当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)における当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場の動向は、日本では、設備投資は持ち直しをみせるものの、排ガス規制に伴う駆け込み需要が一巡し、需要は前年を下回りました。北米では、住宅関連投資に支えられ、需要は堅調に推移し、欧州ではドイツをはじめとした主要国の需要は増加しました。中国では政府による公共投資の下支えによる更新需要の回復により需要は大幅に増加し、東南アジアでは、インドネシア、タイにおける需要が増加しました。
このような環境の中、当社グループの強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタを市場に投入し、フィルタ製品のラインナップの充実を図り、建設機械メーカの需要拡大に努めました。また、中国・アジア市場においては、補給部品の純正率向上に建設機械メーカと共同で取り組み、純正品を使用するメリットをエンドユーザに訴求することで、純正部品の採用率向上に努めました。更には、前期より引き続き、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 16」を立ち上げ、同プロジェクトを着実に遂行することで収益性の改善を実現し、企業価値の向上を図りました。
以上の結果、売上高は100億7百万円(前年同期比5.8%増)となり、営業利益は9億57百万円(前年同期比135.2%増)、経常利益は9億34百万円(前年同期比167.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億40百万円(前年同期比247.9%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より16億5百万円減少し、21億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、9億52百万円(前年同期は得られた資金12億32百万円)となりました。
その主な内訳は、税金等調整前当期純利益9億31百万円、減価償却費の計上2億94百万円、仕入債務の増加2億90百万円があった一方、売上債権の増加6億7百万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、18億89百万円(前年同期は使用した資金5億51百万円)となりました。
その主な内訳は、有価証券の取得による支出14億円、無形固定資産の取得による支出2億37百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、6億34百万円(前年同期は得られた資金4億63百万円)となりました。
その主な内訳は、長期借入金返済による支出3億円、社債の償還による支出2億円、配当金の支払額1億24百万円があったこと等によるものです。
当社グループはフィルタ製品の製造・販売を主たる事業としており、単一セグメントのため事業品目別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりです。なお、生産実績については、品目の共通原材料及び共通部品が含まれるため、品目ごとに金額を記載しておりません。
|
事業品目の名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
フィルタ |
6,259,160 |
101.7 |
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注状況を事業品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
事業品目の名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
建機用フィルタ |
9,286,526 |
114.7 |
1,657,208 |
154.0 |
|
産業用フィルタ |
495,825 |
110.3 |
94,470 |
127.6 |
|
プロセス用フィルタ |
828,356 |
103.2 |
86,474 |
102.0 |
|
合計 |
10,610,708 |
113.5 |
1,838,153 |
148.9 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績を事業品目ごとに示すと、次のとおりです。
|
事業品目の名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
建機用フィルタ |
8,705,107 |
106.5 |
|
産業用フィルタ |
475,380 |
101.5 |
|
プロセス用フィルタ |
826,628 |
101.3 |
|
合計 |
10,007,116 |
105.8 |
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
CATAPILLAR INC. |
970,414 |
10.3 |
1,062,043 |
10.6 |
(1)経営方針
当社グループの経営理念は「仕濾過事(ろかじにつかふる)」であります。
この理念は、フィルタビジネスを通じ広く社会(ステークホルダー)に貢献することであり、この理念の実現に向けた取り組みを通じ企業価値を最大化することであります。
この企業価値を最大限にするために、当社グループでは以下の三つの規範(経営姿勢、使命、行動指針)を掲げております。
第一は、お客様の満足度を最優先に考える「経営姿勢」であります。当社グループはお客様と一体となり高品質で高付加価値の製品を開発提案することによりお客様に満足いただけるよう最大限の努力をしてまいります。
第二は、フィルタ業界では世界で唯一のろ材の自社開発から製造販売に至る一貫企業として、常に一歩先を行く製品の研究開発により付加価値の高い製品をお客様のニーズにタイムリーに提案することでお客様に最適なサービスを提供することを最大の「使命」と考えております。
第三は、常に高い目標に挑戦し、労を惜しまず誇りと品格を持ち誠実な行動と成果を追求し続けることが当社グループの「行動指針」であります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の向上を最終的な目的として資本・資産効率を意識した経営を推進すべく、自己資本当期純利益率(ROE)、売上高営業利益率、及び自己資本比率等を経営指標として採用しています。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場の動向は、日本では、設備投資は持ち直しをみせるものの、排ガス規制に伴う駆け込み需要が一巡し、需要は前年を下回りました。北米では、住宅関連投資に支えられ、需要は堅調に推移し、欧州ではドイツをはじめとした主要国の需要は増加しました。中国では政府による公共投資の下支えによる更新需要の回復により需要は大幅に増加し、東南アジアでは、インドネシア、タイにおける需要が増加しました。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、中長期的な目標として「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」を掲げ、時価総額3百億円企業、さらにはその先を見据え、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。
建機用フィルタについては、当社グループの強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタ、エンジンオイル用フィルタといった新製品の開発に積極的に取り組み、あわせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。また、建機用フィルタ市場における補給部品の販売は、当社グループの重要な収益ドライバーとなっており、今後も継続的に強化・促進いたします。これらの取り組みにより、フィルタ製品のラインナップの充実を図ることで建設機械メーカの顧客満足度と信頼度を高め、当社製品の需要を高めてまいります。
また、工作機械などの産業機械向けには作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また生産工程で使用される製造プロセス向けには洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で培った当社グループ独自の技術・開発力のみならず、M&Aなどによる外部資源の活用を通じて、新事業分野・新顧客の開拓に積極的に取り組んでまいります。
顧客ニーズに柔軟に応えるためには、納期対応力と価格競争力を向上させることが重要であると考えております。当社グループでは、グローバルな視野で販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図ることでサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえたグローバルな製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで収益性の改善を図ってまいります。
当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後はより一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。
当社グループの持続的成長と中期的企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると考えております。
当社グループは、牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確にするよう努めてまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。
なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループの事業活動は、平成29年3月期において、建設機械市場向け売上高が約9割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカ各社の業績が悪化した場合、または当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。
新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して日系大手の建設機械メーカを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産拠点を日本及びフィリピンに擁し、販売拠点を日本・アメリカ・ベルギー・タイ及び中国に擁しております。
当社グループの原材料調達、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、運転資金を主に金融機関からの借入金で調達しており、当連結会計年度末(平成29年3月31日)時点における有利子負債は12億50百万円(リース債務含む)で総資産に対する有利子負債依存度は12.3%となっております。今後の市場金利の動向によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。
また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによってこれらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、平成29年3月期において、建設機械市場向け売上高が約9割を占めており、その殆どがOEM(注)製品です。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。
当社グループは、建設機械メーカと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。
当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。
大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本・フィリピンに設けており、平成29年3月期において、その生産の約9割(生産数量比)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロまたは第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。
しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。
また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。
しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。
当社は、「東京機器厚生年金基金」に加入しておりますが、同基金は平成27年12月1日開催の代議員会決議に基づき、厚生労働大臣に対し基金解散に係る認可申請を行い、平成28年3月25日をもって基金解散の認可を受けました。同基金の残余財産の確定までは相当の期間を要することから、現時点では解散に伴う費用等の金額を合理的に見積もることができませんが、残余財産の確定額の如何によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、顧客の様々な仕様に合わせたフィルタ製品に対して、品質はもとより要求されるスピードに対応できる信頼性と顧客満足を獲得することを目指して行っております。特に当社グループでは、フィルタ製品の心臓部に当たるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発を行っており、多種多様な用途で使用されるフィルタ製品を顧客ニーズに即応できる製品開発を行っております。
当社グループの研究開発体制につきましては、当社では「ろ材」及び構成部品の研究・開発を行っており、子会社のYAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.では製品評価試験業務等を行っております。
また、近年では特に建設機械業界における環境規制が大きく変化しています。建設機械など幅広い産業で使用されているディーゼル・エンジンは、燃料汎用性の高さや燃費効率の良さの一方で、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を排出し、 PM2.5をはじめとする大気汚染の原因となっています。このような汚染物質を低減するため、日本をはじめ先進国を中心に排出ガス規制が導入され、新興国でも段階的に導入が進められています。
具体的には、日本では特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(通称、オフロード法)にて建設機械等のエンジン搭載車両に対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、使用規制が実施されています。米国では、連邦法によりEPA(米国環境保護庁)にてオフロード車両に対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、製造が規制されています。欧州では、EC指令(EU規格)にてディーゼル・エンジンに対する排出ガス(NOx,PM等)の抑制基準値を定めており、販売規制が実施されています。一方、中国でも段階的に排出ガス規制を実施していますが、全国人民代表大会(国会に相当)にて採択された第12次5カ年計画(2011年-2015年)で掲げられたエネルギー消費抑制等省エネ・環境などの4指標については未達成であることが中間報告にて明らかにされ、特に環境汚染は深刻化していると報告されています。
◆地域別 排出ガス規制導入の状況

先進国では排出ガス規制に対応する環境技術をはじめ、低炭素社会の構築に貢献する技術を国際競争力の要素として認識しており、今後も政策的に技術開発を促進していくと考えられています。経済産業省(産業構造審議会)では、日本企業の有する環境技術における競争優位を十分に発揮できる市場環境整備のために、新興国市場の排出ガス規制の引上げも視野に入れた意見交換など、政府レベルでの働きかけが必要と認識されています。
一方、中国などの新興国では深刻な環境問題への対応が求められており、中国では国務院によって2013年に制定された「大気汚染防止行動計画(2013年制定)」においては、建設機械など非道路移動機械と船舶の汚染規制を展開すると明記されています。また、中国国内で販売される建設機械はTier3を満たす必要があり、このような状況から、先進国や新興国を問わず、世界的に環境技術への関心は高まっています。
当社グループでは、今後更に高まる環境技術への対応として、フィルタに求められる機械のクリーンな回路環境を実現するため、市場の要求する機能や課題の調査、フィルタのコア部分であるろ材の開発、最適な製品設計を継続的に強化・展開します。
市場の要求する機能や課題の調査では、YAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.(蘇州開発センタ)をはじめ、グローバル拠点を活用し、顧客への調査やセミナー活動を通じて各地域の要望や課題、エンドユーザを取り巻く環境などのリアルタイムな情報を収集・分析し、当社グループの開発活動等へ活用します。
具体的には、中国で報告されている燃料関連不具合について、当社グループのYAMASHIN FILTER (SIP) TECHNOLOGY INC.(蘇州開発センタ)にて使用している燃料や使用済みのフィルタ解析によって、粗悪燃料が原因であることが判明し、この問題を解決する燃料用フィルタを製品化しました。今後も、課題解決の地産地消を目指し、調査スピードの向上、開発機能の拡充を目指します。
フィルタろ材の開発において、使用される状況や捕獲したいゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っています。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層ろ材の開発など、既に様々な当社製品に展開されています。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にするろ材開発を積極的に進めます。
また最適な製品設計をするために、長年に亘って蓄積したフィルタ製品化技術を活用し、ろ材性能や顧客要求に合致した製品を設計しています。具体的には、設計情報の情報共有基盤を構築・整備しており、蓄積してきたノウハウをグローバル拠点で活用できる体制を目指しています。今後は、更なる知見の蓄積をはじめ、シミュレーション機能等を充実し、製品構造に対する応力解析や流れる流体の解析などを実施し、設計部門を強化したいと考えています。
併せてフィルタ開発のみならず、現在では油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めています。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、尚且つフィルタ交換に関する最適寿命を予測し、それをユーザーと共有することが純正品の良さを理解してもらえることと、正確な純正率の把握に繋がると考えております。
当連結会計年度におきましては、当社グループの主力製品である油圧ショベルの作動油回路用フィルタ等の次期モデル向け新製品の開発を中心に、建設機械用のトランスミッション用フィルタの拡充、燃料用フィルタの拡充のため、中国市場建設機械向けに従来のカートリッジ交換フィルタの低コスト版としてエレメント交換式燃料フィルタを開発し、中国建設機械メーカ向けに販売展開しております。
また、油圧システム用のリターンフィルタ用フィルタエレメントとして従来のロングライフ性能を維持し、且つ、圧力損失の低減を目指したろ材を開発いたしました。
これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は1億72百万円となりました。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループへの影響としては、特定市場への依存や他社との競合など経済状況の変動を含め、様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、認識しております。これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合にはその対応に努める所存です。
当連結会計年度において、売上高は100億7百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は9億57百万円(前年同期比135.2%増)、経常利益は9億34百万円(前年同期比167.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億40百万円(前年同期比247.9%増)となりました。経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりです。
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、中国での政府による公共投資の下支えによる更新需要の回復などにより、100億7百万円(前年同期比5.8%増)となりました。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、35億5百万円(前年同期比2.1%減)となり、前年同期に比べ73百万円減少しました。これは主として、コスト削減策によるものです。
③ 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、補助金収入の減少により、24百万円(前年同期比2.4%減)となりました。
営業外費用は、社債発行費及びアレンジメントフィーの減少により、47百万円(前年同期比42.4%減)となりました。
④ 特別損益
特別損失は、固定資産除売却損2百万円などの計上により、2百万円(前年同期比61.0%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は101億58百万円(前年同期比6.7%増)となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が増加したことによるものです。負債は35億5百万円(前年同期比5.5%増)となりました。これは主に、未払法人税等が増加したことによるものです。純資産は66億52百万円(前年同期比7.3%増)となりました。これは主に、利益剰余金が増加したことによるものです。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より16億5百万円減少し、21億円(前年同期比43.3%減)となりました。
なお、各キャッシュ・フローの状況と増減につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。
② 資金需要
資金需要の主なものは、製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金と設備投資資金です。これらの資金需要に対し、主として金融機関からの借入により調達することとしております。なお、当社は運転資金の効率的な調達を行うため、メイン銀行他2行と、シンジケートローン方式によるタームローン契約(総額15億円)を締結しております。
当社グループは、フィルタ性能を決定するろ材の開発から生産、販売まで一貫して行うことで、顧客要望に合わせた製品開発をスピーディーに提供し競争優位を実現すること、先進国での販売市場の拡大、新興国市場に対しての積極的参入・深耕、純正率の向上を訴求することにより収益基盤の安定化に努めております。今後の見通しとしては、中長期的に成長が期待できる建機用フィルタ市場を中心に販売戦略を展開するとともに、今後更に高まる環境技術への対応として、ろ材の構造、材質、最適機能の調査・研究を展開することにより、更なる成長戦略を進めてまいります。
当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高め、強固な企業体質を確立すべく努めております。具体的には「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。