第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループのサービス提供先となる健康・医療産業において、eマーケティングの分野は他業界に比してその浸透は遅れており、インターネット技術の進化と共に、今後の成長が期待されている領域であります。このような市場環境に身をおく当社グループが安定成長を持続するためには、運営サイト「MedPeer」会員の満足度を高め、医師の臨床上の課題を解決するために必須のインターネットサービスとしての地位を確固たるものとし、顧客からの信頼を向上させ、リピート顧客の増加を図ることにより収益基盤を高めていく必要があると認識しております。

 これらを具現化するため、当社グループは以下の7点を主な経営の課題と認識しております。

 

① 運営サイト「MedPeer」の継続的成長

② 知名度の向上

③ サイトの安全性強化

④ 収益基盤の強化

⑤ 競合他社への対応

⑥ 優秀な人材の採用

⑦ 経営管理体制の強化

 

① 運営サイト「MedPeer」の継続的成長

 当社グループの事業は、運営サイトである「MedPeer」会員の満足度によって支えられていると考えております。会員の満足度を維持するためにも、「MedPeer」会員に対し、日常臨床を行っていく上での疑問に答えを提示できるようなサービスを提供し続けることが課題と認識しております。また、「MedPeer」が提供するサービスは医療にかかるものであることから社会的信頼を確保するためにも、個人情報の保護に関する法律、薬機法、製薬協コード・オブ・プラクティス(※)等の順守も重要課題であると認識しております。この課題に対処するためにも、サービスの利便性向上とともに、コンプライアンスの徹底を継続的に図ることにより、会員向けサービスを強化し続け、「MedPeer」会員の満足度の維持を進めてまいります。

※ 製薬協コード・オブ・プラクティスについて

製薬企業が薬機法・独占禁止法等の関係法規と公正競争規約等の自主規制を順守し、医薬情報を適正な手段で提供・収集・伝達するために定めている製薬業界の自主ルール

 

② 知名度の向上

 当社グループの運営するサービスの飛躍的な成長にとって、当社グループが運営する「MedPeer」「first call」「Diet Plus」の各サービスの知名度の向上を図ることが必要であります。また、知名度の向上は、大手企業との提携等も含めた事業展開をより有利に進めることや、サービスを支える優秀な人材を採用・確保することに寄与すると考えております。

 当社グループでは、今後も当社グループ及び各運営サイトの知名度向上を目指し、それぞれに適した広報活動を推進してまいります。

 

③ サイトの安全性強化

 インターネット技術の進化にともない、インターネット上の情報共有の重要性は認識されてきておりますが、一方で、サイトの安全性維持に対する社会的要請も一層高まりを見せてきております。当社グループは、医師の情報や、患者、病気の情報など、取扱う情報が通常のインターネットサイトに比して、より社会的に大きな影響を与え得る重要情報であることを深く自覚しております。このため、サイトの信頼性・安全性強化を経営上の最重要課題として、今後も個人情報の保護に関する法律、薬機法、製薬協コード・オブ・プラクティス等各種関連法規の順守を徹底してまいります。

 

④ 収益基盤の強化

 当社グループは、製薬企業を顧客としたマーケティング支援サービスを主な収益源としております。一方で、当社グループが安定した成長を続けていくためには、医療のみならず、健康・予防を含めた医療・健康産業全般を対象とした事業展開を模索していく必要があります。

 この課題を解決するために当社グループでは、グループ各社がそれぞれ事業を成長させることはもとより、最新技術の活用やグループシナジーの創出を通じた新サービスの開発を図ることなどにより収益基盤の強化を進めてまいります。

 

⑤ 競合他社への対応

 医療・健康産業においては、同業他社も取り組みを強化しているとともに、新しい技術が生まれることによる新規参入企業が出現すること等により、競争が一層激しくなっていくことが予想されます。一方で、健康に対する認知理解が深まれば、当社グループにとってもメリットは大きいものと思われます。当社グループでは、ユーザーにとって使い勝手の良いサイト構築を進めるとともに、進化する各種技術を活用することで、更なる成長に取り組んでまいります。

 

⑥ 優秀な人材の採用

 当社グループは、「MedPeer」サイトをはじめとしたオンライン・プラットフォームによるサービスを事業基盤としており、それらの利便性及び機能の維持向上のためにも、サイト構築を担当する技術者の安定的な採用が当社グループの事業成長にとっての課題であると認識しております。専門性が高い人材は適時に採用することが困難な場合があり、近年採用コストは増加傾向にあります。

 これらの課題に対処するため、従業員が高いモチベーションを持って働ける環境や人事制度の整備を行い、必要な人材を適時に採用できるような組織体制の整備を進めてまいります。

 

⑦ 経営管理体制の強化

 当社グループが継続的に医師や顧客に対して安定的にサービスを提供し、企業価値を継続的に向上させるためには、経営管理体制の更なる強化が必要と認識しております。当社グループは、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように内部統制の整備、強化、見直しを行うとともに、法令順守の徹底に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

① 事業環境について

イ.インターネットについて

 当社グループは、ヘルスケア領域においてインターネットを利用した事業を展開しており、同領域におけるインターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等が成長のために不可欠な条件と考えております。しかしながら、同領域におけるインターネット普及の障壁、利用に関する新たな規制やインターネットビジネス関連事業者を対象とする法的規制等の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.医療及びヘルスケア市場について

 現在、当社グループの主要顧客は製薬企業となっております。当社グループの提供するサービスは、製薬企業の既存のマーケティング戦略に新たな選択肢を与えるもので、社会全体の医療費の動向に大きく左右されるものではありませんが、市場の停滞、縮小や新たな市場動向に当社グループが対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、製薬企業間において、グローバルなレベルでの企業間競争が展開され、再編の動きが続いております。企業間競争は当社が提供する各種サービスの採用を加速する可能性がある一方、再編された既存顧客による方針変更等が生じた場合には契約見直しの可能性もあり、その場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 事業運営について

イ.個人情報、顧客情報の保護について

 当社グループは、「MedPeer」サイト上で登録された医師会員の個人情報や特定保健指導や医療相談等により要配慮個人情報等を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。

 当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、保護管理体制の確立に努めております。個人情報取扱規程を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの順守に努めるとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、当社グループが保有する個人情報につき、今後、漏洩、改ざん又は不正使用等が生じる可能性を完全に否定することはできません。個人情報の流出等の重大なトラブルが当社グループ、当社グループの業務提携先又は当社グループの顧客で発生した場合には、個人情報保護法への抵触、損害賠償の請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、顧客より事業に関する機密情報を受け取る場合がありますが、当社グループの主な顧客は互いに競合する製薬企業であり、顧客情報の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。そのため、顧客情報に関する業務フローを定め、厳格に管理するとともに社内教育の徹底を図っております。しかしながら、機密情報の流出等の重大なトラブルが当社で発生した場合、損害賠償の請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

ロ.知的財産権について

 当社グループが運営しているサイトは、特殊な技術やプログラミング等を利用していないため、特許の有無による当社事業への影響は大きくないと考えております。

 当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性については、調査可能な範囲で対応を行っており、現在は当該侵害の事実はないものと認識しております。しかしながら、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により知的財産権等が成立する可能性は否定できません。かかる場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループでは当社グループの持つ商標権を侵害されないよう細心の注意を払っていますが、他者からの侵害を把握しきれない、又は適切な対応ができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ハ.サイト機能の充実について

 当社グループは、医師である会員に対し臨床現場に有用な情報を医師に届けるとともに、一般消費者向けに健康・予防に関する情報提供を行っており、各サイトにおけるコンテンツ及び機能の拡充を進めております。しかしながら、今後、有力コンテンツの導入や会員のニーズの適確な把握が困難となり、十分な機能の拡充に支障が生じた場合、会員に対する訴求力の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ニ.技術革新について

 当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入が相次いで行われております。当社グループは、これらの変化に対応するため、技術者の確保や必要な研修活動を行っておりますが、これらが想定どおりに進まない場合等、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ホ.システム面について

 当社グループの運営するサイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、当社グループソフトウェアの不具合、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。現在、多くのサーバーに関してクラウドサービスへの移行をしておりますが、クラウドサービス自体に障害が発生した場合は、当社グループサービスの提供に支障をきたす可能性があります。また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ヘ.ポイントシステムについて

 当社グループは、一部サービスにおいて、寄付金やギフト券等に交換可能なポイントを会員に対して付与しております。このポイントが不正な操作等により、当社グループが正式に発行した以上に集められ、交換を求められた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 事業内容について

イ.各種規制について

 「MedPeer」サイトに掲載している医療用医薬品に関する記載については、薬機法による規制を受けております。薬機法による規制については、厚生労働省が管轄官庁でありますが、当社グループは、医療用医薬品に関する「MedPeer」サイト上の記載が薬機法に準拠していることの確認を行っております。

 また法的規制以外では、日本製薬工業協会が定める「製薬協コード・オブ・プラクティス」が存在します。製薬協コード・オブ・プラクティスとは、製薬企業が薬機法・独占禁止法等の関係法規と公正競争規約等の自主規制を順守し、医薬情報を適正な手段で提供・収集・伝達するために定めている製薬業界の自主ルールであり、当社グループでは当該コードの順守に努めております。

 しかしながら、業界では各種規制の見直しが進んでおり、関連法令や業界団体による規制等の改廃、新設が行われた際に、当社グループが何らかの対応を余儀なくされた場合や、これらに対応できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.「MedPeer」への依存について

 当社グループは、医師専用サイト「MedPeer」を運営しており、医師間の情報共有に特化した機能を提供しております。そして当社グループの主力事業である「ドクタープラットフォーム事業」は、「MedPeer」サイトを基盤としたものとなっております。このため、新たな規制の導入等、予期せぬ事象によりサイトの利便性が低下し、同業他社に対する競争力を喪失して利用者数が減少した場合やサイト運営が不能となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ハ.サイトの健全性の維持について

 当社グループが運営するサービス内では、不特定多数の会員同士が独自にコミュニケーションを図っており、こうしたコミュニケーションにおいては、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しております。

 このため、禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するために、社内で独自のガイドラインを整備した上で監視を行っております。また、利用規約等に違反した会員に対しては担当者から改善要請等を行っているため、一定の健全性は維持されているものと認識しております。

 しかしながら、急速な利用者数の増加による規模拡大に対して、サイト内における不適切行為の有無等を完全に把握することが困難となり、サイト内において発生したトラブルが起因となり、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、当社グループの法的責任が問われない場合においても、トラブルの発生自体がサイトのブランドイメージ悪化を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは、今後想定される事業規模拡大への対応も含めて、監視機能強化のため会員サポートにかかる人員増強等、サイトの健全性の維持のために必要な対策を実施していく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合、対応のために想定以上に費用が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ニ.当社グループが運営するサービスの利用者の投稿コンテンツの利用について

 当社グループが運営しているサービスの中には、会員が投稿したコンテンツを、投稿者への利用確認、個人情報の排除等の処理を行った上で、顧客へ提供、顧客の販促物に掲載、雑誌や新聞に掲載する場合があります。この場合においては、当該コンテンツについて弁護士その他の専門家の意見をふまえて、必要な場合には投稿者への個別の意思確認を行う等、法的には十分と考えられる権利処理手続きを行っており、また、法改正等に備えて十分な法的対応を取る体制を整えております。しかしながら、当該コンテンツの利用における権利処理に関連した風評問題が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ホ.サイト内に掲載される広告について

 当社グループが運営するサイト及び当社グループが配信するメールマガジン等に掲載される広告においては、当社グループ独自の広告掲載基準による確認を実施し、法令や公序良俗に反するインターネット広告の排除に努めております。しかしながら、人為的な過失等の要因により当社が掲載したインターネット広告に瑕疵があった場合、状況によっては広告掲載申込者や会員等からのクレームや損害賠償請求がなされる可能性は完全には否定できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、サイトのシステム障害等を理由として広告掲載が行われなかった場合には、広告掲載申込者からのクレームや損害賠償請求がなされ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ヘ.競合について

 当社グループ運営サイト「MedPeer」は、会員である医師が臨床に有用な情報を効果的に得られるよう、医師目線を念頭に構成しており、医師間の情報共有に特化したサイトとして、様々な医師向けウェブサイトの中で特徴を有しているものと認識しております。

 当社グループが提供する医師集合知サービスは、直接、又は間接的に他社と競合する場合がありますが、当社グループでは上記特徴を活かしながら、同業他社と比較し、より医師が使い易い情報供給源であるためのサービスの改善を継続的に行い、薬剤の処方行動変容を的確に把握し得る、効率的な製薬企業の営業・マーケティング活動の支援サービスを展開しています。既存の同業他社による製薬企業にとっての利便性を重視したサービスとは、既に構築されているサイトサービスの構成等に相当の差が存在していることから、同業他社に対する模倣の障壁は比較的高いものと認識しております。

 「MedPeer」会員数は12万人に達し(本書提出日現在)、薬剤評価掲示板への投稿累計数も55万件(本書提出日現在)を超えていることから、「MedPeer」会員のサイトへの参画度合は相当に高いと認識しております。このような会員層と会員数を獲得することは容易ではないものと考えられることから、新規の参入障壁は比較的高いものと認識しています。

 しかし、当社グループが今後において優位性をより強め、「MedPeer」サイトの医師にとっての利用価値の維持向上が図れるか否かについては不確実な面があります。今後、資本力、マーケティング力、幅広い顧客基盤、高い知名度を有する先行同業他社による模倣や、資本力、マーケティング力、専門性を有する企業等の参入によって、当社グループの競争優位性が低下または競争が激化することにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ト.当社グループサービスの陳腐化又は代替サービスの参入について

 当社グループの主な事業である製薬企業の医療用医薬品販売を対象とするマーケティング支援は、「MedPeer」会員である医師が医療用医薬品の処方権を持ち、患者に対し処方行動を行うことを前提としております。従いまして、医薬品の処方を医師ではなく薬剤師や患者が直接行うようになる、また遺伝子操作等の医薬品に依存しない治療の比率が拡大する等、医療システムが抜本的に変わった場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化する可能性があります。

 その他、薬機法に定められた医薬品の広告に関する規制が撤廃・改変され、製薬企業による特定の医薬品の広告に関して、医療従事者の確認が不要とされた場合、一般向けの広告代理店などによる代替サービスの参入の可能性があり、その場合当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 今後市場規模の拡大にともない、当社グループサービスの代替となる他のマーケティングツール等が普及する可能性、及び当社グループの顧客が業務を自ら手がけて顧客内でマーケティング活動が完結する可能性などがあり、その場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

チ.ドクタープラットフォーム事業について

 当社グループの主たる収益は、製薬企業の顧客のマーケティング予算を中心としたドクタープラットフォーム事業による収入であります。2019年9月期における売上高(3,045,538千円)に占める同事業の売上高の比率は75.0%(2,283,210千円)であり、その依存度は高い状況にあります。従って、製薬企業における広告費の支出動向や他の媒体との競合の激化及び「MedPeer」サイトの健全性が損なわれること等により、「MedPeer」のブランド力が低下し、当社グループのマーケティング支援の売上高が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、同事業には、一部顧客と会員の間でのメッセージのやりとりを伴うものが含まれます。メッセージの内容に関する責任は基本的に発信者自身が負いますが、当社グループのサービスを使った顧客、会員等による発信情報が当事者若しくは第三者に損害を与えた場合、それに関連して当社グループの責任が問われる可能性があります。

 なお、各サービスに不具合があった場合、原則その責任の範囲は契約金額が上限であり、機会損失は補填しないと契約に記載していますが、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 組織体制について

イ.代表取締役社長 石見陽への依存について

 代表取締役社長である石見陽は当社グループ創業者であります。石見は、現在も週に1回、医師として臨床の現場に立ち現役医師としての視点を維持するとともに、インターネット関連事業に関する豊富な経験と知識を蓄積しております。

 当社グループは、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、石見に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により石見が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.小規模組織であること

 当社グループは、小規模な組織であり、現在の内部管理体制もこれに応じたものになっております。当社グループは、今後の事業拡大に応じて、従業員の育成、人員の採用を行うとともに執行役員制度を導入するなど、業務執行体制の充実を図っておりますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、現在当社グループは従業員の多くが近接した地域に在住しているため、自然災害や火災などの大きなアクシデントが起きた場合、損害が集中しやすく、事業の継続に影響が出る可能性があります。

 

⑤ その他

イ.新規事業展開に伴うリスクについて

 当社グループでは、「MedPeer」サイトによるサービスを中心として、新規事業を展開する可能性があります。また、M&Aを新規事業への進出や事業拡大のための重要な手段の一つとして位置付けており、今後も既存事業とのシナジーが見込まれる場合には積極的に実施する方針です。これらの新規事業の展開にあたってはその性質上、計画どおりに事業が展開できず投資を回収できなくなる可能性や、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財政状態を勘案し、利益還元策を決定していく所存であります。しかしながら、当社グループは未だ内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っておりません。また、当社グループは現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の業容拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

 将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

ハ.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 本書提出日における新株予約権の個数は16,088個であり、発行済株式総数20,072,100株の16.8%に相当しております。当社の株価が行使価額を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の概要)

(1)経営成績の状況

 当社グループが属する医療・健康産業においては、団塊の世代が全員75歳以上に達し医療・介護費の急増が懸念される、いわゆる2025年問題、さらに、既に減少に転じている生産年齢人口が2025年以降に更に減少が加速する中で団塊ジュニア世代が全員65歳以上に達して高齢者数がピークを迎え、医療・介護費の負担の増加が拡大する2040年問題を抱えております。かかる展望を踏まえ、持続可能な経済財政の基盤固めに向けた構造改革を日本政府は推進しており、健康寿命の延伸を喫緊の課題として『予防・健康管理』と『自立支援』に軸足を置きつつ、テクノロジーの活用により医療・介護サービスの生産性向上を実現する、新しい医療・介護システムを2020年までに本格稼働させることとしております。

 さらに、製薬企業は医療従事者に向けた営業活動の生産性向上を企図し、情報提供・収集活動の一環としてウェブサイトやアプリ、ソーシャルネットワークなど、デジタルツールを活用した取り組みをより一層強化しております。これにより、製薬企業にとってのeマーケティングは、かつての医薬情報担当者(MR)の「補完」としての位置づけから「主軸」としての活用を期待されるポジションへと変化しております。

 このような環境の中、当社グループは、ミッションである「Supporting Doctors, Helping Patients.(医師を支援すること。そして患者を救うこと。)」を実現すべく、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を基盤として医師や医療現場を支援するサービスを展開するドクタープラットフォーム事業と、健康増進・予防などのコンシューマー向けヘルスケア支援を展開するヘルスケアソリューション事業に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,045,538千円(前年同期比38.5%増)、営業利益558,431千円(前年同期比51.8%増)、経常利益554,922千円(前年同期比46.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益394,850千円(前年同期比91.3%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

① ドクタープラットフォーム事業

 ドクタープラットフォーム事業では、MedPeerのドクタープラットフォームを基盤として医師や医療現場を支援するサービスを展開しております。

 当連結会計年度においては、国内医師の3人に1人の医師会員が利用するMedPeer上のコンテンツを充実させることにより、医師会員の活性度を向上する施策を展開してまいりました。また、薬剤評価掲示板などの広告配信を中心とした収益機会をコンテンツ制作や効果測定などの領域にも拡大させることを意図したサービス開発や提携を推進してまいりました。さらに、医師向けのキャリアサービスにおいて「MedPeer SCOUT」や「CLINIC Support」などの新たなサービスを展開するなど、これまでの医師会員基盤を活用した事業領域の更なる拡大を推進しております。

 これらの結果、売上高は2,283,375千円(前年同期比27.2%増)、セグメント利益は820,336千円(前年同期比38.0%増)となりました。

なお、当連結会計年度より、従来、ドクタープラットフォーム事業に含めておりました当社の広報・採用部門にかかる費用について、グループ全体の広報・採用活動を担う役割が増したことから、当セグメントの経営成績をより適切に把握するため、全社費用として区分しております。この変更に伴い、従来の方法に比べて、当連結会計年度のドクタープラットフォーム事業のセグメント利益が、119,358千円増加しております。

 

② ヘルスケアソリューション事業

 ヘルスケアソリューション事業では、健康増進・予防などのコンシューマー向けヘルスケア支援を展開しております。

 当連結会計年度において、子会社の株式会社Mediplatが運営する医療相談プラットフォームサービス「first call」、及び、株式会社フィッツプラスが展開する特定保健指導事業の各事業の収益基盤の強化に注力してまいりました。また、株式会社Mediplatと株式会社スギ薬局の共同事業である「スギサポ」において、歩数記録アプリ「スギサポwalk」をはじめとするライフログプラットフォームの拡大を図るなど、事業拡大を推進しております。

 これらの結果、売上高は762,700千円(前年同期比88.3%増)、セグメント利益は94,196千円(前年同期はセグメント損失52,257千円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度における資産合計は、4,009,972千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,371,352千円増加し、3,662,197千円となりました。主に現金及び預金が1,305,417千円、受取手形及び売掛金が85,417千円増加したことによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ68,567千円増加し、347,774千円となりました。有形固定資産は、人員増加に伴うパソコン等の備品の取得やサテライトオフィス増設に伴う内装等の工事代金の前払いなどにより前連結会計年度末と比較して19,858千円増加の61,862千円となりました。無形固定資産は、本社システムの開発、整備に伴いソフトウエアが79,828千円計上された一方、のれんが償却により34,000千円減少した結果、前連結会計年度末と比較して15,396千円の増加となりました。投資その他の資産は、サテライトオフィスに係る敷金の支払いにより敷金が26,113千円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ33,312千円増加しました。

 

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ150,900千円減少し、497,171千円となりました。これは、主に未払法人税等が53,412千円、短期借入金が60,000千円減少したことによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ54,618千円減少し、98,474千円となりました。これは、主に長期借入金が53,896千円減少したことによります。

 

(純資産)

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,645,438千円増加し、3,414,326千円となりました。これは新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加1,209,840千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加394,850千円を主要因とするものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて1,305,417千円増加し、3,129,112千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、374,377千円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益を557,394千円、法人税等の支払額194,011千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、138,841千円となりました。これは有形固定資産の取得による支出46,213千円、無形固定資産の取得による支出66,513千円、敷金の差入による支出26,113千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、1,069,881千円となりました。これは主に株式の発行による収入1,185,526千円によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年9月期

2019年9月期

自己資本比率

63.7%

80.8%

時価ベースの自己資本比率

816.3%

574.1%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

84.5%

40.7%

インタレスト・カバレッジ・レシオ

153.1倍

330.0倍

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

2.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1)生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年10月1日

至 2019年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ドクタープラットフォーム事業

2,283,210

27.2

ヘルスケアソリューション事業

762,328

88.4

合計

3,045,538

38.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、ドクタープラットフォーム事業における「薬剤評価掲示板」、「Web講演会」等の拡販、及びヘルスケアソリューション事業におけるオンライン医療相談サービス「first call」の法人利用の拡大、特定保健指導事業の実施件数の伸長等によるものであります。

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 財政状態

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態の状況」をご参照ください。

 

② 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ846,374千円増加3,045,538千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (生産、受注及び販売の実績)」に記載のとおりであります。

 

(営業利益)

 営業利益は、前連結会計年度に比べ190,575千円増加558,431千円となりました。これは、売上高の増加により売上総利益が485,634千円増加したこと、及び販売費及び一般管理費が、人員増加による人件費及び採用教育費の増加等により前連結会計年度に比べ295,058千円増加1,558,750千円となったことによるものであります。

 

(経常利益)

 営業外収益は、消費税等免除益10,156千円を計上したこと等により10,858千円となりました。また、営業外費用は、新株予約権発行費11,584千円を計上したこと等により14,367千円となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ175,526千円増加554,922千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、特別利益として、新株予約権戻入益2,472千円を計上した結果、前連結会計年度に比べ208,419千円増加557,394千円となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ188,517千円増加394,850千円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況とキャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社グループの主な資金需要は、各セグメントにおいてサービスを提供するための労務費、業務委託費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入や株式を利用した資金調達で対応していくことを想定しております。

 なお、当期に行われた新株予約権の行使による資金調達等を踏まえ、当社グループの財務基盤は健全であり、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準ついては、事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制、事業運営体制等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等により、これらのリスク要因に対応するよう努めて参ります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。