文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「人に人らしい仕事を。」をコーポレートビジョンとして、国内外の広告業界において、広告主の広告価値最大化、媒体社の収益最大化を、卓越したプロダクトの提供により推進してまいります。また、広告以外の領域においても、当社の技術資産であるデータ解析基盤、機械学習エンジンをベースとして、流通・小売関連技術(Retail Tech)領域、金融関連技術(Fin Tech)領域など、既存の領域に捉われず、複数の産業領域に対して、「人に人らしい仕事を。」に専念できるためのサービスを提供してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが重要視している経営指標は、売上高及びEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用)であります。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等
当社グループの経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等はセグメント毎に分けております。
広告・マーケティング事業においては、インターネット広告市場における各領域の成長に合わせて、国内では既存の事業に加えて、「Red For Publishers」からリブランディングされた「Scarlet」による収益貢献、また、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected TV領域やモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」を積極展開するほか、海外では、すでに進出した拠点及びM&Aを実施した先の効率化による各個別拠点・子会社の収益化及びグループシナジーによる収益基盤の強化を重点戦略として進めてまいります。
投資事業は、国内外において有望なベンチャー企業が誕生する環境が継続していると認識しており、これまでの投資実績を活かし引き続き将来有望なベンチャー企業への投資を行ってまいります。
その他事業は、主な投資先である金融関連技術(Fin Tech)領域においては順調な売上拡大及び収益改善が続いており、今後も事業拡大を図る方針であります。
なお、DMP事業は、同事業を営む株式会社インティメート・マージャーの株式を、2020年11月18日付で一部売却したことに伴い、当社の連結子会社ではなくなったため、今後は同事業は当社の主要事業から外れることとなりました。
(4)優先的に対処すべき課題
① 開発力の更なる強化
当社グループの更なる事業拡大にむけて、優秀なエンジニアの採用・育成の強化を国内のみならずグローバルに図ってまいります。
また、優秀なエンジニアを確保するため、エンジニアのコミュニティーや勉強会で当社のプレゼンスを高め、外部エンジニアとのコネクションの拡充を行っていくとともに、様々な採用方法を活用してまいります。
② M&A等による事業成長及び事業領域拡大
当社グループは、既存事業のシナジーが発揮できる事業領域及び当社グループの技術基盤を活用できる事業領域に対して投資を行い、また、M&A完了後においても適切なPMIを実施することで、持続的な成長に努めてまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループの経営の公正性・透明性を確保するために、内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、定期的な当社グループの内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員監査による当社グループのコーポレート・ガバナンス機能強化に取り組んでまいります。
④ 情報セキュリティのリスク対応の強化
当社グループは、ウィルスや不正な手段による外部からのシステムへの侵入、システムの障害及び役職員・パートナー事業者の過誤による損害を防止するために、引き続き優秀な技術者の確保や、職場環境の整備及び社内教育による情報セキュリティの強化を図ってまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループは、取引先様、グループの従業員とその家族等の安全と健康を第一に考え、時差出勤やテレワークの実施、リモート会議等を活用し、感染予防対策を徹底しております。感染拡大防止と事業の継続を両立させ、コロナ禍における事業資金の確保及び事業継続に注力していく所存です。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスクについて
当社グループが行う事業は、技術革新・著しい市場環境の変化等に晒されております。本報告書提出日現在において、直ちに事業環境の著しい悪化につながる可能性のあるリスクは認識しておりませんが、リスク対策として、開発力の強化や仕入先の拡大等に引き続き努めてまいります。具体的な内容は次の通りです。
① インターネットの普及について
当社グループは、主に国内外においてインターネット上でサービスの提供をしております。インターネットの更なる普及及び利用拡大、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等が成長のための基本的な条件と考えております。
しかしながらインターネットの普及に伴う弊害の発生や利用に関する新たな法的規制や業界団体による規制の導入、その他予期せぬ要因により、今後の普及及び利用拡大を阻害されるような状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② インターネット広告市場について
近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、2020年のインターネット広告市場はマスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア)広告市場に迫るほどになっております。
しかしながら、広告市場は、景気動向や広告主の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあるため、今後これらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ プログラマティック広告の普及について
当社グループの主要サービスであるインターネット広告のプログラマティック広告取引は、広告業界において普及し、相応のシェアを占めるにいたりました。しかしながら、一部メディアにおいては従来の非プログラマティックな広告取引に回帰が見られるなど、その将来性はいまだ不透明な部分があることから、今後においてプログラマティック広告取引の普及及び利用が減退する状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新について
インターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が早く、それに基づく新サービスが常に生み出されております。また、インターネット広告業界においても、新しい広告手法やテクノロジーが次々と開発されております。当社グループが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競合について
当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引を行っている事業者は、国内において数社存在しております。また、プログラマティック広告取引は、国内で今後拡大が見込まれており、海外の既存のプログラマティック広告取引事業者が日本国内のマーケットへ参入してきているため、参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 仕入先について
当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引は、取引形態の性質上、広告枠を提供するSSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社からの仕入が必要となります。そのため、SSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社の方針、事業戦略の転換等によって、取引が継続されず広告枠の仕入ができなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 法的規制について
現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(2002年5月施行)や、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(2000年2月施行)、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(2008年6月成立)等の法的規制が存在しているほか、個人情報の取扱などについては、「個人情報の保護に関する法律」(2003年5月成立)等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からクッキー(ウェブサイト閲覧者のコンピューターにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。
このため、今後、インターネット関連分野において新たな法令等の制定や、既存法令等の改正等による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害等について
当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努めております。万一、当社の本社所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害の発生や事故により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社グループが提供する広告・マーケティング事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、2021年10月以降も継続するものの、ゆるやかな回復に向かうと仮定しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は不確定要素が多く、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業ポートフォリオに関するリスクについて
当社グループの売上高は、広告・マーケティング事業の収益が当社グループに占める割合が高く、広告・マーケティング事業の経営環境が悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
リスク対策として、広告・マーケティング事業においては、海外への事業拡大により、従来の日本一国依存体制からの脱却を図り、地理的なリスク分散に努めております。
また、広告・マーケティング事業への依存度を減らすため、投資事業、その他事業等の成長にも注力しリスク分散に努めます。
なお、新規事業、海外展開については、以下のリスクを認識しております。
① 新規事業について
当社グループは今後も引き続き、積極的に新サービスないしは新規事業に取り組んで参りますが、これによりシステムへの先行投資や、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外展開について
当社グループのサービスの提供にあたっては、プログラマティック広告取引の世界的な普及、拡大にあわせて国際展開を進めております。海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律又は規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、為替制限や為替変動、電力・通信等のインフラ障害、各種税制の不利な変更、移転価格税制による課税等、海外事業展開に共通で不可避のリスクがあります。その他、海外市場が想定どおりに成長しない場合や当社グループのサービスが海外の顧客に浸透しないこと等を要因に、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)システム等に関するリスクについて
当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。
しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故など、当社グループの予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。
また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)事業運営体制に関するリスクについて
① 特定人物への依存について
当社代表取締役である本田謙は、オンラインマーケティングに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社は、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、代表取締役である本田謙に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保及び育成について
当社グループは、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。
しかし、必要な人材の確保及び育成が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社グループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(5)その他
① 配当政策について
当社は、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。そのため、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保につきましては、当社の競争力の維持・強化による将来の収益力向上を図るための設備投資及び効率的な体制整備に有効に活用する方針であります。
② 新株予約権の行使及び新株予約権付社債の転換による株式価値の希薄化について
当社では、ストック・オプションとして役員及び従業員に対して新株予約権を発行しているほか、資金調達の一環として新株予約権及び新株予約権付社債を発行しております。新株予約権が行使された場合や、新株予約権付社債が転換された場合には、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新株予約権及び新株予約権付社債の条件は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況(2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
③ 資金調達について
当社は、第1回~第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下、「新株予約権付社債」といいます。」を発行し、第1回新株予約権付社債(額面45億円)は償還期限の2020年10月に一括償還し、第2回新株予約権付社債(額面15億円)は転換完了いたしました。なお、第3回新株予約権付社債(額面15億円)については、株式への転換が進まなかった場合には、償還期日(2023年7月6日)において残存する新株予約権付社債につき額面での一括償還が必要となり、当社は他の資金調達手法によることを含めリファイナンス等の対応が必要となる可能性があります。
また、当社グループでは、安定的な資金調達をはかるため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されており、当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ M&A及び資本業務提携について
当社グループは、同業他社等に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。今後もM&Aや資本業務提携等を通じて事業拡大又は人員確保を継続していく方針であります。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスク低減に努める方針でありますが、これらの調査で確認・想定されなかった事象がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合や、市場環境の変化等により事業展開が計画どおりに進まない場合には、対象企業の投資価値の減損処理を行う等、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、ミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、日本、北米、東アジア、及び東南アジアを中心に、グローバルに事業を展開しております。
当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症による当社ビジネスへの影響は引き続き継続しておりますが、東アジア及び東南アジアの一部では大きな影響が生じた一方で、日本及び北米では前年度と比較して大幅にその影響が軽減されました。しかしながら、今後も変異種の発生・流行状況や各国でのワクチン接種状況など、現時点では新型コロナウイルス感染症による影響を正確に予測することは困難であるため、引き続き世界経済の状況を注視してまいります。
このようなマクロ環境のもと、当連結会計年度における当社の経営成績は以下のような内容となりました。
まず、国内の広告・マーケティング事業においては、中核子会社である株式会社フリークアウトにおいて、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」が業界全体の不振の影響を受けて苦戦した一方で、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected TV領域の事業(Scarlet)が、順調に収益貢献いたしました。
また、上記に加えて、前年度に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた、位置情報を活用したデジタルマーケティング、デジタルサイネージなどの各事業が売上を回復した結果、国内の広告・マーケティング事業は大きく成長しました。
次に、海外の広告・マーケティング事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響で東南アジアの事業が苦戦した一方で、米国法人Playwire,LLCが対前年比で引き続き大きく成長し、業績を強く牽引いたしました。
さらに、一部投資有価証券の減損を実施した一方で、連結子会社であった株式会社デジタリフトの上場時の株式売出に伴う売却益の計上などで、バランスシートは大幅に改善されています。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高29,499百万円(前年同期比18.6%増)、営業利益1,009百万円(前年同期比377.2%増)、経常利益1,112百万円(前年同期は経常損失221百万円)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用)1,323百万円(前年同期比159.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益580百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失669百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、「DMP事業」を構成していた株式会社インティメート・マージャーを連結の範囲から持分法適用の範囲に変更したことにより、「DMP事業」を報告セグメントから除外しております。同社に対する当連結会計年度の持分法による投資損益については「その他事業」に含めて記載しております。
(広告・マーケティング事業)
広告・マーケティング事業では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」(DSP)、プレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」(従来の「Red for Publishers」をリブランディング)、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」及びトレーディングデスクの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組みました。
当連結会計年度においては、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」が業界全体の不振の影響を受けて苦戦した一方で、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected TV領域の事業(Scarlet)が堅調に推移し、それに伴い株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」についても順調に推移しております。また、上記に加えて、前年度に新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた、位置情報を活用したデジタルマーケティング、デジタルサイネージなどの各事業が売上・EBITDAを回復いたしました。
さらに、海外子会社においてはPlaywire,LLCが引き続き強力に業績を牽引しております。
この結果、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は28,916百万円(前年同期比29.3%増)、セグメント利益は1,416百万円(前年同期比90.1%増)、EBITDAは1,848百万円(前年同期比82.0%増)となりました。
(投資事業)
投資事業では、Global展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための事業を行っております。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響を比較的受けやすい一部の投資先の有価証券について減損を実施した一方で、投資先の有価証券の一部売却を実施いたしました。
この結果、投資事業の外部顧客への売上高は521百万円(前年同期比17.9%増)、セグメント利益は147百万円(前年同期比18.6%減)、EBITDAは124百万円(前年同期比29.1%減)となりました。
(その他事業)
その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしております。
当連結会計年度においては、海外拠点の管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。
この結果、その他事業の外部顧客への売上高は61百万円(前年同期比22.1%増)、セグメント利益は266百万円(前年同期はセグメント損失159百万円)、EBITDAは172百万円(前年同期は△128百万円)となりました。
財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は20,534百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,781百万円減少しました。これは主に、売上増により受取手形及び売掛金が720百万円、株式会社インティメート・マージャーの連結子会社から持分法適用関連会社への移行などにより投資有価証券が798百万円増加した一方で、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の償還等により現金及び預金が3,919百万円、有価証券の一部売却及び減損により営業投資有価証券が327百万円減少したほか、未収入金及びその他の流動資産が726百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は12,678百万円となり、前連結会計年度末と比べ5,281百万円減少しました。これは主に、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債4,500百万円の償還、転換社債型新株予約権付社債1,527百万円の転換、返済による短期借入金の減少574百万円があった一方で、買掛金が813百万円、長期借入金が364百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は7,856百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,499百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が580百万円増加し、転換社債型新株予約権付社債の転換等により資本金及び資本剰余金が1,484百万円増加した一方で、連結子会社の持分法適用関連会社への異動等に伴い非支配株主持分が705百万円減少したものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より3,919百万円減少し、5,996百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、1,902百万円の流入(前連結会計年度は844百万円の流入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上1,408百万円及び仕入債務の増加1,065百万円による流入があったものの、売上債権の増加1,192百万円による流出があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、1,344百万円の流出(前連結会計年度は684百万円の流出)となりました。これは主に、貸付金の回収による収入270百万円があったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出1,112百万円、投資有価証券の取得による支出152百万円、有形固定資産の取得による支出124百万円及び無形固定資産の取得による支出142百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、4,632百万円の流出(前連結会計年度は4,088百万円の流入)となりました。これは主に、社債の償還による支出4,500百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
広告・マーケティング事業 |
28,916 |
129.3 |
|
投資事業 |
521 |
117.9 |
|
その他事業 |
61 |
122.1 |
|
合計 |
29,499 |
118.6 |
(注)1.当連結会計年度において、「DMP事業」を構成していた株式会社インティメート・マージャーを連結の範囲から持分法適用の範囲に変更したことにより、「DMP事業」を報告セグメントから除外しております。
2.セグメント間の取引は相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りは合理的な基準に基づいて行っておりますが、実際の結果は不確実性を伴うため、見積りと異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
イ 営業投資有価証券、投資有価証券の評価
当社グループは、非上場企業に対して投資先企業の将来成長による超過収益力を見込んで、1株当たりの純資産額を基礎とした金額に比べ相当程度高い価額で投資を行っております。このうち、非上場株式の評価にあたっては、当該株式の投資時の超過収益力を反映した実質価額が著しく下落した時に、投資時における投資先企業の事業計画の達成状況等を総合的に勘案して検討しております。
投資先の事業進捗の見通し等と実績に乖離が生じ超過収益力の毀損が認められた場合には、減損処理の実施により連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
ロ のれんの評価
当社グループは、のれんの減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
のれんにおける回収可能価額の評価の前提条件は、決算日時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。
② 当連結会計年度の財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高は、29,499百万円(前連結会計年度比18.6%増)、売上原価は、22,617百万円(前連結会計年度比18.6%増)となりました。増加の主な要因は、前連結会計年度より引き続きPlaywire,LLCの業績の北米を中心とする成長と国内の広告・マーケティング事業が堅調に推移したことによるものであり、売上増加に伴い媒体社への支払費用も増加しております。販売費及び一般管理費は、5,873百万円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。増加の主な要因は、海外の広告・マーケティング事業が好調なことから人件費が増加しているなどによるものであります。この結果、営業利益は1,009百万円(前連結会計年度比377.2%増)となりました。
営業外収益は335百万円(前連結会計年度比271.6%増)、営業外費用は232百万円(前連結会計年度比55.5%減)となりました。営業外収益の主な内容は、為替差益が発生したことによるものであります。また、営業外費用の主な内容は、持分法による投資損失、支払利息、及び資金調達関連費用によるものであります。この結果、経常利益は1,112百万円(前連結会計年度は経常損失221百万円)となりました。
EBITDAは修正予想1,250百万円を73百万円上回る1,323百万円(前連結会計年度比159.1%増)となりました。主な要因は、Playwire,LLCの成長や国内の広告・マーケティング事業の成長による営業利益の増加によるものであります。
特別利益は1,303百万円(前連結会計年度比171.5%増)、特別損失は1,007百万円(前連結会計年度比109.8%増)となりました。特別利益の主な内容は、関係会社株式売却益及び持分変動利益の計上によるものであります。特別損失の主な内容は、投資有価証券評価損、デリバティブ損失、貸倒引当金繰入額の計上によるものであります。
税金等調整前当期純利益は1,408百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失221百万円)となりました。法人税等は、473百万円(前連結会計年度比115.5%増)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は354百万円(前連結会計年度比54.8%増)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は580百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失669百万円)となりました。
なお、セグメント別には、広告・マーケティング事業の売上高は28,916百万円(前連結会計年度比29.3%増)、EBITDAは1,848百万円(前連結会計年度比82.0%増)、投資事業の売上高は521百万円(前連結会計年度比17.9%増)、EBITDAは124百万円(前連結会計年度比29.1%減)、その他事業の売上高は61百万円(前連結会計年度比22.1%増)、EBITDAは172百万円(前連結会計年度はEBITDA△128百万円)となりました。これは主として、広告・マーケティング事業においては、全体として新型コロナウイルス感染症による影響が売上・売上総利益の押し下げ要因となったものの、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」が順調に業績を牽引したほか、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」についても夏以降は順調に推移するなど業績を下支えしており、海外子会社の事業もPlaywire,LLCを中心に堅調に推移したことによるものであります。一方で、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響については、徐々に影響が限定的になってきてはいるものの、物理的な人の移動が前提となるプロダクト、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的強い海外の一部拠点における売上・売上総利益の減少要因となりました。また、投資事業においては既存の投資先について一部売却を行いました。さらに、その他事業においてはM&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2.事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源に関する情報
キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業利益水準が当連結会計年度と概ね横ばいで見込んでいることから、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と比較して横ばいとなる見込みであります。一方で、投資活動により得られるキャッシュ・フローについては、有価証券の取得等を見込んでおります。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、金融機関からの借入による資金調達を行い、借入金の返済に充当する等を見込んでおります。
以上の結果として、翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、当連結会計年度末と比較して減少する見込みです。
1 当社は、2020年11月16日開催の取締役会において、当社の特定子会社である株式会社インティメート・マージャーの株式の一部を譲渡することを決議し、2020年11月18日に株式譲渡いたしました。
該当事項はありません。