第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における我が国経済は、海外経済の動向や金融市場の変動に不透明感はありながらも、堅調な企業業績を受け、雇用状況も改善していることから、国内景気は緩やかな回復基調で推移しました。

 不動産市場においては、国土交通省発表による平成29年の新設住宅着工戸数は964,641戸(前年比0.3%減)で、利用関係別の戸数内訳では、持家が284,283戸(前年比2.7%減)、貸家が419,397戸(前年比0.2%増)、分譲マンションが114,830戸(前年比0.2%増)、分譲一戸建住宅が138,189戸(前年比3.3%増)となりました。政府による住宅取得支援策や住宅ローン金利低相場の継続で、賃貸アパートなどの投資用不動産への一定の需要が垣間見られることと分譲住宅の需要は概ね堅調であるものの、全体としては若干の減少であり、住宅取得需要の継続的な増加は見込みにくい状況がしばらくは続くものと予想されます。

 また相続市場においては、内閣府による平成29年版高齢社会白書では、65歳以上の高齢者人口は3,459万人となり、総人口に占める割合は27.3%で、世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高の中央値は全世帯の1.5倍となっており、年齢階級が高くなるほど貯蓄額と持家率が概ね増加していることから、相続手続き代行への需要は今後ますます高まっていくことが見込まれます。

 このような状況の中、当社グループでは、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「Start UP 2017」の下、「日本版エスクロー」の業態化を目指し、不動産取引の合理性・利便性・安全性の向上を通じて、不動産取引のあらゆるステークホルダーへ安心と安全を提供することにより、持続的な成長と企業価値の更なる向上に努めてまいりました。当連結会計年度においては、「1.BPOサービス分野の拡張」「2.新たなサービスの開発」「3.新規取引先の拡大」を重点施策として取り組み、相続手続き代行サービスの販路拡大及び不動産情報の透明性確保、不動産取引の瑕疵や権利に関する手続きの安全性向上を目指した不動産オークション事業の推進を基軸とする事業活動を展開するとともに、オペレーションセンターを開設し、業務フローの効率化によって高利益率を堅持してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は2,955,969千円(前年同期比10.3%増)、営業利益は708,606千円(前年同期比2.8%増)、経常利益は725,574千円(前年同期比4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は478,880千円(前年同期比6.0%増)となりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。

 なお、報告セグメントにつき前連結会計年度まで「エスクローサービス事業」に含めておりました「不動産オークション事業」を、当連結会計年度より独立セグメントとして変更しており、前年同期比較については前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

 

(エスクローサービス事業)

 エスクローサービス事業においては、不動産取引に係わる司法書士をはじめとした専門家、金融機関、不動産事業者に対し、事務の効率化及び合理性・利便性・安全性の向上に寄与するASPサービスなどの各種支援サービスを提供するとともに、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託による信託サービス、相続手続き代行サービスの提供とその拡充に努めております。

 当連結会計年度においては、住宅ローン借換案件需要の沈静化により既存のASPサービスの利用件数は一定の落ち着きが見られるものの、非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」の本格稼動や本人確認作業に係る支援ツールを開発するなど新サービスの提供推進に注力してまいりました。

 この結果、セグメント売上高は941,954千円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は803,956千円(前年同期比2.8%減)となりました。

 

(BPO事業)

 BPO事業においては、金融機関における住宅ローン融資案件の事務を請負い、金融機関等の業務上の課題を解決するための事務合理化及びコスト節減ニーズに応じたサービスを提供しております。

 当連結会計年度においては、取引先金融機関の住宅ローン融資関連業務の受託件数は若干減少し、借換需要の過熱感は一服いたしましたが、低金利相場の継続を見据え、引き続き新規取引先開拓に邁進する一方、業務集約による事務効率の向上と多様なニーズ、受注業務の増加に応えるための先行投資として横浜にオペレーションセンターを開設し、社内体制の一層の強化を図ってまいりました。

 この結果、セグメント売上は1,470,500千円(前年同期比4.6%減)、セグメント利益は357,243千円(前年同期比22.1%減)となりました。

(不動産オークション事業)

 不動産オークション事業においては、主に税理士等の専門家からの依頼に応じ、不動産の調査から取引決済まで安全性の高い不動産取引の機会の場を提供しております。これにより売買後のトラブルや紛争を未然に回避することができ、また、取引価格については入札方式を採用することにより、透明性の高い価格形成が可能となり不動産取引の合理性・利便性・安全性の向上に寄与しております。

 当連結会計年度においては、大型案件の受注により大幅な前年伸長を達成いたしました。また、相続関連市場の拡大を受け、相続に係わる不動産取引件数に増加傾向が見られ、生産緑地の「2022年問題」など大都市圏の不動産需給バランスに着目した営業活動を展開すると同時に、人的資源の拡充を図り内部の体制強化にも努めてまいりました。

 この結果、セグメント売上は543,513千円(前年同期比239.0%増)、セグメント利益は194,591千円(前年同期比1,472.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,034,288千円となり、前連結会計年度末と比較して247,956千円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローの収入は404,162千円(前連結会計年度は508,234千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益696,415千円、減損損失41,346千円があった一方で、法人税等の支払額353,960千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローの支出は63,339千円(前連結会計年度は27,897千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出49,001千円、差入保証金の差入による支出12,164千円及び、有形固定資産の取得による支出27,368千円があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入22,139千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローの支出は92,935千円(前連結会計年度は107,866千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額124,300千円、及び借入金の返済による支出43,500千円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入86,656千円があったことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣・物件調査・クロージング等であり、受注生産を行っていないため、生産実績及び受注状況については、記載しておりません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エスクローサービス

941,954

△3.9

BPO

1,470,500

△4.6

不動産オークション

543,513

239.0

合計

2,955,969

10.2

(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年3月1日

至 平成29年2月28日)

当連結会計年度

(自 平成29年3月1日

至 平成30年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

住信SBIネット銀行株式会社

365,453

13.6

株式会社コスモホールディングス

328,993

12.3

318,816

10.8

(注)当連結会計年度における住信SBIネット銀行株式会社の販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載しておりません。

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、不動産取引の安全を保証する日本版エスクローを業態として確立すべく企業経営の基本的な理念及び方針として以下の3点を定め、事業活動を行っております。

① 堅実な経営

 取引の安心と安全を支えるエスクローの基盤を構築、合理的な利便性のあるサービスの創出を目指す。

② 健全な経営

 自己資本の向上を重要な経営指標とし、堅牢な経営体質を目指す。

③ 革新な経営

 時流を的確に捉え、変化に対応できる革新的な経営を基盤として挑戦的な事業展開を目指す

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、設立時より経営の基本方針として自己資本の向上に注力して参りました。平成24年2月期より、無借金経営を継続しております。今後の事業拡大、設備投資を視野にいれた上で自己資本の向上については継続的に注力し強固な資本体制を構築しつつ、ROE及び配当性向を重要な経営指標として位置づけ、株主資本を効率よく活用した上で、収益性向上に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは不動産取引における売買契約から取引決済までの手続事務を一元管理する“トランザクションマネジメントカンパニー(日本版エスクロー)”を目指しております。その事業目的のため、既存サービスの成長、新サービスの普及により事業規模を拡大するとともに、圧倒的な優位性を持つ共通プラットフォームを構築し、企業価値の強化を確立すべく、平成31年2月期から中期3カ年経営計画「Build up 2020」をスタートさせ、以下の3つの成長戦略に着手しております。

① パッケージモデルの推進

 当社独自の非対面決済サービスである「H'OURS」及び相続手続き代行サービス「ZOOK」の金融・不動産業界への営業強化を行い、ワンパッケージサービスの提供範囲を拡大してまいります。

② 専門家支援サービスの拡大

 税理士や会計事務所への提供拡大と、サービス機能の強化、また専門家ネットワークの課題に対するソリューション・サービスを提供してまいります。

③ ユニットモデルの開発・普及

 従来までの専門化との連携による金融機関・不動産事業者等へのサービス提供に加え、機能やブランド等を専門家へ提供し、各専門家が各地域でエスクローエージェントとして事業展開を行うモデルを構築してまいります。

株式会社中央グループ及び株式会社ネグプランの子会社化を皮切りに、大都市圏・中核都市への専門家ネットワークの拡大を目指しております。

 

(4)会社の対処すべき課題

① BPO事業の営業チャネル拡大及びローコストオペレーションの提供の推進

 住宅ローンの金利は極めて低い状況でありながらも金利競争が激化しており、金融機関では住宅ローン業務のコスト削減が急務の課題となっていることから、ローコストオペレーションへの一層の対応が求められております。 また、金融機関ではグループ統合や他行との統廃合に伴う経営資源の効率化により、更にコスト削減が求められております。
 このような状況の下、当社グループといたしましては、インターネット銀行を含む新興金融機関への営業を強化してまいります。また、既存事業のフロー及び適正人員数の見直しを図り、技術革新に伴うペーパーレス化や人工知能の活用によって業務負荷の省力化等を検討し、業務の堅確化及び効率化による事業生産性の向上に努め、労働集約型から脱却した徹底的なローコストオペレーション体制の構築を推進してまいります。

 さらに、これまで培ってきた不動産金融に関する業務ノウハウを活用し、時流の要請に適合した新たなサービスの開発提供を通じて、営業チャネルを金融機関だけでなく不動産事業者、建設事業者へ拡大し対応してまいります。

 

② 市場ニーズが拡大する分野でのサービスの拡充

 不動産取引及び金融事務については、市場ニーズが拡大する分野のサービスへの選択と集中をしてまいります。

具体的には、「1.少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少によるアウトソーシング需要」、「2.少子高齢化及び相続税法の改正による相続市場」、「3.技術革新による不動産取引及び金融事務の合理化」、「4.中古住宅市場の拡大により増加する取引事務の効率化」の4つの成長市場を主要な対象と定め、金融機関、不動産事業者及び専門家に対する専門サービスの拡充を推進してまいります。

 

③ 人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上

 当社の今後の事業発展を支える人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上は不可欠な課題の一つであります。その中で、不動産取引または金融取引事務の知識はどれも必須事項であり、クライアントからもその経験・知識を有する人材が要望されております。

 したがって、当社では、クライアントの要望に資するため、公的資格の有無や経験年数等を考慮した人員配置を行っております。

 さらに、引き続き継続的・積極的な採用活動を行い、優秀な人材の確保・育成に努めていくとともに、福利厚生制度の充実、教育プログラムの構築により、より一層の従業員の意欲・能力の向上に今後も積極的に取り組んでまいります。

 

④ 当社の提供するサービスに係る法令遵守

 近年、我が国でも不動産取引や金融取引における情報化が進みネットオークションやネットバンキングといった新しい流通システムによるオンラインサービスが普及しております。

 そのため、オンラインによる取引の増加に伴い、隔地者取引や非対面取引が増えております。一方、顧客保護やオペレーションリスクの観点から不動産や金融取引に係る関係者は、当事者の本人確認や意思確認等の契約事項における確認といった各種の法令を遵守する必要があります。

 当社では、不動産取引の安全を図るための各種サービスを金融機関や司法書士等に提供しているため、サービス提供に関連する法令を確認したうえで、サービスの提供を行っております。法令の確認については、社内での検討に加え、適時、社外の専門家等に相談する体制を構築し、法令遵守体制の運用を継続する方針であります。

 

⑤ コーポレートガバナンスと内部管理体制の強化

 当社は、企業価値の極大化と永続的な企業価値の向上を実現していくためにコーポレート・ガバナンスの構築を経営上の重要課題の一つとして認識しております。

 「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」を開示し、公正で透明性の高い健全な経営体制を維持するために法令遵守の徹底、組織体制の定期的な見直し、職務権限の明確化、監査機能の充実等内部統制の強化を図っており、今後とも、各コードの取り組み状況の検証を行い更なるコーポレート・ガバナンスの実効性の強化に努めてまいります。

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事務過誤について

 当社グループで取り扱う事務代行業務において、従業員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすこと等の種々の事務リスクに晒されております。これらの事務リスクを防止するために業務フローやシステムの改善、社員教育の徹底などの事務過誤防止策を講じております。さらに、事務過誤の発生状況を定期的に把握し、事務リスクの所在及び原因・性質を総合的に分析することにより、その結果を再発防止ならびに軽減策の策定に活かしております。

 対策にもかかわらず過誤が発生した場合、当社が提供するサービスへの信頼低下などによって、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)人材について

 当社グループの事業特性から、人材は極めて重要な経営資源であり、今後の事業発展を支える人材の安定的な確保は経営存続に不可欠な課題の一つであります。優秀な人材を確保するために、人事評価制度を実施することで、優秀な社員が働きやすい環境を整えるとともに、ストックオプションを含む柔軟な報酬プログラムを用意しております。さらに、人材紹介サービスを活用し、必要な人材の確保を進めていく方針であります。

 今後も一層優秀な人材の確保及び育成に努める所存ではありますが、当社が求める人材を十分に確保、育成できない場合、または現在在職しているマネジメント層が多数流出した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金利情勢等の影響について

 金利情勢の変動により住宅ローンの金利も変動し、ローンの新規借入者及び借換ローン利用者が増減する可能性があり、その他、住宅ローンの申込件数は景気動向及び税制等に影響を受けやすくなっております。そのため、大幅な金利の上昇、景気見通しの悪化や住宅取得に係る優遇税制の廃止等が生じた場合には、住宅ローンの申込件数が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)不動産市況等による影響

 当社グループの事業全般は、国内不動産市況の動向に大きな影響を受けております。国内不動産市況の悪化に起因した住宅着工件数の減少により住宅ローンの取扱高が大幅に減少した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の取扱いについて

 当社では事業の特性上、住宅ローン利用者に関する大量の個人情報を取り扱っております。

 個人情報の保護については、「プライバシーマーク」の認証取得企業として、「個人情報の保護に関する法律」を遵守するとともに、「個人情報保護基本規程」、「個人情報保護方針」の策定、日本工業規格「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」(JIS Q15001)に準拠した「個人情報保護マネジメントシステム」の構築、実施、及び維持に努めております。

 しかしながら、当社が保有する個人情報につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じた場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損害が発生する他、当社の信用低下により、事業運営、経営成績、及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制及び免許、許認可等について

①法的規制

 当社グループの事業及び取得している免許・許認可において関連する主な法的規制は下記のとおりになります。

・宅地建物取引業法

・貸金業法

・労働者派遣法

・犯罪収益移転防止法

・個人情報保護法

・信託法、信託業法

・銀行法

・不動産鑑定法

・測量法

・建築士法

 万が一、当社グループの役員及び従業員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、または、法人として法令違反があった場合は、取引先との信頼関係を損なう可能性があるほか、監督当局から業務の制限や停止等の命令並びに顧客からの当社グループに対する訴訟の提起及び損害賠償支払いの発生等により、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの販売先に関連する司法書士法及び銀行法等の改正により当社グループのサービスが提供できなくなった場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②免許、許認可等について

 当社グループが事業遂行上取得している免許、許認可及び公的資格等は以下のとおりです。当社グループはこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。また、当社グループではこれら法令及び免許・許認可等を遵守すべく、役員及び従業員に対する法令等遵守の徹底や、コンプライアンス規程及びリスク管理規程等の社内規程の整備等を行い全社的なコンプライアンス意識の向上に努めております。

 しかし、法令違反等によりこれらの許認可等が取り消された場合や、これらの関連法規が改廃された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(当社)

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

取消、解約その他の事由

有効期限

宅地建物取引業者免許

東京都 知事

東京都知事

(3)第88371号

宅地建物取引業法

第66条

平成29年10月27日~

平成34年10月26日

貸金業者登録

東京都 知事

東京都知事

(3)第31359号

貸金業法

第24条の6の5

平成28年12月1日~

平成31年11月30日

一般労働者派遣業許可

厚生労働省

派13-303359号

労働者派遣法

第6条第1項

第1号~6号

平成28年1月1日~

平成32年12月31日

プライバシーマーク認証

一般財団法人 日本情報経済社会推進協会

第108470376(05)号

プライバシーマークに関する規約第15条第1項

平成28年11月7日~

平成30年11月6日

ASP・SaaS情報開示認定

一般財団法人 マルチメディア振興センター

第0124‐1103号

ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度運用規程」第17条

平成30年3月28日~

平成32年3月27日

不動産鑑定業登録

東京都 知事

東京都知事

(1)第2579号

不動産鑑定法

第30条

平成27年4月23日~

平成32年4月22日

 

(㈱エスクロー・エージェント・ジャパン信託)

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

取消、解約その他の事由

有効期限

管理型信託業登録

関東財務局

関東財務局長

(信2)第11号

信託業法

第46条、第47条

平成29年8月25日~

平成32年8月24日

宅地建物取引業者免許

東京都 知事

東京都知事

(1)第98063号

宅地建物取引業法

第66条

平成27年7月4日~

平成32年7月3日

 

(㈱中央グループ)

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

取消、解約その他の事由

有効期限

一般労働者派遣業許可

厚生労働省

派15-300245号

労働者派遣法

第6条第1項

第1号~6号

平成30年1月1日~

平成32年12月31日

測量業者登録

国土交通省

登録第(1)

-35478号

測量法第57条

第1項~3項各号

平成30年3月6日~

平成35年3月5日

不動産鑑定業登録

新潟県 知事

新潟県知事

(1)第102号

不動産鑑定法第30条

平成30年7月3日~

平成35年7月2日

一級建築士事務所登録

新潟県 知事

新潟県知事

(イ)第5178号

建築士法第26条第1項~4項

平成29年7月3日~

平成34年7月2日

 

③司法書士法等について

 当社は金融機関等の顧客から「金融機関の担保設定、抹消登記を行う司法書士選定に関する助言及び事務代行業務」を受託しております。当該業務遂行のため当社は、司法書士等の司法書士賠償責任保険への加入状況、プライバシーマークの取得状況、司法書士事務所の体制、資格者の人数、補助者の人数及び懲戒事例等の有無等を調査した上でシステム登録し、金融機関等の求めに応じ一定の基準を満たす司法書士をリスト化し提示しております。また、当社は一部の司法書士法人と業務委託契約を締結し、金融機関等からの登記業務の依頼の受付及び進捗管理等を行うことができるシステムの提供及び運用サポート等を行っております。

 司法書士は、業務を行うに当たり「不当な手段によって依頼を誘致するような行為をしてはならない。」(司法書士法施行規則第26条)、「依頼者の紹介を受けたことについて、その対価を支払ってはならない。」(司法書士倫理第13条第2項)等の規制を受けておりますが、当社が金融機関等に対し提供する助言及び事務代行業務は依頼者を司法書士に紹介する行為ではなく金融機関等の求める基準を満たす司法書士をリスト化し提示する行為であり、司法書士から受領する業務委託料は司法書士等の紹介をする業務の対価ではなく当社が提供するサービスの対価であることから、当社の事業は上記規定に抵触しておりません。その他、司法書士に対するサービスを提供する上で、当社は司法書士法、同法施行規則、司法書士会会則基準、司法書士倫理の影響を受けております。

 当社は、これら法令等の遵守のため適宜、管轄省庁である法務省や弁護士に事業スキームの適法性を確認した上で司法書士にサービスを提供しておりますが、今後、法令等の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④人材派遣及び業務受託について

 当社はBPO事業において、金融機関の業務効率化ニーズを的確に把握するために当社社員を金融機関に派遣するほか、金融機関の業務の一部を受託しております。

 人材派遣にあたっては、労働者派遣法、職業安定法その他の規制に反することが無いよう事前に弁護士への確認を行っております。また、当社から派遣された社員は、当社が行う業務受託とは別の指揮命令系統により業務を行っております。なお、業務受託においては、受託する業務の範囲を明確にし、当社内での指揮命令が行われることを徹底するほか、業務受託を行う社員を含め研修を行い、関連法令の遵守に努めております。

 しかしながら、今後、人材派遣及び業務受託に関連する諸法令の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)代表取締役社長への依存について

 当社の代表取締役社長である本間 英明は、当社の経営方針の決定を始め、営業、企画等において重要な役割を果たしかつ、本書提出日現在、当社株式を8,200,000株(議決権比率19.45%)所有しております。また、本間 英明の近親者が議決権の100%を所有する株式会社中央グループホールディングスは当社株式を10,600,000株(議決権比率25.14%)所有しております。

 そのため、代表取締役社長への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成を図っておりますが、何らかの理由により本間 英明の業務遂行が困難になった場合、今後の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)特定取引先への依存について

 当社グループの販売先は主に司法書士や金融機関であります。その中でも、司法書士法人コスモ(現 株式会社コスモホールディングス)とは平成20年1月から取引を開始しており、司法書士法人の事業拡大及び当社の取引金融機関からの案件依頼の増加等に伴い、司法書士法人の当社が提供するシステム利用が増加し、当連結会計年度における株式会社コスモホールディングスに対する売上高の総売上高に占める割合は10.8%と高くなっております。

 当社グループは引き続き、これらの特定取引先と安定的な取引の継続を進めるとともに、新たな取引先の開拓に努める方針でありますが、司法書士法人各社に対する金融機関等からの案件依頼の減少、特定取引先の取引方針の変更等による受託業務の減少又は業務受託契約の解消等が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)提供サービスの開始、終了について

 当社グループでは、より一層の成長を目指すべく、不動産取引に携わる関係者のニーズを発掘し、各種の新規サービスを提供しております。新規サービスの提供に際しては、必要に応じて人材の採用、設備投資等の新たな費用の支出を必要とする可能性があるため、経済状況や顧客動向の変化等により、新規サービスの展開が計画通りの収益獲得に至らない場合は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規サービスの提供については、当該サービスに係る法令、必要となるリソースその他を十分に検討して提供を開始しておりますが、提供するサービスに係る法令の趣旨と当社解釈の相違の判明、法令の改正、当該サービスの陳腐化及び当社の経営リソースの再配分等によりサービスの提供を終了することがあります。新規サービスの提供の開始もしくは終了により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)システムダウンのリスクについて

 当社の事業は、企業・法人向けASPサービスの提供を行っていることから、自然災害、事故等により、通信ネットワークが切断された場合は、サービス提供に支障が生じることとなります。また、外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によりシステムに支障が生じる可能性もあります。

 以上のようなリスクに対応するため、遠隔地においてバックアップサーバーを設置するなどの回避体制を整えておりますが、それにもかかわらず以上のような障害が発生した場合には、当社に直接損害が生じるほか、システムへの信頼を低下させる可能性があり、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)災害について

 当社グループの事業用サーバーシステム及び通信機器は、耐障害対策を有する施設に設置されており、さらに、複数のサーバーシステムを分散配置するなど災害発生時にも、障害の発生を最小限に抑えるための方策を講じておりますが、将来発生が懸念されている東京直下型地震をはじめ、台風、暴風雨等の自然災害、または戦争、テロ、火災等の人災が関東圏、特に当社グループが主に在籍する東京都において発生した場合、正常な営業活動を行うことができなくなる可能性があり、一時的に事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)競合について

 当社グループの行う事業はいずれも専門性が高く参入障壁は比較的高いものであると考えております。

 しかしながら、新規事業者の参入、技術革新、業界規制の変更等によりこれらの事業における当社の優位性が保てなくなった場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)新株予約権の行使による株式価値について

 当社では、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。平成30年2月28日現在、新株予約権の目的である株式の数は3,370,000株であり、当社発行済株式総数の7.99%に相当しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成29年8月24日開催の取締役会において、株式会社中央グループの株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付にて株式譲渡契約を締結し、平成29年9月1日付にて全株式を取得いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度において、平成28年5月より実施して参りました、ブロックチェーン技術を活用した不動産取引に係る売買とそれに付随する決済及び権利移転の調査研究及びブロックチェーン技術を使用した実証実験用システムを用いた実証実験を完了いたしました。

 この取り組みにより、不動産取引決済及び権利移転の24時間365日化や、非対面化に対してブロックチェーンを利用することのメリット・デメリット及び今後の課題を明確化いたしました。

 また、ブロックチェーンの特徴であるマルチシグや高トレーサビリティを基に、他のテクノロジーを組み合わせることにより、不動産取引決済の非対面化において重要課題である詐欺やなりすまし等の犯罪行為への抑止力となることを検証いたしました。

 さらに、当社グループの事業は、大量の書類作成及び確認業務を伴うため、RPA(Robotic Process Automation)やAI(Artificial Intelligence)による業務の効率化や品質の画一化との親和性が非常に高いと考えられ、当連結会計年度より具体的に事例研究及びシステム導入の検討を開始しております。

 なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っておりません。また当連結会計年度における研究開発費の金額につきましては、僅少のため記載を省略しております。

 今後もブロックチェーン等、不動産取引の効率化、利便性・安全性の向上に資する可能性のあるテクノロジーの研究を継続的に行ってまいります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)経営成績の分析

①売上高

 当連結会計年度における売上高は、2,955,969千円(前連結会計年度比10.3%増)となりました。

 借換案件需要の沈静化によりエスクローサービス事業及びBPO事業は微減したものの、不動産オークション事業にて大型案件の受注があったことにより、売上高は前年同期比で増加いたしました。

②営業利益及び経常利益

 当連結会計年度における営業利益は708,606千円(前連結会計年度比2.8%増)、経常利益は725,574千円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。

 人員増強に伴う人件費の増加より販売管理費が増加いたしましたが、上記の売上高の伸長の結果、営業利益及び経常利益は前年同期比で増加いたしました。

③親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損失にのれんの減損損失41,346千円を計上いたしましたが、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、478,880千円(前年同期比6.0%増)となり、前年同期比で増加いたしました。

 

(3)財政状態の分析

①資産

 当連結会計年度末における資産の残高は3,113,090千円となり、前連結会計年度末と比較して345,919千円の増加となりました。

 流動資産は2,623,658千円となり、前連結会計年度末と比較して204,501千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が148,856千円、売掛金が41,322千円増加したことによるものであります。固定資産は489,431千円となり、前連結会計年度末と比較して141,418千円の増加となりました。これは主に、オペレーションセンター新設に係る設備投資(資産除去債務分を含む)を24,949千円実施したことの他、投資有価証券が46,369千円増加したこと、並びに長期預金100,000千円を預入したことの他、のれんが52,439千円減少したことによるものであります。

②負債

 負債の残高は464,721千円となり、前連結会計年度末と比較して101,804千円の減少となりました。

 流動負債は345,049千円となり、前連結会計年度末と比較して142,669千円の減少となりました。これは主に、未払法人税等が145,479千円減少したことによるものであります。固定負債は119,672千円となり、前連結会計年度末と比較して40,865千円の増加となりました。これは主に、第3四半期連結会計期間に子会社となった株式会社中央グループの退職給付に係る負債を34,695千円計上したことによるものであります。

③純資産

 純資産の残高は2,648,368千円となり、前連結会計年度末と比較して447,723千円の増加となりました。これは主に、新株予約権の行使等により資本金が47,738千円、資本準備金が47,738千円増加したことの他、親会社株主に帰属する当期純利益が478,880千円あった一方、剰余金の配当が124,538千円あったことによるものです。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループを取り巻く事業環境のうち、不動産市場においては政府による低金利政策の下支えを受け、新築住宅の着工戸数は2019年10月に予定されている消費税増税前までは横ばい傾向で推移するものと想定されます。また中古住宅は首都圏の中古マンションを中心に流通件数の増加が見込まれ、人口減少や空き家問題が緊急の課題と認識されて久しく、高齢化社会における相続発生件数とそれに伴う相続不動産に係る取引は今後も増加の方向であることが予想されます。

 金利動向においては、長期化するマイナス金利政策の下、住宅ローン金利も極めて低い水準で推移しており、借換需要に沈静化は見られるものの、住宅ローン件数自体は底堅く推移するものと考えております。

 このような環境の下、当社グループは新中期3ヵ年経営計画「Build up 2020」を掲げ、既存サービスの成長、新サービスの普及により事業規模を拡大するとともに、圧倒的な優位性を持つ共通プラットフォームを構築し、企業価値の強化を目指す方針でおります。

 エスクローサービス事業においては、既存のASPサービスの更なる機能充実を図り、システム利用件数の増加を促進するとともに、非対面決済サービス「H'OURS」を「取引業務効率化サービス」のブランドとして統一し、金融機関、不動産事業者への提供を拡大すべく営業を強化してまいります。また株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託で展開する相続手続き代行サービス「ZOOK」や不動産オークション・エスクローサービスといった取引の安全性を担保する様々なサービスを提供し、より収益性の高いワンパッケージ・モデルを模索してまいります。

 BPO事業においては、横浜におけるオペレーションセンターにて業務の集約と自動化・合理化を図り、ローコストで最上品質の事務業務受託を実現するプラットフォームとして精度の向上と業務範囲の拡大に努め、より一層利便性の高いサービスの提供を推進する一方、新たに子会社化した株式会社ネグプランにおける建設事業者向けサービス、株式会社中央グループにおける専門家支援サービスなど専門家業務を側面補助するBPOメニューを充実させてまいります。

 不動産オークション事業においては、引き続き税理士・会計事務所との連携を強化するとともに、より不動産オークション・エスクローサービスの機能を充実させ、今後も拡大が予想される相続関連市場で相続不動産の処分に対する需要に応え、不動産取引の利便性と安全性に寄与してまいります。

 

(6)経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。