当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境及び経営方針
国内の景気は、米国新政権の関税政策により不確実性が高まっているものの、実質賃金の上昇等を背景にした個人消費の拡大等により緩やかな回復傾向になるものと想定されます。当社グループを取り巻く環境は、畜産生産者における飼養戸数の減少や疾病発生による一時的な家畜数の減少による畜産飼料の需要減少、高海水温の影響を受けた給餌制限等による水産飼料の需要減少、気候変動等に伴う飼料原料の供給不安及び価格高騰、エネルギー価格高騰による製造原価の増加等が見込まれることから、収益面では不透明な状況が続きます。
このような環境の下、当社グループは2025年3月期より「中期経営計画2026~1st STAGE for NEXT 10 YEARS~」をスタートしており、Purpose、Visionの実現、充実した生産体制と強力な販売ネットワークとの連携、スケールメリットを生かした原料購買力、積極的な設備投資を行える財務基盤、グローバルな知見も活かした研究開発体制、畜水産物販売を通じた価値向上等の強みを活かして、畜産飼料事業を中心とした事業間の連携を強化し、継続的な収益力強化を図ってまいります。
また、Purposeの策定に合わせ、「マテリアリティ(重点課題)」を更新しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、「中期経営計画2026~1st STAGE for NEXT 10 YEARS~」を策定し、本中期経営計画期間は、2024年度からの10年間を見据えた土台づくりの期間と位置付け、過去最大規模の投資に向け基礎収益力を向上させることを基本方針とし、コア事業である畜産飼料事業と水産飼料事業、また、畜産飼料事業と食品事業の連携強化を進めるとともに、海外との取り組みにおいても引き続き海外技術の導入や日本の技術の海外への普及を進めてまいります。
① 全社方針
a.既存工場の老朽化、日本国内の少子高齢化・人口減少が進む中で、10年後、20年後を見据えた製造体制の刷新・増強を図ります。
b.環境負荷を軽減する製品開発、また、積極的なIoT技術の導入により効率・生産性の改善や物流の合理化に寄与します。
c.原料相場変動のリスク低減のため、取引先との関係強化に努め、品質を維持しつつ産地多様化や代替原料を模索することにより、リスクをヘッジしながら安定供給にも努めてまいります。
② 畜産飼料事業
a.養牛用飼料において、家畜由来の温室効果ガス排出量として大きな割合を占めるメタンの発生を低減する環境対応型製品の開発を進めます。
b.養豚用飼料において、家畜の健康維持・安定した発育を目的として新素材を採用した飼料や背脂肪厚の改善に繋がる飼料を発売し、生産者の皆様をサポートしております。
c.各畜種における品種改良による能力向上や遺伝特性を踏まえた製品や暑熱対策等、顧客の課題解決型製品の開発を進めます。
③ 水産飼料事業
a.水産業界の持続可能性向上に寄与すべく、無魚粉飼料を販売しております。今後も引き続き低魚粉飼料・無魚粉飼料や高水温対策飼料の更なる開発・販売を積極的に進めます。
b.研究成果と水産物流通ノウハウを営業活動に直結させ、営業スキルを高度化することで飼料販売量の拡大を図ります。
④ 食品事業
a.当社グループによる「食のバリューチェーン(配合飼料から食品まで)」として役割を果たし、畜産物取り扱いにより得られた知見をもとに飼料開発・販売他畜産飼料事業とのシナジーを追求してまいります。
b.老朽化設備の更新により生産体制の刷新・増強並びに安心安全・衛生対応の強化を図ります。
⑤ その他
a.ベトナムにおいて、製造設備増強による増産体制構築、新規販売店を起用した販売エリアの拡大、製造委託による製造拠点の拡大、酪農大手企業への拡販に取り組んでまいります。
b.インドにおいて、製造効率・飼料品質の改善を図り、事業推進体制の最適化に努めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
配合飼料は畜産飼料の主原料であるとうもろこしをはじめ原料の多くを輸入に頼っており、原料産地等における地政学的リスク、継続する円安も相俟って輸入原料価格の上昇による飼料価格安定基金負担金の増額が業績に大きな影響を及ぼします。水産飼料の主要な原料である魚粉についても、産地における魚の漁獲量がやや回復し、一時の歴史的な高値圏からは脱しているものの原材料価格は高止まりしている状況です。引き続き、原料の品質を維持しながら産地多様化、未利用原料の開発を含む有利原料の活用等を模索し飼料の価格抑制及び安定供給に努めてまいります。また、環境負荷低減の観点からも、天然資源である魚粉等については枯渇の可能性も考慮し、代替原料の活用に関する研究を進めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、EBITDA、ROE、ROIC、総投資額、販売数量であります。確実な投資の実行、資本コスト経営を意識し、経営指標を見直しております。
「中期経営計画2026~1st STAGE for NEXT 10 YEARS~」における計画値及び2025年3月期における実績・進捗状況は次のとおりであります。
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2025年3月期 |
2027年3月期 |
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(計画) |
(実績) |
(計画) |
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EBITDA |
103億円 |
105億円 |
115億円 |
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ROE |
8%以上 |
10.3% |
8%以上 |
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ROIC |
6%以上 |
6.1% |
6%以上 |
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総投資額 |
600億円 ※期中投資額累計 (25.3~30.3) |
49億円 ※期中投資額累計 (25.3) |
600億円 ※期中投資額累計 (25.3~30.3) |
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販売数量 |
3,812千トン |
3,786千トン |
3,900千トン |
(参考)
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2025年3月期 |
2027年3月期 |
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(実績) |
(計画) |
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売上高 |
2,960億円 |
3,272億円 |
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経常利益 |
67億円 |
70億円 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、穀物や魚粉を主原料とした畜産・水産飼料の製造・販売から、畜水産物の販売まで「食のバリューチェーン(配合飼料から食品まで)」を担う事業を行っており、自然の恵みと社会基盤の上に成り立っていることから、サステナビリティを重視した経営を行っています。人・社会・環境との調和を図り、経営理念と行動規範に基づく活動を通じて、すべてのステークホルダーから期待と信頼を得られるよう努めるとともに、持続可能な社会の実現に貢献することをサステナビリティ方針としています。
また、当社グループでは「マテリアリティ(重点課題)」から落とし込まれた各部門の中期経営計画における事業戦略を基に全社目標「One’sアクション」を設定し、SDGsと関連付けて取り組むことで、中長期的な目標の達成と持続可能な社会の実現を目指します。
<マテリアリティ(重点課題)とOne’sアクション>
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マテリアリティ(重点課題) |
One’sアクション |
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「おいしさのみなもと」から食のサプライチェーンを支える
~安心安全な飼料と食品の安定供給を通じて、日本の食生活を支えます~ |
大型投資及び設備更新による安定供給体制の維持
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飼料原料の安定確保
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人々の豊かな暮らしに貢献する
~畜水産業界の発展に貢献し、人々の持続可能な豊かな暮らしづくりに貢献します~ |
持続可能な畜水産業の実現に向けた技術開発 |
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全てのステークホルダーにおける人権の尊重
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飼料を通じて環境と社会の調和を図る
~資源循環型社会の実現を目指すとともに、気候変動、生物多様性に対する取り組みを推進します~ |
生物多様性保全の推進 (環境負荷低減、資源循環、資源保護の推進) |
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GHG排出量の削減 |
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食の未来を創る人材を育成する
~誰でも活躍できる環境をつくるとともに、新たな価値を創造する人材を育成します~ |
多様な人材の活躍推進(DE&I)
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働き方改革、人事制度の拡充、健康経営の推進
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次世代リーダーとエキスパート人材の育成
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社会から信頼される組織をつくる
~社員一人ひとりが高い倫理観を持ちガバナンスを強化します~ |
衛生・安全・労働環境(HSE)の強化 |
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品質保証体制の強化と変化への対応 |
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適切な情報開示 |
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サプライチェーンマネジメントの強化 |
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客観性・透明性の高い経営に向けたコンプライアンス体制の強化 |
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(1)サステナビリティ
① ガバナンス
当社グループはサステナビリティの取り組みを推進するために「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会では、気候関連リスク・機会や人的資本・人権を含むサステナビリティに関連する当社グループの課題・対応策を検討・議論しています。また、中期経営計画・事業計画と連動した「One’sアクション」を設定し、取り組み支援や助言を行い、進捗を管理しています。委員長は代表取締役社長であり、メンバーは事業部門・管理部門・社長直轄部門からそれぞれの責任者を選任し、横断的な体制を構築しています。取締役会はサステナビリティ委員会から気候関連リスク・機会や人的資本・人権を含むサステナビリティに関する報告を定期的に受け、その取り組み等につき監督・助言を行います。
〈サステナビリティ推進体制〉
〈2024年度 サステナビリティ委員会議題〉
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月日 |
議題 |
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[第1回] 5月27日 |
・マテリアリティの改定および2024年度の全社目標について ・2023年度CO2排出量について ・2024年度脱炭素の取り組み進捗報告 |
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[第2回] 8月26日 |
・TCFDレポート2024の更新 ・2024年度第1四半期CO2排出量状況報告 ・飼料米J-クレジット進捗報告 |
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[第3回] 11月25日 |
・脱炭素ロードマップ(2024年度進捗と2025年度取組) ・飼料米J-クレジット進捗報告 ・人権デューデリジェンス進捗報告 |
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[第4回] 2月25日 |
・脱炭素ロードマップ進捗報告 ・TCFDレポート2025更新スケジュールに関する検討 ・人権デューデリジェンス進捗報告 |
② 戦略
a.気候変動
当社グループでは、気候変動への対応を経営上の重要課題と認識し、気候変動が及ぼす財務影響を把握するため、2030年におけるシナリオ分析を実施しました。今回のシナリオ分析においては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを参照しています。
〈当社グループにおける気候関連シナリオ〉
〈シナリオ分析結果と対応策一覧〉

b.人権の尊重
当社グループはすべてのステークホルダーの人権を尊重することが、持続可能な社会の実現に向けた重要な課題の一つであることを認識しています。2022年3月に「人権方針」を策定し、2023年3月に外部有識者である株式会社オウルズコンサルティンググループの支援のもと、当社グループにおける重要人権リスクの評価・特定を行うとともに、リスクの低減・防止に向けた取り組みを進めています。その一環として、サプライチェーンにおける人権の尊重も含めた持続可能な調達を推進するため、2023年11月に「サプライチェーン取り組み方針」を策定しました。
2024年度における人権の尊重に向けた活動として、「ビジネスと人権」に関する社内研修のグループ全体への実施や、原料取引先に対するサプライヤーアンケートの実施、子会社の外国人技能実習生の実態調査を実施しました。今後はサプライヤーアンケートや子会社の外国人技能実習生の実態調査の結果を受けた具体的な対応を検討しますが、現段階において重大な人権侵害はないと判断しております。
〈人権リスク特定と対応方針の策定〉
③ リスク管理
当社グループは、経営又は事業の目的達成(中期経営計画、事業計画等)を阻害する要因をリスクとして捉え、それらのリスクを顕在化させないための対策を実施しています。リスクマネジメント活動に関する全社的な仕組み(ERM)を運用するため経営会議の中に全社RM会議を設置しており、さらに気候関連リスクにおいては、サステナビリティ委員会の中にTCFDタスクフォースを設置することでリスク管理を行っています。
また、危機管理として大規模災害等に備え、BCP(事業継続計画)の策定により、その被害を最小限にとどめ継続的に業務を遂行できる体制を整えています。
〈全社リスク管理体制〉
当社グループでは「全社的リスクマネジメント(ERM)規程」を制定し、全国の拠点において同一の基準を用いてリスクを管理しています。また、各拠点の活動計画、活動状況、活動結果を経営会議に報告し、フィードバックを受け、全社におけるリスクマネジメント活動の更なる活性化並びに改善を図っています。
・リスクの特定と全社重点リスクの策定
各拠点で年1回実施しているセルフチェックにおいて特定されたリスクは、影響度と発生可能性から重要度を定量・定性的に評価し、リスクマップ上で分類することでリスクを把握・管理しています。各拠点で挙げられたリスクの中でも特に当社グループへの影響が大きく、かつ全社横断的であると判断したリスクは「全社重点リスク」として位置付け、総括部門を中心に対策を講じます。
・リスクマネジメント活動
各拠点にリスクマネジメント推進チームを設定し、年間を通じてリスクの特定、分析・評価、対策実行、モニタリング・改善のPDCAを回すことで、全社におけるリスクの最小化や業務効率化等に取り組んでいます。
a.気候関連リスク
・気候関連リスクの特定・評価プロセス
サステナビリティ委員会の中に設置されているTCFDタスクフォースにてグループ内関係部門との審議を通じ、内部・外部要因を鑑みて当社グループの気候関連リスク・機会を特定します。特定した気候関連リスク・機会は、「全社的リスクマネジメント(ERM)規程」にて採用されている体制・仕組み(プロセス・指標)を活用し、当社グループへの影響を定量・定性的に分析・評価し、対応策を策定します。
・気候関連リスクを管理するプロセス
サステナビリティ委員会は、気候関連リスク・機会への対応の実施状況をモニタリングし、対応策の妥当性の確認を行うことで当該リスク・機会への対応の改善を図り、重要な事項は取締役会へ報告します。
取締役会は、サステナビリティ委員会より報告される気候関連リスク・機会への対応策を監督・助言する役割を担っています。
・気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスの総合的リスク管理への統合(サステナビリティ委員会と全社RM会議との連携)
気候関連リスクに関しては、TCFDタスクフォースと全社RM会議が連携し、総合的なリスク管理をすることで、グループ全体のリスクの最小化や機会の最大化を図っています。
b.人権リスク
当社グループは人権の尊重をサステナビリティへの取り組みの重要な課題の一つとして捉え、2022年3月に「人権方針」を策定し、当社グループにおける重要人権リスクの評価・特定を行うとともに、リスクの低減・防止に向けた対応方針を策定することで、人権デューデリジェンスに取り組んでいます。今後は人権デューデリジェンスの結果を踏まえた具体的な対応に取り組んでまいります。
〈人権デューデリジェンスの全体像とリスク特定プロセス〉
④ 指標及び目標
a.気候関連課題
当社グループでは、気候変動に伴うリスクの最小化と機会の最大化を図るため、CO2排出量を重要な指標として定めています。中期目標として2030年度までに当社グループにおけるScope1・2のCO2排出量50%削減(2020年度比)、長期目標として2050年度のサプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの達成を掲げています。
ⅰ 中期目標
目標年度:2030年度
内容 :Scope1・2におけるCO2排出量50%削減(2020年度比)
対象範囲:当社及び主要関係会社
ⅱ 長期目標
目標年度:2050年度
内容 :カーボンニュートラルの達成
対象範囲:サプライチェーン全体
ⅲ 中期目標におけるCO2削減ロードマップ
当社グループでは、中期目標に向けて3つの削減施策を策定し、目標年度である2030年度までの脱炭素ロードマップを作成しました。2030年度にかけて事業成長による排出量の増加が見込まれるものの、さらなる排出量削減を当社グループにおいて実現してまいります。
また、事業活動を通じてサプライチェーン全体における低炭素化及び脱炭素化に貢献することが重要であり、削減貢献量も含めた削減施策を実行することで、取り組みをより一層加速してまいります。
〈省エネ・創エネ活動〉
生産拠点における原単位の改善、省エネ性能の高い設備への更新等を進めるとともに、燃料の転換(重油⇒液化天然ガス等)や設備の電化(ヒートポンプ・電動フォークリフト導入等)を進めてまいります。
また、生産拠点の再編によるエネルギー効率改善も含めた着実な削減を実現してまいります。
〈再エネ電力切替〉
再生可能エネルギー由来の電力を活用することで、当社グループの電力の非化石化を実現してまいります。
〈削減貢献量によるオフセット〉
牛のゲップに含まれるメタン、家畜の排せつ物から発生するメタンや一酸化二窒素等、畜産由来の温室効果ガスの削減、また飼料原料である飼料米の生産工程で発生するメタンの削減等に貢献し、その環境価値(J-クレジット等)を当社が購入・オフセットすることで、サプライチェーンにおける低炭素化及び脱炭素化に寄与してまいります。
ⅳ CO2排出量実績:Scope1・2 単位:t-CO2
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項目 |
対象範囲 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2026年度 目標 |
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Scope1・2 |
- |
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37,775 |
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Scope1 |
当社 主要関係会社 |
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- |
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Scope2(熱) |
当社 主要関係会社 |
2,246 |
1,080 |
779 |
907 |
958 |
- |
|
|
Scope2(電気) |
当社 主要関係会社 |
27,987 |
27,833 |
28,083 |
28,459 |
24,735 |
- |
|
(注)算定内容の見直し等に伴い、CO2排出量の実績を過年度に遡って修正しております。
ⅴ CO2排出量削減の取り組み例
|
取り組み①:J-クレジットの創出(削減貢献量によるオフセット) |
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<方法論番号・方法論名称> AG-005・水稲栽培における中干し期間の延長 <目的・概要> 当社グループにおけるCO₂排出量とのオフセットを目的とし、当社が運営・管理者となり取引先である飼料用米生産者を対象としたJ-クレジット創出プロジェクトを始動。本プロジェクトで生産された飼料米は当社が配合飼料原料として使用し、サプライチェーンにおける温室効果ガス削減に寄与。 |
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取り組み②:再生可能エネルギー由来電力の導入(再エネ電力切替) |
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<導入拠点> 北九州水産工場 <導入時期> 2024年4月 <目的・概要> 電力使用に伴うCO₂排出量の削減を目的として、同工場で使用する電力100%を再生可能エネルギー由来電力へ切替え。環境負荷の少ないクリーンな電力調達を実現。 |
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取り組み③:リチウムイオンバッテリー搭載 電動式フォークリフトの導入(省エネ活動) |
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<導入拠点> 北九州畜産工場 <導入時期> 2024年7月 <目的・概要> 燃料使用に伴うCO₂排出量の削減を目的とし、リチウムイオンバッテリー搭載の電動式フォークリフトを導入。従来のディーゼル式フォークリフトと比較し、高パフォーマンスを維持しながらCO₂排出量の削減と低ランニングコストを実現。 |
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(2)人的資本
① 戦略
a.人材の育成及び社員の生産性向上に関する方針
当社グループは、人材の育成及び社員の生産性向上を、企業価値の持続的な向上に不可欠な要素と位置付けております。社員の成長が会社の持続的な発展の基盤となる認識のもと、将来にわたって組織を活性化させる人材の育成のため、体系的な社員教育制度の整備や自己啓発支援を推進しています。さらに、社員の生産性向上を目的とした働き方改革の推進や健康経営に取り組んでおり、これらの施策を通じて社員のエンゲージメント向上とその定量的指標の改善を図っております。
以下については主に提出会社の取り組みを記載しています。
ⅰ 社員教育制度
Purposeを体現できる人材の育成を基本方針とし、マテリアリティを解決できる人材の育成に力を注いでいます。社員が一定の役職等に達する毎に実施する階層別研修では、次世代リーダーの育成と社員一人ひとりの成長をサポートしています。2025年度からは、職種別の期待役割に応じた人材育成のため、総合職、エンジニア職及び一般職の職種別教育体系の整備に取り組んでおります。また、社内資格である畜産・水産経営指導員試験制度や、社内勉強会による営業サポート能力の向上や知識習熟にも取り組んでおります。その他、自己啓発支援として通信教育の受講や資格取得のための受験費用補助・奨励金支給等、積極的な支援を行っております。
<階層別研修のイメージ>
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研修名 |
目的 |
研修に応じて向上すべき能力・スキル |
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シニア マネージャー研修 |
会社から選抜された社員を対象とした次世代リーダーの育成 |
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新任管理職研修 |
新任管理職の社員を対象としたマネジメント能力の育成 |
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マネージャー研修 |
次期管理職候補の社員を対象とした概念化能力の育成 |
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中堅社員研修 |
30代中堅の社員を対象とした対人関係能力の育成 |
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若手社員研修 |
入社5年目前後の社員を対象とした実務遂行能力の育成 |
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新入社員研修・ 2年目研修 |
事業内容理解、入社後の振り返り、自分のビジョン策定 |
ⅱ エンゲージメント向上のための取り組み
取り組み①:ダイバーシティ推進
ダイバーシティ推進においては、特に女性活躍推進に力を入れて取り組んでいます。2026年度末までに女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画として女性管理職比率6.0%以上(2025年3月現在2.1%)、女性正社員比率25.0%以上(同20.8%)を目標に掲げております。もともと女性社員の比率が低く、配属される部署も限られておりましたが、近年は女性の入社も増加傾向にあり、将来的な定着を見据えた社内制度の整備、社内意識改革のための研修を段階的に拡充し、組織風土の醸成に注力しています。採用にあたっては人材の多様性確保を目的に、外部からの専門人材や様々な経験を持つキャリア人材の採用にも積極的に取り組んでおります。その他、2025年4月からは再雇用制度の見直しを行い、主体的に職務や後進育成に関わることで、シニア人材の更なる活躍推進を進めております。
取り組み②:ライフイベント・ライフスタイルに合わせた働き方
ライフイベントやライフスタイルの変化があっても当社で働き続けられるよう、働き方の選択肢を増やす制度を導入しています。時差出勤制度や在宅勤務制度、最大29ヵ月間取得を認める休職制度、法定を超える介護休業制度や介護・育児短時間勤務制度等を制定し、職場環境の改善や福利厚生の充実も進めてまいります。
<ダイバーシティ推進、ライフイベント・ライフスタイルに合わせた働き方に関する施策>
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施策 |
内容 |
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育児短時間勤務 |
小学校3年生終了時まで取得可能 |
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ライフイベント制度 |
事由は問わず、期間を限定して転居を伴う異動の免除を認める制度 |
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ペアトランスファー制度 |
社員同士で結婚した場合、同一エリアで勤務できるよう異動する制度 |
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F休暇(生理休暇) |
申請しやすい名称、年間2日間まで有給休暇扱い |
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育児休業早期復職支援 |
保育費用の補助によるキャリア形成支援 |
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ベビーシッター補助 |
ベビーシッター利用時の割引券付与 |
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ジョブ・リターン制度 |
結婚、出産、育児、配偶者の転勤、介護、自己実現のための転職等で退職した元社員の再雇用制度 |
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女性キャリアデザイン研修 |
女性社員の将来的な定着のために、全国の若手女性社員が集まり、女性ならではの悩みや課題等の意見交換を交えた研修 |
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マイキャリアデザイン研修 |
突発的に発生するライフイベントを当事者の社員だけでなく、全社員が自分事として捉え、会社全体でサポートするために、管理職層以上を対象とした意見交換を交えた研修 |
取り組み③:健康経営
当社は社員を最も重要な財産と考え、社員の健康維持・増進により生産性を向上させ、働きやすい会社として持続的に成長していくことを目指して健康経営を推進しています。従業員のライフログと連携した健康管理アプリを活用した、運動促進のためのウォーキングキャンペーンの実施や、就業時間中の禁煙、保健師・産業医やEAP等の社内外相談窓口の設置による不調者へのフォローなど、心身共に健康をサポートしています。また、健康経営を専門としたeラーニングのコースを導入し、社員のヘルスリテラシーの向上を図り、女性の健康課題や育児等のライフイベントに応じた働き方について周囲の理解を得やすい環境づくりに努めています。社員の健康を経営的な視点で捉えた取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度において、2021年より5年連続で認定を取得しており、2025年の認定では大規模法人部門の上位500社として「ホワイト500」に選出されました。
b.女性活躍推進法による情報開示(補足説明)
ⅰ 提出会社における男女の賃金差異の状況について
当社の正社員は、総合職、エンジニア職、一般職で構成されています。総合職はすべての業務を含む総合的な会社の業務に従事する社員に適用する職種区分としており、総合職での採用を中心に行っているため正社員の約80%を占めています。エンジニア職及び一般職は業務の限定があり、エンジニア職は製造工場、一般職はエンジニア職が従事する業務を除く業務に従事する職種区分としています。転勤の有無や業務の範囲による賃金差異はありますが、性別による処遇差は一切ありません。2024年4月より、転勤を伴う異動を担う社員に対する待遇改善を目的とした手当を新設したため、総合職の平均賃金は増加しておりますが、女性の課長、課長代理、係長の各職位については、転勤の無い一般職が多いため、賃金差異が生じております。
<正社員の各職位における年間平均賃金>
<従業員数(2025年3月31日現在)> (単位:名)
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全従業員 |
正社員 |
|
非正規社員 |
||
|
|
|
総合職 |
エンジニア職 |
一般職 |
|
|
|
男性 |
485 |
451 |
379 |
68 |
4 |
34 |
|
女性 |
148 |
116 |
65 |
1 |
50 |
32 |
|
計 |
633 |
567 |
444 |
69 |
54 |
66 |
(注)従業員数は、当社が直接雇用する従業員(当社からグループ会社等への出向者を含み、グループ会社等から当社への出向者を除く。)であります。
ⅱ 提出会社における男性の育児休業取得状況について
2021年度以降、男性社員の育児休業取得が社内に浸透しております。消滅してしまう年次有給休暇を最大60日まで保存有給休暇として保有できる制度では、取得対象事由に育児休業を追加し、社員は無給となる育児休業を有給休暇にでき、賃金面での不安なく育児に専念できます。
<男性社員の育児休業取得率・平均取得日数>
平均取得日数は、当該年度に育児休業を終了した男性社員の平均です。
c.エンゲージメントに関する指標
当社は社員の生産性向上を図るうえで、すべての社員が前向きに業務に取り組み、やりがいを持っていきいきと働くことのできる、エンゲージメントの高い職場環境が重要であると認識しています。この方針に基づく定量的指標として、当社では2023年度よりエンゲージメント調査を開始しています。当社は今後もエンゲージメント指標を継続的にモニタリングし、働きやすくやりがいのある職場環境の構築に努めてまいります。
<2025年3月に実施したエンゲージメント調査結果>
② 人材の育成及び社員の生産性向上に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
社員の健康維持・増進を含む人材の育成及び社員の生産性向上に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
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目標 |
実績 |
||
|
指標 |
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2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
|
|
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100% |
100% |
|
|
|
(注)2 |
12.3% |
11.6% |
|
|
|
|
1.9% |
2.2% |
|
|
|
|
20.0% |
20.5% |
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29.2% |
84.6% |
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1.9% |
2.1% |
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99.8% |
100% |
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49.4% |
57.0% |
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99.3% |
97.7% |
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14.4% |
14.2% |
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22.4% |
22.2% |
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62.6% |
64.1% |
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5.9時間 |
6.4時間 |
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14.0日 |
13.6日 |
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2.9日 |
2.9日 |
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4.1% |
3.1% |
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(注)1 指標、目標及び実績については、提出会社においては関連する指標データ管理及び取り組みが行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、上表の指標、目標及び実績は、提出会社の状況を記載しております。
2 2030年度までに15%以上にまで引き上げることを目標としております。
3 年次有給休暇とは別に、6月~10月に使用できる夏季休暇を年に3日付与しています。(パートタイムは週所定労働時間に応じて比例付与)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合の当社グループ成績に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
また、当社はグループ全体のリスク管理を経営企画部が統括し、ERM(全社的リスクマネジメント)の運用により、各事業部門のリスク管理体制の整備状況やリスク管理の実施状況をモニタリングし、必要に応じて適切な指導を行うことで、グループ全体で発生する様々なリスクについて網羅的、体系的な管理を行う体制を構築しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境等の外部要因に関するリスク
① 原料価格の変動に伴うリスク
当社グループにて製造する配合飼料の原料には、とうもろこし、マイロ(こうりゃん)、大豆粕等、輸入原料が多く使用されております。この原料価格は、穀物相場、為替、海上運賃、原料産地の地政学的リスク等により大きく変動します。この要因が予測の範囲をはるかに超えて急激に変動した場合、原料コストの変動を飼料価格に転嫁することができず、利益率が悪化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、畜産飼料においては、原料価格の高騰による畜産生産者の経営への急激な影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度が設けられております。この制度は、生産者と配合飼料メーカーの積立による「通常補てん」と通常補てんでは賄いきれない異常な価格高騰時に通常補てんを補完する「異常補てん」(国と配合飼料メーカーが積立)の二段階の仕組みにより、生産者に対して補てんを実施するものです。配合飼料メーカー負担の積立金は、販売費及び一般管理費として計上され、その増減が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 家畜家禽及び養殖魚の疾病等のリスク
当社グループは、連結子会社及び関連会社に家畜・畜産物の生産会社を有しております。CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病発生等により、生産物の大量廃棄や販売停止を余儀なくされる可能性があります。
畜産・水産生産者において疾病等が発生した場合にも、配合飼料の製造・販売に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、配合飼料の販売先の経営状況悪化により、債権回収に問題が発生することや、債務保証等に対する保証債務の履行等を求められる可能性があります。
そのため、当社グループの各飼料製造工場、連結子会社である農場が感染源又は感染拡大の拠点とならぬよう、獣医師チームを主体に防疫体制の強化を図っております。
③ 気候変動によるリスク
当社グループは、気候変動やそれに起因する自然災害等による原材料価格の高騰や製造工場の被災、気候変動の緩和を目的とした炭素税の賦課等様々な影響を受ける可能性があります。
そのため当社グループでは、気候関連リスク・機会への対応を推進するとともにTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、同タスクフォースが推奨する開示項目に則り「TCFDレポート」を開示しております。気候関連シナリオ分析を進め、リスク及び機会となる要因について科学的根拠をもとに当社グループの財務に及ぼす影響を分析・評価し、将来の不確実性に応じた対応策を策定・実行することでリスクの低減を図ってまいります。また、気候変動への対策を講じることは、当社グループの製品やサービスの開発、企業価値の向上に繋がる機会となることから、脱炭素社会の実現に向け、気候関連リスクへの対応に積極的に取り組んでまいります。
具体的には、気候変動や自然災害、各国の環境規制の強化などにより原料の使用が困難になり、生産活動に支障をきたす可能性があります。そのため、代替原料を使用した飼料の製造を可能とする研究を進め、最小限の影響に留められるよう努めております。
④ 情報セキュリティに関わるリスク
コンピュータネットワークや情報システムの果たす役割が高まり、情報セキュリティに関する対応は、事業活動を継続する上で不可欠となっております。標的型攻撃メールや情報システムへの不正なアクセス、高度なサイバー攻撃、コンピュータウイルスへの感染等により、情報システムに障害が発生するリスクや、社内情報が外部に漏洩するリスクがあります。こうした事態が発生した場合には、信用失墜による収益の減少、損害賠償等の発生等により事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社グループでは、社内ネットワークへのアクセス制御システムを強化するとともに、標的型メールに対する訓練等を通じ、セキュリティ体制の強化に取り組んでおります。
⑤ 従業員の疾病等によるリスク
新型コロナウイルス感染症のような感染型の疾病が拡大し従業員が感染した場合、通常の業務遂行に支障をきたし、当社グループが販売する製品及び食品の供給に支障が出る可能性があります。特に飼料工場においては、一定期間、飼料の製造が行えなくなる可能性があります。
そのため、感染予防への対応策として、会社の取組方針の策定、従業員の行動指針の策定、在宅勤務・時差出勤の推進等を行うとともに、既に作成しているBCP(事業継続計画)の見直し等により最小限の影響に留められるよう努めております。
(2)経営資源等の内部要因に関するリスク
飼料製造工場におけるリスク
a.当社グループの畜産・水産飼料事業部門には飼料製造工場が含まれております。各工場とも必要とされる防災施設を設置しているほか、自衛消防隊を組織し防災訓練を実施する等、工場災害の未然防止に万全を期しておりますが、不測の原因により、また、災害の規模によっては復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。
b.大規模地震により建物及び機械設備が倒壊する可能性があるほか、当社グループの飼料製造工場は沿岸部に位置しているため、津波による建物及び機械設備の水没あるいは損壊等により、復旧までの間、製造が行えなくなる可能性があります。
c.感染症の従業員集団感染により、長期にわたり出社困難となることで製造業務に支障を及ぼす可能性があります。
d.そのため、各工場においては、BCP(事業継続計画)の策定による工場間のバックアップ体制構築、ジョブローテーションの推進、社員安否確認の仕組み構築、自衛消防隊を組織し防災訓練を実施する等の対策を講じております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)のわが国経済は、企業収益の増加に伴う雇用・所得環境の改善や訪日外国人の増加によるインバウンド需要の高まりから、国内消費は緩やかな回復が見られました。一方で、米国の政策動向や中東情勢の緊迫化等による不安定な国際情勢を背景とした消費財・エネルギーの価格高騰や急激な為替変動により、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
飼料業界におきましては、主原料であるとうもろこしの価格は、主産地である米国の恵まれた天候と単収の増加等を背景に前年同期を下回り、当社グループは4月及び10月に畜産飼料価格の引き下げを行いましたが、海上運賃の高止まり等により円貨建での原材料価格は依然として高値傾向が続いております。
畜産物相場につきましては、豚肉相場は、疾病の発生や夏場の猛暑等により出荷頭数が減少した影響から、前年同期を上回る水準となりました。鶏卵相場は、期の前半は軟調に推移したものの、秋以降、鳥インフルエンザの発生等により供給が逼迫し、高値圏での推移となりました。
こうした環境にあって、当社グループは2025年3月期を初年度とする「中期経営計画2026~1st STAGE for NEXT 10 YEARS~」の達成に向け、営業体制強化、生産体制の刷新・増強と研究設備の強化、次世代養殖への挑戦及び畜産物と飼料の連携によるビジネスモデルの構築等の取り組みを進めております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は2,960億4千5百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益は63億4千3百万円(前年同期比18.1%減)、経常利益は67億8千9百万円(前年同期比12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は53億8千7百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
また、設備投資計画の確実な実行と資本コストを意識した経営を実現するため、2025年3月期よりEBITDA及びROICを新たな経営指標として導入しております。当連結会計年度のEBITDA及びROICは次のとおりであります。
a.EBITDA
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|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
経常利益 |
7,737 |
6,789 |
△12.3 |
|
支払利息 |
183 |
190 |
4.1 |
|
受取利息 |
8 |
6 |
△26.5 |
|
減価償却費及びのれん償却費 |
3,291 |
3,621 |
10.0 |
|
EBITDA |
11,204 |
10,595 |
△5.4 |
(注)EBITDA=経常利益+支払利息-受取利息+減価償却費及びのれん償却費
b.ROIC
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前連結会計年度 (%) |
当連結会計年度 (%) |
増減 (%) |
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ROIC |
6.9 |
6.1 |
△0.8 |
(注)1 ROIC=(経常利益+支払利息-受取利息)×(1-実効税率)/ 投下資本
2 投下資本=(有利子負債+株主資本)の期首・期末平均
セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご覧ください。
(畜産飼料事業)
セグメント売上高は2,322億5千9百万円(前年同期比6.0%減)、セグメント利益は85億3千3百万円(前年同期比6.3%減)、セグメントEBITDAは110億7千3百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
畜産飼料の販売数量は増加したものの、平均販売価格は前年同期を下回っており、飼料価格安定基金負担金の増額等により販売費及び一般管理費が増加したため、減収・減益となりました。
(水産飼料事業)
セグメント売上高は256億4千万円(前年同期比4.3%減)、セグメント利益は11億6千4百万円(前年同期比34.8%増)、セグメントEBITDAは16億7千9百万円(前年同期比22.8%増)となりました。
水産飼料の販売数量は減少した一方、平均販売価格が前年同期を上回ったこと等で収益環境の改善が進み、減収・増益となりました。
(食品事業)
セグメント売上高は381億3千1百万円(前年同期比4.7%減)、セグメント利益は2億8千4百万円(前年同期比58.1%減)、セグメントEBITDAは4億5千7百万円(前年同期比45.9%減)となりました。
食肉部門は、豚肉相場の高騰により減益となりました。鶏卵部門は、鶏卵相場が前年同期を下回って推移した影響等により、減収・減益となりました。
(その他)
セグメント売上高は1千4百万円(前年同期比43.9%増)、セグメント利益は1億3百万円(前年同期は1億4千8百万円の損失)、セグメントEBITDAは1億4百万円(前年同期は1億4千7百万円の損失)となりました。
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、海外事業及び不動産賃貸事業等を含んでおります。なお、海外事業は持分法適用関連会社のみのため、売上高の計上はありません。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、1,241億7千2百万円(前期末比68億6千6百万円減)となりました。主な要因は、原材料及び貯蔵品が24億1千万円増加したものの、受取手形及び売掛金が86億1千7百万円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、688億2千5百万円(前期末比113億5千6百万円減)となりました。主な要因は、短期借入金が22億9千8百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が52億5千3百万円減少、未払法人税等が20億7千5百万円減少、長期借入金が67億7千7百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、553億4千7百万円(前期末比44億9千万円増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が42億6千2百万円増加したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億3千万円減少し、当連結会計年度末には102億8千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、85億7千万円(前年同期は111億3千8百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、30億8千8百万円(前年同期は21億6千8百万円の支出)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、60億1千1百万円(前年同期は54億7千4百万円の支出)となりました。これは主に、借入金の返済及び配当金の支払によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産及び仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
畜産飼料事業 |
211,027 |
93.9 |
|
水産飼料事業 |
22,852 |
96.0 |
|
食品事業 |
35,257 |
96.1 |
|
報告セグメント計 |
269,137 |
94.4 |
|
その他 |
1 |
98.2 |
|
合計 |
269,139 |
94.4 |
(注)1 金額は製造原価及び仕入高の金額によっております。
2 セグメント間の内部振替前の数値によっております。
3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
畜産飼料事業 |
232,259 |
94.0 |
|
水産飼料事業 |
25,640 |
95.7 |
|
食品事業 |
38,131 |
95.3 |
|
報告セグメント計 |
296,030 |
94.3 |
|
その他 |
14 |
143.9 |
|
合計 |
296,045 |
94.3 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して100分の10を超える相手先がありませんので、記載を省略しております。
3 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、コア事業である畜産飼料を中心とした事業間の連携を強化し、収益の最大化を目指していく中で、連結経常利益70億円を最終年度とする3ヶ年(2024年度~2026年度)の「中期経営計画2026~1st STAGE for NEXT 10 YEARS~」を策定し、原料調達・生産体制の強化、畜産・水産生産者に供給する製品の品質・サービスの向上、コスト低減等の取り組みを継続して進めております。
当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高2,960億4千5百万円(前年同期比5.7%減)、営業利益63億4千3百万円(前年同期比18.1%減)、経常利益67億8千9百万円(前年同期比12.3%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は53億8千7百万円(前年同期比6.0%増)となりました。
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、次のとおりであります。
当社グループにて製造・販売する配合飼料の主原料(とうもろこし等)の多くは海外からの調達に頼っているため、米国等の産地での作付面積の変動や天候条件による収穫量の増減、先物相場における投機筋の動向、新興国での使用量増加に伴う輸入量の増加、原料産地等における地政学的リスク、海上運賃の変動等は、原料コストに大幅な変動を与える可能性があります。
また、為替相場の急激な変動が調達コストに影響を及ぼす可能性があるため、為替予約を行い、影響を最小限に止める努力をしております。
当社グループは、連結子会社及び関連会社に家畜・畜産物の生産会社を有しております。畜産物相場が大幅に変動した場合や、疾病等の発生により生産物の出荷停止や大量廃棄を余儀なくされる場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループの主要な製品である配合飼料の供給先は畜産・水産生産者であり、飼料価格の急激な上昇や畜水産物相場の極端な低迷に伴う経営悪化により、債権回収面に問題が発生する可能性もあります。
当社は配合飼料製造業者として、配合飼料価格安定制度に携わっております。同制度において配合飼料製造業者として負担する積立金の大幅な増減は、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
畜水産業界を取り巻く環境は、食の安心安全についての法制度の見直しが進められておりますが、このような状況下、生産コストの上昇を伴う法令等の改正があった場合には、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、農業政策が変更された場合等により、当社グループの中核となる畜産飼料事業を取り巻く環境が変化した場合には、経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはこれらの状況を踏まえ、各部門にて現状把握と将来予測による戦略プランの立案・実行に努めるとともに、グループ戦略会議を実施しております。また、当社グループ内で発生した問題に対し組織単位レベルで対策を検討・実施しており、グループ全体における経営活動の更なる改善・向上を目指しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(畜産飼料事業)
畜産飼料事業では、飼料の販売数量は増加したものの、平均販売価格が前年同期を下回ったことから減収となりました。損益面においては、前年同期に比べて物流費や飼料価格安定基金負担金の増加等による販売費及び一般管理費の大幅な増加があったこと等から減益となりました。
そのような環境の中で当社グループは、工場生産設備、研究設備の増強等を実施し顧客ニーズを捉えた製品の供給により他社との差別化を図ってまいります。
(水産飼料事業)
水産飼料事業では、海水温の異常な上昇に大きく影響を受け、販売数量が前年同期を大きく下回ったことから減収となりました。損益面においては、飼料の平均販売価格が前年同期を上回ったこと等から収益環境の改善が進み増益となりました。
そのような環境の中で当社グループは、工場生産設備、研究設備の増強等を実施し顧客ニーズを捉えた製品の供給により他社との差別化を図ってまいります。
(食品事業)
食品事業では、鶏卵相場が前年同期を下回って推移したこと等から減収となりました。損益面においては、豚肉相場の高騰、鶏卵相場が前年同期を下回って推移したこと等により、減益となりました。
そのような環境の中で当社グループは、畜産飼料事業と食品事業の更なる成長とシナジーを発揮し収益拡大を実現するため、引き続き、生産設備の更新・増強投資の実施により、防疫管理及び安全衛生管理の徹底と生産の効率化に取り組んでまいります。
(その他)
その他事業では、海外事業及び不動産賃貸事業等により、増収、増益となりました。
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、海外関係会社2社を含んでおります。なお、海外関係会社はいずれも持分法適用関連会社のため、売上高の計上はありません。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況は、次のとおりであります。
当社グループは、EBITDA、ROE、ROIC、総投資額、販売数量を重要な指標として位置づけております。2024年度のEBITDAは105億円(計画値103億円)、ROEは10.3%(計画値8%以上)、ROICは6.1%(計画値6%以上)、総投資額は49億円(計画値600億円(2024年度から2029年度における期中投資額累計))、販売数量は3,787千トン(計画値3,813千トン)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの主な資金需要は、畜産飼料事業における配合飼料の製造・販売、豚・鶏卵の生産・販売等、水産飼料事業における配合飼料の製造・販売、水産物の仕入・販売等、食品事業における食肉・鶏卵の仕入・加工・販売等のための営業費用並びに設備の新設・更新・合理化工事等の投資であります。これらの資金需要の対応につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。
なお、当社は、2018年3月に総額65億円のタームローン契約、2022年8月に総額100億円のシンジケートローン形式のサステナビリティ・リンク・ローン契約をそれぞれ締結しております。本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。
また、当社は、2022年8月に総額100億円のシンジケートローン形式のコミットメントライン契約を締結しております(2024年8月26日更新)。本契約締結により、外部要因による資金需要の増加に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保して事業の安定性と財務の健全性向上を図ることを目的としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(完全子会社の吸収合併)
当社は、2024年9月26日開催の取締役会において、2025年4月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である苫小牧飼料㈱及び東北飼料㈱を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(連結子会社の吸収合併)」に記載のとおりであります。
(重要な資金の借入)
当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫、㈱みずほ銀行をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額6,500百万円のタームローン契約を2018年3月に締結しております。
なお、2020年3月31日に本契約の覚書を締結し、2回目以降の実行日を変更しております。
(1)シンジケートローン契約締結の目的
本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。
なお、本件は北九州畜産工場の建物建築、機械設備等の購入・製作に係る必要資金の一部として充当しております。
(2)シンジケートローン契約の概要
|
契約形態 |
タームローン(分割貸付契約) |
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契約金額 |
6,500百万円 |
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契約日 |
2018年3月30日 |
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実行日 |
工事請負契約に基づく決済時期に合せた複数回の分割実行とします。
1回目 2019年11月29日 2,782百万円 2回目 2020年8月31日 2,782百万円 3回目 2020年10月30日 936百万円 |
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利率 |
市場金利等を勘案して決定しております。 |
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満期日 |
2030年9月末日 |
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担保 |
無担保 |
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アレンジャー兼エージェント |
㈱横浜銀行 |
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コ・アレンジャー |
農林中央金庫、㈱みずほ銀行 |
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参加金融機関 |
㈱横浜銀行、農林中央金庫、㈱みずほ銀行、㈱三井住友銀行、三井住友信託銀行㈱、㈱静岡銀行、㈱山口銀行、みずほ信託銀行㈱、㈱神奈川銀行 計9行 |
なお、期末残高及び特約の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)※8 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)※6 財務制限条項」に記載しております。
(重要な資金の借入)
当社は、㈱横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、農林中央金庫をコ・アレンジャーとする銀行団との間で、総額10,000百万円のシンジケートローン形式のサステナビリティ・リンク・ローン契約を2022年8月29日に締結しております。
(1)シンジケートローン契約締結の目的
本契約締結により、借入条件と窓口を一本化し、資金調達の機動性及び安定性を確保することを目的としております。本契約では、CO₂排出削減率をKPI(重要業績評価指標)に選定し、ローンの年限に応じてサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」という。)を設定しております。SPTを達成した場合はインセンティブとして金利の優遇を受けることができ、その金利優遇相当額はESG、SDGs活動に活用する予定です。
(2)シンジケートローン契約の概要
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契約形態 |
タームローン |
|
契約締結日 |
2022年8月29日 |
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借入実行日 |
2022年8月31日 |
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借入金額 |
10,000百万円 |
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借入期間及び金額の内訳 |
3年 5,000百万円、5年 5,000百万円 |
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資金使途 |
運転資金 |
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担保 |
無担保・無保証 |
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参加金融機関 |
㈱横浜銀行、農林中央金庫、㈱三井住友銀行、三井住友信託銀行㈱ |
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アレンジャー兼エージェント |
㈱横浜銀行 |
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コ・アレンジャー |
農林中央金庫 |
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KPI |
Scope1・2 の CO₂排出削減率 |
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第三者評価機関 |
㈱格付投資情報センター |
なお、期末残高及び特約の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)※8 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)※6 財務制限条項」に記載しております。
(コミットメントライン契約の締結(更新))
当社は、2022年8月29日に締結したシンジケートローン形式のコミットメントライン契約を更新することを決定し、当該更新に係る契約を2024年8月26日に締結いたしました。
(1)コミットメントライン契約締結の目的
本契約締結により、外部要因による資金需要の増加に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保して事業の安定性と財務の健全性向上を図ることを目的としております。
(2)コミットメントライン契約の概要
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契約締結日 |
2024年8月26日 |
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借入極度額 |
10,000百万円 |
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契約期間 |
2024年8月26日~2027年8月31日 |
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資金使途 |
運転資金 |
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担保 |
無担保・無保証 |
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参加金融機関 |
㈱横浜銀行、農林中央金庫 |
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アレンジャー兼エージェント |
㈱横浜銀行 |
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コ・アレンジャー |
農林中央金庫 |
なお、期末残高及び特約の内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)※8 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)※6 財務制限条項」に記載しております。
当社の研究開発活動は、畜産飼料の研究開発と品質管理を行う「研究所」及び水産飼料や飼料物性等の研究開発を行う「水産研究所」で行っております。両研究所では、試験研究、製品開発について、国内・国外の最新の情報を取り入れて、より効率的でスピードアップした質の高い研究開発を充実した施設及び人員のもとで進めております。
「研究所」は、畜産研究室と品質管理室の2室があります。畜産研究室は、福島リサーチセンター(福島県田村郡小野町)といわきリサーチセンター(福島県いわき市)において、採卵鶏、ブロイラー、豚、乳牛、肉牛の新製品及び新技術開発のための研究開発活動を行っております。品質管理室は鹿島リサーチセンター(茨城県神栖市)において飼料並びに食品の品質と安全管理に関する業務を行っております。また、分析業務においてはISO/IEC17025(認定番号70118(試験所の能力に関する国際規格))を取得しており、より信頼度の高い分析による品質管理を行っております。
「水産研究所」は、愛媛県南宇和郡愛南町にあり、小型の陸上水槽及び海面の生簀で魚類及びエビを飼育し、水産飼料の研究開発を行っております。
併せまして「研究所」及び「水産研究所」では、開発、管理及び分析の業務で得た最新知見を共有・活用して、営業部門と共にお客様の経営改善のサポートを行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は畜産・水産飼料事業を中心として
(1)養鶏用飼料
養鶏用飼料では、最新の育種情報や栄養学に基づく新技術開発と、農場生産コスト低減等の研究成果を採卵鶏用、ブロイラー用、種鶏用の製品に応用しています。2024年度は、環境負荷低減のための窒素・りん等排出低減や鶏糞量低減に関する試験研究、また生産物品質向上のための卵肉品質に関する試験研究を中心に、夏場対策やアニマルウェルフェアに関する研究、経営改善に寄与する飼料要求率等の成績改善について取り組み、得られた知見は製品への応用や技術資料、お客様の経営サポートとして活用しております。
(2)養豚用飼料
養豚用飼料では、最新の育種情報や栄養学を国内外から積極的に入手し、国内市場の動向に対応させた製品開発に取り組んでいます。2024年度は、育種改良の進んだ種豚(母豚)用飼料として「ブリードワンFシリーズ」を新発売しました。「ブリードワンFシリーズ」は基礎研究を重ね、効果的な素材を組込んだ当社独自の配合設計により、お客様より高い評価を頂いております。また、環境負荷低減のために飼料要求率改善や低タンパク質飼料開発を進めております。
その他、IoTによる養豚産業への貢献を目指した研究、夏場対策やアニマルウェルフェアに関する研究にも継続的に取り組んでおります。
(3)養牛用飼料
酪農及び肉牛生産において、生産性向上と生産コスト低減は常に重要課題として取り組んでおります。乳牛用飼料においては、当社独自の飼料設計技術及びその技術に基づいた製品の開発、さらにロボット搾乳や乳牛のゲノム解析という新たな分野の研究に取り組み、酪農家の皆様への技術サポートを行っております。肉牛用飼料では、増体成績、枝肉成績の向上に寄与する研究を継続し、脂肪交雑や繁殖改善に関する技術開発を進めております。更に環境負荷低減のため、温室効果ガスとして牛からのメタン発生が世界的な課題となっており、当研究所で海外で評価を得たメタン発生量測定装置を国内でいち早く導入し、メタン発生を抑制する飼料・技術の開発研究に積極的に取り組んでおります。
(4)水産飼料
水産飼料では、最新の栄養学的知見や研究成果をもとに成長性、肉質向上、生産コスト削減、IoT技術の活用といったテーマを掲げて製品開発に取り組んでおります。SDGsの観点からは主に魚粉を中心とする天然資源への依存度を下げた飼料の開発、天然の卵や稚魚に頼らない完全養殖を目指したブリ人工種苗生産を実施しております。
特に水産飼料において持続的な養殖生産のために天然資源の保護及び原料の安定供給の観点から魚粉及び魚油の依存度を下げることは最重要課題であり、様々なアプローチから脱魚粉・脱魚油化を推進する研究開発を継続しております。魚粉代替原料の1つである昆虫蛋白に関しては2024年7月に機能性付与に係る特許出願を行いました。
これまでに、魚粉を含めた動物質性原料の配合率を30%程度に削減した低魚粉飼料を上市しておりましたが、2023年度に発売したマダイ用魚粉無配合飼料「サステナZERO」はお客様からの高い評価を頂き、2024年度の当社マダイ用単一銘柄としてはトップセールス商品となりました。また、魚に対し一定期間の制限給餌を行うことで発現する「補償成長」技術の追究に関しては高知県補助事業として採択され、今後の製品開発に向けた成果と知見を獲得しております。
当社では、今後も様々な課題に挑戦し、従来の高魚粉飼料に負けない性能を持った低・無魚粉飼料を軸とした「次世代飼料」の開発を行うことで、天然資源に依存しない持続的な養殖業への貢献、また養殖生産コスト低減の一助となるよう取り組んでまいります。