第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

近年、コンピュータ・システムを取り巻く脅威はさらに多様化・複雑化し、かつ急速に変化しています。多様化する情報漏えい、増え続ける標的型攻撃などにより、既存のリスク管理プロセスだけでは十分な対応を取る事が難しくなりつつあります。的確なリスク管理を実現するためには、日々発生する新たなセキュリティ脅威に対抗するための迅速かつ正確な情報収集能力、分析能力、問題解決能力といった、強力かつ包括的なセキュリティリサーチ能力が求められます。当社グループは「世界トップレベルのセキュリティ・リサーチ・チームを作り、コンピュータ社会の健全な運営に寄与する」を経営理念とし、広範なセキュリティコア技術とリサーチ能力のバックグラウンドを軸に、さまざまな角度でお客様のセキュリティリスク管理を強力に支援します。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは従来の技術では防御が難しい脅威が増大している状況で、これに有効に作用する当社製品を早く、多くのユーザーにお届けすべきと考えています。また、究極的にはすべてのコンピュータ・システムへ当社製品を導入し、ユーザーは安心して利用できる環境とすることを目標としています。上記より、当社グループではセキュリティ・プロダクトの契約ライセンス数及びPC稼働台数に対する当社製品の導入割合を重視しています。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

社会システムのネットワーク化が進む近年において、コンピュータ・システムを取り巻く脅威は多様化しており、システムを攻撃されることにより甚大な被害を及ぼす傾向が強まっております。これらの脅威からコンピュータ・システムを守り、安定した運用を実現するためには、常に最新かつ最適なセキュリティ体制を構築することが望まれます。このような状況を踏まえ、当社グループは以下の事項を中長期的な経営戦略として、事業を推進してまいります。

(研究開発戦略)

当社グループは、サイバー・セキュリティ領域での技術研究から生まれる新しい研究成果により、他に類を見ない高い付加価値と高い市場競争力を持つ製品・サービスを開発・提供してまいります。また、サイバー攻撃技術の研究をベースにトレンドを予測し、プロアクティブな対策技術の開発に取り組むことで、将来予想される脅威に先回りする形で対策製品・サービスを提供できる体制を構築していきます。

(セキュリティ・プロダクト戦略)

研究開発により獲得した新技術及び脅威情報、蓄積したノウハウを製品開発に反映してまいります。これにより、これまでにない斬新なコンピュータ・セキュリティ製品を提供し、サイバー攻撃からコンピュータ・システムを守ることで、コンピュータ社会の健全な運営に寄与してまいります。

(セキュリティ・サービス戦略)

当社グループのセキュリティ・サービスは、当社の技術レベルを示すことによるブランドの確立を目的とし、技術的に付加価値の高いプロジェクトに特化しております。これにより、ユーザーからの当社製品・サービスに対する信頼を獲得するとともに、ノウハウを蓄積し、製品の拡販につなげてまいります。

 

(4)対処すべき課題

(研究開発)

IT技術が日々進歩する中、同時にコンピュータ・システムに対する新しい脅威が発生しております。また、サイバー・セキュリティ市場においては、情報漏洩等の被害発生が市場ニーズの発生契機となるケースが多数あります。当社グループでは、このような後手の対応ではなく、被害発生前に予防することができる製品・サービスの提供が重要な課題であると考えており、すでに市場ニーズの存在する製品・サービスを開発するニーズ型の研究開発と併せて、市場ニーズを予測し、掘り起こすシーズ型の研究開発を行っております。今後においても、セキュリティ技術は常に進歩していることから、当社グループは最新技術の獲得のための研究開発の強化に取り組んでまいります。

 

(人材育成)

当社グループが今後成長するにあたり、優秀な技術者を中心とした人材の確保と育成は重要な課題となっております。当社グループは従業員が能力を最大限発揮できる体制を構築し、優秀な人材の採用と併せて、技術者を育成することにより全体の技術レベルの底上げに取り組んでまいります。

(セキュリティリテラシー)

当社製品・サービスの拡販には、ユーザーがコンピュータ・システムを取り巻く脅威の内容及びそれに対するセキュリティ対策の必要性を正しく理解していただくことが重要であると考えています。当社グループは、通常の営業活動のほか、世間に広く流通する製品等の脆弱性や、その対策などの研究成果の一部をカンファレンスや新聞・雑誌・WEB媒体などを通じて広く情報提供することにより、ユーザーに脅威を周知し、それらに応じた適切な対策の導入を促す活動に取り組んでおります。

 

(ブランディング)

セキュリティ製品・サービスはその性質上、顧客において効果を実感する機会が多くないため、当社製品・サービスの拡販には、当社グループ及び製品・サービスの性能に対する信頼性の確保が課題となっております。信頼性の確保には、導入事例の紹介や実際にマルウェアによる攻撃から当社製品がコンピュータ・システムを防御するデモンストレーションの実施、講演や各種媒体への広告宣伝等を通じて当社製品・サービスの有用性を訴求することが有効と考えております。また、Black Hat※等のカンファレンスにて最新のセキュリティ技術を発表することで当社グループの技術力を示すなど、当社グループの認知度・信頼性向上のための活動強化に取り組んでおります。

 

(海外展開)

世界の情報セキュリティ市場における日本のシェアは約10%前後に過ぎず、多くを海外市場が占めております。また、コンピュータ・セキュリティは、その製品技術の内容は世界共通であることから、海外市場への製品供給のハードルは高くなく、海外市場への製品供給は、当社グループの成長戦略上、重要な事項となっております。

 

(コンシューマー市場での拡販)

ランサムウェアやオンラインバンキングの不正送金といった個人を標的とするサイバー攻撃が拡大を続けているなか、既存のセキュリティ対策は高度化するサイバー脅威を前に効果が薄れてきており、有効な製品の普及はほとんど進んでいない状況となっております。また、個人向けのセキュリティ市場規模はICTの発達やモバイル端末の増加により拡大しており、当社グループは個人向け製品の拡販に取り組んでおります。

 

Black Hat

世界各国の企業や政府、教育機関等からのリーダーが一堂に会し、最先端のセキュリティ情報を発表する世界最大規模の国際セキュリティカンファレンス。

 

 

 

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。

 このいずれかが発生した場合、当社グループの業績や株価に影響を与える可能性があります。また、これらのなかには外部要因や発生する可能性が高くないと考えられる事項を含んでいるほか、投資判断に影響を及ぼすすべてのリスクを網羅するものではないことにご留意ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)製品及びサービスに瑕疵が発生する可能性について

製品及びサービスを提供する際には、開発過程においてプログラムにバグや欠陥の有無の検査、ユーザーの使用環境を想定した動作確認などの品質チェックを行い、販売後のトラブルを未然に防ぐ体制をとっております。しかしながら、プログラムの特性上、これらを完全に保証することは難しいものとなっております。

 万が一、製品又はサービスにバグや欠陥が発見された場合の対策として、当社グループではプログラムの修正対応や、販売時の契約において免責条項の設定などにより損失を限定する体制をとっておりますが、これらの対策はリスクを完全に回避するものではなく、バグや欠陥の種類、発生の状況によっては補償費用が膨らみ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)サイバー攻撃等を受けることにより信頼性を喪失する可能性について

 サイバー・セキュリティ事業を営む当社グループは、当社グループ及び当社製品又はサービスを導入されたユーザーにおいて、当社製品又はサービスの効果の及ぶ範囲内でサイバー攻撃等による機密情報等の改鼠・搾取等をされた場合、当社グループの技術力を否定されることにより、結果として当社製品又はサービスに対する信頼性を喪失する恐れがあります。このようなことが発生した場合、信頼を回復するまでの間、製品及びサービスの販売が停滞することが考えられ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)技術革新又は陳腐化に対応できない可能性について

 当社グループが属するサイバー・セキュリティの分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があります。このような中、当社グループは研究開発部門による新技術の開発や研究成果のカンファレンス等での発表、各種メディアへの情報発信などの取り組みにより、当社製品及びサービスの競争力の維持向上に努めております。

 しかし、当社グループが環境変化に対応することができず、当社製品及びサービスの陳腐化又は競合他社の企業努力などの要因により、当社グループが競争力を維持することができない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)特定事業への依存により市場環境の影響を大きく受ける可能性について

 当社グループが営む事業はサイバー・セキュリティ事業の単一事業であり、ユーザーにおいて経済情勢の不調等によりIT設備投資が抑制されるなど、当該市場環境が冷え込んだ場合、その影響を大きく受け、他の事業分野で挽回するといった対応が取れず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)知的財産権侵害の可能性について

 当社製品及びサービスの競争力維持にあたっては、特許権等による知的財産権の保護が重要となっております。当社グループは研究開発の結果、有用な技術について積極的に知的財産権の取得をするなど技術の保護に努めております。しかしながら、サイバー・セキュリティ製品には高度かつ複雑なプログラム技術が使用されており、知的財産権においてその権利の範囲を明確に定めることが難しいものとなっております。

 このような状況の下、他社において当社グループの知的財産権に抵触するものがあったとしても、当社グループの知的財産権侵害の主張が必ずしも認められない可能性があります。また反対に、当社グループが意図しないところで他社から当社グループに対して知的財産権侵害の訴えが提起され、その主張が認められてしまう可能性も否定できません。このようなことが起きた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(6)小規模組織における経営管理体制・内部統制について

 当社グループは事業規模に応じた組織体制を志向しており、現在は比較的小規模の体制で事業運営を行っております。また、当社グループは現在の人員構成における最適と考えられる経営管理体制及び内部統制を構築していますが、今後、当社グループの計画以上に事業が成長するなどにより、組織規模の急激な拡大の必要が生じた場合、以下に掲げるリスクが考えられ、経営管理体制・内部統制が有効に機能しない可能性があります。

 ・必要な人材を確保できない可能性

 ・新規採用の人員に対する教育が不足する可能性

 ・業務の多様化に社内業務システムの対応が遅れる可能性

 ・従業員とマネジメント層の間における報告体制の冗長化

 また、当社グループが小規模組織であるために生じるリスクも考えられます。例えば当社グループのキャパシティを超えるような大型の開発プロジェクト等が生じた場合、当社グループは他社との業務提携などの戦略をとることが考えられますが、提携先が確保できない場合や、当社グループと提携先の間で円滑なプロジェクト遂行が困難になる等により、当該案件への投資資金の損失、失注あるいは利害関係者からの損害賠償請求等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)情報漏洩リスクについて

 当社グループが営むサイバー・セキュリティ事業では、ユーザーのセキュリティシステムに関する情報や社内で使用する検体用マルウェア等の機密情報を扱う場合があります。これらの取り扱いについて、当社グループは規程やマニュアル等に則った運用体制の整備や社員への教育を通じて機密情報の外部漏洩を厳しく管理しております。しかしながら、特に当社グループの関係者が悪意を持って機密情報の漏洩を図った場合など、情報漏洩を完全に防ぐことは困難であります。このようなことが起きた場合、漏洩した機密情報を使用されることによる損害や、当社グループの信用が失墜するなどにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)事業環境の変化について

 当社グループが製品・サービスを提供している標的型攻撃対策を始めとする高度なセキュリティ・サービスの市場は、サイバー・セキュリティに対する脅威の複雑化・多様化を背景に今後拡大していくものと見込んでおりますが、市場の黎明期であるため不確定要素も多く、市場の成長スピードが当社グループの想定よりも遅れる可能性があります。

 また、市場が順調に拡大した場合でも、競合他社の参入や他社から無償又は安価なセキュリティ機能が供給されることにより、当社グループが市場シェアを伸ばしていくことができない可能性があります。
 このような当社グループを取り巻く事業環境の変化に有効な対抗策を講じる事ができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)法律の制定又は改正により当社の事業に規制がかかる可能性について

 現在、当社グループの事業に対する法的規制はありませんが、将来新たに行われる法律の制定や既存の法律の改正により、当社グループの事業が規制された場合には、その内容によっては対応費用の支出又は経営方針の変更を迫られる可能性があります。例えば、当社グループは研究開発において、実際のサイバー攻撃等で使用されたプログラム(検体用マルウェア)などを用いる場合があり、この管理取り扱いについて法的規制がかかり、その対応に多額の費用がかかるなどが考えられます。このようなことが起きた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)季節的要因について

 当社グループの売上及び利益計上は、12月から3月に集中する傾向があります。これは、ユーザーである企業や官公庁において、年度末前後における経済状況や事業方針の決定等により、設備投資の動きが活発化する影響によるものと考えております。

 当社グループは平成26年12月及び平成27年4月に個人向け製品をリリースしたことによりコンシューマー市場に事業範囲を拡大しており、今後においては売上計上時期の偏りが徐々に解消されていく見込みですが、当面は企業・官公庁向けの売上比率が大きいため、この傾向は続く見込みです。

 平成31年3月期における各四半期連結累計期間の実績は以下の表に記載のとおりです。

 以上より、12月から3月の経済状況、設備投資の動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(単位:千円)

 

 

平成31年3月期

第1四半期

連結累計期間

第2四半期

連結累計期間

第3四半期

連結累計期間

通期

売上高

380,410

782,770

1,163,539

1,651,472

営業利益

37,423

103,831

160,640

284,383

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるサイバー・セキュリティ業界は、企業や個人、政府機関を狙った標的型攻撃や、金銭搾取を目的としたランサムウェア、セキュリティシステムを回避することを目的としたファイルレスマルウェアなど、サイバー脅威により多くの社会的損失が生じています。近年のIT技術の進歩によってあらゆるものがネットワークで接続されている社会となりました。この結果誰もが被害にあう可能性があるだけでなく、踏み台攻撃やサプライチェーン攻撃など、意図せず加害者に加担するリスクも生じており、組織規模に関わらず、一個人であってもサイバー脅威に対する対策を講じることが求められています。日本国内においても、防衛大綱を始め、サイバーセキュリティ基本法の改正など、急激に変化しているサイバー脅威に対する対策を強化する方針です。また、欧州においてもEU一般データ保護規則(GDPR)が発効されるなど、世界中でサイバーセキュリティの重要性が高まっています。セキュリティベンダーにおいても、こうした脅威に対して様々なセキュリティ製品やサービスを市場に供給しております。しかし、これらのなかには脅威対策として効果が限定的であるために複数製品の組み合わせが求められたり、選択肢の増加によって製品選定が複雑化し、ユーザー組織における製品選定期間の長期化が生じています。また、セキュリティ担当者を持たない組織では正しい判断が難しく、政府や大企業に対して新しい脅威への対策が遅れている状況です。

 このような環境の中、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(セキュリティ・プロダクト)

 国内法人向けにつきましては、各セキュリティベンダーより様々な製品やサービスが市場に提供され競争が過熱しています。これにより、ユーザーの製品選定段階における検討期間が長期化し、案件の進行が停滞したことなどの影響によって期初の販売計画に対して下振れしました。このような環境の中、当社グループの提供する「FFRI yarai」では検出精度の向上のほか、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準(政府統一基準)」の改正及びサイバー脅威のレポーティングに関するニーズの高まりを受けて、サイバー脅威を可視化するEDR機能追加やユーザーにおける「FFRI yarai」の導入と運用コストを軽減する管理コンソールのCloud提供を開始するなど、商品力のさらなる向上と、幅広いニーズへの訴求を可能としました。また、より積極的に当社製品の販売をするため、ユーザーとの距離が近く当社製品の販売に対するモチベーションの高い戦略的販売パートナーとの連携を強化してまいりました。この他、徳島県と共同事業として「徳島発!『サイバー攻撃対策強化』実証実験」を行い、これをモデルケースとした全国の自治体への提案に取り組んでまいりました。海外法人向けにつきましては、引き続き現地で強い販売力を持った販売パートナーの確保に向けた交渉を進めており、平成30年12月にはフランスKICK START MANAGEMENT社とのOEM契約を締結し、今後の拡大が見込まれる欧州市場へ進出しました。国内個人向けにつきましては、特に「FFRI yarai Home and Business Edition」において小規模事業者の販売拡大に向け、新規取扱販売店の開拓及び販売店に対するセールストレーニングなどの取組みを行ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度におけるセキュリティ・プロダクトの売上高は1,480,990千円(前年同期比0.8%減)となりました。

 

(セキュリティ・サービス)

 セキュリティ・サービスにおきましては、教育・研修サービス及び車載セキュリティの関連案件を中心に実施しました。

 この結果、当連結会計年度におけるセキュリティ・サービスの売上高は170,481千円(前年同期比5.9%減)となりました。

 また、当社グループは高度セキュリティ人材を育成し、企業のセキュリティ対策に貢献できる人材を輩出する合弁会社をNTTコミュニケーションズ株式会社と設立いたしました。これにより中長期的に組織のセキュリティレベルの底上げとサイバーセキュリティ市場の活性化に取り組んでまいります。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,651,472千円(前年同期比1.3%減)、営業利益284,383千円(同8.1%減)、経常利益282,592千円(同8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益203,197千円(同8.7%減)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,889,327千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、106,661千円(前年同期は290,602千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上282,592千円、前受収益および長期前受収益の減少147,544千円、未払消費税等の減少10,593千円、法人税等の支払額56,398千円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、202,089千円(前年同期は69,586千円の支出)となりました。この要因は、有形固定資産の取得による支出5,111千円、無形固定資産の取得による支出35,160千円、敷金の差入による支出1,817千円、投資有価証券の取得による支出160,000千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果取得した資金は、655千円(前年同期は8,733千円の収入)となりました。この要因は、ストック・オプションの行使による株式の発行による収入876千円、単元未満株式の取得による自己株式の取得による支出220千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(ロ)受注実績

 当社グループは概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を提供するサービスの種類ごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの種類

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

前年同期比(%)

セキュリティ・プロダクト(千円)

1,480,990

△0.8

セキュリティ・サービス(千円)

170,481

△5.9

合計(千円)

1,651,472

△1.3

(注)1.当社グループは、サイバー・セキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に変えて、当社グループが提供するサービスの種類別の販売実績を記載しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成30年4月1日

至 平成31年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ソリトンシステムズ

186,196

11.1

205,120

12.4

株式会社インフォセック

179,400

10.7

173,590

10.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる当社グループの会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、この連結財務諸表の作成にあたっては、一部の箇所に過去の実績や状況等を基に、合理的と考えられる見積り及び判断を用いておりますが、実際の結果は見積りの不確実性によりこれらの見積りと異なる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,075,446千円となり、前連結会計年度末に比べ75,107千円減少いたしました。主な減少要因は関連会社への出資等による現金及び預金の減少94,564千円等であり、主な増加要因は売上債権の計上による売掛金の増加14,234千円、年間費用の前払いなどによる前払費用の増加5,246千円等であります。固定資産は287,296千円となり、前連結会計年度末に比べ155,618千円増加いたしました。主な増加要因は投資その他の資産の増加159,901千円であり、主な減少要因は有形固定資産の減少1,592千円、無形固定資産の減少2,690千円であります。

 この結果、総資産は、2,362,743千円となり、前連結会計年度末に比べ80,511千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は739,217千円となり、前連結会計年度末に比べ20,749千円増加いたしました。主な増加要因は未払法人税等の増加31,467千円等であり、主な減少要因は未払消費税等の減少10,593千円等であります。固定負債は307,394千円となり、前連結会計年度末に比べ144,242千円減少いたしました。主な減少要因はセキュリティ・プロダクトにおける複数年契約の期間経過による長期前受収益の減少144,358千円であります。

 この結果、負債合計は、1,046,612千円となり、前連結会計年度末に比べ123,493千円減少いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,316,131千円となり、前連結会計年度末に比べ204,004千円増加いたしました。主な増加要因は親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金の増加203,197千円であります。

 

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は1,651,472千円(前年同期比1.3%減)となりました。

 これは主に、個人向け製品の売上減少によるものです。法人向け製品の売上は、他社製品との比較、検討等による選定期間の長期化の影響があったものの堅調に推移しました。

 内訳としましては、セキュリティ・プロダクトが1,480,990千円、セキュリティ・サービスが170,481千円であります。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は239,408千円(前年同期比15.7%増)となりました。

 これは主に、開発人員の採用による人件費の増加によるものです。当社グループの収益の源泉は人員であり、継続的な採用と人材の育成が重要と考えております。

 以上の結果、売上総利益は1,412,063千円(前年同期比3.7%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,127,680千円(前年同期比2.6%減)となりました。

 これは主に、販売手数料の減少によるものです。研究開発費等の増加はありましたが前年同期比では減少となりました。

 以上の結果、営業利益は284,383千円(前年同期比8.1%減)となりました。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は1,652千円となりました。これは主に、為替差益によるものです。

 当連結会計年度における営業外費用は3,443千円となりました。これは、持分法適用会社である株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズに係る持分法投資損失を計上したことによるものです。

 以上の結果、経常利益は282,592千円(前年同期比8.7%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は203,197千円(前年同期比8.7%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、これらのリスク要因について、分散又は低減するよう取り組んでまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針

 当社グループでは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の各リスク項目について顕在化することがないよう常に注意を払っております。また、当面の当社グループの課題として「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の各事項に対応していくことで、企業価値向上に努める方針であります。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

(セキュリティ・プロダクト)

 国内法人向けにつきましては、FFRI yaraiの機能強化を継続するほか、当社製品の販売を積極的に行う戦略的販売パートナーとの連携を強化してまいります。また、販売数量の増大に向け、有力なセキュリティ・ベンダーとのOEM提供を含めた包括的な協業に取り組む予定です。それに加えて、日本電気株式会社との新たなサイバー・セキュリティサービスの提供に関する包括的な協業など、有力なパートナーとの連携強化を進め、販売拡大を目指します。海外向けにつきましても同様に、現地において知名度と販売力を有しているパートナーとの交渉を継続してまいります。次に個人向け製品の販売につきましては、小規模事業者を含めたB to B to Cの販売チャネルを構築してまいります。具体的には、ソースネクスト株式会社へのOEM提供を予定しております。

 

(セキュリティ・サービス)

 セキュリティ・サービスにつきましては、製品開発リソースを確保するため、投入する開発リソースを制限しつつ、付加価値の高い案件に絞って実施する予定です。内容としましては車載セキュリティ向けの研究開発を中心に最新のセキュリティ技術の知見獲得に寄与する案件を実施していく予定です。また、同時に車載セキュリティ以外のIoTセキュリティ分野についてもリサーチを進める予定です。

 

 この他、NTTコミュニケーションズ株式会社との合弁会社であり当社の持分法適用関連会社となる、高度セキュリティ人材を育成し輩出するための株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズが平成31年4月より営業を開始しております。

⑦ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、開発用パソコンの購入費用及び開発用ソフトウエアの購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらについてはすべて自己資金により対応しております。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,889,327千円となっており、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。

 

4【経営上の重要な契約等】

合弁契約

契約締結先

契約内容

出資比率

合弁会社名

設立年月

エヌ・ティ・ティ・

コミュニケーションズ

株式会社

サイバーセキュリティに関する研究開発及びその成果を事業展開するための合弁契約

当社     40%

エヌ・ティ・ティ・

コミュニケーションズ

       60%

株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズ

平成31年1月

 

5【研究開発活動】

当社グループが属するサイバー・セキュリティの分野は、過去に積み上げられた技術情報が少ないほか、技術革新により技術の陳腐化が著しく早くなっております。このような状況のもと、IT社会を取り巻く脅威に対抗するためには、ITセキュリティベンダーは常に最新技術の維持・獲得が求められております。

当社グループの研究開発体制は、最新防御技術を基礎研究レベルで研究する専任部署を設置し市場ニーズをつかみ、それに応える製品を開発するニーズ型研究開発のみならず、自らニーズを掘り起こすシーズ型研究開発を行っております。研究成果は当社製品及びサービスへ反映する他、一部を国際カンファレンスなどを通じて世界に向けて情報発信するなど、日本から国内外問わずITセキュリティに貢献していくための活動をしております。

当連結会計年度の主な研究開発活動は以下の通りです。

 

① 自動車セキュリティの研究

IoTセキュリティの対策技術の基礎研究として、自動車 IVI ※1向けのセキュリティ対策技術を検討し、脆弱性の可視化・攻撃防御、堅牢化、インシデントレスポンス・フォレンジックの3つの対策による多層防御についての研究開発を継続しました。

Automotive Grade Linux (AGL) ※2を用いて構築されたシステムからログを収集・分析しセキュリティイベントを検知する基盤システム及び、IVI上で動作する独自の脆弱性攻撃防御機構のPoCを開発しました。また、脆弱性の可視化システムを開発しました。

 

② マルウェア検知技術の研究

複雑化するマルウェアを用いたサイバー攻撃をより高精度で検知・防御するため、PE表層情報 ※3を用いた機械学習による静的マルウェア検知技術の研究に取り組みました。

本研究では、従来一般的にマルウェアのクラスタリングや亜種の特定に使用されていた技術を直接マルウェア検知に利用する手法を考案し、研究成果は電子情報通信学会の SCIS 2019 にて発表しました。

 

 当社グループではこの他にも製品やセキュリティ・サービスに研究開発活動を通じて得た技術・知見を活用し、製品及びサービスの品質向上につなげております。

 以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、131,347千円となりました。

 

※1 IVI

車載情報通信システム(IVI:In-Vehicle Infotainment)のことで、カーナビゲーションやカーオーディオ、TVチューナー等の「情報」と「娯楽」の提供を実現するシステムの総称。

※2 Automotive Grade Linux (AGL)

コネクテッドカー向けの車載機器プラットフォームの標準化を標準化を目指して開発されているオペレーティングシステムで、IVIだけでなく、ヘッドアップディスプレイ、テレマティクス、ADAS(先進運転支援システム)、自動走行など、自動車用プラットフォームを対象にしている。

※3 PE表層情報

PE:Portable Executableのことで、Windowsで利用される実行ファイルの保存形式。

表層情報:プログラムを実行することなく取得可能な情報。プログラムが利用する関数や付与されたアイコンなど多岐にわたる。