(1)経営方針
当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。
「仕濾過事」(ろかじにつかふる)には、フィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマにESG等の社会的課題解決に取り組み、コーポレート・サステナビリティの強化に努めるとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。
また、企業価値の最大化の実現に向け、当社グループでは以下の三つの規範(経営姿勢、使命、行動指針)を掲げております。
第1は、お客様の満足度を最優先に考える「経営姿勢」であります。当社グループはお客様と一体となり高品質で高付加価値の製品を開発提案することによりお客様に満足いただけるよう最大限の努力をしてまいります。
第2は、フィルタ業界では世界で唯一のろ材の自社開発から製造販売に至る一貫生産体制により、フィルタのスペシャリストとして、地球環境の維持・改善に貢献する、常に一歩先を行く製品の研究開発を通じ付加価値の高い製品をお客様のニーズにタイムリーに提案することでお客様に最適なサービスを提供することを最大の「使命」と考えております。
第3は、常に高い目標に挑戦し、労を惜しまず誇りと品格を持ち誠実な行動と成果を追求し続けることが当社グループの「行動指針」であります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、企業活動から生み出される付加価値を示す当社独自の指標であるMARVY's(マービーズ)を設定しております。そしてその付加価値の持続的向上に向け、資本コスト(WACC)の最適化を意識した経営を進め、投下資本の効率性(ROIC)を図るとともに、自己資本利益率(ROE)、純資産利益率(ROA)を経営指標として採用しております。
当社グループとしては、上記の指標のうち、ROEを特に重視しており、当該指標の当期の実績は0.2%となっております。また、当該指標については20%以上を目標としております。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当社グループの主要市場である油圧ショベルを中心とした建設機械市場の動向は、依然としてロックダウンが継続する中国市場を除く主要地域において、各国経済の回復に向けたインフラ投資や資源需要の増加に伴い、建機の稼働時間と新車需要は全体として高い水準で推移しております。しかしながら、ロシア、ウクライナ情勢の深刻化による、エネルギー・原材料価格の急騰や物流コストの更なる上昇、急速なインフレ圧力に伴う金融市場の変動など、依然として先行きの見通せない状況が継続しております。
とりわけ、世界的なコンテナ船の需要急増に伴う海上輸送費の高騰やその代替輸送手段としての航空費用の増加及びアルミや鋼材等の主要原材料価格の高騰といった要因が、当連結会計年度においても当社の業績に大きな影響を与えることが想定されます。
(4)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、1956年創業以来、経営理念として「仕濾過事」(ろかじにつかふる)を掲げ、 お客様やビジネスパートナーに対してはもちろん、国や地域、自然や地球環境に対してもよい関係をつくり、社会的な責任を果たしてまいります。この理念は2015年、国連にて採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の考え方とも合致しています。社会を構成する一員として、企業に対しても大きな期待が寄せられている中、当社グループは技術力を生かした新たな価値創造・社会課題の解決と環境保護・保全活動で社会に貢献してまいります。
また、当社グループは、経営戦略上の中長期的な目標として、「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」-Yamashin Paradigm Shift- を掲げており、既存事業である建機用フィルタビジネス、エアフィルタビジネスの拡大に加え、産業資材としての活用やM&A、事業提携を踏まえた新規事業ポートフォリオの確立に取り組み、時価総額1兆円企業を目指し、中期的持続的成長を実現するために、次に掲げる課題に重点的に取り組んでまいります。
① 事業ポートフォリオの拡大
建機用フィルタ事業においては、新技術や高付加価値化の実現による製品ラインナップの拡充や中国市場でのシェア拡大に加え、当社が確立したナノファイバーの量産化技術を軸に、主要建機メーカの次世代グローバルスタンダードとして、ナノファイバー製油圧フィルタの開発供給を進めてまいります。また、第2の事業セグメントである、エアフィルタ事業においては、ナノファイバー技術による差別化製品の開発に努め、海外市場も視野に積極的なM&Aを含む当該事業の拡大を迅速に進めてまいります。更には、第3の事業ポートフォリオとして、様々な産業資材としての活用を踏まえた新たな事業の確立により、当社グループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。
② 収益性の改善
当社グループでは、利益創出体制の確立を企図した全社的プロジェクトである「Project PAC 22」を立ち上げ、販売、生産、開発及び物流拠点の最適化を図り、グローバルサプライチェーンを強化し、主要市場における品質管理・保証体制を踏まえた製品供給機能、生産機能及び開発機能の適切な連携体制を整備することで継続した収益性の改善を図ってまいります。
③ 人材の育成強化
当社グループは、日本・欧米・アジア地域に販売会社、アジア地域に生産会社及び開発会社を子会社として擁し、グローバルに事業展開しておりますが、今後は、海外M&Aも踏まえた事業展開も想定されることから、より一層海外拠点の重要性が増すと考えております。このため、当社グループでは、日本国内のみならず海外拠点を含めたグループ全体の経営管理体制を担う有用な人材を育成・確保すべく、ダイバーシティ(人材の多様性)を踏まえた人材採用育成プログラムを新たに策定し、次世代の人材力強化に取り組んでまいります。
④ ガバナンスの更なる充実
当社グループは、持続的な事業成長と中期的企業価値の最大化を図ることを目的に、ガバナンス、コンプライアンス研修の拡充やフェアディスクロージャーを踏まえた情報管理の徹底等の取り組みを継続して実施しております。また、グループ会社が行う業務執行に関するリスクの監視・牽制機能(モニタリング)、内部監査で実施される評価業務の支援を目的とした社内委員会として、取締役社長の諮問機関である業務監理委員会を立上げました。同委員会を通じ、より一層牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たし、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業活動は、2022年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカ各社の業績が悪化した場合、又は当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。
新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して大手建設機械メーカを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、生産拠点を日本、フィリピン及びベトナムに擁し、販売拠点を日本、アメリカ、ベルギー、タイ及び中国に擁しております。
当社グループの原材料調達、物流、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。
また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによって、これらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは、生産拠点における部品・資材の輸入調達を行っているとともに、当社及び販売子会社を通じて海外顧客への輸出販売を行っておりますが、現在、世界的なコンテナ船の需要急増に伴い、輸送リードタイムの長期化、海上輸送費の大幅な高騰やその代替輸送手段としての航空費用の増加といった物流コストの高騰が生じております。今後、さらに一層物流を取り巻く環境が悪化した場合や、物流コストの高騰が継続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、2022年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、その殆どがOEM(注)製品であります。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。
当社グループは、建設機械メーカと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。
当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。
大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本、フィリピン及びベトナムに設けており、2022年3月期において、建機用フィルタ事業における生産の約7割(販売価格ベース)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロ又は第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。
しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。
また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。
しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。
当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び業務提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。
M&Aや業務提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンス(Due diligence)(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、事前に買収・提携成立後に偶発債務の判明等、不測の事態が発生する可能性を完全には防止できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じた場合は、当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)デューデリジェンス(Due diligence):M&Aなどの取引に際して行われる、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動のことであります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当社グループは佐賀県、大阪府及びフィリピンの各生産拠点において厳重な対策を実施した上で、生産活動を含む事業活動を継続し、顧客に対する製品供給体制を維持しております。
しかし、本感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難であります。首都圏においても、緊急事態宣言が解除され、経済活動を段階的に再開する動きはみられるものの、国内及び海外の感染状況の拡大によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
1.経営成績
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における世界経済は、各国において経済活動の再開による回復が進む一方で、コロナウイルス変異株の感染再拡大懸念や、ロシア、ウクライナ情勢の深刻化による、エネルギー・原材料価格の急騰や物流コストの更なる上昇、急速なインフレ圧力に伴う金融市場の変動など、依然として先行きの見通せない状況が継続しております。
このような環境の中、当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、各国経済の回復に向けたインフラ投資や資源需要の増加に伴い、中国市場を除く主要地域において、建機の稼働時間と新車需要は高い水準で推移しており、当連結会計年度における当社の売上高は増加いたしました。しかしながら利益面では、世界的なコンテナ船の需要急増に伴う海上輸送費の高騰やその代替輸送手段としての航空費用の増加及びアルミや鋼材等の主要原材料価格の高騰により増益幅が減少いたしました。
また、当連結会計年度において、当社グループは、引き続きロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が開始されております。
さらに、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカに対する当社の燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規提案・採用が進展し、中国市場においては、排ガス規制の導入を背景に、中国系建機メーカへのリターンフィルタ製品を主軸とした当社製品の新規採用実績は増加しております。このような事業環境下で、本業である建機用フィルタ事業においては、当社の開発技術力を活かした新製品の販売拡大やシェア拡大による事業の安定化と更なる成長が見込まれます。一方、減益要因となっている物流コストや原材料価格の高騰、為替変動に対しては、サプライチェーンの見直しや生産地移管による安定した生産供給体制の構築を図るとともに、決済通貨の見直しによる為替マリーの強化を図り、収益性の改善に努めてまいります。
エアフィルタ事業においては、ビル・工場用エアフィルタの交換需要の低迷などにより減収減益となりましたが、経済活動の回復に伴いビル空調用フィルタ需要は回復傾向にあり、また、新規物件の着工件数の増加により収益の改善が見込まれます。また、新たにロングライフであり低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)や溶菌・酵素エアフィルタの、オフィスビルや病院、工場、鉄道車両等への採用に向けた取り組みを加速させるとともに、欧米市場でのエアフィルタ性能の規格(米国規格ASHRAE、欧州規格EN等)を取得し、海外市場の開拓にも取り組んでまいります。
ヘルスケア事業においては、大幅な事業環境の変化に対応するため、抜本的な事業構造改革として、減損損失9億19百万円を特別損失として計上したことにより、通期では大幅な減収減益となりましたが、当第4四半期においては、商流の見直しや不採算製品のリストラを実行し、営業利益の確保を実現いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は188億21百万円(前年同期比29.0%増)となり、営業利益は13億44百万円(前年同期は1億45百万円の営業損失)、経常利益は13億17百万円(前年同期は1億35百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は47百万円(前年同期比93.7%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)をご参照ください。
2.連結業績
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)業績について
(単位:百万円)
売上高については、建機用フィルタ事業において、42.1%の増収となった一方で、エアフィルタ事業において1.2%の減収、ヘルスケア事業においては、35.4%の減収となり、全体では29.0%の増収となりました。
営業利益については、建機用フィルタ事業において、世界的なロジスティクスの混乱による海上輸送費や航空運賃といった物流コストの継続的な高騰や、アルミや鋼材を中心とした主要原材料価格の高騰により減益となりました。一方で、売上高の大幅な増加に伴い、14億90百万円の増益となり、経常利益については、14億52百万円の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、ヘルスケア事業において、固定資産について、減損損失9億19百万円を特別損失として計上したこと等により93.7%の減益となりました。
3.事業セグメント別の売上高と営業利益
(建機用フィルタ事業)(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)業績について
(単位:百万円)
売上高については、建機の新車生産台数の増加、及び公共事業投資の増加に伴う建機の稼働時間、交換需要の増加により42.1%の増収となりました。
営業利益については、世界的なロジスティクスの混乱による海上輸送費や航空運賃といった物流コストの継続的な高騰や、原材料価格の高騰により減益となる影響がある一方、売上高の大幅な増加に伴い、141.6%の増益となりました。
(エアフィルタ事業)(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)業績について
(単位:百万円)
売上高については、オフィスビルや工場等の稼働率低迷の影響により交換用フィルタ等の需要減少に伴い1.2%の減収となりました。
営業利益については、売上高の減少、セールスミックスの影響により、43.0%の減益となりました。
(ヘルスケア事業)(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)業績について
(単位:百万円)
ヘルスケア事業については、新たな事業の開始に伴い、前連結会計年度の経営成績は2020年7月から2021年3月の9か月の業績を記載しております。
営業利益については、家庭用マスク市場における市場環境の変化に伴う、需要の大幅な減少により、営業損失となりました。
4.財政状態
当連結会計年度末における当社グループの財政状態については、総資産は267億12百万円(前連結会計年度末比5.2%減)となり、負債は61億40百万円(前連結会計年度末比18.2%減)となり、純資産は205億71百万円(前連結会計年度末比0.5%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より34億78百万円減少し、37億18百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループはフィルタ製品の製造・販売を主たる事業としており、事業品目別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。なお、生産実績については、品目の共通原材料及び共通部品が含まれるため、品目ごとに金額を記載しておりません。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.産業用フィルタ及びプロセス用フィルタについては建機用フィルタ事業に含めております。
当連結会計年度の受注状況を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績を事業品目ごとに示すと、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループへの影響としては、特定市場への依存や他社との競合など経済状況の変動を含め、様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、認識しております。これらのリスクについては発生の回避を図るとともに発生した場合にはその対応に努める所存であります。
当連結会計年度において、売上高は188億21百万円(前年同期比29.0%増)となり、営業利益は13億44百万円(前年同期は1億45百万円の営業損失)、経常利益は13億17百万円(前年同期は1億35百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は47百万円(前年同期比93.7%減)となりました。
経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、建機用フィルタ事業において、42.1%の増収となった一方で、エアフィルタ事業において1.2%の減収、ヘルスケア事業においては、35.4%の減収となり、全体では29.0%の増収となりました。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、62億59百万円(前年同期比5.2%増)となり、前年同期に比べ3億10百万円増加しました。これは主として、建機用フィルタ事業の売上増加に伴い販売運賃が増加したこと、新佐賀工場及び横須賀イノベーションセンタ竣工により減価償却費が増加したこと、並びにベトナム工場の立ち上げに伴い人件費が増加したことによるものであります。
③ 営業外損益
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度にマスク設備導入に伴う補助金収入を計上したこと等により、38百万円(前年同期比22.5%減)となりました。
営業外費用は、為替差損の増加により、65百万円(前年同期比66.4%増)となりました。
④ 特別損益
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に受取和解金及び固定資産売却益を計上したことにより、44百万円(前年同期比96.5%減)となりました。
特別損失は、減損損失、災害による損失、投資有価証券売却損を計上したこと等により、10億24百万円(前年同期比481.6%増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比13億58百万円減少(前連結会計年度末比8.9%減)し、139億64百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が34億78百万円減少(前連結会計年度末比48.1%減)、その他が43百万円減少(前連結会計年度末比5.5%減)した一方で、商品及び製品が9億24百万円増加(前連結会計年度末比50.7%増)、原材料及び貯蔵品が8億27百万円増加(前連結会計年度末比70.3%増)、受取手形及び売掛金が4億10百万円増加(前連結会計年度末比9.6%増)したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末比1億20百万円減少(前連結会計年度末比0.9%減))し、127億47百万円となりました。その主な要因は、建設仮勘定が17億87百万円減少(前連結会計年度末比63.9%減)、投資有価証券が9億83百万円減少(前連結会計年度末比97.3%減)、機械装置及び運搬具は6億33百万円減少(前連結会計年度末比35.8%減)した一方で、建物及び構築物が32億9百万円増加(前連結会計年度末比149.6%増)したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比9億5百万円減少(前連結会計年度末比16.3%減)し、46億34百万円となりました。その主な要因は、未払金が11億99百万円減少(前連結会計年度末比72.7%減)、短期借入金が6億円減少(前連結会計年度末比100.0%減)した一方で、その他が6億58百万円増加(前連結会計年度末比223.1%増)、支払手形及び買掛金が2億61百万円増加(前連結会計年度末比13.4%増)したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末比4億62百万円減少(前連結会計年度末比23.5%減)し、15億6百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が4億3百万円減少(前連結会計年度末比26.4%減)したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末比1億11百万円減少(前連結会計年度末比0.5%減)し、205億71百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が3億81百万円減少(前連結会計年度末比4.8%減)した一方で、為替換算調整勘定が2億26百万円増加(前連結会計年度末比252.3%増)したことによるものであります。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より34億78百万円減少し、37億18百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2億89百万円(前年同期は得られた資金87百万円)となりました。
その主な内訳は、税金等調整前当期純利益3億37百万円、減価償却費の計上8億69百万円、減損損失9億19百万円、その他の増加1億93百万円があった一方で、棚卸資産の増加16億42百万円、法人税等の支払4億26百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、22億77百万円(前年同期は使用した資金43億99百万円)となりました。
その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出31億71百万円した一方で、投資有価証券の売却による収入9億68百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、15億53百万円(前年同期は得られた資金32億12百万円)となりました。
その主な内訳は、短期借入金の返済6億円、配当金の支払4億28百万円、長期借入金の返済4億3百万円あったこと等によるものであります。
② 資金需要
資金需要の主なものは、製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用に係わる運転資金と設備投資資金であります。これらの運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金を充当しております。
当社グループの果たす社会的責任(CSR)の重要なテーマとして、企業活動から生じる環境・社会・経済に与える影響を勘案した長期的な企業戦略であるコーポレート・サステナビリティ(Corporate Sustainability)を明確にし、その具体的なSDGs推進プロジェクトとして「YSS(Yamashin Sustainable Solutions)」を立ち上げ、その推進のために取締役社長の諮問機関であるYSS委員会を設置しております。同委員会による活動を通じ、経営理念である「仕濾過事」(ろかじにつかふる)の具現化、技術力を生かした新たな価値創造と、脱炭素、TCFD、再生可能エネルギー、資源循環といった社会課題の解決を通じ社会に貢献してまいります。今後の見通しとしては、当社独自開発のナノファイバーの量産化技術を基に、建機用フィルタビジネス、エアフィルタビジネスの拡大に加え、産業資材としての活用や、M&Aや事業提携を踏まえた新規事業ポートフォリオの確立に取り組み、中期的持続的な事業成長とSDGsへの積極的な取り組みを両立させ、企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、企業価値を最大限に高め、強固な企業体質を確立すべく努めております。具体的には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、顧客の様々な仕様に合わせたフィルタ製品に対して、品質はもとより要求されるスピードに対応できる信頼性と顧客満足を獲得することを目指して行っております。特に当社グループでは、フィルタ製品の心臓部に当たるフィルタエレメントに使用される「ろ材」の独自開発を行っており、多種多様な用途で使用されるフィルタ製品を顧客ニーズに即応できる様、製品開発を行っております。
当社グループの研究開発体制につきましては、当社では「ろ材」及び構成部品の研究・開発を行っており、子会社であるYAMASHIN FILTER(SIP)TECHNOLOGY INC.では製品評価試験業務などを行っております。
当社グループは、建機用フィルタについては、油圧ショベルの作動油回路用フィルタ製品に加え、燃料用フィルタやエンジンオイル用フィルタ製品などの開発にも積極的に取り組み、合わせてICT(情報通信技術)やIoT(Internet of Things)による高機能化や高付加価値化を進め、新サービスを展開するための技術開発を行っております。産業用フィルタについては作動油・潤滑油用フィルタなどの市場分野において、また、プロセス用フィルタについては洗浄・飲料用フィルタなどの市場分野において、既存製品で蓄積したノウハウを活用し、製品開発を行っております。
フィルタろ材開発において、使用される状況や捕獲したゴミに応じて最適な性能を発揮するために、ろ材構造や材質に対する研究活動を行っております。具体的には、ガラス繊維を中心に、異なる繊維形状(太さや密度)を組み合わせた多層ろ材開発など、既に様々な当社製品に展開されております。今後は、より高度な市場の要求や課題解決を可能にするろ材開発を積極的に進めてまいります。
併せてフィルタ開発のみならず、現在では油圧回路内を循環する作動油の汚染度をリアルタイムに測定できるセンサ開発とフィルタの目詰まりを把握する圧力センサ開発を進めております。作動油の汚染度情報をリアルタイムに把握することは、油圧機器の故障予防・予知の観点からも非常に重要であり、またフィルタの目詰まり状況を把握し、寿命を予測することで適切なフィルタ交換時期をユーザーへ提供可能とすることは、純正品を使用するメリットをユーザーへ訴求できるものと考えております。当期より製品の理解を深めてもらえる機会として、弊社内にて汚染度センサ、圧力センサを搭載した建設機械を稼働させ、デモンストレーションを行う、Web見学会を開催しております。今後も製品の理解を深めてもらえる様、様々な取り組みを増やしてまいります。
さらに、当社グループは、経営戦略上の中期的な目標として「建設機械フィルタの専門メーカから総合フィルタメーカへの飛躍」を掲げており、従来のガラス繊維ろ材に代わる新ろ材として、「合成高分子系ナノファイバー」の開発を引き続き行っております。「合成高分子系ナノファイバー」は、天然素材のガラス繊維に比し繊維径がきわめて細く、また繊維長の調整が可能であることから、ろ材として非常に優れた特性を有する素材であり、これを次世代ろ材に使用することで、①不純物のより効果的なろ過、②油圧システム内の作動油の循環効率の向上及び③フィルタの交換サイクルの長期化が可能となります。
「合成高分子系ナノファイバー」による「ろ材」は前期製品化され、建設機械メーカに採用されております。さらなる研究開発を行い、低圧損、長寿命の特性を有する「ろ材」の開発を進めてまいります。
また、建設機械用以外の分野においてもエアフィルタ材料としての検討を進めており、高い捕集性能と低圧力損失の製品の開発を進めております。エアフィルタ材の一つとしてPM2.5用ナノファイバーろ材は今期製品化されました。また、接着剤を使わない製法を生かして既存のガラス繊維に置き換わるナノファイバーを利用したオイルミスト用フィルタの開発を行いました。今後も従来品より低圧損、高捕集効率なエアフィルタとして製品化を進めてまいります。
マスク関連では、N95規格と同等性能を有する日本の国家認証であるDS2の認証を取得したマスク、及び、医療用レベルの性能を有するマスクを始めとした当社マスク製品に対し、「合成高分子系ナノファイバー」を更に改良し、より「呼吸のし易い」マスクの製品化を実現させました。
また、当社マスク製品の特長である「漏れ難さ」を訴求した広報活動を行い、医療関係者向けのみならず一般用途向けに対しても、使用機会を増やすことによる感染拡大抑制に努めてまいります。
その他の分野としましては、断熱材として衣料分野での採用も決定しており、その他、難燃材として建材への活用や電気自動車向けの断熱・吸音材、日用品やライフサイエンスなど様々な分野に応用することを検討しております。
また、ESGの観点からリサイクル樹脂によるナノファイバー紡糸技術開発にも取り組んでおり、環境配慮型製品として化石燃料由来の樹脂からバイオマス由来の樹脂を用いての高分子ナノファイバー紡糸にも着手しております。
当社グループでは、当社独自製造技術に基づく「ナノファイバー」の製品化に向けた研究開発を今後進めることにより、既存事業の更なる高付加価値化及び競合他社との差別化を図るとともに、新素材技術の活用による新規事業領域への進出にも積極的に取組んでまいります。
これらの結果、当連結会計年度における研究開発費は