文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
近年、コンピュータ・システムを取り巻く脅威はさらに多様化・複雑化し、かつ急速に変化しています。多様化する情報漏えい、増え続ける標的型攻撃などにより、既存のリスク管理プロセスだけでは十分な対応を取る事が難しくなりつつあります。的確なリスク管理を実現するためには、日々発生する新たなセキュリティ脅威に対抗するための迅速かつ正確な情報収集能力、分析能力、問題解決能力といった、強力かつ包括的なセキュリティリサーチ能力が求められます。当社は「世界トップレベルのセキュリティ・リサーチ・チームを作り、コンピュータ社会の健全な運営に寄与する」を経営理念とし、広範なセキュリティコア技術とリサーチ能力のバックグラウンドを軸に、さまざまな角度でお客様のセキュリティリスク管理を強力に支援します。
(2)目標とする経営指標
当社は従来の技術では防御が難しい脅威が増大している状況で、これに有効に作用する当社製品を早く、多くのユーザーにお届けすべきと考えています。また、究極的にはすべてのコンピュータ・システムへ当社製品を導入し、ユーザーは安心して利用できる環境とすることを目標としています。上記より、当社ではセキュリティ・プロダクトの契約ライセンス数及びPC稼働台数に対する当社製品の導入割合を重視しています。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
社会システムのネットワーク化が進む近年において、コンピュータ・システムを取り巻く脅威は多様化しており、システムを攻撃されることにより甚大な被害を及ぼす傾向が強まっております。これらの脅威からコンピュータ・システムを守り、安定した運用を実現するためには、常に最新かつ最適なセキュリティ体制を構築することが望まれます。なお、新型コロナウイルス感染症の流行による影響につきましては、事態の収束に時間を要する場合、営業活動の遅れや景気減退に伴うIT投資の減速が想定されます。当社といたしましては、販売パートナーと緊密に連携し、市場環境を注視しながら今後の事業運営に取り組んでまいります。また、当社の経営環境における影響としましては、当社は当感染症の拡大以前より全社的にリモートワーク制度を導入しており、サイバー・セキュリティの研究開発活動の継続に影響はありませんでした。市場環境についても、顧客におけるサイバー・セキュリティへの投資意欲は減少しておらず、経営環境への影響は僅少なものとなっております。このような状況を踏まえ、当社は以下の事項を中長期的な経営戦略として、事業を推進してまいります。
(研究開発戦略)
当社は、サイバー・セキュリティ領域での技術研究から生まれる新しい研究成果により、他に類を見ない高い付加価値と高い市場競争力を持つ製品・サービスを開発・提供してまいります。また、サイバー攻撃技術の研究をベースにトレンドを予測し、プロアクティブな対策技術の開発に取り組むことで、将来予想される脅威に先回りする形で対策製品・サービスを提供できる体制を構築していきます。
(セキュリティ・プロダクト戦略)
研究開発により獲得した新技術及び脅威情報、蓄積したノウハウを製品開発に反映してまいります。これにより、これまでにない斬新なコンピュータ・セキュリティ製品を提供し、サイバー攻撃からコンピュータ・システムを守ることで、コンピュータ社会の健全な運営に寄与してまいります。
(セキュリティ・サービス戦略)
当社のセキュリティ・サービスは、当社の技術レベルを示すことによるブランドの確立を目的とし、技術的に付加価値の高いプロジェクトに特化しております。これにより、ユーザーからの当社製品・サービスに対する信頼を獲得するとともに、ノウハウを蓄積し、製品の拡販につなげてまいります。
(4)対処すべき課題
(研究開発)
IT技術が日々進歩する中、同時にコンピュータ・システムに対する新しい脅威が発生しております。また、サイバー・セキュリティ市場においては、情報漏洩等の被害発生が市場ニーズの発生契機となるケースが多数あります。当社では、このような後手の対応ではなく、被害発生前に予防することができる製品・サービスの提供が重要な課題であると考えており、すでに市場ニーズの存在する製品・サービスを開発するニーズ型の研究開発と併せて、市場ニーズを予測し、掘り起こすシーズ型の研究開発を行っております。今後においても、セキュリティ技術は常に進歩していることから、当社は最新技術の獲得のための研究開発の強化に取り組んでまいります。
(人材育成)
当社が今後成長するに当たり、優秀な技術者を中心とした人材の確保と育成は重要な課題となっております。当社は従業員が能力を最大限発揮できる体制を構築し、優秀な人材の採用と併せて、技術者を育成することにより全体の技術レベルの底上げに取り組んでまいります。
(セキュリティリテラシー)
当社製品・サービスの拡販には、ユーザーがコンピュータ・システムを取り巻く脅威の内容及びそれに対するセキュリティ対策の必要性を正しく理解していただくことが重要であると考えています。当社は、通常の営業活動のほか、世間に広く流通する製品等の脆弱性や、その対策などの研究成果の一部をカンファレンスや新聞・雑誌・WEB媒体などを通じて広く情報提供することにより、ユーザーに脅威を周知し、それらに応じた適切な対策の導入を促す活動に取り組んでおります。
(ブランディング)
セキュリティ製品・サービスはその性質上、顧客において効果を実感する機会が多くないため、当社製品・サービスの拡販には、当社及び製品・サービスの性能に対する信頼性の確保が課題となっております。信頼性の確保には、導入事例の紹介や実際にマルウェアによる攻撃から当社製品がコンピュータ・システムを防御するデモンストレーションの実施、講演や各種媒体への広告宣伝等を通じて当社製品・サービスの有用性を訴求することが有効と考えております。また、Black Hat※等のカンファレンスにて最新のセキュリティ技術を発表することで当社の技術力を示すなど、当社の認知度・信頼性向上のための活動強化に取り組んでおります。
(海外展開)
世界の情報セキュリティ市場における日本のシェアは約10%前後に過ぎず、多くを海外市場が占めております。また、コンピュータ・セキュリティは、その製品技術の内容は世界共通であることから、海外市場への製品供給のハードルは高くなく、海外市場への製品供給は、当社の成長戦略上、重要な事項となっております。
(コンシューマー市場での拡販)
ランサムウェアやオンラインバンキングの不正送金といった個人を標的とするサイバー攻撃が拡大を続けているなか、既存のセキュリティ対策は高度化するサイバー脅威を前に効果が薄れてきており、有効な製品の普及はほとんど進んでいない状況となっております。また、個人向けのセキュリティ市場規模はICTの発達やモバイル端末の増加により拡大しており、当社は個人向け製品の拡販に取り組んでおります。
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※ |
Black Hat |
世界各国の企業や政府、教育機関等からのリーダーが一堂に会し、最先端のセキュリティ情報を発表する世界最大規模の国際セキュリティカンファレンス。 |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
このいずれかが発生した場合、当社の業績や株価に影響を与える可能性があります。また、これらのなかには外部要因や発生する可能性が高くないと考えられる事項を含んでいるほか、投資判断に影響を及ぼすすべてのリスクを網羅するものではないことにご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)製品及びサービスに瑕疵が発生する可能性について
製品及びサービスを提供する際には、開発過程においてプログラムにバグや欠陥の有無の検査、ユーザーの使用環境を想定した動作確認などの品質チェックを行い、販売後のトラブルを未然に防ぐ体制をとっております。しかしながら、プログラムの特性上、これらを完全に保証することは難しいものとなっております。
万が一、製品又はサービスにバグや欠陥が発見された場合の対策として、当社ではプログラムの修正対応や、販売時の契約において免責条項の設定などにより損失を限定する体制をとっておりますが、これらの対策はリスクを完全に回避するものではなく、バグや欠陥の種類、発生の状況によっては補償費用が膨らみ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)サイバー攻撃等を受けることにより信頼性を喪失する可能性について
サイバー・セキュリティ事業を営む当社は、当社及び当社製品又はサービスを導入されたユーザーにおいて、当社製品又はサービスの効果の及ぶ範囲内でサイバー攻撃等による機密情報等の改鼠・搾取等をされた場合、当社の技術力を否定されることにより、結果として当社製品又はサービスに対する信頼性を喪失する恐れがあります。このようなことが発生した場合、信頼を回復するまでの間、製品及びサービスの販売が停滞することが考えられ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(3)技術革新又は陳腐化に対応できない可能性について
当社が属するサイバー・セキュリティの分野は、日々発生する新たな脅威や技術革新等による環境変化に伴い、ニーズが変化しやすい特徴があります。このような中、当社は研究開発部門による新技術の開発や研究成果のカンファレンス等での発表、各種メディアへの情報発信などの取り組みにより、当社製品及びサービスの競争力の維持向上に努めております。
しかし、当社が環境変化に対応することができず、当社製品及びサービスの陳腐化又は競合他社の企業努力などの要因により、当社が競争力を維持することができない場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(4)特定事業への依存により市場環境の影響を大きく受ける可能性について
当社が営む事業はサイバー・セキュリティ事業の単一事業であり、ユーザーにおいて経済情勢の不調等によりIT設備投資が抑制されるなど、当該市場環境が冷え込んだ場合、その影響を大きく受け、他の事業分野で挽回するといった対応が取れず、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(5)知的財産権侵害の可能性について
当社製品及びサービスの競争力維持にあたっては、特許権等による知的財産権の保護が重要となっております。当社は研究開発の結果、有用な技術について積極的に知的財産権の取得をするなど技術の保護に努めております。しかしながら、サイバー・セキュリティ製品には高度かつ複雑なプログラム技術が使用されており、知的財産権においてその権利の範囲を明確に定めることが難しいものとなっております。
このような状況の下、他社において当社の知的財産権に抵触するものがあったとしても、当社の知的財産権侵害の主張が必ずしも認められない可能性があります。また反対に、当社が意図しないところで他社から当社に対して知的財産権侵害の訴えが提起され、その主張が認められてしまう可能性も否定できません。このようなことが起きた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(6)小規模組織における経営管理体制・内部統制について
当社は事業規模に応じた組織体制を志向しており、現在は比較的小規模の体制で事業運営を行っております。また、当社は現在の人員構成における最適と考えられる経営管理体制及び内部統制を構築していますが、今後、当社の計画以上に事業が成長するなどにより、組織規模の急激な拡大の必要が生じた場合、以下に掲げるリスクが考えられ、経営管理体制・内部統制が有効に機能しない可能性があります。
・必要な人材を確保できない可能性
・新規採用の人員に対する教育が不足する可能性
・業務の多様化に社内業務システムの対応が遅れる可能性
・従業員とマネジメント層の間における報告体制の冗長化
また、当社が小規模組織であるために生じるリスクも考えられます。例えば当社のキャパシティを超えるような大型の開発プロジェクト等が生じた場合、当社は他社との業務提携などの戦略をとることが考えられますが、提携先が確保できない場合や、当社と提携先の間で円滑なプロジェクト遂行が困難になる等により、当該案件への投資資金の損失、失注あるいは利害関係者からの損害賠償請求等、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(7)情報漏洩リスクについて
当社が営むサイバー・セキュリティ事業では、ユーザーのセキュリティシステムに関する情報や社内で使用する検体用マルウェア等の機密情報を扱う場合があります。これらの取り扱いについて、当社は規程やマニュアル等に則った運用体制の整備や社員への教育を通じて機密情報の外部漏洩を厳しく管理しております。しかしながら、特に当社の関係者が悪意を持って機密情報の漏洩を図った場合など、情報漏洩を完全に防ぐことは困難であります。このようなことが起きた場合、漏洩した機密情報を使用されることによる損害や、当社の信用が失墜するなどにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(8)事業環境の変化について
当社が製品・サービスを提供している標的型攻撃対策を始めとする高度なセキュリティ・サービスの市場は、サイバー・セキュリティに対する脅威の複雑化・多様化を背景に今後拡大していくものと見込んでおりますが、市場の黎明期であるため不確定要素も多く、市場の成長スピードが当社の想定よりも遅れる可能性があります。
また、市場が順調に拡大した場合でも、競合他社の参入や他社から無償又は安価なセキュリティ機能が供給されることにより、当社が市場シェアを伸ばしていくことができない可能性があります。
このような当社を取り巻く事業環境の変化に有効な対抗策を講じる事ができなかった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(9)法律の制定又は改正により当社の事業に規制がかかる可能性について
現在、当社の事業に対する法的規制はありませんが、将来新たに行われる法律の制定や既存の法律の改正により、当社の事業が規制された場合には、その内容によっては対応費用の支出又は経営方針の変更を迫られる可能性があります。例えば、当社は研究開発において、実際のサイバー攻撃等で使用されたプログラム(検体用マルウェア)などを用いる場合があり、この管理取り扱いについて法的規制がかかり、その対応に多額の費用がかかるなどが考えられます。このようなことが起きた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(10)季節的要因について
当社の売上及び利益計上は、12月から3月に集中する傾向があります。これは、ユーザーである企業や官公庁において、年度末前後における経済状況や事業方針の決定等により、設備投資の動きが活発化する影響によるものと考えております。
令和3年3月期における各四半期累計期間の実績は以下の表に記載のとおりです。
以上より、12月から3月の経済状況、設備投資の動向が当社の業績に影響を与える可能性があります。
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(単位:千円) |
||||
|
|
令和3年3月期 |
|||
|
第1四半期 累計期間 |
第2四半期 累計期間 |
第3四半期 累計期間 |
通期 |
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|
売上高 |
344,239 |
696,684 |
1,056,360 |
1,618,275 |
|
営業利益 |
16,963 |
54,254 |
109,303 |
328,716 |
(11)新型コロナウイルス感染症について
世界における新型コロナウイルス感染者の拡大ペースは依然として高水準で推移しており、国内のみならず各国で経済活動が強く制限され、感染収束時期が見通せないなかで、順調に正常化に向かうのか予断を許さない状況です。当感染症の収束に時間を要する場合、営業活動の遅れや景気減退に伴うIT投資の減速により、事業活動が計画通りに進捗しない可能性があります。
当社といたしましては、販売パートナーと緊密に連携し、市場環境を注視しながら今後の事業運営に取り組んでまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるサイバー・セキュリティ業界は、大手企業や防衛産業を狙ったサイバー攻撃による被害が多数確認された他、コロナ禍において急速に普及したテレワーク環境を狙ったサイバー攻撃の増加が確認されました。特に大手企業を狙ったサイバー攻撃では、サプライチェーン攻撃や標的型ランサムウェア攻撃など高度な手法が用いられ、機密情報の漏えいや、一時業務停止となるなどの被害が発生しています。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、セキュリティ体制が十分でないまま急遽テレワークを実施した企業を狙ったサイバー攻撃も増加しています。国内においては、テレワークに利用される機能の一つであるRDP(リモートデスクトッププロトコル)の脆弱性を突いた攻撃や、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)接続の認証情報が漏えいするなどの被害が確認されています。日本政府としても、ニューノーマルな働き方としてテレワークを推進している他、行政のデジタル化に向けてデジタル庁を開設予定であるなど、ICT技術の利活用を加速させています。このような社会の変革の中で、サイバー・セキュリティ対策の重要性や求められる役割は、ますます大きくなってきています。
このような環境の中、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
(ナショナルセキュリティセクター)
ナショナルセキュリティセクターにおきましては、国家関連組織や防衛産業を狙ったサイバー攻撃による被害が増加しており、デジタル領域における安全保障が課題となってきています。日本政府は令和3年度予算における防衛省のサイバー関連能力強化予算の増額や、サイバー防衛隊の増強をはじめとする対処体制の強化及び、人材の育成・確保を進めています。当社においては、横須賀ナショナルセキュリティR&Dセンターにて、主にセキュリティ教育及び調査・研究案件を進めております。
この結果、当事業年度におけるナショナルセキュリティセクターの売上高は64,467千円となりました。
(パブリックセクター)
パブリックセクターにおきましては、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群(平成30年度版)」及び、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改定に伴い、官公庁及び地方自治体における需要が増大しております。行政のデジタル化を推進するデジタル庁の新設や、総務省による自治体向けセキュリティ対策の費用補助などの支援も拡充され、今後も需要の増加が見込まれます。当社においては、パブリックセクター専門のチームによる販売活動や、販売パートナーへのOEM提供、販売促進キャンペーンの実施など協業関係を強化し、官公庁及び地方自治体へ向けた営業体制の強化を進めております。
この結果、当事業年度におけるパブリックセクターの売上高は511,977千円となりました。
(プライベートセクター)
プライベートセクターにおきましては、引き続き戦略的販売パートナーとの連携強化を進めた他、FFRI yarai及びFFRI yarai Home and Business EditionのOEM提供による販路拡大など、販売パートナーとの協業体制強化による販売拡大施策を進めた結果、FFRI yaraiなどプロダクトの販売が拡大しております。また、セキュリティサービスにつきましては、セキュリティ調査・研究サービス及び車載セキュリティの関連案件を中心に実施しました。
この結果、当事業年度におけるプライベートセクターの売上高は1,041,831千円となりました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,618,275千円(前年同期比1.1%増)、営業利益328,716千円(前年同期比6.2%減)、経常利益329,515千円(前年同期比6.2%減)、当期純利益249,242千円(前年同期比9.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,093,587千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、120,155千円となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上329,515千円、前受収益及び長期前受収益の減少154,211千円、法人税等の支払額46,600千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、42,824千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出20,140千円、資産除去債務の履行による支出11,300千円、無形固定資産の取得による支出25,019千円、敷金及び保証金の差入による支出25,500千円、敷金及び保証金の回収による収入39,136千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありませんでした。
③ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(ロ)受注実績
当社は概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
(ハ)販売実績
当事業年度の販売実績を提供するサービスの種類ごとに示すと、次のとおりであります。
|
サービスの種類 |
当事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
ナショナルセキュリティセクター(千円) |
64,467 |
- |
|
パブリックセクター(千円) |
511,977 |
- |
|
プライベートセクター(千円) |
1,041,831 |
- |
|
合計(千円) |
1,618,275 |
1.1 |
(注)1.当社は、サイバー・セキュリティ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に変えて、当社が提供するサービスの種類別の販売実績を記載しております。
2.当事業年度からサービスの種類を変更しているため、前年同期比は記載しておりません。
3.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
当事業年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社ソリトンシステムズ |
183,213 |
11.3 |
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,381,679千円となり、前事業年度末に比べ108,899千円増加いたしました。主な増加要因は現金及び預金の増加77,331千円、売掛金の増加70,329千円等であり、主な減少要因は前払費用の減少8,067千円等であります。固定資産は274,856千円となり、前事業年度末に比べ17,881千円増加いたしました。主な増加要因は投資その他の資産の増加24,616千円、有形固定資産の増加12,003千円であり、主な減少要因は無形固定資産の減少18,738千円であります。
この結果、総資産は、2,656,536千円となり、前事業年度末に比べ126,780千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は608,447千円となり、前事業年度末に比べ88,150千円減少いたしました。主な減少要因は前受収益の減少114,902千円、資産除去債務の減少16,703千円等であり、主な増加要因は未払法人税等の増加34,489千円等であります。固定負債は205,874千円となり、前事業年度末に比べ34,311千円減少いたしました。主な減少要因は長期前受収益の減少39,309千円であります。
この結果、負債合計は、814,321千円となり、前事業年度末に比べ122,461千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,842,214千円となり、前事業年度末に比べ249,242千円増加いたしました。主な増加要因は当期純利益計上による利益剰余金の増加249,242千円であります。
(売上高)
当事業年度における売上高は1,618,275千円(前年同期比1.1%増)となりました。
これは主に、セキュリティ・プロダクトにおける大型案件の獲得や、販売パートナーとの協業体制強化による販売拡大施策を進めたことによるものです。
内訳としましては、ナショナルセキュリティセクターが64,467千円、パブリックセクターが511,977千円、プライベートセクターが1,041,831千円であります。
(売上原価)
当事業年度における売上原価は289,803千円(前年同期比8.8%減)となりました。
これは主に、売上原価から販賣費及び一般管理費への振替額が増加したことによるものです。
以上の結果、売上総利益は1,328,472千円(前年同期比3.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は999,755千円(前年同期比7.2%増)となりました。
これは主に、製品開発や基礎研究に係る研究開発費の増加によるものです。
以上の結果、営業利益は328,716千円(前年同期比6.2%減)となりました。
(営業外損益)
当事業年度における営業外収益は1,306千円(前年同期比31.2%減)となりました。これは補助金収入1,000千円等によるものです。
当事業年度における営業外費用は508千円(前年同期比60.6%減)となりました。これはリース解約損493千円等によるものです。
以上の結果、経常利益は329,515千円(前年同期比6.2%減)となりました。
(特別損益)
当事業年度における特別利益及び特別損失は発生しませんでした。
以上の結果、税引前当期純利益は329,515千円(前年同期比0.2%減)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は249,242千円(前年同期比9.0%減)となりました。
② キャッシュ・フローの分析
当事業年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる当社の会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、これらのリスク要因について、分散又は低減するよう取り組んでまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針
当社では、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の各リスク項目について顕在化することがないよう常に注意を払っております。また、当面の当社の課題として「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の各事項に対応していくことで、企業価値向上に努める方針であります。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
(ナショナルセキュリティセクター)
ナショナルセキュリティセクターにつきましては、政府の進めるサイバー防衛能力の抜本的な強化に向けて、自衛隊内のサイバー防衛部隊の増員や、教育専門部隊の設立に向けて、高度な専門知識を持った人材の育成・確保が進められております。そのため、足元ではセキュリティ教育・研修やトレーニングといった案件が豊富であり、引き続きこれらの案件を受託してまいります。また、横須賀ナショナルセキュリティR&Dセンターにて周辺組織や防衛産業企業などと連携し、最新脅威情報の収集や対策技術の研究開発及び、国家安全保障の課題解決へ向けた提案活動を行ってまいります。
(パブリックセクター)
パブリックセクターにつきましては、官公庁及び地方自治体における需要の増加に加え、デジタル庁の新設など行政のデジタル化が推進されることにより、中長期的な需要の増加が見込まれます。しかし、地方自治体においては予算や人材の不足など多くの課題を抱えており、当社においては、販売パートナーへのOEM提供により、より付加価値が高く、自治体の課題を解決するソリューションを提供してまいります。また、官公庁及び地方自治体に強い販路を持つ販売パートナー各社と連携した販促活動や、新たな製品・サービスの提供を進め、販売を拡大してまいります。
(プライベートセクター)
プライベートセクターにつきましては、引き続きFFRI yaraiの機能強化による商品力の向上を図る他、当社製品の販売を積極的に行う戦略的販売パートナーとの連携強化を継続してまいります。また、国内、海外ともにOEM提供を含む、有力な販売パートナーの獲得へ向けた交渉を継続し、販売数量の増加を目指します。セキュリティ・サービスにつきましては、車載セキュリティ向けの研究開発や、セキュリティ調査・研究及び情報提供などの案件を実施していく予定です。
⑦ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエア開発に伴う人件費、その開発用のパソコン及びソフトウエア等の購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらについてはすべて自己資金により対応しております。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,093,587千円となっており、十分な財源及び高い流動性を確保していると考えております。
現時点では新型コロナウイルスの影響を見通すことが困難なため、上記の資本の財源及び資金の流動性についての分析には織り込んでおりません。
当社は、令和3年5月14日開催の取締役会において、株式会社シャインテックの株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。当該契約に基づき、令和3年5月25日付で同社の全株式を取得し、子会社化いたしました。
その他詳細は、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)に記載のとおりであります。
重要な契約等
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相手方名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本電気株式会社 |
令和2年3月31日 |
当社製品「FFRI yarai」のOEM販売 |
令和2年3月31日から 令和3年3月30日まで (以後1年毎の自動更新) |
合弁契約
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契約締結先 |
契約内容 |
出資比率 |
合弁会社名 |
設立年月 |
|
エヌ・ティ・ティ・ コミュニケーションズ 株式会社 |
サイバーセキュリティに関する研究開発及びその成果を事業展開するための合弁契約 |
当社 40% エヌ・ティ・ティ・ コミュニケーションズ 60% |
株式会社エヌ・エフ・ラボラトリーズ |
平成31年1月 |
当社が属するサイバー・セキュリティの分野は、過去に積み上げられた技術情報が少ないほか、技術革新により技術の陳腐化が著しく早くなっております。このような状況のもと、IT社会を取り巻く脅威に対抗するためには、ITセキュリティベンダーは常に最新技術の維持・獲得が求められております。
当社の研究開発体制は、最新防御技術を基礎研究レベルで研究する専任部署を設置し市場ニーズをつかみ、それに応える製品を開発するニーズ型研究開発のみならず、自らニーズを掘り起こすシーズ型研究開発を行っております。研究成果は当社製品及びサービスへ反映する他、一部を国際カンファレンスなどを通じて世界に向けて情報発信するなど、日本から国内外問わずITセキュリティに貢献していくための活動をしております。
当事業年度の主な研究開発活動は以下の通りです。
・最新CPUにおけるセキュリティの研究
近年注目が集まっている最新CPUプロセッサの機能を悪用したサイバー攻撃の増加が予想されるため、最新CPUに対するサイバー攻撃手法について研究開発を行いました。研究成果はBlack Hat Europe 2020にて発表しました。
当社ではこの他にも製品やセキュリティ・サービスに研究開発活動を通じて得た技術・知見を活用し、製品及びサービスの品質向上につなげております。
以上の結果、当事業年度における研究開発費の総額は、