第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、平成28年6月30日に提出の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第2四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当社は、抗体に継ぐ次世代新薬として期待されているアプタマー医薬の創製に特化したバイオベンチャーです。当社は、自社開発のアプタマー創製に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等からなる創薬プラットフォームである「RiboARTシステム」を活用して、革新的なアプタマー医薬の研究開発(「アプタマー創薬」)を行っております。

 また、当社は、継続的かつ安定的な収益の実現及び今後の飛躍に向けた経営課題として「海外メガファーマとの複数アライアンスの締結」、「リボミック・アプタマーの自社臨床試験の実施」、「世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立」を取り上げております。この経営課題の実現に向け、当事業年度における重点的な経営目標は「各創薬プロジェクトの開発ステージのアップ」、「製薬企業との新規アライアンスの締結」、「特定の開発テーマについて、自社での臨床Proof of concept (臨床POC)の獲得に向けた開発」とし、それらの実現に向けた取り組みを着実に進めております。

 それぞれの経営課題に対する当第2四半期累計期間の具体的な進捗を以下に要約します。

 

各創薬プロジェクトの開発ステージのアップに向けた取り組み

 当社は共同研究と自社創薬による革新的なアプタマー医薬の開発に取り組んでおり、主要なプロジェクトの進捗状況は次のとおりです。

① 大塚製薬株式会社との共同研究

 RBM001については、平成28年1月14日に締結した新規共同研究契約の下で、本年12月末を期限とし、同社によるライセンス導入の判断に向けた最終検討が継続しております。なお、本プロジェクトの標的タンパク質であるミッドカインの作用を阻害し、癌治療用途に適したアプタマーをカバーする物質特許が米国で査定を受けました。

また、平成27年12月末に期間満了により終結したRBM002及びRBM003に関しては、契約終了後の取り扱いに関し、引き続き両社間で協議中であります。

② 大正製薬株式会社との共同研究

平成26年3月より開始した大正製薬株式会社との共同研究は、3年契約の第3年目に入っており、順調に進展しております。

③ RBM007(抗FGF2アプタマー)

FGF2は40数年前に発見された線維芽細胞増殖因子で、血管新生や細胞分化・増殖等様々な機能を有することが知られています。これまでにFGF2を標的とする新薬の可能性は示唆されていましたが、FGF2はヒトでは22種類の類縁タンパク質からなるFGFファミリーの一員で、ヒトと動物で高度に保存されているため、抗体を含め特異的な阻害剤の創製は極めて困難でした。その結果、現在まで、FGF2を特異的に阻害する薬剤で臨床ステージにある開発品は世界的に見ても存在しません。

当社は、「RiboARTシステム」を用いて、FGF2に対し特異性の高い、強力な阻害活性を有するアプタマーの創製に成功し、これを用いた研究によって、はじめてFGF2阻害剤の多面的な機能を明らかにいたしました。その研究成果は本年8月に、米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy」誌に掲載されました。

これの成果を活用し、本アプタマーについて、そのポテンシーを拡大し、また、ライセンスでの有利な条件を獲得すべく、従前の適応症に加えて、当事業年度よりa)軟骨無形成症治療薬、及びb)加齢黄斑変性症治療薬の開発を重点的に進めております。その概要は下記のとおりです。

 

 

a)軟骨無形成症治療薬

四肢短縮による低身長を主な症状とする軟骨無形成症を対象とする本アプタマーの開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による創薬支援推進事業(希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業)の下に、精力的に推進しております。当事業年度は、GLP試験実施のためのcGMP適合の核酸合成の達成を重点目標としております。また、本疾患に対する基礎・臨床面での豊富な知見や様々な評価方法等を有する大阪大学医学部、及びチェコ共和国Masaryk大学医学部と連携して研究開発を進めております。当社は、自社での試験研究だけでなく、これらの研究連携が、軟骨無形成症を適応症とした本アプタマーの早期臨床試験の実施に向けた重要な一歩になるものと考えております。

 

b)加齢黄斑変性症治療薬

 加齢黄斑変性症を標的とする本アプタマーは、血管新生を阻害する作用で効果を発揮する既存の製品(ルセンティス、アイリーアなど)と比べて、血管新生のみならず、失明の原因ともなる瘢痕形成を抑制することが期待できます。現在、かかるコンセプトを実証できるデータの取得を進めております。本プロジェクトの進捗状況については後述の、「自社での臨床Proof of concept (臨床POC)までの開発に向けた取り組み」の項をご参照ください。

 

c)その他

抗FGF2アプタマーは、FGF2の発現や活性の亢進にもとづく各種疾患に対して有効な治療薬となる可能性を秘めております。当社は、その治療薬としての検証と実現に向けて、呼吸器疾患(特に肺がん領域)に関しては慶應義塾大学医学部と、眼疾患(特に角膜疾患)に関しては順天堂大学医学部と共同研究契約を締結して研究を推進しております。

 

④ RBM0006及びその他の自社創薬プロジェクト

 RBM006(抗ATXアプタマー)については、特発性肺線維症(IPF)適応での利便性や薬効等の観点から、全身投与に限定せず、経肺投与を想定した開発も進めております。また、そのポテンシーの拡大を目指して作用メカニズム的に期待できる強皮症や肝線維症に向けたデータ取得を引き続き推進しております。

 RBM005(抗HMGB1アプタマー)、及びRBM008(抗ペリオスチンアプタマー)については、最新の研究情報などを基にして標的疾患・適応症の再評価や新規データの構築に努めております。

 

⑤ 新規技術開発・プロジェクト

 当社は、アプタマー創薬の迅速化、効率化を進めるため、新たな技術を「RiboARTシステム」に取り入れ、技術力の向上に努めております。その一つとして膜タンパクを標的としたアプタマーの創製技術の開発に取り組み、東京大学医科学研究所との共同研究の成果としてIcell-SELEX(Isogenic-cell-based SELEX)法の開発に成功し、その概要は仏国の専門学術雑誌「Biochimie」に掲載されました。

 かかる新技術の延長線上にGPCR(7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体)などの複雑な膜タンパクを標的とする新規アプタマー創製技術の開発があります。これについて本年9月30日に、「GPCRを標的とするRNAアプタマー創薬基盤技術の開発」がAMEDによる創薬基盤推進研究事業に採択されました。これにより、当事業年度においてAMEDから受け取る委託研究費は税込みで35百万円となります。なお、本助成事業は東京大学医科学研究所と共同で進めてまいります。

 また、RBM101(抗体等精製用IgGアプタマー)に関し、試験研究用途については大学や企業の研究機関での評価検討が行われており、また、工業的な利用については欧米の製薬企業とのアライアンスのための検討、交渉が進行中であります。

 さらに、新規自社製品の拡充をめざし、外部専門家の協力も得て、医療ニーズやアプタマーとの相性等の側面から協議を重ね、今後アプタマー創製に取り組むターゲット分子を新たに複数個選定いたしました。前臨床試験の開始をめざし、アプタマー創製と評価の作業を進めてまいります。

 

製薬企業との新規アライアンスの締結に向けた取り組み

当社における重点的なライセンス・アウト対象品目は、RBM006及びRBM007に該当するアプタマーですが、それぞれに関し次の取り組みを進めております。

① RBM006

 RBM006に関しては、本プロジェクトに関する研究成果を、世界的な学術誌である「Nature Structural and Molecular Biology」(本年5月号に掲載、4月の電子版で速報)に公表し、当社技術や本アプタマーの認知を高めました。また、ライセンス交渉の進捗を図るために、提携候補先が求める新規データの取得や整備を行い、交渉を継続しております。

② RBM007

 RBM007に関しては上記、「各創薬プロジェクトの開発ステージのアップに向けた取り組み」において記載のとおり、新規データの取得や整備を図り、疼痛や骨疾患領域を対象としたライセンス・アウトに向けた交渉を継続しております。

③ RBM101

新規の免疫グロブリン分離用製品であるRBM101については、提携候補先での製品評価が継続しております。

④ 新規共同研究

 新規の共同研究に関しは、上記の論文発表や学会発表等を通じて当社の技術に関する情報発信を積極的に実施しております。これらを通じて、複数の国内製薬企業を対象として、新規共同研究の実現に向けた活動に取り組んでおります。

 

自社での臨床Proof of concept (臨床POC)までの開発に向けた取り組み

自社創薬テーマに関する当社のビジネス・モデルは、前臨床段階まで開発が進んだ段階で、他の製薬企業にライセンス・アウトすることです。この基本方針は堅持しつつも、研究開発型の製薬企業へと発展するためには、可能な範囲で自社での臨床試験を実施することが不可欠だと考えております。また、自社で臨床POCを確立した製品については、前臨床段階でのライセンス・アウトに比較して、格段に有利な経済条件で製薬企業にライセンス・アウトすることが可能となり、当社の経営基盤の安定化に大きく役立ちます。

従って、長期的な成長戦略の一環として、現時点での当社の経営資源(資金、人材、開発パイプライン等)を勘案し、自社創製品の中から、自社での臨床試験に最適な品目として、RBM007による加齢黄斑変性症(AMD)での開発を選定いたしました。

AMDは、既存薬では病気の進行が最終的に抑制できない Unmet Medical Needs の疾患で、新規な作用機序の薬剤の開発が求められています。AMDの治療においては、薬剤を眼球内(硝子体)に注射するため、投与薬剤量が少なくてすみ、また大半の薬剤が眼球内に留まるため、コスト的にも安全性においても、新規なアプタマー医薬品の開発に適していると考えております。これまで開発されてきた既存のAMD治療薬である抗VEGF薬では効果が十分に得られていない患者では、その原因の一つとして瘢痕化が挙げられています。RBM007は血管新生の抑制作用のみならず、瘢痕化の抑制という作用を合わせ持つため、既存薬にはない新規なメカニズムによって、医療上で競争力のある新薬となりうるものと期待しております。

① 開発スケジュール

 平成29年度中における米国FDA(米国食品医薬品局)への治験申請提出に向けた準備を進めております。具体的には、現在、薬理作用の更なる検証、GLP試験の実施、及び治験薬の合成に取り組んでおります。

② 推進体制

 平成28年6月29日開催の定時株主総会において、製薬企業の取締役としての実務経験を持ち、臨床開発についての豊富な経験と見識を有する社外取締役を1名新たに招聘いたしました。加えて、平成28年7月1日付で研究開発本部の下に臨床開発部を新設し、同部を中心に外部機関の協力も得て治験申請提出に向けた研究開発の推進と、臨床試験推進のための体制構築を進めております。

③ 開発コスト

 現在、精査中ですが、治験を開始するのは来事業年度以降であり、当事業年度においては治験に関連する多額の費用は発生しない見込みです。また、当事業年度において必要な費用については既に事業計画に織り込んでおります。

 

なお、自社創薬及び共同研究のパイプラインのうち、基礎探索研究を終え前臨床試験に進んでいるプロジェクトは以下のとおりです。

 

・医薬品開発

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※:RBM002及びRBM003に関しては、共同研究期間満了後の扱いに関する詳細について大塚製薬株式会社との間で協議を進めております。

 

・新規用途開発

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これらの結果、当第2四半期累計期間において、共同研究収入等による事業収益は50百万円(前年同四半期比26.8%減)、事業費用として研究開発費は190百万円、販売費及び一般管理費は135百万円計上し、営業損失は276百万円(前年同四半期は営業損失217百万円)となりました。

また、営業外収益として、経済産業省・中小企業庁による平成26年度補正「ものづくり・商業・サービス革新補助金」を活用した精製用新規アプタマー樹脂に関する助成金収入5百万円を計上したこと等により、経常損失は268百万円(前年同四半期は経常損失198百万円、四半期純損失は269百万円(前年同四半期は四半期純損失199百万円)となりました。

なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)財政の状況

① 資産の部

 当第2四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べて284百万円減少し、2,899百万円となりました。これは、有価証券として保有していた資金を定期預金に振り替えたこと等により現金及び預金が248百万円増加した一方で、有価証券が499百万円、流動資産のその他が29百万円減少したこと等によるものです。なお、当第2四半期会計期間末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。

 

② 負債の部

 当第2四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて32百万円減少し、111百万円となりました。これは、事業収益への振替を行ったことにより前受金が54百万円減少した一方で、流動負債のその他が19百万円増加したこと等によるものです。

 

③ 純資産の部

当第2四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて251百万円減少し、2,787百万円となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ8百万円増加した一方で、四半期純損失269百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し48百万円増加し、497百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は255百万円(前年同四半期は258百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費16百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、税引前四半期純損失268百万円、共同研究収入に係る前受金の減少額54百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は286百万円(前年同四半期は1,453百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、有価証券の純減少額499百万円、定期預金の払戻による収入1,002百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、定期預金の預入による支出1,202百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は17百万円(前年同四半期は41百万円の収入)となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことに伴う株式の発行による収入17百万円によるものです。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題に重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は190百万円であります。

 なお、当第2四半期累計期間において、平成28年6月30日に提出の有価証券報告書に記載した研究開発活動(

研究開発戦略、研究開発の特徴について、研究開発体制について、新薬候補化合物の開発状況)に関し、研究開発戦略、研究開発の特徴について、及び新薬候補化合物の開発状況においては重要な変更はありません。

 研究開発体制では、平成28年6月29日に開催の定時株主総会において、製薬企業の取締役としての実務経験を持ち、臨床開発についての豊富な経験と見識を有する社外取締役を1名新たに招聘いたしました。加えて、平成28年7月1日付で、研究開発を統括する研究開発本部を設け、その下でアプタマー医薬の探索研究から臨床開発までを行う体制を構築し、更に積極的かつ迅速な研究開発を推し進めることとし、これを推進しております。