当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「住まい」の未来を創造するという「大志」を抱いて、出会った人全てに「夢」を提供できる「リアルカンパニー」を目指します。
「夢を目標に!目標を現実に!」
当社グループは、ブロックチェーンやAIを活用した安全でシームレスなデータ連携で快適な住まい体験を実現できるよう「不動産ビジネスを一気通貫で構築できるDXプラットフォームを構築し、快適な住まい体験を提供する」を方針として更なる成長を遂げることを考えております。
今後は、『DXによって不動産ビジネスを変革し、デジタルとリアルを融合した唯一の不動産デジタルプラットフォーマーになる。』というビジョンのもと既存事業の成長に加え、M&Aやアライアンス・ベンチャー投資を加速し、非連続的な成長を実現してまいります。
当社グループの主力事業エリアである首都圏は、国内の人口動態として単独世帯の増加傾向が継続していることに加え、近年では「潤日」に代表される海外富裕層からの旺盛な居住・投資需要も顕在化しております。これらは、当社の主力である賃貸DXプロパティマネジメント事業及び売買DXインベスト事業双方の追い風となっております。
一方で、金融政策の正常化に伴う金利動向や、依然として高水準で推移する建設コストなど、不動産市況に影響を与えうる外部環境の変化にも注視が必要な状況です。また、不動産業界全体においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流は一層加速しており、特に生成AI等の先進技術を活用した新たな顧客体験価値の創出や業務効率化が競争優位性を左右する重要な要素となっております 。
このような環境認識のもと、当社グループは「不動産DX」戦略をさらに加速させております。自社開発のDXプロダクト活用により、業界平均を大幅に上回る入居率を実現するなど着実な成果を上げております 。あわせて、既存事業とのシナジーが見込める領域におけるM&Aを組み合わせることで、事業ポートフォリオの強化と非連続な成長を目指してまいります。
当社グループの持続的成長の根幹である各事業部間の連携をさらに深め、収益基盤をより強固なものにしてまいります。
各事業間で生まれる「成長の好循環」を加速させます 。具体的には、プロパティマネジメントで蓄積した豊富な入居者ニーズ等のデータを、賃貸仲介事業やその他事業にフィードバックする仕組みを高度化し、グループ全体の収益性を向上させます。
地価や建築コストの上昇という環境変化に対応するため 、当社が蓄積した不動産ビッグデータの分析を強化します。これにより、潜在的な価値を持つ優良な不動産アセットを早期に特定し、収益性の高いプロジェクトを継続的に確保してまいります。
ビジョンの実現に向け、DXを競争優位性確立のための中核戦略と位置づけ、取り組みを深化させてまいります。
これまで自社開発してきた複数のDXソリューション群を、データが双方向でシームレスに連携する「統合されたエコシステム」へと昇華させます。これにより、全てのステークホルダーに優れた体験価値を提供し、模倣困難な競争優位性を確立します。
開発から管理、仲介に至る不動産のライフサイクル全般で蓄積した独自の不動産ビッグデータを戦略的に活用します。機械学習などを活用した高度なデータ分析に基づき意思決定を行う「データドリブン経営」へと転換し、全事業領域における顧客生涯価値(LTV)の最大化を図ります。
既存事業の成長に加え、新たな収益の柱を確立し、非連続的な成長を目指します。
社内での有効性が実証済みのDXソリューションについて、不動産業界の共通課題を解決するB2B SaaSプロダクトとして外部への販売を本格化させます。これにより、景気変動の影響を受けにくい安定したリカーリング収益の確立を目指します。
当社が目指す「不動産デジタルプラットフォーム」を補完する技術やサービスを持つ企業を対象に、規律ある戦略的なM&Aおよびアライアンスを積極的に推進します。これにより、事業エコシステムを拡張し、企業価値創造を加速させてまいります。
挑戦的な成長戦略を支えるため、人材とガバナンスを中心とした経営基盤の強化に努めます。
外部からの採用に頼るだけでなく、社内における人材育成を強化します。既存社員に対するスキルアップ研修や、資格取得支援などの教育プログラムを拡充し、次世代のリーダーを計画的に育成します。また、一人ひとりの成長を正当に評価し、挑戦を奨励する文化を醸成することで、従業員エンゲージメントを高め、人材の定着を図ります。
事業の拡大と多様化に対応し、すべてのステークホルダーの皆様からの信頼の礎となる、強固でスケーラブルなガバナンス・コンプライアンス体制を構築し続けます。法令遵守を徹底し、企業の社会的責任を果たしながら、成長に伴うリスクを適切に管理してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念である「住まいの未来を創造するという大志を抱いて、出会った人全てに夢を提供できるリアルカンパニーを目指します。」に基づき、不動産DXを推進することで、社会全体の生産性向上と持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。私たちは、企業活動を通じて経済的価値を創造するだけでなく、環境、社会、ガバナンス(ESG)の側面にも配慮し、長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の発展を両立させることを重要な経営課題と認識しています。
すべてのステークホルダーとの対話を重視し、事業活動のあらゆるプロセスにおいて、環境負荷の低減、社会課題の解決、そして健全な企業統治の確立に取り組んでまいります。
当社は、機関設計を監査等委員会設置会社としております。これは、監査等委員が取締役となることにより、その豊富な知見を利用できること、また、取締役会で投票権を持つものであります。ガバナンスの向上に資する機関設計は、当社のように成長途上の企業にとって最適な仕組みであると判断し、選択したものであります。この他、任意の仕組みとして、サステナビリティ関連のリスク監視及びコンプライアンス・ガバナンス強化のため、経営陣の情報共有を円滑化するべく経営会議等を開催し、当社役員、社外取締役、部門長、子会社役員が定期的に集まる当会議において、グループ全体の方針について議論しております。
併せて、当社の取締役の選任や報酬に関する決定プロセスの透明化を目的として、「指名・報酬委員会」を設置し、経営の健全性の向上を図っております。
委員会の活動については、定期的に取締役会に報告されるとともに、特に重要な事項については、随時、取締役会に上程または報告され、適宜必要な指示・助言を受けることでモニタリングが図られています。
戦略
当社グループは、サステナビリティに関する取組が当社グループの事業活動に与える影響について、その重要性が相対的に高いと考えられるサステナビリティ課題から順次影響度を評価し、事業戦略に組み込むべきと考えております。
①環境(Environment)
私たちは、不動産DXの推進がもたらすペーパーレス化や移動の削減といった効果に加え、具体的な環境保全活動にも積極的に貢献します。
「不動産DXによる環境負荷の低減」
SaaS型サービス導入による契約書の電子化、会議のオンライン化などを推進し、紙資源の使用量削減と移動に伴うCO2排出量削減に貢献します
「地域環境維持活動への貢献」
今期より、豊かな自然環境の維持・保全活動を支援するため、ふるさと納税を実施することとし、様々な内容の検討の結果、群馬県に対して実施しました。これにより、地域社会の活性化と環境保護に貢献します。
②社会(Social)
私たちは、事業を通じて社会課題の解決に貢献するとともに、多様な人材の活躍を支援し、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献します。
「人的資本」
従業員の健康と、人の成長で企業の成長を促進し、お客様に貢献いたします。さらに社会に対しても持続的に貢献できると考えております。人材に対する基本的に考え方に加え、成長途中であり、かつ、変化が多い当社グループにおいては、中長期的な人材育成方針と社内環境整備の方針の作成・実施については毎期見直しを行い、試行錯誤をしながら取り組むこととしております。
「顧客満足度の向上と情報セキュリティの徹底」
顧客のニーズに応える高品質なサービスを提供し、顧客満足度の向上に努めるとともに、お客様の個人情報および機密情報の保護を最重要課題と認識し、厳格な情報セキュリティ対策を講じます。
当社グループは、リスクが顕在化した場合、その対応によっては企業経営の根幹に影響を及ぼす恐れがあるとして、リスク管理は極めて重要な施策であると考えております。
当社グループでは、当社代表取締役社長をリスク管理の最高責任者とし、「リスクマネジメント委員会」にてサステナビリティ関連を含む全体的なリスク管理における重要な意思決定を行っております。また予防的な取り組みとして「コンプライアンス委員会」において、法令違反事例等の情報を共有し、具体的なリスクと機会を想定、分類し、継続的に監視しております。
内部監査部門はグループ全体のリスクを総覧し、当社代表取締役・取締役会(加えて、内部監査部門が必要と判断した場合には監査等委員たる社外取締役または監査等委員会・会計監査人)に報告する体制となっており、個社別・全社的リスクを適切に管理しております。
指標及び目標
当社グループでは、優秀な人材の確保、育成が今後の当社グループの成長のファクターになってくると考えております。人材の確保を行う上で、採用した労働者に占める女性労働者の割合も重要な指標と考えており、当社の全労働者の48%、正社員の40%、アルバイトの70%、当社グループの2025年4月入社新卒の21%が女性です。
なお、当社の女性活躍推進法に基づく一般事業主行動目標計画を次のとおり定めております。
(注)計画期間 2025年7月1日~2028年6月30日までの3年間
指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。理由といたしましては、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われておりません。また、会社規模として連結グループにおいては主要な事業を営む当社単体が占める割合が大きいことから、当社の目標及び実績のみを記載しております。今後は連結グループに属する全ての会社におけるデータ管理と具体的な取組みについても検討いたします。
また、個人の成長支援によって、新たな企業文化の醸成することができると考えており、不動産業界において重要な資格の一つである「宅地建物取引士」の資格取得支援は積極的に実施しております。当社グループにおける当該資格保有率は45.6%を占めております。
また、昨年は「健康優良企業(銀の認定)」を取得するなど、積極的に健康経営に取り組んでまいりました。これらの取り組みが評価され、「健康経営優良法人 2025」の認定に至りました。今後も、健康経営の視点を経営戦略に組み込み、従業員の健康と組織の持続可能性を追求してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは事業の遂行にあたり、様々な法規制の適用を受けております。これらの法令・規制の改正、または新たな制定が行われた場合、当社グループにおける事業構造や資金調達方法を変更せざるを得ない、または、これらの制定や変更に対応するための費用が発生する可能性があります。このような法規制の変更等によって、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。当社グループは、国内外の各種法令、規制、法制の動向について、各種団体や専門家等からの情報を収集・分析して当社の各組織にて対応の検討を行い、影響の度合いや内容に応じて必要と判断したものについては、速やかに情報を共有の上、適切に対応しています。
(2) 事業環境の変化によるリスク
景気変動、国内外の経済状況の変化、金利上昇、為替変動、物価変動、少子高齢化・人口減少、産業構造の変化等は、不動産需要の低下、市況の悪化による地価等の下落、個人消費の低迷等をもたらす可能性があります。こうした事業環境の変化に伴い、賃貸用不動産の稼働率の低下や賃料の減少、分譲住宅等の販売用不動産の売上の減少の他、その対応のための費用の増加が生じ、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。当社グループは、事業環境や顧客ニーズの変化等を見極めながら、グループ会社の連携強化、顧客ニーズを先取りした商品開発、新たなビジネスインフラの顧客への提供、DXの推進、人口動態や供給動向を見据えた立地戦略、海外を含めた資産ポートフォリオの戦略的構築等を進めてまいります。
(3)コンプライアンスについて
①情報管理リスク
当社グループは、経営情報や技術情報等の重要な機密情報や、取引先およびその他関係者の個人情報を保有しております。社外からの不正侵入、社内における不正使用等、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や役職員への周知徹底、セキュリティシステムの強化等対策を講じております。
②不正リスク
当社グループは、事業拡大に伴い役職員数が増加しており、それに伴い、役職員等の内部関係者による贈収賄、横領、インサイダー取引等の不正行為が発生するリスクを認識しております。また、事業の急速な拡大により、不正行為を適時に発見するための内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる可能性も否定できません。このような法令等に抵触する事態や不正行為が発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下、金銭的損失、法的責任の追及などに繋がり、当社グループの経営成績および財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらの不正リスクを低減するため、コンプライアンス関連規程を制定するとともに、役職員が遵守すべき法令・ルールについてeラーニングによる啓発等を継続的に実施しております。さらに、内部統制システムの整備・運用、内部監査の強化、そして内部通報制度の適切な運用に取り組むことで、不正行為の未然防止と早期発見に努めてまいります。またコンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のコンプライアンス体制を統括、監視しております。
③訴訟リスク
当社グループは様々な事業活動を行っており、それらが訴訟や紛争等の対象となる可能性があります。対象となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。訴訟を回避すべく、取引先とトラブルが発生しないよう日頃から適正な業務運営に努めております。また月1回開催しているリスクマネジメント委員会におきましても、訴訟につながる恐れもある大きなリスクの管理強化、低減策実行を図っております。
(4) 風評リスクおよび品質リスク
当社グループは、提供するサービスの品質に起因する顧客満足度の低下や瑕疵・不具合の発生、またはインターネットやSNS等でのネガティブな情報拡散により、企業イメージやブランド価値が損なわれる可能性があります。これらは、顧客離れや新規顧客獲得の困難化、さらには損害賠償請求等に繋がり、当社グループの事業、財政状態および経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、顧客からの定期的なフィードバックに基づくサービス改善を継続し、品質管理体制の強化に努めています。また、インターネット上の情報モニタリングを強化し、緊急時には迅速かつ適切に対応することで、風評被害の拡大防止と企業イメージの維持に努めてまいります。
(5)与信リスク
当社グループの各事業において、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合には、売上債権の回収遅延や回収不能が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは、新規取引開始時の審査を行うほか、取引先の信用状況を継続的に把握し、必要に応じて与信額の見直しを行うなど、債権保全に努めております。
(6)有利子負債への依存について
当社グループは、販売用不動産の取得資金の一部を主として金融機関からの借入金によって調達しております。金融政策や経済情勢等の変化により金利水準に変動があった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを軽減するため、当社グループでは、特定の金融機関に過度に依存しないよう、資金調達手段の多様化を推進しております。また、自己資本の充実を図り、財務体質の強化に努めることで、金利変動リスクへの耐性を高めてまいります。
(7)特定人物への依存について
当社グループの創業者であり代表取締役社長である清水剛は、当社グループの経営方針・戦略の決定および事業推進において極めて重要な役割を担っております。現時点では、同氏が当社グループの業務執行から離れることは想定しておりませんが、不測の事態により同氏の業務執行が困難となった場合、当社グループの業績および今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。このリスクを軽減するため、当社は任意の指名委員会を設置し、後継者の育成・発掘を進めることで、同氏への過度な依存を脱却し、より強固な組織体制の構築を目指します。
(8)人材の確保について
当社グループは、様々な経営課題を克服し持続的な成長を実現するため、優秀な人材を継続的に確保し、育成していくことが最重要課題であると認識しております。しかしながら、当社グループが求める人材の確保や育成が想定どおりに進まない場合、当社グループの経営成績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。特に、競争の激しい人材市場において、優秀な人材の獲得が困難になったり、既存社員の離職率が高まったりするリスクが存在します。このリスクを軽減するため、戦略的な採用活動を継続して強化し、教育・研修制度、公平な評価制度、福利厚生の充実等魅力的な職場環境の整備を行ってまいります。またDX推進により業務効率化を図り、生産性の向上を強めてまいります。
(9)M&A等に関するリスク
当社グループでは、将来の事業拡大においてM&Aや戦略的出資、資本・業務提携など(以下、M&A等)を有効な手段の一つとして位置付け、今後も必要に応じてM&A等を実施する方針です。しかしながら、事業環境の変化等によりM&A等の実施時に見込んだ成果が計画どおりに進捗しなかった場合や、当初予期していなかった事業上の問題等が発生した場合には、当社グループの財政状態並びに経営成績に影響を及ぼす可能性があります。M&A等を実施する場合には、対象会社の経営計画・財務内容・契約関係等について十分なデューデリジェンスを実施するとともに、投資効果の算定、シナジーの検証及び当社の企業文化に融合できるか等、総合的に勘案することによりリスクの低減に努めております。
(10)システムリスク
当社グループの事業は、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、不正アクセスやウイルス被害による情報漏洩といった不測の事態、または自然災害や事故等による通信ネットワークの切断が発生した場合、当社グループの営業活動や業務処理に遅延が生じる可能性があります。万一、当社のシステムが正常に利用できない場合や個人情報が外部へ漏洩した場合には、信用の失墜およびそれに伴う売上高の減少、損害賠償費用の発生等により、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。セキュリティの確保はこれまで以上に重要性を増していくと考え、情報システムおよび制御システムにおいて年次点検を実施し、eラーニング研修等を通じて役職員への啓蒙を行うとともにインターネット接続時における情報アクセスへの制限やログ管理、情報端末の紛失に備えた対策の強化、サイバー保険への加入、ウイルススキャンや異常な動きに対する検知システムの導入等を行い、サイバー攻撃や情報漏洩に備えた環境整備を進めています。
(11)空室リスク
当社グループの賃貸DXプロパティマネジメント事業において、住居用のサブリース事業を行っており、オーナー様に対して契約期間の賃料を保証しております。この賃料保証は、対象不動産の空室状況にかかわらず契約した賃料をお支払いするため、空室率の上昇や当社が転貸する賃料の下落といった市場環境の変化に大きく影響を受けます。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの売上高、営業利益、そして営業キャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、単に物件の立地や築年数、設備状況だけでなく、周辺賃料相場の動向、競合物件の供給予測等を分析し、将来的な賃料変動リスクや空室発生リスクを評価しています。また、賃料保証契約時には、周辺相場からの乖離が発生した場合等の賃料見直し条項や保証解除条項を盛り込み、市場環境の変化に応じて柔軟に契約条件を見直す体制を構築し、リスクの低減を図ってまいります。
(12)用地獲得リスク
当社グループは、売買DXインベスト事業において、投資用ワンルームマンションの開発・販売を行うにあたり、事業用地の確保を重要な経営戦略と位置付けております。しかしながら、高い賃貸需要が見込める駅近などの好立地における用地取得競争の激化、地価の高騰、金利上昇、または予期せぬ法規制の変更等により、当社グループが計画する条件での事業用地の取得が困難となるリスクがあります。また、取得した用地において、土壌汚染、地下埋蔵物、境界問題、あるいは周辺環境に関する潜在的な問題が事後的に発覚した場合、開発計画の遅延、追加的なコスト発生、事業採算性の悪化、ひいては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対し、当社グループは、専門部署による綿密な市場調査及び地価動向の分析に加え、不動産仲介業者、金融機関等との連携を強化し、多角的な情報収集ルートを確保しております。また、用地取得に際しては、デューデリジェンスを実施し、潜在的なリスクの早期発見と評価に努めております。
(13)市場変動(価格下落)リスク
当社グループは、売買DXインベスト事業において、取得した不動産の販売を行うにあたり、市場変動による価格下落リスクを認識しております。国内外の景気動向、金利情勢、金融市場の変動、不動産関連税制の変更、人口動態の変化、または特定の地域における供給過剰や災害の発生など、様々な要因が複合的に作用することで、当社グループが取得する不動産の市場価格が下落する可能性があります。このような市場変動が生じた場合、当社グループは、販売用不動産の減損損失の計上、賃料収入の減少、販売価格の下落による売却益の減少または売却損の発生などにより、経営成績および財政状態に重大な影響を受ける可能性があります。また、不動産価値の低下は、資金調達の制約や事業計画の未達を招く恐れもあります。このリスクに対し、当社グループは、物件の用途、立地、規模等を考慮した価格査定を行い、リスクの軽減を図っております。不動産市場の動向を継続的に分析し、必要に応じて最適な投資判断および物件管理を行う体制を構築。物件の競争力を維持・向上させるため、リノベーションを実施し、物件価値の維持向上に努めております。
(14)建築リスク
当社グループの売買DXインベスト事業において、建設資材価格や労務費の高騰による建築コストの上昇は、開発プロジェクトの採算性を悪化させる要因となります。建築費が想定を超えて高騰した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは、複数の建設会社から見積を取得してコストの最適化を図るとともに、市況に応じて販売価格へ適切に反映させることで、プロジェクト収益の確保に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、回復基調で推移いたしました。一方で、今後の見通しについては、金融資本市場の変動や米国の通商政策の影響に加え、物価上昇の継続による消費者マインドの冷え込み懸念などが、不透明な状態を継続させております。
当社グループが属する不動産業界においては、大都市圏を中心とした不動産への堅調な需要が継続し、地価は引き続き上昇傾向を維持しました。とりわけ、都心部の収益不動産には国内外の投資マネーが流入し、取引件数も堅調な推移を示しております。一方で、地方部における空き家の増加や、住宅着工戸数の減少傾向、建築資材費・労務費の高騰など、供給サイドにおける課題も顕在化しております。
このような事業環境の中、当社グループはDXによって不動産ビジネスを変革し、デジタルとリアルを融合した唯一の不動産デジタルプラットフォーマーになるための取り組みを行っております。2014年9月に上場して以来、売上高は約8倍、営業利益は約21倍と大きく成長いたしました。
当連結会計年度において、主力の賃貸DXプロパティマネジメント事業は、管理戸数の増加を進めると同時に、次世代管理システム『AMBITION Cloud』により、管理受託や退去されるお部屋の物件募集までの生産性が向上したことに加え、人材投資が奏功し、リーシング力が向上した結果、入居率は98.3%と高水準で推移しております。売買DXインベスト事業は、子会社である株式会社ヴェリタス・インベストメントの物件売却が想定通りに進捗し、当社インベスト部においては引き続き中古物件の仕入れ及び販売に注力いたしました。仕入及び販売はともに予定通り順調に推移いたしました。その他事業に属する不動産DX事業は、主に入居者DXアプリ『AMBITION Me』の開発を進め、入居者の満足度とエンゲージメントの向上、LTV(顧客生涯価値)の最大化を実現いたします。また、積極的なM&Aやアライアンスの推進も検討しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は52,372,323千円(前年同期比24.5%増、10,306,929千円増)、営業利益は3,946,419千円(前年同期比44.8%増、1,220,101千円増)、経常利益は3,524,731千円(前年同期比40.6%増、1,017,042千円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,350,592千円(前年同期比43.5%増、712,463千円増)となり、過去最高収益を達成しました。なお、売上高は5期連続の増収、全ての利益も5期連続の増益となりました。
セグメントの業績は次の通りであります。
(賃貸DXプロパティマネジメント事業)
当事業は、主に住居用不動産の転貸借(サブリース)を行う当社グループ主力の事業で、管理戸数の増加及び高入居率の維持を基本方針としております 。不動産賃貸管理に関わるあらゆる業務をDXする『AMBITION Cloud』により、業務効率化と生産性向上を実現しております。
当連結会計年度末におきましては、管理戸数については27,354戸(前年同期比2,130戸増)、サブリース管理戸数については15,621戸(前年同期比1,321戸増)と順調に増加いたしました 。当連結会計年度末時点の入居率は98.3%(前年同期末は98.5%)となりました。
その結果、売上高は21,649,995千円(前年同期比7.0%増、1,417,536千円増)、セグメント利益(営業利益)は2,411,401千円(前年同期比23.4%増、456,981千円増)となりました。
(賃貸DX賃貸仲介事業)
事業は、当社の管理物件を中心に賃貸物件の仲介事業を行っております。子会社のアンビション・エージェンシー(『ルームピア』を運営)、及び同アンビション・バロー(『バロー』を運営)にて、都内8店舗、神奈川県8店舗、埼玉県1店舗の計17店舗を展開しております。当事業のリーシング力の高さが主力のプロパティマネジメント事業における高入居率の維持に貢献しております。
当連結会計年度におきましては、AI×RPAツール『ラクテック』の活用により、引き続き入力業務の人員抑制・反響数のアップに取り組んでおります。また、法人営業の強化や広告戦略の強化によるWEB集客、リモート接客・VR内見などの集客施策に加え、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した当社独自の電子サイン『AMBITION Sign』による電子契約パッケージなどの非対面サービスの強化により、お部屋探しにおける顧客の体験価値向上を実現しております。
その結果、売上高は1,020,221千円(前年同期比10.9%増、99,874千円増)、セグメント利益(営業利益)は54,708千円(前年同期比301.7%増、41,089千円増)となりました。
(売買DXインベスト事業)
当事業は、「立地」「デザイン」「設備仕様」にこだわった自社開発の新築投資用デザイナーズマンション販売を中心に展開する子会社ヴェリタス・インベストメント(以下、ヴェリタス)と、多様なルートからの物件仕入れ力により、立地を重視した分譲マンションのリノベーション販売を中心に展開する当社インベスト部で行っております 。また当事業は、都内、首都圏を中心にした付加価値の高い物件の仕入れが、高単価物件の販売ならびに一件当たりの高い粗利益へとつながっております。
当連結会計年度におきましては、計画通りに進捗し、当連結会計年度の売却戸数はヴェリタス291戸(前年同期比49戸増)となり、当社インベスト部は、当連結会計年度の売却戸数は69戸(前年同期比41戸減)となりました。
その結果、売上高は28,061,763千円(前年同期比43.0%増、8,434,150千円増)、セグメント利益(営業利益)は3,833,884千円(前年同期比41.5%増、1,124,845千円増)となりました。
(インキュベーション事業)
当事業は、当社グループと親和性の高い事業を行うベンチャー企業への投資、資本業務提携、投資先企業の支援などを子会社アンビション・ベンチャーズが行っております。
当連結会計年度におきましては新たに3社への投資並びに1社の売却を実行し、累計で33社のベンチャー企業に投資を行っております。
その結果、売上高は9,317千円(前年同期比94.0%減、145,183千円減)、セグメント損失(営業損失)は36,779千円(前年同期比-%、69,520千円減)となりました。
(その他事業)
不動産DX事業(システム開発の海外子会社を含む)、少額短期保険事業、ZEH・ライフライン事業を総じて、その他事業としております。
不動産DX事業では、賃貸管理の次世代管理システム『AMBITION Cloud』を海外子会社のアンビションベトナムなどで開発し、社内のDX化を優先的に取り組んでおります。賃貸DX事業におけるDX化は、IT重説と『AMBITION Sign』(ブロックチェーン技術を活用した当社独自の電子サイン)との連携により、電子契約のパッケージ化を実現しております。また、入居者DXアプリ『AMBITION Me』は、入居・更新・退去に至るまでの様々なサービスを提供しており、オンライン診療の提供や、住まいのお役立ちサービス、生成AIを導入したFAQサービスの提供をしております。
少額短期保険事業では、当連結会計年度におきましても順調に新規契約を獲得するとともに、申込みから支払いまでペーパーレスで完結できる当社子会社開発システム『MONOLITH(モノリス)』によって当社グループのDX推進の一端を担っております。
ZEH・ライフライン事業では、蓄電池、太陽光発電、外壁塗装など電力創出・省エネルギー設備の営業を行うZEH(Net Zero Energy House)事業と電気・ガス提供会社の開設・切替の取り次ぎ、ウォーターサーバーなどの営業を行うライフライン事業を子会社の株式会社DRAFTにて行っております。
弊社管理物件の入居者や賃貸仲介の顧客に対しサービス提供を行うなど、賃貸DX事業とのシナジー効果を創出しております。
その結果、売上高は1,631,025千円(前年同期比44.3%増、500,551千円増)、セグメント利益(営業利益)は49,155千円(前年同期は28,283千円のセグメント損失)となり、大幅な収益改善により黒字化を達成いたしました。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は39,308,261千円となり、前連結会計年度末に比べ12,415,582千円増加いたしました。これは主に、販売用不動産が4,856,368千円、現金及び預金が3,313,926千円、土地が1,948,659千円、仕掛販売用不動産が1,397,267千円増加し、のれんが175,246千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は30,945,352千円となり、前連結会計年度末に比べ10,203,433千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が1,617,136千円、短期借入金が4,479,600千円、1年内返済予定の長期借入金が3,046,913千円増加し、1年内償還予定の社債が16,900千円、社債が16,500千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、8,362,909千円となり、前連結会計年度末に比べ2,212,149千円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が2,093,364千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて3,313,926千円増加し、8,502,267千円となりました。
各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、16,418千円の収入(前連結会計年度は977,432千円の支出)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益3,425,056千円の計上、販売用不動産の増加による支出1,951,055千円、仕掛販売用不動産の増加よる支出1,397,267千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、5,664,661千円の支出(前連結会計年度は3,399,931千円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出5,426,590千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,963,732千円の収入(前連結会計年度は3,993,078千円の収入)となりました。これは主として、長期借入れによる収入10,650,700千円、短期借入金の純増額4,479,600千円、長期借入金の返済による支出5,986,650千円があったこと等によるものであります。
(生産実績)
当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(受注実績)
当社グループが行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、受注実績に関する記載を省略しております。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な取引先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合につきましては、すべての取引先の当該割合が100分の10未満のため記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりでありますが、特に以下の会計方針は当社グループの連結財務諸表作成においては重要であると考えております。
(棚卸資産の評価)
当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている販売用不動産及び仕掛販売用不動産の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。会計処理の適用に当たっては、個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しております。具体的には、正味売却価額が販売用不動産等の帳簿価額を下回った場合には、正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。
見積りの算出に用いた重要な仮定は、正味売却価額の算定の基礎となる売価、見積追加製造原価及び見積販売直接経費であります。
当該重要な仮定は連結財務諸表作成時点における最善の見積りに基づき決定しておりますが、見積りと将来の結果が異なる可能性があります。すなわち、経済環境の悪化等に伴う賃料の低下及び空室率の上昇、想定外の追加コストが発生すること等による賃貸費用の悪化、市場金利の変動に伴う割引率の上昇、住宅販売市況の悪化に伴う販売価格の低下等により、正味売却価額の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(のれんの評価)
当社グループは、戦略的施策の一環として、買収・出資等を実施しており、これらの企業結合取引により生じた対象会社の超過収益力を、のれんとして計上しております。のれんの減損の兆候の把握、減損損失の認識の判定及び測定は、対象会社ごとに行っております。減損の兆候があると識別された対象会社について、残存償却期間に対応した対象会社から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額とのれんの帳簿価額とを比較し、前者が後者を下回る場合には、のれんの減損損失を認識します。
割引前将来キャッシュ・フローの算定は、その性質上、判断を伴うものであり、多くの場合、重要な見積り・仮定を使用します。当該割引前将来キャッシュ・フローの見積りに使用される仮定は、主として、資産グループにおける将来の事業計画に基づいております。
見積りの算出に用いた仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件及び経営環境の変化等がのれんの評価に不利な影響を与える可能性があります。不利な影響を受けた結果、将来の事業計画を見直し、割引前将来キャッシュ・フローが変動した場合、翌年度の連結財務諸表において、減損損失の認識の判定及び認識が必要な際の減損損失の測定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ10,306,929千円増加し52,372,323千円(前期比24.5%増加)となりました。
主力事業である賃貸DXプロパティマネジメント事業では、管理戸数が安定して増加したこと及び高入居率をキープしたことにより、売上高は前期と比べ1,417,536千円増加し21,649,995千円となり、想定を上回る業績推移となっております。賃貸DX賃貸仲介事業では、法人営業の強化や広告戦略の強化によるWEB集客が好調だったことに加え、リモート接客・VR内見・電子契約など非対面サービスの強化などの集客効果が奏功した等により、売上高は前期と比べ99,874千円増加し1,020,221千円となり、増収となっております。売買DXインベスト事業では、計画通りに販売等が進捗したことにより、売上高は前期と比べ8,434,150千円増加し28,061,763千円となり、引き続き好調をキープしております。インキュベーション事業では、前期と比べ145,183千円減少し9,317千円となりました。その他事業では蓄電池販売やライフラインサービスの提供などが好調に推移したことによる不動産関連事業の売上高の増加及び少額短期保険の契約件数増加等により、売上高は前期と比べ500,551千円増加し1,631,025千円となっております。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,220,101千円増加し、3,946,419千円(前期比44.8%増加)となり、売上高営業利益率は7.5%(前期は6.5%)となりました。
主な要因は、主力事業である賃貸DXプロパティマネジメント事業では、管理戸数の増加、募集コストの減少により、前連結会計年度に比べ456,981千円増加し2,411,401千円となり、大幅増益となりました。賃貸DX賃貸仲介事業では、営業人員及びDX施策のための投資、広告宣伝費の増加等がありましたが、法人部門やDX効果による集客増加効果による売上高の増加がコスト増分を吸収し、前連結会計年度に比べ41,089千円増加し54,708千円となり、増益となりました。売買DXインベスト事業では、1戸当たりの売買価格の増加による利益の増加、内装工事を内製化したことによるコストの減少等により、前連結会計年度に比べ1,124,845千円増加し3,833,884千円となり、増益となりました。インキュベーション事業では、前連結会計年度に比べ69,520千円減少し36,779千円となり、減益となりました。その他事業では、ZAH・ライフライン事業が軌道に乗り始めたこと、少額短期保険事業の新規契約数の増加及び不動産DX事業の先行投資の影響等により、前連結会計年度に比べ77,438千円回復し、49,155千円の営業利益となっております。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、雑収入8,569千円、投資事業組合運用益8,847千円等を計上したことにより、27,553千円となり、営業外費用は、支払利息335,454千円、支払手数料108,864千円等を計上したことにより、449,240千円となりました。
以上の結果、営業利益に営業外収益・営業外費用を加減算した経常利益は3,524,731千円(前期比40.6%増加)となり、売上高経常利益率は6.7%(前期は6.0%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、事務所移転費用16,656千円等の計上により、99,674千円となりました。税金費用は前期と比べ34.3%増加し1,071,044千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,350,592千円(前期比43.5%増加)となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に由来するリスク、事業内容に由来するリスク等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
これらの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対応するため、組織体制のさらなる強化等を行ってまいります。
当社グループの主な資金需要は、販売用不動産の開発・購入資金及び運転資金等であります。これらの資金需要につきましては、金融機関からの借入による資金調達のほか、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金にて対応していくこととしております。販売用不動産の売却によって得られた資金については、販売用不動産の開発・購入した際の借入の返済へ優先的に充当し、それ以外の資金については、その都度、総合的に勘案して、手許資金や成長投資等へ充当しております。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
開示対象となる財務上の特約の付されている借入に関する契約
具体的な財務上の特約については以下①~④のとおりであります。
① 連結会計年度末における借入人単体、もしくは連結の貸借対照表に記載される純資産の部の合計金額を前連結会計年度末における純資産の部の金額の75%以上に維持すること。(契約によっては、a.前年同期比における純資産の部の金額の75%以上、b.2021年6月期末と前連結会計年度末における純資産の部の金額のいずれか大きい金額の75%以上、とする契約も含む)
なお、上記の財務上の特約が付された借入に関する契約の当連結会計年度末における借入額は4,884,207千円です。
② 連結会計年度末における借入人単体、もしくは連結の損益計算書に記載される経常損益で2期連続して損失とならないようにすること。(契約によっては、営業損益で2期連続して損失とならないようにすること、とする契約も含む)
なお、上記の財務上の特約が付された借入に関する契約の当連結会計年度末における借入額は4,146,207千円です。
③ 連結会計年度末における連結の損益計算書に記載される経常損益で損失とならないようにすること。
なお、上記の財務上の特約が付された借入に関する契約の当連結会計年度末における借入額は738,000千円です。
④ 連結会計年度末の連結貸借対照表における純有利子負債(注1)を連結損益計算書並びに連結キャッシュ・フロー計算書におけるEBITDA(注2)で除した値を0以上7.0以下に維持すること(契約によっては、純有利子負債を連結損益計算書並びに連結キャッシュ・フロー計算書におけるEBITDAで除した値を0以上10以下に維持すること、とする契約も含む)
なお、上記の財務上の特約が付された借入に関する契約の当連結会計年度末における借入額は537,845千円です。
財務上の特約の付されている借入に関する契約は以下のとおりであります。
なお、企業内容等の開示に関する内閣府令(令和5年12月22日内閣府令第81号)附則第3条第4項に定める経過的な措置に従い、2024年3月31日以前に締結した借入については、記載を省略いたします。
財務制限条項欄に記載されている①~④の数字は、上記の財務上の特約に該当する①~④を示しています。
注1)短期借入金・コマーシャルペーパー・1年内返済予定の長期借入金・1年内償還予定の社債・同新株予約権付社債(転換社債含む)・長期借入金・社債・新株予約権付社債(転換社債含む)及び受取手形割引高(電子記録債権割引高含む)の合計額から、現金及び預金の合計額を除いた金額
注2)営業損益・受取利息・受取割引料・受取有価証券利息・受取配当金・減価償却費・リース資産償却費・ソフトウェア償却費・のれん償却費及び繰延資産償却費の合計額
該当事項はありません。