(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、アジア新興国等の経済成長に対する減速懸念や欧州の地政学的リスクの影響により、平成27年8月以降株価が大きく変動したものの、政府政策や日銀主導の金融緩和策などにより企業収益は緩やかな回復基調を継続しており、雇用や個人消費も回復の兆しが見られました。
不動産市場においては、雇用と個人所得が改善したことに加え、平成26年の緊急経済対策に基づく住宅ローン金利の優遇施策や住宅取得資金に係る贈与税の非課税枠拡大、省エネ住宅ポイント制度などの政府政策の効果により、住宅取得や住宅ローンの借換えが注目されました。また、賃貸住宅市場は、相続税改正に対応する相続税対策や資産運用の目的として、居住用途以外の不動産売買が底堅い推移となりました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、当連結会計年度を初年度とした中期3カ年計画を「Start Up 2017」とし、既存サービスの拡大を図りつつ、新規エスクローサービスの開発に注力し、『日本版エスクロー』を業態として確立するための成長ステージに向けて準備と行動を開始する当初年度といたしました。具体的には、①「取引に関連するBPOサービスの拡張」として主要取引先の金融機関における業務請負範囲の拡大と処理件数の増加を図り、②「新たなエスクローサービスの開発」として不動産鑑定業の取得、信託口座を活用した各種サービスの開発、不動産オークション・エスクローサービスの開発を行い、③「新規取引先の拡大」として株式会社ブイキューブや税理士法人タクトコンサルティングとの提携による営業範囲の拡大と新規顧客獲得を推進させるという3つの成長戦略を基軸として事業活動を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,687,717千円(前年同期比40.1%増)、営業利益は402,627千円(前年同期比97.4%増)、経常利益は403,059千円(前年同期比104.6%増)、また、業務用データベースとして取得したソフトウェアに26,083千円の減損損失を特別損失として計上いたしましたが、当期純利益は244,116千円(前年同期比129.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。
(エスクローサービス事業)
エスクローサービス事業においては、ASPサービスを中心として、不動産取引に係わる司法書士をはじめとした専門家、金融機関、不動産事業者に対し、事務の効率化及び安全性・合理性・利便性を高める各種支援サービスを提供するとともに、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託と連携した信託サービスの拡充に引き続き努めております。また、平成27年7月より、当社が推進する「日本版エスクロー」の機能の一部として、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託にて不動産オークション・エスクローサービス事業を開始いたしました。
この結果、エスクローサービス事業の売上高は660,941千円(前年同期比32.9%増)、セグメント利益は501,508千円(前年同期比26.1%増)となりました。
(BPO事業)
BPO事業においては、金融機関における住宅ローン融資案件の事務を請負い、既存取引先金融機関等の業務上の課題を解決するための事務合理化及びコスト節減ニーズに応じたサービスを提案しております。当連結会計年度においては、既存顧客からの受託範囲拡大に向けた営業推進を継続する一方、新規顧客獲得に向けた取組みを推進し、新たにネット系金融機関へのサービス提供を開始いたしました。
また、前連結会計年度に受託した証券会社が行う住民票取得代行サービスのサポート業務の受託件数が、年間を通じて寄与いたしました。更に、クロージング業務(金銭消費貸借契約書の締結代行業務)では、外部環境の影響や金融機関が実施するキャンペーン等の効果により取引先金融機関における取扱件数が増加し、当社への委託件数が例年以上に増加いたしました。
この結果、BPO事業の売上高は1,026,775千円(前年同期比45.2%増)、セグメント利益は340,074千円(前年同期比97.7%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,412,772千円となり、前連結会計年度末と比較して278,475千円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は402,646千円(前連結会計年度は82,666千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益376,975千円、未払金の増加額37,038千円、仕入債務の増加額25,851千円、及び減損損失の計上額26,083千円があった一方で、法人税等の支払額71,574千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は120,866千円(前連結会計年度は118,104千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の差入による支出103,253千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの支出は3,303千円(前連結会計年度は151,442千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払による支出35,513千円、及びリース債務の返済による支出9,248千円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入26,820千円、新株予約権の発行による収入15,044千円によるものであります。
当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣・物件調査・クロージング等であり、受注生産を行っていないため、生産実績及び受注状況については、記載しておりません。
(1)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
エスクローサービス |
660,941 |
132.9 |
|
BPO |
1,026,775 |
145.2 |
|
合計 |
1,687,717 |
140.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年3月1日 至 平成27年2月28日) |
当連結会計年度 (自 平成27年3月1日 至 平成28年2月29日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
住信SBIネット銀行株式会社 |
235,369 |
19.5 |
247,584 |
14.7 |
|
株式会社コスモホールディングス |
196,424 |
16.3 |
213,617 |
12.7 |
|
司法書士法人中央グループ |
179,471 |
14.9 |
174,230 |
10.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
①BPO事業の営業チャネル拡大及びローコストオペレーションの提供の推進
住宅ローンの金利は極めて低い状況でありながらも金利競争が激化しており、金利競争の激化は金融機関の採算面の悪化を招き、住宅ローン業務のオペレーションのローコスト化対応が求められております。
加えて、金融庁が業務委託先についても検査を実施する姿勢を強めており、金融機関ではBPOに対して消極的にならざるを得ない状況が続いております。
このような状況の下、当社といたしましては、BPOの採用に比較的積極的な新興金融機関への営業を強化し実績の着実な蓄積を行いながら、営業チャネルを金融機関だけでなく不動産事業者、建設事業者へ拡大するとともに、独自の強みを持つその他の事業者とも営業のための提携関係などを積極的に構築し対応してまいります。
更に、既存事業のフロー及び適正人員数の見直しを図り、労働集約型から資本集約型への転換を行い社内事務効率の向上に注力することで、今後も一層のローコストオペレーションの提供を推進してまいります。
②市場ニーズが拡大する分野でのサービスの拡充
不動産取引については、住宅ローンだけでなく、周辺業務が多様化しているため、当社では、市場ニーズが拡大する分野でのサービスの提供を拡充することで対応してまいります。
具体的なニーズの拡大としては、昨今、不動産業界では中古住宅市場が注目されており、今後、住宅ローン事務全体の構成割合が変化し、新規住宅ローン案件や借換ローン案件等が占める割合が減少し、既存物件の流通及び債権管理に関する業務(具体的事例としては、債権回収・ローン完済・相続等に関する業務)や既存物件リフォームに関する業務が増加伸張すると考えられます。当社においては、連結子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託の有する信託機能を活用するなど、これらの取引に係る当事者全般へのサービスの開発・提供を推進してまいります。
③人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上
当社の今後の事業発展を支える人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上は不可欠な課題の一つでありま
す。そのなかで、物件調査・住宅ローン・不動産登記の知識はどれも必須事項であり、クライアントからもその経
験・知識を求める人材が要望されております。
したがって、当社では、クライアントの要望に資するため、公的資格の有無や経験年数等を考慮した人員配置を
行っております。
更に、引き続き継続的・積極的な採用活動を行い、優秀な人材の確保・育成に努めていくとともに、福利厚生制
度の充実、教育プログラムの構築により、より一層の従業員の意欲・能力の向上に今後も積極的に取組んでまいり
ます。
④当社の提供するサービスにかかる法令遵守
近年、我が国でも不動産取引や金融取引における情報化が進みネットオークションやネットバンキングといった
新しい流通システムによるオンラインサービスが普及しております。
そのため、オンラインによる取引の増加にともない、隔地者取引や非対面取引が増えております。一方、顧客保
護やオペレーションリスクの観点から不動産や金融取引にかかる関係者は、当事者の本人確認や意思確認等の契約
事項における確認といった各種の法令を遵守する必要があります。
当社では、不動産取引の安全を図るための各種サービスを金融機関や司法書士等に提供しているため、サービス
提供に関連する法令を確認したうえで、サービスの提供を行っております。法令の確認については、社内での検討
に加え、適時、社外の専門家等に相談する体制を構築し、法令遵守体制の運用を継続する方針であります。
⑤コーポレート・ガバナンスの構築に対する取組み
当社は、継続的な企業価値の向上を実現していくためにコーポレート・ガバナンスの構築を経営上の重要課題の一つとして認識しております。
毎月定例的に開催される取締役会には代表取締役社長を含む取締役及び監査役が出席し、当社の業務執行を決定し、取締役の職務執行を監督する権限を有しております。
業務執行に関する重要事項は取締役と各本部長によって構成される経営委員会で審議・検討し、迅速な意思決定による業務遂行を支援する体制を整備しております。
更に、代表取締役社長の直轄である内部監査室を設置し業務の適正化に努め、会計監査人及び監査役と十分な連携を図るとともに業務執行について監視しております。
また、取締役及び使用人の職務執行が法令・定款及び社内規程に適合することを確保するための「内部統制基本方針」を改正会社法及び改正会社法施行規則に対応するために改訂し、この基本方針では会社法で定められた体制の他、内部統制上必要と考えられる事項を定めております。今後は、当方針につき適宜検証を行いコーポレート・ガバナンスの構築の強化に努めてまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事務過誤について
当社グループで取り扱う事務代行業務において、従業員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすこと等の種々の事務リスクに晒されております。これらの事務リスクを防止するために業務フローやシステムの改善、社員教育の徹底などの事務過誤防止策を講じております。更に、事務過誤の発生状況を定期的に把握し、事務リスクの所在及び原因・性質を総合的に分析することにより、その結果を再発防止ならびに軽減策の策定に活かしております。
対策にもかかわらず過誤が発生した場合、当社が提供するサービスへの信頼低下などによって、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人材について
当社グループの事業特性から、人材はきわめて重要な経営資源であり、今後の事業発展を支える人材の安定的な確保は経営存続に不可欠な課題の一つであります。優秀な人材を確保するために、人事評価制度を実施することで、優秀な社員が働きやすい環境を整えるとともに、ストックオプションを含む柔軟な報酬プログラムを用意しております。更に、人材紹介サービスを活用し、必要な人材の確保を進めてゆく方針であります。
今後も一層優秀な人材の確保及び育成に努める所存ではありますが、当社が求める人材を十分に確保、育成できない場合、または現在在職しているマネジメント層が多数流出した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)金利情勢等の影響について
金利情勢の変動により住宅ローンの金利も変動し、ローンの新規借入者及び借換ローン利用者が増減する可能性があり、その他、住宅ローンの申込件数は景気動向及び税制等に影響を受けやすくなっております。そのため、大幅な金利の上昇、景気見通しの悪化や住宅取得に係る優遇税制の廃止等が生じた場合には、住宅ローンの申込件数が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不動産市況等による影響
当社グループの事業全般は、国内不動産市況の動向に大きな影響を受けております。国内不動産市況の悪化に起因した住宅着工件数の減少により住宅ローンの取扱高が大幅に減少した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の取扱いについて
当社では事業の特性上、住宅ローン利用者に関する大量の個人情報を取り扱っております。
個人情報の保護については、「プライバシーマーク」の認証取得企業として、「個人情報の保護に関する法律」を遵守するとともに、「個人情報保護基本規程」、「個人情報保護方針」の策定、日本工業規格「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」(JIS Q15001)に準拠した「個人情報保護マネジメントシステム」の構築、実施、及び維持に努めております。
しかしながら、当社が保有する個人情報につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じた場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損害が発生する他、当社の信用低下により、事業運営、経営成績、及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制及び免許、許認可等について
①法的規制
当社グループの事業及び取得している免許・許認可において関連する主な法的規制は下記のとおりになります。
・宅地建物取引業法
・貸金業法
・労働者派遣法
・犯罪収益移転防止法
・個人情報保護法
・信託法、信託業法
・銀行法
・不動産鑑定法
万が一、当社グループの役員及び従業員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、または、法人として法令違反があった場合は、取引先との信頼関係を損なう可能性がある他、監督当局から業務の制限や停止等の命令並びに顧客からの当社グループに対する訴訟の提起及び損害賠償支払いの発生等により、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの販売先に関連する司法書士法及び銀行法等の改正により当社グループのサービスが提供できなくなった場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②免許、許認可等について
当社グループが事業遂行上取得している免許、許認可及び公的資格等は以下のとおりです。当社グループはこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。また、当社グループではこれら法令及び免許・許認可等を遵守すべく、役員及び従業員に対する法令等遵守の徹底や、コンプライアンス規程及びリスク管理規程等の社内規程の整備等を行い全社的なコンプライアンス意識の向上に努めております。
しかし、法令違反等によりこれらの許認可等が取り消された場合や、これらの関連法規が改廃された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
|
許認可等の名称 |
所管 |
許認可等の内容 |
取消、解約その他の事由 |
有効期限 |
|
宅地建物取引業者免許 |
東京都 知事 |
東京都知事 (2)第88371号 |
宅地建物取引業法 第66条 |
平成24年10月27日~ 平成29年10月26日 |
|
貸金業者登録 |
東京都 知事 |
東京都知事 (2)第31359号 |
貸金業法 第24条の6の5 |
平成25年12月1日~ 平成28年11月30日 |
|
一般労働者派遣業許可 |
厚生労働省 |
般13-303359 号 |
労働者派遣法 第6条第1項 第1号~6号 |
平成28年1月1日~ 平成32年12月31日 |
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プライバシーマーク認証 |
一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 |
第108470376(04)号 |
プライバシーマークに関する規約第15条1項 |
平成26年11月7日~ 平成28年11月6日 |
|
ASP・SaaS情報開示認定 |
一般財団法人 マルチメディア振興センター |
第0124‐1103号 |
ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度運用規程」第17条 |
平成28年3月28日~ 平成30年3月27日 |
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管理型信託業登録 |
関東財務局 |
関東財務局長 (信)第11号 |
信託業法 第46条、第47条 |
平成26年8月25日~ 平成29年8月24日 |
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不動産鑑定業登録 |
東京都 知事 |
東京都知事 (1)第2579号 |
不動産鑑定法 第30条 |
平成27年4月23日~ 平成32年4月22日 |
③司法書士法等について
当社は金融機関等の顧客から「金融機関の担保設定、抹消登記を行う司法書士選定に関する助言及び事務代行業務」を受託しております。当該業務遂行のため当社は、司法書士等の司法書士賠償責任保険への加入状況、プライバシーマークの取得状況、司法書士事務所の体制、資格者の人数、補助者の人数及び懲戒事例等の有無等を調査した上でシステム登録し、金融機関等の求めに応じ一定の基準を満たす司法書士をリスト化し提示しております。また、当社は一部の司法書士法人と業務委託契約を締結し、金融機関等からの登記業務の依頼の受付及び進捗管理等を行うことができるシステムの提供及び運用サポート等を行っております。
司法書士は、業務を行うにあたり「不当な手段によって依頼を誘致するような行為をしてはならない。」(司法書士法施行規則第26条)、「依頼者の紹介を受けたことについて、その対価を支払ってはならない。」(司法書士倫理第13条第2項)等の規制を受けておりますが、当社が金融機関等に対し提供する助言及び事務代行業務は依頼者を司法書士に紹介する行為ではなく金融機関等の求める基準を満たす司法書士をリスト化し提示する行為であり、司法書士から受領する業務委託料は司法書士等の紹介をする業務の対価ではなく当社が提供するサービスの対価であることから、当社の事業は上記規定に抵触しておりません。その他、司法書士に対するサービスを提供する上で、当社は司法書士法、同法施行規則、司法書士会会則基準、司法書士倫理の影響を受けております。
当社は、これら法令等の遵守のため適宜、管轄省庁である法務省や弁護士に事業スキームの適法性を確認した上で司法書士にサービスを提供しておりますが、今後、法令等の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④人材派遣及び業務受託について
当社はBPO事業において、金融機関の業務効率化ニーズを的確に把握するために当社社員を金融機関に派遣するほか、金融機関の業務の一部を受託しております。
人材派遣にあたっては、労働者派遣法、職業安定法その他の規制に反することが無いよう事前に弁護士への確認を行っております。また、当社から派遣された社員は、当社が行う業務受託とは別の指揮命令系統により業務を行っております。なお、業務受託においては、受託する業務の範囲を明確にし、当社内での指揮命令が行われることを徹底するほか、業務受託を行う社員を含め研修を行い、関連法令の遵守に努めております。
しかしながら、今後、人材派遣及び業務受託に関連する諸法令の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)代表取締役社長への依存について
当社の代表取締役社長である本間英明は、当社の経営方針の決定を始め、営業、企画等において重要な役割を果たしかつ、本書提出日現在、当社株式を870,000株(議決権比率21.26%)所有しております。また、本間英明の近親者が議決権の100%を所有する株式会社中央グループホールディングスは当社株式を1,060,000株(議決権比率25.90%)所有しております。
そのため、代表取締役社長への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成を図っておりますが、何らかの理由により本間英明の業務遂行が困難になった場合、今後の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)特定取引先への依存について
当社グループの販売先は主に司法書士や金融機関であります。その中でも、司法書士法人中央グループとは平成19年6月から、司法書士法人コスモ(現 株式会社コスモホールディングス)とは平成20年1月から取引を開始しており、各司法書士法人の事業拡大及び当社の取引金融機関からの案件依頼の増加等に伴い、各司法書士法人の当社が提供するシステム利用が増加し、当連結会計年度における司法書士法人中央グループ及び株式会社コスモホールディングスに対する売上高の総売上高に占める割合はそれぞれ10.3%、12.7%と高くなっております。また、当連結会計年度における住信SBIネット銀行株式会社に対する売上高の総売上高に占める割合は、新規顧客の増加に伴い依存度の分散化は図られているものの、依然として14.7%と高くなっております。
当社グループは引き続き、これらの特定取引先と安定的な取引の継続を進めるとともに、新たな取引先の開拓に努める方針でありますが、司法書士法人各社に対する金融機関等からの案件依頼の減少、特定取引先の取引方針の変更等による受託業務の減少又は業務受託契約の解消等が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)提供サービスの開始、終了について
当社グループでは、より一層の成長を目指すべく、不動産取引に携わる関係者のニーズを発掘し、各種の新規サービスを提供しております。新規サービスの提供に際しては、必要に応じて人材の採用、設備投資等の新たな費用の支出を必要とする可能性があるため、経済状況や顧客動向の変化等により、新規サービスの展開が計画通りの収益獲得に至らない場合は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規サービスの提供については、当該サービスに係る法令、必要となるリソースその他を十分に検討して提供を開始しておりますが、提供するサービスに係る法令の趣旨と当社解釈の相違の判明、法令の改正、当該サービスの陳腐化及び当社の経営リソースの再配分等によりサービスの提供を終了することがあります。新規サービスの提供の開始もしくは終了により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)システムダウンのリスクについて
当社の事業は、企業・法人向けASPサービスの提供を行っていることから、自然災害、事故等により、通信ネットワークが切断された場合は、サービス提供に支障が生じることとなります。また、外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によりシステムに支障が生じる可能性もあります。
以上のようなリスクに対応するため、遠隔地においてバックアップサーバーを設置するなどの回避体制を整えておりますが、それにもかかわらず以上のような障害が発生した場合には、当社に直接損害が生じるほか、システムへの信頼を低下させる可能性があり、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)利益還元に関する方針について
当社グループは、株主への利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており、積極的かつ継続的な配当を実施していくことを基本方針としております。
また、利益の状況、翌期以降の収益見通し、キャッシュ・フローの状況、並びに配当性向などを総合的に勘案の上、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、連結ベースでの配当性向30%以上を基本水準と定め、毎期継続的な配当を実施することを原則としております。
当期の配当金につきましては、1株につき20円(普通配当18円 記念配当2円)の配当を実施することを決定いたしました。次期の配当金につきましては、基本水準の下、配当性向30%を目安としておりますが、今後の経営環境及び経営成績を勘案した上で検討して参りたいと考えていることから、現時点では未定としております。
(12)災害について
当社グループの事業用サーバーシステム及び通信機器は、耐障害対策を有する施設に設置されており、更に、複数のサーバーシステムを分散配置するなど災害発生時にも、障害の発生を最小限に抑えるための方策を講じておりますが、将来発生が懸念されている東京直下型地震をはじめ、台風、暴風雨等の自然災害、または戦争、テロ、火災等の人災が関東圏、特に当社グループが在籍する東京都において発生した場合、正常な営業活動を行うことができなくなる可能性があり、一時的に事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)金融機関からの委託について
当社はBPO事業において、従来は金融機関等が主に自社又は自社の関連会社で行っていた不動産調査業務、不動産売買に付随する担保設定、抹消登記に関係する書類の発送、内容確認等の業務を受託しております。これら業務のアウトソーシングについては、今後も金融機関等における業務効率化のニーズを背景に新規の取引先及び件数がともに拡大していくものと当社は考えております。
しかしながら、金融機関等の方針の変更や法規制の強化等により当社の想定どおりに金融機関等の業務のアウトソーシングが拡大しない場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)競合について
当社が提供するBPO事業については、金融機関等より十分な情報管理体制が求められております。また、エスクローサービス事業においても、住宅ローン、不動産登記及び信託等に関連する業務の効率化を目的としたシステムを提供しておりその専門性は高く、これら事業はいずれも参入障壁は比較的高いものであると考えております。
しかしながら、新規事業者の参入、技術革新、業界規制の変更等によりこれらの事業における当社の優位性が保てなくなった場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式価値について
当社では、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。平成28年2月29日現在、新株予約権の目的である株式の数は459,000株であり、当社発行済株式総数の11.2%に相当しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態の分析
①資産
当連結会計年度末における資産の残高は2,093,689千円となり、前連結会計年度末と比較して382,134千円の増加となりました。
流動資産は1,845,545千円となり、前連結会計年度末と比較して233,960千円の増加となりました。これは主に現金及び預金が178,695千円増加したことによるものであります。固定資産は248,143千円となり、前連結会計年度末と比較して148,174千円の増加となりました。これは主に長期預金100,000千円の預入及び差入保証金が69,851千円増加したことによるものであります。
②負債
負債の残高は333,563千円となり、前連結会計年度末と比較して131,526千円の増加となりました。
流動負債は327,442千円となり、前連結会計年度末と比較して131,319千円の増加となりました。これは主に未払法人税等が75,813千円増加したことによるものであります。固定負債は固定リース債務のみで、残高は6,120千円であり、前連結会計年度末と比較して207千円の増加となりました。
③純資産
純資産の残高は1,760,126千円となり、前連結会計年度末と比較して250,608千円の増加となりました。これは新株予約権の行使により、資本金が13,702千円、資本準備金が13,702千円増加したことの他、新株予約権を15,164千円発行したこと、及び利益剰余金が208,445千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、アジア新興国等の経済成長に対する減速懸念や欧州の地政学的リスクの影響により、平成27年8月以降株価が大きく変動したものの、政府政策や日銀主導の金融緩和策などにより企業収益は緩やかな回復基調を継続しており、雇用や個人消費も回復の兆しが見られました。
不動産市場においては、雇用と個人所得が改善したことに加え、平成26年の緊急経済対策に基づく住宅ローン金利の優遇施策や住宅取得資金に係る贈与税の非課税枠拡大、省エネ住宅ポイント制度などの政府政策の効果により、住宅取得や住宅ローンの借換えが注目されました。また、賃貸住宅市場は、相続税改正に対応する相続税対策や資産運用の目的として、居住用途以外の不動産売買が底堅い推移となりました。
このような状況の中、当社グループにおきましては、当連結会計年度を初年度とした中期3カ年計画を「Start Up 2017」とし、既存サービスの拡大を図りつつ、新規エスクローサービスの開発に注力し、『日本版エスクロー』を業態として確立するための成長ステージに向けて準備と行動を開始する当初年度といたしました。具体的には、①「取引に関連するBPOサービスの拡張」として主要取引先の金融機関における業務請負範囲の拡大と処理件数の増加を図り、②「新たなエスクローサービスの開発」として不動産鑑定業の取得、信託口座を活用した各種サービスの開発、不動産オークション・エスクローサービスの開発を行い、③「新規取引先の拡大」として株式会社ブイキューブや税理士法人タクトコンサルティングとの提携による営業範囲の拡大と新規顧客獲得を推進させるという3つの成長戦略を基軸として事業活動を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,687,717千円(前年同期比40.1%増)、営業利益は402,627千円(前年同期比97.4%増)、経常利益は403,059千円(前年同期比104.6%増)、また、業務用データベースとして取得したソフトウェアに26,083千円の減損損失を特別損失として計上いたしましたが、当期純利益は244,116千円(前年同期比129.6%増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,412,772千円となり、前連結会計年度末と比較して278,475千円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は402,646千円(前連結会計年度は82,666千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益376,975千円、未払金の増加額37,038千円、仕入債務の増加額25,851千円、及び減損損失の計上額26,083千円があった一方で、法人税等の支払額71,574千円があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は120,866千円(前連結会計年度は118,104千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の差入による支出103,253千円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローの支出は3,303千円(前連結会計年度は151,442千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払による支出35,513千円、及びリース債務の返済による支出9,248千円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入26,820千円、新株予約権の発行による収入15,044千円によるものであります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「4 事業等のリスク」をご参照ください。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、米国の不動産取引におけるエスクロー&タイトルサービス(注)のビジネスモデルを模範として、我が国の不動産取引における「安全性・利便性・合理性」に寄与する事を基本理念に、新しい時代における取引決済の形を目指しています。主に、米国のエスクロー&タイトルサービスには、精算業務・決済業務・保証業務の機能がワンストップで消費者に対して提供されています。
しかし、我が国では、金融機関、不動産事業者、司法書士を始めとする有資格者との人的連携により取引決済がなされており、消費者からの目線では、決して利便性が高いとは言えません。
また、安全性についても、其々の連携する機関の属人的な信用保証で成り立っているために様々なリスクが潜在化し、更に、連携により取引決済がなされるために合理的なローコストオペレーションが実現されておりません。今後、高齢化による取引事務の専門家の不足、更に、中古住宅市場の拡大に向けて、より一層、不動産取引の現場では、取引の安全性や利便性、合理性が求められて来ます。
そこで、当社グループはこれらの問題の解決策を米国のエスクロー&タイトルサービスに求め、不動産取引の現場において合理的な利便性のある専門サービスの創出を目指すことを経営方針のひとつに掲げております。
事業セグメントとしては、エスクローサービス事業とBPO事業の二つに区分し、トータルなワンパッケージ専門サービス提供によって、不動産取引の安全を図り、さらなる業績の進展を目指して参ります。
具体的には下記の課題(外部、内部)について取組んで参ります。
1.外部課題
a.エスクローサービス事業
不動産取引の現場では、合理的且つ安全で、簡単なサービスが求められています。当社グループは、それに対し取引の決済機能と保証機能について、新たな商品化を進めて参ります。
現在の決済業務は、不動産取引代金、金融機関からの融資金などを当社グループが信託口座にて預かる仕組みを取り入れております。具体的には、その金銭を第三者の信託会社あるいは、連結子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託にて金銭の保全機能を担い、当社は、中立的な第三者として決済業務に関わっております。
決済業務において信託機能はなくてはならないものであり、当社子会社と連携し、新しいエスクローサービスの開発や信託事務の合理化により安価なサービスの提供を目指しております。具体的には、相続関連のBPO事業の拡大に伴い、相続手続に関する取引決済サービスの開発をいたしました。また、今後拡大する中古市場における取引の合理化ニーズに対応したサービスの開発にも取り組んで参ります。
また、米国における不動産取引の安全性は、過去の取引から将来に渡っての所有権が広く長期間、保険で守られています。しかし、我が国では充実した登記制度や時効制度があるため、米国ほどの期間において所有権を保険で守るという消費者のニーズは低いのが現状ですが、実際には我が国の登記には公信力はありません。
当社グループは、其々の取引ごとに所有者の確定から登記が完了するまでの間の債務不履行責任を担保するための包括的な取引保証を開発いたしました。
b.BPO事業
我が国の少子高齢化による生産年齢人口の減少は、多くの業界にとって優秀な人材確保を困難なものとしており、金融機関においても、利益率の改善や貴重な人材の最適配置が重要な課題となっております。今後、少子高齢化の影響はますます強まっていくことが予想されるため、金融機関では更なる業務効率化や経費節減ニーズが強まるものとなります。
当社のBPO事業は、創業以来、不動産取引決済の分野にて、金融機関の事務合理化や業務体制の確立について、専門的なコンサルティング実績とノウハウの蓄積があります。今後、更に、これらのコンサルティング実績とノウハウを活かすことで、金融機関や不動産事業者の現場業務の事務合理化に対するコンサルティングサービスの拡充を行い、不動産取引に関わる全ての当事者が行う精算業務に対するサービスを開発して参ります。
また、国の政策として、諸外国に比べて立ち遅れた中古住宅・リフォーム市場の活性化が掲げられていることに対応し、不動産鑑定業を開始するなど、中古住宅市場の活性化から生じる金融市場ニーズを捉えて参ります。
2.内部課題
a.エスクローサービス事業
エスクローシステム
当社グループのエスクローサービスは、合理的に、利便性よく、安全性の高い取引の実現を目指しています。そのためには、先に述べました専門的な人材育成のほかに以下の様なサービスの開発を目指しています。
第一には、精算業務・決済業務は労働集約型のため、過度に属人的な専門能力に依存しがちになります。そこで、専門業務のマニュアル化の整備により標準化し、作業ごとに分業化を進め、これらの業務に発生しがちな事務ミスを防止するためにエスクローシステムの開発に力を入れております。
本システムは、消費者、金融機関、不動産事業者、司法書士等の専門家をつなぐシステムとして受発注から進捗管理、品質管理までの工程を自動化し、具体的な合理化を実現しています。
b.BPO事業
当社グループのBPO業務では、金融機関の各種事務を大量、迅速かつ正確に処理する能力が求められます。金融機関においてはBPOによって、いかに合理化が実現できるのかという視点が重要な差別化となります。
よって、当社グループでは、どこまでローコストオペレーションを実現できるかという視点で、合理化の数値を可視化できるコンサルティング能力・業務の標準化・単純化・分業化が、差別化の重要な要因であり、それらの当社グループの強みを実現する専門的な人材の育成体制が、重点的な課題となっております。
c.専門家との業務提携の推進
取引決済の精算業務の中では、様々な専門家(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、1級建築士等)との連携があり、その専門家の方々とともに取引決済のサービスの開発や商品化を進めております。
よって、今後とも専門家の方々と多面的な業務提携を推進し、新しい取引決済の形に取組んで参ります。
d.内部統制及びコンプライアンスの強化
当社グループは、顧客である金融機関から会社法・金融商品取引法等で求められる高度な企業のコンプライアンス、リスクマネジメント、コーポレート・ガバナンスを求められており、内部統制システムの整備・強化は企業継続のために必須であり、また、継続的な見直しと有効性の評価が顧客に対して大きな差別化の要因となります。
よって、今後とも内部統制及びコンプライアンスの強化に努めて参ります。
(注)不動産取引において、中立的な第三者が取引の事務、履行の確認及び決済等を行い、また、売買時にその不動産に対して様々な権限の状況を調査し、すべての条件をクリアし物件の権利委譲が正しく行われることを保証すること。取引の安全を図るための制度として、米国カリフォルニア州において発祥し、米国にて広く利用されております。
(7)今後の見通しについて
中国の経済動向や欧州各国の経済不安と地政学リスクに加え、米国の利上げ調整など先行きが不透明な世界経済の中、我が国経済においては、政府主導の経済政策により引き続き金融緩和やインフラ促進を伴う「民間投資を喚起する成長戦略」を基軸としておりますが、民間企業や一般消費者への具体的な影響度は推し測ることが難しく、雇用や所得状況に対する不安から依然として将来への不透明感が漂っております。
不動産市場においては、マイナス金利制度の導入により民間投資の拡大が期待されており、また、依然として継続する低金利相場により住宅用途や資産運用を目的とした不動産投資マインドが向上する見込みがある反面、都心部の中古物件を中心に不動産価格相場は上昇傾向であり、取得意欲を減退させる可能性もございます。
そのような中、当社グループの平成29年2月期の見通しとしては、エスクローサービス事業では、当社システムサービスのユーザー数を増加させるための営業推進を行うと同時に、精算・決済・保証機能の拡充及びそれらのパッケージ化等により新たなサービスの開発に取り組んで参ります。また、子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託では、中古不動産市場や相続市場の拡大を背景に、当連結会計年度に開始した各種信託サービスの推進と、平成27年7月より開始した不動産オークション・エスクローサービスの推進により業績拡大を目指して参ります。
BPO事業においては、既存提携先との提携効果を活用するとともに新たな提携先を模索し、一層の業務効率化に注力しながら、不動産業界や金融業界において刻々と変化する取引先のニーズに対応することで、既存取引先からの業務受託範囲の拡大と新規顧客の獲得に向けた営業活動を推進して参ります。特に当社が強みを発揮できるネット系金融機関や第二地方銀行または信用組合などの金融機関への営業活動を強化して参ります。