(1)経営方針
当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。
「仕濾過事」(ろかじにつかふる)には、フィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマにESG等の社会的課題解決に取り組み、コーポレートサスティナビリティの強化に努めるとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。
また、企業価値の最大化の実現に向け、当社グループでは以下の三つの規範(経営姿勢、使命、行動指針)を掲げております。
第1は、お客様の満足度を最優先に考える「経営姿勢」であります。当社グループはお客様と一体となり高品質で高付加価値の製品を開発提案することによりお客様に満足いただけるよう最大限の努力をしてまいります。
第2は、フィルタ業界では世界で唯一のろ材の自社開発から製造販売に至る一貫生産体制により、フィルタのスペシャリストとして、地球環境の維持・改善に貢献する、常に一歩先を行く製品の研究開発を通じ付加価値の高い製品をお客様のニーズにタイムリーに提案することでお客様に最適なサービスを提供することを最大の「使命」と考えております。
第3は、常に高い目標に挑戦し、労を惜しまず誇りと品格を持ち誠実な行動と成果を追求し続けることが当社グループの「行動指針」であります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の向上を最終的な目的として資本・資産効率を意識した経営を推進すべく、自己資本当期純利益率(ROE)、純資産利益率(ROA)、及び投下資本利益率(ROIC)等を経営指標として採用しております。
当社グループとしては、上記の指標のうち、ROEを特に重視しており、当該指標の当期の実績は3.3%となっております。また、当該指標については20%以上を目標としております。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場の動向は、新型コロナウィルスの感染拡大による各国の経済活動の停滞により、景気後退の長期化が懸念されております。また、当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においても、各国での緊急事態宣言の発令に伴うロックダウンの影響等により、主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じております。日本及び北米において需要は前年を下回り、欧州やアジアにおいても需要は減少しました。
一方、中国では、中国系建機メーカの市場占有率拡大が継続し、油圧ショベルの新車販売台数は過去最高を記録するなど需要は全体で増加しました。このような市場環境の中、新型コロナウィルスの感染拡大により停滞していた経済活動が2020年3月以降回復の兆しを見せており、今後、政府主導による公共事業投資に伴う建機需要の下支えや、2021年度中に予定される第4次環境規制対応に向けた新車の駆け込み需要等が想定されることから引き続き需要の増加が見込まれます。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、経営戦略上の中長期的な目標として、「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」-Yamashin Paradigm Shift- を掲げ、時価総額1兆円企業を目指し、中期的持続的成長を実現するために、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。
② 収益性の改善
当社グループでは、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 20」を立ち上げ、グローバルな視野で販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図ることでサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえた製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで収益性の改善を図ってまいります。更には、当社が確立した合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を活かし、高付加価値の製品を適正価格で販売することにより、それぞれの事業ドメインの収益性の大幅な向上につなげてまいります。
③ 人材の育成強化
当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後はより一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。
④ ガバナンスの更なる充実
当社グループの持続的成長と中期的企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると考えております。当社グループは、ガバナンス、コンプライアンス研修の拡充やフェアディスクロージャーを踏まえた情報管理の徹底等の取り組みを継続して実施するとともに、牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たすよう努めてまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業活動は、2020年3月期において、建設機械市場向け売上高が約8割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカ各社の業績が悪化した場合、または当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。
新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して大手建設機械メーカを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産拠点を日本及びフィリピンに擁し、販売拠点を日本・アメリカ・ベルギー・タイ及び中国に擁しております。
当社グループの原材料調達、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。
また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによって、これらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、2020年3月期において、建設機械市場向け売上高が約8割を占めており、その殆どがOEM(注)製品です。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。
当社グループは、建設機械メーカと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。
当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。
大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本・フィリピンに設けており、2020年3月期において、その生産の約8割(生産数量比)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロまたは第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。
しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。
また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。
しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、当社グループは佐賀県、大阪府及びフィリピンの各生産拠点において厳重な対策を実施した上で、生産活動を含む事業活動を継続し、顧客に対する製品供給体制を維持しております。
しかし、本感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難であります。首都圏においても、緊急事態宣言が解除され、経済活動を段階的に再開する動きはみられるものの、国内及び海外の感染状況の拡大によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
経営成績
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における世界経済は、新型コロナウィルスの感染拡大による各国の経済活動の停滞により、景気後退の長期化が懸念されております。また、当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においても、各国での緊急事態宣言の発令に伴うロックダウンの影響等により、主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じております。日本では、需要は前年を下回り、2020年4月以降、緊急事態宣言の発令や東京オリンピックの開催延期が決定されるなど先行き不透明感が増しております。北米では、米中貿易摩擦については部分合意がなされる等、事態の沈静化が図られたものの、2020年1~3月期のGDPは大幅なマイナス成長となり、需要は前年を下回りました。欧州では、英国のEU離脱問題の収束により不透明感は払拭されましたが、需要は減少しました。東南アジアでは、インフラ整備に伴う潜在的な需要はあるものの、日本や欧米諸国と同様、需要は減少しました。
一方、中国では、当社の主要得意先各社の市場占有率が大幅に縮小する中、中国系建機メーカの市場占有率拡大が継続し、油圧ショベルの新車販売台数は過去最高を記録するなど需要は全体で増加しました。このような市場環境の中、新型コロナウィルスの感染拡大により停滞していた経済活動が2020年3月以降回復の兆しを見せており、今後、政府主導による公共事業投資に伴う建機需要の下支えや、2021年度中に予定される第4次環境規制対応に向けた新車の駆け込み需要等が想定されることから引き続き需要の増加が見込まれます。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、株式会社アクシーを連結子会社化したことにより、報告セグメントを「建機用フィルタ事業」と「エアフィルタ事業」とに区分しております。
(建機用フィルタ事業)
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)において、当社グループは、既存ビジネスである建機用フィルタ事業においては、当社の強みである油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品を主軸に、新素材やIoT技術を活かしたフィルタ製品のラインナップの充実を図り、純正部品の採用率向上に努めました。とりわけ、世界最大の建機市場である中国市場においては、中国系建機メーカへのリターンフィルタを主軸とした当社製品の新規採用に向けた取り組みを強化しており、その採用実績は増加しております。また、もう一つの大市場である北米市場においては、当社の主要製品であるリターンフィルタ製品に加え、燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規採用活動についても大きな進展を見せております。更には、当社が独自に開発した合成高分子系ナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を実施しております。このように、当社の中国系建機メーカへのシェア拡大並びに日米欧を中心とした既存主要得意先への当社製品の採用拡大に向けた取り組みは着実な進捗を見せており、来期以降の当社建機用フィルタビジネスに更なる成長が見込まれます。
当連結会計年度の建機用フィルタ事業における業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(エアフィルタ事業)
エアフィルタ事業においては、当社の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を活用した新製品の開発による新規事業領域への参入を積極的に進めております。具体的には、低圧損で高捕集率のナノファイバー製エアフィルタを製品化し、オフィスビルや工場、更には家電等への普及に向けた取り組みを強化しております。これらの新製品が普及することにより、使用電力の低減によるCO2削減が可能となり、地球環境の保全に貢献できると考えております。
当連結会計年度のエアフィルタ事業における業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
更には、当社グループは、国内大手アパレルメーカ数社に対し、秋冬物衣料の中綿材として、「YAMASHIN Nano Filter™」の量産供給を開始し、引き続き次期シーズンに向けた新素材の提案活動等を積極的に展開しているほか、今回の新型コロナウィルスの感染拡大に伴うマスク不足の問題を受け、当社の合成高分子系ナノファイバー技術を活用し、マスク並びに取替用インナーシートを製品化しました。当社のマスク及び取替用インナーシートは独自の量産化技術を用いた3層構造により、医療現場等で使用されるN95マスク(注1)と同等の高い捕集性能を有し、かつ、性能持続性を実現した製品であり、このマスクや取替用シートを使用することで医療従事者ほか多くの皆様の健康被害リスクの低減に大きく寄与できると確信しております。今後、国内外への供給量の拡大に向け、量産並びに供給体制の整備を進めてまいります。
(注1) N95マスク(Particulate Respirator Type N95)とは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)の
N95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと。
このように、当社グループは、独自開発の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を基に、建機用油圧フィルタ並びにエアフィルタの2つの事業を軸として、アパレル、ヘルスケアビジネスへの進出を踏まえた、第3の事業ポートフォリオの確立に取り組み、中期的持続的な事業成長とESGへの積極的な取り組みを両立させ、企業価値の向上を図ってまいります。
以上の結果、売上高は126億74百万円(前年同期比8.2%減)となり、営業利益は7億77百万円(前年同期比60.4%減)、経常利益は6億3百万円(前年同期比68.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億8百万円(前年同期比57.0%減)となりました。
当連結会計年度末における当社グループの財政状態については、総資産は215億90百万円(前連結会計年度末比2.7%増)となり、負債は33億88百万円(前連結会計年度末比16.1%増)となり、純資産は182億1百万円(前連結会計年度末比0.5%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より12億53百万円減少し、82億1百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループはフィルタ製品の製造・販売を主たる事業としており、事業品目別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。なお、生産実績については、品目の共通原材料及び共通部品が含まれるため、品目ごとに金額を記載しておりません。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.株式会社アクシーを2019年8月23日に連結子会社化したことに伴い、報告セグメントを「建機用フィルタ事業」と「エアフィルタ事業」とに区分しております。
当連結会計年度の受注状況を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度においては10%未満のため記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループへの影響としては、特定市場への依存や他社との競合など経済状況の変動を含め、様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、認識しております。これらのリスクについては発生の回避を図るとともに発生した場合にはその対応に努める所存です。
当連結会計年度において、売上高は126億74百万円(前年同期比8.2%減)、営業利益は7億77百万円(前年同期比60.4%減)、経常利益は6億3百万円(前年同期比68.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億8百万円(前年同期比57.0%減)となりました。経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、2019年10月よりエアフィルタ事業の新規取込みにより増収しましたが、建機用フィルタ事業において、新型コロナウイルスの感染拡大による各国の経済活動の停滞や主要な得意先の生産調整等の影響により減収したことにより、126億74百万円(前年同期比8.2%減)となりました。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、47億44百万円(前年同期比5.1%増)となり、前年同期に比べ2億28百万円増加しました。これは主として、新規連結子会社の増加によるものです。
③ 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、貸倒引当金戻入額の増加などにより、27百万円(前年同期比170.6%増)となりました。
営業外費用は、支払手数料の計上などにより、2億1百万円(前年同期比249.3%増)となりました。
④ 特別損益
当連結会計年度の特別利益は、投資有価証券売却益の計上により、16百万円(前年同期 0百万円)
特別損失は、退職給付制度終了損の計上により、23百万円(前年同期比285.0%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は215億90百万円(前年同期比2.7%増)となりました。これは主に、土地、建設仮勘定等の固定資産が増加したことによるものです。負債は33億88百万円(前年同期比16.1%増)となりました。これは主に、短期借入金の増加によるものです。純資産は182億1百万円(前年同期比0.5%増)となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものです。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より12億53百万円減少し、82億1百万円(前年同期比13.3%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、20億99百万円(前年同期は得られた資金8億円)となりました。
その主な内訳は、税金等調整前当期純利益5億97百万円、減価償却費の計上6億21百万円、たな卸資産の減少6億66百万円、売上債権の減少6億68百万円があった一方、仕入債務の減少3億42百万円、法人税等の支払2億65百万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、30億52百万円(前年同期は使用した資金22億48百万円)となりました。
その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出31億1百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出12億69百万円があった一方、投資有価証券の売却による収入13億89百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2億69百万円(前年同期は使用した資金6億75百万円)となりました。
その主な内訳は、配当金の支払額4億49百万円、社債の償還による支出2億円があった一方、短期借入金の純増額5億20百万円があったこと等によるものです。
② 資金需要
資金需要の主なものは、製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金と設備投資資金です。これらの運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金を充当しております。
当社グループは、フィルタ性能を決定する「ろ材」の開発から生産、販売まで一貫して行うことで、顧客要望に合わせた製品開発をスピーディーに提供し競争優位を実現すること、先進国での販売市場の拡大、新興国市場に対しての積極的参入及び深耕、純正率の向上を訴求することにより収益基盤の安定化に努めております。
今後の見通しとしては、独自開発の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を基に、建機用油圧フィルタ並びにエアフィルタの2つの事業を軸として、アパレル、ヘルスケアビジネスへの進出を踏まえた、第3の事業ポートフォリオの確立に取り組み、中期的持続的な事業成長とESGへの積極的な取り組みを両立させ、企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高め、強固な企業体質を確立すべく努めております。具体的には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、顧客の様々な仕様に合わせたフィルタ製品に対して、品質はもとより要求されるスピードに対応できる信頼性と顧客満足を獲得することを目指して行っております。特に当社グループでは、フィルタ製品の心臓部に当たるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発を行っており、多種多様な用途で使用されるフィルタ製品を顧客ニーズに即応できる様、製品開発を行っております。
当社グループの研究開発体制につきましては、当社では「ろ材」及び構成部品の研究・開発を行っており、子会社であるYAMASHIN FILTER(SIP)TECHNOLOGY INC.では製品評価試験業務などを行っております。
当社グループは、建機用フィルタについては、油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタやエンジンオイル用フィルタ製品などの開発にも積極的に取り組み、合わせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。産業用フィルタについては作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また、プロセス用フィルタについては洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で蓄積したノウハウを活用し、製品開発を行っております。
フィルタろ材開発において、使用される状況や捕獲したゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っております。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層ろ材開発など、既に様々な当社製品に展開されております。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にするろ材開発を積極的に進めてまいります。
併せてフィルタ開発のみならず、現在では油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めております。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、またフィルタの目詰まり状況を把握し、寿命を予測することで適切なフィルタ交換時期をユーザへ提供可能とすることは、純正品を使用するメリットをユーザへ訴求できるものと考えております。
さらに、当社グループは、経営戦略上の中期的な目標として「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」を掲げており、従来の天然系素材のガラス繊維ろ材に代わる新ろ材として、「合成高分子系ナノファイバー」の開発を引き続き行っております。「合成高分子系ナノファイバー」は、天然素材のガラス繊維に比し繊維径がきわめて細く、また繊維長の調整が可能であることから、ろ材として非常に優れた特性を有する素材であり、これを次世代ろ材に使用することで、①不純物のより効果的なろ過、②油圧システム内の作動油の循環効率の向上及び③フィルタの交換サイクルの長期化が可能となります。
「合成高分子系ナノファイバー」による「ろ材」は当期製品化され、建設機械メーカに採用されております。さらなる研究開発を行い、低圧損、長寿命の特性を有する「ろ材」の開発を進めてまいります。
また、建設機械用以外の分野においてもエアフィルタ材料としての検討を進めており、高い捕集性能と低圧力損失の製品の開発を進めております。エアフィルタ材の一つとしてマスク用として、一部シート素材として販売も始まっております。今後N95マスクに代表される高機能マスクの製品化を進めてまいります。また、その他の分野としましては、断熱材として衣料分野での採用も決定しており、その他、難燃材として建材への活用や電気自動車向けの断熱・吸音材、日用品やライフサイエンスなど様々な分野に応用することを検討しております。
当社グループでは、当社独自製造技術に基づく「合成高分子系ナノファイバー」の製品化に向けた研究開発を今後進めることにより、既存事業の更なる高付加価値化及び競合他社との差別化を図るとともに、新素材技術の活用による新規事業領域への進出にも積極的に取組んでまいります。
これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は