(1)会社の経営の基本方針
当社は、不動産取引の安全を保証する日本版エスクローを業態として確立すべく企業経営の基本的な理念及び方針として以下の3点を定め、事業活動を行っております。
① 堅実な経営
取引の安心と安全を支えるエスクローの基盤を構築し、価値あるサービスを創出することで堅実な発展を目指す。
② 健全な経営
自己資本を充実し、高い利益率を維持するとともに、安全なサービスを提供するために健全な財務体質を目指す。
③ 革新な経営
時流を的確に捉え、変化に対応できる革新的な経営と挑戦的な事業展開を目指す。
(2)目標とする経営指標
当社は、設立時より経営の基本方針として自己資本の向上に注力して参りました。2012年2月期より、無借金経営を継続しております。今後の事業拡大、設備投資を視野にいれた上で自己資本の向上については継続的に注力し強固な資本体制を構築しつつ、ROE及び配当性向を重要な経営指標として位置づけ、株主資本を効率よく活用し、収益性向上に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは不動産取引における売買契約から取引決済までの手続事務を一元管理する“トランザクションマネジメントカンパニー(日本版エスクロー)”を目指しております。その事業目的のため、既存サービスの成長、新サービスの普及により事業規模を拡大するとともに、圧倒的な優位性を持つ共通プラットフォームを構築し、企業価値を強化すべく、2019年2月期から中期3カ年経営計画「Build up 2020」をスタートさせ、以下の3つの成長戦略に着手しております。
① パッケージモデルの推進
当社独自の非対面決済サービスである「H'OURS」及び相続手続き代行サービス「ZOOK」の金融・不動産業界への営業強化を行い、ワンパッケージサービスの提供範囲を拡大してまいります。
② 専門家支援サービスの拡大
税理士や会計事務所への提供拡大と、サービス機能の強化、また専門家ネットワークの課題に対するソリューション・サービスを提供してまいります。
③ ユニットモデルの開発・普及
従来までの専門化との連携による金融機関・不動産事業者等へのサービス提供に加え、機能やブランド等を専門家へ提供し、各専門家が各地域でエスクローエージェントとして事業展開を行うモデルを構築してまいります。
(4)会社の対処すべき課題
① 営業チャネル拡大及びローコストオペレーションの提供の推進
住宅ローンの金利は極めて低い状況でありながらも金利競争が激化しており、金融機関では住宅ローン業務のコスト削減が急務の課題となっていることから、ローコストオペレーションへの一層の対応が求められております。また、金融機関ではグループ統合や他行との統廃合に伴う経営資源の効率化により、更にコスト削減が求められております。
このような状況の下、当社グループといたしましては、ネット銀行を含む新興金融機関への営業を強化し、また、これまで培ってきた不動産金融に関する業務ノウハウを活用し、時流の要請に適合した新たなサービスの開発提供を通じて、営業チャネルを金融機関だけでなく不動産事業者、建設事業者へ拡大してまいります。
さらに、既存事業のフロー及び適正人員数の見直しを図り、技術革新に伴うペーパーレス化や人工知能の活用によって業務負荷の省力化等を検討し、業務の堅確化及び効率化による事業生産性の向上に努め、労働集約型から脱却した徹底的なローコストオペレーション体制の構築を推進してまいります。
② 市場ニーズが拡大する分野でのサービスの拡充
不動産取引及び金融事務については、市場ニーズが拡大する分野のサービスへの選択と集中をしてまいります。
具体的には、「1.少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少によるアウトソーシング需要」、「2.高齢化社会の進展及び相続税法の改正による相続市場」、「3.インターネット取引による不動産取引及び金融事務の合理化」、「4.中古住宅市場の拡大により増加する取引事務の効率化」の4つの成長分野を主要な対象と定め、金融機関、不動産事業者、建設事業者及び専門家に対する専門サービスの拡充を推進してまいります。
③ 人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上
当社グループの今後の事業発展を支える人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上は不可欠な課題の一つであります。その中で、不動産取引または金融取引事務の知識はどれも必須事項であり、クライアントからもその経験・知識を有する人材が要望されております。
したがって、当社グループでは、クライアントの要望に資するため、公的資格の有無や経験年数等を考慮した人員配置を行っております。
今後も引き続き継続的・積極的な採用活動を行い、優秀な人材の確保・育成に努めていくとともに、福利厚生制度の充実、教育プログラムの構築により、より一層の従業員の意欲・能力の向上に今後も積極的に取り組んでまいります。
④ 当社グループの提供するサービスに係る法令遵守
近年、我が国でも不動産取引や金融取引における情報化が進みネットオークションやネットバンキングといった新しい流通システムによるオンラインサービスが普及しております。
そのため、オンラインによる取引の増加に伴い、隔地者取引や非対面取引が増えております。一方、顧客保護やオペレーションリスクの観点から不動産や金融取引に係る関係者は、当事者の本人確認や意思確認等の契約事項における確認といった各種の法令を遵守する必要があります。
当社グループでは、不動産取引の安全を図るための各種サービスを金融機関、不動産事業者、建設事業者及び専門家に提供しているため、サービス提供に関連する法令を確認したうえで、サービスの提供を行っております。法令の確認については、社内での検討に加え、適時、社外の専門家等に相談する体制を構築し、法令遵守体制の運用を継続する方針であります。
⑤ コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の強化
当社グループは、企業価値の極大化と永続的な企業価値の向上を実現していくためにコーポレート・ガバナンスの構築を経営上の重要課題の一つとして認識しております。
「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」を開示し、公正で透明性の高い健全な経営体制を維持するために法令遵守の徹底、組織体制の定期的な見直し、職務権限の明確化、監査機能の充実等内部統制の強化を図っており、今後とも、各コードの取り組み状況の検証を行い更なるコーポレート・ガバナンスの実効性の強化に努めてまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事務過誤について
当社グループで取り扱う事務代行業務において、従業員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすこと等の種々の事務リスクに晒されております。これらの事務リスクを防止するために業務フローやシステムの改善、社員教育の徹底などの事務過誤防止策を講じております。さらに、事務過誤の発生状況を定期的に把握し、事務リスクの所在及び原因・性質を総合的に分析することにより、その結果を再発防止ならびに軽減策の策定に活かしております。
対策にもかかわらず過誤が発生した場合、当社が提供するサービスへの信頼低下などによって、事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人材について
当社グループの事業特性から、人材は極めて重要な経営資源であり、今後の事業発展を支える人材の安定的な確保は経営存続に不可欠な課題の一つであります。優秀な人材を確保するために、人事評価制度を実施することで、優秀な社員が働きやすい環境を整えるとともに、ストック・オプションを含む柔軟な報酬プログラムを用意しております。さらに、人材紹介サービスを活用し、必要な人材の確保を進めていく方針であります。
今後も一層優秀な人材の確保及び育成に努める所存ではありますが、当社が求める人材を十分に確保、育成できない場合、または現在在職しているマネジメント層が多数流出した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)金利情勢等の影響について
金利情勢の変動により住宅ローンの金利も変動し、ローンの新規借入者及び借換ローン利用者が増減する可能性があり、その他、住宅ローンの申込件数は景気動向及び税制等に影響を受けやすくなっております。そのため、大幅な金利の上昇、景気見通しの悪化や住宅取得に係る優遇税制の廃止等が生じた場合には、住宅ローンの申込件数が減少し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不動産市況等による影響
当社グループの事業全般は、国内不動産市況の動向に大きな影響を受けております。国内不動産市況の悪化に起因した住宅着工件数の減少により住宅ローンの取扱高が大幅に減少した場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報の取扱いについて
当社では事業の特性上、住宅ローン利用者に関する大量の個人情報を取り扱っております。
個人情報の保護については、「プライバシーマーク」の認証取得企業として、「個人情報の保護に関する法律」を遵守するとともに、「個人情報保護基本規程」、「個人情報保護方針」の策定、日本工業規格「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」(JIS Q15001)に準拠した「個人情報保護マネジメントシステム」の構築、実施、及び維持に努めております。
しかしながら、当社が保有する個人情報につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じた場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損害が発生する他、当社の信用低下により、事業運営、経営成績、及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制及び免許、許認可等について
①法的規制
当社グループの事業及び取得している免許・許認可において関連する主な法的規制は下記のとおりになります。
・宅地建物取引業法
・貸金業法
・労働者派遣法
・犯罪収益移転防止法
・個人情報保護法
・信託法、信託業法
・銀行法
・不動産鑑定法
・測量法
・建築士法
万が一、当社グループの役員及び従業員の故意又は過失により法令違反が発生した場合、または、法人として法令違反があった場合は、取引先との信頼関係を損なう可能性があるほか、監督当局から業務の制限や停止等の命令並びに顧客からの当社グループに対する訴訟の提起及び損害賠償支払いの発生等により、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの販売先に関連する司法書士法及び銀行法等の改正により当社グループのサービスが提供できなくなった場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②免許、許認可等について
当社グループが事業遂行上取得している免許、許認可及び公的資格等は以下のとおりです。当社グループはこれらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。また、当社グループではこれら法令及び免許・許認可等を遵守すべく、役員及び従業員に対する法令等遵守の徹底や、コンプライアンス規程及びリスク管理規程等の社内規程の整備等を行い全社的なコンプライアンス意識の向上に努めております。
しかし、法令違反等によりこれらの許認可等が取り消された場合や、これらの関連法規が改廃された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(当社)
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許認可等の名称 |
所管 |
許認可等の内容 |
取消、解約その他の事由 |
有効期限 |
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宅地建物取引業者免許 |
東京都 知事 |
東京都知事 (3)第88371号 |
宅地建物取引業法 第66条 |
2017年10月27日~ 2022年10月26日 |
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貸金業者登録 |
東京都 知事 |
東京都知事 (3)第31359号 |
貸金業法 第24条の6の5 |
2016年12月1日~ 2019年11月30日 |
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一般労働者派遣業許可 |
厚生労働省 |
派13-303359号 |
労働者派遣法 第6条第1項 第1号~6号 |
2016年1月1日~ 2020年12月31日 |
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プライバシーマーク認証 |
一般財団法人 日本情報経済社会推進協会 |
第108470376 (06)号 |
プライバシーマークに関する規約第15条第1項 |
2018年11月7日~ 2020年11月6日 |
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ASP・SaaS情報開示認定 |
一般財団法人 マルチメディア振興センター |
第0124‐1103号 |
「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度運用規程」第17条 |
2018年3月28日~ 2020年3月27日 |
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不動産鑑定業登録 |
東京都 知事 |
東京都知事 (1)第2579号 |
不動産鑑定法 第30条 |
2015年4月23日~ 2020年4月22日 |
(㈱エスクロー・エージェント・ジャパン信託)
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許認可等の名称 |
所管 |
許認可等の内容 |
取消、解約その他の事由 |
有効期限 |
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管理型信託業登録 |
関東財務局 |
関東財務局長 (信2)第11号 |
信託業法 第46条、第47条 |
2017年8月25日~ 2020年8月24日 |
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宅地建物取引業者免許 |
東京都 知事 |
東京都知事 (1)第98063号 |
宅地建物取引業法 第66条 |
2015年7月4日~ 2020年7月3日 |
(㈱中央グループ)
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許認可等の名称 |
所管 |
許認可等の内容 |
取消、解約その他の事由 |
有効期限 |
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一般労働者派遣業許可 |
厚生労働省 |
派15-300245号 |
労働者派遣法 第6条第1項 第1号~6号 |
2018年1月1日~ 2020年12月31日 |
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測量業者登録 |
国土交通省 |
登録第(1) -35478号 |
測量法第57条 第1項~3項各号 |
2018年3月6日~ 2023年3月5日 |
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不動産鑑定業登録 |
新潟県 知事 |
新潟県知事登録 (1)第102号 |
不動産鑑定法第30条 |
2017年7月3日~ 2022年7月2日 |
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一級建築士事務所登録 |
新潟県 知事 |
一級建築士事務所 (イ)第5178号 |
建築士法第26条第1項~4項 |
2017年7月3日~ 2022年7月2日 |
③司法書士法等について
当社は金融機関等の顧客から「金融機関の担保設定、抹消登記を行う司法書士選定に関する助言及び事務代行業務」を受託しております。当該業務遂行のため当社は、司法書士等の司法書士賠償責任保険への加入状況、プライバシーマークの取得状況、司法書士事務所の体制、資格者の人数、補助者の人数及び懲戒事例等の有無等を調査した上でシステム登録し、金融機関等の求めに応じ一定の基準を満たす司法書士をリスト化し提示しております。また、当社は一部の司法書士法人と業務委託契約を締結し、金融機関等からの登記業務の依頼の受付及び進捗管理等を行うことができるシステムの提供及び運用サポート等を行っております。
司法書士は、業務を行うに当たり「不当な手段によって依頼を誘致するような行為をしてはならない。」(司法書士法施行規則第26条)、「依頼者の紹介を受けたことについて、その対価を支払ってはならない。」(司法書士倫理第13条第2項)等の規制を受けておりますが、当社が金融機関等に対し提供する助言及び事務代行業務は依頼者を司法書士に紹介する行為ではなく金融機関等の求める基準を満たす司法書士をリスト化し提示する行為であり、司法書士から受領する業務委託料は司法書士等の紹介をする業務の対価ではなく当社が提供するサービスの対価であることから、当社の事業は上記規定に抵触しておりません。その他、司法書士に対するサービスを提供する上で、当社は司法書士法、同法施行規則、司法書士会会則基準、司法書士倫理の影響を受けております。
当社は、これら法令等の遵守のため適宜、管轄省庁である法務省や弁護士に事業スキームの適法性を確認した上で司法書士にサービスを提供しておりますが、今後、法令等の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④人材派遣及び業務受託について
当社はBPO事業において、金融機関の業務効率化ニーズを的確に把握するために当社社員を金融機関に派遣するほか、金融機関の業務の一部を受託しております。
人材派遣にあたっては、労働者派遣法、職業安定法その他の規制に反することが無いよう事前に弁護士への確認を行っております。また、当社から派遣された社員は、当社が行う業務受託とは別の指揮命令系統により業務を行っております。なお、業務受託においては、受託する業務の範囲を明確にし、当社内での指揮命令が行われることを徹底するほか、業務受託を行う社員を含め研修を行い、関連法令の遵守に努めております。
しかしながら、今後、人材派遣及び業務受託に関連する諸法令の改正等により何らかの対応を講じる必要が生じた場合、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)代表取締役社長への依存について
当社の代表取締役社長である本間 英明は、当社の経営方針の決定を始め、営業、企画等において重要な役割を果たしており、また、近親者が議決権の100%を所有する株式会社中央グループホールディングスを含めますと、当社株式の4割超を保有する大株主であります。
そのため、代表取締役社長への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成を図っておりますが、何らかの理由により本間 英明の業務遂行が困難になった場合、今後の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)特定取引先への依存について
当社グループの販売先は主に司法書士や金融機関であります。その中でも、司法書士法人コスモ(現 株式会社コスモホールディングス)とは2008年1月から、住信SBIネット銀行とは2008年3月から取引を開始しており、受託案件及び案件依頼の増加等に伴い、司法書士法人の当社が提供するシステム利用は増加しております。
当社グループは引き続き、これらの特定取引先と安定的な取引の継続を進めるとともに、新たな取引先の開拓に努める方針でありますが、司法書士法人各社に対する金融機関等からの案件依頼の減少、特定取引先の取引方針の変更等による受託業務の減少又は業務受託契約の解消等が生じた場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)提供サービスの開始、終了について
当社グループでは、より一層の成長を目指すべく、不動産取引に携わる関係者のニーズを発掘し、各種の新規サービスを提供しております。新規サービスの提供に際しては、必要に応じて人材の採用、設備投資等の新たな費用の支出を必要とする可能性があるため、経済状況や顧客動向の変化等により、新規サービスの展開が計画通りの収益獲得に至らない場合は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、新規サービスの提供については、当該サービスに係る法令、必要となるリソースその他を十分に検討して提供を開始しておりますが、提供するサービスに係る法令の趣旨と当社解釈の相違の判明、法令の改正、当該サービスの陳腐化及び当社の経営リソースの再配分等によりサービスの提供を終了することがあります。新規サービスの提供の開始もしくは終了により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)システムダウンのリスクについて
当社の事業は、企業・法人向けASPサービスの提供を行っていることから、自然災害、事故等により、通信ネットワークが切断された場合は、サービス提供に支障が生じることとなります。また、外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によりシステムに支障が生じる可能性もあります。
以上のようなリスクに対応するため、遠隔地においてバックアップサーバーを設置するなどの回避体制を整えておりますが、それにもかかわらず以上のような障害が発生した場合には、当社に直接損害が生じるほか、システムへの信頼を低下させる可能性があり、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)災害について
当社グループの事業用サーバーシステム及び通信機器は、耐障害対策を有する施設に設置されており、さらに、複数のサーバーシステムを分散配置するなど災害発生時にも、障害の発生を最小限に抑えるための方策を講じておりますが、将来発生が懸念されている東京直下型地震をはじめ、台風、暴風雨等の自然災害、または戦争、テロ、火災等の人災が関東圏、特に当社グループが主に在籍する東京都において発生した場合、正常な営業活動を行うことができなくなる可能性があり、一時的に事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合について
当社グループの行う事業はいずれも専門性が高く参入障壁は比較的高いものであると考えております。
しかしながら、新規事業者の参入、技術革新、業界規制の変更等によりこれらの事業における当社の優位性が保てなくなった場合には、事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)新株予約権の行使による株式価値について
当社では、当社の役員、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。2019年2月28日現在、新株予約権の目的である株式の数は3,185,000株であり、当社発行済株式総数の7.52%に相当しております。これらの新株予約権又は今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、政府による経済政策や日銀による継続的な金融緩和策を背景に、設備投資や雇用情勢、個人消費等の回復は緩やかな基調で推移いたしました。また、世界経済においては、アジア及びヨーロッパの中では回復傾向にあり、米国に関しても着実に回復が続くと見込まれていますが、通商問題、今後の政策の動向及び影響、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があります。
不動産市場においては、国土交通省発表による2018年の新設住宅着工戸数は942,370戸(前年比2.3%減)で、利用関係別の戸数内訳では、持家が283,235戸(前年比0.4%減)、貸家が396,404戸(前年比5.5%減)、分譲マンションが110,510戸(前年比3.8%減)、分譲一戸建住宅が142,393戸(前年比3.0%増)となりました。住宅建設は持家及び貸家が減少したため、全体で減少となったものの、政府による住宅ローン減税制度の拡充や住宅ローン金利の低相場は継続しており、不動産市況は概ね底堅く推移いたしました。
また相続市場においては、内閣府による2018年版高齢社会白書では、65歳以上の高齢者人口は3,515万人となり、総人口に占める割合は27.7%で、世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄現在高の中央値は全世帯の1.5倍となっており、年齢階級が高くなるほど貯蓄額と持家率が概ね増加していることから、相続手続き代行への需要は今後ますます高まっていくことが見込まれます。
このような状況の中、当社グループは、当連結会計年度を初年度とする中期3ヵ年経営計画「Build up 2020」を掲げ、既存サービスの成長、新サービスの普及により事業規模を拡大するとともに、圧倒的な優位性を持つ共通プラットフォームの構築と強化に経営資源を集中し、企業価値の向上に努めてまいりました。
しかしながら、連結子会社の増加とそれに伴うBPO事業の伸張により売上高は前年同期比で増加したものの、新規顧客へのサービスの本格稼動が遅れたこと、及びセグメント別の売上構成が変化したこと並びに人材採用や管理体制強化のためのシステム投資等を先行して進めた結果、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が当初予想を下回りました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は3,107,395千円(前年同期比5.1%増)、営業利益は385,550千円(前年同期比45.6%減)、経常利益は396,201千円(前年同期比45.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は291,408千円(前年同期比39.1%減)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。
(エスクローサービス事業)
エスクローサービス事業においては、不動産取引に係わる司法書士をはじめとした専門家、金融機関、不動産事業者に対し、取引の効率性、利便性、安全性の向上に寄与するASPサービス等の各種支援システムの提供を通じて、業務の効率化を提案しており、また株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託での信託サービス、相続手続き代行サービスでは信託口座の利用による決済の安全確保、財産保全等のニーズに対応しております。
当連結会計年度においては、前期の住宅ローン借換特需の反動により、既存ASPサービスの利用件数は引続き減少傾向となりました。また、非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」及び相続手続きサービス「ZOOK(ゾック)」については、取引先及び案件受注数は増加傾向にあるものの、新規顧客のサービスの本格稼動が遅れたことにより当初想定していたほどの受注の確保には至りませんでした。
この結果、セグメント売上高は815,771千円(前年同期比13.4%減)、セグメント利益は664,969千円(前年同期比17.3%減)となりました。
(BPO事業)
BPO事業においては、金融機関における住宅ローン融資に係る事務の請負をはじめとした、金融機関等の業務上の課題を解決するための事務合理化及びコスト節減ニーズに応じたサービスの提供をしております。また、子会社の株式会社中央グループでは、設計事務所機能や不動産鑑定サービス、連携する司法書士、土地家屋調査士等の専門家への業務支援や、建設事業者向けに様々なコンサルティングサービスを提供しております。
当連結会計年度においては、子会社の実績が寄与したこともあり、セグメント売上高については前期比伸張いたしましたが、住宅ローン借換需要の沈静化に伴い受託業務処理件数は減少し、セグメント利益は減益となりました。
この結果、セグメント売上は1,851,474千円(前年同期比25.9%増)、セグメント利益は351,057千円(前年同期比1.7%減)となりました。
(不動産オークション事業)
不動産オークション事業においては、主に税理士等の専門家からの依頼に応じ、不動産の調査から取引決済まで安全性の高い不動産取引の機会の場を提供しております。これにより売買後のトラブルや紛争を未然に回避することができ、また、取引価格については入札方式を採用することにより、透明性の高い価格形成が可能となり不動産取引の効率性、利便性、安全性の向上に寄与しております。
当連結会計年度においては、前期のような大型案件の決済はないものの、成約件数は堅調に推移いたしました。また、今後の相続市場拡大を見据え、提携税理士事務所の増加を図り案件確保に努める一方、生産緑地の「2022年問題」等、大都市圏の不動産需給バランスに焦点を当てた営業活動をより一層強化しております。
この結果、セグメント売上は440,149千円(前年同期比19.0%減)、セグメント利益は114,151千円(前年同期比41.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,112,350千円となり、前連結会計年度末と比較して78,062千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの収入は374,707千円(前連結会計年度は404,162千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益422,475千円、売上債権の減少額68,241千円があった一方、未払金の減少額34,501千円、法人税等の支払額118,296千円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの支出は144,892千円(前連結会計年度は63,339千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出124,979千円、投資有価証券の取得による支出30,000千円があった一方で、投資事業組合からの分配による収入11,900千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの支出は197,244千円(前連結会計年度は92,935千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額147,489千円、及び借入金の返済による支出47,334千円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣・物件調査・クロージング等であり、受注生産を行っていないため、受注実績については記載しておりません。
b.受注実績
当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣・物件調査・クロージング等であり、生産活動を行っていないため、生産実績については記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
エスクローサービス |
815,771 |
△13.4 |
|
BPO |
1,851,474 |
25.9 |
|
不動産オークション |
440,149 |
△19.0 |
|
合計 |
3,107,395 |
5.1 |
(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年3月1日 至 2018年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2018年3月1日 至 2019年2月28日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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住信SBIネット銀行株式会社 |
- |
- |
316,150 |
10.1 |
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株式会社コスモホールディングス |
318,816 |
10.8 |
- |
- |
(注)1.前連結会計年度における住信SBIネット銀行株式会社の販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載しておりません。
2.当連結会計年度における株式会社コスモホールディングスの販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載しておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表には、将来に対する見積り等が含まれておりますが、これらは、当連結会計年度末現在における当社グループの判断によるものであります。このような将来に対する見積り等は、過去の実績や趨勢に基づき可能な限り合理的に判断したものでありますが、判断時には予期し得なかった事象等の発生により、結果とは異なる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,817,040千円となり、前連結会計年度末と比較して193,382千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が178,712千円増加したことによるものであります。固定資産は560,253千円となり、前連結会計年度末と比較して70,822千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエアが146,815千円、投資有価証券が20,688千円増加した一方、長期預金が100,000千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は3,377,294千円となり、前連結会計年度末と比較して264,204千円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は368,154千円となり、前連結会計年度末と比較して23,105千円の増加となりました。これは主に、買掛金が29,580千円、賞与引当金が14,030千円増加した一方、株主優待引当金が29,588千円減少したことによるものであります。固定負債は162,812千円となり、前連結会計年度末と比較して43,139千円の増加となりました。これは主に、長期前受金が37,692千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は530,966千円となり、前連結会計年度末と比較して66,245千円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,846,328千円となり、前連結会計年度末と比較して197,959千円の増加となりました。これは主に、新株予約権の行使、株式交換による新株発行及び譲渡制限付株式報酬の付与による新株発行により資本金が27,290千円、資本準備金が27,290千円増加したことの他、親会社株主に帰属する当期純利益が291,408千円あった一方、剰余金の配当が147,574千円あったことによるものです。
この結果、自己資本比率は84.0%(前連結会計年度末は84.7%)となりました。
b.経営成績等の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は3,107,395千円となり、前連結会計年度と比較して151,426千円の増加(前年同期比5.1%増)となりました。これは主に、新規連結子会社の寄与によるものです。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は1,540,210千円となり、前連結会計年度と比較して48,631千円の減少(前年同期比3.1%減)となりました。これは主に、住宅ローン借換案件の減少及び新規連結子会社取得により利益率の構成の変化があったことによるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,154,660千円となり、前連結会計年度と比較して274,424千円の増加(前年同期比31.2%増)となりました。これは主に、事業拡大に向けた人件費及びその他の成長投資によるものです。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は385,550千万円となり、前連結会計年度と比較して323,055千円の減少(前年同期比45.6%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は396,201千円となり、前連結会計年度と比較して329,372千円の減少(前年同期比45.4%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における会社株主に帰属する当期純利益は291,408千円となり、前連結会計年度と比較して187,472千円の減少(前年同期比39.1%減)となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
c.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
事業セグメントごとの経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、BPO事業を中心とする所属社員及び派遣社員等の人件費、安定的なサービスを提供する為のシステムの維持・改修に要する費用及び新たなサービス提供のためのシステム投資であり、その資金については自己資金により賄うことを基本とし、金融機関からの借入は行わない方針でおります。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、高水準の自己資本比率の維持及びROEと考えております。今後の事業拡大に備えて強固な自己資本比率を維持し、同時に効率的な運用を行うことで高水準なROEの確保に努めるとともに安定的な配当性向を確保してまいります。
当連結会計年度におきましては、自己資本比率は84.0%、ROEは10.7%、連結配当性向は50.8%となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力の向上と強固な資本構成の維持に注力し、目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。
該当事項はありません。
当連結会計年度において、不動産取引へのブロックチェーン技術活用の研究の一環として、2018年11月より不動産情報コンソーシアム(ADRE)に会員企業として参加し、不動産の広告情報の真性担保、耐改竄性を持った履歴の記録等の利用方法について調査研究を開始しております。
また、当社グループの事業は、大量の書類作成及び確認業務を伴うため、RPA(Robotic Process Automation)やAI(Artificial Intelligence)による業務の効率化や品質の画一化との親和性が非常に高いことから、前連結会計年度より検討を開始したRPAでの作業を一部の業務で導入いたしました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の金額につきましては、僅少のため記載を省略しております。
今後もブロックチェーン等、不動産取引の効率化、利便性・安全性の向上に資する可能性のあるテクノロジーの研究を継続的に行ってまいります。