文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄する」を経営理念として掲げ、設立以来、アナログ電源ICに特化し、製品の開発・製造・販売を精力的に行ってまいりました。
上記の経営理念に則り、ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との関係を常に意識した、ぶれない経営を実践してまいります。
当社グループはこれまで、高度なIC設計技術と小型パッケージ技術を強みとし、電子機器の超小型・軽量化に貢献してきました。そして、これからも「Powerfully Small!」を製品づくりの目指すべき姿と定め、開発から営業まで電源用ICに特化したアナログ技術のプロ集団として、低消費電力・小型化のための技術と提案能力を磨き、企画・開発・生産・販売・品質・新事業領域にわたってグローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、ワールドワイドに存在感のある企業を目指して事業活動を行ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、上記の基本方針のもと、永続的な企業価値の向上を図るべく、収益力を確保しつつ戦略的な投資を実行することにより中長期的な競争力及び成長力の向上に取り組んでおります。
経営指標としては、売上、及び、売上総利益、営業利益などの段階利益の最大化に取り組み、ROE二桁を目指し、更に高めていくための体制を構築してまいります。
(3)事業を行う市場の状況と現状の認識について
当社グループの事業領域であるアナログ電源ICの市場は、5G(第5世代移動通信)、IoT(モノのインターネット)の普及による、あらゆる製品の電子制御化やネットワーク化の進展に伴い、今後もグローバルに拡大を続けていく見通しであります。
その中で、当社が重点分野と考える産業機器・車載機器の市場においては、市場規模の拡大と同時に、要求される製品及びサービスの性能・品質は、ますます高度化していくことが予想されます。一方で、コンシューマー製品等の市場においては、中華圏等の新興勢力が台頭する中で、価格競争が激化しています。
そのため、当社グループでは、これまで培ってきた小型化・省電力化の技術を活かし、重点分野に向けた高付加価値製品の開発・販売に注力しております。
また、顧客仕様に基づくウエハの生産・販売の市場は、半導体・電子機器業界の専門化・分業化の流れが進展するにつれて、ますます重要性を高めています。同市場においては技術の進展に合わせて絶え間ない投資を要するとともに、同業他社との競争の中で品質・納期等に対する顧客の要求水準はますます高まる傾向にあります。子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社は国内で唯一の専業企業として、長期・安定的に製品をお届けすることで、当社を含めた国内外の顧客から高い信頼を得ております。
このような事業環境の中で、当社グループが実現していくべき最重要事項は以下のとおりであると認識しております。
・ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との適切な関係の構築
・経営理念に基づいた中長期的な収益性の向上と継続的な企業価値の向上
・経営方針・企業戦略に基づいた適切なリスクテイクと健全な事業運営を実現する環境の整備
(4)優先的に対処すべき課題と当社グループの対応について
当社グループの事業領域である半導体デバイス市場は、新型コロナウイルスが実体経済へ与える影響は先行きに予断を許さない状況が続くことが見込まれるものの、5Gインフラ整備・拡大、IoT市場の普及、自動車の電子化などにより中長期的には拡大していく見通しであり、短期的にも、車載向け半導体に端を発し、様々な市場向けでも需給が逼迫するなど、需要は旺盛であります。一方で、半導体の需給逼迫は、原材料の入手困難、価格上昇などに繋がり、当社にとってマイナス面になる事もあります。
また、開発・製造技術の高度な進展、コスト構造等で競争優位性を持つ新興国企業の新規参入及び競合他社間のM&A、米中対立に起因する半導体への投資競争などを背景に、競争環境は一層厳しさを増しております。
このような中、当社グループは、様々な状況の変化に対応し、ワールドワイドで確固としたブランドと事業基盤に立脚したグローバル企業となるべく、以下の課題に取り組んでおります。
・当社グループの強みを活かせる成長性の高い市場として、「産業機器」・「車載機器」・「医療機器」の3市場を集中的に攻略する。
・当社グループの技術力及びノウハウを結集し、技術ロードマップに基づいた「強み」の強化と拡張を図り、差別化された特長のある製品を創造する。
・当社グループの企画・開発・販売・購買・生産・品質に係るリソースの緊密な連携を図り、低コスト・高品質の製品を安定供給することを通じて、顧客へ提供する付加価値を高める。
・戦略的提携を活用して新たな基盤技術や生産技術を積極的に取り込む。
上記の課題に対し、着実に成果をあげていくため、2021年度を初年度とする中期経営計画において、「企画」「開発」「生産」「販売」「品質」「新事業領域」の各々について、以下の方針を設定しました。今後はこれらに基づいてそれぞれの施策を推進してまいります。
①企画
当社グループは、5Gインフラ整備・拡大、IoT市場の普及や自動車の電子化などにより拡大していくと予見される半導体デバイス市場において、脱炭素社会の実現に向け、市場や顧客のニーズの変化を的確にとらえ、マーケット志向で差別化のできる高付加価値な製品を、タイムリーにターゲット市場である車載・産機・医療市場へ投入すべく製品企画を行ってまいります。
②開発
当社グループの企画力や技術優位性を活かした、省電力・小型、低損失な電源ICやパワーデバイスの製品をタイムリーに市場へリリースできるよう継続した製品開発を行ってまいります。これに向け、IT基盤の強化や、提携先企業における製品開発を推進することで、開発担当部門の機動性を高めてまいります。また、戦略的提携先との共同開発や相互OEM供給のほか、重点分野に向けた当社グループの総力を挙げた研究開発等にも取り組むことによって、社内外の最新技術の活用と迅速な市場投入を図ってまいります。
③生産
当社グループは、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくりを両立させるため、子会社のフェニテックセミコンダクター株式会社やTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTD及びグループ外の協力工場の双方を活用し、製品の品種・価格・用途及び市場の変化に応じた最適な生産リソースの配分を追求します。当社グループ内においては、シナジー効果を高め、製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化、原価低減活動等を通じて協力体制を深め、生産方法や生産管理手法を含めた改良・改善に努め、製品の長期・安定供給体制を維持するため適宜設備投資を実施してまいります。また、協力工場との協業においては、ファブレス形態のメリットを活かしつつ、グループ外の先進的な生産技術・ノウハウを製品づくりに活用します。
足許では、半導体が供給不足の傾向にありますが、こうした活動を通じて、同業他社に比して競争力のある納期対応の実現と競争力のある製造コストの両立を推進してまいります。
④販売
当社グループは、顧客の要望や製品企画を汲み取りながら、幅広い技術・製品情報の提供を通じて製品販売を促進するソリューション提案営業を基本としております。製品をタイムリーにターゲット市場へ投入するためと、適切な納期対応のため、営業情報の社内へのフィードバックと密な連携を強化してまいります。また、当社グループの事業はワールドワイドで展開されており、これに伴う海外事業の比重はますます拡大する傾向にあります。これに対応するために、海外販売子会社のローカル営業体制の強化、フィールド・アプリケーション・エンジニアの配置・増員による顧客サポート強化、当社グループが保有する顧客基盤、ブランド及び販売ネットワークの効果的な組合せに積極的に取り組んでまいります。
新型コロナウイルスの世界的な影響により、引き続き業績への影響が見通せない状況にありますが、状況の変化に応じ、当社ができることを着実に取り組んでまいります。
⑤品質
当社グループは、常に顧客の信頼に応えていくため、製品に対して要求される品質の確保に全力で取り組んでまいります。定期的な協力工場監査等を実施するとともに、重点市場を意識した品質保証体制の強化のため、「生産」「開発」「品質」に関わる各部門が密接に協調し、新規技術に対応するための投資も実施いたします。また、当社グループ内で保有する品質管理に関わる技術・設備・ノウハウを持ち寄り、各種の認証制度にも的確に対応した品質管理・保証体制の強化を図ってまいります。
⑥新事業領域
アナログ技術に基盤を置きながら、新たな成長市場への参入を目指して、既存の製品ラインナップにない新しい分野の製品を当社グループの新たな柱に育てていくべく、当社グループ内の研究開発体制を強化するとともに、グループ外の企業・大学・研究機関等との戦略的提携や協業を積極的に推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)為替変動リスク
当連結会計年度における当社グループの売上高に占める海外売上高の割合は約7割であり、為替変動の影響を受ける傾向にあります。当社グループでは為替予約等によって為替相場の変動を緩和するべく対策を講じておりますが、このリスクを完全に排除できるものではありません。予想の範囲を超えた急激な為替変動が生じた場合等において、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)販売価格の低下のリスク
当社グループは、スピーディーな新製品の開発、原価管理の徹底による原価改善を常に意識し、収益性の向上に努めております。しかしながら、業界の特性として販売価格の変動が大きく、取引先の値下げ要請や競合他社との間の価格競争の影響を受け、販売価格が予想以上に低下する可能性があります。また、近年においては、当社業界の成熟により、新興勢力の台頭等によって価格競争が激化しております。当社グループは、顧客のコスト低減要求に応えるべく最大の努力をいたしてまいりますが、必ずしも応えられるとは限らないことから、販売機会を逃すことも想定されます。従って、これらが生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)原材料・半製品価格及び販売価格の変動に関するリスク
当社グループは、調達価格の安定化を図るべく、国内外の複数の取引先から原材料、半製品等を購入しております。しかしながら、調達する原材料等の購入価格は市況変動の影響を受け、これら原材料等の価格上昇を当社製品の販売価格に十分に反映出来ない場合、あるいは、当社製品の販売価格引下げを原材料等の購入価格に十分に反映出来ない場合、業績に影響を与える可能性があります。
(4)製品需要の変動リスク
当社グループの製品は様々なデジタル機器等に使用されており、当社グループの製品が採用されている取引先各メーカーにおけるアプリケーションの販売状況に応じて当社の売上高が連動いたします。当社グループは複数の製品群を有し、採用される市場、用途も幅広く対応しておりますが、各メーカーの最終製品の需要が経済情勢等の影響により激減した場合や、各メーカーが在庫調整を行った場合等において、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの製品は出荷台数に季節変動のある場合があり、この場合において売上高が特定の時期に偏重する可能性があります。
(5)製品の欠陥
当社グループは、品質管理についてメーカーとして最大限対処しておりますが、全ての製品において全く欠陥がなく、製品の回収等が発生しないという保証はできません。これらのリスクについて、当社グループは、必要に応じて、製造物責任賠償保険をはじめとした賠償責任保険の付保により一定のリスクヘッジを行っておりますが、当社グループの製品に大規模な瑕疵等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)同業他社等との競合
当社グループが提供している製品は、総じてグローバルな競合的状況にあります。また、デジタル関連機器製品は、急速な技術革新により製品寿命が短期化する傾向にあります。これらに対応するため、当社グループは、新技術の開発や新方式の採用、市場ニーズにあった製品開発を行っておりますが、競合他社が特定の分野において当社グループより高度な技術と製品供給力を有している場合や、当社グループより親密な関係を構築している場合等があり得ます。また、取引先の求めるニーズは年々多様化・高度化しており、当社グループがそのニーズに対応できない場合等も想定されます。従って、これらの状況となった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)当社製品の生産上の特性と生産拠点の確保について
当社グループの主要製品である「アナログ電源系の半導体」は、「デジタル系の半導体」とは相違して、生産拠点のおかれている環境が製品の性能に与える影響が大きいため、以下の理由により、製造ラインの変更を容易に行うことができません。
・製造プロセスのチューニング等に約2年程度の時間を要する。
・移管した製品を販売する場合は、採用していただいている顧客に対して、再度製品認定を行っていただく必要がある。
当社グループは一部子会社における生産を除くと、ファブレスによる生産を展開しておりますが、一定水準以上かつ市場評価の得られる技術・品質を確保していくために、品質管理面からは一定の基準を設定し、生産拠点の選定に際し基準を満たしているか否かの審査や、選定後は技術指導等をきめ細かく行う等の対策を施しております。しかしながら、当社製品の生産上の特性から、需要の変動(増加)に応じて生産量を確保することが困難になる場合があります。当社グループでは、需要予測を通じ各生産拠点との親密な関係を構築しておりますが、製造委託先の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更、業績変動などが、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(重要なリスク)
(1)国際的事業について
当社グループは、国内のほか、アジア・北米及びヨーロッパの市場に製品を販売しており、先進国市場のみならず、新興国市場に対しても事業を展開いたしております。当社グループ取引先または取引先のエンド・ユーザーの所在する国または地域において、法制度・税制の変更や、経済・政治情勢の悪化、テロリズム等の政治不安もしくは暴動等の非常事態又は伝染病の流行による混乱等が発生する可能性があります。当社グループとして、適時適切な対応がとれる体制を整備しておりますが、これらの事象が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)生産拠点の偏重について
当社グループの主要製品である「アナログ電源系の半導体」は、ウエハの製造において、フェニテックセミコンダクター株式会社及びルネサスエレクトロニクス株式会社への委託比率が大きな割合を占めております。当社製品の生産上の特性により、製造プロセスの変更が困難であるため、製造委託先の偏りは、製品の安定した供給を阻害する可能性があります。
特にフェニテックセミコンダクター株式会社は、当社のウエハ製造における重要な委託先であり、2019年2月に当社が完全子会社化したことによって、製造委託先としての関係は一層強化されております。
ルネサスエレクトロニクス株式会社とは多方面にわたり引続き緊密な関係を維持するよう努めており、現時点において、同社との契約の継続に支障を来す要因は発生しておりません。なお、同社との「取引基本契約書」は1年毎に自動更新されますが、契約上は同社及び当社の双方とも3ヶ月前までの書面による事前告知の上解除することが可能なほか、いずれかの当事者が以下の事由に該当する場合を即時解除事由として定めております。
・銀行取引停止処分、差押、租税滞納処分等を受けた場合、会社の整理・更正・破産手続等を開始する場合、財産状態の悪化を認めうる相当の理由がある場合、契約違反または不正取引がある場合等
しかしながら、ルネサスエレクトロニクス株式会社を含むウエハ製造委託先との急激な関係悪化や、当該委託先に天災等が生じる場合等の事象が発生した場合、当社グループの製品の生産に支障が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)子会社の生産工程について
フェニテックセミコンダクター株式会社は、顧客仕様に基づいてウエハを製造し、当社及び当社グループ外の企業へ販売しております。同社の工場は岡山県及び鹿児島県に所在し、受注予測に基づく適正な在庫の確保や事業継続のための体制整備等を進め、安定供給に努めておりますが、予期せぬ天災等の被災、伝染病の流行、原材料仕入先からの納入遅延、製造装置等の重大な故障等により、製造ラインが停止する事態が発生した場合、当社を含めた顧客への製品供給が滞る可能性があります。これらの状況となった場合、売上高の減少や顧客への損害賠償等を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)子会社の工場稼働率について
フェニテックセミコンダクター株式会社は、顧客から得る需要見通しに基づいて、工場の適切な稼働率の維持に努めております。しかしながら、顧客の販売動向や在庫調整に伴う急激な受注減少による稼働率の低下、あるいは急激な受注増加に対して生産能力不足による機会損失が発生する可能性があります。従って、これらの状況が重なった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外拠点における人件費・労務費の上昇に関するリスク
当社グループは、製品の差別化及び原価低減を目的としてベトナムに生産拠点を保有しており、同拠点は人材の流動性が比較的高い傾向にあります。労働環境の改善などに取り組んではおりますが、同国の経済発展に伴う人件費の上昇によって、生産コストが想定を上回って上昇する場合や人材の確保が計画どおりに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)各種規制等について
当社グループは海外の商取引に関連するリスクにさらされております。例えば、貿易の制限、関税の変更、立法または規制上の要件の変更、知的財産権の抵触、不利益な課税上の取扱いの可能性等にさらされています。それぞれのリスクに対しては、各専門部署が適切に対応しておりますが、事前に予期しえなった事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)M&Aにおけるリスク
当社グループは、グローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、企業価値の継続的な向上を図るため、中期経営計画に掲げる課題「より強い製品企画につながるコラボレーションとM&Aの推進」を念頭に、必要に応じて資本・業務提携やM&A(以下、M&A)を実施してまいります。M&Aの実施にあたっては、事前に対象企業の市場動向、財務状況、優位性及び当社グループとの相乗効果を慎重に検証し、実施後は当社グループへの早期融合及び相乗効果の最大化に努めます。
しかしながら、M&A実施後における市場環境の急変、制度・業務プロセスの統合負担の増大、顧客基盤または人材の流出、その他想定外の事態の発生により、予想された通りの相乗効果が得られず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生する可能性があります。これらの事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)環境問題
当社グループは、フェニテックセミコンダクター株式会社及びTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDにおいて、半導体製品の製造・加工を行っております。両社は、大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染などに関する様々な環境法令の適用を受けており、これらの規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、過失の有無にかかわらず、環境問題に対して法的もしくは社会的責任を負う可能性があります。これらの事態が生じた場合、対応のための多額の費用負担が発生する可能性や当社グループの社会的信用の低下を招く可能性があり、ひいては当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)固定資産の減損
当社グループは、研究開発・製造等に要する有形固定資産や無形固定資産を保有しております。資産の購入に際しては、収益性などを慎重に判断してはおりますが、市場環境の変化、技術革新あるいは市場価格の下落等により、これらの資産が減損していると判断される場合には、当該資産に対する減損損失を計上する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)取引先による金銭債務の不履行
当社グループは、当社グループの販売先について、財務内容や定性情報等を総合的に勘案し、与信設定により管理しております。しかしながら、販売先の財務情報を完全に掌握することは難しく、完全なリスクの排除はできておりません。従って、取引先の急激な財政状態の悪化が生じた場合等において、想定以上の貸倒引当金を設定する必要が生じ、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)事業投資等のリスク
当社グループは、既存ビジネスにおいて堅実に経営を行っておりますが、今後、業容拡大を図るために各種の事業投資(子会社の設立を含む。)を行う可能性があります。これらについては、慎重に検討し、しかるべき社内決裁を経た後に実行いたしますが、必ずしも当社グループの業績に寄与するものとは限りません。この場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)有能な人材の確保
当社グループは、製品開発型企業であることから、市場ニーズに適合した製品の開発が不可欠であり、そのためには、開発要員を含め優秀な人材を確保する必要があります。しかしながら、特にアナログ電源ICの開発・設計は、微細化や低電圧化によって雑音やばらつきなどの影響を受けやすい技術の特性上、その調整は容易でなく、さまざまな基礎知識と経験が必須な分野であるため、技術者の能力に強く依存するものの、優れた技術者の育成には時間がかかります。当社グループにおいては、幅広い基礎知識と豊富な経験を持つ技術者を多数確保しており、また継続的に教育・研修を行い、人材の育成に注力しておりますが、有能な人材の確保及び育成ができなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害等のリスク
当社グループは、事業継続計画(BCP)を策定し、製品の安定供給体制の確立に取り組んでおりますが、当社グループ及び当社グループの取引先(販売先、前工程協力工場、後工程協力工場等)において、自然災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)疫病の発生・蔓延等のリスク
当社グループでは疫病に対する感染予防対策を実施しておりますが、当社グループ及び当社グループの取引先(販売先、前工程協力工場、後工程協力工場等)の拠点において、疫病の発生・蔓延が発生した場合、製品の製造及び販売に支障をきたすこととなるため、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの生産面、販売面における、現時点までの影響については、限定的であります。また、当社グループでは、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、テレワークや時差出勤などの従業員の感染症対策を、徹底して講じております。しかしながら、ロックダウンや外出自粛による世界的な経済活動停滞が長期化する場合には、今後、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産権に関するリスク
当社グループは、当社グループの事業にとって重要な知的財産権を所有しており、かかる知的財産権には、商標権、特許権その他営業秘密が含まれます。当社グループと第三者の間で、知的財産権に関する紛争が生じた場合、当社グループの事業に支障を及ぼし、当社グループの権利保護又は相手方からの主張に対する防御のために多額の費用を費やさなければならない可能性があります。当社グループは、その知的財産権保護のため、専門家の協力を得て対策を講じておりますが、知的財産権に関する紛争等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大で、急激な景気後退に見舞われました。年央以降は先進主要国の大型財政出動と金融緩和策により景気の下落幅は徐々に縮小、期末には感染防止策やワクチンの接種拡大で感染収束に転じる国が出始めるなど、明るい兆しが見えつつありますが、変異ウイルスの流行で感染が再拡大するなど、引き続き、透明感は強く残っております。日本経済も年初来、再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
当社グループが属するエレクトロニクス市場におきましては、年度後半には、新しいライフスタイルへの変化に対する需要増により回復が見られ、半導体市場におきましては、車載半導体を中心に世界的に需給が逼迫するなど、需要は旺盛となっております。
このような環境のなかで、当社グループは、経営理念にある「市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献する」ため、電気機器の小型化・省電力化に「電源」の観点から取組み、収益力の強化と持続的な成長の実現に向けて、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講じつつ、以下の諸施策を継続的に推進してまいりました。
・市場や顧客のニーズを製品開発に的確に反映し、より多くの製品を短期間で開発させるため、従来開発部門の中に設置していた製品企画部門を独立させ、マーケット調査と製品企画の強化を推進してまいりました。
・国内外の開発拠点において、差別化のできる高付加価値な汎用製品及びターゲット市場として注力する車載機器・産業機器に向けた特長ある製品を迅速に市場へ投入していくための開発活動を進めてまいりました。
・生産部門では、生産技術と品質保証を1つの本部へと集約することで、コスト意識を高めながら品質保証体制を強化し、生産計画の効率化を進めました。加えて、協力会社や製造子会社との協力体制を深め、競争力のある製造コスト、品質力の向上、納期対応の実現を進めました。
・各地域に密着した営業活動を推進するため、営業本部を国内営業と海外営業に分けて、迅速かつ柔軟な顧客対応や営業基盤の強化に努めるとともに、顧客ニーズを踏まえたソリューション提案を促進しました。
・近年、様々な視点から注目される省エネ型社会を実現する有効な手段の一つであるパワーエレクトロニクスにおけるビジネスの拡大を目的とし、超低損失と低価格の両立が期待されるβ型酸化ガリウムを使用したパワーデバイスの開発を行う、株式会社ノベルクリスタルテクノロジー(本社:埼玉県狭山市)と資本提携を行いました。
・製品ポートフォリオを強化するため、相互ビジネスの拡大を視野に資本提携しているCirelSystems Pvt Ltd.と、同社の製品をワールドワイドで販売することを合意しました。
・当社において、将来的な更なる事業発展を目指し、効率的なビジネスを支える基幹システムの入れ替えを実施しました。
・グループ収益の最大化につなげるため、フェニテックセミコンダクター株式会社とのシナジー効果を高め、共同プロジェクトを推進しました。
・製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、フェニテックセミコンダクター本社工場の第一工場への統合を進めてまいりました。
・新たに、2021年度を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、脱炭素社会を目指すこと、グリーントランスフォーメーションの推進を掲げました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産は315億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億65百万円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金が24億55百万円、受取手形及び売掛金が6億9百万円、仕掛品が5億48百万円、ソフトウエアが7億円の増加に対し、ソフトウエアの本稼働に伴い無形固定資産その他が5億82百万円減少したためであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は117億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億47百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金が22億20百万円増加したためであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は197億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億18百万円の増加となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益9億33百万円の計上、配当金の支払い3億94百万円、退職給付に係る調整累計額、為替換算調整勘定の変動によるものであります。
この結果、自己資本比率は62.8%となり、1株当たり純資産額は1,808円96銭となりました。
b.経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は237億12百万円(前年同期比10.3%増)となりました。全体として、上期は自動車業界の生産休止等の影響を受けたものの、下期は急回復をしたことにより前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が169億62百万円(前年同期比14.8%増)、アジアが55億26百万円(前年同期比1.2%増)、欧州が6億97百万円(前年同期比2.8%減)、北米が5億26百万円(前年同期比3.4%減)となりました。
(営業利益)
営業利益は12億9百万円(前年同期比78.3%増)となりました。全体として、売上増のほか、販管費等の抑制に努め、前年増となりました。当社グループのセグメントごとの内訳は、日本が9億35百万円(前年同期比83.6%増)、アジアが2億19百万円(前年同期比77.7%増)、欧州が43百万円(前年同期は13百万円)、北米が9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
(経常利益)
経常利益は12億6百万円(前年同期比78.4%増)となりました。営業利益の増加に伴い、前年増となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は9億33百万円(前年同期比123.6%増)となりました。特別損失の減少により、前年比大幅増となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大による当連結会計年度における事業への影響は限定的ではありました。しかしながら、政府による緊急事態宣言の発令等を受け、当社では、従業員の感染症対策としてテレワークや時差出勤などを徹底して講ずるなど、事業活動にも一定の制約を受けており、引き続き、景気動向に与える影響や当社業績への影響について注視してまいります。
なお、製品別の売上高及びセグメントの業績は以下のとおりであります。
(製品別の売上高) (単位:百万円)
|
区 分 |
当連結会計年度 |
前年同期比増減額 |
前年同期比増減率 |
|
VD |
1,639 |
68 |
4.4% |
|
VR |
4,503 |
△16 |
△0.4% |
|
DCDC |
3,024 |
△137 |
△4.3% |
|
ディスクリート |
13,825 |
2,463 |
21.7% |
|
その他 |
719 |
△165 |
△18.7% |
|
合 計 |
23,712 |
2,212 |
10.3% |
(注)1.製品の内容は次のとおりであります。
VD………………ディテクタ(Voltage Ditector)
VR………………レギュレータ(Voltage Regulator)
DCDC…………DC/DCコンバータ
ディスクリート…トランジスタ、ダイオード、IGBT等
その他……………マルチチップモジュール、各種センサー製品等
(セグメント業績)
(日本)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器、家電分野向けの売上が増加したことにより169億62百万円(前年同期比14.8%増)、セグメント利益は9億35百万円(前年同期比83.6%増)となりました。
(アジア)
当連結会計年度における売上高は、主に産業機器分野向けの売上が増加したことにより55億26百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益は2億19百万円(前年同期比77.7%増)となりました。
(欧州)
当連結会計年度における売上高は、主に家電向けの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少したことにより6億97百万円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は43百万円(前年同期は13百万円)となりました。
(北米)
当連結会計年度における売上高は、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が減少したことにより5億26百万円(前年同期比3.4%減)、セグメント利益は9百万円(前年同期は0百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により17億90百万円増加し、投資活動により15億45百万円減少し、財務活動により21億75百万円増加した結果、当連結会計年度末の残高は116億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益11億71百万円、減価償却費12億8百万円、仕入債務の増加2億79百万円等を要因とする資金の増加に対し、退職給付に係る資産の増加3億21百万円、退職給付に係る負債の減少3億11百万円、売上債権の増加5億35百万円、たな卸資産の増加4億50百万円等を要因とする資金の減少を差し引き、17億90百万円の増加(前年同期比6億45百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は、有形固定資産の取得12億41百万円、無形固定資産の取得2億43百万円等の支出により、15億45百万円の減少(前年同期比4百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は、長期借入れによる収入40億円等による資金の増加に対し、長期借入金の返済13億55百万円、配当金の支払額3億94百万円等の支出を差し引き、21億75百万円の増加(前年同期比33億51百万円の収入増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日 本 (千円) |
17,110,502 |
109.1 |
|
合 計 (千円) |
17,110,502 |
109.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
日本 |
19,894,686 |
126.6 |
6,015,603 |
195.1 |
|
アジア |
7,223,225 |
130.1 |
2,493,689 |
312.8 |
|
欧州 |
1,013,480 |
134.8 |
527,819 |
249.2 |
|
北米 |
657,090 |
118.3 |
216,921 |
252.6 |
|
合 計 |
28,788,483 |
127.6 |
9,254,034 |
221.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日 本 (千円) |
16,962,621 |
114.8 |
|
ア ジ ア (千円) |
5,526,808 |
101.2 |
|
欧 州 (千円) |
697,504 |
97.2 |
|
北 米 (千円) |
526,046 |
96.6 |
|
合 計 (千円) |
23,712,981 |
110.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
IXYS Corporation |
2,038,243 |
9.5 |
2,556,561 |
10.8 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)概観
当社グループの経営に影響を与える要因としては、半導体市場の成長率、各国半導体企業の動向、製品品種及び顧客の構成比、原材料費の市況、為替水準等があります。2020年の世界半導体市場は、年初は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大きく落ち込みましたが、ライフスタイルの変化等によるPC関連市場や民生機器関連市場での需要増が、市場に好影響をもたらし、また、秋以降は車載関連市場の回復なども加わり、一部では品不足の状況となりました。
当社グループの主力製品であるアナログIC及びディスクリートの市場は従来、安定的に成長する傾向が見られましたが、2020年は、前年の米中貿易摩擦の反動もあり、アナログICは8%、ディスクリートは3%程度の増加となった模様です。このような環境下、当社グループの売上高は前年同期比10.3%増と好調に推移しました。
当社グループは用途別にみた市場の成長性や収益性の観点から、車載機器・産業機器・医療機器を重点3分野と位置づけ、製品開発及び顧客開拓を長期的・戦略的に進めてまいりました。世界的に取り組みが進む脱炭素に向けた電気自動車への移行、加速する先端技術の進化に伴う自動運転技術、産業界におけるIoTソリューションの拡大、第5世代移動通信システム(5G)サービスへの移行等の変化は、重点3分野の一層の成長を支えるトレンドであり、そこには、当社が得意とする小型・低消費電力・低ノイズ等の技術を有効に活用できるものと考えております。ここにFAEを使った技術営業で当社の技術を強く発信していくことで、今後も当社グループの安定的な売上増加と利益率の維持向上に寄与するものと考えています。一方で、重点分野以外の民生品向けは低調な分野もあるため、これを十分にカバーするだけの売上規模を確保していくことを目指します。
当連結会計年度における当社グループは、こうした状況を背景に、日本と欧州の売上が低調、アジアと北米は好調な結果となりました。重点分野のうち産業機器分野は好調に推移する一方、車載機器分野については、前年同期比で大きく減少しましたが、いずれも長期的には、成長性の高い分野であることに変わりありません。こうした市場環境を背景に競争力及び収益力の向上に向け、成長市場である産業機器や車載機器向けの設計開発リソースを確保するための資本提携を行っております。また、子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社においては、安定的かつ高効率での生産に向けた設備投資やSiCデバイスなどの新製品開発への投資を進めるなど、積極的な投資を行っております。一方で、こうした投資が、短期的に経費を増加させ、収益押し下げの要因ともなっています。
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米の4つを事業セグメントとしております。日本は、当社及びフェニテックセミコンダクター株式会社から構成されており、アジアは、特瑞仕芯电子(上海)有限公司、TOREX (HONG KONG) LIMITED、台湾特瑞仕半導體股份有限公司、TOREX SEMICONDUCTOR(S) PTE LTD、TOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDから構成されており、欧州は、TOREX SEMICONDUCTOR EUROPE LIMITED、北米は、TOREX USA Corp.にて構成されております。
2)日本事業
日本事業は最も重要な事業セグメントで、当連結会計年度において、当社グループの売上高合計の72%を占めています。
当連結会計年度における日本経済は、年初来、新型コロナウイルス感染症を起因とした再度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で消費は依然低迷し、景気も一進一退を続けており、厳しい状況が続いております。
日本事業のうち、当社トレックス・セミコンダクター株式会社が生産・販売するアナログ電源ICは、家電分野向けが好調ではあったものの、車載機器分野向けの売上が低調となりました。日本事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータの採用が増加しております。また、家電分野で培ってきた省電力・小型化の技術を、産業機器、車載機器向けへ高付加価値製品として技術改善とラインナップの拡充を図っていくことが日本事業での成長のキーと認識しております。
一方、ディスクリートを生産・販売するフェニテックセミコンダクター株式会社は、国内で車載機器向けの売上が減少したものの、北米で産業機器向け、中華圏で民生機器向けが増加し、後半には国内の車載機器向けも回復基調に転じ、連結子会社化以後、最高の売上高となりました。また同社は、製品の長期・安定供給体制と競争力のある製品づくり及び生産性向上のため、同社の本社工場の第一工場への統合工事をすすめ、より効率的な生産体制の確立に向けた設備投資を実施し、生産品目の拡充にも努めております。特にパワーディスクリート製品への要求は強く、より一層の技術力アップにも努めております。
なお、両社は、開発・生産・販売に関わる協業を着実に推進しており、製品開発、原価低減及び品質向上を通じて、業績面でもシナジー効果を発揮していきます。
3)アジア事業
当連結会計年度におけるアジア経済は、新型コロナウイルス影響を大きく受けましたが、中華圏では、早期の抑え込みが成功し、経済は期を追う毎に勢いを取り戻して行きました。
これらの影響を受け、当社グループのアジア事業では、昨年中国におけるETC向けの販売が好調であった反動から車載機器向けが減少しましたが、産業機器分野向けの売上が増加したことで、増収となりました。
アジア市場は、新興勢力の台頭等により、競合他社との間の価格競争が厳しい地域となっております。特に中国は、世界最大規模の半導体消費地であるだけでなく、半導体の供給地としても急速に存在感を高めています。中国半導体企業の開発・生産能力は年々向上しており、アナログICやディスクリートにおいても、低価格品を中心に競争激化による利益率低下の要因となってきました。そうした状況に対応するため、当社は技術力と信頼性に磨きをかけるとともに、高付加価値な製品へのシフトを進め、利益率のアップを図ってまいります。
また、各種報道でもありますように、中国では、米中貿易摩擦を起因とし、これまで以上に半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
4)欧州事業
当連結会計年度における欧州経済は、新型コロナウイルスの影響により各国でロックダウンなどの制限措置と緩和を繰り返しており、ピークアウトはしたものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの欧州事業では、家電機器向けや医療機器向けなどの売上が増加しましたが、産業機器分野向けの売上が減少し、為替の影響も受け、減収となりました。
欧州事業は付加価値の高い製品が求められる市場であり、電源ICではコイル一体型のDC/DCコンバータやプッシュボタンコントローラ、中耐圧製品など、他社との差別化が図られる製品の拡販活動がキーになると考えています。新型コロナウイルスの状況を注視しながら、産業機器分野への売上回復に取り組んでまいります。
5)北米事業
当連結会計年度における北米経済は、新型コロナウイルスの影響により実体経済が大きく落ち込み、ワクチン接種が進む中で徐々に回復しつつあるものの、未だ不透明な状況が続いております。
これらの影響を受け、当社グループの北米事業では、主にAV機器向けの売上が増加しましたが、PC機器分野向けの売上が低調で、減収となりました。
北米には大手電機・電子メーカーはもちろん、スタートアップのベンチャー企業が数多くあり、新たな事業や製品、サービスなどが生まれています。当社の北米事業では、拡販による売上増を目的とすると同時に、そうした企業等との協業や提携による当社グループの価値の創出を目的とした活動も積極的に取組んでいます。
また、米国においても、米中貿易摩擦を起因とし、半導体生産の国内化を加速させているため、現地企業の状況やサプライチェーンの変化を注視してまいります。
C.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資本効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標と位置付けております。当連結会計年度における「自己資本利益率(ROE)」は4.9%(前年同期比2.7ポイント増加)でしたが、業績を向上させることで、ROE二桁を目指してまいります。
d.セグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの資金需要には、大きく分けて運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要の主なものは、アナログIC製品の製造に係る原材料費や外注加工費、製品開発に係る研究開発費並びに販売費及び一般管理費等によるものであります。また、設備資金需要は、主に製造子会社における製造設備等の固定資産の購入によるものであります。
2)財政政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金による充当を基本とし、不足分については金融機関からの借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金及び金融機関からの借入金を基本とし、金利動向や市場環境などを考慮し、必要に応じて社債など適切な調達手段により資金調達を行っております。
当連結会計年度は、安定した事業活動を行うため主要取引金融機関から総額40億円の調達を実施したほか、経営環境の変化に即応し、機動的かつ安定した資金の調達を行うため、主要取引金融機関と総額53億円の当座貸越契約を締結しております。
3)資本政策
当社グループは、半導体業界を取り巻く環境変化を好機と捉えつつ、企業価値の向上を図っていくため、成長戦略投資と株主還元のバランスをとりながら、資本効率の向上に着実につなげていくことを、資本政策の基本的な方針としています。
この基本方針のもと、当社グループの成長を加速するための研究開発・設備投資に対して、積極的に資金を振り向ける所存です。
利益配分につきましては、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置付け、戦略的投資による成長力の向上を図りつつ、当社を取り巻く経営環境並びに中長期の連結業績及び株主資本利益率の水準を踏まえて、諸施策を実施していくことといたします。
このような観点から、配当につきましては、業績水準を反映した利益配分として連結配当性向20%以上、安定的かつ継続的な株主還元の拡充として株主資本配当率(DOE)3%程度を当面の目標として実施してまいります。内部留保資金につきましては、研究開発、設備投資、新たな事業分野への投資など、持続的な企業価値向上を実現する目的で活用してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
a.当社の商品及び製品の評価
当社グループのたな卸資産の連結貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、営業循環過程から外れたと判断されたたな卸資産の評価については、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。このうち当社の営業循環過程から外れた商品及び製品の対象の識別については、一定の在庫年齢を超えた長期滞留品に加えて、過去の販売数量実績等を考慮して策定した将来の販売予測に基づき実施しております。当社が取り扱う商品及び製品の将来の販売可能性は、市場の需要変化などの予測不能な要因によって変動する可能性があり、将来の販売予測は不確実性を伴うため、将来の販売実績が見積りと大きく異なった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表における商品及び製品の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損
固定資産は、減損の兆候があると認められる場合には、資産、または、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額または使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。当社グループは、原則として事業用資産について、会社もしくは工場ごとにグルーピングを行っておりますが、減損損失の認識の要否を判定した資産、または、資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローが有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額を超えると判断されたため、減損の認識は不要と判断しております。減損損失の認識の要否判定に用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、市場動向を考慮した販売数量予測や最適な生産リソースの配分等を仮定として織り込んでおります。これらの仮定を含む将来予測は不確実性を伴い、将来キャッシュ・フローの見積りに対して、実際に発生したキャッシュ・フローが見積りを大きく下回った場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において、固定資産の減損損失の認識及び測定が必要となる可能性があります。
(1)多額な資金の借入
当社は、2020年4月15日開催の取締役会において、新型コロナウイルスの影響による運転資金需要に備え、以下のとおり資金の借入を行うことを決議し、2020年4月30日に資金の借入を行っております。
①資金の使途 運転資金
②借入先の名称 株式会社中国銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行
③借入金額 2,500百万円
④利率 基準金利+スプレッド(固定金利)
⑤借入実行日 2020年4月30日
⑥返済期限 2025年3月31日
⑦担保・保証 無担保・無保証
当社の子会社であるフェニテックセミコンダクター株式会社は、2020年5月22日開催の取締役会において、新型コロナウイルスの影響による運転資金需要に備え、以下のとおり資金の借入を行うことを決議し、2020年6月1日に資金の借入を行っております。
資金の使途 運転資金
②借入先の名称 株式会社中国銀行
借入金額 1,500百万円
④利率 基準金利+スプレッド(固定金利)
⑤借入実行日 2020年6月1日
⑥返済期限 2025年5月31日
⑦担保・保証 無担保・無保証
当社グループは、多様化、高度化する市場ニーズに対応するための技術研究と製品開発を行い、タイムリーに顧客に提供することを基本方針としております。この目的達成のため、当社グループの研究開発は、基本的に製品開発を通じた既存製品の改良及び応用と新製品・新技術の開発を実施しております。これには個別の製品開発に加えて、製造技術やパッケージの評価といった周辺技術に関する研究も含まれます。
当社グループにおいて研究開発活動を行っているのは、国内においては当社とフェニテックセミコンダクター株式会社、海外においてはTOREX USA Corp.であります。電源ICに係る研究開発は、当社の開発本部が中心となって進めております。また、顧客ニーズに密着した開発には、関連部門においてプロジェクト編成にて対処しております。
当連結会計年度における主要な課題及び成果は次のとおりであります。
①車載関連機器、産業機器分野において更に顧客基盤及び採用アプリケーションを広げることを目指し、継続して高耐圧・大電流に対応した技術開発を行っております。また、小型・省電力・高効率・低ノイズが要求される、ウェアラブル機器、IoT機器等の新たなビジネス分野に対しても、更なる性能向上に向けた技術開発と、販売を行っています。
②車載関連機器、産業機器分野において要求される高い製品品質を企画・開発段階から実現していくため、関西技術センターを中心に設計開発、プロセス技術、テスト技術、信頼性技術、品質保証など関係する部門が協力し、車載専用製品の開発を行い、製品の販売を行っています。
③新製品・新技術の開発環境の拡充という目的で設立したアメリカ・カリフォルニア州にあるR&Dセンターでは、顧客ニーズに対応した、データサーバーや車載・産業機器に向けた大電流駆動の製品及び汎用の電源ICの試作開発を行っております。
なお、当連結会計年度に研究開発に投じた総額は、