第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「人に人らしい仕事を」をコーポレートビジョンとして、国内外の広告業界において、広告主の広告価値最大化、媒体社の収益最大化を、卓越したプロダクトの提供により推進してまいります。また、広告以外の領域においても、当社の技術資産であるデータ解析基盤、機械学習エンジンをベースとして、流通・小売関連技術(Retail Tech)領域、金融関連技術(Fin Tech)領域など、既存の領域に捉われず、複数の産業領域に対して、「人に人らしい仕事を」に専念できるためのサービスを提供してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループが重要視している経営指標は、売上高及びEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益)であります。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等

 当社グループの経営環境及び中長期的な会社の経営戦略等はセグメント毎に分けております。

 DSP事業においては、インターネット広告市場における各領域の成長に合わせて、国内では既存の事業に加えて、コネクテッドテレビなどの新たなデバイスも対象領域に「Red」を積極展開するほか、海外では、すでに進出した拠点及びM&Aを実施した先の効率化による各個別拠点・子会社の収益化及びグループシナジーによる収益基盤の強化を重点戦略として進めてまいります。
 投資事業は、国内外において有望なベンチャー企業が誕生する環境が継続していると認識しており、これまでの投資実績を活かし引き続き将来有望なベンチャー企業への投資を行ってまいります。
 その他事業は、主な投資先である金融関連技術(Fin Tech)領域においては順調な売上拡大及び収益改善が続いており、今後も事業拡大を図る方針であります。
 なお、DMP事業は、同事業を営む株式会社インティメート・マージャーの株式を、2020年11月18日付で一部売却したことに伴い、当社の連結子会社ではなくなったため、今後は同事業は当社の主要事業から外れることとなります。

 

(4)優先的に対処すべき課題

① 開発力の更なる強化

 当社グループの更なる事業拡大にむけて、優秀なエンジニアの採用・育成の強化を国内のみならずグローバルに図ってまいります。

 また、優秀なエンジニアを確保するため、エンジニアのコミュニティーや勉強会で当社のプレゼンスを高め、外部エンジニアとのコネクションの拡充を行っていくとともに、様々な採用方法を活用してまいります。

 

② M&A等による事業成長及び事業領域拡大

 当社グループは、既存事業のシナジーが発揮できる事業領域及び当社グループの技術基盤を活用できる事業領域に対して投資を行い、また、M&A完了後においても適切なPMIを実施することで、持続的な成長に努めてまいります。

 

③ 内部管理体制の強化

 当社グループの経営の公正性・透明性を確保するために、内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、定期的な当社グループの内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査等委員監査による当社グループのコーポレート・ガバナンス機能強化に取り組んでまいります。

 

④ 情報セキュリティのリスク対応の強化

 当社グループは、ウィルスや不正な手段による外部からのシステムへの侵入、システムの障害及び役職員・パートナー事業者の過誤による損害を防止するために、引き続き優秀な技術者の確保や、職場環境の整備及び社内教育による情報セキュリティの強化を図ってまいります。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症への対応

 当社グループは、取引先様、グループの従業員とその家族等の安全と健康を第一に考え、時差出勤やテレワークの実施、リモート会議等を活用し、感染予防対策を徹底しております。感染拡大防止と事業の継続を両立させ、コロナ禍における事業資金の確保及び事業継続に注力していく所存です。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

2【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

 当社グループが行う事業は、技術革新・著しい市場環境の変化等に晒されております。本報告書提出日現在において、直ちに事業環境の著しい悪化につながる可能性のあるリスクは認識しておりませんが、リスク対策として、開発力の強化や仕入先の拡大等に引き続き努めてまいります。具体的な内容は次の通りです。

 

① インターネットの普及について

 当社グループは、主に国内外においてインターネット上でサービスの提供をしております。インターネットの更なる普及及び利用拡大、企業の経済活動におけるインターネット利用の増加等が成長のための基本的な条件と考えております。

 しかしながらインターネットの普及に伴う弊害の発生や利用に関する新たな法的規制や業界団体による規制の導入、その他予期せぬ要因により、今後の普及及び利用拡大を阻害されるような状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット広告市場について

 近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、2019年のインターネット広告市場はテレビメディア広告市場を上回るほどになっております。

 しかしながら、広告市場は、景気動向や広告主の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあるため、今後これらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ プログラマティック広告の普及について

 当社グループの主要サービスであるインターネット広告のプログラマティック広告取引は、広告業界において普及し、相応のシェアを占めるにいたりました。しかしながら、一部メディアにおいては従来の非プログラマティックな広告取引に回帰が見られるなど、その将来性はいまだ不透明な部分があることから、今後においてプログラマティック広告取引の普及及び利用が減退する状況が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 技術革新について

 インターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が早く、それに基づく新サービスが常に生み出されております。また、インターネット広告業界においても、新しい広告手法やテクノロジーが次々と開発されております。当社グループが、これらの変化へ適切に対応できない場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

 当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引を行っている事業者は、国内において数社存在しております。また、プログラマティック広告取引は、国内で今後拡大が見込まれており、海外の既存のプログラマティック広告取引事業者が日本国内のマーケットへ参入してきているため、参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 仕入先について

 当社グループの主要サービスであるプログラマティック広告取引は、取引形態の性質上、広告枠を提供するSSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社からの仕入が必要となります。そのため、SSP事業者、アドエクスチェンジ事業者及び媒体社の方針、事業戦略の転換等によって、取引が継続されず広告枠の仕入ができなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 法的規制について

 現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(2002年5月施行)や、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(2000年2月施行)、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(2008年6月成立)等の法的規制が存在しているほか、個人情報の取扱などについては、「個人情報の保護に関する法律」(2003年5月成立)等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からクッキー(ウェブサイト閲覧者のコンピューターにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。

 このため、今後、インターネット関連分野において新たな法令等の制定や、既存法令等の改正等による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 自然災害等について

 当社グループの事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止又は回避に努めております。万一、当社の本社所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害の発生や事故により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社グループが提供するDSP事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、2020年10月以降も継続するものの、ゆるやかな回復に向かうと仮定しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は不確定要素が多く、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業ポートフォリオに関するリスクについて

 当社グループの売上高は、DSP事業の収益が当社グループに占める割合が高く、DSP事業の経営環境が悪化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
 リスク対策として、DSP事業においては、海外への事業拡大により、従来の日本一国依存体制からの脱却を図り、地理的なリスク分散に努めております。
 また、DSP事業への依存度を減らすため、投資事業、その他事業等の成長にも注力しリスク分散に努めます。

 なお、新規事業、海外展開については、以下のリスクを認識しております。

 

① 新規事業について

 当社グループは今後も引き続き、積極的に新サービスないしは新規事業に取り組んで参りますが、これによりシステムへの先行投資や、人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 海外展開について

 当社グループのサービスの提供にあたっては、プログラマティック広告取引の世界的な普及、拡大にあわせて国際展開を進めております。海外市場への事業進出には、各国政府の予期しない法律又は規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化、為替制限や為替変動、電力・通信等のインフラ障害、各種税制の不利な変更、移転価格税制による課税等、海外事業展開に共通で不可避のリスクがあります。その他、海外市場が想定どおりに成長しない場合や当社グループのサービスが海外の顧客に浸透しないこと等を要因に、投資を回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システム等に関するリスクについて

 当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。
 しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウエアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故など、当社グループの予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。
 また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業運営体制に関するリスクについて

① 特定人物への依存について

 当社代表取締役である本田謙は、オンラインマーケティングに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

 当社は、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、代表取締役である本田謙に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成について

 当社グループは、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。

 しかし、必要な人材の確保及び育成が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

 当社グループは、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(5)その他

① 配当政策について

 当社は、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。そのため、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保につきましては、当社の競争力の維持・強化による将来の収益力向上を図るための設備投資及び効率的な体制整備に有効に活用する方針であります。

 

② 新株予約権の行使及び新株予約権付社債の転換による株式価値の希薄化について

 当社では、ストック・オプションとして役員及び従業員に対して新株予約権を発行しているほか、資金調達の一環として新株予約権及び新株予約権付社債を発行しております。新株予約権が行使された場合や、新株予約権付社債が転換された場合には、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新株予約権及び新株予約権付社債の条件は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況(2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

③ 資金調達について

 当社は、第1回~第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下、「新株予約権付社債」といいます。」を発行し、第1回新株予約権付社債(額面45億円)は償還期限の2020年10月に一括償還いたしました。第2回新株予約権付社債(額面15億円)及び第3回新株予約権付社債(額面15億円)については、株式への転換が進まなかった場合には、償還期日(2023年7月6日)において残存する新株予約権付社債につき額面での一括償還が必要となり、当社は他の資金調達手法によることを含めリファイナンス等の対応が必要となる可能性があります。

 また、当社グループでは、安定的な資金調達をはかるため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しておりますが、本契約には一定の財務制限条項が付されております。2020年9月期においては、シンジケートローン契約について当該財務制限条項に抵触があったものの全ての主要取引金融機関から期限の利益喪失請求を行わないことに同意を得られましたが、2021年9月期以降も当社グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 重要事象等について

 当社グループは、当連結会計年度において2期連続で経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことで、当社連結子会社が主要取引金融機関と締結しているシンジケートローン契約の財務制限条項に抵触することになりましたが、当社は各金融機関と協議を行い、財務制限条項への抵触に関して、全ての主要取引金融機関から期限の利益喪失請求を行わないことに同意を得ております。

 以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

⑤ M&A及び資本業務提携について

 当社グループは、同業他社等に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化することが可能であると考えており、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。今後もM&Aや資本業務提携等を通じて事業拡大又は人員確保を継続していく方針であります。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスク低減に努める方針でありますが、これらの調査で確認・想定されなかった事象がM&A等の実行後に判明あるいは発生した場合や、市場環境の変化等により事業展開が計画どおりに進まない場合には、対象企業の投資価値の減損処理を行う等、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米中の貿易摩擦による不透明感が強まったものの、米欧を中心とした先進国での堅調さにより、当初は落ち着いた成長を維持しておりました。また、当社グループが展開しているアジア諸国においては一人当たりGDPが、依然として緩やかな伸びを続け、マクロの所得水準はプラスの成長が続いておりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大が経済活動に急速に影響を及ぼしており、先行きの見通しが難しい状況が続いております。

 当社グループの主要な事業領域であるインターネット広告市場においては、2019年のインターネット広告費(注)が2兆1,048億円(前年比19.7%増)と広告費全体の30.3%を占めるまでに拡大しております。そのうち、運用型広告費においては、1兆3,267億円(前年比15.2%増)と高い成長をしております。

 このような状況のもと、当連結会計年度において当社グループはコーポレートビジョンである「人に人らしい仕事を」の実現を目指し、以下のような内容となりました。

 まず、国内インターネット広告市場においては、新型コロナウイルス感染症による影響で、広告主の予算の低下、物理的な人の移動を前提とするサービスの売上の減少などはあったものの、夏以降は株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」が比較的順調に推移いたしました。また、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」はインターネットメディアのView数増加によって過去最高の単月売上・売上総利益を計上いたしました。

 次に、海外においては、新型コロナウイルス感染症の影響がありましたが、米国法人Playwire,LLCが夏以降に急速に再成長し、業績を強く牽引したほか、台湾法人adGeek Marketing Consulting Co.,Ltd.、インドネシア子会社、その他の台湾子会社につきましても順調に収益に貢献しております。また、グローバルアプリ広告事業を営む本田商事社、中国子会社についても、新型コロナウイルス感染症の影響がひと段落して以降も収益貢献を継続するなど、今後に向けて順調に事業を推進しております。

 一方で、持分法適用会社では、タクシー内のデジタルサイネージを提供するIRIS社について、新型コロナウイルス感染症の影響で物理的な人の移動が減少した結果として、一時的に赤字となっております。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高24,878百万円(前連結会計年度比14.6%増)、営業利益211百万円(前連結会計年度は営業損失1,270百万円)、経常損失221百万円(前連結会計年度は経常損失1,497百万円)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益)510百万円(前連結会計年度は△491百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失669百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,512百万円)となりました。

 

(注) 出典:株式会社電通「2019年日本の広告費」2020年3月11日

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

(DSP事業)

 DSP事業では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」、アドプラットフォーム開発・運用支援「Red for Publishers」、ネイティブアドプラットフォーム及びトレーディングデスクの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組みました。

 当連結会計年度においては、全体として新型コロナウイルス感染症による影響が売上・売上総利益の押し下げ要因となったものの、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」が順調に業績を牽引したほか、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」についても夏以降は順調に推移するなど業績を下支えしております。

 また、海外子会社の事業はPlaywire,LLCが強力に業績を牽引したほか、adGeek Marketing Consulting Co.,Ltd.やグローバルアプリ広告事業を営む本田商事株式会社、中国子会社の黒字化などにより、海外全体として強く収益を牽引いたしました。

 一方で、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響については、徐々に影響が限定的になってきてはいるものの、物理的な人の移動が前提となるプロダクト、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的強い海外の一部拠点における売上・売上総利益の減少が生じております。

 この結果、DSP事業の売上高は22,361百万円(前連結会計年度比21.3%増)、セグメント利益は745百万円(前連結会計年度はセグメント損失284百万円)、EBITDAは1,015百万円(前連結会計年度比170.0%増)となりました。

 

(DMP事業)

 DMP事業では、インティメート・マージャー社がデータの活用によりクライアント企業のマーケティングを支援する事業を行っております。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による景気鈍化が、同社の顧客である旅行業界やエンターテインメント業界を中心とする特定業種の広告費抑制の影響を及ぼしておりましたが、2020年6月以降は営業再開をしている顧客からの受注は回復し、顧客数も若干の持ち直しを見せる結果となりました。

 この結果、DMP事業の売上高は2,023百万円(前連結会計年度比6.6%減)、セグメント利益は39百万円(前連結会計年度比69.0%減)、EBITDAは43百万円(前連結会計年度比70.7%減)となりました。

 

(投資事業)

 投資事業では、従前より、将来有望なベンチャー企業への投資を行い、一定の成果を上げてまいりましたが、当連結会計年度より、安定的な収益基盤の拡大とそれに伴う企業価値の向上を図るため、投資事業部門を設立し、投資活動を組織的に事業として行うことを決定しております。

 当連結会計年度においては、既存の投資先について一部売却を行いました。

 この結果、投資事業の売上高は442百万円、セグメント利益は180百万円、EBITDAは175百万円となりました。

 

(その他事業)

 その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしております。

 当連結会計年度においては、M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 この結果、その他事業の売上高は50百万円(前連結会計年度比95.5%減)、セグメント損失は159百万円(前連結会計年度はセグメント損失1,116百万円)、EBITDAは△128百万円(前連結会計年度は△1,018百万円)となりました。

 

 財政状態は次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は24,316百万円となり、前連結会計年度末と比べ77百万円増加しました。これは主に、未収入金が3,186百万円減少したものの、現金及び預金が4,226百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は17,959百万円となり、前連結会計年度末と比べ393百万円減少しました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債が3,027百万円増加したものの、未払金が3,488百万円減少したことによるものであります。

 なお、当連結会計年度末日後である2020年10月5日に期限が到来した第1回転換社債型新株予約権付社債4,500百万円を償還しております。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は6,356百万円となり、前連結会計年度末と比べ470百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少669百万円の一方で連結子会社の上場に伴う増資等により非支配株主持分が291百万円増加及び2020年6月に実施した資金調達のうち、第10回新株予約権の行使により資本金、資本剰余金がそれぞれ314百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より4,226百万円増加し、9,916百万円となりました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度末日後である2020年10月5日に期限が到来した第1回転換社債型新株予約権付社債4,500百万円を償還しております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動においては、844百万円の流入(前連結会計年度は1,759百万円の流入)となりました。これは主に減価償却費の計上273百万円、貸倒引当金の増加271百万円及び仕入債務の増加267百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動においては、684百万円の流出(前連結会計年度は5,352百万円の流出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入748百万円があったものの、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出847百万円及び投資有価証券の取得による支出550百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動においては、4,088百万円の流入(前連結会計年度は6,130百万円の流入)となりました。これは主に、第2回及び第3回の新株予約権付社債の発行による収入2,916百万円及び長期借入れによる収入1,396百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

DSP事業

22,361

121.3

DMP事業

2,023

93.4

投資事業

442

-

その他事業

50

4.5

合計

24,878

114.6

(注)1.当連結会計年度より、事業セグメントの区分方法を見直し、報告セグメントの区分を「DSP事業」「DMP事業」「投資事業」「その他事業」に変更しております。そのため、「投資事業」については前連結会計年度比の記載は行っておりません。

2.セグメント間の取引は相殺消去しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
 この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りは合理的な基準に基づいて行っておりますが、実際の結果は不確実性を伴うため、見積りと異なる場合があります。
 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

イ 営業投資有価証券、投資有価証券の評価
 当社グループは、発行体の財政状態・経営成績及び超過収益力の毀損の有無等をもとに、営業投資有価証券、投資有価証券の評価を行い、価値が著しく下落していると判断した場合には、実質価値まで帳簿価額を減額し、当該減少額を売上原価又は特別損失として計上しております。
 実質価値の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断していますが、市場の変化や予測できない前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、評価額に影響を受ける可能性があります。

ロ のれんの評価
 当社グループは、のれんの減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 のれんにおける回収可能価額の評価の前提条件は、決算日時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

② 当連結会計年度の財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高は、24,878百万円(前連結会計年度比14.6%増)、売上原価は、19,071百万円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。増加の主な要因は、前連結会計年度の第3四半期から連結子会社化したPlaywire,LLCの業績の通年寄与及び北米を中心とする成長によるものであり、売上増加に伴い媒体社への支払費用も増加しております。販売費及び一般管理費は、5,595百万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。減少の主な要因は、海外事業での一部不採算拠点からの撤退によるコスト減や前連結会計年度末に減損処理をしたのれんの償却費減などによるものであります。この結果、営業利益は211百万円(前連結会計年度は営業損失1,270百万円)となりました。

 営業外収益は90百万円(前連結会計年度比54.9%減)、営業外費用は522百万円(前連結会計年度比22.4%増)となりました。営業外収益の主な内容は、受取利息及び有価証券利息が発生したことによるものであります。また、営業外費用の主な内容は、持分法による投資損失、為替差損、及び資金調達関連費用によるものであります。この結果、経常損失は221百万円(前連結会計年度は経常損失1,497百万円)となりました。

 EBITDAは期初予算500百万円を10百万円上回る510百万円(前連結会計年度は△491百万円)となりました。主な要因は、Playwire,LLCの通年寄与及び成長による貢献のほか、販売費及び一般管理費の削減によるものであります。

 特別利益は480百万円(前連結会計年比404.5%増)、特別損失は480百万円(前連結会計年度比69.4%減)となりました。特別利益の主な内容は、関係会社株式売却益及び持分変動利益の計上によるものであります。特別損失の主な内容は、減損損失、関係会社整理損失引当金繰入額、貸倒引当金繰入額の計上によるものであります。

 この結果、税金等調整前当期純損失は221百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失2,973百万円)となりました。法人税等は、219百万円(前連結会計年度比53.6%減)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は228百万円(前連結会計年度比247.7%増)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は669百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3,512百万円)となりました。

 なお、セグメント別には、DSP事業の売上高は22,376百万円(前連結会計年度比21.2%増)、EBITDAは1,015百万円(前連結会計年度比170.0%増)、DMP事業の売上高は2,042百万円(前連結会計年度比6.7%減)、EBITDAは43百万円(前連結会計年度比70.7%減)、投資事業の売上高は442百万円、EBITDAは175百万円、その他事業の売上高は920百万円(前連結会計年度比33.2%減)、EBITDAは△128百万円(前連結会計年度はEBITDA△1,018百万円)となりました。これは主として、DSP事業においては、全体として新型コロナウイルス感染症による影響が売上・売上総利益の押し下げ要因となったものの、ネイティブアドプラットフォーム「Poets」が順調に業績を牽引したほか、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」についても夏以降は順調に推移するなど業績を下支えしており、海外子会社の事業もPlaywire,LLCを中心に堅調に推移したことによるものであります。一方で、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響については、徐々に影響が限定的になってきてはいるものの、物理的な人の移動が前提となるプロダクト、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的強い海外の一部拠点における売上・売上総利益の減少要因となりました。また、DMP事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、受注の回復等により若干の持ち直しを見せております。さらに、投資事業においては既存の投資先について一部売却を行いました。加えて、その他事業においてはM&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2.事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源に関する情報

 キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業利益水準が当連結会計年度と概ね横ばいで見込んでいることから、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と比較して横ばいとなる見込みであります。一方で、投資活動により得られるキャッシュ・フローについては、大規模な投資を現時点では予定しておらず、かつ、有価証券の売却等の影響が生じることから、増加する見込みであります。これに対して、財務活動によるキャッシュ・フローについては、大規模な資金調達を現時点では想定していない一方で、2020年10月に第1回新株予約権付社債45億円の償還が生じているため、大きく減少する見込みです。

 以上の結果として、翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、特に財務活動によるキャッシュ・フローの減少を主な理由として、当連結会計年度末と比較して低い水準となる見込みです。

 

4【経営上の重要な契約等】

1 当社は、2019年12月16日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるGardia株式会社の株式の一部を譲渡することを決議し、2019年12月20日に株式譲渡契約を締結いたしました。

 なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

2 当社は、2020年6月19日開催の取締役会において、第三者割当による第2回及び第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行、並びに第10回新株予約権の発行し、それぞれ2020年7月6日に契約の締結が完了しております。

 なお、新株予約権付社債の詳細は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ③その他の新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

3 当社は、2020年11月16日開催の取締役会において、当社の特定子会社である株式会社インティメート・マージャーの株式の一部を譲渡することを決議し、2020年11月18日に株式譲渡いたしました。

 なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。