第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、経営理念である「首都圏における中小企業と個人のお客さまのための金融グループとして、総合金融サービスを通じて、地域社会の発展に貢献します。」を実現するため、2024年3月 パーパス「TOKYOにつくそう。」を策定し、お客さまや地域のために、グループの総合力を最大限に活用しながら、金融の常識を超えて課題解決にコミットし、地域社会・地域経済の持続的な発展に貢献してまいります。

 

<パーパス>

 

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※「TOKYO」とは、東京を中心とした首都圏を地盤とし、きらぼしグループがさまざまな価値を提供する全ての人々・地域・課題などを象徴的に表したものです。

 

(2)経営環境

わが国経済は、ウィズコロナからアフターコロナへの転換に伴い経済活動が再開・活発化する中で、緩やかな回復基調を辿りました。中でも個人消費については、インバウンド需要の高まりやコロナ禍からの反動等により、外食や旅行等のサービス消費を中心に持ち直しの動きがみられました。ただし、足下では今まで控えられてきたサービス消費が一巡したことや、物価上昇に伴う家計の節約志向の高まりが意識されたこと等を受け、個人消費の持ち直しに足踏みがみられています。また、企業の生産活動については、半導体の供給不足が緩和したことを受け、自動車の生産が回復する等、持ち直しの動きがみられました。

先行きについては、政府の物価高対策の打ち切りに伴う影響や、世界経済減速の懸念、地政学的リスク等が景気の下振れリスクとなっているものの、賃上げによる所得水準の改善やコロナ禍で控えられていた企業の前向きな設備投資の増加等が見込まれ、景気の回復基調は維持されるものと期待されています。

 

 

(3)中期的な経営戦略

当社グループでは、2024年度から中期経営計画(計画期間3年)を新たにスタートさせました。新中期経営計画では、グループ各社の収益力向上や質の高いコンサルティング機能の提供によるフィービジネスの拡大などの「収益力の強化と収益構造の見直し」、店舗戦略の抜本的な見直し・生産性向上のための「更なる効率化」、優先株式償還を見据えた「自己資本の充実」に重点的に取り組み、グループの経営体力の強化と競争力の向上を実現してまいります。

また、グループ力を活かしサステナビリティへの取組みを更に強化することで、地域経済および地域社会の持続的成長に貢献するとともに、企業価値の向上を図ってまいります。

 

<本中期経営計画期間(2024~2026年度)における取組み項目>

コスト:更なる効率化

法人店舗の集約および専門性の高い人材による生産性の向上

収益 :収益力の強化・収益構造の見直し

サービス拡充に向けて整備を続けてきたグループ各社事業の収益化、収益力の強化、

エクイティ投資の収益化、デジタル戦略の収益化など

資本 :自己資本の充実

優先株式償還原資確保に向けた内部留保蓄積、RORAを意識したリスク・アセットコントロールなど

 

当社グループでは、役職員全員が共通して持つべき意識・価値観・考え方として、「社会貢献、組織の発展、自己実現、自らの幸せを実現させること」を「きらぼしフィロソフィー」として策定しております。そして、その実現に向け、「きらぼしフィロソフィー」を実践する役職員を「きらぼしびと」(※)と定義し、3つの行動指針(①“高い志”を持つひと、②どうしたら出来るのかを常に考えるひと、③結果にコミットし、果敢に挑戦し続けるひと)を掲げております。きらぼしグループの役職員一人ひとりが3つの行動指針を体現する「きらぼしびと」として問題解決に力をつくし、お客さまとの価値共創に取り組んでまいります。

※きらぼしびと:きらぼしフィロソフィーを実現する人です。

 

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当社は新中期経営計画に基づき、グループの中核企業であるきらぼし銀行、デジタルバンク「UI銀行」等、全グループ会社における総合ソリューションで東京圏の社会的問題の解決に取り組んでまいります。その結果として、収益の安定化、事業収益の多様化に伴う収益の増加並びにOHRやROE等経営指標の改善を図ることで、すべてのステークホルダーの皆さまとの互恵関係を築くとともに、地域経済と地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。

 

(4)目標とする経営指標

中期経営計画のKGI(財務目標)につきましては、以下のとおりとなっております。

 

<中期経営計画のKGI(財務目標)>

 

2026年度目標

当期純利益(FG連結)

300億円

ROE(FG連結)

7%台後半

グループ会社利益(FG連結)※きらぼし銀行を除く

50億円

コアOHR (きらぼし銀行単体)

50%台半ば

自己資本比率(FG連結)

8.3%

 

(5)対処すべき課題等

「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げる当社グループはこれまで、ビジネス構造の改革とグループ連携を通じた持続可能な成長モデルの構築を進めるとともに、店舗・人員・システムを中心とした合理化施策により経費削減を進めるなど、経営の効率化を推進してまいりました。

当社グループを取り巻く経営環境をみると、経済活動の正常化が一段と活発となる一方で、世界ではロシア・ウクライナ情勢等の地政学的リスク、資源・原材料価格の高騰、インフレーションの進行、国内ではマイナス金利政策解除による金融政策の転換期を迎える等、業種によっては先行きの不透明な状況が続いております。また、目まぐるしい環境の変化に伴い、お客さまのニーズも多様化・複雑化し続けており、金融機関に求められる社会的使命も大きな転換期を迎えています。

こうした環境下、当社グループにおいては、パーパス「TOKYOに、つくそう。」のもと、収益力の強化と収益構造の見直し、自己資本の充実と更なる経営の効率化を推進するとともに、グループ統合リスク管理並びにコンプライアンス管理などガバナンスの強化がこれまで以上に重要になると考えております。

 

当社グループは、課題に対処するため、以下の項目について取り組んでまいります。

 

(デジタル戦略)

デジタルを活用し、お客さまに寄り添いながら、より付加価値の高いサービスの提供を目指します。デジタルバンク「UI銀行」、フィンテックサービスを展開する「きらぼしテック」をデジタル戦略の中核に、グループ各社との連携によるグループ内サービスの相互利用によるデジタルプラットフォームの機能・サービスを強化するとともに、デジタルを起点とした対面・非対面サービスを融合し、外部連携パートナーと連携した金融サービス提供(BaaS)による金融・非金融サービスが一体となった総合サービスの提供を実現してまいります。

 

(個人戦略)

高齢化が進展する中、きらぼし銀行の預金取引の大半を占めるシニア層との信頼関係を次世代につなげるため、外部機関との連携等により、金融と非金融双方でシニア層のニーズへお応えしてまいります。また、富裕層、オーナー層などのお客さまが抱える課題に対し、長期目線でお客さまに寄り添い、長期的な時間軸の中でお客さまと信頼関係を築き、当社グループ各社の幅広いサービスを提供する「FD(フィデューシャリー・デューティー)営業」を実践してまいります。

また、当社グループは、きらぼし銀行の営業店・本部、きらぼしライフデザイン証券等グループ各社が一体となった営業体制を構築し、お客さまのニーズに多様なチャネルで柔軟に対応し、コンサルティングを起点としたサービスの充実を図ってまいります。

 

(法人戦略)

創業から成長期、衰退期までのお客さまの多様な課題にお応えするため、きらぼし銀行の従来型の融資取引にとどまらないストラクチャードファイナンスやメザニンファイナンス、きらぼしキャピタルのファンドを通じたエクイティ投資、投資先へのハンズオン支援など、多様なかたちでご支援できるよう、グループ全体でソリューション機能の強化に取り組んでまいります。また、お客さまとのリレーションを深め、取引メイン化の促進、外部連携ファンドとのハブ機能の発揮に向け、きらぼし銀行がコーディネータとなり案件の実行を実現するとともに、迅速な対応を図るため、案件検討体制や審査・リスク管理態勢をさらに強化してまいります。

社会的な課題の一つとなっている中小企業の事業承継に対しては、グループ各社の機能を活用し、オーナーさまの意向に沿った解決策の提案を行ってまいります。

 

(自己資本の充実)

金融機関における競争環境が変化する中で、経営の健全性を確保し、ステークホルダーの皆さまのご期待に適切に応えていくため、自己資本の充実と財務基盤の拡充に取り組むことが重要になっております。

当社グループでは、健全な自己資本比率を確保し、リスク・アセットをコントロールしながら収益力を強化し、株主への利益還元をバランスよく運営することで、企業価値の向上を目指しております。そのため、優先株式償還原資確保に向けた内部留保の蓄積、適切な経営資源の配分でグループ最適事業ポートフォリオの構築、ベース経費削減と必要なDX投資による強固な経営基盤、リスクカテゴリーごとのアセットコントロールによりRORA向上を進めてまいります。

 

(経営基盤の強化とグループ経営資源配分の最適化)

お客さまの利便性向上、高付加価値を提供するために店舗再編を行うことでコスト削減を進めるとともに、お客さまのニーズに合わせた拠点の設置、各種合理化・高度化のための前向きな投資を行い、戦略分野への人員配置と人材育成、DX化等で効率化による生産性の向上を進めてまいります。

 

(サステナビリティへの取組み)

サステナブルファイナンスをはじめ、SDGs評価プログラム等複合的なサービスの提供により、SDGsに掲げられるさまざまな社会的課題の解決に向けて、ESG地域金融の観点から積極的に支援を行ってまいります。また、多様化するお客さまの問題解決に向け、引き続きグループの総合力強化を図るとともに、外部機関との更なる連携強化を進め、付加価値の高い金融サービスを通じて、お客さまの幅広いニーズにお応えしてまいります。

 

(ウェルビーイングと人的資本経営)

「きらぼしフィロソフィー」を実践する「きらぼしびと」の育成に向け、3つの行動指針のもと、希望するキャリアデザインに基づく外部派遣制度等による「自発性」の喚起、高度な専門人材を育成する「研修制度」の充実、気づきと学びの場の提供による「自己研鑽」の支援などを行ってまいります。

当社グループでは、お客さまへの高い価値提供を実現するにあたり、「人材」が最も重要な経営資本と捉えており、職員一人ひとりが自らの価値を高め、職員のウェルビーイングがお客さま・地域社会のウェルビーイングにつながることで、企業価値向上に貢献することを目指しております。全職員が「きらぼしびと」を体現し、お客さまの課題解決につながる、より専門性の高いプロフェッショナリティを磨き、成果を出していくための投資や制度づくりに積極的に取り組んでまいります。

 

(グループリスク管理)

「グループ事業戦略」・「経営ビジョン」の堅確な達成と「金融にも強い総合サービス業」への発展を下支えすべく、当社が定める「グループリスク管理基本方針」に基づき、信用リスク・市場リスク・オペレーショナルリスク等を的確に管理し、適切なリスクテイクを可能とするリスクマネジメント手法の高度化を図ってまいります。また、利便性と安全性の高いサービスを提供するため、価値創造とリスクマネジメントの両面からサイバーセキュリティ対応に取り組んでまいります。

今後、海外の地域紛争等の地政学的リスクに加え、世界的なインフレーションにおける資材高騰、人件費の増大により、企業収益および資金繰りへの影響が懸念されます。当社グループは、引き続ききめ細かな金融支援機能およびコンサルティング機能の発揮により事業支援を図ってまいります。

 

(コンプライアンス)

コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと捉え、コンプライアンス重視の企業風土の醸成を進めることで、業務の健全性と適切性の確保に努めております。

株主の皆さまに信認され、お客さまや社会から信頼される地域金融グループとしての社会的責任を果たしていくため、当社が定める「コンプライアンス・プログラム」に基づき、徹底したコンプライアンス管理態勢の構築に努め、リスクオーナーシップの確立など企業倫理が徹底・浸透できる態勢の構築を更に進めてまいります。

 

(コーポレート・ガバナンス)

コーポレート・ガバナンスを経営の最重要課題の一つと捉え、社外役員・外部有識者の知見も活用したうえでグループ経営管理態勢や監督機能の強化を進めるとともに、業務運営に際し透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うためコーポレート・ガバナンス機能の充実を図り、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループでは、持続可能な地域社会の構築に向け、2019年に東京きらぼしフィナンシャルグループSDGs宣言を策定いたしました。2021年12月には、地域社会の発展・持続可能な地域社会の課題解決への関与を掲げた「社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を制定しています。持続可能な地域社会の構築に向けた取組みを推進することで地域・お客さまの持続可能性を高め、ひいては当社グループの持続可能性も高まるものと考えております。

 なかでも環境問題(気候変動対応等)、人的資本(人材育成と社内環境整備等)への対応を経営上の重要課題(マテリアリティ)と位置付けております。環境問題については、2021年2月にTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)に対する賛同、2022年3月にはサステナブルファイナンスの取組みを開始いたしました。地域・お客さまの持続可能な成長の支援及び当社グループの社員一人ひとりが自らの価値を高め、エンゲージメントの向上に関する取り組みを推進しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループでは、環境問題について経営上の重要課題(マテリアリティ)の一つと捉え、持続可能な地域社会の実現ならびに当社グループの持続的成長に向けた取組みの管理・推進体制を構築しております。

・ 事業戦略部内にサステナビリティに関する企画や全体管理を行う「サステナビリティ推進室」を設置し、各種方針に基づく、当社グループのサステナビリティ推進の企画・立案、グループ各社・関連部署等との調整をおこなっております。環境問題については、サステナビリティ推進室が主管となり、経営会議における付議・報告、取締役会への付議・報告を行う態勢を整備しております。

・ 経営会議では、サステナビリティ課題として環境問題に関する施策・方針や取組状況などについて付議・報告をおこなっております。(年1回以上)。

 取締役会は、サステナビリティ関連の議案(方針策定や目標設定、取組みの進捗状況等)について付議・報告された内容に対し適切に監督する役割を担っています。

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②戦略

 サステナビリティに関する経営戦略

・ 環境問題によるリスク及び機会への対応を進めるため、お客さまや地域の皆さまとの対話を深めることにより、持続可能な地域社会の実現に向け、地域社会への貢献を目指します。サステナブルファイナンスや事業性評価に基づく融資、各種ファンド等の活用ならびに起業・創業・販路拡大・事業承継等企業のライフステージに応じた付加価値の高い金融サービスの提供を通じて、地域・お客さまとの共通価値を創造し、地域経済の持続的成長に向けた取組みを推進してまいります。

・ 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略についての詳細は、有価証券報告書の「第2 事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)人的資本」に記載しております。

 

 リスクと機会

・ 環境問題の内、主に気候変動によって現在および将来に想定される当社グループが直面するリスクと機会を短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で以下の通り認識しました。

・ 今後、当社グループおよびお客さまのリスクの把握・低減に努めるとともに、機会を当社グループの成長に繋げてまいります。

 

移行リスク

法や規則

脱炭素等による規制強化や政策変更がお客さまの財務に悪影響を及ぼすことによる信用リスクの発生

中期~長期

テクノロジー・市場

脱炭素社会の移行に伴うテクノロジーの急速な転換に乗り遅れることや特性商品・サービスの需要の変動に対応できず、お客さまの財務に悪影響を及ぼすことによる信用リスクの発生

短期~長期

レピュテーション

脱炭素社会への移行に順応できず、レピュテーションが低下することでお客さまの財務に悪影響を及ぼすことによる信用リスクの発生

中期~長期

当社グループの気候変動に関する取り組みや情報開示が不十分とされる評判リスク(戦略と行動の乖離など)の発生

短期~長期

物理リスク

急性

風水害等の突発的な気象事象の発生により被災したお客さまの事業活動の停滞または停止、および不動産担保の毀損による信用リスクの発生

短期~長期

当社グループの本支店、データセンターの被災によるオペレーショナルリスクの発生

短期~長期

慢性

気温上昇、雪氷圏の減少、海面上昇等の長期的な気候パターンの変化により、お客さまの財務に悪影響を及ぼすことによる信用リスクの発生

長期

機会

サービス

お客さまの脱炭素社会への移行や環境問題対応を支援するサービスの提供等、ビジネス機会の増加

短期~長期

商品

金融商品・サステナブルファイナンスの提供

短期~長期

資源効率化・エネルギー源

省資源・省エネルギー化による自社の事業コスト低下

短期~長期

評判

ESGを重要視する投資家や資本市場からの評価向上

短期~長期

 

 

 炭素関連資産

・ 当社の総与信残高に占める炭素関連業種の与信残高・割合は次のとおりです。

対象業種

エネルギー、運輸、素材・建物、農業・食料・林産物

与信残高

22,535億円

与信割合

46.3%

 

・ 対象セクターについては、お客さまとの建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、二酸化炭素排出量の把握や気候変動影響の低減のための事業再構築等の支援に努めてまいります。

※開示対象セクターの業種区分はGICS基準をベースとし、当社グループにおける業種分類で集計

(太陽光・再エネ関連向け与信を除きます)

 

 シナリオ分析

・ シナリオ分析の実施により、脱炭素社会への移行に向け、お客さまの事業転換を進めることの重要性を認識しました。今後、他のセクターに対する定量分析も実施し、セクター毎の気候変動リスクが当社グループに与える影響を把握するとともに、対象セクターにおけるお客さまとの対話(エンゲージメント)を通じて、お客さまの持続可能な経営が進むように支援してまいります。

 

<分析プロセス>

・ 各セクターのリスク(移行リスクと物理リスク)と機会を分析

・ 移行リスクのシナリオ分析対象セクターを決定

・ 移行リスク、物理リスクともに分析対象に応じたシナリオを設定し、与信コストへの影響を分析

 

≪移行リスクの定量分析結果≫

分析対象

電力・ガス・石油・石炭・自動車、及び運輸セクター

分析内容

該当事業者の2050年までの財務予想により債務者区分を判定し与信費用増加額を算出

使用シナリオ

IEA(国際エネルギー機関)NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)

※不足するデータはAPSシナリオの値を代用

与信費用増加額

最大で約105億円

 

≪物理的リスクの定量分析結果≫

テーマ

営業停止による財務影響

担保不動産毀損額

分析対象

全与信先の事業者

全先

分析内容

2050年までの累積損害期待額を算出し、該当事業者の財務予想により発生する与信費用増加額を算出

2050年までの累積損害期待額を算出し、毀損により発生する与信費用増加額を算出

使用シナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)、RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)

与信費用増加額

最大で約34億円

 

 

③リスク管理

・ サステナビリティ項目のなかでも環境問題を重要なリスクの一つとして捉え、影響度合いと蓋然性を考慮のうえ、統合的リスク管理の枠組みで管理できる体制の構築に取組んでまいります。

・ 当社グループが地域金融機関グループとして持続可能な地域社会の実現に貢献するため、環境・社会に影響を与える事業に対する投融資方針として、「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定しました。本方針には気候変動と関連性が高い石炭火力発電事業、森林伐採事業、パーム油農園開発事業も対象に含まれています。

・ リスク分析結果等を踏まえ、今後、お客さまとの建設的な対話(エンゲージメント)を進めてまいります。この中で、お客さまの課題やニーズを把握し、解決策を提供することでビジネスチャンスの把握と当社グループおよびお客さまのリスク管理の強化を進めてまいります。

 

 

④指標及び目標

 環境関連投融資額実行目標の設定

2022年度から2030年度までの環境関連投融資実行額:2,000億円

年度

2022年度

2023年度

実行額

255億円

248億円

累計実行額

255億円

503億円

進捗率:25.1%

 

 Co2排出量

〈Scope1・2〉2013年度対比、2030年度100%削減(カーボンニュートラル)

・ 当社では、温室効果ガス排出量の削減に取組んでまいりました。

・ 今後も継続して、設備導入・入れ替え等の実施、更なる再生可能エネルギー由来電力への切り替え等を進めてまいります。

・ 当社の削減実績は以下のとおりです。

 

年度

2013

(基準年)

2020

2021

2022

2023

Co2排出量(t-Co2)

10,985

5,832

5,409

4,130

2,159

 

Scope1

721

480

485

450

554

 

Scope2

10,263

5,351

4,924

3,680

1,605

2013年度比Co2排出量削減率

 

△46.91%

△50.76%

△62.40%

△80.34%

※1:2013年度は、合併前の旧東京都民銀行および旧八千代銀行の実績の合算となります。

 

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〈Scope3〉

・ Scope3のうち、カテゴリー15について初めて算定を行いました。

・ 当行の与信先について、業種ごとの炭素強度を使用し、炭素排出量を推計する「トップダウン方式」を用いて算定しております。

・ 算定結果をお客さまとのエンゲージメントに活用して、脱炭素社会に向けた取り組みを進めて参ります。

 

〔与信先業種別排出量〕

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(2)人的資本

①戦略

 当社グループにとって、最も重要な資本は“きらぼしびと”です。“きらぼしびと”である職員が、お客さま・地域社会のウェルビーイングの実現を目指し、職員一人ひとりの幸せ=ウェルビーイングが企業の価値を高めていきます。

(人材育成方針)

 当社グループは「職員一人ひとりが自らの価値を高め、企業価値の向上に貢献する」という基本的な考え方のもと、人材育成を進めております。

 お客さまに価値あるサービスを提供するための「個の強化」を目的として、職員の自発的な専門性向上を促す各種研修の実施、専門部署への戦略的配置の他、さまざまなバックグラウンドを持つ専門人材の採用等を行ってまいります。

 また、当社グループのパーパスである「TOKYOに、つくそう。」を浸透・実践するための施策に取組むことで、互いに刺激し高め合い多様な仲間を尊敬し合う「企業文化の醸成」を目指してまいります。女性の管理職登用推進等の取組みも含め、「採用」「育成」「人員配置」を戦略的に行うことで、職員の「挑戦」する機会、地域社会に生きるすべての方々に喜びを届ける機会の好循環を生み出し、職員の成長が当社グループの成長へと繋がる仕組み作りを推進してまいります。

 

(社内環境整備方針)

 当社グループは「良好な職場環境を常に追求し、職員一人ひとりの働きがいを高めていく」という社内環境整備方針のもと、女性及び男性の育児休業取得促進、テレワーク・フレックスタイム制の整備、関係性の質の向上を目指した各種コミュニケーション活性化策等に取組んでおります。

 また、「職員と家族の健康保持・増進、いきいきと働ける職場づくり」をテーマに健康マネジメントに取組んでまいります。ファイナンシャル・ウェルネスを高める施策として2023年度、2024年度に持株会にてRS(譲渡制限付き株式)付与を実施しており、今後も職員が心身の健康のみならず、将来の金銭的な状況について安心感を持てるよう支援し、企業の価値創造や生産性の向上に繋げていくことを目指してまいります。

 

②指標及び目標

 上記①戦略における「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」に関する指標ならびに当該指標を用いた目標を以下の通り設定しております。

 

 

指標

2023年度

2026年度

実績

目標

人材育成方針

専門人材(※1)

836

1,300

 

うちデジタル人材(※1)

360名

660名

人材育成投資額(※2)

3.3億円

6.4億円

女性管理職比率(※2)

18.7%

20.0%

社内環境整備方針

女性育児休業取得率(※2)

100%

100%

男性育児休業取得率(※2)

100%

100%

(※1)当社グループにおける指標及び目標を設定しております。

(※2)主要な連結子会社である株式会社きらぼし銀行における指標及び目標を設定しております。

 

3【事業等のリスク】

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。これらのリスクは、それぞれが独立するものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが増大する可能性があります。また、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点で予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

当社グループは、こうしたリスクの発生可能性を認識したうえで、管理体制の強化に取り組み、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努めてまいります。リスク管理につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」にも関連した記載がありますのでご参照ください。

なお、以下の記載における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.財務に関するリスク

(1)信用リスク

① 不良債権に関するリスク

当社グループは、貸出金に対する審査態勢の強化及び小口分散化された貸出ポートフォリオの構築、貸出先に対する事業性評価に基づく金融支援・本業支援の実践、信用格付・自己査定の適切な運用を通じて貸出資産の健全化に努めております。

きらぼし銀行においては、融資管理部と営業店が一体となり、モニタリングを通じて貸出先の業況変化の早期把握と適切な対応を進めております。また、業績不振企業に対する経営改善支援や財務指標に基づく業況悪化の予兆を早期に捕捉する取組など不良債権の発生防止にも取り組んでおります。しかしながら、国内外の景気動向、不動産価格や金利、為替相場、株価等金融経済環境の変動、取引先企業の経営状況の変動等の予測不能な不確実性により不良債権が増加する可能性があります。

 

② 貸倒引当金に関するリスク

当社グループは、自己査定等に基づき、将来の損失額を見積り、貸倒引当金を計上しております。しかしながら、経済情勢や貸出先の経営状況の悪化、担保価値の下落、自己査定及び償却引当に関する基準の変更、その他の予測不能な不確実性により貸倒引当金の積み増しが必要となり与信関係費用が増加する可能性があります。

 

③ 貸出先への対応に関するリスク

当社グループは、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、回収の実効性その他の観点から、法的な権利をすべて行使しない場合があります。また、こうした先に対して追加貸出、債権放棄等による支援を行う場合があり、こうした支援により、短期的には当社グループの不良債権や与信関係費用が増加する可能性があります。

 

④ 担保・保証に関するリスク

担保や保証による回収見込額は、現在の景気動向や不動産市況、貸出先の事業性評価等を前提として算定しております。今後、不動産価格等の下落や貸出先の事業性減退による担保価値減少(不動産担保、集合動産担保等)や、保証人の信用状態の悪化等の予測不能な不確実性により、与信関係費用が増加する可能性があります。

また、不動産市場における価格の下落や流動性の欠如、集合動産の陳腐化や経年劣化、有価証券価格の下落等の要因により、担保権を設定した不動産や集合動産、有価証券等の換金、または貸出先が保有するこれらの資産からの回収額が減少する可能性があります。

 

⑤ 他の金融機関の動向に関するリスク

当社グループは、業況が低迷している企業等であっても改善が見込まれる場合には、貸出条件の変更や追加のご融資にも応じておりますが、他の金融機関が急速な貸出金の回収や取組方針等の変更を行った場合には、短期的に与信関係費用や不良債権が増加する可能性があります。

 

(2)市場リスク

① 有価証券の価格下落リスク

当社グループは、市場性のある株式や債券等の有価証券を保有しております。これらの有価証券の価格下落により、評価損や売却損が発生する場合があり、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に価格変動性の高い商品としては株式や投資信託を保有しており、経済情勢や有価証券市場の需給環境の悪化により、短期的にも相場の急変時には損失が拡大するリスクがあります。当社グループでは自己資本の範囲内でこれらのリスクに見合う資本を割り当てているほか、損失限度額を設定することでリスク量や損失額を一定の範囲に抑えるように運営を行っております。

 

② 金利変動リスク

当社グループでは、金利などの市場動向を注視し、機動的に市場リスク対応を実施するため、金利変動リスクの管理を行っています。しかしながら、資金運用と資金調達に金利または期間のミスマッチが存在しているなかで金利変動が発生した場合には、資金収益が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があり、政策の見直しや経済情勢の変化により中長期的には大きな金利変動が発生する可能性があります。当社グループでは金利変動の影響を受けやすい長期の債券のほか、円貨と比較して金利変動の高い通貨の外貨建て債券を保有しておりますが、自己資本の範囲内でリスクに見合う資本を割り当てているほか、損失限度額を設定することで、リスク量や損失額を一定の範囲に抑えるように運営を行っております。

 

③ デリバティブ取引

当社グループは、主として国内の取引先企業・金融機関との間でデリバティブ取引を行っております。デリバティブ取引は、市場金利・為替相場等の変動によってもたらされる市場リスク及び取引先の契約不履行によってもたらされる信用リスクを有しているため、想定を超える市場金利・為替相場等の変動や取引先の契約不履行により、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。国内外の経済情勢等により、市場金利・為替相場等の変動が想定以上に起きる可能性があることから、必要に応じてリスクのヘッジ取引を行うなどの対応を行っております。取引先の契約不履行のリスクも顕在化のリスクは低くはないものの、小口分散が図られているため、当社グループの業績に与える影響は限定的なものと認識しております。

 

④ 為替リスク

当社グループは、資産及び負債の一部を外貨建てで保有しております。外貨建ての資産と負債が通貨ごとに同額ではなく互いに相殺されない場合には、その資産と負債の差額について為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。世界各国の経済情勢や景気変動で、短期的にも為替相場は大きく変動する可能性は高いと認識しております。これらのリスクを完全に回避することはできませんが、為替ポジションの限度額、損失限度額を設定し、リスク量、損失額を一定の範囲に抑えるように運営を行っており、必要に応じて為替リスクのヘッジをするなどの対応を図っております。

 

(3)流動性リスク

当社グループは、資金繰りの適切な管理に努めておりますが、経済環境の変化や金融市場全般または当社グループの信用状況等が悪化した場合には、資金調達コストが上昇し業績に悪影響を及ぼすことがあるほか、資金調達が困難になれば財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、資金の流出に備えた十分な流動性資産を保有するよう流動性リスク管理の枠組みを定め運営を行っており、短期的にはリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しておりますが、中長期的には調達環境の変化によりリスクが顕在化する可能性があります。

 

(4)決済リスク

当社グループは、多くの金融機関と取引を行っております。取引にあたっては一定の基準を設定しており、リスク顕在化の可能性は低いものと認識しておりますが、金融システム不安が発生した場合や大規模なシステム障害が発生した場合には、金融市場における流動性が低下する等、資金決済が困難となる可能性があります。

 

(5)退職給付債務に関するリスク

当社グループは、割引率や年金資産の期待運用収益率等について、一定の条件の下で、従業員退職給付債務及び退職給付費用を算出しておりますが、予測不能な不確実性が含まれております。年金資産の時価下落や運用利回りの低下、退職給付債務を計算する前提となる割引率等、算出の前提条件に重要な影響があった場合は、退職給付費用が増加し、中長期的にわたり当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は、現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来実現すると見込まれる税金負担額の軽減効果として貸借対照表に計上することが認められております。当社グループは、現時点で想定されるさまざまな予測・仮定を元に将来の課税所得を合理的に見積り繰延税金資産を計上しておりますが、予測不能な不確実性が含まれているため、実際の課税所得が見積額と異なり一部または全部の回収が困難であると判断した場合は、繰延税金資産が減額され、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼし、自己資本比率の低下を招く可能性があります。

 

(7)固定資産減損に係るリスク

当社グループが保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(企業会計審議会)を適用しております。保有する固定資産は、市場価格の著しい下落、使用範囲または方法の変更、収益性の低下等不確実性が含まれており、前提条件等の予測不能な変化などにより固定資産の減損損失を計上することになる場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自己資本比率に関するリスク

当社グループは、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められた国内基準(現時点で4%)以上、また、当社の銀行子会社は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準(現時点で4%)以上に維持することが求められております。当社グループの自己資本比率がこの最低所要基準を下回った場合には、監督当局から業務の全部若しくは一部の停止など行政処分を受ける可能性があります。

当社グループの自己資本比率に影響を及ぼす主な要因として、以下のものがあります。

・債務者の信用力悪化及び不良債権処理の増加に伴う与信関係費用の大幅増加

・景気動向や金利変動に伴う保有有価証券の大幅下落

・繰延税金資産について将来の課税所得の見積額と実際の課税所得との相違等に伴う繰延税金資産の大幅減額

・自己資本比率基準や算定方法の変更

・本項記載のその他の偶発的な損害の発生

なお、当社グループは、今後とも収益力の強化と安定化を進めることにより更に自己資本の拡充を図ってまいります。

 

(9)持株会社のリスク

当社は銀行持株会社であり、その収入の大部分を当社が直接保有しているきらぼし銀行から受領する配当金及び経営管理料に依存しております。リスクの顕在化は低いものと認識しておりますが、一定の条件下では、さまざまな規制上の制限等により、きらぼし銀行が当社に支払うことができる配当の金額が制限される可能性があります。また、きらぼし銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対し配当を支払えなくなる可能性があります。

 

(10)格付低下によるリスク

当社グループは、外部格付機関より格付を取得しておりますが、格付が引き下げられた場合、当社グループの資金・資本調達に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.業務等に関するリスク

(1)システムリスク

当社グループの金融子会社は、銀行業務を正確かつ迅速に処理するとともに、お客さまに多様なサービスを提供するため、基幹系システムをはじめとしたさまざまなコンピュータシステムを使用しております。業務上使用しているシステムについては安定的な稼働を維持するためのメンテナンス等障害発生防止に万全を期しております。しかしながら、これらのシステムについて、事故やシステムの新規開発・更新等によるシステムダウンまたは誤作動等の障害が発生した場合、障害や被害の規模によっては当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)サイバー攻撃に関するリスク

年々高度化・巧妙化するサイバー攻撃により、情報システムの停止、誤作動、外部流出等が発生するリスクが高まっております。当社グループでは、経営の重要課題の1つとして位置付け、サイバーセキュリティ対策の強化を図るべく、グループCIO(Group Chief Information Officer、最高情報責任者)の設置や、リスク管理部にサイバーセキュリティ担当を配置しております。また、サイバー攻撃に備えるべく、外部団体からの情報収集や、サイバー攻撃にかかる訓練・演習の実施、情報リテラシー向上のための教育、システムリスク評価の実施、コンティンジェンシープランの策定等、グループ管理態勢の継続的な強化に取り組んでおります。このほか、外部に公開するウェブサイトなどに対しては、不正アクセスやサービス停止攻撃等への対策を講じるほか、定期的に脆弱性の診断・対策を実施しております。しかしながら、サイバー攻撃により、不正アクセスやサービスの停止、情報漏洩、データの改ざん等が発生した場合、それに伴う損害賠償や、行政処分などにより、当社グループの業務運営や業績、財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)情報漏洩に関するリスク

当社グループは、内部規程及び情報管理態勢の整備や、社内教育による情報管理の重要性の周知徹底、またシステム上のセキュリティ対策等により、顧客情報や社内機密情報等重要情報の漏洩に関するリスクの顕在化防止に努めております。しかしながら、役職員や外部委託先人員の人為的ミス、システム障害の発生、災害等の不測の事態等により重要な情報が外部へ漏洩した場合、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があり、これにより中長期にわたり当社グループの業務運営や業績、財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法令違反等に関するリスク

当社グループは、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと捉え、態勢の整備やホットライン(内部通報制度)の周知、役職員に対するコンプライアンス意識向上に努めております。直ちにリスクが顕在化する可能性は低いものと思われますが、法令等に違反するような事態が生じた場合には、罰則や行政処分等を受け、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)訴訟リスク

当社グループは、法令等遵守の徹底を図るとともに、各種業務の適法性確保のためリーガルチェックを徹底することにより、訴訟の顕在化を防止しております。今後の業務運営の過程で訴訟を提起され、補償等を余儀なくされた場合、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に係るリスク

当社グループは、マネー・ローンダリング等の防止を経営の最重要課題の一つと捉え、不断の検証と高度化に努めるとともに、公共の信頼を維持すべく実効性のある管理態勢を確立することを基本方針としております。リスク管理部内にAML/CFT対策室を設置しグループベースでAML/CFT管理を行い、外部有識者の知見も活用のうえ対策の強化に努めております。しかしながら、不正送金等を未然に防止することができなかった場合は、当社グループの信用や業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)事業戦略に関するリスク

当社グループは、2024年度から新中期経営計画(計画期間3年間)をスタートさせましたが、計画に掲げた戦略や施策が実行できない、あるいは当初想定した成果が実現に至らないことなどにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)業務範囲拡大によるリスク

当社グループは、法令等に則ったうえで、銀行業務以外の新しい分野にも業務範囲を拡大しております。グループ会社間の連携により、顧客基盤の拡大やソリューション提供力の強化等による連結収益の拡大に取り組むとともに、経費削減等を通じた効率性の向上に努めています。しかしながら、新規業務を取扱うことにより、当社グループは新たなリスクにさらされる可能性があり、それらのリスクは全く経験がないか、または、限定的な経験しかない場合があります。当該リスクが顕在化した場合、中長期にわたり当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)主要な業務の前提に関するリスク

当社の子会社であるきらぼし銀行及びUI銀行は、監督官庁の許認可を受け、銀行業を営んでおります。銀行業の免許には、有効期間その他の期限は法令等で定められておりませんが、銀行法第26条、第27条及び第28条に規定された要件に該当した場合には、業務の停止または免許の取消し等を命ぜられることがあります。現時点において、きらぼし銀行及びUI銀行はこれらの事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来、何らかの事由により前述の業務の停止や免許の取消し等の要件に該当した場合には、きらぼし銀行及びUI銀行の主要な事業活動に支障をきたすとともに、中長期にわたり当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)事務リスク

当社グループは、預貸金業務や為替業務をはじめ、国債や投資信託、生損保等の販売等、さまざまな業務を行っております。こうした業務において、内部規程及び態勢整備の点検、本部・営業部店への事務指導等によって、適正な事務の遂行に努めております。しかしながら、役職員が過失の有無を問わず不適切な事務処理を行った場合には、当社グループの業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。これらの事象が発生した場合の影響を最小限に止めるべく管理態勢のチェック・改善を継続して行っております。

 

(11)外部委託に関するリスク

当社グループではさまざまな業務のIT並びに事務の外部委託を行っており、外部委託先の適格性や委託業務に係る安全管理措置、クラウド管理状況について十分に検討を行うなど、外部委託先の管理に努めております。併せて、外部委託先が再委託を行う場合には、再委託先の各種管理体制についても確認し、管理しています。外部委託先において受託業務の遂行に支障が生じた場合、あるいは情報漏洩・紛失・不正などがあった場合には、当社グループに間接的・直接的に影響が及ぶ可能性がありますので、管理を徹底する必要があります。

 

(12)人材確保・育成に関するリスク

当社グループは多様な人材こそが競争力の源泉であると認識し、その育成・確保を行っております。その一環として、組織風土の変革や価値創造を推進する人材の育成・強化に取り組んでいます。しかしながら、当社グループに対する社会的イメージが低下した場合、優秀な人材の確保・育成等が重要な課題となります。事業活動に必要な高い専門性を持った人材の確保等を十分に行うことができなかった場合、競争優位性のある組織能力が実現せず、将来の業務運営が困難となり、中長期的にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3.金融環境等に関するリスク

(1)法令・各種規制の改正に関するリスク

当社グループが業務を行ううえで適用される法律及び規則、政策、実務慣行、会計制度、税制等が変更された場合には、法規制や法改正への対応には新たな対応コストが発生することに加え、事業活動が制限を受けることも想定され、当社グループの業務運営や業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、適宜外部の専門家等を活用しながら法務部門がサポートすることで法を遵守するとともに、法改正等に関する動向を経営層へ発信・周知することにより、法改正等への対応を推進・強化しております。

 

(2)地域経済の動向に影響を受けるリスク

当社グループは、東京都及び神奈川県北東部を主要営業エリアとし、地域の中小企業と個人のお客さまを中心に総合金融サービスを提供し、地域経済・地域社会の持続的な発展への貢献に努めております。さまざまな外部環境の変化により地域経済が悪化した場合には、業容の拡大が図れないなど地域経済の動向が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競争リスク

当社グループは、東京都及び神奈川県北東部を主要営業エリアとし、成長性の高いマーケットにおいてメガバンクや他の地域金融機関等複数の金融機関等が営業を展開しております。今後、フィンテックの台頭や高度IT社会の加速、また規制緩和等による異業種の新規参入など更なる競争激化も予想され、こうした事業環境において競争優位性を発揮できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)普通株式の希薄化リスク

当社は、2016年4月1日付で、第二種優先株式400億円を発行しております。第二種優先株主は、2021年4月1日から2031年3月31日までの間、当社に対し普通株式の交付と引換えに第二種優先株式を取得することを請求することができます。また、当社は、取得請求期間の末日までに当社に取得されていない第二種優先株式がある場合、そのすべてを取得請求期間の末日の翌日に取得し、それと引換えに第二種優先株主に対し普通株式を交付いたします。

また、2016年6月24日付で、第三者割当により第1回第一種優先株式150億円を発行しております。第1回第一種優先株主は、2023年6月1日から2031年3月31日までの間、当社に対し普通株式と引換えに第1回第一種優先株式を取得することを請求することができます。当社は、取得請求期間の末日までに当社に取得されていない第1回第一種優先株式がある場合、そのすべてを取得請求期間の末日の翌日に取得し、それと引換えに第1回第一種優先株主に対し普通株式を交付いたします。

こうした場合、普通株式の株式数が増加し、1株当たりの価値が低下する場合があります。

 

(5)気候変動リスク

持続可能な社会の構築のための2050年カーボンニュートラルを目指す取組みへの要請が高まっています。当社グループでは、2021年12月に「サステナビリティ方針」「環境方針」を制定する等体制を整備するとともに、取引先の気候変動対策に向けた脱炭素等への取組みを包括的に支援する体制を整え、推進しております。当社グループ内においては、環境負荷低減のため、再生可能エネルギー由来電力への切替や環境配慮型車両の導入を通じて事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減、フィンテックを活用した金融取引、業務の効率化及び生産性向上による省資源・省エネルギー化に努めております。また、「企業の森・きらぼしの森」等を通じて森林管理に取り組み、生物多様性を含めた環境保全・保護に向けた社会貢献などさまざまな活動に取り組んでおります。しかしながら、環境関連の規制強化やステークホルダーからの評価、消費者意識の高まりなどにより企業の環境問題への取組み姿勢によっては、レピュテーション低下につながり、地域社会との関係悪化や投資対象からの除外等当社グループに大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)自然災害の発生や感染症拡大等に伴う業務継続に関するリスク

当社グループでは、自然災害・感染症等対応規程及び体制の整備等により業務継続に向けた対応力の強化に努めております。また、安否確認システムの導入や施設・システム等が継続して安定的に使用できるように建物・設備等の機能を整備するとともに、経年状況の把握と適切な維持管理、防災訓練などの対策を講じ、各種災害・事故・感染症等に備えています。しかしながら、地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の世界的な大流行、停電等の社会インフラ障害、大規模事故、犯罪等の不測の事態が発生した場合、中長期にわたり当社グループの業務運営や業務継続に影響を及ぼす可能性があります。特に感染症等の影響が拡大した場合、子会社であるきらぼし銀行頭取を本部長とする緊急対策本部を設置し、感染予防として、店舗内等の密閉・密集・密接(三密)防止に向けた対策や営業時間の変更、働き方の多様化・柔軟化、出勤態勢の見直し等により同一拠点における業務従事者の同時感染リスクを軽減するための対策を講じることとしております。しかしながら、職員や家族等の感染者の増加等により全店の開店が困難な事態が生じた場合、その都度、必要な対応を図るものの、業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)レピュテーショナルリスク

当社グループは、コーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、適時適切な情報開示による広報・IR活動等ステークホルダーとの積極的な対話を通じて、お客さま満足度や利便性の向上に努めております。しかしながら、マスコミ報道やインターネット等を通じ、当社グループや金融業界等に対するネガティブな情報や事実と異なった風説・風評が拡散した場合には、当社グループのイメージや株価、業務運営、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

1.経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(財政状態)

① 資産

当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前連結会計年度末比4,513億円増加し7兆1,935億円となりました。なお、主な資産の状況は次のとおりであります。

○ 貸出金

貸出金につきましては、メイン化取引の推進や事業性ファイナンスへの取組み等により、前連結会計年度末比1,151億円増加の4兆8,212億円となりました。

○ 有価証券

有価証券につきましては、低クーポン債の処理を進め、債券の入れ替えを実施したことにより、前連結会計年度末比708億円増加の9,278億円となりました。

② 負債

負債につきましては、前連結会計年度末比4,131億円増加し6兆8,283億円となりました。なお、主な負債の状況は次のとおりであります。

○ 預金

預金につきましては、UI銀行による預金の受入(2024年3月末残高4,034億円)等により、残高は前連結会計年度末比2,049億円増加の5兆8,302億円となりました。

③ 純資産

純資産につきましては、利益剰余金が増加したことに加え、その他有価証券評価差額や退職給付に係る調整累計額の増加等により、前連結会計年度末比381億円増加の3,651億円となりました。

 

(経営成績)

当連結会計年度の連結経常収益は、貸出金残高の増加や貸出金利回りの上昇等による貸出金利息の増加や、外国証券利息やファンド収益の増加等による有価証券利息配当金の増加等を中心として、前連結会計年度比130億円増加の1,383億円となりました。また、連結経常費用は、ベースアップによる人件費や物件費等経費の増加により前連結会計年度比108億円増加の1,053億円となりました。その結果、連結経常利益は前連結会計年度比21億円増加の329億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比45億円増加の256億円となりました。

 

当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、以下のとおりとなりました。

〔銀行業〕

経常収益は前連結会計年度比74億円増加の1,124億円、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比32億円増加の322億円となりました。

〔リース業〕

経常収益は前連結会計年度比9億円増加の145億円、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比0億円増加の5億円となりました。

〔その他〕

報告セグメントに含まれない「その他」の経常収益は前連結会計年度比51億円増加の231億円、セグメント利益(経常利益)は前連結会計年度比17億円減少の51億円となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、預金及びコールマネー等の純増による収入等を主因に2,881億円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入を得る一方、有価証券の取得による支出等により633億円の支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いによる支出等により41億円の支出となりました。この結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比2,206億円増加し1兆1,547億円となりました。

 

(1)国内・海外別収支

当連結会計年度の資金運用収支は、前連結会計年度比102億45百万円増加の786億53百万円となりました。

信託報酬は、前連結会計年度比49百万円減少の3億46百万円となりました。

役務取引等収支は、前連結会計年度比14億33百万円増加の181億93百万円となりました。

その他業務収支は、前連結会計年度比28億円減少の△55億51百万円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

資金運用収支

前連結会計年度

78,110

1

9,704

68,407

当連結会計年度

86,385

1

7,734

78,653

うち資金運用収益

前連結会計年度

82,951

1

11,283

71,669

当連結会計年度

94,693

1

10,826

83,868

うち資金調達費用

前連結会計年度

4,840

1,578

3,262

当連結会計年度

8,307

3,091

5,215

信託報酬

前連結会計年度

395

395

当連結会計年度

346

346

役務取引等収支

前連結会計年度

17,956

144

1,341

16,759

当連結会計年度

19,727

90

1,624

18,193

うち役務取引等収益

前連結会計年度

22,423

144

2,011

20,556

当連結会計年度

24,396

90

2,291

22,196

うち役務取引等費用

前連結会計年度

4,466

669

3,797

当連結会計年度

4,669

667

4,002

その他業務収支

前連結会計年度

436

△1

3,185

△2,750

当連結会計年度

△1,763

△1

3,785

△5,551

うちその他業務収益

前連結会計年度

11,353

△1

3,506

7,845

当連結会計年度

5,893

△0

4,150

1,743

うちその他業務費用

前連結会計年度

10,916

321

10,595

当連結会計年度

7,657

1

364

7,294

(注)1.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない連結子会社の取引であり、「海外」は海外に営業拠点を有する連結子会社の取引であります。

2.相殺消去額は、親子会社間の内部取引の相殺消去額等を記載しております。

 

(2)国内・海外別資金運用/調達の状況

当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は、前連結会計年度比168億75百万円減少の6兆1,847億76百万円となりました。資金運用利息は、前連結会計年度比121億99百万円増加し838億68百万円となり、この結果、資金運用利回りは前連結会計年度比0.20ポイント上昇の1.35%となりました。

一方、資金調達勘定の平均残高は、前連結会計年度比613億51百万円減少の6兆2,256億7百万円となりました。資金調達利息は、前連結会計年度比19億53百万円増加し52億15百万円となり、この結果、資金調達利回りは前連結会計年度比0.03ポイント上昇の0.08%となりました。

 

① 国内

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

6,662,149

82,951

1.24

当連結会計年度

6,811,206

94,693

1.39

うち貸出金

前連結会計年度

4,700,955

58,771

1.25

当連結会計年度

5,165,009

69,289

1.34

うち商品有価証券

前連結会計年度

845

3

0.37

当連結会計年度

961

3

0.37

うち有価証券

前連結会計年度

1,156,707

22,384

1.93

当連結会計年度

1,115,496

23,848

2.13

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

14,772

100

0.67

当連結会計年度

24,875

196

0.79

うち預け金

前連結会計年度

692,442

1,069

0.15

当連結会計年度

443,251

806

0.18

資金調達勘定

前連結会計年度

6,539,290

4,840

0.07

当連結会計年度

6,638,390

8,307

0.12

うち預金

前連結会計年度

5,323,630

1,482

0.02

当連結会計年度

5,849,727

2,818

0.04

うち譲渡性預金

前連結会計年度

10,160

2

0.02

当連結会計年度

13,392

8

0.06

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

390,440

72

0.01

当連結会計年度

182,940

154

0.08

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

224,675

1,473

0.65

当連結会計年度

164,154

1,975

1.20

うち借用金

前連結会計年度

582,673

1,680

0.28

当連結会計年度

419,373

3,110

0.74

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、国内(連結)子会社及び海外に営業拠点を有しない海外(連結)子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

3.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない(連結)子会社の取引であります。

 

② 海外

種類

期別

平均残高

利息

利回り

金額(百万円)

金額(百万円)

(%)

資金運用勘定

前連結会計年度

143

1

0.88

当連結会計年度

152

1

1.25

うち貸出金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち商品有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うち有価証券

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預け金

前連結会計年度

143

1

0.88

当連結会計年度

152

1

1.25

資金調達勘定

前連結会計年度

当連結会計年度

うち預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち譲渡性預金

前連結会計年度

当連結会計年度

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

当連結会計年度

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

当連結会計年度

うち借用金

前連結会計年度

当連結会計年度

(注)1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、海外に営業拠点を有する海外(連結)子会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。

2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

3.「海外」は海外に営業拠点を有する(連結)子会社の取引であります。

 

③ 合計

種類

期別

平均残高(百万円)

利息(百万円)

利回り

(%)

小計

相殺消去額(△)

合計

小計

相殺消去

額(△)

合計

資金運用勘定

前連結会計年度

6,662,293

460,640

6,201,652

82,952

11,283

71,669

1.15

当連結会計年度

6,811,359

626,582

6,184,776

94,695

10,826

83,868

1.35

うち貸出金

前連結会計年度

4,700,955

209,334

4,491,621

58,771

1,476

57,294

1.27

当連結会計年度

5,165,009

364,857

4,800,151

69,289

2,994

66,294

1.38

うち商品有価証券

前連結会計年度

845

845

3

3

0.37

当連結会計年度

961

961

3

3

0.37

うち有価証券

前連結会計年度

1,156,707

207,799

948,908

22,384

9,806

12,578

1.32

当連結会計年度

1,115,496

213,114

902,382

23,848

7,823

16,025

1.77

うちコールローン及び買入手形

前連結会計年度

14,772

14,772

100

100

0.67

当連結会計年度

24,875

24,875

196

196

0.79

うち預け金

前連結会計年度

692,586

42,714

649,871

1,070

0

1,070

0.16

当連結会計年度

443,404

47,925

395,478

808

8

799

0.20

資金調達勘定

前連結会計年度

6,539,290

252,330

6,286,959

4,840

1,578

3,262

0.05

当連結会計年度

6,638,390

412,783

6,225,607

8,307

3,091

5,215

0.08

うち預金

前連結会計年度

5,323,630

42,286

5,281,344

1,482

0

1,482

0.02

当連結会計年度

5,849,727

47,925

5,801,802

2,818

8

2,809

0.04

うち譲渡性預金

前連結会計年度

10,160

710

9,450

2

0

2

0.02

当連結会計年度

13,392

13,392

8

8

0.06

うちコールマネー及び売渡手形

前連結会計年度

390,440

390,440

72

72

0.01

当連結会計年度

182,940

182,940

154

154

0.08

うち債券貸借取引受入担保金

前連結会計年度

224,675

224,675

1,473

1,473

0.65

当連結会計年度

164,154

164,154

1,975

1,975

1.20

うち借用金

前連結会計年度

582,673

209,334

373,338

1,680

1,476

203

0.05

当連結会計年度

419,373

364,857

54,516

3,110

2,994

116

0.21

(注)1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除して表示しております。

2.平均残高の相殺消去額は、親子会社間の債権・債務の相殺消去額を記載しております。なお、有価証券については、投資と資本の相殺消去額も含めて記載しております。

3.利息の相殺消去額は、親子会社間の内部取引の相殺消去額を記載しております。

 

(3)国内・海外別役務取引の状況

役務取引等収益は、前連結会計年度比16億39百万円増加の221億96百万円となりました。また、役務取引等費用は、前連結会計年度比2億5百万円増加の40億2百万円となりました。

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

役務取引等収益

前連結会計年度

22,423

144

2,011

20,556

当連結会計年度

24,396

90

2,291

22,196

うち預金・貸出業務

前連結会計年度

757

757

当連結会計年度

678

678

うち為替業務

前連結会計年度

2,659

1

2,657

当連結会計年度

2,618

35

2,582

うち証券関連業務

前連結会計年度

2,177

66

2,110

当連結会計年度

2,375

32

2,342

うち代理業務

前連結会計年度

2,696

2,696

当連結会計年度

2,874

2,874

うち保護預り・貸金庫業務

前連結会計年度

271

271

当連結会計年度

259

259

うち保証業務

前連結会計年度

1,504

643

861

当連結会計年度

1,387

640

746

役務取引等費用

前連結会計年度

4,466

669

3,797

当連結会計年度

4,669

667

4,002

うち為替業務

前連結会計年度

462

462

当連結会計年度

503

503

(注)1.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない連結子会社の取引であり、「海外」は海外に営業拠点を有する(連結)子会社の取引であります。

2.相殺消去額は、親子会社間の内部取引の相殺消去額等を記載しております。

 

(4)国内・海外別預金残高の状況

○ 預金の種類別残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

預金合計

前連結会計年度

5,684,107

58,720

5,625,386

当連結会計年度

5,876,386

46,091

5,830,294

うち流動性預金

前連結会計年度

3,627,444

51,621

3,575,822

当連結会計年度

3,790,417

43,007

3,747,409

うち定期性預金

前連結会計年度

1,985,704

7,098

1,978,605

当連結会計年度

2,029,068

3,083

2,025,984

うちその他

前連結会計年度

70,958

70,958

当連結会計年度

56,900

56,900

譲渡性預金

前連結会計年度

9,500

9,500

当連結会計年度

71,000

71,000

 総合計

前連結会計年度

5,693,607

58,720

5,634,886

当連結会計年度

5,947,386

46,091

5,901,294

(注)1.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない連結子会社の取引であり、「海外」は海外に営業拠点を有する連結子会社の取引であります。

2.預金の区分は、次のとおりであります。

a.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金

b.定期性預金=定期預金+定期積金

3.相殺消去額は、親子会社間の内部取引の相殺消去額等を記載しております。

 

(5)国内・海外別貸出金残高の状況

① 業種別貸出状況(末残・構成比)

業種別

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

国内業務部門

(除く特別国際金融取引勘定分)

4,706,163

100.00

4,821,294

100.00

製造業

388,286

8.25

367,223

7.61

農業,林業

1,285

0.02

1,297

0.02

漁業

314

0.00

306

0.00

鉱業,採石業,砂利採取業

1,773

0.03

1,508

0.03

建設業

225,686

4.79

214,802

4.45

電気・ガス・熱供給・水道業

21,296

0.45

24,375

0.50

情報通信業

133,563

2.83

133,908

2.77

運輸業,郵便業

76,847

1.63

67,970

1.40

卸売業,小売業

557,232

11.84

525,890

10.90

金融業,保険業

344,970

7.33

392,273

8.13

不動産業

1,392,496

29.58

1,418,440

29.42

不動産取引業   (注)2

555,423

11.80

536,454

11.12

不動産賃貸業等  (注)2

837,072

17.78

881,986

18.29

物品賃貸業

91,991

1.95

74,156

1.53

学術研究,専門・技術サービス業

94,491

2.00

95,972

1.99

宿泊業

16,222

0.34

15,825

0.32

飲食業

59,141

1.25

54,652

1.13

生活関連サービス業,娯楽業

86,561

1.83

70,095

1.45

教育,学習支援業

43,266

0.91

44,656

0.92

医療・福祉

201,013

4.27

205,642

4.26

その他サービス

121,641

2.58

115,837

2.40

地方公共団体

88,045

1.87

210,724

4.37

その他

760,033

16.14

785,731

16.29

海外及び特別国際金融取引勘定分

政府系

金融機関

その他

 合計

4,706,163

――

4,821,294

――

(注)1.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない連結子会社の取引であり、「海外」は海外に営業拠点を有する連結子会社の取引であります。

2.不動産取引業とは不動産取引の免許を有する業者による不動産業であり、不動産賃貸業等とは主にアパート経営等を営む個人経営者による賃貸業等であります。

 

② 外国政府等向け債権残高(国別)

該当事項はありません。

 

(6)国内・海外別有価証券の状況

○ 有価証券残高(末残)

種類

期別

国内

海外

相殺消去額(△)

合計

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

国債

前連結会計年度

147,887

147,887

当連結会計年度

133,071

133,071

地方債

前連結会計年度

62,398

62,398

当連結会計年度

90,712

90,712

社債

前連結会計年度

249,407

249,407

当連結会計年度

248,005

248,005

株式

前連結会計年度

267,577

216,778

50,799

当連結会計年度

282,002

225,072

56,930

その他の証券

前連結会計年度

346,532

49

346,483

当連結会計年度

399,133

46

399,087

合計

前連結会計年度

1,073,804

216,828

856,976

当連結会計年度

1,152,925

225,119

927,806

(注)1.「国内」は当社及び海外に営業拠点を有しない連結子会社の取引であり、「海外」は海外に営業拠点を有する(連結)子会社の取引であります。

2.相殺消去額には、資本連結等に伴い相殺消去した金額を記載しております。

3.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。

 

(自己資本比率の状況)

(参考)

自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号。以下「告示」という。)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては基礎的手法を、それぞれ採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

(単位:億円、%)

 

2024年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

8.25

2.連結における自己資本の額

3,293

3.リスク・アセットの額

39,904

4.連結総所要自己資本額

1,596

 

(資産の査定)

(参考)

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社きらぼし銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について、債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

2.危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

3.要管理債権

要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

4.正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

株式会社きらぼし銀行(単体)の資産の査定の額

債権の区分

2023年3月31日

2024年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

228

161

危険債権

873

892

要管理債権

76

73

正常債権

46,613

47,526

 

 

「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況

連結子会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社きらぼし銀行1社であります。

 

① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)

資産

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

貸出金

2,452

2.16

2,903

2.30

金銭債権

20,886

18.40

26,245

20.85

有形固定資産

87,578

77.18

93,620

74.39

その他債権

0

0.00

0

0.00

銀行勘定貸

609

0.48

現金預け金

2,551

2.24

2,464

1.95

合計

113,469

100.00

125,843

100.00

 

負債

科目

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

特定金銭信託

2,820

2.48

3,053

2.42

金銭債権の信託

20,932

18.44

27,022

21.47

包括信託

89,716

79.06

95,767

76.10

合計

113,469

100.00

125,843

100.00

(注)1.上記残高表には、金銭評価の困難な信託を除いております。

2.共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。

 

② 貸出金残高の状況(業種別貸出状況)

業種別

前連結会計年度

(2023年3月31日)

当連結会計年度

(2024年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

製造業

農業、林業

漁業

鉱業、採石業、砂利採取業

建設業

電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業

運輸業、郵便業

卸売業、小売業

金融業、保険業

2,000

68.89

不動産業

240

9.78

210

7.23

不動産取引業   (注)

不動産賃貸業等  (注)

240

9.78

210

7.23

物品賃貸業

学術研究、専門・技術サービス業

宿泊業

飲食業

生活関連サービス業、娯楽業

教育、学習支援業

医療・福祉

その他サービス

2,212

90.21

693

23.87

地方公共団体

その他

 合計

2,452

──

2,903

──

(注) 不動産取引業とは不動産取引の免許を有する業者による不動産業であり、不動産賃貸業等とは主にアパート経営等を営む個人経営者による賃貸業等であります。

 

③ 元本補てん契約のある信託の運用/受入状況

該当事項はありません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(1)前中期経営計画の達成状況

前中期経営計画において掲げたKPI、KGIの達成に向け、質の高いサービスを幅広く提供すべくグループ体制の整備、コンサルティング機能の拡充を進めるとともに、業務改革や人材育成に取組み、多様化するお客さまの課題やニーズにお応えするとともに、円滑な資金供給に努めました。当社グループでは、2021年度から2023年度の3年間を計画期間とした中期経営計画において、ビジョン(目指す姿)「お客さまの新しい価値を創造する東京発プラットフォーマーとなる」の具現化に向け、デジタル関連事業や人的資本経営等に対して積極的に取り組んでまいりました。

 

① DXの推進

当社グループでは、DX戦略の推進を重要施策の一つに掲げ、デジタルを活用した金融サービスの提供や、デジタルを起点とした対面・非対面サービスの融合および金融・非金融サービスのシームレスな提供に取り組んでまいりました。

そうした中、当社グループのDX戦略の一翼を担うきらぼしテックでは、お客さまの更なる利便性を図るため、新しいデジタルウォレット「ララPayプラス」の提供を開始しました。「ララPayプラス」では、アプラスの「BANKIT®(バンキット)」を活用したキャッシュレス決済サービスを提供するほか、企業のデジタル経費精算が可能となるなど機能の拡充を図りました。

UI銀行では、幅広い世代の方にご満足いただけるよう、スマートフォンで手続きが完結する介護ローン、ドクターローン、フリーローンなどの取扱いを開始するとともに、既存のスマホローンの商品性の拡充も図りました。

また、きらぼし銀行では、デジタル化を活用した金融サービスの提供の一環として、新たな店頭タブレットシステムを導入し、タブレット端末による窓口手続きのセルフ化を開始しました。複数の伝票や申込書類に記入・捺印が必要だったお手続きをタブレット端末への入力操作で完結させることで、お客さまのご記入負担の軽減とお手続き時間の短縮化を図るとともに、事務手続きの効率化も実現しました。

 

 

② ビジネス構造改革とグループ連携

法人のお客さまに対しては、スタートアップ支援に取り組んできたきらぼし銀行の「創業支援室」を部に格上げするとともに「SS(スタートアップ・スタジオ)部」に名称変更を行い、スタートアップ支援に向けた更なる機能強化を図りました。

具体的な取組みとして、スタートアップ支援においては、きらぼし銀行が運営するインキュベーション施設「KicSpace HANEDA」にて、株式会社エイチ・アイ・エスと旅行ビジネスに限らない共創を目的としたオープンイノベーションピッチコンテストを共同開催しました。さらに、「KicSpace HANEDA」と台湾高雄市のイノベーション拠点「亜湾スタートアップテラス」と施設間連携に関する覚書を締結し連携を開始するなど、国内外のスタートアップに対する支援強化を図りました。 

海外展開支援においては、マーケットイン型のコンサルティングを目指す中、きらぼし銀行はカンボジアへの海外展開やカンボジアビジネスに取り組むスタートアップ企業および中小企業のお客さまへの支援をより一層強化するため、カンボジア日本人材開発センターおよびカンボジア日本ビジネス投資協会と協力覚書を締結しました。さらに、ASEAN地域における長年の事業経験と一貫体制でのモノづくり技術を生かし、海外グループ会社のモノづくり技術と拠点リソースを融合させたアライアンスビジネスを展開している日新電機株式会社ときらぼし銀行、きらぼしコンサルティングとの間で「包括連携に関する基本協定」を締結しました。これを機に、中堅・中小企業のASEAN市場におけるビジネス拡大を目指します。また、グローバル水準でも高い競争力を持つスタートアップ企業を数多く輩出するエコシステムが構築されている北欧で、スタートアップイベント「Slush2023」に東京都と共同出展し、東京に関心を持つ北欧スタートアップ企業やベンチャーキャピタルとの交流を図りました。東アジア・ASEAN等とのネットワーク強化を図る中、北欧のネットワークに加わることで、グループのデジタル戦略強化やグループをハブとしたグローバルオープンイノベーションの創出を目指します。

医療・福祉分野においては、従来より同分野を首都圏の成長性の高い地場産業と位置づけ、きらぼし銀行の「医療・福祉事業部」を中心に多角的なサポートに取り組んでおります。このような中、医療介護コンサルティングを手掛ける株式会社メディヴァの子会社である株式会社シーズ・ワンに出資しました。高齢化の進展による医療・介護需要の増加を見据え、金融支援のみならず、グループの総合力を活用し、経営状態の悪化や後継者不足に陥る地域の中小病院の再生や継承の支援に取り組んでまいります。

その他、きらぼしキャピタルでは東京圏の中堅・中小企業を投資対象とし、円滑な事業承継と事業成長支援を目的として、「KCPバイアウト1号投資事業有限責任組合」を組成しました。多様化する資金調達ニーズにお応えすべく、グループのシナジー効果を発揮し、あらゆるライフステージにおけるお客さまの経営課題の解決に取り組みます。

個人のお客さまに対しては、お客さま本位の業務運営に取り組む中、より質の高い接遇・応対や顧客サービスの実践を通じた更なる顧客満足度の向上を目指し、当社に「HM(ホスピタリティマインド)室」を新設しました。また、富裕層のお客さまとのリレーション構築のための活動やお客さまの抱える課題に対するソリューション提案を行う部署として、きらぼし銀行に「WM(ウェルス・マネジメント)室」を新設しました。

そのほか、グループの体制面として、当社の子会社であるきらぼしシステムが、民間の企業をお取引先としたSES(システム・エンジニアリング・サービス)事業およびシステムの受託開発事業に取り組んできたアイティーシーを子会社化しました。これにより、UI銀行やきらぼしテックが開発するシステム・アプリの内製化やICTコンサルティングの提供など、低コストかつ迅速なデジタルサービスを提供してまいります。

 

③ 経営基盤の改革とリソースアロケーション

きらぼし銀行は、資産運用等の相談業務のほか、コンシェルジュによる金融取引のデジタルシフト支援や地域のお客さまに向けた非金融サービスの提供を行う「きらぼしラウンジ相原」「きらぼしラウンジ大沼」を開設、発展が期待されるエリアの横浜市港北区綱島地区には「新綱島支店」を出店しました。さらに海外拠点として、ASEAN全域での更なるサービス・情報収集の強化と現地ネットワーク拡大を目的にバンコク駐在員事務所を開設しました。

また、業務効率化を進めつつ相模原地域の営業力強化を目指して、営業拠点、事務センターなどの機能を併せもつ「相模原センタービル」を竣工しました。そのほか、店頭タブレット端末の取扱業務拡大により引き続き店頭事務の効率化を図るとともに、お客さまとの接点を維持しながら次世代店舗化を進め、店舗運営の効率化にも取り組んでおります。

 

④ 人材育成と人事制度の改革

当社グループは、役職員全員が共通して持つべき意識・価値観・考え方として、「社会貢献、組織の発展、自己実現、自らの幸せを実現させること」を「きらぼしフィロソフィー」として策定しています。同時に、「きらぼしフィロソフィー」を実践する職員を「きらぼしびと」と定義し、3つの行動指針(“高い志”を持つ人、どうしたら出来るのか常に考えるひと、結果にコミットし果敢に挑戦し続けるひと)のもと、付加価値の高いサービスを提供できる人材の育成に努めています。

具体的には、お客さまに価値あるサービスを提供するための「個の強化」を目的として、職員の自発的な専門性向上を促す「道場研修」の実施、上司側の気づき、行動変容を目的とした「360度サーベイフィードバック研修」や上司部下間の関係性の質の向上と部下のキャリア支援を目的とした「1on1ミーティング研修」等の実施により、互いに刺激し高め合い多様な仲間を尊敬し合う企業文化の醸成を目指しております。また、さまざまなバックグラウンドをもつ専門人材の積極的な採用を行っている他、女性の管理職登用推進にも取り組んでおります。

採用・育成・人員配置を戦略的に行うことで、グループを通じて付加価値の高いサービス提供を行える体制を整備しております。

 

⑤ サステナビリティへの取組み

当社グループでは、気候変動への対応を経営戦略上の重要事項と位置づけ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)宣言に賛同するほか、「社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」や「環境方針」等を制定しております。グループ一体となりお客さまのSDGs・脱炭素への取組みに対し、ワンストップでさまざまな要望に合わせた包括的なサポートを提供するとともに、グループ自身のCO2排出量削減への取組み強化として2030年度における温室効果ガス排出量のネットゼロを目指し、「カーボンニュートラル宣言(※)」を行いました。そのほか、カーボンニュートラル実現に向けた取組みを加速させるべく、経済産業省が所管する「GXリーグ」に参画しました。

具体的な取組みとしては、東京都が実施する「私募債を活用した脱炭素企業の取組支援事業」および「私募債を活用した事業承継の取組支援事業」へきらぼし銀行が参画し、中小企業等の脱炭素化への取組みと円滑な事業承継を推進しております。その第1号案件として、フジトロン株式会社が発行する「東京都環境評価型私募債」を引受け、きらぼしコンサルティングが第三者評価機関として、脱炭素の評価および更なる取組みに向けたアドバイスを実施しました。

また、東京都と連携した「きらぼし脱炭素応援ローン」や「きらぼしサステナビリティ・リンク・ローン」により、お客さまのサステナビリティ経営の取組みをサポートしました。

スポーツ振興を通じた取組みにおいては、2024年シーズンより明治神宮野球場を本拠地とするプロ野球球団「東京ヤクルトスワローズ」へ、ビジネスパートナーとして協賛することといたしました。当社グループの強みであるデジタルを活用した金融・非金融サービスを提供し、双方が連携して地域に密着した活動を行ってまいります。

そのほか、「相模原センタービル」の1階に公益社団法人相模原市観光協会を誘致し、前面のスペースを同協会、相模原市、きらぼし銀行の共同利用スペースとしました。現在、地域活性化に資するイベントを開催する等、地域コミュニティの場として活用しております。当社グループは、引き続き、地域スポーツ振興ならびに行政機関・外部機関等との連携を通じて、地域経済・地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。

※カーボンニュートラルの対象は、Scope1・2となります。

 

(当社グループの業績)

[連結粗利益]

当社グループの当連結会計年度の連結粗利益につきましては、資金利益が前連結会計年度比102億円の増加、役務取引等利益が同比14億円の増加、その他業務利益が同比28億円減少したことから、同比88億円増加の916億円となりました。

 

[経常利益]

経常利益につきましては、前連結会計年度比21億円増加し、329億円となりました。その主な要因につきましては、上記のとおり連結粗利益が同比88億円増加したことに加え、純投資株式売却益の増加等により株式等関係損益が同比16億円増加した一方、持分法適用関連会社の子会社による不動産売却益の計上に伴う持分法投資利益が同比35億円減少したこと等によります。

 

[親会社株主に帰属する当期純利益]

上記のとおり経常利益が増加したこと等を主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比45億円増加の256億円となりました。

 

 

2023年度(計画)

2023年度(実績)

計画比

経常利益(連結)

301

億円

329

億円

+28

億円

親会社株主に帰属する

当期純利益(連結)

240

億円

256

億円

+16

億円

※2023年11月1日付、通期業績予想修正(当期純利益 220 億円 → 240 億円)

 

損益の概要(東京きらぼしフィナンシャルグループ〔連結〕)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年

3月期

 

2023年

3月期

2023年

3月期比

連結経常収益

1

138,331

13,039

125,291

連結粗利益

2

91,641

8,829

82,811

(除く国債等債券損益(5勘定尻))

3

(95,486)

(6,003)

(89,482)

 

資金利益

4

78,653

10,245

68,407

 

信託報酬

5

346

△49

395

 

役務取引等利益

6

18,193

1,433

16,759

 

その他業務利益

7

△5,551

△2,800

△2,750

経費(除く臨時処理分)

8

63,150

5,361

57,788

与信関係費用

9

2,081

△177

2,258

 

貸出金償却

10

107

87

19

 

個別貸倒引当金繰入額

11

4,447

△135

4,583

 

その他与信関係費用

12

△2,474

△129

△2,344

株式等関係損益

13

6,319

1,673

4,646

持分法による投資損益

14

16

△3,553

3,569

その他

15

223

429

△206

経常利益

16

32,968

2,194

30,774

特別損益

17

△219

△1,312

1,093

税金等調整前当期純利益

18

32,749

881

31,867

法人税等合計

19

7,124

△3,673

10,798

 

法人税、住民税及び事業税

20

8,896

989

7,907

 

法人税等調整額

21

△1,771

△4,662

2,891

当期純利益

22

25,625

4,555

21,069

非支配株主に帰属する当期純損失(△)

23

△27

53

△80

親会社株主に帰属する当期純利益

24

25,652

4,501

21,150

 

 

《きらぼし銀行の業績》

[業務粗利益]

当事業年度の業務粗利益につきましては、資金利益が前事業年度比70億円の増加、役務取引等利益が同比9千万円の減少、その他業務利益が同比43億円減少したことから、同比 25億円増加の882億円となりました。

 

○ 資金利益につきましては、同比70億円増加し、814億円となりました。その主な要因につきましては、メイン化取引の推進や事業性ファイナンスへの取組み等による貸出金残高の増加や貸出金利回りの上昇により、貸出金利息が同比92億円増加したことに加え、持分法適用関連会社からの配当金の受取が同比29億円減少した一方、外国証券利息やファンド収益の増加等により、有価証券利息配当金が同比4億円増加したこと等によります。

○ 役務取引等利益につきましては、同比9千万円減少し、122億円となりました。その主な要因は、法人向け役務収益は事業性ファイナンス等により大きく伸長した前年度水準と比較し減収となった一方で、個人役務収益は販売手数料に頼らない残高重視の営業体制に転換し、概ね横ばいで推移したこと等によります。

○ その他業務利益につきましては、同比43億円減少し、△58億円となりました。その主な要因としては外国為替売買損14億円を計上したことや前期計上したアセットスワップ解消等の利益39億円がなくなったこと等によります。

 

[経常利益]

上記のとおり業務粗利益が前事業年度比25億円増加した一方で、ベースアップによる人件費負担や物件費等の経費が増加しましたが、純投資株式の売却益が増加したこと等により、経常利益につきましては、同比4億円増加し、369億円となりました。

 

[当期純利益]

当期純利益につきましては、前事業年度比28億円増加し、303億円となりました。その主な要因につきましては、前期に特別利益に計上した退職給付信託返還益15億円が剥落したものの、上記のとおり経常利益が増加したことに加え、法人税等合計が同比41億円減少したこと等によります。

 

 

損益の概要(きらぼし銀行)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年

3月期

 

2023年

3月期

2023年

3月期比

経常収益

 

1

115,454

4,689

110,764

業務粗利益

 

2

88,263

2,509

85,753

(除く国債等債券損益(5勘定尻))(コア業務粗利益)

3

(91,948)

(1,185)

(90,763)

 

国内業務粗利益

 

4

84,459

△3,774

88,234

 

(除く国債等債券損益(5勘定尻))

5

(86,016)

(98)

(85,917)

 

 

資金利益

 

6

73,696

3,750

69,946

 

 

信託報酬

 

7

346

△49

395

 

 

役務取引等利益

 

8

12,089

△94

12,183

 

 

その他業務利益

 

9

△1,673

△7,381

5,708

 

国際業務粗利益

 

10

3,803

6,283

△2,480

 

(除く国債等債券損益(5勘定尻))

11

(5,932)

(1,086)

(4,845)

 

 

資金利益

 

12

7,758

3,271

4,487

 

 

役務取引等利益

 

13

202

△1

204

 

 

その他業務利益

 

14

△4,157

3,014

△7,171

経費(除く臨時処理分)

 

15

53,185

2,736

50,448

 

人件費

 

16

22,948

614

22,333

 

物件費

 

17

25,182

1,334

23,848

 

税金

 

18

5,053

786

4,266

業務純益(一般貸倒引当金繰入前)(実質業務純益)

19

35,078

△226

35,304

(除く国債等債券損益(5勘定尻))(コア業務純益)

20

(38,763)

(△1,550)

(40,314)

(コア業務純益(除く投資信託解約損益))

21

(38,135)

(△2,257)

(40,392)

 コア業務純益(除く特殊要因)(注)1

22

(35,248)

(5,306)

(29,942)

一般貸倒引当金繰入額

23

△2,925

△362

△2,562

業務純益

 

24

38,003

135

37,867

(うち国債等債券損益(5勘定尻))

 

25

(△3,685)

(1,324)

(△5,009)

臨時損益

 

26

△1,016

289

△1,306

 

不良債権処理額

27

4,869

251

4,617

 

 

貸出金償却

 

28

91

91

 

 

個別貸倒引当金繰入額

 

29

4,156

△81

4,238

 

 

債権売却損

 

30

△28

△28

 

 

偶発損失引当金繰入額

 

31

1

△124

126

 

 

信用保証協会責任共有制度負担金

32

627

387

240

 

 

その他不良債権処理額

 

33

19

7

12

 

貸倒引当金戻入益

34

 

償却債権取立益

 

35

284

209

74

 

株式等関係損益

 

36

6,339

1,528

4,811

 

 

株式等売却益

 

37

8,137

2,470

5,667

 

 

株式等売却損

 

38

1,766

910

855

 

 

株式等償却

 

39

31

31

 

その他臨時損益

 

40

△2,771

△1,196

△1,575

経常利益

 

41

36,986

424

36,561

経常利益(除く特殊要因)(注)2

 

42

33,471

3,380

30,091

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年

3月期

 

2023年

3月期

2023年

3月期比

特別損益

 

43

△178

△1,747

1,569

税引前当期純利益

 

44

36,807

△1,323

38,130

法人税等合計

 

45

6,506

△4,198

10,704

 

法人税、住民税及び事業税

 

46

7,649

612

7,037

 

法人税等調整額

 

47

△1,143

△4,810

3,666

当期純利益

 

48

30,301

2,874

27,426

当期純利益(除く特殊要因)(注)2

 

49

26,786

5,830

20,955

 

 

 

 

 

 

 

 

与信関係費用

①+②-③

50

1,943

△110

2,054

(注)1.持分法適用関連会社の子会社における不動産売却を原資とした当該関連会社からの配当金(当期 3,514百万円、前年同期 6,470百万円)及び、アセットスワップの解消に伴うデリバティブ利益等(当期該当なし、前年同期 3,901百万円)を除いた場合の金額を表示しています。

2.持分法適用関連会社の子会社における不動産売却を原資とした当該関連会社からの配当金(当期 3,514百万円、前年同期 6,470百万円)を除いた場合の金額を表示しています。

 

〔連結〕

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2024年

3月期

 

2023年

3月期

2023年

3月期比

経常収益

 

51

117,944

8,325

109,618

経常利益

 

52

34,323

△188

34,512

親会社株主に帰属する当期純利益

 

53

27,364

2,295

25,068

 

(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

次連結会計年度において計画している重要な設備の新設及び資金調達方法は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設、改修」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、銀行業務を中心にリース業務や証券業業務、コンサルティングサービスなどの事業を行っており、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性を維持することが重要だと認識しており、その管理の枠組みを定め運営を行っております。銀行法・金融商品取引法などの各種法令及び金融庁、その他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、これらに準拠した社内規程を策定・運用しながら、支払能力を確保し、資金の流出に備えた十分な流動性資産(現預金等)を保有するように努めております。また、お客さまからの預金を主な源泉とし、営業エリア内の中小企業向けの融資を中心とした貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、資金の流出に備え円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しております。

このほか、株主還元は配当を基本とし、適正な内部留保による財務の健全性の確保に努めるとともに、株主の皆さまに対する利益還元を経営の重要施策の一つと位置付け、継続的かつ安定的な配当を実施しております。

 

生産、受注及び販売の実績

「生産、受注及び販売の実績」は、銀行持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。