当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間会計期間(2024年4月1日から2024年9月30日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復が続いているものの、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響が懸念される等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社が属する出版業界におきましては、2024年上半期(1月から6月まで)の紙と電子を合算した出版市場(推定販売金額)は、前年同期比でマイナスとなりました。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2024年上半期の紙と電子を合算した推定販売金額は前年同期比1.5%減の7,902億円となり、その内訳は、紙の出版物については同5.0%減の5,205億円、電子出版については同6.1%増の2,697億円と、紙の市場が前年同期を下回った一方で、電子出版市場の堅調な拡大が続いております。
こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。
当中間会計期間における書籍のジャンル別の概況は以下の通りであります。
① ライトノベル
当中間会計期間の刊行点数は166点(前年同期比3点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、シリーズ累計200万部を突破した『とあるおっさんのVRMMO活動記』の続刊やWebコンテンツ大賞の受賞作から刊行した複数の新作タイトル等が好調に推移いたしました。また、2024年1月から6月にかけてTVアニメ第2期を放送した『月が導く異世界道中』の原作小説が、アニメ放送終了後も主に電子書籍販売において堅調な売れ行きを示し、当ジャンルの売上に貢献いたしました。
結果、当中間会計期間の売上高は前年同期を大幅に上回る着地となりました。
② 漫画
当中間会計期間の刊行点数は85点(前年同期比3点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、『素材採取家の異世界旅行記』『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』等の大型人気シリーズの続刊が、引き続き好調に推移いたしました。また、当ジャンルと親和性の高い電子書籍販売については、新刊及び既刊の価格改定を実施したことや各電子ストアにおける拡販施策を強化したこと等により、全体的な売上の底上げを図ることができました。
結果、当中間会計期間の売上高は前年同期を大幅に上回る着地となりました。
③ 文庫
当中間会計期間の刊行点数は96点(前年同期比10点増)となりました。「キャラ文芸大賞」「ライト文芸大賞」等のWebコンテンツ大賞の受賞作を複数刊行し、引き続き取り扱いジャンルの拡大に注力いたしました。さらに、2012年に東映アニメーションによりアニメ映画化されたロングセラー小説『虹色ほたる』を児童文庫レーベル「アルファポリスきずな文庫」から児童文庫として刊行する等、厳しい紙書籍の市場環境の中で堅調に推移している児童書市場への参入を推進してまいりました。
結果、当中間会計期間の売上高は前年同期を上回る金額で着地いたしました。
④ その他
当中間会計期間の刊行点数は3点(前年同期比2点増)となりました。当社のWebサイトで人気のビジネス連載を書籍化した『80歳でもほどよく幸せな人はこういうふうに考えている』を刊行する等、特定ジャンルに依存しない体制構築を目的として、引き続き幅広いジャンルの開拓、強化に取り組んでまいりました。
結果、当中間会計期間の売上高は前年同期を上回る金額で着地いたしました。
以上の活動の結果、当中間会計期間の売上高は6,348,693千円(前年同期比24.1%増)、営業利益は1,546,628千円(同32.5%増)、経常利益は1,551,323千円(同32.5%増)、中間純利益は961,820千円(同32.5%増)となり、売上、利益ともに中間会計期間としての過去最高を大幅に更新いたしました。また、当第2四半期会計期間における売上高及び各段階利益につきましても、四半期単位で過去最高を更新しております。
(注)シリーズ累計部数:同作品の続編に加え、同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。
(2)財政状態の分析
① 資産
当中間会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べ1,037,440千円増加し、14,323,873千円となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前事業年度末比710,159千円増)したこと並びに売掛金が増加(同258,754千円増)したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ165,713千円増加し、825,707千円となりました。これは主に、投資その他の資産が増加(同176,259千円増)したことによるものであります。
② 負債
当中間会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べ247,917千円増加し、2,471,426千円となりました。これは主に、買掛金が減少(前事業年度末比36,000千円減)した一方で、未払法人税等が増加(同198,659千円増)したこと及び流動負債のその他が増加(同61,724千円増)したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ6,583千円減少し、27,316千円となりました。これは主に、長期借入金が減少(同4,998千円減)したことによるものであります。
③ 純資産
当中間会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ961,820千円増加し、12,650,837千円となりました。これは全て、利益剰余金の増加によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における、現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ710,159千円増加し、10,417,498千円となりました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは902,153千円の収入(前年同期は487,803千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前中間純利益の計上によるものであります。また、主な減少要因は、売上債権の増加及び法人税等の支払によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは182,480千円の支出(前年同期は57,531千円の支出)となりました。主な減少要因は、出資金の払込によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは9,512千円の支出(前年同期は14,821千円の支出)となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。