第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営環境及び経営方針

 2019年度は、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、景気の後退も懸念される中、当社グループとしては畜・水産生産者の皆様への製品の安定供給、消費者の皆様への安心安全な食品の提供が絶対的な使命であると考えております。また、日本の人口は減少の一途をたどっており、当社の主業である飼料販売における国内の需要は横ばいとなっております。

 こうした状況下において、当社グループは、「Feedをはじめの一歩として、畜・水産業界の持続的発展に貢献し、食の未来を創造します」の経営理念に基づいて事業活動を行っており、畜・水産業界が将来にわたって発展し続けるために、私たちは常にお客様の目線でニーズと課題を捉え、チャレンジし続けます。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、第2次中期経営計画(2018年度~2020年度)を策定し、第3次中期経営計画における成長加速のための準備期間と位置付け、更なる経営基盤強化のための「事業ポートフォリオの最適化」を基本方針とし、畜産飼料事業、水産飼料事業、食品事業、海外事業を4本柱とする収益の最大化に向けた基盤の更なる強化を目指して取り組んでおります。また、「お客様の最強のパートナーとして業界全体の持続的成長に貢献するリーディングカンパニー」を実現すべく、以下の重点施策を掲げております。

 

① 飼料事業

a.北九州畜産工場の稼働により、販売需要に応える生産能力の確保並びに最新設備導入による品質の向上を図り、シェアの拡大を目指します。

b.既存工場においても、加熱加工製品ニーズの高まり等に対応すべく製造設備の増強を図ります。

c.乳牛のゲノム解析、生乳脂肪酸組成分析など、技術を駆使したサービスの強化により生産者の成績向上を図ります。

d.原料相場変動のリスク低減のため、取引先との関係強化に努め、品質を維持しつつ産地多様化を模索することにより、リスクをヘッジしながら安定供給にも努めてまいります。

 

② 食品事業

コンシューマ製品の投入による販路拡大、事業の統廃合、安全衛生に配慮した設備の増強により、効率的な経営を行います。また、当社グループによる食のバリューチェーン(配合飼料から食品まで)として役割を果たし、消費者への知名度を向上させてまいります。

 

③ 海外事業

ベトナム・インドで展開している飼料の製造・販売においては、営業人員の増員による販売体制の強化、販売エリアの拡大、顧客ニーズを的確に捉えた製品投入により販売数量を伸張させ利益の拡大を図ります。また、積極的な設備投資により、生産の効率化及び能力増強を図ります。

今後も更なる市場規模の拡大が見込めるアジア地域を中心とした事業展開を推進してまいります。

 

④ その他

クロマグロ事業は、資源負荷のかからない完全養殖であり、重要な社会貢献を担っております。当社グループでは今後も継続して取り組みを進めてまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の収束までには時間を要するものと考えておりますが、各事業所においてはBCP(事業継続計画)に則り業務体制を維持しており、製品の供給に支障がないよう努めております。このような想定を超える規模の問題に対しても、柔軟に対応可能な体制の構築等を早急に進めてまいります。

飼料畜水産業界においても、CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病の発生により不透明な状況が続いていることから、各飼料製造工場及び関係会社である各農場において、獣医師チームが主体となり強固な防疫体制の構築を図っております。防疫マニュアルを策定し、有事の際に迅速な対応が取れるよう準備を整えております。

また、国内市場においては人口の減少及び少子高齢化の傾向にあります。今後国内の飼料需要が大きく伸長することが考えられない中で高品質の配合飼料を安定的に供給する体制が求められております。2017年に稼働の北九州工場(2020年4月から北九州水産工場に名称変更)、2020年7月稼働予定である北九州畜産工場など新規工場の設立や積極的な設備投資により顧客のニーズに応えられる基盤を構築してまいります。

2020年度は第2次中期経営計画の最終年度として、成熟が進む国内市場のみに目を向けるのではなく、海外を見据えた事業の拡大を検討してまいります。当社グループの強みである原料調達、配合飼料の製造・販売、畜産・水産食品の販売までの一貫したサポート体制を更に強化することで競合他社との優位性を見いだせると考えております。

以上、様々な課題に対して「現場主義・顧客目線・製販一体+研究所」という基本方針の下、業務に邁進してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、経常利益、ROE(自己資本利益率)であります。

 第2次中期経営計画における実績及び計画値は次のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

(計画)

(実績)

(計画)

(実績)

(計画)

売上高 (百万円)

215,300

212,886

219,700

215,050

228,500

経常利益(百万円)

5,100

4,466

5,300

5,737

5,500

ROE

10.0%

13.5%

10.0%

10.3%

10.0%

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響について

飼料事業においては、外食需要やインバウンド需要の減少により、国内発生原料(糟糠類)の原料調達が逼迫しておりますが、社内外のネットワークを活かした情報共有やフレキシブルな代替原料への置き換え、取引先との強固な関係により引き続き安定した飼料の供給体制を構築してまいります。

食品事業における畜・水産物の需要については、外出の自粛やインバウンドの減少により、外食需要は減少しておりますが、一方で内食需要は増加しております。そのため、畜産物相場は、外食需要の高い牛肉相場は低下したものの、内食需要の高まりにより、鶏卵・豚肉相場は堅調に推移しております。

また、当社グループの顧客となる食品産業事業者は、食料の安定供給に重要な役割を担っていることから、農林水産省対策本部より「新型コロナウイルス感染者発生時の対応・事業継続に関するガイドライン」が通達されているほか、各種需給緩和対策の支援が実施されております。

海外事業においては、ベトナム・インドで飼料の製造・販売を展開しておりますが、現地従業員への感染防止策を実施しながら事業継続しております。飼料の販売先は主に自国内であるため、販売数量への影響は限定的と考えております。

こうした環境にあって、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響は、現時点では軽微と判断しております。引き続き、第2次中期経営計画に基づく方針のもと各事業戦略に取り組んでまいりますが、今後の動向により経営方針・経営戦略等の見直しが必要であると判断した場合は、速やかに開示いたします。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合の当社グループ成績に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 また、当社は、グループ全体のリスク管理を経営企画室が統括し、ERM(全社的リスク管理)の運用により、各事業部門のリスク管理体制の整備状況やリスク管理の実施状況をモニタリングし、必要に応じて適切な指導を行うことで、グループ全体で発生する様々なリスクについて網羅的、体系的な管理を行う体制を構築しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境等の外部要因に関するリスク

① 家畜家禽及び養殖魚の疾病等のリスク

 当社グループは、連結子会社及び関連会社に畜産物、養殖魚の生産会社を有しております。

 CSF(豚熱)等の疾病発生や赤潮等の飼育環境の悪化により、生産物の大量廃棄や販売停止を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループの主要な事業である配合飼料の製造・販売において、その販売先は畜産・水産生産者であるため、配合飼料の販売先において疾病等が発生した場合には、配合飼料の製造・販売に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、配合飼料の販売先の経営状況悪化により、債権回収に問題が発生することや、債務保証等に対する保証債務の履行などを求められる可能性があります。

 そのため、当社グループの各飼料製造工場、連結子会社である農場が感染源又は感染拡大の拠点とならぬよう、獣医師チームを主体に防疫体制の強化を図っております。

 

② 従業員の疾病等によるリスク

 新型コロナウイルス感染症のような感染型の疾病が拡大し従業員が感染した場合、通常の業務遂行に支障をきたし、当社グループが供給する製品及び食品の供給に支障が出る可能性があります。特に飼料工場においては、当面の間、飼料の製造が行えなくなる可能性があります。

 そのため、拡散防止と感染予防への対応策として、会社の取組方針の策定、従業員の行動指針の策定、在宅勤務・時差出勤の推進等を行うとともに、既に作成しているBCP(事業継続計画)の見直し、また、そのような事態に対応可能な体制の確立により最小限の影響に留められるよう努めてまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおりであります。

 

(2)経営資源等の内部要因に関するリスク

  飼料製造工場におけるリスク

ア.当社グループの飼料事業部門には飼料製造工場が含まれております。各工場とも必要とされる防災施設を設置しているほか、自衛消防隊を組織し防火訓練を実施するなど、工場災害の未然防止に万全を期しておりますが、不測の原因により、また、災害の規模によっては復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。

イ.大規模地震により建物及び機械設備が倒壊する可能性があるほか、当社グループの飼料製造工場は沿岸部に位置しているため、津波による建物及び機械設備の水没あるいは損壊等により、復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。

 そのため、各工場においては、BCP(事業継続計画)の策定、社員安否確認の仕組み構築、自衛消防隊を組織し防災訓練を実施するなどの対策を講じております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)のわが国経済は、緩やかな回復基調で推移したものの、海外情勢の不確実性等に加え、年明け以降新型コロナウイルスの世界的な感染症拡大により甚大な経済への影響が見込まれ、先行き不透明な状況で推移いたしました。

 飼料業界におきましては、主原料のとうもろこしは期初に米国中西部の長雨による作付遅れから価格が上昇した後、単収予想の上方修正により反落し、その後は総じて小幅な値動きで推移しました。なお、大豆粕につきましては、米中間の貿易合意発表等の影響から一時的に値上げ傾向となりましたが期を通じて軟調な値動きとなりました。

 畜産物につきましては、CSF(豚熱)の影響による出荷頭数の減少、関東地方の台風の被害による鶏卵出荷の滞り等により需給が逼迫し、豚肉相場、鶏卵相場が年末にかけて値を上げる展開となりました。一方で、年明け以降は新型コロナウイルスの影響による消費の減退等により、牛肉相場は値下がり傾向となっております。

 こうした環境にあって、当社グループは3ヶ年の中期経営計画の達成に向けて、原料調達・生産体制の合理化、畜産・水産生産者へ供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを進めてまいりました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2,150億5千万円前年同期比1.0%増)、営業利益は54億1千4百万円(前年同期比31.3%増)、経常利益は57億3千7百万円(前年同期比28.4%増)となりました。また、前連結会計年度は事業ポートフォリオの最適化を目的とした資産売却に伴う特別利益を計上していたこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は38億4千2百万円(前年同期比17.5%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。

(飼料事業)

 飼料事業では、平均販売価格は前期を下回ったものの、畜産・水産飼料ともに販売数量が拡大したこと等により、売上高は1,625億2千5百万円(前年同期比0.9%増)となりました。営業利益は、水産飼料における収益改善が進んだことに加え、販売費及び一般管理費が減少したこと等から、70億2千8百万円(前年同期比22.8%増)となりました。

 

(食品事業)

 食品事業では、農場子会社の事業譲渡による取引高の減少等があった一方、豚肉・鶏卵・水産物の取扱数量は増加しており、豚肉相場及び鶏卵相場も堅調に推移したこと等から、売上高は497億9千1百万円(前年同期比1.1%増)となりました。営業利益は、CSF(豚熱)の影響による仕入価格の上昇等により、3億9千3百万円(前年同期比11.0%減)となりました。

 

(その他)

 特約店、畜産・水産生産者への畜水産機材等の販売により、売上高は27億3千3百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は3億6千1百万円(前年同期比13.9%増)となりました。

 

 財政状態の状況は、次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等により受取手形及び売掛金が減少したものの、北九州畜産工場の新設を含む飼料製造工場への積極的な設備投資による有形固定資産の増加等により908億8千万円(前期末比2.2%増)となりました。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等による短期借入金の増加及び北九州畜産工場の新設に係る資金調達による長期借入金の増加があった一方、前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等による支払手形及び買掛金の減少等により519億7千4百万円(前期末比1.0%減)となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により389億6百万円(前期末比6.8%増)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億6千4百万円増加し、当連結会計年度末には26億5千7百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等による運転資本の増加や、法人税等の支払いによる資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等による資金の増加が上回り、11億2千7百万円の収入(前年同期は48億4千2百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、北九州畜産工場の新設を含む飼料製造工場への積極的な設備投資に伴う資金の支出等により74億7千5百万円の支出(前年同期は1億5千8百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末日が金融機関の休日であった影響等により短期借入金が増加したこと、北九州畜産工場の新設に係る資金調達により長期借入金が増加したこと等により、65億1千2百万円の収入(前年同期は49億3千7百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産及び仕入高(百万円)

前年同期比(%)

飼料事業

143,634

100.6

食品事業

46,516

101.1

報告セグメント計

190,150

100.7

その他

2,576

104.4

合計

192,727

100.8

(注)1 金額は製造原価及び仕入高の金額によっております。

2 セグメント間の内部振替前の数値によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

飼料事業

162,525

100.9

食品事業

49,791

101.1

報告セグメント計

212,317

101.0

その他

2,733

104.6

合計

215,050

101.0

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して100分の10を超える相手先がありませんので、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、畜産飼料事業、水産飼料事業、食品事業、海外事業を4本柱とする収益の最大化を目指していく中で、連結経常利益55億円を最終年度とする3ヶ年(2018年度~2020年度)の「第2次中期経営計画」を策定し原料調達・生産体制の強化、畜産・水産生産者へ供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを継続して進めております。

 当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,150億5千万円(前年同期比1.0%増)、営業利益54億1千4百万円(前年同期比31.3%増)、経常利益57億3千7百万円(前年同期比28.4%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は38億4千2百万円(前年同期比17.5%減)となりました。

 

 当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。

 当社グループにて製造・販売する配合飼料の主原料(とうもろこし等)の多くは海外からの調達に頼っているため、米国等の産地での作付面積・天候変動による収穫量の増減、先物相場における投機筋の動向、海上運賃の変動等は、原料コストに大幅な変動を与える可能性があります。

 また、為替相場の急激な変動が調達コストに反映され、経営成績に重要な影響を及ぼします。このため為替予約を行い、影響を最小限に止める努力をしておりますが、計画された原料コストによる調達ができない可能性があります。

 当社グループは、連結子会社及び関連会社に畜産物、養殖魚の生産会社を有しております。生産物相場が大幅に変動した場合や、疾病等の発生により生産物の出荷停止や大量廃棄を余儀なくされる場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社グループの主要な製品である配合飼料の販売先は畜産・水産生産者であり、生産物相場の極端な低迷に伴う経営悪化により、債権回収面に問題が発生する可能性もあります。

 当社は配合飼料製造業者として、配合飼料価格安定制度に携わっております。同制度において配合飼料製造業者として負担する積立金の増減は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 畜水産業界を取り巻く環境は、食の安心・安全についての法制度の見直しが進められておりますが、このような状況下、生産コストの上昇を伴う法令等の改正があった場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、TPPやFTA等の進捗に伴い農業政策が変更された場合等により、当社グループの中核となる飼料事業を取り巻く環境が変化した場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらの状況を踏まえ、各部門にて現状把握と将来予測による戦略プランの立案・実行に努めるとともに、グループ戦略会議を原則として月1回以上実施しております。また、当社グループ内で発生した問題に対し組織単位レベルで対策を検討・実施しており、グループ全体における経営活動の更なる改善・向上を目指しております。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症がセグメントに与える影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおり、現時点で軽微であると判断しております。

(飼料事業)

 飼料事業においては、畜産飼料は四半期ごとの価格改定において値下げ改定が続いたことから減収となったものの、新製品の積極的な市場投入や乳牛ゲノム解析、生乳脂肪酸組成分析などのサービス拡充による販売数量の増加、また、販売費が大幅に減少したことにより増益となりました。水産飼料は積極的な拡販により販売数量が大幅に増加したこと、また、収益改善が進んだことから増収・増益となりました。

 そのような環境の中で当社グループは、2020年7月に北九州畜産工場の稼働を予定しており、九州地区でのシェアアップを図ると共に、製品の品質向上を図ります。また、隣接する水産飼料専用工場である北九州工場(2020年4月から北九州水産工場に名称変更)と原料調達等を協働することによる相乗効果で競争力の強化を進めてまいります。その他の工場においても生産設備への積極的な投資により生産設備の基盤強化を図ってまいります。

 

 

(食品事業)

 食品事業では、豚肉・鶏卵・水産物の取扱数量増加、及び豚肉相場及び鶏卵相場が堅調に推移したことから増収となったものの、CSF(豚熱)の影響による仕入価格の上昇等により減益となりました。

 そのような環境の中で当社グループは、収益の4本柱の一つである食品事業の更なる成長と効率化による収益拡大を実現するため、引き続き事業の統廃合を進め、設備投資の実施により防疫管理及び安全衛生管理の徹底と生産の効率化に取り組んでまいります。

 

(その他)

 その他は、畜水産機材等の販売増加により売上高、営業利益ともに増加しております。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は、次のとおりであります。

 当社グループは、経常利益、ROE(自己資本利益率)を重要な指標として位置付けております。2019年度の経常利益は57億3千7百万円となり、第2次中期経営計画における最終年度である2020年度の計画値55億円を上回る結果となりました。これは、畜産・水産飼料ともに販売数量が計画値を上回ったこと、畜産飼料における販売費及び一般管理費が計画値を下回ったこと、水産飼料における収益改善が進んだこと等が主因となります。また、ROE(自己資本利益率)についても、2019年度は10.3%となり、計画値10.0%を上回る結果となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの主な資金需要は、飼料事業における配合飼料の製造・販売、食品事業における豚などの飼育・仕入・販売及び食肉・加工品の仕入・販売、鶏卵の仕入・生産・加工・販売、水産物の仕入・販売等のための営業費用並びに設備の新設・更新・合理化工事等の投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。

 新型コロナウイルス感染症の影響による追加の資金調達予定は現時点でありませんが、今後の情勢を注視しながら、金融機関との取引関係を維持・強化し、安定的かつ機動的な資金調達体制の確保を図ります。

 また、当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額65億円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。

 なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当いたします。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りに特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの連結財務諸表に与える影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおり、現時点で軽微であると判断しております。そのため、会計上の見積りにおける将来予測等は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響を受けないものと仮定して実施しております。

 

a.貸倒引当金

 当社グループでは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。経営者は、これらの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来、取引先の財務状況が悪化し債権回収に問題が発生することや、債務保証等に対する保証債務の履行などを求められる可能性があり、その場合には引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

b.有形固定資産

 当社グループでは、有形固定資産の帳簿価額について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産は不動産鑑定士による不動産鑑定評価書に基づく金額や一定の評価額等を用いて調整した見積りに基づいて測定しております。経営者は、これらの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

c.投資有価証券

 当社グループでは、時価のあるものについては、決算日の市場価格等に基づく時価により評価しており、時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合及び30%以上50%未満下落した場合は、個別に時価の回復可能性を判定し、回復可能性が無いものについては評価損を認識することとしております。また、時価のないものについては、重要性の低いものを除き、投資先の純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に評価損を認識することとしております。経営者は、これらの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来、時価の下落又は投資先の経営成績の悪化等により、評価損が発生する可能性があります。

d.繰延税金資産

 当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性について、将来計画や過去実績に基づいて一時差異等のスケジューリング及び課税所得等の見積りを行っております。また、回収可能性がないと判断される繰延税金資産については評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。経営者は、これらの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化により、繰延税金資産の計上額に重要な変動を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(重要な資金の借入)

 当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額65億円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。

 なお、2020年3月31日に本契約の覚書を締結し、2回目以降の実行予定日を変更しております。

 

(1)シンジケートローン契約締結の目的

 本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。

 なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当いたします。

 

(2)シンジケートローン契約の概要

契約形態

タームローン(分割貸付契約)

契約金額

65億円

契約日

2018年3月30日

実行日

工事請負契約に基づく決済時期に合せた複数回の分割実行とします。

 

1回目 2019年11月29日   2,782百万円

2回目 2020年8月31日   2,782百万円(予定)

3回目 2020年10月30日    936百万円(予定)

利率

市場金利等を勘案して決定しております。

満期日

2030年9月末日

担保

無担保

アレンジャー兼エージェント

㈱横浜銀行

コ・アレンジャー

農林中央金庫、㈱みずほ銀行

参加金融機関

㈱横浜銀行、農林中央金庫、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行、三井住友信託銀行㈱、㈱静岡銀行、㈱山口銀行、みずほ信託銀行㈱、㈱神奈川銀行 計9行

 

5【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、畜産用飼料やペット飼料の製品開発と品質管理を行う「研究所」及び水産用飼料の研究開発や飼料物性などの研究開発を行う「水産研究所」で行っております。両研究所では、試験研究、製品開発について研究施設、人員を集約して、国内・国外の最新の情報を取り入れて、より効率的でスピードアップした質の高い研究開発を充実した施設のもとで進めております。

 「研究所」は、畜産研究室と品質管理室の2室があります。畜産研究室は、福島リサーチセンター(福島県田村郡小野町)といわきリサーチセンター(福島県いわき市)において、レイヤー、ブロイラー、豚、乳牛、肉牛の新製品及び新技術開発のための研究開発活動を行っております。また、鹿島リサーチセンター(茨城県神栖市)に小動物課を配置し、実験動物飼料、養蜂飼料、ペットフードの新製品、技術開発と営業支援を実施しております。品質管理室は、鹿島リサーチセンターにおいて、飼料並びに食品の品質と安全管理に関する業務を行っております。分析業務においては、ISO17025(試験所の能力に関する国際規格)を取得しており、より信頼度の高い分析による品質管理を行っております。

 「水産研究所」は、水産開発課(愛媛県南宇和郡愛南町)と加工開発課(愛知県知多市)の2拠点があります。水産開発課では、小型の陸上水槽及び海面の生簀で魚類及びエビを飼育し、水産用飼料の研究開発を行っております。加工開発課では、魚類及びエビに最適な形態の飼料の製造方法を多角的に研究しているほか、研究開発に用いる試験飼料の製造を行っております。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は飼料事業を中心として746百万円であります。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 飼料事業においては、次の研究開発活動に取り組んでおります。

 

(1)養鶏用飼料

 養鶏用飼料では、最新の栄養学に基づく新技術開発と、農場生産コスト低減のための研究成果を採卵鶏用、ブロイラー用、種鶏用の製品に応用しております。2019年度については、抗菌性飼料添加物を用いないブロイラー飼料の設計技術の開発を行いました。また、2017年度に開発した長期飼育技術と誘導換羽技術を併用した800日令超の長期飼育技術を確立しました。技術説明資料についても最新データを活用して最近の鶏種特性に合ったものに更新しております。現在は、養鶏用飼料の更なる性能向上に向けた栄養設計や給与体系、飼料形状に関する研究に注力しております。

 

(2)養豚用飼料

 養豚用飼料では最新の育種情報や栄養技術を国内市場の動向に対応させた、きめ細かい製品開発に取り組んでおります。2019年度は、繁殖母豚の授乳期向けアミノ酸サプリメント「ワン・ツー・クイーン」を新発売し、豚人工乳「ママコロシリーズ」をリニューアルいたしました。ママコロシリーズでは、当社の腸管健康理論をさらに発展させ、各原料の未消化タンパク質を把握し配合設計するという、これまでとは異なる手法により、従来以上に健康で大きく育てる人工乳飼料の開発に成功しました。また、育種改良が著しい最新の繁殖母豚専用に繁殖能力を最大限に発揮させることを目的とした栄養技術を開発し、生産者の皆様の繁殖成績改善に役立てております。

 

(3)養牛用飼料

 酪農及び肉牛生産において、生産性向上と生産コスト低減は常に重要課題として取り組んでおります。酪農用飼料においては、当社独自の飼料設計技術及びその技術に基づいた製品の開発、さらにロボット搾乳や牛ゲノム解析という新たな分野の研究に取り組み、酪農家の皆様への技術サポートを行っております。肉牛用飼料では、増体成績、枝肉成績の向上に寄与する研究を継続し、脂肪交雑や繁殖改善に関する技術開発を進めております。

 2019年度の製品開発では、2015年に発売した多給型代用乳製品「プレミアムワンミルク」をリニューアルいたしました。粗タンパク質は業界トップクラスの29%、最大給与を1400gと従来よりも高く設定し更なる増体を追求した内容としております。

 技術開発では、国内で1000頭を超える乳牛のゲノム数値と産乳成績を収集し相関解析を実施し、乳生産量を推定する「ゲノム生産予測式」を開発いたしました。これを、当社オリジナルの飼料設計プログラム「こんだてくん」に搭載することで、遺伝、栄養どちらが制限要因になっているか等を推定するゲノム解析プログラムを開発いたしました。飼料及び遺伝からの予測値を同時に表すことができるプログラムは世界的に見ても類がなく、独自技術として特許を出願いたしました(出願番号 2019-195045)。また前事業年度から開始している生乳中の脂肪酸組成分析サービスを含め、酪農家の皆様の成績改善に役立つ新製品と関連技術サービスの開発を今後も進めてまいります。

 

(4)小動物用飼料

 ペットフードでは、ウサギ用フードとげっ歯類用のフードに重点をおいた製品開発に取り組んでおります。2019年度はウサギ用フードの「ヘルシープレミアム」「ヘルシープレミアムシニア」をリンゴジュース粕など嗜好性の良い繊維原料を使用した内容にリニューアルしました。またウサギ用の栄養サプリメントとして「カーフマンナ for RABBIT」を上市し、一般フードと併せてウサギのきめ細かな体調管理を可能としております。

 実験動物用飼料では、販売会社の日本クレア㈱と連携して研究機関の要望に応える取り組みを進めております。

 

(5)養魚用飼料

 水産用飼料では、最新の栄養学的知見や研究成果をもとに、成長性、肉質の向上、生産コストの削減といったテーマを掲げて飼料開発に取り組んでおります。

 海洋資源への依存度を下げた、持続的な養殖魚生産のためには、魚粉・魚油の使用率削減は最重点課題であり、様々なアプローチから低魚粉・低魚油化を推進するための研究開発を継続して実施しております。例えば、将来的に有望とされている昆虫タンパク等も研究開発の対象としております。

 2019年3月に発売開始したマダイ用低魚粉飼料「フォースHF」は、従来の低魚粉飼料の欠点を改良した点が現場で徐々に認められて出荷が増加し、当社を代表するマダイ用飼料に成長しました。

 当社では今後もより一層の低魚粉化を進めるうえで「餌食いが悪くなる」といった課題の解決に取り組み、従来の高魚粉飼料に負けない性能を持った超低魚粉製品の開発に挑戦し続けます。