第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)におけるわが国経済は、内外需の停滞により景況感の足踏みはあったものの、企業収益や雇用情勢に改善がみられるなど、経済全体では穏やかな回復基調が続きました。海外においても、米国及び欧州では個人消費、住宅着工の増加により穏やかな回復が見られますが、中国及びアジア地域では成長鈍化や政情不安など、不透明な要因がいまだに見受けられます。

 当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場においては、日本では、排ガス規制に伴う駆け込み需要の反動を受け、需要が前年同期を下回りました。北米では、住宅関連投資に支えられたものの、エネルギー関連の投資は低迷したことにより需要は前年を下回り、欧州では軟調に推移しました。中国では不動産投資の鈍化等により需要は大きく落ち込み、東南アジア、豪州においても、マイニングの減少傾向の中、需要は引き続き低迷しました。

 このような環境の中、当社グループの強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタを市場に投入し、フィルタ製品のラインナップの充実を図り、建設機械メーカの需要拡大に努めております。また、中国・アジア市場においては、補給部品の純正率向上に建設機械メーカと共同で取り組み、純正品を使用するメリットをエンドユーザに訴求することで、純正部品の採用率向上に努めております。更には、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 15」を新たに立ち上げ、同プロジェクトを着実に遂行することで企業価値の向上を図ってまいりました。

以上の結果、売上高は 94億58百万円(前年同期比11.6%減)となり、営業利益は4億7百万円(前年同期比53.2%減)、経常利益は3億49百万円(前年同期比58.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億83百万円(前年同期比57.3%減)となりました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より10億60百万円増加し、37億6百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、12億32百万円(前年同期は得られた資金1億11百万円)となりました。

その主な内訳は、税金等調整前当期純利益3億61百万円、減価償却費の計上3億93百万円、売上債権の減少5億39百万円、たな卸資産の減少2億72百万円等があった一方、仕入債務の減少2億36百万円、法人税等の支払1億40百万円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、5億51百万円(前年同期は使用した資金6億11百万円)となりました。

その主な内訳は、有価証券の取得による支出3億円、有形固定資産の取得による支出2億29百万円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、4億63百万円(前年同期は得られた資金2億49百万円)となりました。

 その主な内訳は、社債の発行による収入9億89百万円があった一方、長期借入金返済による支出3億円、配当金の支払額180百万円があったこと等によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループはフィルタ製品の製造・販売を主たる事業としており、単一セグメントのため事業品目別に記載しております。

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりです。なお、生産実績については、品目の共通原材料及び共通部品が含まれるため、品目ごとに金額を記載しておりません。

事業品目の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

フィルタ

6,152,734

90.1

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況を事業品目ごとに示すと、次のとおりです。

事業品目の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建機用フィルタ

8,099,007

87.1

1,075,789

93.5

産業用フィルタ

449,609

97.3

74,026

79.9

プロセス用フィルタ

802,449

115.9

84,745

86.4

合計

9,351,066

89.5

1,234,561

92.0

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業品目ごとに示すと、次のとおりです。

事業品目の名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

 至 平成28年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

建機用フィルタ

8,174,330

85.2

産業用フィルタ

468,267

105.4

プロセス用フィルタ

815,825

122.3

合計

9,458,422

88.4

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

CATAPILLAR INC.

1,261,776

11.8

970,414

10.3

 

 

3【対処すべき課題】

 当社グループは、中長期的な目標として「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」を掲げ、時価総額3百億円企業を目指すべく、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。

 

① 事業ポートフォリオの拡大

建機用フィルタについては、当社グループの強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタといった新製品の開発に積極的に取り組み、あわせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービス展開するための技術開発を行っております。また、建機用フィルタ市場における補給部品の販売は、当社グループの重要な収益ドライバーとなっており、今後も継続的に強化・促進いたします。これらの取り組みにより、フィルタ製品のラインナップの充実を図ることで建設機械メーカの顧客満足度と信頼度を高め、当社製品の需要を高めてまいります。

また、工作機械などの産業機械向けには作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また生産工程で使用される製造プロセス向けには洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で培った当社グループ独自の技術・開発力のみならず、M&Aなどによる外部資源の活用を通じて、新事業分野・新顧客の開拓に積極的に取り組んでまいります。

 

② 収益性の改善

顧客ニーズに柔軟に応えるためには、納期対応力と価格競争力を向上させることが重要であると考えております。当社グループでは、グローバルな視野で販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図ることでサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえたグローバルな製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで収益性の改善を図ってまいります。

 

③ 人材の育成強化

当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後はより一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。

 

④ ガバナンスの更なる充実

当社グループの持続的成長と中期的企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると考えております。

 当社グループは、牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確にするよう努めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

  当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。

 なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 特定市場の依存度について

 当社グループの事業活動は、平成28年3月期において、建設機械市場向け売上高が約9割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカ各社の業績が悪化した場合、または当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 他社との競合について

 当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。

 新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して日系大手の建設機械メーカを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動について

 当社グループは、生産拠点を日本及びフィリピンに擁し、販売拠点を日本・アメリカ・ベルギー・タイ及び中国に擁しております。

 当社グループの原材料調達、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 金融市場の変動について

当社グループは、運転資金を主に金融機関からの借入金で調達しており、当連結会計年度末(平成28年3月31日)時点における有利子負債は17億51百万円(リース債務含む)で総資産に対する有利子負債依存度は18.4%となっております。今後の市場金利の動向によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 公的規制等について

 当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 調達・生産について

 当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。

 また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによってこれらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 生産計画と適正在庫について

 当社グループの事業活動は、平成28年3月期において、建設機械市場向け売上高が約9割を占めており、その殆どがOEM(注)製品です。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。

当社グループは、建設機械メーカと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(注)製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。

 

(8) 製品の品質について

 当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。

 大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然災害等について

 当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本・フィリピンに設けており、平成28年3月期において、その生産の約9割(生産数量比)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロまたは第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報管理について

 当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

 しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産権について

 当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。

 また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 係争・紛争について

 当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。

 しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。

 

(13) 厚生年金基金の解散について

 当社は、「東京機器厚生年金基金」に加入しておりますが、同基金は平成27年12月1日開催の代議員会決議に基づき、厚生労働大臣に対し基金解散に係る認可申請を行い、平成28年3月25日をもって基金解散の認可を受けました。同基金の残余財産の確定までは相当の期間を要することから、現時点では解散に伴う費用等の金額を合理的に見積もることができませんが、残余財産の確定額の如何によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、顧客の様々な仕様に合わせたフィルタ製品に対して、品質はもとより要求されるスピードに対応できる信頼性と顧客満足を獲得することを目指して行っております。特に当社グループでは、フィルタ製品の心臓部に当たるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発を行っており、多種多様な用途で使用されるフィルタ製品を顧客ニーズに即応できる製品開発を行っております。

 当社グループの研究開発体制につきましては、当社では「ろ材」及び構成部品の研究・開発を行っており、子会社のYAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.では製品評価試験業務等を行っております。

 また、近年では特に建設機械業界における環境規制が大きく変化しています。建設機械など幅広い産業で使用されているディーゼル・エンジンは、燃料汎用性の高さや燃費効率の良さの一方で、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を排出し、 PM2.5をはじめとする大気汚染の原因となっています。このような汚染物質を低減するため、日本をはじめ先進国を中心に排出ガス規制が導入され、新興国でも段階的に導入が進められています。

 具体的には、日本では特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(通称、オフロード法)にて建設機械等のエンジン搭載車両に対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、使用規制が実施されています。米国では、連邦法によりEPA(米国環境保護庁)にてオフロード車両に対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、製造が規制されています。欧州では、EC指令(EU規格)にてディーゼル・エンジンに対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、販売規制が実施されています。一方、中国でも段階的に排出ガス規制を実施していますが、全国人民代表大会(国会に相当)にて採択された第12次5カ年計画(2011年-2015年)で掲げられたエネルギー消費抑制等省エネ・環境などの4指標については未達成であることが中間報告にて明らかにされ、特に環境汚染は深刻化していると報告されています。

 

◆地域別 排出ガス規制導入の状況

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            平成25年6月4日付経済産業省資料「諸外国の排出ガス規制導入の動き」より当社作成

 

 先進国では排出ガス規制に対応する環境技術をはじめ、低炭素社会の構築に貢献する技術(グリーンイノベーション関連技術)を国際競争力の要素として認識しており、今後も政策的に技術開発を促進していくと考えられています。経済産業省(産業構造審議会)では、日本企業の有する環境技術における競争優位を十分に発揮できる市場環境整備のために、新興国市場の排出ガス規制の引上げも視野に入れた意見交換など、政府レベルでの働きかけが必要と認識されています。

 一方、中国などの新興国では深刻な環境問題への対応が求められており、中国では国務院によって2013年に制定された「大気汚染防止行動計画(2013年制定)」においては、建設機械など非道路移動機械と船舶の汚染規制を展開すると明記されています。また、2016年4月より中国国内で販売される建設機械はTier3を満たす必要があり、このような状況から、先進国や新興国を問わず、世界的に環境技術への関心は高まっています。

 

◆グリーンイノベーション関連技術の出願人国籍別特許公開件数推移

(日米欧中韓での公開、公報発行年:2006年から2013年)

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  ※グリーンイノベーション関連技術とは、低炭素社会の構築に貢献するエネルギー・環境分野などの技術

  ※出典:特許庁掲載情報より

 

 当社グループでは、今後更に高まる環境技術への対応として、フィルタに求められる機械のクリーンな回路環境を実現するため、市場の要求する機能や課題の調査、フィルタのコア部分であるろ材の開発、最適な製品設計を継続的に強化・展開します。

 市場の要求する機能や課題の調査では、YAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.(蘇州開発センタ)をはじめ、グローバル拠点を活用し、顧客への調査やセミナー活動を通じて各地域の要望や課題、エンドユーザを取り巻く環境などのリアルタイムな情報を収集・分析し、当社グループの開発活動等へ活用します。

 具体的には、中国で報告されている燃料関連不具合について、当社グループのYAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.(蘇州開発センタ)にて使用している燃料や使用済みのフィルタ解析によって、粗悪燃料が原因であることが判明し、この問題を解決する燃料用フィルタを製品化しました。今後も、課題解決の地産地消を目指し、調査スピードの向上、開発機能の拡充を目指します。

 フィルタろ材の開発において、使用される状況や捕獲したいゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っています。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層ろ材の開発など、既に様々な当社製品に展開されています。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にするろ材開発を積極的に進めます。

 また最適な製品設計をするために、長年に亘って蓄積したフィルタ製品化技術を活用し、ろ材性能や顧客要求に合致した製品を設計しています。具体的には、設計情報の情報共有基盤を構築・整備しており、蓄積してきたノウハウをグローバル拠点で活用できる体制を目指しています。今後は、更なる知見の蓄積をはじめ、シミュレーション機能等を充実し、製品構造に対する応力解析や流れる流体の解析などを実施し、設計部門を強化したいと考えています。

 当連結会計年度におきましては、当社グループの主力製品である油圧ショベルの作動油回路用フィルタ等の次期モデル向け新製品の開発を中心に、建設機械用のトランスミッション用フィルタの拡充、燃料用フィルタの拡充の為、中国市場建設機械向けに従来のカートリッジ交換フィルタの低コスト版としてエレメント交換式燃料フィルタを開発し、中国建設機械メーカ向けに販売展開しております。

 また、油圧システム用のリターンフィルタ用フィルタエレメントとして従来のロングライフ性能を維持し、且つ、圧力損失の低減を目指したろ材を開発いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は2億25百万円となりました。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループへの影響としては、特定市場への依存や他社との競合など経済状況の変動を含め、様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、認識しております。これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合にはその対応に努める所存です。

 

(3)経営成績の分析

 当連結会計年度において、売上高は94億58百万円(前年同期比11.6%減)、営業利益は4億7百万円(前年同期比53.2%減)、経常利益は3億49百万円(前年同期比58.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億83百万円(前年同期比57.3%減)となりました。経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりです。

①売上高

  当連結会計年度の売上高は、中国での不動産投資の鈍化等による需要の落ち込みなどにより、94億58百万円(前年同期比11.6%減)となりました。

②販売費及び一般管理費

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、35億78百万円(前年同期比2.9%減)となり、前年同期に比べ1億6百万円減少しました。これは主として、コスト削減策による旅費交通費の減少(前年同期比32百万円減)及び売上高減少に伴う販売運賃の減少(前年同期比65百万円減)によるものです。

③営業外損益

  当連結会計年度の営業外収益は、受取利息及び受取配当金7百万円(前年同期比4百万円増)などの計上により、25百万円(前年同期比14.5%減)となりました。

  営業外費用は、社債の発行に伴う社債発行費10百万円及びアレンジメントフィー37百万円などの計上により、83百万円(前年同期比21.5%増)となりました。

④特別損益

 特別利益は、品質保証対応費用戻入益18百万円などの計上により、18百万円(前年同期は0百万円)となりました。

 

(4)財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は95億23百万円(前年同期比1.9%増)となりました。これは主に、現金及び預金が増加したことによるものです。負債は33億22百万円(前年同期比10.9%増)となりました。これは主に、社債の増加によるものです。純資産は62億1百万円(前年同期比2.4%減)となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金及び為替換算調整勘定の減少によるものです。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より10億60百万円増加し、37億6百万円(前年同期比40.1%増)となりました。

なお、各キャッシュ・フローの状況と増減につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。

②資金需要

 資金需要の主なものは、製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金と設備投資資金です。これらの資金需要に対し、主として金融機関からの借入により調達することとしております。なお、当社は運転資金の効率的な調達を行うため、メイン銀行他2行と、シンジケートローン方式によるタームローン契約(総額15億円)及びメイン銀行他1行と、シンジケートローン方式によるコミットメントライン契約(総額30億円)を締結しております。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、フィルタ性能を決定するろ材の開発から生産、販売まで一貫して行うことで、顧客要望に合わせた製品開発をスピーディーに提供し競争優位を実現すること、先進国での販売市場の拡大、新興国市場に対しての積極的参入・深耕、純正率の向上を訴求することにより収益基盤の安定化に努めております。今後の見通しとしては、中長期的に成長が期待できる建機用フィルタ市場を中心に販売戦略を展開するとともに、今後更に高まる環境技術への対応として、ろ材の構造、材質、最適機能の調査・研究を展開することにより、更なる成長戦略をすすめてまいります。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針

 当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高め、強固な企業体質を確立すべく努めております。具体的には「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載のとおりであります。