第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営環境及び経営方針

 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための二度にわたる緊急事態宣言発令、外出自粛、休業要請等による急速な経済活動の停滞もあり、先行き不透明な状況にありましたが、当社グループとしては畜産・水産生産者の皆様に対する配合飼料の安定供給、消費者の皆様への安心安全な畜水産物の供給が絶対的な使命であると考え、その実践に努めてまいりました。また、日本の人口は減少の一途をたどっており、当社グループの主業である飼料販売における国内の需要は横ばいとなっております。

 こうした状況下において、当社グループは、「Feedをはじめの一歩として、畜・水産業界の持続的発展に貢献し、食の未来を創造します」の経営理念に基づいて事業活動を行っており、畜・水産業界が将来にわたって発展し続けるために、私たちは常にお客様の目線でニーズと課題を捉え、チャレンジし続けます。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、第3次中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定し、第2次中期経営計画にて強化した事業基盤をフル活用した収益拡大の実現と、持続的な成長を可能にするための更なる基盤構築と位置づけ、「経営統合の総仕上げ」を基本方針とし、コア事業である「畜産飼料」事業の更なる収益力強化、「水産飼料」「食品事業」「海外事業」の成長加速、ESG経営の推進と基盤強化を基本戦略に掲げ、飛躍の3ヶ年とすべく取り組んでまいります。

 

① 飼料事業

a.乳牛のゲノム解析や生乳脂肪酸組成分析など、技術を駆使したトータルサポートにより、養牛用飼料の販売数量の拡大を図ります。

b.既存工場における増産体制構築のための設備の増強並びにバイオセキュリティ対策強化を図ります。

c.環境負荷を軽減する製品開発を推進します。

d.原料相場変動のリスク低減のため、取引先との関係強化に努め、品質を維持しつつ産地多様化を模索することにより、リスクをヘッジしながら安定供給にも努めてまいります。

 

② 食品事業

コンシューマー商品の更なる新商品開発、安全衛生に配慮した設備の増強により、増産体制構築と効率的な経営を行います。また、農場会社では、農場バイオセキュリティを強化し、引き続き防疫対策に取り組みます。当社グループによる食のバリューチェーン(配合飼料から食品まで)として役割を果たし、消費者への知名度を向上させてまいります。

 

③ 海外事業

ベトナムにおいては、製造設備増強による増産体制構築、新規販売店を起用した販売エリアの拡大、酪農大手企業への拡販に取り組んでまいります。

インドにおいては、製品ラインアップの拡充に向けた製造技術の確立、販売エリアの拡大、大手企業養殖への拡販により収益の拡大を図ります。

 

④ その他

クロマグロ事業は、資源負荷のかからない完全養殖であり、重要な社会貢献を担っております。当社グループでは今後も継続して取り組みを進めてまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の収束までには時間を要するものと考えておりますが、各事業所においてはBCP(事業継続計画)に則り業務体制を維持しており、製品の供給に支障がないよう努めております。このような想定を超える規模の問題に対しても、柔軟に対応可能な体制の構築に引き続き注力いたします。

飼料畜水産業界においても、CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病の発生により不透明な状況が続いていることから、各飼料製造工場及び関係会社である各農場において、獣医師チームが主体となり強固な防疫体制の構築を図っております。防疫マニュアルを策定し、有事の際に迅速な対応が取れるよう準備を整えております。

また、国内市場においては人口の減少及び少子高齢化の傾向にあります。今後国内の飼料需要が大きく伸長することが考えられない中で高品質の配合飼料を安定的に供給する体制が求められております。2020年7月に稼働開始した北九州畜産工場など新規工場の設立や既存工場への積極的な設備投資により顧客のニーズに応えられる基盤を構築してまいります。

2021年度は第3次中期経営計画の初年度として、第2次中期経営計画にて強化した事業基盤をフル活用した収益拡大の実現と、持続的な成長を可能にするための更なる基盤構築を実現すべく事業の発展に取り組んでまいります。当社グループの強みである原料調達、配合飼料の製造・販売、畜水産物の販売までの一貫したサポート体制を更に強化することで競合他社との優位性を見いだせると考えております。

以上、様々な課題に対して「現場主義・顧客目線・製販一体+研究所」という行動指針の下、業務に邁進してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、経常利益であります。

 第3次中期経営計画における計画値は次のとおりであります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

(計画)

(計画)

(計画)

売上高 (百万円)

215,600

220,400

224,900

経常利益(百万円)

5,400

5,800

6,200

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響について

飼料事業においては、外食需要やインバウンド需要の減少により、食用のコメの供給が過多となっており、飼料用としての転用が多く発生しております。一方で国内発生原料(糟糠類)の調達が逼迫しておりますが、社内外のネットワークを活かした情報共有やフレキシブルな代替原料への置き換え、取引先との強固な関係により引き続き安定した飼料の供給体制を構築してまいります。

食品事業における畜水産物の需要については、外出の自粛やインバウンドの減少により、外食需要は減少しておりますが、一方で内食需要は増加しております。そのため、畜産物相場は、牛肉相場については外食需要が高いことから低下、豚肉相場は内食需要の高まりにより2019年度と比較し堅調に推移し、鶏卵相場は2020年度の前半は生産過剰や業務用需要の縮小により2019年度を大きく下回っていたものの2020年11月以降、全国各地で発生した鳥インフルエンザの影響により供給量が減少し、大幅な値上げで推移しております。

海外事業においては、ベトナム・インドで飼料の製造・販売を展開しておりますが、現地従業員への感染防止策を実施しながら事業継続しております。飼料の販売先は主に自国内であるため、販売数量への影響は限定的と考えております。

こうした環境にあって、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響は、現時点では軽微と考えておりますが、今後の動向により経営方針・経営戦略等の見直しが必要であると判断した場合は、速やかに開示いたします。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合の当社グループ成績に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 また、当社は、グループ全体のリスク管理を経営企画室が統括し、ERM(全社的リスク管理)の運用により、各事業部門のリスク管理体制の整備状況やリスク管理の実施状況をモニタリングし、必要に応じて適切な指導を行うことで、グループ全体で発生する様々なリスクについて網羅的、体系的な管理を行う体制を構築しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境等の外部要因に関するリスク

① 家畜家禽及び養殖魚の疾病等のリスク

 当社グループは、連結子会社及び関連会社に畜産物、養殖魚の生産会社を有しております。

 CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病発生や赤潮等の飼育環境の悪化により、生産物の大量廃棄や販売停止を余儀なくされる可能性があります。また、当社グループの主要な事業である配合飼料の製造・販売において、その販売先は畜産・水産生産者であるため、配合飼料の販売先において疾病等が発生した場合には、配合飼料の製造・販売に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、配合飼料の販売先の経営状況悪化により、債権回収に問題が発生することや、債務保証等に対する保証債務の履行などを求められる可能性があります。

 そのため、当社グループの各飼料製造工場、連結子会社である農場が感染源又は感染拡大の拠点とならぬよう、獣医師チームを主体に防疫体制の強化を図っております。

 

② 従業員の疾病等によるリスク

 新型コロナウイルス感染症のような感染型の疾病が拡大し従業員が感染した場合、通常の業務遂行に支障をきたし、当社グループが供給する製品及び食品の供給に支障が出る可能性があります。特に飼料工場においては、当面の間、飼料の製造が行えなくなる可能性があります。

 そのため、拡散防止と感染予防への対応策として、会社の取組方針の策定、従業員の行動指針の策定、在宅勤務・時差出勤の推進等を行うとともに、既に作成しているBCP(事業継続計画)の見直し、また、そのような事態に対応可能な体制の確立により最小限の影響に留められるよう努めてまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおりであります。

 

(2)経営資源等の内部要因に関するリスク

  飼料製造工場におけるリスク

a.当社グループの飼料事業部門には飼料製造工場が含まれております。各工場とも必要とされる防災施設を設置しているほか、自衛消防隊を組織し防火訓練を実施するなど、工場災害の未然防止に万全を期しておりますが、不測の原因により、また、災害の規模によっては復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。

b.大規模地震により建物及び機械設備が倒壊する可能性があるほか、当社グループの飼料製造工場は沿岸部に位置しているため、津波による建物及び機械設備の水没あるいは損壊等により、復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。

 そのため、各工場においては、BCP(事業継続計画)の策定、社員安否確認の仕組み構築、自衛消防隊を組織し防災訓練を実施するなどの対策を講じております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために緊急事態宣言が発令され、外出自粛や休業要請等がなされたことにより、企業活動が制限されたほか、個人消費も大幅に落ち込むなど急速に経済活動が停滞しました。5月の宣言解除後に経済活動が再開され緩やかな回復基調を示しておりましたが、1月に再び緊急事態宣言が発令されるなど、先行き不透明な状況が続いております。

このように先行きと収束時期が見通せない状況ではありますが、当社は安心安全な「食」を安定的にお届けすることを社会的な使命と捉えて責任を果たすべく、畜産・水産生産者の皆様に対する配合飼料の安定供給、消費者の皆様への安心安全な畜水産物の供給を継続しております。なお、現時点で当社の財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であると考えておりますが、今後の動向により業績予想に修正の必要性が生じる可能性があります。

飼料業界におきましては、中国による米国産とうもろこしの大量の買付に加え、南米の主産地であるブラジルやアルゼンチンの天候不順による作柄への懸念等により、昨年末から今年にかけてとうもろこし、大豆粕の価格は急騰しております。

畜産物につきましては、豚肉相場は家庭向けの消費によって国産豚肉の需要が増加したこと等により前年同期を大きく上回りました。鶏卵相場は生産過剰のため前年同期と比べて大きく下回って推移しておりましたが、11月以降、全国各地で鳥インフルエンザが発生し、供給量が減少したこと等により期末にかけて大幅な値上げとなりました。なお、牛肉相場は新型コロナウイルスの影響による消費の減退等により、前年同期を下回って推移しました。

こうした環境にあって、当社グループは3ヶ年の中期経営計画の達成に向けて、原料調達・生産体制の合理化、畜産・水産生産者へ供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを進めてまいりました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2,141億2千万円(前年同期比0.4%減)、営業利益は56億7千2百万円(前年同期比4.8%増)、経常利益は60億8千1百万円(前年同期比6.0%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は44億3千8百万円(前年同期比15.5%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。

 

(飼料事業)

 飼料事業では、畜産飼料の販売数量は前年同期並みとなりましたが、水産飼料の販売数量は微減しており、平均販売価格は畜産・水産飼料ともに前年同期を下回ったこと等から、売上高は1,621億8千万円(前年同期比0.2%減)となりました。営業利益は、飼料価格安定基金負担金等の販売費及び一般管理費が大きく減少したこと等から、75億5千7百万円(前年同期比7.5%増)となりました。

 

(食品事業)

 食品事業では、豚肉相場は前年同期を大きく上回って推移したものの、鶏卵相場は前年同期を下回りました。また、鳥インフルエンザ発生に加え新型コロナウイルス感染症の影響により鶏卵の業務用需要が縮小し、取扱数量が減少したこと等から、売上高は492億5千9百万円(前年同期比1.1%減)となりました。営業利益は、豚肉相場の上昇に伴う仕入コストの増加及び鶏卵の取扱数量減少等により、1億5千万円(前年同期比61.7%減)となりました。

 

(その他)

 特約店、畜産・水産生産者への畜水産機材等の販売の結果、売上高は26億8千1百万円(前年同期比1.9%減)となり、営業利益は3億4千6百万円(前年同期比4.2%減)となりました。

 

 財政状態の状況は、次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、受取手形及び売掛金の増加、北九州畜産工場の竣工に伴う有形固定資産の増加等により992億5千1百万円(前期末比9.2%増)となりました。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金の増加等により564億5千7百万円(前期末比8.6%増)となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、株式相場の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加等により427億9千4百万円(前期末比10.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億7千3百万円増加し、当連結会計年度末には28億3千万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払による資金の減少等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等による資金の増加が上回り、77億3千7百万円の収入(前年同期は11億2千7百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、北九州畜産工場等への設備投資に伴う資金の減少等により、59億8千9百万円の支出(前年同期は74億7千5百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、北九州畜産工場の設備資金を長期借入金で調達したことによる資金の増加があった一方、短期借入金の返済や配当金の支払いによる資金の減少等により15億5千万円の支出(前年同期は65億1千2百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産及び仕入高(百万円)

前年同期比(%)

飼料事業

144,639

100.7

食品事業

46,427

99.8

報告セグメント計

191,066

100.5

その他

2,336

90.7

合計

193,402

100.4

(注)1 金額は製造原価及び仕入高の金額によっております。

2 セグメント間の内部振替前の数値によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

飼料事業

162,180

99.8

食品事業

49,259

98.9

報告セグメント計

211,439

99.6

その他

2,681

98.1

合計

214,120

99.6

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して100分の10を超える相手先がありませんので、記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、畜産飼料、水産飼料、食品事業、海外事業を4本柱とする収益の最大化を目指していく中で、連結経常利益55億円を最終年度とする3ヶ年(2018年度~2020年度)の「第2次中期経営計画」を策定し原料調達・生産体制の強化、畜産・水産生産者の皆様に供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減などの取り組みを継続して進めてまいりました。

 当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,141億2千万円(前年同期比0.4%減)、営業利益56億7千2百万円(前年同期比4.8増)、経常利益60億8千1百万円(前年同期比6.0増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は44億3千8百万円(前年同期比15.5%増)となりました。

 

 当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。

 当社グループにて製造・販売する配合飼料の主原料(とうもろこし等)の多くは海外からの調達に頼っているため、米国等の産地での作付面積・天候変動による収穫量の増減、先物相場における投機筋の動向、中国での使用量増加に伴う輸入量の増加、海上運賃の変動等は、原料コストに大幅な変動を与える可能性があります。

 また、為替相場の急激な変動が調達コストに反映され、経営成績に重要な影響を及ぼします。このため為替予約を行い、影響を最小限に止める努力をしておりますが、計画された原料コストによる調達ができない可能性があります。

 当社グループは、連結子会社及び関連会社に畜産物、養殖魚の生産会社を有しております。畜水産物相場が大幅に変動した場合や、疾病等の発生により生産物の出荷停止や大量廃棄を余儀なくされる場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社グループの主要な製品である配合飼料の販売先は畜産・水産生産者であり、畜水産物相場の極端な低迷に伴う経営悪化により、債権回収面に問題が発生する可能性もあります。

 当社は配合飼料製造業者として、配合飼料価格安定制度に携わっております。同制度において配合飼料製造業者として負担する積立金の増減は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 畜水産業界を取り巻く環境は、食の安心安全についての法制度の見直しが進められておりますが、このような状況下、生産コストの上昇を伴う法令等の改正があった場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、TPPやFTA等の進捗に伴い農業政策が変更された場合等により、当社グループの中核となる飼料事業を取り巻く環境が変化した場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループはこれらの状況を踏まえ、各部門にて現状把握と将来予測による戦略プランの立案・実行に努めるとともに、グループ戦略会議を原則として月1回以上実施しております。また、当社グループ内で発生した問題に対し組織単位レベルで対策を検討・実施しており、グループ全体における経営活動の更なる改善・向上を目指しております。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症がセグメントに与える影響は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)新型コロナウイルス感染症の影響について」に記載のとおり、現時点で軽微であると判断しております。

(飼料事業)

 飼料事業においては、畜産飼料は売上原価の上昇に反し、販売価格が低下したことから減収となったものの、乳牛のゲノム解析、生乳脂肪酸組成分析などのサービス拡充による販売数量の増加、また、飼料価格安定基金負担金の減少等、販売費及び一般管理費が大幅に減少したことにより増益となりました。水産飼料は新型コロナウイルス感染症の影響による養殖魚の出荷停止に伴う飼料給与量減少のため販売数量が減少したこと、また、販売価格が原料価格以上に低下したことから減収・減益となりました。

 そのような環境の中で当社グループは、2020年7月に北九州畜産工場の稼働を開始し、九州地区でのシェアアップを図ると共に、製品の品質向上を図っております。また、隣接する水産飼料専用工場である北九州水産工場と原料調達等を協働することによる相乗効果で競争力の強化を進めてまいります。その他の工場においても生産設備への積極的な投資により生産設備の基盤強化を図ってまいります。

 

(食品事業)

 食品事業では、食肉・農場事業においては豚肉相場が堅調に推移したこと、水産物においては補助事業を活用した拡販があったものの、鶏卵でのコロナ禍による消費落ち込み、生産過剰による相場下落、2020年11月以降の全国的な鳥インフルエンザ発生に伴う供給量の低下による取扱数量の減少により減収・減益となりました。

 そのような環境の中で当社グループは、収益の4本柱の一つである食品事業の更なる成長と効率化による収益拡大を実現するため、引き続き設備投資の実施による増産体制構築、防疫管理及び安全衛生管理の徹底と生産の効率化に取り組んでまいります。

 

(その他)

 その他は、畜産資材等の販売増加があったものの、水産資材の販売減少により減収・減益となりました。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は、次のとおりであります。

 当社グループは、経常利益を重要な指標として位置付けております。2020年度の経常利益は60億8千1百万円となり、第2次中期経営計画における2020年度の計画値55億円を大きく上回る結果となりました。これは、畜産飼料における販売費及び一般管理費が計画値を下回ったこと等が主因となります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの主な資金需要は、飼料事業における配合飼料の製造・販売、食品事業における豚などの飼育・仕入・販売及び食肉・加工品の仕入・販売、鶏卵の仕入・生産・加工・販売、水産物の仕入・販売等のための営業費用並びに設備の新設・更新・合理化工事等の投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。

 新型コロナウイルス感染症の影響による追加の資金調達予定は現時点でありませんが、今後の情勢を注視しながら、金融機関との取引関係を維持・強化し、安定的かつ機動的な資金調達体制の確保を図ります。

 また、当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額65億円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。

 なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(重要な資金の借入)

 当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額65億円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。

 なお、2020年3月31日に本契約の覚書を締結し、2回目以降の実行日を変更しております。

 

(1)シンジケートローン契約締結の目的

 本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。

 なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当しております。

 

(2)シンジケートローン契約の概要

契約形態

タームローン(分割貸付契約)

契約金額

65億円

契約日

2018年3月30日

実行日

工事請負契約に基づく決済時期に合せた複数回の分割実行とします。

 

1回目 2019年11月29日   2,782百万円

2回目 2020年8月31日   2,782百万円

3回目 2020年10月30日    936百万円

利率

市場金利等を勘案して決定しております。

満期日

2030年9月末日

担保

無担保

アレンジャー兼エージェント

㈱横浜銀行

コ・アレンジャー

農林中央金庫、㈱みずほ銀行

参加金融機関

㈱横浜銀行、農林中央金庫、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行、三井住友信託銀行㈱、㈱静岡銀行、㈱山口銀行、みずほ信託銀行㈱、㈱神奈川銀行 計9行

 

(会社分割)

 当社は、2020年11月26日開催の取締役会において、連結子会社であるフィードグローブ㈱における配合飼料等の仕入・販売事業を分割して新たに設立する新設会社に承継させることを決議し、2021年2月1日付で八戸フィードワン販売㈱を設立いたしました。

 また、2021年4月1日付で北海道フィードワン販売㈱を設立し、同日付で分割会社は空知管理サービス㈱に商号変更いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります

 

5【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、畜産用飼料の製品開発と品質管理を行う「研究所」及び水産用飼料の研究開発や飼料物性などの研究開発を行う「水産研究所」で行っております。両研究所では、試験研究、製品開発について研究施設、人員を集約して、国内・国外の最新の情報を取り入れて、より効率的でスピードアップした質の高い研究開発を充実した施設のもとで進めております。

 「研究所」は、畜産研究室と品質管理室の2室があります。畜産研究室は、福島リサーチセンター(福島県田村郡小野町)といわきリサーチセンター(福島県いわき市)において、レイヤー、ブロイラー、豚、乳牛、肉牛の新製品及び新技術開発のための研究開発活動を行っております。また、鹿島リサーチセンター(茨城県神栖市)に小動物課を配置し、実験動物飼料、養蜂飼料の品質管理や技術対応、営業支援を実施しております。品質管理室は、鹿島リサーチセンターにおいて、飼料並びに食品の品質と安全管理に関する業務を行っております。分析業務においては、ISO17025(試験所の能力に関する国際規格)を取得しており、より信頼度の高い分析による品質管理を行っております。

 「水産研究所」は、愛媛県南宇和郡愛南町にあり、小型の陸上水槽及び海面の生簀で魚類及びエビを飼育し、水産用飼料の研究開発を行っております。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は飼料事業を中心として752百万円であります。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 飼料事業においては、次の研究開発活動に取り組んでおります。

 

(1)養鶏用飼料

 養鶏用飼料では、最新の栄養学に基づく新技術開発と、農場生産コスト低減等の研究成果を採卵鶏用、ブロイラー用、種鶏用の製品に活用しています。2020年度は、鶏糞低減、差別化用飼料、換羽後の成績改善やフィターゼ酵素評価などに取り組み、得られた知見は製品採用や技術資料として生産成績の改善取り組みに活用しております。

 

(2)養豚用飼料

 養豚用飼料では最新の育種情報や栄養技術を国内市場の動向に対応させた、きめ細かい製品開発に取り組んでおります。2020年度は、豚人工乳「フィードマスターシリーズ」をリニューアルいたしました。当社独自の腸管健康理論に基づいて未消化タンパク質を低減化させることにより、健康で発育に優れる製品としてお客様の高い評価を得ております。また、アミノ酸消化性と嗜好性の良いタンパク質を特長とした人工乳後期飼料「Bパワー」も新発売し、全国展開を図っております。さらに、品質管理室が開発したフィターゼの相対的酵素力価判定で、より正確に飼料中の有効リン含量を把握できるようになりました。フィターゼの活用は鉱物資源であるリン酸カルシウムの使用低減ひいては排泄物中のリン低減につながり、環境負荷低減飼料開発の礎となるものです。その他、疾病対策などにも鋭意取り組んでおります。

 

(3)養牛用飼料

 酪農及び肉牛生産において、生産性向上と生産コスト低減は常に重要課題として取り組んでおります。乳牛用飼料においては、当社独自の飼料設計技術及びその技術に基づいた製品の開発、さらにロボット搾乳や乳牛のゲノム解析という新たな分野の研究に取り組み、酪農家の皆様への技術サポートを行っております。肉牛用飼料では、増体成績、枝肉成績の向上に寄与する研究を継続し、脂肪交雑や繁殖改善に関する技術開発を進めております。2020年度では、新たに発酵飼料に関連した基礎研究をはじめ、多産地化しているとうもろこしのフレーク加工技術、発売40周年を迎えるカーフマンナのルーメン発達に関する生理機能の研究などに取り組み、今後、製品や技術提案などで養牛家の皆様の成績改善に役立てていきます。

 

(4)水産用飼料

 水産用飼料では、最新の栄養学的知見や研究成果をもとに、成長性、肉質向上、生産コスト削減、ICT技術の活用といったテーマを掲げて製品開発に取り組んでおります。SDGsの観点からは、クロマグロの完全養殖や天然資源への依存度を下げた飼料開発を実施しております。

 特に水産用飼料において、持続的な養殖魚生産のため海洋資源である魚粉や魚油の使用率を下げることは最重要課題であり、様々なアプローチから無魚粉化・無魚油化を推進するための研究開発を継続しております。

 2020年9月に発売開始したマダイ用低魚粉飼料「まだいDPフォースONE」は、従来の低魚粉飼料の欠点をさらに改良した点が現場で認められて、当社を代表するマダイ用飼料に成長しました。

 当社では、今後もより一層の低魚粉化を進めるうえでの様々な課題に取り組み、従来の高魚粉飼料に負けない性能を持った更なる低魚粉飼料の開発に挑戦し続けます。