(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府や日銀による経済政策及び金融政策による効果と、円安や原油安などを背景にして、企業収益は好調に推移し日経平均株価が一時2万円台をつけるなど、景気回復のきざしが見られました。しかしながら、年末近くに米国が金融引き締めを図るために断続的に利上げを実施すると表明したことや、中国を始めとした新興国の景気減速感が鮮明になるなど、景気の先行きは不透明な状況が依然として続いております。
農業をとりまく環境は、世界的な人口増加や新興国所得水準の向上等に伴い、農産物需要が今後世界中で増大することが予測されております。また国内においては、農業従事者の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など厳しい環境にありますが、経営感覚のある生産者や農業参入を目指す企業が増加するなどあらたな動きもみられます。
懸案であった環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉も大筋合意に至り、政府から総合的なTPP関連政策大綱が決定されました。その中で「攻めの農林水産業への転換」として、農業の国際競争力の強化を図る政策が数多く掲げられており、今後、農業に関する注目も更に高まっていくものと思われます。
このような状況下、当社グループは販売体制の強化や経営の効率化を図るとともに、平成26年に導入された農薬登録制度変更の影響による国内農薬売上の減少を見込み、海外事業および肥料・バイオスティミュラント(注)の拡大に注力してまいりました。
以上の事業活動の結果、当連結会計年度の売上高は121億29百万円(前連結会計年度比7億23百万円増加、同6.3%増)、営業利益11億12百万円(前連結会計年度比4億48百万円増加、同67.6%増)、経常利益11億5百万円(前連結会計年度比4億52百万円増加、同69.4%増)、当期純利益6億78百万円(前連結会計年度比3億30百万円増加、同94.8%増)となりました。
(注)バイオスティミュラント:植物が本来持つ能力や機能を高め、耐寒性、耐暑性、病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称。
当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントでありますが、各分野の状況は次のとおりであります。
農薬分野では、国内において昨年後半より販売を開始した新規殺虫剤「スクミンベイト3」(注1)「エクシレルSE」(注2)「ベリマークSC」(注2)などの販売拡大に努めました。海外においては殺ダニ剤「シフルメトフェン」の販売が米国やブラジルで増加するとともに、農薬登録国の増加も寄与し拡大が進みました。また殺虫剤「オンコル」殺菌剤「カリグリーン」も好調に推移しました。その結果、国内農薬は農薬登録制度変更の影響などもあり前年を下回りましたが、海外が伸長したこと、為替が円安基調で推移したことなどから農薬分野の売上高は93億63百万円(前連結会計年度比4億81百万円増加、同5.4%増)となりました。
肥料・バイオスティミュラント分野では、国内の遊休ハウスの有効活用技術として当社の養液土耕栽培システムの導入が増加したことや、植物工場の増加などもあり養液土耕栽培用肥料および水耕栽培用肥料が好調に推移しました。また、肥料の海外販売にも積極的に取り組みました。海外向けの植物成長調整剤「アトニック」につきましては、営業体制を強化し積極的な営業活動を展開したことなどにより売上高は伸長しました。その結果、肥料・バイオスティミュラント分野の売上高は27億66百万円(前連結会計年度比2億43百万円増加、同9.6%増)となりました。
(注1)「スクミンベイト3」はドイツ・W.Neudorff社の登録商標です。
(注2)「エクシレルSE」「ベリマークSC」は米国デュポン社の登録商標です。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億76百万円増加し、当連結会計年度末には16億12百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は8億19百万円(前連結会計年度は6億65百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益10億37百万円、減価償却費2億46百万円に対して、支出面では、売上債権の増加額3億12百万円、たな卸資産の増加額1億14百万円、法人税等の支払1億64百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は3億91百万円(同4億53百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億81百万円、関係会社株式の取得による支出1億50百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は35百万円(同6億84百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の増加額3億5百万円、長期借入による収入1億円、長期借入金の返済による支出2億84百万円、配当金の支払額1億47百万円等によるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
アグリテクノ事業 |
5,621 |
103.4 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
アグリテクノ事業 |
2,057 |
135.5 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)受注状況
当連結会計年度の受注状況は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
アグリテクノ事業 |
326 |
85.6 |
36 |
64.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。なお、当社グループはアグリテクノ事業の単一セグメントのため分野別に記載しております。
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分野別の名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
農薬 |
9,363 |
105.4 |
|
肥料・バイオスティミュラント |
2,766 |
109.6 |
|
合計 |
12,129 |
106.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 平成26年1月1日 至 平成26年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) |
||
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金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
|
|
全国農業協同組合連合会 |
1,484 |
13.0 |
1,414 |
11.7 |
|
住商アグロインターナショナル株式会社 |
- |
- |
1,363 |
11.2 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度の住商アグロインターナショナル株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
当社グループは、防除技術、施肥灌水技術及びバイオスティミュラントを主体に、世界の農業分野に事業展開を進めてまいります。
当社グループの事業を取り巻く環境に関しましては、新興国の経済発展にともなう食料需要の増加などを背景とした世界の農薬市場が拡大傾向にあります。また、東南アジアなどを中心に高品質で安全性の高い農作物に対する関心の高まりや、食の安全に対する意識の向上を背景とした農作物の栽培は、ビジネスとしても成長が期待されています。
国内農業に関しましては、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の大筋合意の概要が発表されるとともに、攻めの農林水産業への転換とする政策が示されるなど、農業に対する関心は高いものになっております。
一方、世界的には気候温暖化、農耕地の劣化傾向や減少など農作物生産環境は必ずしも安泰でないことや、国内では生産者の大規模集約化や担い手の育成などが課題とされております。
このような状況下において、当社グループの持つ技術や製品の機能を多面的に提案し、積極的な展開を行うことにより、持続的な企業価値の向上を図ってまいりたいと考えております。
具体的な取り組みにつきましては以下のとおりです。
(1)国内事業の持続的成長
国内における農薬事業及び肥料・バイオスティミュラント事業は、収益基盤として持続的な成長を目指します。マーケティングに基づいた営業活動、用途提案型の肥料・バイオスティミュラント製品の投入などを通じ流通や顧客の需要掘り起こしを行い売上高及び利益の拡大に取り組みます。
(2)海外展開の加速と収益力の向上
市場が拡大傾向にある海外事業においては、農薬登録取得国及び用途拡大など展開を加速すると同時に、コスト改善を図り収益力の向上を目指します。また海外子会社と連携した市場動向の把握による販売戦略の策定や製造の効率化などを進め収益の向上に結びつく活動を強化します。
(3)グループ会社との連携強化による事業の拡大
グローバルな事業展開を目的とした中国における肥料及び施肥灌水システム製造販売の合弁会社「潤禾(舟山)植物科技有限公司」、またインドネシアにおける農薬製造販売の合弁会社「PT.OAT MITOKU AGRIO」の営業開始を平成28年度に予定しております。これら新会社の事業を軌道に乗せるとともに、旭化学工業株式会社、Asahi Chemical Europe s.r.o. などを含めたグループ各社との連携強化を図り事業の拡大を進めます。
(4)幅広い研究開発テーマへの取り組み
研究開発に関しましては、新規農薬の研究開発から実用化に向け、グループ企業のインドOAT&IIL India Laboratories Private Limited社との連携のもと早期の実現を目指します。また、バイオスティミュラントの用途開発、施肥灌水技術に関連した肥料やシステムの海外展開支援など、幅広い分野の研究開発に取り組みます。
(5)コストダウンと財務体質強化
生産・管理部門に関しましては、生産の効率化やグローバルな資材調達などを通じた製造原価の低減による販売競争力の向上及び利益の増大を図ります。また、財務体質の強化に努め、新規事業への投資、研究開発や設備投資への備えを図ります。
当社グループは、これらを具体化するための全社的な取り組みとして、拡大する海外市場を見据えたグローバルな人材育成に継続して取り組んでまいります。また、製品や技術の潜在的可能性を更に探求し、広く社会に貢献する企業グループを目指すとともに、法令を遵守し社会的な責任を果してまいります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)農業市場の動向に係るリスク
当社グループの主要な製品である、農薬・肥料の最終消費者は農業従事者となります。このため、農業市場の動向により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
近年における国内の農業市場は、農作物の販売価格の下落や、農業従事者の高齢化・後継者不足により漸減傾向が続いております。今後の国内市場の動向としましても、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加や、それに伴う農業政策の改革の行方など依然として不透明な環境が継続すると予想されます。こうした外部環境等により、国内の農業市場が将来的に縮小した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法規制について
当社グループの主な事業は、国内外での農薬・肥料の生産及び販売活動であり、農薬取締法、肥料取締法、製造物責任法などのさまざまな法規制を受けております。当社グループでは、社内の管理体制の構築やコンプライアンス推進活動等によりこれらの法令遵守に取り組んでおりますが、今後、これらの法令に違反する行為が行われた場合、もしくは、法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3)登録制度について
①農薬の登録
当社グループの主要な製品である農薬は、農薬取締法に基づき、製造、輸入から販売そして使用に至る全ての過程で厳しく規制されております。その規制の中心となっているのが登録制度であり、原則、国に登録された農薬だけが製造、輸入及び販売できるという仕組みです。
農薬の登録にあたって、農薬の製造者や輸入者は、農薬の品質や安全性を確認するための証跡として病害虫などへの効果、作物への害、人への毒性、作物への残留性などに関する様々な試験成績等の資料を整えて申請する必要があります。このため、登録基準を含む当該制度が変更・追加された場合は既存の薬剤や開発中の薬剤の製造、販売、使用ができなくなることや追加の試験費用が発生する可能性があります。
②農薬の製造・保管場所の登録
農薬の製造・保管場所についても登録が必要となるため、仕入先、製造委託先、製造拠点及び保管場所は限られております。当社グループは、安定的な生産・販売のために、取引先の代替を確保するよう努めておりますが、仕入先、外注先、製造拠点及び保管場所の機能に支障が発生した場合は、当社グループの製品供給能力に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合製品及び競合他社について
当社グループの主要な製品である農薬・肥料は、農薬取締法や肥料取締法等の法令により新規市場参入には制約があります。医薬品とは異なり、後発農薬についても、新規製品と同等の研究開発・登録コストがかかるため、参入障壁が比較的高い業種となっております。しかしながら、大手海外企業の参入や制度改正による後発農薬の台頭により価格競争が激化し、販売価格が下落する可能性があります。また、性能、価格、安全面で圧倒的に優位性のある新製品を他社が開発することにより、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)主要販売先について
当社グループの製品販売先である全農(全国農業協同組合連合会)への当連結会計年度における売上高は14億14百万円であり、連結売上高合計に占める割合は11.7%となっています。当社グループは、今後においても全農をはじめとした従来の取引先との良好な関係を維持していく予定ですが、何らかの理由により全農との関係に変化が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)製造拠点について
①製造拠点に関する土地の賃貸借契約
当社は、平成22年9月28日付で大塚化学株式会社から会社分割により設立された経緯から、当社の工場、研究所等の不動産の大部分は、大塚化学株式会社から当社へ移転されました。この移転に伴い、大塚化学株式会社との間に鳴門工場用地の不動産賃貸借契約を締結しております。この契約は、平成52年9月27日までの長期契約となっており、また大塚化学株式会社との友好的な関係性を保っていることから、契約の変更並びに解除は想定しておりません。但し、何らかの理由によって、これらの契約継続が困難な状況になった場合は、当社グループの研究、生産及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②製造拠点への自然災害の影響
当社グループの製造拠点や製造委託先等において、地震・暴風雨などの自然災害あるいは不慮の事故などにより、生産設備等が何らかの損害を受け、製品の製造・販売が遅延もしくは停止する場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループや製造委託先の生産設備が被災しなかった場合においても、原材料の仕入先又は製品の販売先等の被災、自然災害等に起因する経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼動への制約等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)海外事業におけるカントリーリスク
当社グループは海外事業の展開を拡大しております。インドに研究所を設立している他、仕入先、製造委託先、販売先等の取引先は海外に幅広く存在しております。今後、海外事業の拡大に伴い、現地における地政学的問題、法規制、税務、労働環境や慣習等に起因する予測不可能な事態の発生、社会的又は政治的混乱等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)インドでの研究所設立に関る合弁契約
当社は、Insecticides(India)Limited社(以下IIL社)との合弁によりインドに研究所を設立しております。研究所設立の目的の一つは、農薬の有効成分である原体の開発にむけて、原体を構成する化合物のスクリーニングを強化することであります。研究開発期間を経て、農薬の上市まで実現した際には、IIL社と当社にて製品の販売地域を区別することで利益相反が起こらない契約内容としております。製品の販売地域の市場動向によっては、当社グループの期待する収益が得られない可能性もあり、その場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替変動について
当社グループでは、輸出入の取引の一部をドル、ユーロ、インドルピー建てで行っております。現在、円建ての取引が全体の88.5%程度を占めております。また、輸出入の取引も可能な限り、円建てで行うようにしているため、為替変動による業績への影響は大きくないと判断しております。今後、当社グループの方針どおり、海外事業への展開が加速し、又、外貨建ての取引が増えた場合、これらの外貨項目の円換算時の為替相場の変動により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)季節性・天候の変動について
農薬の使用期間は農作物の栽培時期に連動するため、国内では、春先から夏が使用時期の中心となっております。そのため、当社グループの売上も1月から6月の上半期に偏重する傾向があります。下半期(特に10月から12月の第4四半期)の収益性が上半期と比較して低くなる傾向にあり、営業損失を計上する可能性が高くなっております。
また、その年の天候によって、農作物の生育や病害虫及び雑草の発生状況が大きく変動し、それに伴って、需要の高まる製品が左右されることとなります。これらの天候の変動により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
連結売上高推移(平成27年12月期)
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第1四半期 (1月~3月) |
第2四半期 (4月~6月) |
第3四半期 (7月~9月) |
第4四半期 (10月~12月) |
通期 (1月~12月) |
|
売上高 (百万円) |
4,959 |
2,874 |
2,214 |
2,080 |
12,129 |
|
構成比 |
40.9% |
23.7% |
18.3% |
17.2% |
100.0% |
(11)薬害の発生
当社グループの製品は安全性を十分に評価した上で登録を取得し、販売を行っておりますが、当社グループの製品の誤った使用法や異常気象等の不測の事態により、予測外の被害が農作物に発生する場合もしくは、人を含む生物及び環境に有害となりうる事故が発生する可能性があります。それに伴い、損害賠償請求を受ける場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)農薬に対する抵抗性について
生物の集団に薬剤を使用することにより、抵抗性因子が蓄積される現象のことを薬剤抵抗性といいます。これらの現象によって、当社グループの製品に対して抵抗性を有する雑草や病害虫が発生する可能性があります。当社グループの薬剤を含有する製品の効果が不十分となった場合、当該薬剤の価値が毀損し、販売量が減少する可能性があります。
(13)研究開発の不確実性について
新規薬剤の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、薬効薬害試験などで有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止を行う可能性があります。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の農薬取締法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び発売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、予定していた時期に上市ができず延期になる、又は上市を断念しなければならない可能性があります。このような研究開発の不確実性により、当社グループの経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、法規制の改正や消費者の関心の変化により安全性評価や環境影響評価等の要求が増大した場合には新規薬剤の開発コストが上昇する可能性があります。
(14)共同研究開発に関する費用負担について
当社グループは、新規薬剤の探索を目的として、大学等の公的研究機関やその他企業等との共同研究を行っておりますが、費用の一部については当社グループが負担しております。また、共同研究の進捗状況に応じて、追加的な費用を負担する場合もあります。
当社グループは、今後も大学等の公的研究機関やその他企業等との共同研究に積極的に取り組む方針であり、相応の費用を負担する予定でありますが、共同研究に係るテーマなどの状況により、当社グループが予定していない費用負担が発生することになった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)金利変動について
当社グループは、運転資金の一部を金融機関からの借入金により調達しております。今後、海外への事業展開や研究開発などで新たな資金需要が発生した際に、その資金の一部を金融機関からの借入金にて調達する方針です。そのため著しい金利変動は、借入金の金利負担として、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)知的財産の侵害について
当社グループの知的財産が流出し、第三者が当社グループの技術を無断で使用し、類似製品を製造・販売することにより当社グループ製品の市場シェアが低下する可能性があります。
反対に、当社グループ製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)人材の育成・確保について
当社グループの継続的な成長を実現するためには、優秀な人材を十分に確保し育成することが重要な要素の一つであると認識しております。そのため、積極的な人員採用及び社内教育体制の構築を行う等、優秀な人材の獲得、育成及び活用に努めております。しかしながら、当社が求める優秀な人材を計画どおりに確保できなかった場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(18)ファンドの持株比率が高いことについて
本書提出日現在における当社の発行済株式総数及び潜在株式数の合計は、6,096,000株であります。このうち、ベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ファンド」という)が所有している株式数は1,339,400株であり、その所有割合は21.97%であります。
一般的にファンドによる株式の所有目的は、株式を売却してキャピタルゲインを得ることとされています。当社に出資しているファンドにおいても、市場環境及び市場動向並びに株式売買の需給バランス等を考慮し、段階的に株式の一部又は全部を売却することが予想されます。その場合、短期的に株式売買の需給バランスに変動が生じる可能性があり、当社株式の市場価値に影響を及ぼす可能性があります。
(19)新株予約権の行使による株式の希薄化について
当社は、会社の利益が個々の利益と一体化し、職務における動機付けをより向上させる目的とし、役職員等に新株予約権を付与しております。当該新株予約権による潜在株式数は本書提出日現在で合計560,000株となり、発行済株式数総及び潜在株式数の合計の9.19%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
なお、当該新株予約権の概要につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況」をご参照ください。
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契約会社名 |
契約相手先 |
相手先の所在地 |
契約期間 |
契約内容 |
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当社 |
全国農業協同組合連合会 |
日本 |
平成22年10月18日~ 平成23年10月17日 (1年毎の自動更新の 定めあり) |
全農が取り扱う農薬・資材の売買についての基本契約 |
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当社
|
全国農業協同組合連合会 |
日本 |
平成22年12月16日~ 平成23年12月15日 (1年毎の自動更新の定めあり) |
全農が取り扱う肥料の売買についての基本契約 |
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当社 |
Insecticides(India) Limited |
インド |
平成24年12月26日~ 平成29年12月25日 |
インドでの研究所設立に関る合弁契約 |
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当社 |
日本農薬㈱ |
日本 |
平成27年7月25日~ 平成28年7月24日 |
「ハチハチ」共同開発に関する契約 |
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当社 |
大塚化学㈱ |
日本 |
平成22年9月28日~ 平成52年9月27日 |
当社鳴門事業所敷地の借地にかかる賃貸借 |
当社グループでは、インドの子会社OAT&IIL India Laboratories Private Limited社と連携し新規農薬の探索及
び創薬に取り組んでおります。また、農薬製品、肥料製品、バイオスティミュラント製品など多方面から「新たな
食料増産技術」の研究および製品開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発の主なものは、以下のとおりであります。
農薬製品の海外販路及び売上高の拡大を目的に、農薬登録国の拡大や用途の拡大を進めるとともに、市場動向や
ニーズに基づいた製品開発を進めました。また、肥料及び施肥灌水システムの製造販売を行うために中国にて設立
準備中の潤禾(舟山)植物科技有限公司の営業開始に備え、現地での実証栽培を通じた製品開発に取り組みました。
バイオスティミュラントにつきましては、幅広い分野にわたり可能性を追求しており、独創性のある製品化に向け
た研究開発を進めました。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は14億47百万円であります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、貸倒引当金、賞与引当金、返品調整引当金、売上割戻引当金、退職給付に係る負債、税金費用等の見積はそれぞれ適正であると判断しております。
(2)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の総資産は102億12百万円となり、5億37百万円増加しました。その内訳は、流動資産が8億98百万円増加、固定資産が3億61百万円減少したことによるものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は78億82百万円となり、8億98百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が4億58百万円増加、受取手形及び売掛金が3億19百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は23億30百万円となり、3億61百万円減少しました。その主な要因は、減価償却によりのれんが1億74百万円減少、繰延税金資産が2億22百万円減少したことによるものであります。
② 負債の部
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は42億2百万円となり、1億68百万円増加しました。その主な要因は、短期借入金が1億93百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は16億28百万円となり、1億61百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金が72百万円減少、退職給付に係る負債が87百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産の部は43億82百万円となり、5億29百万円増加しました。その主な要因は、当期純利益の計上等により利益剰余金が5億54百万円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当社グループは販売体制の強化や経営の効率化を図るとともに、平成26年に導入された農薬登録制度変更の影響による国内農薬売上の減少を見込み、海外事業および肥料・バイオスティミュラント(注)の拡大に注力してまいりました結果、売上高は121億29百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度は、海外が伸長したこと、為替が円安基調で推移したことなどから利益率が改善しました結果、売上総利益52億25百万円(前連結会計年度比12.3%増)となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度は、開発薬剤の登録費用が増加するなど販売費及び一般管理費が増加した結果、営業利益11億12百万円(前連結会計年度比67.6%増)となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は11億5百万円(前連結会計年度比69.4%増)となりました。これは主に、支払利息28百万円によるものであります。
⑤ 当期純利益
上記の結果により当期純利益は6億78百万円(前連結会計年度比94.8%増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(5)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、保有する農薬原体の海外展開、国内の販売網を生かした市場分析、新規薬剤の開発を中長期成長戦略の柱とし、当社がこれらの分野を重点的にサポートしていくことにより、グループ全体として将来につながる利益構造基盤を築いてまいります。また、多様性を尊重する企業風土を推進するとともに、コンプライアンスの推進、内部統制システムの強化等、企業の社会的責任の遂行及び業務の効率性向上にも積極的に取り組んでまいります。