当第1四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
①ライセンス・アウトに関する契約
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契約書名 |
ライセンス契約書 |
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契約相手方名 |
大塚製薬株式会社 |
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契約締結日 |
平成29年5月8日 |
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契約期間 |
守秘義務により非開示 |
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主な契約内容 |
① 当社は、大塚製薬株式会社と、平成20年8月1日から平成28年12月末日までに実施したRBM001に関する共同研究での成果につき、大塚製薬株式会社においてこれを開発・商業化することを目的に、全世界でのサブライセンス権付きの独占的実施権を大塚製薬株式会社に許諾する。 ② 大塚製薬株式会社は、当社に対して、対価として、契約一時金、本製品発売後の売上に応じたロイヤルティー、大塚製薬株式会社が第三者にサブライセンスを行った場合のサブライセンス対価の分配金、及び大塚製薬株式会社が第三者に事業譲渡を行った場合の事業譲渡対価の分配金を支払う。 ③ 当社は関連特許の一部を大塚製薬株式会社に譲渡する。 |
②特許譲受に関する契約
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契約書名 |
共同研究終了に伴う成果取扱い覚書 |
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契約相手方名 |
大塚製薬株式会社 |
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契約締結日 |
平成29年5月8日 |
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契約期間 |
守秘義務により非開示 |
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主な契約内容 |
① 当社は、大塚製薬株式会社と、平成20年1月1日から平成27年12月末日までに実施した、RBM002及びRBM003に関する共同研究の成果に関連して、当社側で研究開発を推進することを目的に、関連特許の譲渡を受ける。 ② 当社は、RBM002及びRBM003について開発やライセンス・アウトに成功した場合には、製品の売上に応じたロイヤルティー、当社が第三者にライセンスを行った場合のライセンス対価の分配金、及び当社が第三者に事業譲渡を行った場合の事業譲渡対価の分配金を、大塚製薬株式会社に支払う。 |
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)業績の状況
当社は、抗体に継ぐ次世代新薬として期待されているアプタマー医薬の創製に特化したバイオベンチャーです。当社は、自社開発のアプタマー創製に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等からなる創薬プラットフォームである「RiboARTシステム」を活用して、革新的なアプタマー医薬の研究開発(「アプタマー創薬」)を行っております。
また、当社は、継続的かつ安定的な収益の実現及び今後の飛躍に向けた中・長期の経営課題として、以下の3テーマを重点的に取り上げております。
・リボミック・アプタマーの自社臨床試験の実施と臨床POC取得
・海外メガファーマとの複数アライアンスの締結
・世界のアプタマー医薬品開発における主要な地位確立
上記の経営課題の実現に向け、当事業年度における重点的な経営目標は「特定の開発テーマについて、自社での臨床Proof of Concept※1の獲得に向けた開発」、「各創薬プロジェクトの開発ステージのアップ」、「製薬企業との新規アライアンスの締結」とし、それらの実現に向けた取り組みを着実に進めております。
それぞれの経営課題に対する当第1四半期累計期間の具体的な進捗を以下に要約します。
※1 臨床Proof of Concept(臨床POC):新薬の開発段階において、投与薬剤がヒトでの臨床試験(通常は少数の患者を対象としたフェーズⅡa試験)において意図した薬効と安全性を有することが示されること。
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自社での臨床Proof of Concept (臨床POC)獲得までの開発に向けた取り組み |
(イ)RBM007(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い
線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質です。FGF2の生理作用として血管新生作用があることや、FGF2を過剰に生体内で発現させたマウスにおいて、体長が短縮することが報告されていましたが、FGF2はヒトでは22種類の類縁タンパク質からなるFGFファミリーの一員で、ヒトと動物で高度に保存されているため、抗体を含め特異的な阻害剤の創製は極めて困難であり、新薬候補品としての価値は見出されていませんでした。当社は、「RiboARTシステム」を活用したアプタマー創薬により、FGF2を特異的に阻害するアプタマー「RBM-007」の創製に成功いたしました。
開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて加齢黄斑変性症と軟骨無形成症を選択いたしました。すなわち、FGF2を阻害するRBM-007の投与により、網膜組織で新たに血管を作り出すFGF2の作用を抑制することができれば、主要な失明原因である加齢黄斑変性症の治療薬になり得る、更には、四肢短縮の希少疾患である軟骨無形成症においてFGF2が軟骨形成に及ぼす作用を抑制することができれば、軟骨無形成症の治療薬になり得ると考え、開発を進めました。
この結果、加齢黄斑変性症と軟骨無形成症のいずれの疾患モデル動物においてもRBM-007の有効性を実証し、RBM-007は両疾患に対する新規治療薬となりうることを明らかにしております(非臨床POC獲得※2)。
なお、現在において臨床ステージにあるFGF2阻害剤の報告はなく、RBM-007を用いた医薬品の開発が成功すれば、加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症の患者へ既存薬とは異なる作用メカニズムの新薬を提供することができると同時に、新しい医薬市場を開拓し、当社の大きな収益につながり、当社の更なる発展に寄与するものと考えております。
※2 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に必須の病態モデル動物での薬効確認
試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。
(ロ) 開発スケジュール
a)加齢黄斑変性症
平成30年3月期中における米国食品医薬品局(米国FDA)への治験計画届出を目標として、GLP適合非臨床安全性・毒性試験の実施、及び治験用製剤(「治験薬」)の検討及びその製造を当事業年度の重点目標として取り組んでおり、当初の計画通り順調に推移しております。
b)軟骨無形成症
平成31年3月期中における独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)への治験計画届出を目標として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業の下でGLP適合非臨床安全性・毒性試験の実施、及び治験用製剤(「治験薬」)の検討及びその製造を当事業年度の重点目標として取り組んでおり、当初の計画通り順調に推移しております。
(ハ) 推進体制
当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施に向けた研究開発の推進と、治験実施体制の構築を進めております。この一環として、平成29年5月に網膜及び硝子体の疾患に関するキー・オピニオン・リーダーであり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)メディカルセンター眼科の医師であるRobert B. Bhisitkul教授と、メディカルエキスパートの委嘱に関する契約(Medical Expert Agreement)を締結し、加齢黄斑変性症に関する米国での臨床試験に関して、メディカルエキスパートの立場から、臨床試験計画の策定、試験実施に際しての各種調整、試験結果の評価等の業務を実施していただくこととなりました。
また、平成29年5月には、軟骨無形成症治療薬としての臨床試験の実施に向けて、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医である大薗恵一教授と、医学専門家の委嘱に関する契約を締結いたしました。大薗教授は小児における骨系統疾患の専門医であり、その専門的知見を活かし、RBM-007の臨床試験に関して、医学専門家の立場でメディカルモニタリング、文書の医学レビュー、各種助言等を行っていただく予定です。
今後においても当初の計画通りRBM-007の開発を進めるべく推進体制の整備を図ってまいります。
(ニ) 開発コスト
加齢黄斑変性症並びに軟骨無形成症の治験計画届出までの費用、及び加齢黄斑変性症を対象とした臨床開発費に対応する費用として676百万円(平成29年7月~平成32年9月に発生)を想定しておりますが、この資金については平成29年6月8日に発行決議を行った第12回新株予約権(10,000個)の払込及び行使により得られる資金を充当し対応してまいります。また、軟骨無形成症を対象とした臨床開発費として675百万円(平成30年9月~平成34年3月に発生)を想定しておりますが、この資金については平成29年6月8日に発行決議を行った第13回新株予約権(10,000個)の払込及び行使により得られる資金を充当し対応してまいります。なお、新株予約権の行使により得られる手取金が権利行使の未行使等により当初の想定額より下回る場合には、臨床開発費の一部を公的資金、新規パートナー企業との共同開発等により対応してまいります。
(ホ)その他
RBM-007は、軟骨無形成症や加齢黄斑変性症に限らず、FGF2の発現亢進による各種疾患に対して有効な治療薬となる可能性を秘めております。
当社は、その治療薬としての検証と実現に向けて、肺がん領域に関しては慶應義塾大学医学部と、眼疾患(特に角膜疾患)に関しては順天堂大学医学部の各大学との共同研究を推進しております。
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各創薬プロジェクトの開発ステージのアップに向けた取り組み |
当社は共同研究と自社創薬による革新的なアプタマー医薬の開発に取り組んでおり、主要なプロジェクトの進捗状況は下記のとおりです。
(イ) 大塚製薬株式会社との共同研究
大塚製薬株式会社と平成28年12月末日まで、RBM001(抗Midkineアプタマー)に関する共同研究を実施いたしました。本共同研究での成果については、平成29年5月に大塚製薬株式会社において開発・商業化することを目的としたライセンス契約を締結いたしました。
また、大塚製薬株式会社との過年度の共同研究の成果であるRBM002(抗TSP-1アプタマー)とRBM003(抗Chymaseアプタマー)の取り扱いについては、平成29年5月に覚書を締結し、当社での事業化に必要となる関連特許の譲渡を受け、RBM002及びRBM003を自社創薬品目に加えて研究開発を進めることとなりました。
RBM002は「トロンボスポンジン1(TSP-1)」に対する阻害性アプタマーで、抗癌剤による血小板減少を抑制するための新薬の開発を目的としたものです。本パイプラインはTSP-1に対する特異的かつ強い阻害活性を持つアプタマーとして創製が完了し、抗癌剤投与の動物モデルにおいて血小板の減少を顕著に抑制できることが確認されています(非臨床POC確認)。癌患者への抗癌剤の投与は、一般的に血小板の減少を引き起こします。強い抗癌剤ほど血小板数を大きく減少させ、生命に危険な状況となるため、十分量の抗癌剤が使えないというジレンマが生じます。このジレンマを解消できる医薬品は未だ開発されていません。当社は、RBM002の投与によって血小板の減少を抑制し、本来必要とされる量の抗癌剤の使用を可能とする、新しい治療方法を実現したいと考えています。この実現のために、当社は今後投与方法の確立に向けた研究開発を進めてまいります。
RBM003は「キマーゼ(Chymase)」に対する阻害性アプタマーです。本パイプラインは、当初、肺線維症治療薬としての開発を行っておりましたが、期待する薬効が確認されませんでした。その後、適応疾患を変更して、心不全の動物モデルで薬効試験を実施しました。その結果、ハムスターを用いた冠動脈結紮による心筋梗塞急性期モデルにおいて、本アプタマーは顕著な心機能改善効果を示しました(非臨床POC確認)。
現在、本アプタマーの競合品として、バイエル社(独)が開発した低分子のキマーゼ阻害剤が、臨床試験段階にあり、心不全(左心室機能不全)に対する第Ⅱ相臨床試験が実施されています。特許公知情報から、当社のRBM003はバイエル社のキマーゼ阻害剤に比較して、1〜2桁強い酵素阻害活性を持つと推測されます。当社にとっては、重要な自社パイプラインとなる可能性があり、今後の研究開発を加速するとともに、早期のアライアンスを実現に向けて取り組んでまいります。
(ロ) 大正製薬株式会社との共同研究
同社が選択したアプタマー創薬テーマについて、3年間の共同研究を平成26年3月より開始し、平成29年3月に、本共同研究の1年間の延長契約が締結され、共同研究が進行しております。
(ハ) アステラス製薬株式会社との共同研究
同社が選択したアプタマー創薬テーマについての共同研究を平成29年3月より開始しております。
(ニ) RBM006及びその他の自社創薬プロジェクト
RBM006(抗ATXアプタマー)については、SELEX法を用いたスクリーニングにより、ATXに対し高い親和性で結合し、かつ、ATXの酵素活性を特異的に阻害するアプタマーを創製し、肺線維症のモデル動物を用いた試験での効果を確認しております。現在、臨床試験の直前のステージ(GLP適合非臨床安全性・毒性試験)を実施するために必要なデータや資料を蓄積しつつあり、あわせて、投与ルートの確認に関連する試験を実施しております。
RBM005(抗HMGB1アプタマー)、及びRBM008(抗ペリオスチンアプタマー)については、最新の研究情報などを基にして標的疾患・適応症の評価や新規データの取得に努めております。
なお、RBM004(抗NGFアプタマー)については、ライセンス・アウト先である藤本製薬株式会社において開発が進められております。
(ホ) 新規技術開発・プロジェクト
当社は、アプタマー創薬の迅速化、効率化を進めるため、新たな技術を「RiboARTシステム」に取り入れ、技術力の向上に努めております。
この取り組みの一環として、コンピュータ科学を応用したアプタマー創製プロセスにおける新技術の開発、また従来の医薬品ではターゲットとすることが難しかった、細胞膜貫通型のタンパク質に結合するアプタマーを創製できる基盤技術の確立等に、アカデミアと連携し取り組んでまいります。後者については、当社事業「GPCRを標的とするRNAアプタマー創薬基盤技術の開発」がAMEDの創薬基盤推進研究事業に採択され、助成を得て進めております。
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製薬企業との新規アライアンスの締結に向けた取り組み |
(イ) 共同研究
新規の共同研究に関しては、当社開発テーマ等に関する論文発表や学会発表等を通じて当社の技術に関する情報発信を積極的に実施しております。これらを通じて、複数の国内製薬企業を対象として、新規共同研究の実現に向けた活動に取り組むとともに、国内及び海外の製薬企業との間で、提携に向けた交渉を継続しております。
(ロ) ライセンス
当社における重点的なライセンス・アウト対象品目はRBM006、RBM007及びRBM101に該当するアプタマーであり、ライセンス・アウトの実現に向けて次の取り組みを継続的に進めております。
a)RBM006
RBM006の標的タンパク質であるATXを対象とした阻害剤開発に関し、欧米のメガファーマなどによる特許(主に抗体と低分子)の出願公開がここ数年で増加しており、特発性肺線維症を含む線維症の治療のための創薬ターゲットとして注目されています。このような状況のもと、ATXを対象とした阻害剤開発を検討している提携候補先において、RBM006に関する評価が継続して進められております。
b)RBM007
RBM007に関しては、加齢黄斑変性症及び軟骨無形成症への適応については、自社での治験開始を目指して積極的に準備を進めておりますが、これと並行して、臨床POC獲得までの自社での臨床開発を伴うライセンス形態など、柔軟な対応を視野に入れて提携交渉を進めております。
c)RBM101
RBM101(抗体等精製用IgGアプタマー)に関し、試験研究用途については大学や企業の研究機関での評価、検討が進められております。これと並行し、抗体精製のプロフェッショナルである株式会社イーベックとの共同研究契約のもとで、RBM101に関する実施例、データを蓄積しており、これにより得られた知見を基に、国内外の大手製薬企業へのライセンス・アウトを含めた事業化を目指しております。
なお、創薬パイプラインのうち、前臨床試験に進んでいる主要なプロジェクトは以下のとおりです。
・医薬品開発
※:RBM001に関しては、平成29年5月に、大塚製薬株式会社との間でライセンス契約を締結いたしました。具体的な適応症については、大塚製薬株式会社での今後の開発方針によるため非開示としております。
・新規用途開発
これらの結果、当第1四半期累計期間において、製薬企業とのアプタマー創薬実施による事業収益は17百万円(前年同四半期比28.4%減)、事業費用として研究開発費は95百万円、販売費及び一般管理費は80百万円計上し、営業損失は158百万円(前年同四半期は営業損失148百万円)となりました。
また、経常損失は162百万円(前年同四半期は経常損失147百万円)、四半期純損失は163百万円(前年同四半期は四半期純損失148百万円)となりました。
なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)財政の状況
① 資産の部
当第1四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べて86百万円減少し、2,408百万円となりました。これは、流動資産のその他が43百万円増加した一方で、研究開発への投資を行ったこと等により有価証券が99百万円、現金及び預金が50百万円減少したこと等によるものです。なお、当第1四半期会計期間末において保有している有価証券は、保有する資金を、研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。
② 負債の部
当第1四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて66百万円増加し、123百万円となりました。これは、未払法人税等が8百万円減少した一方で、共同研究に係る前受金が50百万円増加したこと等によるものです。
③ 純資産の部
当第1四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて153百万円減少し、2,285百万円となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ4百万円、新株予約権の発行により新株予約権が4百万円増加した一方で、四半期純損失163百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したことによるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は95百万円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、平成29年6月29日に提出の有価証券報告書に記載した研究開発活動(研究開発戦略、研究開発の特徴について、研究開発体制について、新薬候補化合物の主な開発状況)に関し重要な変更はありません。