第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

① 当第1四半期連結累計期間の概況

当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)における世界経済は、新型コロナウィルスの感染拡大により停滞していた各国の経済活動が再開に向けた動きを見せる中、再び感染拡大の第2波、第3波の兆候が見られます。各国では、感染拡大の防止策の実施と、経済活動の再開の両立を模索しており、先行きの見通せない不透明な状況が続いております。

また、当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においても、2020年3月以降継続して行われた各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、日本、米国、欧州、アジア市場において需要は減少しました。

一方、中国では、当社の主要得意先各社の市場占有率が大幅に縮小し、中国系建機メーカの市場占有率拡大が継続する中、年間で最も需要の高まる春節期における受注が後ろ倒しになった影響に加え、景気対策の奨励金の効果等もあり、油圧ショベルの新車販売台数は2020年3月以降前年度と比較し大幅な増加を記録するなど需要は全体で増加しました。同市場では、今後、政府主導による公共事業投資に伴う建機需要の下支えや、2021年度以降に予定される第4次環境規制対応に向けた新車の駆け込み需要等が想定され、引き続き需要の増加が見込まれます。

このような環境の中、当第1四半期連結累計期間(2020年4月1日~2020年6月30日)において、当社グループは、既存ビジネスである建機用フィルタ事業においては、当社の強みである油圧ショベルの作動油回路用リターンフィルタ製品を主軸に、新素材やIoT技術を活かした製品ラインナップの充実を図り、純正部品の採用率向上に努めました。とりわけ、世界最大の建機市場である中国市場においては、中国系建機メーカへのリターンフィルタ製品を主軸とした当社製品の新規採用に向けた取り組みを強化しており、その採用実績は増加しております。また、もう一つの大市場である北米市場においては、当社の主要製品であるリターンフィルタ製品に加え、燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規採用活動についても大きな進展を見せております。更には、当社が独自に開発した合成高分子系ナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を行っております。このように、当社の中国系建機メーカへのシェア拡大並びに日米欧を中心とした既存主要得意先への当社製品の採用拡大に向けた取り組みは着実な進捗を見せており、当社の建機用フィルタビジネスに更なる成長が見込まれるとともに、高付加価値製品の普及により産業廃棄物の低減を実現し、地球環境の保全に貢献できると考えております。

また、エアフィルタ事業においては、当社の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を活用した新製品の開発による新規事業領域への参入を積極的に進めております。具体的には、低圧損で高捕集率のナノファイバー製エアフィルタを製品化し、オフィスビルや工場、鉄道車両、家電等への採用に向けた取り組みが進展しております。これらの新製品の普及により、使用電力の低減によるCO2削減に加え、オフィスビルをはじめとした多くの人々が働く環境にきれいな空気を提供することにより、健康被害リスクの低減、地球環境の保全に貢献できると考えております。

更に、当社グループは、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う恒常的なマスク需要増大に対処すべく、当社独自技術である合成高分子系ナノファイバーを活用したマスク並びに取替用インナーシートを製品化し、当社のECサイトを通じて2020年5月より販売を開始しました。また、70年に及ぶフィルタの専門メーカとして培ってきた技術を活かし、新たにNIOSH(米国労働安全衛生研究所)の規格の一つであるN95マスク(注1)(日本の厚生労働省による、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)、新型インフルエンザや結核菌の対策指定マスク)の性能基準をもとに、①フィルタ性能-捕集効率95%以上(注2)、②密閉性-装着中の顔とマスクの密着率90%以上(注2)、③通気性-長時間装着での呼吸のし易さ、というマスクに必要な3大性能を実現した一般消費者向けマスクとしては世界で初めてのヤマシン・オリジナルマスクの販売を2020年9月より本格化してまいります。このように当社のマスク事業は、当社独自技術を活かしたフィルタシートやマスク性能の差別化による全く新しいマスク市場の開拓を図るパイオニアとして、中期的な事業ポートフォリオの拡充を図ってまいります。このような取り組みの結果の一つとして、2020年9月以降ドラッグストアチェーン等に対して本格的な量産供給が開始される見通しとなったことから、新たにヘルスケア事業としての業績貢献が見込まれるとともに、高性能マスク用フィルタシートや取替用インナーシートを使用した当社オリジナルのマスクを普及させることにより、多くの皆様の健康被害リスクの低減に大きく寄与できると確信しております。

今後、当社グループは医療現場等で必要とされる更なる高機能マスクの認証取得(日米欧の各規格(注3))に向けた取り組みを加速させるとともに、他のマスクメーカとは異なる高機能なマスク開発に邁進し、持続可能な経済・社会生活の実現に向けた企業貢献を積極的に行ってまいります。

 

(注1)  N95マスク(Particulate Respirator Type N95)とは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格をクリアし、認可された微粒子用マスクのこと

(注2) 当社調べ

(注3) 日本における国家検定規格(DS)、米国におけるNIOSH規格(N95)及び欧州におけるEN規格(FFP)

 

これらの取り組みに加え、前期より国内大手アパレルメーカ数社に対し、秋冬物衣料の中綿材として、「YAMASHIN Nano Filter™」の量産供給を継続しており、軽量かつ薄くて暖かいという素材の優位性を訴求し、当社新素材の提案活動等を積極的に展開しております。

今後、アパレル分野への当社製品の供給が本格化することにより、動物愛護の観点からアパレルメーカ各社がESGへの取組みとして掲げている「脱ダウン」に大きく貢献できると考えております。

 

このように、当社グループは、独自開発の合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を基に、建機用油圧フィルタ並びにエアフィルタの2つの事業を軸として、アパレル、ヘルスケアビジネスへの進出を加速させ、第3の事業ポートフォリオの確立を実現することで、中期的持続的な事業成長とESGへの積極的な取り組みを両立させ、企業価値の向上を図ってまいります。

以上のように、当第1四半期連結累計期間中、当社グループの各事業においてアフターコロナのビジネスへ向けた取り組みが進展しました。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大第2波、第3波の懸念等、世界経済全体や為替動向に先行き不透明さが残る中、2020年3月以降継続して行われた各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、納期対応のための航空運賃の一時的な発生等により当社の第1四半期の業績は低調に推移しました。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は28億58百万円(前年同四半期比4.3%増)となり、営業損失は98百万円(前年同四半期は1億17百万円の営業利益)、経常損失は1億1百万円(前年同四半期は99百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は82百万円(前年同四半期は61百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。

 

 

②連結業績

 当第1四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年6月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前第1四半期

当第1四半期

増減額

増減率

外部売上高

2,740

2,858

117

4.3%

営業利益又は営業損失(△)

(利益率)

117

(4.3%)

△98

(△3.4%)

△215

-%

経常利益又は経常損失(△)

(利益率)

99

(3.6%)

△101

(△3.6%)

△201

-%

親会社株主に帰属する四半期純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△)

(利益率)

61

(2.2%)

△82

(△2.9%)

△144

-%

 

 売上高については、建機用フィルタ事業において、19.9%の減収となった一方で、エアフィルタ事業として前第2四半期連結会計期間末より取り込んでいる株式会社アクシーの業績貢献により、全体で4.3%の増収となりました。

 営業損失については、建機用フィルタ事業における売上高の減少、航空運賃の一時的な発生等の影響により全体で2億15百万円の減益となりました。

 経常損失については、営業利益の減少により2億1百万円の減益となりました。

 親会社株主に帰属する四半期純損失については、経常利益の減少等に伴い1億44百万円の減益となりました。

 

③ 事業セグメント別の売上高と営業利益

(建機用フィルタ事業)(自 2020年4月1日 至 2020年6月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前第1四半期

当第1四半期

増減額

増減率

外部売上高

2,740

2,194

△546

△19.9%

営業利益又は営業損失(△)

(利益率)

117

(4.3%)

△144

(△6.6%)

△261

-%

 

 売上高については、各国でのロックダウンの影響により主要得意先各社の生産活動やサプライチェーンに大きな影響が生じ、19.9%の減収となりました。

 営業損失については、売上高の減少等の影響に加え、納期対応のための航空運賃の一時的な発生等により、2億61百万円の減益となりました。

 

(エアフィルタ事業)(自 2020年4月1日 至 2020年6月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前第1四半期

当第1四半期

増減額

増減率

外部売上高

663

663

-%

営業利益

(利益率)

(-%)

45

(6.9%)

45

-%

 

 エアフィルタ事業については、前第2四半期連結会計期間末より株式会社アクシーが連結子会社になったことに伴い、当第1四半期連結累計期間の株式会社アクシーの経営成績を記載しております。

  なお、当社は、2019年8月23日付で株式取得した株式会社アクシーの建物の一部に関し、法令に適合していない点があり、売主に対して一定の補償を請求することを検討しております。当社としては適切な補償を得られるように相手方と協議を進めておりますが、現時点において連結業績に与える影響は定まっていないため、当第1四半期の業績に織り込んでおりません。また、補償の原因となる事象については、当社は株式会社アクシーの支配獲得時に適切な会計処理を行っており、当該事象自体は今後の業績に影響を及ぼすものではありません。なお、株式会社アクシ―においては、事業の伸長に伴う工場の拡張に備えて、固定資産を取得し、新社屋及び新工場への移転を進めており、2020年8月より稼働開始予定であります。

 

(2) 財政状態の状況

 

(流動資産)
 当第1四半期連結会計期間末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比13億29百万円減少(前連結会計年度末比9.5%減)し、126億53百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が14億37百万円減少(前連結会計年度末比16.9%減)した一方で、原材料及び貯蔵品が2億12百万円増加(前連結会計年度末比26.2%増)したことによるものです。

 

(固定資産)
 当第1四半期連結会計期間末における固定資産の残高は、前連結会計年度末比9億70百万円増加(前連結会計年度末比12.8%増)し、85億78百万円となりました。その主な要因は、有形固定資産のその他が9億42百万円増加(前連結会計年度末比84.0%増)したことによるものです。

 

(流動負債)
 当第1四半期連結会計期間末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比1億15百万円減少(前連結会計年度末比4.1%減)し、26億94百万円となりました。その主な要因は、短期借入金が5億20百万円減少(前連結会計年度末比100.0%減)、賞与引当金が78百万円減少(前連結会計年度末比40.2%減)した一方で、支払手形及び買掛金が2億94百万円増加(前連結会計年度末比24.8%増)したことによるものです。

 

(固定負債)
 当第1四半期連結会計期間末における固定負債の残高は、前連結会計年度末比35百万円増加(前連結会計年度末比6.1%増)し、6億13百万円となりました。その主な要因は、その他が84百万円増加(前連結会計年度末比50.1%増)した一方で、退職給付に係る負債が48百万円減少(前連結会計年度末比19.5%減)したことによるものです。

 

(純資産)

 当第1四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末比2億77百万円減少(前連結会計年度末比1.5%減)し、179億23百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が2億90百万円減少(前連結会計年度末比3.8%減)したことによるものです。

 

(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題

1. 経営方針

当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。

「仕濾過事」(ろかじにつかふる)には、フィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマにESG等の社会的課題解決に取り組み、コーポレートサスティナビリティの強化に努めてまいります。

 

2. ESGへの取り組み

昨今、企業に対する社会からの期待や責任は多岐にわたり、企業が果たす役割の重要度はますます高まっています。当社グループは、1956年創業以来、経営理念として「仕濾過事」(ろかじにつかふる)を掲げ、お客さまやビジネスパートナーに対してはもちろん、国や地域、自然や地球環境に対してもよい関係をつくり、社会的な責任を果たしてまいります。この理念は2015年、国連にて採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方とも合致しています。社会を構成する一員として、企業に対しても大きな期待が寄せられている中、当社グループは技術力を生かした新たな価値創造・社会課題の解決と環境保護・保全活動で社会に貢献してまいります。

 

3. 対処すべき課題

当社グループは、経営戦略上の中長期的な目標として、「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」-Yamashin Paradigm Shift- を掲げており、既存事業である建機用フィルタビジネス、エアフィルタビジネスの拡大に加え、ヘルスケアビジネス、アパレルビジネスといった新規事業ポートフォリオの確立に取り組み、時価総額1兆円企業を目指し、中期的持続的成長を実現するために、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。

 

① 事業ポートフォリオの拡大

建機用フィルタ事業においては、中国市場でのシェア拡大、新技術や高付加価値化の実現による製品ラインナップの拡充に加え、当社が確立した合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を軸に、主要建機メーカの次世代グローバルスタンダードとして、ナノファイバー製油圧フィルタの開発供給を進めてまいります。また、第2の事業セグメントである、エアフィルタ事業においては、ナノファイバー技術による差別化製品の開発に努め、海外市場も視野に積極的なM&Aを含む当該事業の拡大を迅速に進めてまいります。更には、第3の事業ポートフォリオとして、アパレル、ヘルスケアビジネスを早期に事業化し、当社グループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。

② 収益性の改善

当社グループでは、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 20」を立ち上げ、販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図り、グローバルサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえた製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで収益性の改善を図ってまいります。なお当第2四半期より「Project PAC 20+」を実行し、アフターコロナのビジネスに対応した、メリハリのある支出・投資の実行を進めてまいります。

更には、当社が確立した合成高分子系ナノファイバーの量産化技術を活かし、高付加価値の製品の原価低減活動を推進し、それぞれの事業ドメインの収益性の大幅な向上につなげてまいります。

③ 人材の育成強化

当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後は、海外M&Aも踏まえた事業展開も想定されることから、より一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。

④ ガバナンスの更なる充実

当社グループは、持続的な事業成長と中期的企業価値の最大化を図ることを目的に、ガバナンス、コンプライアンス研修の拡充やフェアディスクロージャーを踏まえた情報管理の徹底等の取り組みを継続して実施するとともに、牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たし、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

(4) 経営方針、経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針、経営戦略等については、(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載の通りであり、重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題については、(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載の通りであり、重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は1億13百万円であります。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。