当第2四半期累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、2018年6月29日に提出の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当社は、抗体に継ぐ次世代新薬として期待されているアプタマー(核酸医薬の一種)に特化して医薬品の研究開発を行うバイオベンチャーです。当社は、アプタマー創製に関する総合的な技術や知識、経験、ノウハウ等からなる創薬プラットフォームである当社独自の「RiboARTシステム」を活用して、革新的なアプタマー医薬の研究開発(「アプタマー創薬」)を行っております。
当社の当事業年度における最重点経営目標は、「自社での臨床Proof of Concept※1の獲得に向けた開発」であり、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。
その具体的な進捗を以下に要約いたします。
※1 臨床Proof of Concept(臨床POC):新薬の開発段階において、投与薬剤がヒトでの臨床試験において意図した薬効と安全性を有することが示されること。
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「RBM-007」の開発について |
(イ) 「RBM-007」(抗FGF2アプタマー)による臨床開発の狙い
当社では、自社で創製した「RBM-007」(FGF2に結合し、その作用を阻害するアプタマー)を、自社での臨床開発のテーマに選び、開発を進めております。
線維芽細胞増殖因子2(Fibroblast Growth Factor 2、FGF2)は、40数年前に発見されたタンパク質で、血管新生促進等の様々な生理作用を持つことが報告されております。しかしながら、長年に渡りFGF2は創薬標的の候補であったにもかかわらず、抗体を含め優れた阻害剤の開発がほぼない状態でした。そうした中、当社は、独自のアプタマー創薬技術により、過年度においてFGF2に結合しその作用を特異的に阻害するアプタマー「RBM-007」の創製に成功いたしました。
開発の対象疾患としては、上述のようなFGF2の生理作用に鑑みて、加齢黄斑変性症と軟骨無形成症を選択いたしました。
加齢黄斑変性症は、加齢に伴い網膜の黄斑部に障害がおこる疾患で、無治療の状態だとやがて失明に至ります。欧米では失明原因の第一位となっています。疾患の要因の一つは異常な血管新生とされており、10年ほど前に治療薬として血管新生を阻害する医薬品(VEGF阻害剤)が開発され、臨床医からは夢のような薬と評価されました(既存薬の全世界市場規模は約1兆円)。しかし、その後の経過観察によって、臨床上の問題点が明らかになってきました。その一つは、相当数の患者に対して、既存薬の有効性が乏しいことです。また、有効とみられた患者も2~3年程度経過すると薬効が低下し、再び失明のリスクにさらされます※2。これらの要因として、病変による網膜組織の瘢痕化(線維化)が関与していると考えられていますが、既存薬には瘢痕化を抑制する作用はありません。これに対して「RBM-007」は血管新生のみならず瘢痕形成を抑制する作用を持つことが、疾患モデル動物での薬理試験から明らかになりました(非臨床POC獲得※3)。「RBM-007」のような二つの異なる作用を持ち合わせる医薬品は既存薬(VEGF阻害剤)にはなく、既存の医薬品では奏功しない患者に対して新規の治療法を提供できる可能性があります。
一方、軟骨無形成症は四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患で、治療薬はなく、厚生労働省から難病指定を受けています。軟骨無形成症患者においては、FGF2が骨伸長を抑制する要因の一つとして作用していますが、「RBM-007」は疾患モデルマウスを利用した実験では、体長の短縮を約50%回復する効果を確認しました。さらに、軟骨細胞への分化誘導が欠損していることが知られている軟骨無形成症患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、「RBM-007」存在下で、その分化誘導が回復することも確認しました(非臨床POC獲得)。現在、本邦では治療に成長ホルモンが使用されていますが、効果は十分とは言えず、骨延長術(足の骨を切断して引き離した状態で固定し、骨の形成を促す)といった非常に厳しい治療が幼い子供に施されることもあり、新薬が待ち望まれています。
なお、現在、いかなる疾患に対しても臨床ステージにあるFGF2阻害剤の報告はありません。自社での臨床開発の実施により臨床POCが獲得されれば、新規治療法の確立に至る第一歩になるとともに、新薬候補品としての「RBM-007」の価値が高まり、ライセンス収益の拡大及び将来に向けた発展に寄与するものと考えております。
※2 Rofagha S, Bhisitkul RB, Boyer DS, Sadda SR, Zhang K. Seven-year outcomes in ranibizumab-treated patients in ANCHOR, MARINA, and HORIZON: a multicenter cohort study (SEVEN-UP). Ophthalmology 2013;120(11):2292-99.
※3 非臨床Proof of Concept(非臨床POC):ヒトでの臨床試験に入る前に、病態モデル動物での薬効確認試験において、投与薬剤が意図した薬効を有することが示されること。
(ロ) 開発スケジュール
a) 加齢黄斑変性症
加齢黄斑変性症を対象にした臨床試験として、最初に「RBM-007」の安全性・忍容性を調べることを主な目的とした、PI/IIa試験(ニックネームはSUSHI STUDY)が行われます。実施にあたっては、米国食品医薬品局(FDA)への治験計画届出(IND申請)が必須であり、当社の完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.が2018年6月20日付(米国時間)で本IND申請を行い、その結果、30日経過後にFDAよりPI/IIa試験の開始が許可されました。さらにスタンフォード大学を中心とした、米国西海岸の複数の治験施設との間で準備を進め、各治験審査委員会から当社が提出した治験計画に基づく試験開始の許可を得るとともに、各施設との治験契約の締結を完了し、試験へ組み入れるための選択基準(年齢、視力、治療歴等)に合致する被験者のリクルートを行いました。この結果、2018年10月29日(米国時間)に第一例目の被験者への投与がスタンフォード大学で完了いたしました。
本PI/IIa試験は、オープンラベル(非盲検)、非無作為化(ランダム化しない)、非対照(対照薬を置かない)の試験で、9人の被験者(予定)に対して、RBM-007を単回投与(硝子体内注射)いたします。3用量を設定し、もっとも少ない用量から1人ずつ投与し、安全性、忍容性等を確認してまいります。
今後もRIBOMIC USA Inc.との緊密な連携の下、関連法令、ガイドライン等を遵守しつつ、この臨床試験を迅速・適切に推進してまいります。
b) 軟骨無形成症
2020年3月期中における独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)へのIND申請を目標として開発を進めております。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助を受け、GLP適合非臨床安全性・毒性試験および治験薬製造が完了いたしました。本プロジェクトは2018年度からの3年間を対象に、AMEDの難治性疾患実用化研究事業に採択されており、本支援の下、治験開始に向けた準備を着実に進めてまいります。
(ハ) 推進体制
当社では、事業開発部と臨床開発部を中心に外部機関の協力も得て、治験実施体制の構築を進めております。米国での臨床開発を推進する拠点として、当社完全子会社であるRIBOMIC USA Inc.を2017年8月にカリフォルニア州に設立し、新薬開発経験が豊富なYusuf Ali氏(Ph.D.)がCEOとして陣頭指揮を執っております。また、数多くの加齢黄斑変性症の臨床開発に携わってきたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)メディカルセンター眼科の医師であるRobert B. Bhisitkul教授を含めた3名の眼科専門医による科学諮問委員会が設置されております。同委員会において今後継続的に臨床試験計画の審議、治験データの評価等が行われます。
さらに、軟骨無形成症治療薬開発については、大阪大学医学部附属病院小児科の臨床医で、小児における骨系統疾患の専門医である大薗恵一教授と医学専門家の委嘱に関する契約を締結し、各種助言等を行っていただいております。
今後も「RBM-007」の開発推進に向け、体制の整備を図ってまいります。
(ニ) 開発コスト
過年度に発行した第12回新株予約権の行使が2018年5月25日に完了し、600百万円を調達いたしました。さらに追加の開発資金として、2018年6月13日に株式会社ウィズ・パートナーズが業務執行組合員を務めるウィズ・ヘルスケア日本2.0投資事業有限責任組合及びTHEケンコウFUTURE投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当の方法による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債、及び第14回新株予約権を発行いたしました。現在、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債で1,000百万円の調達を完了するとともに、今後の第14回新株予約権の行使により1,001百万円の調達を予定しております。
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その他のプロジェクト |
(イ) ライセンス・アウト契約ならびに共同研究契約
当第2四半期会計期間における特記すべき事項はありません。
(ロ) 継続中の自社創薬プロジェクト
上記以外の自社創薬プロジェクトのうち、RBM003(抗キマーゼアプタマー、心不全等)については、特に優れた薬効が動物試験で確認されたため、当社は、RBM003を「RBM-007」に次ぐ重点開発プログラムと位置づけて、今後開発パートナーとの提携等に向け、努力する方針です。また当社は、アプタマー医薬品の汎用性をさらに活かすため、GPCR(Gタンパク質共役型7回膜貫通型受容体)を標的とするアプタマー創薬(AMED委託事業)や、コンピュータ科学を応用した技術開発等を継続して進めております。なお後者については、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公募した戦略的創造研究推進事業CREST研究領域に、当社事業として「人工知能技術を用いた革新的アプタマー創薬システムの開発」を提案したころ、第2四半期会計期間においてこれが採択されました。本事業は、バイオインフォマティクスと人工知能研究に多くの実績を有する早稲田大学の浜田道昭教授と共同で、当社が手掛けるRNAアプタマーの創薬のプロセスを、深層学習などの人工知能技術を活用することで自動化し、創薬期間の短縮及び創薬成功率の向上を実現させることを目指すものです。本事業の期間は、2018年度から2020年度で、2018年度に受け取る委託研究開発費は6.5百万円です(期間および金額は予定)。
これらの結果、事業収益については2019年3月期第4四半期会計期間に計上を見込んでおるものの、当第2四半期累計期間においては計上ありません。事業費用として研究開発費を297百万円、販売費及び一般管理費を165百万円計上し、営業損失は463百万円(前年同四半期は営業損失318百万円)となりました。
また、営業外費用として、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第14回新株予約権の発行諸費用等に係る株式交付費11百万円を計上したこと等により、経常損失は473百万円(前年同四半期は経常損失322百万円)となりました。これにより四半期純損失は474百万円(前年同四半期は四半期純損失323百万円)となりました。
なお、当社は創薬事業及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(イ) 資産の部
当第2四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べて650百万円増加し、2,977百万円となりました。これは有価証券が700百万円増加した一方で、現金及び預金が42百万円減少したこと等によるものです。なお、当第2四半期会計期間末において保有している有価証券は、保有する資金を研究開発への充当時期まで、適切な格付けを得た安全性の高い金融商品で運用することを目的としたものです。
(ロ) 負債の部
当第2四半期会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて1,032百万円増加し、1,132百万円となりました。これは、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行により転換社債型新株予約権付社債が1,000百万円、流動負債のその他が58百万円増加したこと等によるものです。
(ハ) 純資産の部
当第2四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて382百万円減少し、1,845百万円となりました。これは、新株予約権の一部について権利が行使されたことにより、資本金及び資本剰余金がそれぞれ46百万円増加した一方で、四半期純損失474百万円を計上したことにより、利益剰余金が同額減少したこと等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比較し42百万円減少し1,137百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は410百万円(前年同四半期は306百万円の支出)となりました。主な資金増加要因は、減価償却費13百万円によるものです。一方で主な資金減少要因は、税引前四半期純損失473百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は714百万円(前年同四半期は266百万円の収入)となりました。主な資金増加要因は、定期預金の払戻による収入401百万円によるものです。一方で主な減少要因は、有価証券の取得による支出699百万円、定期預金の預入による支出401百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,081百万円(前年同四半期は79百万円の収入)となりました。主な資金増加要因は、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行による収入989百万円、第12回新株予約権の一部について権利が行使されたこと等に伴う株式の発行による収入92百万円によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期累計期間において、当社が対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は297百万円であります。
なお、当第2四半期累計期間において、2018年6月29日に提出の有価証券報告書に記載した研究開発活動(研究開発戦略、研究開発の特徴について、研究開発体制について、新薬候補化合物の主な開発状況)に関し重要な変更はありません。