第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、不動産取引の安全を保証する日本版エスクローを業態として確立すべく企業経営の基本的な理念及び方針として以下の3点を定め、事業活動を行っております。

 

① 堅実な経営

 取引の安心と安全を支えるエスクローの基盤を構築し、合理的な利便性のある専門サービスの創出を目指す。

② 健全な経営

 自己資本向上を経営指標として健全な経営体質を目指す。

③ 革新な経営

 時流を的確に捉え、変化に対応できる革新的な経営と挑戦的な事業展開を目指す

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、設立時より経営の基本方針として自己資本の向上に注力してまいりました。今後も事業拡大を視野にいれた上で強固な資本体制を維持しつつ、売上高営業利益率やROE(自己資本利益率)等を主要な経営指標として位置づけ、事業生産性並びに収益性の向上による企業価値の最大化を追求します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは不動産取引における売買契約から取引決済までの手続事務を一元管理する“トランザクションマネジメントカンパニー”を目指しております。その事業目的のため、既存サービスの成長、新サービスの普及により事業規模を拡大するとともに、圧倒的な優位性を持つ共通プラットフォームを構築し、持続的な企業価値の向上のため、以下の3つの成長戦略に着手しております。

 

① パッケージモデルの推進

 当社独自の非対面決済サービスである「H'OURS」等、不動産取引における幅広な手続事務に対応する専門サービスについて、金融・不動産業界への普及により、ワンパッケージサービスの提供範囲を拡大してまいります。

② 専門家支援サービスの拡大

 税理士や会計事務所、司法書士、土地家屋調査士、行政書士等に対して、専門家が抱える課題に対するソリューション・サービスを提供してまいります。

③ ユニットモデルの開発・普及

 従来までの専門家との連携による金融機関・不動産事業者等へのサービス提供に加え、機能やブランド等を専門家へ提供し、全国のあまねく地域で不動産取引の安全と効率化を支援する事業モデルを構築してまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題

ローコストオペレーションの推進

 金融機関は住宅ローンの低金利競争の長期化等により、一層の業務合理化に注力する等、ローコストオペレーションへの取組強化を行っております。また、不動産事業者、建設事業者も、既存住宅の流通量の増加と少子高齢化による担い手不足の影響を受け、取引にかかる各種手続きの効率化に向けた取組の強化を行なっております。

 このような状況の下、当社グループは、各事業者が関与する不動産取引の安全を保証するために業務ノウハウの蓄積・活用を行うとともに、DX推進による業務負荷の省力化等、業務フローの合理化や人員数の適正化を図り、上記の各事業者へ専門サービスを提供する専門家も含めた当社のお客さま全てにとってなくてはならない企業であり続けるため、更なるローコストオペレーション体制の構築を推進してまいります。

 

市場ニーズが拡大する分野でのサービスの推進と拡充

 当社の主要事業である金融機関、不動産事業者、建設事業者及び士業専門家向け事業については、市場ニーズが拡大する分野へ注力し、消費者の不便を解消するサービスの提供を強化・推進してまいります。

 具体的には、1.少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による業務のアウトソーシングニーズの拡大、2.高齢化社会の進展及び法改正等による相続関連サービスへのニーズの拡大、3.DX化の進展による住宅ローン契約、新型コロナウイルス感染症の拡大によるライフスタイルの変化に伴った不動産契約の非対面取引ニーズの拡大、4.中古住宅市場の活性化による不動産取引事務の効率化ニーズの拡大を主要対象と定め、非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」、相続手続き代行サービス及び住宅建築支援ツール「アーキテクト・レール」等の各種サービスを一層推進するとともに、これら各種サービスの専門家へ向けての提供も促進するために、事務センター運営等を含めた専門家向けソリューションサービスの更なる開発・拡充に取り組んでまいります。

 

③ 人材の確保・育成及び従業員の意欲・能力の向上

 当社グループの持続的な成長を支える人材の採用・育成は重要課題の一つであります。なかでも金融取引または不動産取引事務に関する十分な知識・経験を有する人材の確保が必要となります。当社グループでは、公的資格や経験年数等を考慮した人員配置を行っているほか、優秀な人材の採用・育成に努めていくとともに、今後も福利厚生制度や教育プログラムの充実、従業員の意欲・能力・満足度の一層の向上に向け、積極的に取り組んでまいります。

 

④ コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の強化

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を追求していくためにコーポレート・ガバナンスの構築を経営上の重要課題の一つとして認識し、「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」を毎期開示しております。

 これまで公正で透明性の高い健全な経営体制を維持するために、コンプライアンス、法令遵守の徹底、組織体制の定期的な見直し、職務権限の明確化、監査機能の充実等、内部管理体制の強化を図っておりますが、今後も引き続きコーポレートガバナンス・コードの取り組み状況について検証を行い、更なる実効性の強化に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。ただし、現時点では予見できない又は重要な影響とみなされていない等、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 

(1)オペレーショナルリスク

オペレーショナルリスクとは内部プロセス、人、システムが不適切であることもしくは機能しないことまたは外部要因により当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクであり、当社グループの事業においては、①事務リスク、②システム・情報セキュリティリスク、③人的リスク、④法務・コンプライアンスリスク、⑤災害等リスクがあげられます。

 

事務リスク

 業務に従事する役員及び職員(BPO業務受託先を含む)が正確な事務を怠る、あるいは事故、不正等を起こすことにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、業務プロセス・マニュアルの改善、事務過誤報告態勢を構築し管理を行っております。また、事務過誤の発生状況を定期的に把握し、事務リスクの所在及び原因・性質を総合的に分析することにより、その結果を再発防止並びに軽減策の策定に活かしております。

 

②システム・情報セキュリティリスク

 当社グループの事業は多岐に渡りクラウドシステムを利用してサービス提供が行われるため、それらクラウドシステムをはじめ社内業務を行うための業務システム等のシステム障害、誤作動や不正使用等により当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、情報セキュリティ基本方針に基づく情報セキュリティ管理規程等により適正な手続きを定め運営管理を行っております。

 

③人的リスク

 当社グループにとって、人材は極めて重要な経営資源であり、今後の事業発展を支える人材の安定的な確保は経営存続に不可欠な課題の一つです。当社が求める人材を十分に確保、育成できない場合、または多数の社員が一時に流出した場合、業務処理に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、優秀な人材を確保するために人事評価制度に基づく適正な評価を実施するとともに、社員が働きやすい環境の整備のほか、社員のモチベーション向上及び株主の皆様との一層の価値共有を目的として譲渡制限付株式報酬(従業員向け)制度を導入する等により、中長期的かつ継続的な勤務を促す施策を実施しております。

 

④法務リスク

 当社グループの事業において関連する主な法的規制は、宅地建物取引業法、貸金業法、労働者派遣法、職業安定法、犯罪収益移転防止法、個人情報保護法、信託法、信託業法、銀行法、不動産鑑定法、司法書士法、測量法、建築士法等になります。また、当社グループは、事業遂行に必要な免許、許認可及び公的資格等を取得しております。当社グループの法人、役員及び職員の故意又は過失による法令違反、それらに起因する監督当局からの業務停止等の命令並びに当社グループに対する訴訟の提起等により、顧客に対して当社グループのサービスが提供できなくなった場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。

 当該リスク管理については、事業遂行にあたり関係法令及び免許・許認可要件等を遵守すべく、教育研修による役員及び職員に対する法令等遵守の徹底やコンプライアンス規程及びリスク管理規程等の社内規程の整備等を行うとともにコンプライアンス・リスク管理委員会を定期的に開催し、全社的なコンプライアンス意識の向上と管理体制の強化に努めております。

 なお、個人情報の取扱いについては、「プライバシーマーク」の認証を取得するとともに、「個人情報の保護に関する法律」等関連法規の遵守を図るとともに社内規程の整備を行い適切な処理を実施しております。

 

⑤災害等リスク

当社グループの事業は、金融機関、不動産事業者、建設事業者、士業専門家に対し、各種サービスの提供を行っていることから、大規模地震、台風、暴風雨等の自然災害、または戦争、テロ、火災等の人災、大規模な疫病(新型コロナウイルスを含む)の蔓延等が発生した場合、正常な営業活動を行うことができなくなり、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、当社グループの事業用サーバーシステム等を耐障害性のある施設に設置し、サーバーシステムを分散配置する等を実施し、災害発生時には障害の発生を最小限に抑えるための方策や手続き面の方策を講じております。また、限られた人員でも業務遂行を可能とするべく、業務効率化への取組等を行っております。

 

(2)レピュテーショナルリスク

マスコミ報道、インターネット掲示板等での評判・風評・風説等により取引先との取引の縮小、停止がきっかけとなり当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、適時適切な情報発信、レピュテーショナル事案発生時には早期に対処を行う体制整備等を行っております。

 

(3)住宅ローン市況、不動産市況等のリスク

住宅ローン金利の大幅な変動等、景気見通しの悪化や住宅取得に係る優遇税制の廃止等が生じた場合には、住宅ローン申込件数の減少により、当社の住宅ローン関連業務受託件数が減少し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。また、当社グループの事業は、住宅ローン市場や不動産流通等国内不動産市況の動向に大きな影響を受けております。このため、国内不動産市況の悪化に伴い不動産取引の取扱件数が大幅に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。当該リスク管理については、当社グループは取引先との安定的かつ長期的な取引の継続・拡大を進めるべく高品質なサービス提供に努めるとともに、新たな取引先の開拓を行っております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、経済活動が抑制され、厳しい状況が続きました。これまで段階的に経済活動再開に向けた政策が講じられてきたものの、本格的な感染の収束時期は未だ見通しが立っておらず、景気の先行きには依然として予断を許さない状況が続いております。

国内の住宅・不動産を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う消費マインドの落ち込みや営業活動の自粛の影響等があったものの、民間住宅ローンの新規貸出件数は安定推移となっており、特にネット専業銀行における住宅ローン債権残高は増加基調になっております。また、政府による新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済への対策として、住宅ローン減税や住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の延長が2021年度税制改正に盛り込まれました。さらにリモートワークの普及で消費者の住宅に対する意識に変化が生じ、追い風となって受注を伸ばす注文住宅会社もあるなど、不動産の資産価値の捉え方はコロナ禍の影響を反映して変わりつつあります。

このような状況の下、金融機関向けの住宅ローン実行に係る当社サービスの利用件数は堅調に推移したほか、不動産事業者向けサービスにおいても、コロナ禍で非対面スタイルが強みに転じ受注件数が増加いたしました。

当連結会計年度については、エスクローサービス事業並びにBPO事業が堅調に推移いたしましたが、不動産オークション事業が低調な推移となりました。損益面につきましては、業務の効率化を推進して費用の削減に努めたほか、投資事業組合運用益により、営業利益及び経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前年同期比で増益となりました。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は3,072,866千円(前年同期比4.1%減)、営業利益は492,432千円(前年同期比13.4%増)、経常利益は549,687千円(前年同期比24.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は363,750千円(前年同期比26.8%増)となりました。

 

(エスクローサービス事業)

不動産取引に携わる司法書士をはじめとした士業専門家、金融機関、不動産事業者及び建設事業者に対し、取引の効率性、利便性、安全性の向上に寄与する各種支援サービスを、主にクラウドシステムを通じて提供しております。また、連結子会社の株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託における信託サービス、相続手続き代行サービスでは、決済の安全確保、財産保全等のニーズに対応しております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の拡大で、個人のインターネットバンキングの利用促進により受注が増加いたしました。また、非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」についても前年と比較して利用件数が大幅に増加いたしました。

以上の結果、セグメント売上高は955,976千円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は726,519千円(前年同期

比5.8%増)となりました。

 

(BPO事業)

金融機関や不動産事業者等の業務課題を解決するための事務合理化等、コスト節減ニーズに応じたサービスを提供しております。また、連結子会社の株式会社中央グループでは、建築・開発設計サービス、不動産鑑定サービス、士業専門家事務所・法人への人材派遣及び建設事業者向け各種コンサルティングサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、不動産・建設事業者向けサービスにおいて新規取引先からの受注が伸長いたしました。

以上の結果、セグメント売上高は1,929,522千円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益は403,424千円(前年同

期比14.2%増)となりました。

 

(不動産オークション事業)

連結子会社の株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託にて、主に税理士等の専門家からの相談に応じ、不動産の調査から取引決済まで安全性の高い不動産取引の機会の場を提供しております。これにより売買後のトラブルや紛争を未然に回避することができるほか、取引価格については入札方式を採用することによって透明性の高い価格形成が可能となり、不動産取引の効率性、利便性、安全性の向上に寄与しております。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業活動が制限されたことで案件進捗に遅れが生じ、オークションによる決済は低調な推移となりました。

以上の結果、セグメント売上高は187,367千円(前年同期比62.5%減)、セグメント利益は5,358千円(前年同期

比94.7%減)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,626,581千円となり、前連結会計年度末と比較して594,322千円の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの収入は414,951千円(前連結会計年度は434,511千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が549,925千円となった一方、法人税等の支払146,918千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの収入は110,214千円(前連結会計年度は13,319千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出56,454千円があった一方で、信託預金の解約による収入100,000千円、また、投資事業組合からの分配による収入64,723千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの収入は69,156千円(前連結会計年度は501,283千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出194,682千円、配当金の支払額144,486千円があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入423,098千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣等であり、生産活動を行っていないため、生産実績については記載しておりません。

 

b.受注実績

当社の業務は、システム提供・業務受託・人材派遣等であり、受注生産を行っていないため、受注実績については記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エスクローサービス

955,976

8.7

BPO

1,929,522

5.6

不動産オークション

187,367

△62.5

合計

3,072,866

△4.1

(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

当連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

住信SBIネット銀行株式会社

335,749

10.4

350,704

11.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,304,699千円となり、前連結会計年度末と比較して608,651千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が591,522千円増加したことによるものであります。固定資産は515,939千円となり、前連結会計年度末と比較して99,508千円の減少となりました。これは主に、長期預金100,000千円が流動資産へ振替となったことに加え、繰延税金資産が12,971千円減少した一方、保有する投資有価証券の時価が上昇したことにより投資有価証券が23,514千円増加したこと、またソフトウエア開発に係るソフトウエア仮勘定の計上が31,784千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は3,820,638千円となり、前連結会計年度末と比較して509,142千円の増加となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は535,239千円となり、前連結会計年度末と比較して24,891千円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が35,082千円、未払消費税等が13,648千円増加した一方、買掛金が19,423千円減少したこと等によるものであります。固定負債は130,388千円となり、前連結会計年度末と比較して5,530千円の減少となりました。

この結果、負債合計は665,627千円となり、前連結会計年度末と比較して19,360千円の増加となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は3,155,011千円となり、前連結会計年度末と比較して489,781千円の増加となりました。これは主に、自己株式の取得が194,682千円、剰余金の配当が144,532千円あった一方、新株予約権の行使及び譲渡制限付株式報酬の付与による新株発行により資本金が224,686千円、資本準備金が224,686千円増加したほか、その他有価証券評価差額金が26,277千円増加したこと、また親会社株主に帰属する当期純利益が363,750千円であったことによるものです。

この結果、自己資本比率は82.6%(前連結会計年度末は80.2%)となりました。

 

b.経営成績等の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は3,072,866千円となり、前連結会計年度と比較して132,646千円の減少(前年同期比4.1%減)となりました。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、個人のインターネットバンキングの利用促進により受注が増加、金融機関向けの住宅ローン実行に係る当社サービスの利用件数は堅調に推移いたしました。また、当社グループが注力する不動産事業者向けサービスにおいても、コロナ禍で非対面スタイルが強みに転じ、非対面決済サービス「H'OURS(アワーズ)」の受注件数が増加いたしました。

一方、不動産オークション事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業活動が制限されたことで案件進捗に遅れが生じ、オークションによる決済は低調な推移となりました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は1,441,113千円となり、前連結会計年度と比較して96,136千円の減少(前年同期比6.3%減)となりました。これは主に、売上高の減少に伴うものです。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は948,680千円となり、前連結会計年度と比較して154,513千円の減少(前年同期比14.0%減)となりました。これは主に、株式事務にかかる支払手数料や人件費の減少によるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は492,432千円となり、前連結会計年度と比較して58,377千円の増加(前年同期比13.4%増)となりました。

 

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は549,687千円となり、前連結会計年度と比較して106,909千円の増加(前年同期比24.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は363,750千円となり、前連結会計年度と比較して76,821千円の増加(前年同期比26.8%増)となりました。c.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

事業セグメントごとの経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、BPO事業を中心とする所属社員及び派遣社員等の人件費、安定的なサービスを提供する為のシステムの維持・改修に要する費用及び新たなサービス提供のためのシステム投資であり、その資金については自己資金により賄うことを基本とし、金融機関からの借入は行わない方針でおります。

 

e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、高水準の自己資本比率の維持及びROEと考えております。今後の事業拡大に備えて強固な自己資本比率を維持し、同時に効率的な運用を行うことで高水準なROEの確保に努めるとともに安定的な配当性向を確保してまいります。

当連結会計年度におきましては、自己資本比率は82.6%、ROEは12.5%、売上高営業利益率は16.0%、連結配当性向は46.9%となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力の向上と強固な資本構成の維持に注力し、目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表には、将来に対する見積り等が含まれておりますが、これらは、当連結会計年度末現在における当社グループの判断によるものであります。このような将来に対する見積り等は、過去の実績や趨勢に基づき可能な限り合理的に判断したものでありますが、判断時には予期し得なかった事象等(新型コロナウイルス感染症の急拡大等を含む)の発生により、結果とは異なる可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループの事業における主要先である士業専門家、金融機関、不動産事業者、建設事業者では、取引の非対面化、業務の合理化・効率化の進展が急速に進んでおります。電子契約や印鑑レスの動向や書類作成、確認作業の自動化等が急速に進んでいることから、当社は2020年3月にデジタル技術を用いた業務効率化支援及び新規事業開発を推進するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室を新設いたしました。業務の自動化はもとより、不動産取引等の安心と安全を支える可能性のあるテクノロジーの研究を継続的に行ってまいります。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の金額につきましては、僅少のため記載を省略しております。