第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、社是として、経営の考え方の根幹であり社名の由来でもある『夢現』(夢を現実に)を掲げ、お客さまの夢を実現することで会社としても成長し、ステークホルダーを含めたすべての人の夢の実現を目指しております。

そのために、ミッションを、『不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する』とし、事業活動を通して地球温暖化、少子高齢化、空き家問題や住宅ストックの老朽化等、不動産業界が抱える数々の社会課題の解決に取り組み、持続的な企業価値の向上を目指しております。
 また、ミッションの実現に向けた、行動の基軸として『速さを追求』『あくなき挑戦』『多様な連携』『先を見通す』『貫く責任』の5つのバリューを定めております。

 

(2)経営環境と中期的な会社の経営戦略

[経営環境]

当社グループが属する不動産業界では、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の長期化等により、資材の高騰や供給不足が見られましたが、不動産需要は堅調に推移し、継続する低金利環境を背景に、不動産価格は安定的に上昇してきました。
 居住用不動産に関しましては、テレワークの増加や定着に伴う、より広い物件への住み替えニーズの高まりに加え、首都圏新築マンションの供給が減少したことによるマンション価格の高騰が、比較的、低価格な中古マンションへの高い需要につながったこと、中古マンション事業者のリノベーション力が向上したことによりデザイン性・機能性に優れた新築マンションと遜色ない物件が供給されるなど、中古マンションの需要は年々高まっております。その結果、2016年以降、首都圏においては中古マンションの契約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状況が続いております。

投資用不動産に関しましては、低金利が続く中、国内の不動産投資家の投資意欲は高い需要を維持しております。また、直近では新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和や円安を背景に、海外投資家の日本の不動産に対する需要が高まりつつあります。
 一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、供給面での制約並びに金融資本市場の変動の影響等、先行きの不透明感が増しております。

 

[中期的な会社の経営戦略]

当社グループでは、2022年12月期を初年度とする3カ年の第2次中期経営計画を進め、この3カ年では、「事業拡大に向けた収益基盤の強化」「収益機会を捉えるネットワークの構築」「事業成長を支える組織力の向上」「事業拡大・成長を支えるDXの推進」を経営の基本方針として掲げ、大きく飛躍することを目指しています。
 具体的には、主力の買取再販事業は、新たに首都圏に開設した6店舗の営業所を中心に、高い需要が見込まれる居住用不動産に注力することで更なる拡大を進めています。
 成長事業の一つである不動産開発事業は、これまで当社グループが長年培ってきたノウハウを活かしつつ、ESGやSDGsを意識した賃貸マンションやオフィスビルの開発を当社グループ間のシナジーを活かし拡大を図ります。もう一つの成長事業である不動産特定共同事業は、販売ネットワークの拡充をしつつ、組成商品の多様化、規模の拡大を図り大きく成長させてまいります。
 これらの事業戦略を支える、経営基盤の強化として、人材の採用・拡充と育成、ガバナンスの強化、DXの推進、財務健全性の確保、株主還元の強化に加えて、新たに策定したサステナビリティ基本方針のもと、プライム市場上場企業に求められるサステナビリティ水準を充足してまいります。

 

[サステナビリティ経営の推進]

 当社グループは、ESGを最大限に考慮し、持続可能な社会環境づくりに貢献する経営を心がけております。その一環として企業の社会的責任(CSR)ではなく、事業と社会貢献の両立(CSV)の経営スタイルへとシフトチェンジしていくことで会社の価値を高める努力を続けてまいります。

 

① 環境 Environment

近年、気候変動は大きな社会経済リスク及び機会をもたらす要因となっており、世界各国で脱炭素化の動きが広がっています。

当社グループの主力事業である買取再販事業は、中古不動産の再生・流通を促し、今ある資源を有効活用する環境に優しいビジネスモデルであります。一方で、水害など気候変動によるさまざまな影響を受ける可能性もあり、気候変動への対応が事業の持続可能性に不可欠であると認識しております。持続可能な社会の実現のため、環境に配慮した事業活動への取り組みの一環として、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同するとともに、気候変動に起因する事業等のリスク・機会の把握と適切な情報開示を行ってまいります。

 

詳細につきましては、2023年2月14日付にて公表した「TCFD提言に基づく情報開示に関するお知らせ」をご参照ください。

  
イ.戦略

   TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察する為、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うため、シナリオ分析を実施いたしました。

   今回、初年度のシナリオ分析として、2050年時点を想定し、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けて野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。

   考察の結果、いずれのシナリオにおいても、気候変動起因による主なリスクとして、洪水や高潮による保有資産への物理的な被害が想定されております。今後の対応として、ハザードマップを意識した不動産立地選定基準の強化等、事業のレジリエンス性を高めるためにより一層の災害対策を講じてまいります。

   一方、機会として1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴うZEB・ZEH化による再エネ・省エネ関連のリフォーム工事の需要増加や、中古不動産の環境価値向上による事業収益機会の増加が想定されております。今後も環境に配慮した事業活動を通じて、脱炭素社会への貢献を行うとともに、気候変動の抑制に寄与してまいります。

 

  ロ.指標と目標

   当社グループでは、自社事業活動におけるGHG排出量(Scope1,2)を指標とし、環境に配慮した事業活動を推進してまいります。

中期的な削減目標として、2030年度に売上高あたり46%削減(2021年度比)を掲げるとともに、長期的な目標として、パリ協定の目標を参考に2050年度カーボンニュートラルを目指してまいります。

今後、事業の成長や新規事業への参入に伴うGHG排出量の増加が想定されますが、再エネの導入や非化石証書利用の検討も視野にいれ、長期的な目標達成のために事業の脱炭素化を推進してまいります。

一方で、Scope3(自社以外の間接排出量)の排出量の削減は重要課題と認識しており、早期に当社グループの排出量実績の把握、削減方法の検討及び削減目標値の設定を実施してまいります。


② 社会 Social

当社グループがミッションとして掲げる「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」を実践することで、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な成長に挑戦してまいります。

ミッションを実現するためには付加価値の源泉である人材の確保と育成が不可欠であると認識しております。第2次中期経営計画で「人材の採用・拡大と育成」を重点施策とし、施策を着実に実行していくために「人材ビジョン」と「求める人物像」を制定し、一人ひとりが目標や夢に向かって挑戦し続け、能力を最大限に発揮し多様な人材の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでまいります。

 

イ.人材ビジョン

 ムゲンエステートグループの原動力は、自ら構想し、挑戦し、変化に対応できる人の力です。
多様な価値観を認め合い、誠実に、粘り強く、強い覚悟を持つ人材を輩出することで、社会に新たな価値を創造し、提供してまいります。

 

 

求める人物像
 

 


 

ロ.人材ポリシー

「人材ビジョン」の達成と「求める人物像」の採用・育成を実行するために、人的資本に係るカテゴリーを6項目に分け、それぞれの「あるべき姿」を人材ポリシーとして策定し企業方針として定めております。この方針に基づき、多様な従業員が働きがいを持ち、一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。

 


 

 

当社グループでは、人材ポリシーに対して現状の課題を解決すべく、各施策の進捗度を測るKPIを設定しております。外部環境や施策の進捗状況に応じて柔軟な見直しができるよう動的な人材ポートフォリオに連動させ、場合によっては具体的施策の見直しなども踏まえながら、モニタリングする体制を整えております。

 

 

ハ.人的資本の強化・人材戦略を支える3つの柱

人的資本の強化・人材戦略を支える3つの柱として「人材獲得の強化」「人材育成の強化」「リテンションの強化」を据えています。当社グループに必要なスキルを特定し、計画的に人材の「獲得」「育成」「リテンション」のための施策を展開してまいります。

 

<人材獲得の強化>

当社グループは経営戦略実現のために、成長事業・重点領域・第2次中期経営計画達成遂行に資する人材を積極的に採用し、必要な人材の質と量を充足することで、組織の最適化を進めてまいります。

即戦力強化のため、キャリア採用を強化し専門性の高い職種を積極的に採用することで、人材の活力と多様性を確保いたします。一方で、ポテンシャルの高い人材確保・育成に向けては新卒採用に加えて、若年層でのキャリア採用も活用してまいります。

また、多様な人材が活躍できる機会を提供するために、当社グループは「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」や「女性活躍推進」等を推進していくことが重要であると認識しております。

 

「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」

当社グループの多様な人材による発想は、持続的成長の基盤となるイノベーションの源泉であり、ダイバーシティの推進は重要な経営戦略の一つだと考えております。グループが成長していくためには、変化し続ける社会や多様な価値観に柔軟に対応し、潜在的な市場を発掘できる新たな価値の創出が必要となってきます。それには従業員の多様な価値観、ジェンダー、世代、民族、言語、文化、障がいの有無、ライフスタイルなどを活かした視点や発想を活用することができる職場風土を醸成し、今までの常識や既成概念にとらわれない発想を継続的に生み出すことができる組織を形成していかなければなりません。当社グループでは多様な人材が個性や能力を発揮できる機会と環境の整備に取り組んでおり、役割と成果、能力に応じた公正な評価に基づいて役職や処遇が決定されております。

 

「女性活躍推進」

2022年12月時点で、女性の従業員構成比は23.0%、女性管理職比率は3.7%です。出産・育児休暇後の女性従業員全員が復職しており、仕事と育児を両立しております。

また、今後もさらなる女性の活躍推進を目指し、育児・介護休業法で定められた短時間勤務の対象年齢の拡充や、介護・看護休暇についても法定で定められた内容を上回ることを目標に、子どもを安心して出産し育てられる職場環境づくりや、出産祝金制度、女性が能力を十分に発揮できるようなキャリア支援を実施しております。具体的には、女性従業員を対象としたキャリア研修や、リーダーシップ研修の継続実施や従業員のコミュニティづくりの支援を実施しております。

女性管理職比率については2025年度までに8%とする目標を掲げております。その実現に向けて、2021年度に導入した新人事制度を軸に、採用面の強化、配置・登用、人材育成、個々人が最大限に力を発揮できる環境整備を行ってまいります。こうした取り組みにより、多様な人材の力を競争力の源泉として生かし、さらなる成長や企業価値の向上を図っていきます。

 

<人材育成の強化>

当社グループの企業理念である『夢現』(夢を現実に)に込められた思いを実現するため、様々な育成プログラムを提供しております。能力を最大限に発揮し、多様な人材の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでおります。今後も国籍を問わず優秀な人材を適材適所で積極的に育成・登用し、強靭な組織力の構築や企業価値の向上に繋げてまいります。

 

 

<リテンションの強化>

当社グループが、変化の激しい事業環境・社会情勢の中で企業価値を向上させていくには、多様な価値観を持ったさまざまな従業員一人ひとりが、当社グループのミッションを共通の価値観とし仲間やパートナーと連携して挑戦を続けることが重要であると認識しております。企業理念の浸透と実践の場を提供し、従業員が成長を実感することで、エンゲージメントの向上、ひいては人材のリテンションにつなげてまいります。

 

「ワークライフバランスの推進」

当社グループでは、妊娠(配偶者の妊娠を含む)・出産・育児・介護・疾病治療など、ライフステージのさまざまな変化に左右されることなく多様で柔軟な働き方で能力を発揮できる環境整備に努めております。

 

「男性育児休業取得促進」

 当社グループでは、男性の育児参画を推進しております。育児休業については社内啓蒙や社内研修などをすることで男性社員の取得を促しています。育児休業以外にも、有給休暇や、短時間勤務、有給の介護・看護休暇など育児目的に使用できる制度は充実しており、制度を組み合わせながら男性も積極的に育児に関わることを推奨しております。

 

「有給休暇の取得率向上」

 当社グループでは、有給休暇の取得率向上を目指しています。社員の健康維持や心身のリフレッシュに向けて、有休奨励日を設定し休暇の取得が促進されるよう取り組んでおります。

 

「残業時間の抑制・ノー残業デーの導入」

 当社グループでは、「働き方改革」の一環といたしまして社員の両立支援、ワークライフ・バランス(仕事と生活の調和)を充実させるため、ノー残業デーへの取り組みを強化し従業員自身の働き方を見直し、より効率的に業務を行うことで、労働時間の短縮、仕事とプライベートの両立を目指しております。

 

「エンゲージメント」

 従業員が仕事に対してどの程度の関心を持っているか、どの程度満足しているかなどを定量的に把握し、組織のパフォーマンスの向上、生産性の向上、従業員のモチベーションの向上、離職率の削減などにつなげることを目指してエンゲージメントサーベイを実施しております。より良い組織づくりに向けた改善施策を構築し、組織の隅々にまで波及・浸透させてまいります。また、個人の状態把握、上長とメンバーのコミュニケーション促進を目的とした取り組みを実施してまいります。

 これらの結果を踏まえて人材の確保や定着に関するリスクを適切に把握することで、従業員の活力と会社の業績向上、事業の持続的な成長を支える優秀な人材の定着へと結び付けております。

 

「タウンホールミーティングの実施」

 当社グループでは、経営陣と従業員とが直接対話できる場を設けております。社長を含む経営陣が現場の声をダイレクトに聴き、素早く経営に反映させることを目的とするとともに、経営陣と現場の円滑なコミュニケーションの場として活用されております。

 

「経営参画の意識向上」

 当社グループでは、従業員に対して自社株式の購入を奨励する「従業員持株会」を設けており、各自の拠出金に会社が奨励金を付与しています。これにより、従業員の経営参画の意識向上に寄与するとともに、従業員の長期資産形成を支援しております。

 

「健康経営」

従業員が健康でいきいき働き続けることが、当社グループのミッションである「不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する」の実現に不可欠であると考えております。健康経営を、持続的な企業価値の向上や社会価値の創出に向けた戦略のひとつに位置付け取り組んでおります。心身の健康は、従業員にとって、また家族にとっても大変重要であると認識しており、全従業員が、心身ともに健康でやりがいを持って働き、「この会社で働いて良かった。有意義な時間を過ごせて良かった。」と思える取り組みを推進してまいります。

具体的には産業医の指導のもと、社員に健康で快適な作業環境を提供しております。感染症流行時には、当社グループのリスク管理規程に基づき、緊急対策本部を立ち上げ、在宅勤務や時差出勤を導入し、感染防止につとめております。メンタルヘルス対策として、年に一回ストレスチェックを実施し、社員からの個別相談を受け付ける相談窓口を設置しております。また、禁煙手当を導入し喫煙や受動喫煙による健康リスクの極小化を図っております。


③ ガバナンス Governance

当社グループは、事業を通して持続可能な社会の実現を推進するために、代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」を設置しております。

同委員会は原則年に2回以上開催するものとし、気候変動課題を含む当社グループのサステナビリティ課題について、審議・検討を行い、サステナビリティ活動に関する全体計画の立案、進捗状況のモニタリング、達成状況の評価を行っております。

また、サステナビリティ委員会にて審議された重点課題及び対応方針については、取締役会にその推進状況を報告し、必要に応じて取締役会にて審議及び対応の決定を行ってまいります。

役割

担当

委員長

代表取締役社長

委員メンバー

取締役会が選任した委員及び事業部門責任者や社外取締役

※必要に応じて社外専門家の招集を行う。

事務局

経営企画部門

設置時期

2022年7月

 

 

当事業年度から有価証券報告書提出日現在において、サステナビリティ委員会では以下の議題に関して審議・検討を行い、取締役会に付議・報告し、取締役会で決議しております。

開催月

議題

2022年9月

ESG経営について研修

CDPへの回答について報告

気候変動 ガバナンス・リスク管理について(TCFD対応)

人材ビジョン・育成方針・人材戦略について(人的資本対応)

2022年11月

気候変動 戦略・指標と目標について(TCFD対応)

TCFD提言への賛同について

As is - To be・施策とKPIについて(人的資本対応)

2023年2月

TCFD提言に基づく情報開示について

人的資本の開示について

女性活躍推進プロジェクトについて

 

 

 

 

サステナビリティ推進体制


 

(3)目標とする経営指標

第2次中期経営計画では、財務の健全性とともに、事業の成長性・効率性・健全性・株主還元を重要な経営指標としております。また、第2次中期経営計画の2年目である2023年12月期の連結業績見通しにつきましては、足元の事業環境を鑑み、数値目標を修正し、売上高は458億65百万円(前期比46.8%増)、営業利益は36億25百万円(同21.8%増)、経常利益は28億40百万円(同23.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億63百万円(同19.1%増)を予想しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(2)に記載の経営環境を背景に、(1)及び(2)に記載の経営方針及び中期的な会社の経営戦略を実行する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

 不動産売買事業における新規物件の取得
当社グループは、不動産買取再販事業を既存事業、不動産開発事業及び不動産特定共同事業を成長事業として事業規模の拡大を図っております。いずれの事業におきましても、不動産価格の上昇及び高止まりにより新規物件の獲得が一層難しくなっております。新規物件の獲得には、幅広く情報収集し、スピード感を持った判断が必要となってまいります。

当社グループでは、幅広いアセットタイプを取り扱うこと、また、首都圏に展開する営業所にてエリア深耕を図ることで、多くの仲介会社から情報を獲得できるよう取り組んでおります。また、ITを活用した仕入判断力の強化や迅速な判断を行うことで、新規物件の仕入を進めてまいります。

 

② 販売用不動産の在庫回転率の向上
新型コロナウイルス感染症の拡大、働き方の変化によるオフィスの在り方、ウクライナ情勢の長期化等による資材高騰や供給遅延、金利動向など、2023年12月期も不動産市況は不透明な状況が続くと想定しております。市場環境が目まぐるしく変化しており、そのような環境において、不動産の保有期間を短期化し在庫回転率を高めることで、市場変化に迅速な対応が可能であると考えております。

当社グループでは、これまで以上に稼働率改善のスピードを早め、内外装工事の短期化を図ることで早期の商品化に取り組んでおります。また、仲介会社向けの物件紹介サイトの機能の充実や、不動産テックを利用した販売活動の効率化・顧客の購入意欲の向上を図る等、情報を提供する環境を整備していくことで、早期の販売を行ってまいります。

 

③ 工事原価削減による収益性の向上
ウクライナ情勢の長期化等による資材高騰や供給遅延、建設業界の需要増に起因する労務費の高騰により、工事原価が増加する傾向にあります。

当社グループでは、常に資材調達先や工事協力会社の拡充を行うことで調達コストや委託費用の適正化を図り、加えて、業務オペレーションの見直しによる労務費単価の低減や工期短縮にも努め、売上総利益率の維持・改善に取り組んでおります。

 

④ 消費税法の改正
2020年4月に消費税法等の一部が改正され、2020年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないことと改正されました。これにより、施行日以後に仕入れを行った居住用賃貸建物に関しましては、原則、その仕入税額を全額租税公課に計上するため、販売が長期化した場合、租税公課が大きく増加することになります。

当社グループでは、仕入控除税額の対象となる仕入年度を含む第3年度の期間中に販売できるよう在庫期間の短縮を図り、在庫回転率の向上に努めてまいります。

 

⑤ 成長を支える安定収益の拡大
当社グループは、主力の不動産売買事業の連結売上高が全体の90%程度、セグメント利益の80%以上を占めており、将来的な不動産市況の変化に備えるための安定収益の確保が課題となっております。

そのため、長期・安定的な収益確保の機会として、優良資産の獲得と管理戸数の増加に取り組んでおります。優良資産獲得に関しましては、不動産動向を見極めた上で、各年度のキャッシュ・フローや手元資金の水準を考慮し取得を決定しております。管理戸数の増加に関しましては、当社保有不動産の売却時にアセットオーナーからの受託を得られるよう営業部門と連携し、契約獲得に取り組んでおります。

 

⑥ 既存事業及び新規事業への積極的な投資
当社グループは、主力事業である不動産買取再販事業へこれまで以上に積極的な投資を行うとともに、外部環境の変化を踏まえた成長分野への新規参入を慎重且つ積極的に行うことにより、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを目指しております。
足許では、成長事業である不動産開発事業・不動産特定共同事業の収益を拡大させて、新たな事業の柱として構築することを目指してまいります。不動産開発事業は、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢の長期化等により、資材高騰や工賃の上昇など収益性を確保するのが難しい状況が続いておりますが、立地の選定や品質の向上だけではなく、ESG・SDGsを意識したプランニングを行い、付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。不動産特定共同事業は、組成商品・組成スキームの多様化や出口戦略の拡充、販売ネットワークの拡大を図り、年間組成数の増加、組成枠の拡大に取り組んでまいります。

新規事業に関しましては、全てを内製化し単独で事業推進するよりも事業化や収益化までの期間を考慮し、他社との業務提携やM&Aなどの戦略的投資も活用し推進してまいります。

 

⑦ 環境課題への取り組み強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、環境課題への取り組みが重要であると認識しております。特に気候変動は世界的にも大きな問題となっており、脱炭素社会への動きが広がっております。当社グループにおいても脱炭素社会への移行に対応すべく、環境に配慮した事業活動への取り組みを推進してまいります。
また、当社グループは金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言に基づく情報を開示しており、今後も気候変動に起因する事業等のリスク・機会の把握と適切な情報開示を行ってまいります。

 

 

⑧ 人材採用・育成・組織力の強化
当社グループが持続的な成長を達成するためには、付加価値の源泉である人材の継続的な確保や、育成により組織力を強化することが重要であると認識しております。
採用面では新卒・キャリア両面の採用強化に取り組むとともに、社員が活躍・チャレンジできる風土の醸成とダイバーシティの推進を行うことで競争優位性を確保いたします。育成面では、社内外の教育研修プログラムの充実による人材の育成、OJT等を活用しマネジメントに長けた中核人材の育成・拡充、能力に応じた人事制度の確立、専門スキルの取得を推奨しております。

当社のミッションを共通の価値観とし、人的資本及び組織としての能力の底上げをしてまいります。

 

⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性の確保及び環境の変化に迅速・適切に対応することが重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスはその重要な経営課題の一つと位置付けており、業務執行責任者に対する監督・牽制の強化、情報開示による透明性の確保、業務執行の管理体制の整備を推進して、ガバナンス機能の強化を図ってまいります。
2021年11月に設置した指名・報酬委員会をはじめ、2022年1月には執行役員制度の導入、同年7月にはサステナビリティ委員会を設置するなど、社外取締役による監督や牽制の強化、経営の意思決定の迅速及び機動的な業務執行の実現、並びに持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ課題への対応を図ることで、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させ、中長期的な企業価値向上に努めております。

また、当社は2022年4月に市場区分の見直しによりプライム市場を選択・上場しましたが、流通株式時価総額及び売買代金の基準を充たしておりませんので、業績の向上・IR活動の強化・株主への利益還元強化とコーポレート・ガバナンスの強化を図ることで上場維持基準の安定的な充足を目指してまいります。

 

⑩ 資本効率の改善
当社グループは、事業規模の拡大と高い財務健全性を維持しつつ、主力事業及び成長事業への投資を実行するとともに、株主還元の充実を図ることを経営戦略の基本方針としております。また、中長期的な企業価値向上を図るための重要指標の一つとしてROEの向上を掲げております。環境変化に対応するための財務余力を確保しつつ、資本と負債のバランスを意識しながら、株主資本コストを上回るROEの持続的な向上に取り組んでおります。

 

 

2 【事業等のリスク】

[基本方針]

当社グループでは、物理的・経済的若しくは信用上の損失又は不利益を生じさせる要因となりうる事象をリスクと特定し、経営への影響度と発生可能性で評価し、アセスメント結果を基に当社グループとしての重要リスクを決定しております。その中でも、リスクが顕在化した場合に事業に重大な影響を及ぼすものをモニタリング対象リスクとして特定し、リスク対策の進捗などを重点的にモニタリングすることで、全社的なリスク対策の強化を図っております。

経営戦略を実行する上で、潜在するリスクが発生しないように適切な対応を定めるリスクマネジメント体制を構築するとともに、重大なリスクが発現した場合の損失を最小限に抑えるクライシスマネジメント体制も整えております。

新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発出された際には、当社グループの緊急事態対応規程に基づき、緊急対策本部を設置し、事業に及ぼす影響等をアセスメントし、感染拡大防止及び事業継続の2つの観点から必要な対策を実施しました。

 

[リスク管理体制]

当社グループのリスクマネジメントの推進にあたっては、管理本部長を委員長とした「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」を当連結会計年度中に5回開催し、当社グループ内の顕在化したリスクの把握、それに対する再発防止策やリスク低減等に関する施策を審議するとともに、有効性に対する評価・モニタリングを行い、その結果を取締役会へ報告しております。

各部門及びグループ会社の責任者が出席するリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において、外部環境、内部環境、業務プロセスの項目にリスク分類し、各分類から抽出されたリスクを影響度と発生可能性の観点からリスクアセスメントを実施し、企業活動に重大な影響が想定されると評価したリスク項目をモニタリング対象リスクとして特定しております。さらに特定したモニタリング対象リスクごとに関連部門から担当責任者が任命され、委員会下部にある分科会においてリスク対応策を検討・実行しております。進捗状況は、四半期ごとにモニタリングを通じて確認され、必要に応じた是正・改善が行われ、取締役会に報告しております。

また、気候変動に起因するリスクについては「サステナビリティ委員会」にて、各部門よりリスクを抽出し、定性・定量の両面から評価を行った上、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会に報告を行うことで、当社グループ全体のリスクマネジメントに統合をしております。

 

 

[リスク管理体制図]


 

[主要なリスクとして認識している事項]

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)経済動向・社会・制度等の変化に関するリスク

社グループの事業は、不動産という社会インフラ、税や各種規制といった法制度、株式市場などの経済動向、最近では海外投資家への販売が増加していることから、各国の法規制など、様々な要因の影響下にあります。これらに変化が生じた場合、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、中期経営計画において4つの経営方針「事業拡大に向けた収益基盤の強化」「収益機会を捉えるネットワークの構築」「事業成長を支える組織力の向上」「事業拡大・成長を支えるDXの推進」を定めております。これまで買取再販事業を中心に成長を続けてきたため、本事業に対する様々なリスクへの影響が大きくなっていることから、多様な不動産関連商品・サービスを提供し、特定の事業に依存しないポートフォリオとすることで、そのリスク発生時の影響を最小化する取り組みを行っております

 

(2)仕入・販売に関するリスク

当社グループの主力事業である不動産売買事業は、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を中心に展開しており、居住用不動産の買取再販については参入障壁も低いため、各社との競争環境が厳しくなっております。投資用不動産に関しましても大手不動産会社が新たに事業参入するなど、競争環境は年々厳しさを増しており、当社グループが目標とする利益率の確保が行えない環境となり、計画どおりの仕入・販売が行えない場合には、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、幅広いアセットタイプや価格帯を取り扱うこと、スピード感のある契約・決済手続きを行うことに加えて、2021年からは各所へ営業所を展開しエリア毎の深耕を進めることで、不動産仲介会社及びアセットオーナーのニーズに応え、競合他社との差別化を図っております。他社では仕入が困難な物件でも、当社グループが長年培った経験及びデータに基づき、その立地・エリアの特性に合わせた物件に再生することで、厳しい条件下においても幅広く仕入・販売が行えるよう努めております。

 

(3)有利子負債への依存と金利変動に関するリスク

当社グループは、不動産売買事業における中古不動産の買取資金を主に金融機関からの借入金によって調達しており、当連結会計年度末における有利子負債依存度は63.7%となっております。このため、今後、金融情勢の変動によって金利上昇や金融機関の融資姿勢が変化した場合には、支払利息の増加や仕入計画の変更等により当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

有利子負債依存度に関しましては、その数値を65%以下とすることを財務健全性の一つの指標としており、自己資本比率やネットD/Eレシオを含めた指標を常に管理することで、財務状態を強化しております。加えて、当社グループは特定の金融機関に依存することなく、個別案件毎に販売計画の妥当性を分析したうえで借入金の調達を行うことで、取引金融機関との円滑な取引関係を構築しております。

 

(4)販売用不動産の評価損に関するリスク

当社グループが保有する販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2019年7月4日改正分)を適用しております。期末に保有している販売用不動産のうち、投資用不動産については、減価償却を考慮した簿価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が簿価を下回っている場合には商品評価損を計上することとしております。また、販売用不動産のうち、区分所有マンション、戸建等の居住用不動産については、取得価額と正味売却価額を比較し、正味売却価額が取得価額を下回っている場合には商品評価損を計上することとしております。今後、経済情勢や不動産市況の悪化等により、当初計画どおりに販売が進まない場合、販売用不動産が在庫として滞留する可能性があり、滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が簿価または取得価額を下回り、商品評価損を計上することも予測され、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、不動産売買市場の動向を注視し、業績への影響の把握と事業の進捗管理や精度の向上に努めております。買取再販事業は、仕入から販売まで短期間のサイクルではありますが、長期間滞留する在庫も一部あるため、保有中に市況変動があった場合でも一定程度の利益が確保できるよう、仕入れ時には仕入価格を厳正に精査し決定しております。また、在庫となった場合でも、正味売却価額の低下を極力抑制できるよう適切なリフォーム計画と賃料設定による投資利回りの改善・向上に努めています。

 

(5)開発行為における取引先倒産等のリスク

当社グループにおいて、販売用の一棟建物を建設する場合は、外部の建設業者へ委託しております。社員や取引先等の関係者を通じて建設業者を紹介していただくなど積極的な新規開拓に取り組むとともに、既存建設業者との良好な関係の維持・強化を図っております。しかしながら、当社グループの選定基準に合致する建設業者を十分に確保できなかった場合や、委託先建設業者の経営困難又は労働者不足により工期遅延並びに外注価格の上昇が生じた場合には、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制に関するリスク

当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」「国土利用計画法」「借地借家法」「不当景品類及び不当表示防止法」「不動産の表示に関する公正競争規約」等により法的規制を受けております。今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、法的規制の遵守を徹底しておりますが、将来何らかの理由により法令違反の事象が発生し、監督官庁より業務の停止や免許の取消し等の処分を受けた場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、総務部が中心となって各種法的規制に対応し、従業員へのコンプライアンス研修やセミナーなどを実施して法令順守・コンプライアンス意識を高めるとともに、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会では特にリスクマネジメント及びクライシスマネジメントの観点から、当社グループ全体の主要リスクに対する対応策の検討やコンプライアンス違反の未然防止策の制定等を行っております。各種法的規制に改正がある場合などには、外部機関や弁護士と連携して最新の情報を把握するよう努め、当社グループ内での周知徹底を図っております。

 

なお、法的規制に関して、許認可等の有効期間が関係法令により定められているものは下表のとおりであります。

 

(当社)

許認可等の名称

許認可

(登録)番号

有効期間

関係法令

許認可等の取消又は
更新拒否の事由

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣

(3)第7987号

2020年5月14日から

2025年5月13日まで

宅地建物取引業法

同法第5条及び第66条

一級建築士事務所登録

東京都知事登録

第51257号

2020年7月20日から

2025年7月19日まで

建築士法

同法第26条

不動産特定共同事業者許可

東京都知事

第105号

不動産特定共同事業法

同法第36条

 

 

(㈱フジホーム)

許認可等の名称

許認可

(登録)番号

有効期間

関係法令

許認可等の取消又は
更新拒否の事由

宅地建物取引業者免許

東京都知事

(6)第75654号

2022年10月4日から

2027年10月3日まで

宅地建物取引業法

同法第5条及び第66条

一級建築士事務所登録

東京都知事登録

第56843号

2021年2月5日から

2026年2月4日まで

建築士法

同法第26条

特定建設業許可

国土交通大臣
許可(特-4)
第28616号

2022年8月25日から
2027年8月24日まで

建設業法

同法第29条、第29条の2

 

 

(7)契約不適合責任,訴訟等に関するリスク

当社グループでは、販売する中古再生不動産について、民法及び宅地建物取引業法の規定に基づき、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。また、販売する新築住宅については、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、引渡後10年間の担保責任を負っております。当社グループにおいては、品質管理を徹底するために、リフォーム工事の施工前及び完了時に独自のチェックリストを用いて品質のチェックを行っておりますが、販売した物件に契約不適合があった場合には、当該不適合部分の補修や損害賠償、契約の解除等により予定外の費用を負担せざるを得ないことがあります。また、販売した物件について、現時点で業績に直接影響を及ぼす重要な訴訟を提起されている事実はありませんが、業務手続に適法性や適切性を欠いた場合にはクレーム等を受け、それらに起因する訴訟が発生する可能性があります。

当社グループとしては、このような訴訟・係争ないしは請求が生じることのないよう、クレームに関するマニュアル等を定め、社内体制の整備に努めております。しかしながら、今後そのような事態が発生した場合、その内容及び結果によっては、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。
 

(8)情報セキュリティ等に関するリスク

当社グループでは、各事業において個人情報をはじめとする多くの機密情報を取り扱っております。これらの機密情報に関しては、「個人情報の保護に関する法律」をはじめ、関連する諸法令の遵守と適正な取り扱いの確保に努めておりますが、情報セキュリティインシデント発生等の不測の事態により、万一、機密情報が外部へ漏えいした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、サイバー攻撃等により情報システム障害その他の損害が発生した場合、当社グループの事業継続に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(9)自然的・人為的災害に関するリスク

当社グループが取り扱う中古不動産は、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)を中心に所在しております。首都圏において、地震・火災・水害等の自然的災害、大規模な事故やテロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの所有する中古不動産が滅失、毀損または劣化し販売価値や賃貸収入が著しく減少する可能性があります。

また、首都圏以外の地域で自然的・人為的災害が発生した場合にも、消費マインドの冷え込みから当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

特に地震対策については、旧建築基準法適用時に建設された物件は保有を控え、保有した場合でも耐震性に関する診断を厳密に行うことで、リスク発生時の影響の最小化を図っております。

 

(10)人材の確保に関するリスク

当社グループは、様々な経営課題克服のため、優秀な人材を継続的に確保・育成していくことが最重要課題であると認識しております。従って、今後も優秀な人材の中途採用、優秀な学生の新卒採用及び教育・研修制度の充実を図り、当社グループの経営理念を理解した責任ある社員の育成を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの人事制度におきましては、当社グループの更なる成長に向けた取り組みとして、人事評価制度を刷新することにより、求める人材を明確にし、一人ひとりの成長をサポートできる仕組み(仕事に基づく人事体系、成長を促す評価体系及びやりがいのある賃金体系)を構築しております。しかし、評価者の能力不足や部下とのコミュニケーション不足等で当社グループの人事制度が上手く機能しない場合、社員のモチベーションダウンや人材の流出につながる可能性があります。

 

(11)新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関するリスク

新型コロナウイルス感染症については、現時点でもなお収束の見通しが不透明な状況が続いており、今後、さらなる感染拡大により社会経済活動が停滞し、当社グループの取引先である不動産仲介会社、金融機関、エンドユーザー、海外投資家の行動が制限されることとなった場合、不動産投資や賃貸市場の需要の低下、物件の内覧等の制限による住宅取得ニーズの低下、内外装事業における資材の供給遅延や停止、厳しい入国制限による海外投資家の需要低下など、不動産売買市場の流通量が大きく減少し、当社グループの経営成績や財務状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、2020年4月の緊急事態宣言発出に合わせ、緊急事態対応規程に基づき緊急対策本部を立ち上げ、事業への影響や従業員の感染防止対策実施に向けた検討を開始しました。具体的には、非対面による営業活動の実施、不動産仲介会社向け物件サイトへVR等のITを活用した物件情報の拡充、資材供給元の確保、従業員向けには在宅勤務を取り入れた勤務体制への移行、研修・イベント等の中止など感染防止対策を講じるとともに、事業継続に向けた取り組みを段階的に拡充しました。当社グループでは、今後も感染症対策を継続するとともに、新しい生活様式やワークスタイルの変化により不動産の価値も変化しており、それに対応した物件やサービスの提供をタイムリーに行うことができるよう対策を講じてまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染流行の波が繰り返される中でも、ウィズコロナの下で徐々に規制が緩和され、景気は持ち直しの動きが見られました。一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、供給面での制約並びに金融資本市場の変動の影響等、先行きの不透明感が増しております。

当社グループの属する不動産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の長期化等により、資材の高騰や供給不足が見られましたが、不動産需要は堅調に推移し取引価格は上昇基調となりました。また、直近では新型コロナウイルス感染症の水際対策の緩和や円安を背景に、海外投資家の日本の不動産に対する需要が高まりつつあります。

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によれば、2022年度の首都圏の中古マンション成約件数は35,429件と前年から11.0%減少しましたが、中古マンションの需要は引き続き堅調に推移しています。成約平米単価は67.24万円(前年比12.4%増)と10年連続で上昇し、この10年で76.1%上昇しております。また、成約価格も4,276万円(同10.5%増)と成約平米単価と同様に10年連続で上昇し、4千万円台に突入しました。12月の在庫件数は、前年比プラス16.6%の2ケタ増となり11ヶ月連続で前年を上回りました。

このような事業環境のもと、当社グループの主力事業である不動産売買事業は、首都圏における中古住宅の需要の高まりを受けて、居住用不動産の事業拡大に注力してまいりました。

居住用不動産は、前期に開設した営業所5店舗のエリア深耕及び営業活動が軌道に乗り始めたことで、仕入・販売ともに前期を上回る結果となりました。12月には6店舗目となる蒲田営業所を開設し、更なる拡大を目指しております。

投資用不動産は、稼働率向上やバリューアップによる商品の付加価値を高め、販売強化することにより、在庫回転率の向上に努めたものの、収益性を重視した販売活動により売上高は前期を下回る結果となりました。一方で、仕入については資産性の高い物件の仕入活動を積極的に行った結果、件数・金額ともに前期を上回り、賃料収入も前期と比較し増加しました。

不動産開発事業は、環境に優しい製品を設置した新築物件として「サイドプレイス」シリーズの竣工を進め、11月には上野に鉄骨造地上6階建のオフィスと商業店舗の複合ビルを竣工し、今期5棟の竣工を完了しました。販売は、収益性を見極めたことにより1棟のみとなりましたが、販売強化に向けリーシング・販売活動の見直しを進めました。

不動産特定共同事業は、4月から販売を開始した世田谷プロジェクトの積極的な組成を行った結果、第3期までの募集を完了しました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は312億42百万円(前期比8.0%減)、営業利益は29億76百万円(同27.1%増)、経常利益は23億9百万円(同30.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億64百万円(同22.6%増)となりました。

 

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(不動産売買事業)

不動産売買事業におきましては、投資用不動産の販売が89件(前期比38件減)、平均販売単価は1億90百万円(同14.5%増)となり、売上高は169億41百万円(同19.8%減)となりました。また、居住用不動産の販売は、289件(前期比88件増)、平均販売単価は37百万円(同19.5%減)となり、売上高は108億56百万円(同15.8%増)となりました。

以上の結果、売上高は290億16百万円(前期比8.9%減)、セグメント利益(営業利益)は40億51百万円(同29.9%増)となりました。 

 

(賃貸その他事業)

賃貸その他事業におきましては、不動産賃貸収入が20億77百万円(前期比3.4%増)となりました。

以上の結果、売上高は22億26百万円(前期比5.3%増)、セグメント利益(営業利益)は7億80百万円(同6.1%増)となりました。

 

(注)「投資用不動産」は、一棟賃貸マンション及び一棟オフィスビル等の賃貸収益が発生する物件を購入者が主に投資用として利用する不動産として区分し、「居住用不動産」は、区分所有マンションを中心に購入者が居住用として利用する不動産、及び土地等も含まれております。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態は、総資産は774億48百万円(前期比23.4%増)、総負債は528億43百万円(同34.7%増)、純資産は246億4百万円(同4.5%増)となりました。

(資産)

総資産の主な増加要因は、販売用不動産(仕掛販売用不動産も含む)が155億40百万円、現金及び預金が1億88百万円増加した一方、有形固定資産が11億84百万円減少したことによるものであります。

(負債)

総負債の主な増加要因は、長期借入金(1年内返済予定を含む)が73億95百万円、社債(1年内償還予定を含む)が37億68百万円、短期借入金が12億84百万円、その他流動負債が6億38百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が15億64百万円増加した一方、利益剰余金の配当により3億56百万円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1億99百万円増加し、163億15百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果、使用した資金は、114億91百万円(前連結会計年度は、33億7百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22億78百万円の計上があった一方、棚卸資産の増加額148億90百万円、利息の支払額6億49百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果、使用した資金は、1億57百万円(前連結会計年度は、12億18百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入19億39百万円があった一方、定期預金の預入による支出19億28百万円、有形固定資産の取得による支出1億45百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果、獲得した資金は、118億47百万円(前連結会計年度は、6億21百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入218億27百万円、社債の発行による収入46億8百万円、短期借入金の純増額12億84百万円があった一方、長期借入金の返済による支出144億31百万円、社債の償還による支出8億82百万円があったことによるものであります。

 

④ 仕入及び販売の状況

(生産実績)

当社グループは、中古不動産の売買事業及び賃貸その他事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、該当事項はありません。

(受注実績)

当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 

 

 

セグメントの名称

 販売件数

前年同期比

(%)

 販売高(百万円)

前年同期比

(%)

不動産売買事業

380

114.8

29,016

91.1

賃貸その他事業

2,226

105.3

合計

380

114.8

31,242

92.0

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

① 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して27億14百万円減少312億42百万円(前連結会計年度比8.0%減)となりました。これは、不動産売買事業の売上高が28億26百万円減少の290億16百万円(同8.9%減)となったことによります。この不動産売買事業の内、投資用不動産は、底堅い需要に支えられ価格が上昇する中で、収益性を重視した販売活動を進めました。そのため、利益率は上昇したものの、売上高は41億71百万円減少の169億41百万円(同19.8%減)と前期を下回る結果となりました。一方、居住用不動産は、昨年度に開設した営業所5店舗のエリア深耕及び営業活動が軌道に乗り始めたことで、売上高は14億80百万円増加の108億56百万円(同15.8%増)と前期を上回る結果となりました。

賃貸その他事業の売上高は、1億12百万円増加の22億26百万円(同5.3%増)となりました。賃貸その他事業の売上高の殆どを占める賃貸収入は、投資用不動産の仕入から販売までの保有期間中、及び当社が固定資産として保有する物件から計上されますが、仕入の強化に加え、収益性を重視した販売活動の結果、投資用不動産の在庫が増加したため、賃貸その他事業の売上高が増加しております。

詳しくは「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、収益性を重視した販売活動により前連結会計年度と比較して40億76百万円減少240億92百万円(前連結会計年度比14.5%減)となりました。また、売上総利益は前連結会計年度と比較して13億62百万円増加71億50百万円(同23.5%増)となりました。なお、売上総利益率は、5.8ポイント上昇して22.9%(前連結会計年度は17.0%)と上昇しました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して7億27百万円増加41億73百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。これは主に、仕入に係る消費税を含めた租税公課が1億91百万円、人員採用に伴う人件費及び採用教育費が4億96百万円増加したことによります。営業利益は売上高の減少したものの収益性を重視した販売活動を進めた結果、6億34百万円増加29億76百万円(同27.1%増)となりました。なお、売上高営業利益率は2.6ポイント上昇して9.5%(前連結会計年度は6.9%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度と比較して28百万円増加の63百万円(前連結会計年度比82.0%増)となりました。これは主に解約違約金収入が13百万円増加したことによります。

営業外費用は、前連結会計年度と比較して1億24百万円増加の7億31百万円(同20.6%増)となりました。これは主に、仕入に係る借入金の増加により、支払利息が1億36百万円増加したことによります。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度と比較して5億38百万円増加23億9百万円(前連結会計年度比30.4%増)となりました。なお、売上高経常利益率は2.2ポイント上昇して7.4%(前連結会計年度は5.2%)となりました

(特別利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して2億88百万円増加の15億64百万円(前連結会計年度比22.6%増)となりました。なお、売上高当期純利益率は1.3ポイント上昇して5.0%(前連結会計年度は3.8%)となりました。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

また、当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

③ 資本の財源および資金の流動性

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産買取再販事業に係る販売用不動産の仕入れであります。販売用不動産の仕入れは、個別の販売用不動産を担保とした金融機関からの借入金及び販売活動で獲得した資金によって行っております。当該販売用不動産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、販売用不動産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
 また、上記のほか資金調達の手段として、社債の発行、不動産特定共同事業の運営及びクラウドファンディングを活用したファンドの組成等を行い、資金調達の補助的な役割を担っております。これらで得た資金については、安定した賃貸家賃収入を獲得するための長期保有目的不動産の購入等に充てられております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2022年12月期からは、新たに第2次中期経営計画を策定し、以下のとおりの計画数値・経営指標を掲げております。

 

 第2次中期経営計画の経営指標(2022年12月期~2024年12月期)

2022年12月期は、成長性を示すCAGR(売上高成長率)及びEPS成長率、効率性を示すROE、棚卸資産回転率は目標を下回る結果となりました。一方で、健全性を示す自己資本比率、ネットD/Eレシオは、目標の範囲内であり、株主還元は、計画通りの配当性向を達成し、自己株式取得も機動的に実施しました。2023年12月期は、財務健全性の維持や株主還元の充実を図りつつ、成長性及び効率性指標である売上高の拡大及び利益の確保を行う計画としております。

 

 

2023年12月期は、成長性及び資本効率性の指標に注視し事業運営を進める。

経営指標

目標数値

当連結会計年度

成長性

売上高成長率

15.0%以上

▲11.3%

EPS成長率

30.0%以上

25.0%

効率性

ROE

11.0%以上

6.5%

棚卸資産回転率

1.5回/年以上

0.6回/年

健全性

自己資本比率

30.0~35.0%

31.6%

ネットD/Eレシオ

1.2倍~1.5倍

1.2倍

株主還元

配当性向

30%以上

30.0%

自己株式取得

機動的に対応

404,600株(※)

 

(※)2021年11月12日開催の取締役会において自己株式取得を決議しており、2022年12月期中に取得した株式数となります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。