなイノベーションの創出を目指す。

③ 展開する事業領域内において№1を目指す。

④ 国内で事業基盤を固めグローバルに展開することを目指す。

⑤ グループの相乗効果と総合力を生かして、継続的で質の高い成長を目指す。

⑥ 社員が安心して業務を遂行できるように、社内環境・待遇の継続的な改善に努める。

 

(2) 経営戦略等

 各事業では、以下に示す経営目標を掲げ、それを達成するための事業戦略を遂行しております。

① 土壌汚染対策事業

経営目標:経済性の高い土壌汚染対策を推進し、土壌汚染問題を解消する

土壌汚染対策事業の現地化により海外の土壌汚染問題解消を支援する

経営戦略:調査・解析・設計・原位置浄化技術を活用した汚染地有効活用措置の提案営業で差別化を徹底する

中国では日系企業に重点的に営業することで差別化を徹底して受注確度を高める

② ブラウンフィールド活用事業

経営目標:土壌汚染地の有効活用を推進し、持続可能な土地利用を実現する

経営戦略:土壌汚染対策事業との連携強化を進め環境対応についての提案部分で差別化を図る

これまで蓄積したノウハウを生かした大規模化による成長加速を目指す

③ 自然エネルギー事業

経営目標:太陽光発電やバイオマス発電によるクリーンエネルギーへの転換に貢献する

太陽光発電と井戸技術を活用した水資源開発事業で途上国の水不足解消に貢献する

経営戦略:固定価格買取制度に依存しない事業モデルを開発し収益構造の多角化・安定化を図る

海外案件の開拓と投資実行により収益力の向上を図る

 上記経営戦略に沿って、新規事業の開発と投資、新技術の開発・導入、資本業務提携を積極的に推し進めてまいりました。引き続き、積極的に展開することにより、より一層の差別化による競争力の強化を図ってまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2025年3月期を最終年度とする中期経営計画では、2025年3月期連結売上高4,145百万円、営業利益1,107百万円、経常利益761百万円を経営目標といたしました。経営上の目標の達成状況を判断するための指標としては、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の増収を、成長性向上を継続する観点から「営業利益」の増益を重要な指標と位置付け、営業基盤の拡大による企業価値の継続的な増大を目指しております。なお、2023年3月期に中期経営計画の最終年度の目標利益を前倒して達成したことから、足元の経営環境と経営計画の基本方針を再検討し、2023年5月15日に2027年3月期までの「中期経営計画2026」を策定しました。「中期経営計画2026」では、以下の2点を基本方針に掲げ、2027年3月期の連結売上高14,640百万円、営業利益1,317百万円を経営目標としております。

■ストック型ビジネスの割合を増やすことにより持続可能な事業構造を構築する

■土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業で短中期的な売上・利益成長を担い、自然エネルギー事業で将来的なストック収益源を蓄積するための積極的な投資を実行する

 

各事業で経営目標の達成状況を判断するための先行的な指標は、以下のとおりです。

①土壌汚染対策事業

・受注残高及び当期出来高予定額と予定原価率

②ブラウンフィールド活用事業

・販売用不動産の在庫件数及び棚卸資産残高

・収益不動産の在庫件数及び月間賃料

③自然エネルギー事業

・稼働中発電所の総発電出力と平均売電単価

・開発中発電所の計画発電出力と予定売電単価

 

(4) 経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の沈静化による行動制限の緩和により経済活動に回復の兆しが見られましたが、ウクライナ問題の激化・長期化による資源・エネルギー価格の高騰、欧米における金融不安など、景気の先行きには依然として不透明感が漂っております。

 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす建設業界におきましては、公共投資は底堅さを維持し、民間設備投資も持ち直しの傾向が続く一方、建設資材価格の高騰や慢性的な労働者不足等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する状況が続いております。また、不動産業界におきましては、低金利融資の継続や省エネ住宅を対象とした補助金・税制優遇策、在宅勤務の浸透に伴うライフスタイルの多様化による消費者の住宅に対する関心の高まりなどが追い風となり、年度前半における住宅需要は堅調に推移いたしましたが、年度後半におきましては、実質賃金が伸び悩む中、事業用地価格や建材・住設機器価格の上昇による住宅価格の高騰や住宅ローン金利の先高観などにより、いわゆる住宅のコロナ特需が一服するなど、事業環境に変化の兆しが見られました。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの属する土壌汚染関連業界の国内市場は、2019年4月の土壌汚染対策法の一部改正により土壌汚染調査の契機が拡大し、年間の調査件数は増加傾向が続いておりますが、完全浄化から土地利用目的に応じた健康被害防止に目的を絞った合理的な対策手法へのシフトが進み、調査・対策の受注高は年間700~900億円程度でほぼ増減なく推移しております。収益拡大のためには、土壌汚染対策事業における土壌汚染調査と土壌汚染浄化工事だけでなく、ブラウンフィールド活用事業におけるそれらと連動する土壌汚染地の買取や利活用サービスを包括的に市場に投入して顧客の幅広いニーズに応えることが不可欠だと認識しております。

 自然エネルギー事業については、固定価格買取制度(FIT制度)の買取価格が年々低下し、新規の太陽光発電所の収益性が低下しているため、FIT制度に依存しない事業スキームの構築が課題となっております。

 そのために以下のような課題に取り組み、競合他社とのより一層の差別化を図ることにより、業容の拡大に努めてまいります。

① 土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業との相乗効果の最大化

 当社グループは、株式会社エンバイオ・リアルエステートを通してクリーニング工場やガソリンスタンド等の小規模な土壌汚染地の買取・浄化・再販事業(ブラウンフィールド活用事業)で数多くの実績を蓄積してまいりました。蓄積したノウハウを中規模から大規模な土壌汚染地の買取・浄化・再販事業へ展開するべく、物流不動産事業を本業とする株式会社シーアールイーと合弁で株式会社土地再生投資を設立いたしました。土壌汚染地の出口戦略の多様化と規模の効果を追求することによって土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業との相乗効果の最大化を目指します。産業用地の土地取引における潜在的な売手となるメーカー等土地所有者の情報入手とアプローチが課題であると認識しております。グループ横断的なコンサルティング営業展開を徹底し、土壌汚染対策から土壌汚染地活用までのワンストップソリューションによる事業拡大に努めてまいります。

 

② 土壌汚染対策事業における品質管理及びリスク管理の強化

 土壌汚染対策事業においては、顧客開拓が奏功し大型の土壌汚染対策工事が増えてまいりました。大型案件については、品質管理や原価管理の巧拙により利益が上振れたり下振れたりする事業リスクが、大きいと認識しております。営業担当、技術担当、工事担当が複眼的に案件を俯瞰する品質管理体制を徹底して品質の向上と原価の低減を図るとともに、安全品質管理室を中心に安全対策のより一層の徹底を図ることでリスク管理に努めてまいります。

 また、受注金額が一定金額を超える土壌汚染対策工事については、工事進行基準を適用し、月次でのタイムリーな原価管理による精度向上に努めてまいります。

 

③ 土壌汚染対策事業における多様な技術及びノウハウによる競争力の強化

 現在までに多数の企業の参入と様々な土壌浄化技術が実用化された結果、国内では土壌汚染リスクに対する顧客の理解が進み、競合企業間での競争が激しく、工事単価の低価格化が進んでおります。同時に新たな汚染物質として欧米では問題化してきたPFAS(PFOA、PFOS)に関する関心が高まってまいりました。こうした市場環境においては掘削除去に偏重していた顧客ニーズにも変化が見られ、多様な技術やノウハウによる高付加価値サービスで他社との差別化を図ることが、競争力強化の鍵と認識しております。様々な工法に迅速に対応できるように技術戦略部を中心に新技術、新工法の開発・導入、提案体制を強化し、大学との共同研究による汚染物質分解微生物の開発、米国から新たな原位置透過壁工法(プルームストップ工法)の導入、新規対象物質PFAS(PFOA、PFOS)に対応した対策技術の開発、PFAS(PFOA、PFOS)フリー製品の販売等を行ってまいります。

 施工実績数と事故率の低さで審査を通過し国内企業では初めて付保できた責任施工保証保険とこれまで蓄積してきた土壌浄化工事の設計・責任施工ノウハウを裏付けとして土壌汚染対策工事の費用総額を保証するサービス(プレアセスメント調査)を商品化しました。土壌汚染リスクを早期に確定させたい土地所有者やデベロッパー向けのリスク移転商品として拡販を行ってまいります。

 

④ 中国市場展開の収益化

 土壌汚染対策事業の中長期的な成長エンジンとして、環境規制の強化により土壌汚染対策の需要が本格化する中国市場に当社グループが日本国内市場で培ってきた技術ノウハウを展開することが重要との認識で、2018年3月に100%子会社として恩拜欧(南京)環保科技有限公司を設立いたしました。

 2019年1月に土壌汚染防治法が施行されたことにより、中国の土壌汚染対策市場は黎明期から拡大期を迎えようとしております。同社を通した日系企業向けの土壌汚染対策を柱とする環境保全サービスによる業容の拡大と収益化に努めてまいります。

 

⑤ ブラウンフィールド活用事業におけるコンサルティング営業の強化

 取り扱う物件の規模を中規模から大規模にスケールアップすることによる収益の拡大を目指しておりますが、不動産市況が活況なため大手不動産各社の仕入が旺盛で多少の土壌汚染リスクは気にせず購入しているため、大型物件の仕入競争が激しくなっております。土地所有者から土壌汚染問題の相談を受け、リスクの評価と解決策を提案する際に、解決策の一案として買取を提案するといったコンサルティング営業を強化することで、大手不動産各社との差別化を図り、信託銀行や大手不動産仲介から土壌汚染の可能性のある産業用地売却に関する情報量を増やしてまいります。

 

⑥ ブラウンフィールド活用事業における出口戦略の多様化

 ブラウンフィールド活用事業では、販売用不動産の土地売却に依存した収益構造の安定化が課題と認識しております。企画開発力を強化して土地売却だけでなく、戸建・アパート・店舗・倉庫等を開発して付加価値向上に努めてまいります。また、市況変動への耐性を強化するため収益物件の保有資産の積み上げに努めてまいります。さらに汚染地だけでなく、空家問題、相続問題の一つである老朽化アパート等も取得してアセットタイプの拡充に努めてまいります。

 

⑦ 自然エネルギー事業のストック収益源の拡大

 当社グループが安定的に成長し続けていくためには、フロー型の土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業で短中期的な売上、利益成長を担うとともに、自然エネルギー事業で将来的なストック収益源を蓄積することが重要と考えております。自然エネルギー事業では2027年3月期までに総発電量100MW達成を目標に積極的に太陽光発電所の建設を行ってまいります。

 

⑧ 自然エネルギー事業でのFIT制度に依存しない事業の拡大

 国内でのFIT制度を活用した新規の太陽光発電事業の採算は低下しているため、オンサイト/オフサイトPPA事業や太陽光発電に代わる発電事業及び海外での発電事業等のFIT制度に依存しない事業の拡大が課題と認識しており、株式会社エンバイオC・エナジーの設立やMaF合同会社の持分を取得して具体的な開発を進めております。検討済みの有望案件から順次事業化するように努めてまいります。

 

⑨ 人材の確保、育成

 事業の継続的な発展を実現するためには、優秀な人材を十分に確保することとその育成が不可欠ですが、当社グループが小規模会社であることや知名度が低いことなどから、人材の採用が課題であると認識しております。新卒の採用活動に力を注ぐとともに将来を担う若手社員の積極採用、性別・国籍・年齢を問わない採用方針、カムバック採用を含む幅広い採用活動を実施してまいります。また、管理職研修によるマネジメント能力の強化、大学等外部専門機関の専門研修による高度技能者の育成、当社グループ独自のDLD制度(分散型学習及び開発制度)の予算化により自主的な開発意欲の支援等の施策を展開して人材育成の強化に取り組んでまいります。

 さらに給与ベースアップの実施、資格手当制度による資格保有者の優遇、希望すれば遠隔地での勤務やリモートワークを可能とするIT環境の整備、働きやすい環境を意識したオフィスの増床など給与体系の充実化や働き方改革、職場環境の改善等に取り組んでまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) 経営環境

 様々な社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容に伴い、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営や経済価値と社会価値の双方を創出するサステナビリティ経営がより一層求められています。当社グループは、事業を通して持続的な社会の創造について、責任をもって取り組んでまいります。

 

(2) サステナビリティに関する考え方

 当社グループにとってのサステナビリティの考え方は、「環境保全に役立つサービスや製品の提供を通して、環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献します。」という経営理念の通りです。すなわち事業を通して社会課題の解決に取り組むことで会社が持続的に成長し、それがさらなる社会課題の解決に寄与することによって、社会の持続的な発展に貢献することです。

 具体的には、以下に示す4つのマテリアリティを定めて、顧客、取引先、従業員、株主をはじめとするあらゆるステークホルダーとのエンゲージメントを大切にした経営を実践しております。

① 安心安全な国土利用への貢献

② 循環型社会の実現への貢献

③ 脱炭素社会の実現への貢献

④ 環境問題解決で国際社会への貢献

 

(3) 具体的な取組

 ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標に基づき、取組を開示いたします。

 

① ガバナンス

 気候変動リスク対策や温室効果ガス削減に寄与するため、持続可能な未来づくりの実現に向け、サステナビリティ推進体制を構築いたしました。また、太陽光発電設備の導入や社内意識の向上等で環境や社会に貢献すると共に、人材多様性の確保およびガバナンスの強化により社会的要請にこたえるべく、サステナビリティ活動に取り組んでまいります。

 当社グループは、環境・社会・ガバナンスに関する重点課題(マテリアリティ)に対する施策・目標を設定し、当社グループを成長させつつ、社会課題の解決を目指し、広く社会に貢献できるよう取り組んでまいります。

 また、サステナビリティ推進のガバナンス機能を担う組織として、2023年度内に「サステナビリティ委員会」を新設し、サステナビリティ経営の推進に取り組んでまいります。この委員会は、社外取締役も含めた取締役会に直結する組織であります。

 

② 戦略

 サステナビリティに関してE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の観点から経営方針・経営戦略等に影響を与えるリスク及び事業機会を識別、評価して対処しております。

 E(環境)については、有害化学物質による人への健康影響やCO2排出による地球温暖化を事業機会と捉えて、健康被害の恐れの低減を目的とする土壌汚染対策事業、健康被害の恐れの低減に加えて不必要な開発行為に伴うCO2排出量を抑えるブラウンフィールド活用事業、CO2排出量を抑える自然エネルギー事業を拡大します。一方、リスクとしては事業に伴うCO2排出量の開示が課題だと認識しており、土壌汚染対策事業の各工法のCO2排出量からみた環境負荷の定量化研究に着手しました。

 S(社会)については、社員の健康及び職場環境から発生する問題をリスクと捉えて管理部所管の安全衛生委員会において産業医も参加する体制で従業員の労働安全衛生に取り組んでおります。働き方改革の一環としてIT環境を整え、希望すれば完全リモートワークを可能な体制としました。また本社や支店を増床して働きやすい職場環境作りに取り組んでおります。

 G(ガバナンス)については、法令及びコンプライアンス違反をリスクと捉えて業務に関わる関連法令と行政手続きの洗い出し、コンプライアンス行動規範の周知徹底、社内通報窓口の設置、社内研修によるコンプライアンス教育の実施等を行っております。

 

人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社グループにとっては、手掛ける事業の性格上、「人」が最大の経営資源です。「社員一人ひとりの人格と多様性を尊重し、創造力とチャレンジ精神を引き出すことに努める」ことを企業行動指針に定めて周知徹底を行い、社員の活力を組織として最大限に活かす人的資本経営を進めております。仕事の達成や社会への貢献を通じて、個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを推進してまいります。

a. 能力開発支援

 経営環境が大きく変化する中、社員自ら目指すキャリアを考え、そのために必要な能力を獲得することが求められています。社員一人ひとりの能力開発のために、リーダーシップ、マネジメント能力を高める研修プログラムを階層別に社内のキャリアコンサルタント(有資格者)が外部専門家の力を借りて実施し、次世代リーダーの育成を推進しております。またOJTによる能力開発を補完する目的で外部コンサルタントによる営業研修等を実施してまいりました。

 キャリアに必要な専門性を明示し、自律した能力開発の動機付けとなるように、それに伴う資格手当制度を創設しました。「自ら学び」「学び続ける」ことでプロフェッショナルとしての成長を促すことを目指してまいります。

b. 高度技術系人材の育成

 当社グループの質の高い成長を牽引していく高度な技術力を持った高度技術系人材を組織的に育成する仕組みを推進しています。最高技術責任者(CTO)をトップとする戦略部門に将来の高度技術系人材となりうる候補を計画的に配置し育成し、ローテーションする方針で高度技術系人材の増加を目指してまいります。

 またCTOが所管する自発的な「学び」と新規の「開発テーマ」を募って予算化し、自由に取り組んでもらう制度(DLD制度)を通して新技術、新商品の開発意欲を高める取り組みを実施してまいりました。高度技術系人材の発掘と育成に繋げてまいります。

c. 安心安全に働ける職場環境の確保

 リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方が進む中、IT環境とWEB会議に対応したオフィス環境を整え、希望すればリモートワークや遠隔地での勤務も可能といたしました。より安心して社員の創造性が発揮できる柔軟な働き方や職場環境の実現に努めております。

 一方で、事業の性格上、屋外での調査や工事が多く発生することから、安全品質管理室を中心に社員の安全教育の徹底と現場パトロールによる安全指導を励行し、労働災害を防止して安心安全に業務を遂行できるように職場環境の整備に努めております。

d. ベテラン技能者の能力発揮

 少子高齢化と人生100年時代を迎え、貴重な戦力であるベテラン技能者にとって働きやすい条件を整えた再雇用を積極的に推進し、安心して長く働いてもらうとともに、後進への技能の伝承に努めてまいります。

 

③ リスク管理

 代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を四半期に一度開催しております。リスク・コンプライアンス委員会では、各部門から上がってきた当社グループを取り巻くサステナビリティに関連するリスクを識別して、その影響度合いを評価したうえで、関連部門に対処を指示し、対処結果の報告を求めております。

 

④ 指標及び目標

 当社グループでは、4つのマテリアリティに基づき、社会課題の解決に寄与することによって、社会の持続的な発展に貢献するため、中長期的な目標を2020年度より設定しております。指標と目標につきましては、次のとおりです。

マテリアリティ

社会課題

目標

実績(当連結会計年度末)

安心・安全な国土利用への貢献

土壌汚染問題の解消

2030年までに合計1,000万㎡の土地の土壌汚染問題を解消する。

215万㎡(21.5%)

脱炭素社会の実現への貢献

クリーンエネルギーへの転換

2030年までに太陽光発電所及びバイオマス発電所の稼働により、CO2排出量を合計15万トン削減する。

3.9万トン(t-CO/kWh)

(26.0%)

循環型社会の実現への貢献

バイオマスの有効利用とリサイクル

2030年までにバイオマスガス化発電の事業化により、バイオマスを合計50万トン有効利用する。

持続可能な土地利用

2030年までに合計30万㎡の土壌汚染地を有効活用する。

46,920㎡(15.6%)

環境問題解決で国際社会への貢献

途上国における水資源不足問題の解消

2030年までに合計2,000万㎥の地下水を供給する。

332.5万㎥(16.6%)

新興国における土壌汚染問題の解消

2030年までに海外で合計50万㎡の土地の土壌汚染問題を解消する。

4.4万㎡(8.8%)

 

 また、当社グループにとっては、手掛ける事業の性格上、「人」が最大の経営資源です。「社員一人ひとりの人格と多様性を尊重し、創造力とチャレンジ精神を引き出すことに努める」ことを企業行動指針に定めて周知徹底を行い、社員の活力を組織として最大限に活かす人的資本経営を進めております。仕事の達成や社会への貢献を通じて、個人と企業がともに成長する環境と風土づくりを推進してまいります。上記「②戦略」において記載した人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標は、次のとおりであります。

戦略

目標

指標

実績(当連結会計年度末)

能力開発支援

土壌調査・請負工事等に不可欠な監理技術者および指定調査機関の技術管理者資格の保有割合を2025年度までに50%以上にする。

監理技術者資格

技術管理者資格の保有者の割合

監理技術者の割合 37%

技術管理者の割合 40%

高度技術系人材の育成

2030年までにDLD制度を活用したテーマを50件以上実施し、10件の新技術、新商品の開発につなげる。

DLDテーマ数

開発件数

DLDテーマ数 19件

新技術/商品開発件数 4件

安心安全に働ける職場環境の確保

度数率を2.50以下に、強度率0.1以下に抑え、休業災害ゼロを達成する。

度数率

強度率

度数率 11.7

強度率 0.102

ベテラン技能者の能力発揮

60歳を迎えたベテラン技能者の80%以上を再雇用する。

60歳時点の再雇用率

100%

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの投資判断に重要な影響を与える可能性があると考えられるリスクには以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

 

(1) 事業環境に由来するリスク

① 事業環境の変化

a.土壌汚染対策事業

 土壌汚染対策事業の需要は、「土壌汚染対策法」及び各地方自治体により施行される条例等の影響を受けます。今後、法令や条例等が新設又は改正され強化される場合、土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事の機会が増加すると考えられ、需要が拡大する可能性があります。反対に規制が緩和される場合は、需要が縮小する可能性があります。2019年に施行された改正土壌汚染対策法には土壌汚染調査の契機が拡大する規制強化と自然由来の汚染土壌の取り扱いに関する規制緩和の内容が含まれております。

 一方、土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事の需要の大半は、不動産取引を契機とした企業の法令対応、工場等の統廃合、M&Aを契機とした環境リスク対策、稼働中の工場等敷地の土壌及び地下水の環境保全を目的とした環境投資によって占められております。そのため、土壌汚染対策事業の需要は、景気動向による不動産取引の増減や企業の環境投資の増減の影響を受けます。新型コロナウイルスの感染拡大等に伴って経済活動が縮小し景気が減速した場合、それに連動して土壌汚染対策事業の需要も減少する可能性があります。

 

b.ブラウンフィールド活用事業

 ブラウンフィールド活用事業の収益については、不動産市況の動向と連動いたします。不動産市況が土地の仕入時期に比べて販売時期の方が好況な場合は、予定販売価格より高額で販売できる可能性があります。反対に、金利上昇等により顧客の購買意欲の減退が起こる場合、景気後退により不動産取引が減少した場合、その他の要因により販売用不動産の売却損、評価損及び減損損失等が発生する可能性がある他、販売用不動産の引渡時期が変動する可能性があります。

 

c.自然エネルギー事業

 自然エネルギー事業については、固定価格買取制度(FIT制度)による電力会社への売電収入を主たる収入源としておりますが、買取価格の落札価格は年々低下しており、FIT制度を活用した新規の太陽光発電所は、既設の太陽光発電所と比較して収益性が低下する可能性があります。また近年、太陽光発電所の発電総量が増大したことから、需給バランスを保つために電力会社から出力抑制を求められるケースが増えてきました。出力抑制に応じている期間は、売電収入が得られないので売上が減少する可能性があります。

 

② 競合の状況

a.土壌汚染対策事業

 土壌汚染関連業界の国内市場は、土壌汚染対策法の一部改正により土壌汚染調査の契機が拡大し、年間の調査件数は増加傾向が続いておりますが、浄化工事を伴わない措置の増加や競合企業間の競争により工事単価の低下が進行しております。当社グループは、「原位置浄化」という得意技術を強みとした土壌汚染対策事業に加えて、土壌汚染リスクを評価して現状有姿で購入した後に浄化して再販するブラウンフィールド活用事業を行っており、技術力を裏付けに不動産事業を絡めて汚染された土地の活用提案から土壌汚染調査、土壌汚染浄化工事、跡地の流動化までを一貫して手掛ける「ワンストップソリューション」を提供できる企業グループとして、他社との差別化を図っております。しかしながら、競合他社との受注競争が激しくなる中で、厳しい条件で受注する傾向が進んだ場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

b.ブラウンフィールド活用事業

 ブラウンフィールド活用事業は、土地の需要家に代わって当社グループが土壌汚染リスクを取って解決することで成立するビジネスモデルです。そのため、想定される土壌汚染対策費用が土地の価格に対して一定割合以上のインパクトがある場合に、当社グループの強みが発揮できます。不動産市況が活況になり不動産価格が高騰した場合、不動産価格に対する土壌汚染対策費用のインパクトが相対的に低くなるため、不動産開発業者等の土地の需要家が自ら土壌汚染リスクを取れるようになります。そうなると大手不動産開発業者等の土地の需要家と競合するため販売用不動産の仕入れに影響し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.自然エネルギー事業

 FIT制度では、新規の太陽光発電所については入札により発電事業者が決定されます。不特定多数の競合企業が入札に参加するため、予定した売電価格で落札できない可能性があります。また、電力の需要家と直接売電契約を締結するPPAについても参入する発電事業者が増加傾向にあり、売電の価格競争が激しくなってきております。これらの結果として売電価格が低下すると、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 事業内容に由来するリスク

① 売上計上時期が計画から遅れるリスク及び一時期に集中するリスク

a.土壌汚染対策事業

 土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事は多くの場合、施設閉鎖、土壌汚染調査、施設解体、土壌汚染浄化工事、及び新しい建築物(マンション等を含みます)の建設という一連の工程の中で実施されます。したがって、何らかの事情により施設閉鎖時期が遅れる、又は解体工事の着工が遅れる等、当社グループに起因しない事情により事業が遅延し、それに付随して土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事の実施時期が遅れる場合があります。また、汚染の状況によっては、追加調査が必要な場合があります。このような場合は、調査期間が長引く若しくは土壌汚染浄化工事の実施時期が遅れることもあるため、結果として売上計上時期が計画から遅れる可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが大型の土壌汚染対策に関する案件を受注した場合、若しくは多数の受注工事が一時期に集中した場合、該当する四半期決算の売上高は大幅に増加する可能性がありますが、当該四半期決算の経営成績だけをもって、通期の経営成績を見通すことは困難である点には留意する必要があります。

 

b.ブラウンフィールド活用事業

 土壌汚染対策を完了した後に売却する販売用不動産については、土壌汚染対策の工程や法で定められた地下水の2年間モニタリング等の状況により販売時期が遅れ、売上計上時期が計画から遅れると、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、売上規模の大きな販売用不動産の売却を実行した場合には、該当する四半期決算の売上高は大幅に増加する可能性がありますが、当該四半期決算の経営成績だけをもって、通期の経営成績を見通すことは困難である点には留意する必要があります。

 

② 原価が変動するリスク

a.土壌汚染対策事業

 土壌汚染浄化工事は、土壌汚染調査の結果を基に設計・積算して、工事価格を決定しますが、土壌汚染調査は必ずしも当社グループが実施するわけではなく、他社が実施した既存の調査結果を基に設計・積算することがあります。したがって、土壌汚染調査の結果と実際の汚染状況が著しく異なる場合は、工事費用が変動する可能性があります。その場合は、顧客へ説明し、工事価格の増額交渉を行いますが、例えば「原位置浄化」か、それ以外の工法かにより利益率が異なるため、利益率の低い工法を選択せざるを得ない場合は、当初予定の利益を確保できない可能性があります。また、近年、不動産開発業者との契約で一般的になりつつある増減なしの確定した金額での責任施工(コストキャップ保証)として土壌浄化工事を請け負った場合、工事費用が変動した場合の上振れ分を補填する保険(業務過誤保険)には加入しておりますが、免責部分については負担する必要があるため、当初予定の利益を確保できない可能性があります。

 

b.ブラウンフィールド活用事業

 土壌汚染地を販売用不動産として現状有姿で仕入れる場合、土壌汚染リスクを解消するために要する土壌汚染対策費用等の原価を十分に検討し、販売時期と販売価格を想定したうえで購入価格を決定しております。土壌汚染状況が100%明らかになっていない場合が多く、土壌汚染対策を実施する際に想定を大きく超える汚染が見つかった場合は原価が上振れ、当初予定の利益が確保できない可能性があります。また、反対に当初予見したより汚染状況が軽微であった場合は原価が下振れ、当初予定の利益を上振れて確保できる可能性もあります。

 

c.自然エネルギー事業

 当社グループが運営・管理する太陽光発電所については、想定される補修費用や設備更新費用等を維持管理費用として年度予算に組み入れておりますが、主に豪雨や地震等の自然災害に起因する想定外の設備の損壊が発生する可能性があり、突発的な補修費用が発生する可能性があります。損害保険等を付与してリスクヘッジは行っているものの保険で補填できない範囲もあり、発電事業の収益に影響を与える可能性があります。

 

③ 為替変動に関するリスク

 土壌汚染関連機器・資材・浄化用薬剤は、主に北米メーカーの製品の輸入販売を行っております。また自然エネルギー事業では中東での売電事業を展開しております。いずれも主に米ドル建てで取り引きしているため、為替変動により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 仕入先との取引条件について

 土壌汚染関連機器・資材・浄化用薬剤は、主に北米メーカーの製品の輸入販売を行っており、一部のメーカーとの間では日本国内における独占販売契約を締結しております。これら仕入先との取引契約が解消されることは、現状では想定し難いものと認識しておりますが、今後不測の要因により主要な仕入先との取引契約が解消された場合は、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ サービス及び商品の欠陥について

 当社グループは品質管理に細心の注意を払っておりますが、提供するサービス及び商品に欠陥が生じるリスクがあります。その場合、当社グループは、サービス又は商品の欠陥が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。さらに、サービス又は商品に欠陥が生じたことにより社会的評価が低下した場合は、当社グループのサービス及び商品に対する顧客の購買意欲が低減する可能性があります。これらの場合、当社グループの財政状態及び経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 海外展開について

 当社グループは中国(土壌汚染対策事業)や中東諸国(自然エネルギー事業)を中心とした海外市場において、積極的な事業展開を推進しております。海外事業展開にあたっては、現地の市場動向、政策動向、競争環境等を調査、把握したうえで実施しておりますが、事業投資に伴う為替リスク、カントリーリスク、市場環境の変化により出資額又は出資額を超える損失が発生するリスク等を伴う可能性があります。加えて新型コロナウイルスの感染拡大や政変等により当該国の経済活動が停滞する可能性があります。それによって計画どおりに事業展開ができない場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 法的規制リスク

 当社グループは、各事業の遂行にあたり、様々な法的規制を受けております。各事業に関連する法令やリスクは、各事業部と法務部が連携して動向の注視及び最新情報の取得に努めるとともに、リスク・コンプライアンス委員会やイントラネットサイトなどを通じて社内周知を行うなどして、法令やリスクに対応する体制を構築しています。

 各事業に関連する法令が大きく改正され、当社グループが対応できなくなる事象が発生する場合や、以下に記載する許認可等が取り消しされた場合には、当社グループの事業活動が制限され、社会的信用、財政状態及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、当社グループが取得している主要な許認可等の状況は以下のとおりです。本書提出日現在において、許認可等の継続に支障を来す要因が発生している事実はありません。

a.土壌汚染対策事業

取得・登録者名

㈱エンバイオ・エンジニアリング

㈱エンバイオ・エンジニアリング

取得年月

2003年8月8日

2015年2月3日

許認可等の名称

指定調査機関

建設業許可(特定建設業)

所管官庁等

環境省

国土交通省

許認可等の内容、許可番号

土壌汚染対策法第3条第1項、第4条第2項又は、第5条第1項に基づいて土壌汚染状況調査を実施する義務が生じた土地の所有者等からの委託等による調査の実施及び法第16条第1項に基づく土壌の調査を実施する機関。

環2003-2-2031

次の工事業(特定)に関する免許

土木、建築、大工、左官、とび・土工、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、造園、建具、水道施設、解体。

国土交通大臣許可(特-1)第25676号

有効期限

2025年3月31日(以降5年毎に更新)

2025年2月2日(以降5年毎に更新)

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

指定取消の要件(土壌汚染対策法第42条)

① 法第30条第1号又は第3号(欠格条項)に該当するに至ったとき

② 法第33条(技術管理者の選任)、第35条(変更の届出)、第37条第1項(業務規程の届出・規程変更の届出)又は第38条(帳簿の備付け等)の規定に違反したとき

③ 法第36条第3項の規定による命令(改善命令)又は法第39条の規定による命令(適合命令)に違反したとき

④ 不正の手段により法第3条第1項の指定を受けたとき

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(同法第28条)

 

b.ブラウンフィールド活用事業

取得・登録者名

㈱エンバイオ・リアルエステート

㈱土地再生投資

取得年月

2012年2月10日

2018年5月18日

許認可等の名称

宅地建物取引業(免許)

宅地建物取引業(免許)

所管官庁等

東京都

東京都

許認可等の内容、許可番号

宅地・建物の売買

東京都知事(3)第93862号

宅地・建物の売買

東京都知事(2)第102018号

有効期限

2027年2月10日(以降5年毎に更新)

2028年5月18日(以降5年毎に更新)

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

指示処分・業務停止処分(宅地建物取引業法第65条)

業務に関し関係者に損害を与えた(または与えるおそれがある)とき、取引の構成を害した(または害するおそれがある)とき、他の法令に違反したとき

免許取消の要件(同法第66条)

1.代表者や法人役員等が欠格事由に該当する場合

① 成年被後見人、被保佐人又は破産者宣告を受けた場合

② 禁固以上の刑に処せられた場合

③ 暴力団による不当な行為の防止に違反した場合

2.業務違反

① 不正な手段により宅建業免許を取得した事が発覚した場合

② 免許を受けてから1年以上事業を休止した場合

3.許可要件の喪失

① 許可取得要件を満たせなくなった場合

② 免許の更新をしなかった場合

指示処分・業務停止処分(宅地建物取引業法第65条)

業務に関し関係者に損害を与えた(または与えるおそれがある)とき、取引の構成を害した(または害するおそれがある)とき、他の法令に違反したとき

免許取消の要件(同第66条)

1.代表者や法人役員等が欠格事由に該当する場合

① 成年被後見人、被保佐人又は破産者宣告を受けた場合

② 禁固以上の刑に処せられた場合

③ 暴力団による不当な行為の防止に違反した場合

2.業務違反

① 不正な手段により宅建業免許を取得した事が発覚した場合

② 免許を受けてから1年以上事業を休止した場合

3.許可要件の喪失

① 許可取得要件を満たせなくなった場合

② 免許の更新をしなかった場合

 

② 知的財産等に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように取り組んでおります。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合又は認識していない権利が既に成立している場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性並びに権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。また、当社グループが所有する商標権が、第三者より侵害された場合には当社グループのブランドイメージが低下する可能性がある他、解決までに多くの時間と費用を要する可能性があります。それらの場合には、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理に関するリスク

 顧客や取引先の個人情報や機密情報を保護することは、企業としての信頼の根幹をなすものであります。当社グループでは、社内管理体制を整備し、従業員に対する情報管理やセキュリティ教育等、情報の保護について種々の対策を推進しておりますが、情報の漏洩が全く起きないという保証はありません。万一、情報の漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、顧客等に対する賠償責任が発生する等、当社グループの財政状態及び経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。

 

④ 自然災害・火災・事故等への対応について

 地震、風水害等の自然災害により当社グループが運営する太陽光発電所・事務所・設備・社員とその家族等に被害が発生した場合には、損害保険等を付与してリスクヘッジは行っているものの、当社グループの財政状態及び経営成績等が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは安全を第一とし、労使間において安全衛生協議会を設けて、安全パトロールや安全教育を実施する等事故の防止に努めておりますが、万一、重大な労働災害、事故等が発生した場合には、操業に支障が生じ、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 小規模組織であることについて

 当社グループの人員は、当連結会計年度末現在、取締役13名、監査役4名(非常勤監査役3名を含みます)、従業員95名の小規模な組織であり、内部管理体制や業務執行体制も当該組織規模に応じたものとなっております。従って、当社グループの役員や従業員が病気や怪我等により業務を遂行する上で支障が生じた場合や転職等により人材が社外に流出した場合には、当社の業務に支障が生じる可能性があります。

 今後は、事業の拡大に伴い、管理体制をさらに充実させていくため、組織の拡大に応じた人材育成、人材補強を行う方針ですが、それらの施策が適切に実行できない場合には、事業の運営に支障が生じ、当社グループの事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 資金使途について

 当社が調達した資金使途については、土壌汚染対策事業の国内・海外展開費用及びブラウンフィールド活用事業の土地仕入資金等に充当する計画であります。

 また、2023年5月に実施した第三者割当増資により調達した資金の使途については、自然エネルギー事業の太陽光発電所の建設資金等に充当する計画であります。しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性もあります。

 

⑦ 配当政策について

 当社は、企業価値の向上を目的として財務体質強化及び更なる事業拡大に対する投資の必要性を勘案した上で株主に対する適切な利益還元を行うことを基本方針としておりますが、配当政策が自然エネルギー事業の既設設備から得られる収益に連動しているため、業績が悪化した場合、これにともなって配当を減少もしくは実施しない可能性があります。

 

⑧ ストックオプション等株式報酬の提供による株式価値の希薄化について

 当社は、役員及び従業員へのインセンティブを目的として、譲渡制限付株式報酬制度及びストックオプション制度を採用しております。今後も同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があり、その場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

⑨ 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入に係る契約の一部には、財務制限条項が定められております。今後、当社の経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入について期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当期の経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の沈静化による行動制限の緩和により経済活動に回復の兆しが見られましたが、ウクライナ問題の激化・長期化による資源・エネルギー価格の高騰、欧米における金融不安など、景気の先行きには依然として不透明感が漂っております。

 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす建設業界におきましては、公共投資は底堅さを維持し、民間設備投資も持ち直しの傾向が続く一方、建設資材価格の高騰や慢性的な労働者不足等が顕在化しており、引き続き経営環境への影響を注視する状況が続いております。また、不動産業界におきましては、低金利融資の継続や省エネ住宅を対象とした補助金・税制優遇策、在宅勤務の浸透に伴うライフスタイルの多様化による消費者の住宅に対する関心の高まりなどが追い風となり、年度前半における住宅需要は堅調に推移いたしましたが、年度後半におきましては、実質賃金が伸び悩む中、事業用地価格や建材・住設機器価格の上昇による住宅価格の高騰や住宅ローン金利の先高観などにより、いわゆる住宅のコロナ特需が一服するなど、事業環境に変化の兆しが見られました。

 このような背景のもと、当社グループは、ESG経営に積極的に取り組むとともに、土壌汚染対策事業におきましては、受注目標の達成、工事品質管理、工事原価管理の徹底、DXの推進による業務効率化などの施策を推進してまいりました。期初で設定した受注目標にはわずかながら未達であるものの、当連結会計年度末におきましては、過去最高の受注残となり、来期に繋がる結果となりました。また、原価率の改善も進んでおります。ブラウンフィールド活用事業におきましては、土壌汚染問題に直面する事業用地等を積極的に取得し、市場のニーズに合わせ、企画開発力を生かして付加価値を高めた形で、お客様に対し再販することに努めてまいりました。一方、前連結会計年度におきましては、大型物件を取り扱う株式会社土地再生投資が1件売却いたしましたが、当連結会計年度におきましては、販売に至らず減収の要因となりました。自然エネルギー事業におきましては、所有・管理している各発電所からは安定した売電収入が得られました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は8,120,309千円(前年同期比9.7%減)となりました。

 経常利益は1,343,329千円(同12.1%増)となりました。これは、ブラウンフィールド活用事業におきまして、物件を仕込んだ時期から販売した当連結会計年度までのリードタイムで、住宅及び一般の事業用地需要の高まりが追い風となり、販売価格が大きく上昇したことにより大幅な増益に繋がりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益812,059千円(同24.2%増)となりました。

 以下に各事業セグメントの状況を報告いたします。

 

(土壌汚染対策事業)

 国内では土壌汚染対策工事の引き合いは不動産市場が活況なため堅調ですが、完全浄化以外の選択肢を求める顧客が増えており、土壌汚染の管理を目的とする経済的な対策(リスク管理型手法)や土壌調査と対策工事をセットにして対策費用を保証して実施する責任施工など差別化された提案に注力しております。

 潜在ニーズを掘り起こすべく、リスク管理型手法の有力工法として米社から新たな原位置透過壁工法(プルームストップ工法)を導入し第一号案件を受注しました。また、新規の有害物質であるPFOS/PFOAに対応する水処理技術を展開し、公共事業で採用されました。土壌汚染対策工事で培った水処理設備を中心とした環境設備の設計・製作・設置事業の営業を新たに開始いたしました。土壌汚染対策工事の合理化を目指し、ICT施工を試験的に導入しました。当第4四半期連結会計期間において複数の大型案件の着工が延期となったため、当連結会計年度の売上高は前期比で減収となりました。利益面につきましては、前期に比べ利益率の高い大型案件が少なかったため前期比で減益となりましたが、当初計画の利益率を上回って推移いたしました。当連結会計年度末の受注残は2,854,592千円(前期比60.8%増)となりました。

 中国では日系企業の工場移転、事業撤退に伴う土壌汚染対策に注力しておりますが、ゼロコロナ政策の影響で通期にわたって新規営業活動が停滞いたしました。既受注の対策工事案件の生産活動に注力し原価率の改善に努めた結果、利益は確保できました。

 その結果、売上高は4,178,685千円(前年同期比9.2%減)となり、セグメント利益は337,740円(同44.4%減)となりました。

 

(ブラウンフィールド活用事業)

 株式会社エンバイオ・リアルエステートでは引き続き仕入れ競争が激化している中、大手だけでなく中小の仲介業者にも相対で進められる案件や入札案件の情報収集を積極的に行い、16物件を仕入れました。当該物件の中には、弊社グループ会社から紹介を受けた静岡市内案件や土壌汚染対策法の形質変更時要届出区域に指定された大田区内工場跡地の案件もあります。また、横浜市内で当社として初の店舗開発を行いました。販売においては13物件の販売を行いました。販売した物件の中には、2年間モニタリングを行い要措置区域の指定を解除した後に売却した目黒区内案件や形質変更時要届出区域の指定を受けた後に売却した大田区内案件もあります。

 大規模な土壌汚染地を扱う株式会社土地再生投資では、八千代市内案件を取得し土壌調査を進めております。また、厚木市内案件は解体も完了し来年度に売却すべく対応中です。

 その結果、売上高は2,536,020千円(同17.7%減)となり、セグメント利益は845,573千円(同100.1%増)となりました。

 

(自然エネルギー事業)

 当連結会計年度末日における国内外の再生可能エネルギー発電所は開発中含め47か所、総発電量47MW(うち稼働中は約44MW)となり、所有・管理している各発電所からは、ほぼ計画通りの安定した売電収入が得られました。クリーンエネルギー需要の拡大に伴い、海外を含む新規案件の情報収集、セカンダリー発電所やコーポレートPPA案件、再生可能エネルギーを用いた新たなビジネススキームの検討に注力しております。

[国内]

 北海道において、新たな太陽光発電所1件(約2,235kW)が、2022年7月より稼働いたしました。

 株式会社エンバイオC・エナジーでは、株式会社シーアールイーが開発する物流施設「ロジスクエア」の屋根を活用したグリーン電力供給の準備を開始いたしました。

 非連結子会社であるMaF合同会社では、新たに6件のコーポレートPPA契約を締結し、稼働いたしました。

[海外]

 ヨルダンにおける第5号案件は予定通り完成し、2023年1月より稼働いたしました。ドバイにおける第1号案件も完成し、2023年4月より稼働いたしました。

 その結果、売上高は1,405,603千円(同7.7%増)となり、セグメント利益は264,681千円(同12.1%増)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産につきましては、総資産は17,349,955千円となり、前連結会計年度末に比べ979,672千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が897,667千円及び受取手形、売掛金及び契約資産が802,206千円減少したものの、棚卸資産が1,524,175千円及び長期貸付金が1,089,730千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債につきましては、10,492,714千円と前連結会計年度末に比べ96,426千円増加いたしました。これは主に買掛金が220,220千円及び長期借入金が875,124千円減少したものの、短期借入金が209,416千円及び1年内返済予定の長期借入金が1,016,550千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産につきましては、6,857,241千円と前連結会計年度末に比べ883,246千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が758,900千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フロー状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ457,019千円増加し、2,798,635千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は1,989,080千円(前連結会計年度は2,413,152千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,232,759千円、売上債権の減少額802,206千円、減価償却費392,235千円及び棚卸資産の減少額155,920千円があったものの、利息の支払額125,601千円及び法人税等の支払額517,574千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,770,420千円(前連結会計年度は1,481,400千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,162,712千円、貸付による支出552,456千円及び投資有価証券の取得による支出23,685千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は240,727千円(前連結会計年度は534,925千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,208,477千円、配当金の支払額52,892千円及び社債の償還による支出35,000千円があったものの、長期借入れによる収入1,349,902千円及び短期借入金の純増加額209,416千円等によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

 生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

(b) 受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

土壌汚染対策事業

5,576,577

160.2

2,911,527

192.4

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.ブラウンフィールド活用事業、自然エネルギー事業につきましては、受注に該当する事項がないため、記載すべき事項はありません。

 

(c) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

土壌汚染対策事業 (千円)

4,178,685

90.8

ブラウンフィールド活用事業 (千円)

2,536,020

82.3

自然エネルギー事業 (千円)

1,405,603

107.7

合計 (千円)

8,120,309

90.3

(注) 1.セグメント間内部取引振替後の数値によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。当連結会計年度における株式会社シーアールイーについては、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社シーアールイー

1,876,771

20.9

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作られております。

 当社グループは、この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、固定資産の減損、減価償却資産の耐用年数の設定、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。

 当社経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき判断しておりますが、記載した予想、見通し等の将来に関する事項につきましては、不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績の分析

 経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当期の経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照下さい。

 

② キャッシュ・フロー状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当期の経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フロー状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(a) 財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。

 厳格な財務規律のもとで負債の活用を積極的に進めるとともに、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減に努めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上を図ります。

 新規事業投資については、積極的に取り組む方針ですが、企業価値の向上の期待値のみならず、当社グループが当該事業へ投資することの意義を慎重に検討してまいります。

 

(b) 経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、適正な手許現預金の水準について常に検証を実施しております。安定的な経営に必要な手許現預金水準を設定し、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

 同時に、手許現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フローから、株主還元についても検討してまいります。

 

(c) 資金需要の主な内容

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の購入費用及び、各事業の販売拡大に伴う運転資本の増加であります。また、投資を目的とした資金需要は、自然エネルギー発電所への設備投資及び、新規事業参入のための出資等によるものであります。

 

(d) 資金調達

 短期運転資金は、主に営業活動により得られたキャッシュフローを財源としておりますが、増加運転資本に対応するために必要な資金については、金融機関からのコミットメントライン等の融資枠による短期借入によって流動性を保持しております。

 設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。また、設備投資の一部はリース取引によっております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は8,933,454千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,798,635千円となっております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、環境保全に役立つサービスや製品の提供を通して、環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献することを経営理念とし、「地盤環境・エネルギーに関わる問題解決を担うグローバルな専門企業集団」となることを目指しております。

第一の経営戦略は、土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事といった単品のサービスではなく、それらに付随する顧客の幅広いニーズを掘り起こし、包括的に応える「ワンストップのパッケージ・ソリューション」を提供することによる差別化です。

 土壌汚染関連業界の国内市場は、土壌汚染対策法の一部改正により土壌汚染調査の契機が拡大し、年間の調査件数は増加傾向が続いております。しかしながら浄化工事を伴わない措置の増加や工事単価の低価格化が同時に進行し、市場規模は700~900億円のレンジで推移しております。

 当社グループでは、土壌汚染問題の黎明期にいち早く導入した汚染土壌を掘削・場外搬出せずに場内で浄化ができる経済性の高い「原位置浄化・オンサイト浄化」に関する技術力を核心的競争力として他社を圧倒する実績を蓄積することを目指してまいりました。その結果、土壌汚染地の調査から幅広い選択肢での浄化工事を提供できる体制を整えることができました。さらに多数の土壌浄化実績に裏付けられたリスク評価を背景に土壌汚染地を現状有姿で購入し、浄化工事によってバリューアップさせた後に再販するブラウンフィールド活用事業を展開することで、土壌汚染地の調査・対策から有効活用までの一貫した独自のサービスを提供しております。さらに国内で培った「原位置浄化・オンサイト浄化」のノウハウと実績を環境規制が急速に強化されている中国の土壌汚染問題解決に積極展開しております。

 第二の経営戦略は、課題解決型の土壌汚染対策事業やブラウンフィールド活用事業が生み出すフロー収益と自然エネルギー事業が生み出す株主還元及び成長投資の原資となるストック収益とのバランスがとれた収益構造を実現する事業ポートフォリオの構築です。

 土地の有効活用策としてスタートさせた自然エネルギー事業では、既に国内で41.3MWの太陽光発電所を建設し、総発電量100MWを目指して順調に事業拡大を進めております。安定的な収益を上げ、当社グループの成長戦略を財務的に支える事業として成長いたしました。国内の電力固定買取価格の低下に伴い、固定価格買取制度に依存しない事業スキームでの拡大を目指すと共に、自然エネルギー需要の増加が見込まれる海外での新規案件の発掘と開発にも力を注いでまいります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 独占販売権を受けている契約

 契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社エンバイオ・エンジニアリング

(連結子会社)

KEJR ,INC.

米国

Geoprobe®Systems関連商品

2010年
12月1日

Geoprobe®Systems

関連商品の日本における独占販売権及びアジア全域における販売権

2010年12月1日~2012年11月30日以降2年毎の自動更新

株式会社エンバイオ・エンジニアリング

(連結子会社)

REGENESIS Bioremediation Products,Inc.

米国

ORC,ORC-Advanced

HRC,3DMicro

Emulsion,RegenOx

PersulfOx

PlumeStop

2013年
8月1日

契約品目の日本における独占販売権及び中国における販売権

2013年8月1日~2014年8月1日以降1年毎の自動更新

 

(2) 電力受給契約

契約会社名

相手先

契約内容

契約期間

提出会社

東北電力株式会社

太陽光発電による売電

(金谷B地区発電所)

2016年1月15日から

2036年1月14日まで

提出会社

九州電力株式会社

太陽光発電による売電

(熊本県菊池メガソーラー発電所)

2016年12月19日から

2017年12月18日まで

以降1年毎の自動更新

提出会社

東北電力株式会社

太陽光発電による売電

(岩手県紫波メガソーラー発電所)

2017年4月17日から

2037年4月16日まで

提出会社

東京電力エナジーパートナー株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア久喜Ⅱ発電所)

2017年11月1日から

2037年4月30日まで

提出会社

中部電力株式会社

太陽光発電による売電

(EBH 茅野スタジアム発電所)

2018年3月9日から

2036年7月30日まで

提出会社

中部電力株式会社

太陽光発電による売電

(EBH 伊那発電所)

2018年3月12日から

2036年3月23日まで

提出会社

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア久喜Ⅰ発電所)

2018年3月20日から

2037年12月18日まで

提出会社

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア羽生発電所)

2018年3月20日から

2038年3月19日まで

提出会社

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア守谷発電所)

2018年3月29日から

2038年3月28日まで

提出会社

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア春日部発電所)

2018年8月3日から

2038年8月2日まで

提出会社

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(ロジスクエア上尾太陽光発電所)

2019年11月20日から

2039年12月10日まで

太陽光パーク2合同会社

(連結子会社)

東北電力株式会社

太陽光発電による売電

(金谷A地区発電所)

2016年1月15日から

2036年1月14日まで

太陽光パーク2合同会社

(連結子会社)

東北電力株式会社

太陽光発電による売電

(引田地区発電所)

2016年2月29日から

2036年2月28日まで

太陽光パーク2合同会社

(連結子会社)

北陸電力株式会社

太陽光発電による売電

(石川県志賀町

メガソーラー発電所)

2018年11月30日から

2038年11月29日まで

ヴェガ・ソーラー合同会社

(連結子会社)

中国電力株式会社

太陽光発電による売電

(PVNext EBH 美咲町発電所)

2015年9月30日から

2035年9月29日まで

 

契約会社名

相手先

契約内容

契約期間

ヴェガ・ソーラー合同会社

(連結子会社)

東京電力パワーグリッド株式会社

太陽光発電による売電

(エンバイオ千葉若葉

太陽光発電所)

2021年4月12日から

2041年4月11日まで

アルタイル・ソーラー合同会社

(連結子会社)

北海道電力株式会社

太陽光発電による売電

(PVNext EBH 浦幌第一発電所)

2017年3月15日から

2037年3月14日まで

アルタイル・ソーラー合同会社

(連結子会社)

北海道電力ネットワーク株式会社

太陽光発電による売電

(EBH鹿追発電所)

2022年6月27日から

2023年3月31日まで

以降1年毎の自動更新

 

(3) 資本業務提携契約

契約会社名

相手先

契約内容

契約期間

提出会社

株式会社シーアールイー

資本業務提携契約

期間の定めなし

提出会社

鉱研工業株式会社

資本業務提携契約

期間の定めなし

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、土壌汚染対策事業の競争力の源泉である原位置浄化技術の強化を目的として研究開発を行っております。

 当連結会計年度における研究開発は以下のとおりであります。

①塩素化エチレンの高分解能細菌を用いたバイオオーグメンテーションの開発

 バイオレメディエーションを適用して浄化した塩素化エチレンの汚染現場より採取した高分解能微生物群集から高分解能細菌を分離獲得(デハロコッコイデス属UCH-ATV1株)しました。これまでに本細菌の同定と遺伝子配列の解析を実施した独立行政法人製品評価技術基盤機構並びに東京農工大学より本細菌の商業利用に関する利用許諾を取得し、またこの細菌で構成される微生物群(コンソーシア)を用いた土壌浄化方法に関する特許権の譲渡を東京農工大学より受けました。この細菌を大量に培養して汚染現場に注入することにより短期間に効率よく塩素化エチレンを無害なエチレンにまで分解する技術(バイオオーグメンテーション)の開発を進めております。難分解性のクロロエチレンが特定有害物質に追加された揮発性有機塩素化合物の汚染の浄化に威力を発揮する技術として期待しております。

当連結会計年度は、経済産業省及び環境省が所管する「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」の専門家審査会による適合性確認審査が完了し、経済産業大臣及び環境大臣より指針適合の確認書を受領いたしました。今後は、実際の案件で使用することが可能となります。

 

②コロイド状活性炭を用いた原位置透過壁工法の開発

稼働中の工場における土壌・地下水汚染の経済的な汚染拡散防止のニーズに応えるべく、米国リジェネシス社(当社は同社製品の日本国内の独占販売権を保有)が開発したコロイド状活性炭水溶液(商品名プルームストップ)を用いた原位置透過壁工法の開発に着手しました。本工法は、有機化学物質による土壌・地下水汚染が地下水の流れに乗って拡散するのを原位置で地中に形成したコロイド状活性炭の透過壁(原位置透過壁)に汚染物質を吸着させることにより、敷地外への汚染拡散をブロックするものです。従来は敷地境界付近に複数の揚水井戸を設置し、汚染地下水を汲み上げる揚水処理工法が採用されておりますが、コスト高が課題となっており、経済性の高い工法が求められております。また本工法は、新たな規制物質としての対応が議論されている有機フッ素化合物の一種であるPFOS、PFOAを含有する汚染地下水の拡散防止対策としても期待しております。

 当連結会計年度は、実際の汚染現場に適用するための試験施工及び本施工の技術提案を行って、第1号案件を受注しました。現場での試験施工を実施し、本施工の設計にかかる条件検討を行いました。また、技術者を米国リジェネシス社へ派遣し、設計及び施工に関わる技術の習得を行いました。

 

 当連結会計年度の研究開発費は、6,176千円でした。