第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

当社は、「ネットを空気に変える」というコンセプトを掲げ、もはや生活インフラとなったインターネットが、いまだに利用にあたりITリテラシーを必要とする現状を変え、インターネットそのものを空気のように、全く意識することなく使いこなせる存在に変えていくことをミッションとして、創業以来、すべての人々が等しくインターネットのもたらす、創造性・便利さを享受できるようサポートする製品・サービスの開発に尽力しております。

また、常に新しい分野において積極的に研究開発を行い、知的財産を構築することにより、新しい市場の創出とイノベーションの創出を同時に行うことで、「世界の人々に大きく良い影響を与える普遍的なテクノロジー・サービス・ビジネスモデルを創りだす」ことを目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社は、「ネットを空気に変える」というコンセプトを掲げ、『1.IoTプラットフォームサービス』、『2.リモートマネジメントサービス』、『3.サポートサービス』、『4.その他サービス』の4サービスを展開しており、「世界の人々に大きく良い影響を与える普遍的なテクノロジー・サービス・ビジネスモデルを創りだす」ことを実現するため、以下の4つの成長戦略により事業の拡大を図ってまいります。

 

① 既存製品・サービスによる国内シェアの拡大と潜在市場の開拓

・エンタープライズ向けの強固なセキュリティ技術・製品群提供によるシェア拡大

・豊富な特許群を組み込んだ独自製品・サービスによる優位性の拡大

・継続的なプラットフォームへの開発投資によるプラットフォーム強化

・販売チャネルの販売力とカバレッジの広さを利用した販売拡大

・成長市場でのシェア1位を利用したアライアンス戦略の推進、及び相互シナジーによる価値提供

・新たに創出される市場・環境変化への製品・サービスの展開

 

② 既存製品・サービス延長領域(周辺領域)による市場創出

・AI・IoT・Robotics市場における最適なプラットフォームの開発

・Optimal One Platformのオープン化によるエコシステムの構築、及びサービス価値の増大

 

③ 新規製品・サービスによる市場創出

・AI・IoT・Robotics市場の研究開発及び製品・サービス展開

・各産業領域とITの組み合わせによる産業構造の再構築(農業、医療、建設など)

・デバイスマネジメントテクノロジーとビッグデータを活用した製品・サービス展開

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2020年3月期も引き続き「第4次産業革命」において中心的な企業となるための足がかりとなる期として、これまで以上に積極的な事業展開及び研究開発投資を行ってまいりました。売上高の増加がこれら投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)の出願・登録数を重視しております。

 

(4)経営環境

昨今、AI・IoT・Roboticsなどの技術進歩は目まぐるしく、あらゆる産業において、新しい技術革新が起こりつつあります。2025年までに「第4次産業革命」が起こるという考えもあり、AI・IoT・Roboticsが融合することで、生産・製造現場の効率化にとどまらず、すべての産業を変えるインパクトを持つものと考えられています。

その様な環境のなか、当社グループでは、前事業年度から「OPTiM Cloud IoT OS」への集中的な研究開発投資を行い、「OPTiM AI Camera」、「OPTiM AI Prediction」などのサービスのリリースとして一定の成果を上げることが出来ております。しかし、前記のような時代の大きな転換点を鑑みるに、激化するAI・IoTの先端技術開発競争を勝ち抜き、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために、より一層の研究開発投資が必要だと考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを推進し、「OPTiM Cloud IoT OS」でデファクトスタンダードの獲得を目指します。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。

①売上の拡大について

現在の当社グループの主力サービスは、IoTプラットフォームサービスとなっております。IoTプラットフォームサービスにおいては、当該市場の堅調な成長や当社グループの本市場における製品シェアの拡大に伴うライセンス料増加により、安定収入源を拡大させつつあります。しかしその一方で、今後の市場の成長率の鈍化に備え、あるいは当社グループの現在の成長を維持し加速させていくために、新たなサービスの柱をつくる必要があると考えております。そこで、当社グループはAI・IoT・Robotics分野における事業展開を企図し、研究開発投資を行っております。この新たな分野で開発したサービスについては、初期導入費などの形でフロー型の売上は2020年3月期の売上に一部計上しておりますが、当社グループのビジネスモデルの特長であるストック型のライセンスの売上を軌道に乗せることが今後の課題となります。

まず、IoTプラットフォームサービスについて、法人向けクラウドデバイス管理ソリューションである「Optimal Biz」は、様々なOSを搭載したネットワークデバイスを、一元的にマネジメントできることをコンセプトとしたサービスになっております。

当社グループではさらなる売上シェア拡大を目指し、当社グループの強みである〈1.豊富な特許群を組み込んだ独自製品・サービスによる優位性の拡大〉、〈2.継続的なプラットフォームへの開発投資によるプラットフォーム強化〉、〈3.販売パートナーの販売力とカバレッジの広さを利用した販売拡大〉、〈4.成長市場でのシェア1位を利用したアライアンス戦略の推進、及び相互シナジーによる価値提供〉、〈5.業界に特化した製品・サービスの展開(特に教育ICT、医療ICT等)〉、〈6.新たに創出される市場・環境変化への製品・サービスの展開〉に注力してまいります。

直近では、スマートフォン・タブレットの法人利用の拡大や、学校教育向け市場の拡大、政府が進めている働き方改革向けの機能拡張、さらには、Googleが提供する法人向け端末管理フレームワーク「Android Enterprise」の「ゼロタッチ登録」機能への対応強化、Appleが提供するアプリケーションの設定配布機能「App Configuration」への対応、Windows端末向けの「SIM抜き差し監視機能」を国内で初めて提供するなど性能面・機能面での強化を図っております。

また、「Optimal Biz」の当社グループの強みとして、オンプレミス方式でのサービスの提供が可能である点が挙げられます。特にセキュリティレベルが高い区域においては、インターネットへの接続すら制限され、クラウドが前提のサービスは導入ができません。そのような場所において、専用のサーバーを簡単かつ安価に設置できる「Optimal Biz」は、2020年3月期においてもオンプレミス方式でのサービス提供の導入実績を伸ばしております。この分野の需要はまだまだ多く埋もれていることが考えられ、販売パートナーなどを通じて、より一層顧客の開拓に努めてまいります。

以上のように、「Optimal Biz」の特長・強みを活かし、当連結会計年度及び翌連結会計年度以降も持続的にシェアの確保と成長を目指しております。

また、当社グループでは、2018年3月期より、積極的に研究開発投資を行い、AI・IoT時代の新しいOSである「OPTiM Cloud IoT OS」及びそれに基づくサービス・ソリューションの開発を行ってまいりました。研究開発においては、自社サービスを開発するとともに、「○○xIT」戦略として、各業種の代表的企業と協力して新しいサービスの開発をすすめております。前者の代表的なサービスは2018年10月に発表したAI画像解析パッケージサービス「OPTiM AI Camera」ならびに、定量データ解析サービス「OPTiM AI Prediction」があり、後者の代表例としては、株式会社小松製作所との合弁会社である株式会社ランドログの設立及び協業、九州電力株式会社と戦略的提携、シスメックス株式会社との包括的な業務提携、「スマート農業促進コンソーシアム」の設立、株式会社みちのく銀行との「株式会社オプティムアグリ・みちのく」の設立などがあげられます。これらのうち、一部のサービスについては、2020年3月期の売上に計上しておりますが、新しい収益の柱として育てるべく、既存の販売パートナーによる販売に加えて、協業企業との連携や販路拡大が課題としてあげられます。

次に、リモートマネジメントサービスにおいては、法人及び個人向けリモートマネジメントサービスである 「Optimal Remote」が主力となります。「Optimal Remote」については、主に大手企業のサービスのサポート用途を中心としてライセンス提供を行ってまいりましたが、コールセンターなどへの提供についても、ライセンス数を伸ばしております。これに加え、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」も順調にライセンス数を伸ばしており、今後も引き続き販路を拡大していく考えです。さらに「Optimal Remote」の技術を医療に応用し、特化した遠隔診療・健康相談サービスである「ポケットドクター」や在宅医療を支援する新たなサービスである「Smart Home Medical Care」については、従来の販売パートナーに加え、医療に特化した販路を拡大していく必要があります。

最後に、その他サービスについて、法人及び個人向けコンテンツマネジメントサービスである「使い放題シリーズ」は、利用者や目的毎に、月額定額で〈いつでも〉〈どこでも〉〈なんどでも〉コンテンツが使い放題となるサービスを提供します。「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題」、「タブホ」(電子雑誌読み放題サービス)を、主に通信キャリアや端末メーカーを通じてユーザーにサービスの提供を行っております。他社サービスとの差別化を図り、継続的なコンテンツ拡充を行うことによりサービス価値を高めていき、売上の拡大を図ってまいります。

②組織体制整備に関する課題

(ア)サービス開始までの期間短縮

既存製品の機能拡張に加え、AI・IoT・Robotics分野では、各業種のニーズを捉えたソリューションパッケージを展開しております。その中で、素早く顧客ニーズを捉え、パッケージ化して業種に展開していくことが重要になっております。当社グループでは、より企画・マーケティングフェーズへの人員を強化することによって、「○○xIT」戦略を進めていくうえで重要となる各業種への理解を深め、最適化されたソリューションの開発に取り組んでまいります。

 

(イ)人員の拡充と組織の強化

当社グループの主要な収入源であるソフトウェアサービスライセンスにおいては、複数の大規模プロジェクトに対応するために開発部門人員の拡充及び開発体制の強化が最重要課題となっております。当社グループの事業分野であるIT関連の人材、特にAI関連の人材については、技術者不足が顕著となっております。現在の人員を中心としつつ、優秀なエンジニアを獲得していく他、プロジェクトに合致した技術を有している派遣社員を活用してまいります。また、プロジェクトマネジメント手法の改善等によりさらなる開発体制の強化・改善を図ってまいります。

一方で、将来、現在の研究開発に力を入れている体制から通常の開発体制に戻ったときに、余剰な固定費が生じてしまわないように、自社スタッフと派遣社員の活用のバランスをとることも重要な課題となっております。

 

③研究開発部門及び知的財産戦略の強化

当社グループは、「事業成長の源泉はイノベーションにある」と考えており、創業以来、研究開発活動に積極的に取り組んでまいりました。特に2018年3月期からは、「第4次産業革命」において中心的な企業となるための足がかりとなる期として、研究開発部門の人員体制及び運営体制の強化に取り組んでまいりました。

また、知的財産権は他社との差別化の根幹、新市場・新顧客の重要な手段であるため、事業展開と同期した知的財産権の獲得となるよう、事業戦略と知的財産戦略の一体的立案・推進に加え、業務の迅速化・効率化にも取り組んでまいりました。

このような取り組みは社外から評価され、2019年6月特許庁発行の「経営における知的財産戦略事例集」に「新事業創造に資する知財戦略」の筆頭例として掲載されました。また、取り組みの成果である「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」の基本特許(特許第6326009号)は、令和元年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しました。

今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。

 

④品質保証体制の強化

当社グループが提供するソフトウェアは、これまでもクライアント先による厳しい受入検査をクリアしてきておりますが、今後はさらに踏み込んだサービス品質の向上を目指してまいります。そのためにも、より一層厳格な品質保証体制とすべく、全社会議において全従業員への品質強化の意識付けを行うなど、サービス品質保証の強化を実現し、ユーザーの満足度を上げることにより、さらなるユーザー獲得に取り組んでまいります。

 

⑤新型コロナウイルス感染拡大の影響

当社グループは、政府が発令しました新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、全オフィスを対象としてリモートワークを行う取り組みを実施するなど業務遂行への影響は軽微であると判断しております。また当社グループの売上の中心であるストック型のライセンス収入は、堅調に推移しております。

一方で、長期にわたる全世界的規模での新型コロナウイルスの経済的影響が懸念されております。当社グループにおいても特に新サービスにおいては、この影響がどれくらいの範囲に及ぶのか、完全には予測できない状況です。

万が一、今後も感染拡大が長期化し、終息へ向かわない場合、景気自体の減衰につながり、当社グループへも影響が及ぶ可能性があります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に務める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)特定の人物への依存について

 当社の創業者であり代表取締役社長である菅谷俊二は、設立以来の最高経営責任者であり、経営方針や事業方針の決定、開発、サービスラインナップ、製品コンセプト等に関してリーダーシップを発揮しており、また、当社グループの有する特許の多くは菅谷が発明したものであるなど、当社グループは当人の属人的な能力に依存しております。そのため、各部門のリーダーへ権限移譲を進めることで、当人に過度に依存しない経営体制を構築しておりますが、万が一、当人に不測の事態が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて

 当社グループの事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。従って、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、当社グループのサービス提供は不可能になります。また、予期しない急激なアクセス増による一時的な過負荷によるサーバーのダウンや、当社グループや取引先のハードウェアやソフトウェアの欠陥等により、当社グループのサービスが停止する可能性があります。このようなトラブル等が発生し、機能が十分に生かせないような事態が発生した場合には、当社グループの業績の低下に繋がる可能性があります。また、コンピューターウィルスの混入、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、役職員の過誤等による重要なデータの消去又は、不正入手の可能性もあり、これらの事態が発生した場合には、当社グループに直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社グループのサービスへの信頼が失墜し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特定取引及び特定取引先への依存について

 当社グループは、KDDI株式会社に対して、IoTプラットフォームサービスの提供により売上高が増加しており、同社に対する売上高の割合は、当連結会計年度においては、29.5%となっております。また、株式会社小松製作所とは、IoTプラットフォームサービスについてカスタマイズ関連の売上高が増加しており、同社に対する売上高の割合は、当連結会計年度においては、18.8%となっております。これらの取引先とは、契約書上以下のような事由を即時解除事由として定めています(内容は例示であり、すべての契約書の内容が以下のとおりであるとは限りません)。

・いずれかの当事者が、支払停止又は支払不能、手形又は小切手が不渡り、差押え・仮差押え・仮処分又は競売の申立、破産・会社更生手続開始又は再生手続開始の申立、解散又は営業の全部若しくは重要な一部を第三者に譲渡しようとしたときや、正当な理由によらないで本契約の全部若しくは一部を履行しないとき。

・当社が契約によって生ずる権利又は義務を、相手方の承諾を得ないで第三者に譲渡、継承、委任及び請け負わせたとき等。

 なお、当社グループは、これらの取引先と良好な関係を維持しており、現在において解除事由等は生じておりませんが、上記解除事由に抵触し、契約を解除された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)市場動向について

 当社グループの収益の柱としては、MDM市場及びAI市場を中心に事業展開を進めておりますが、MDM市場及びAI市場が想定よりも拡大しなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)競合について

 当社グループは、IoTプラットフォームサービス及びリモートマネジメントサービスに関して国内においては一定のポジションを確立することができておりますが、グローバルプレーヤーを中心に競争が激化しております。競合とのシェア争いに勝てなかった場合や価格競争が激化した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)新規事業について

 当社は、理念において「世界の人々に大きく良い影響を与える普遍的なテクノロジー・サービス・ビジネスモデルを創り出すこと」を目的として掲げております。そのため、今後も引続き新規事業に取り組んでいく中で、研究開発費が先行し、利益率が低下する可能性があります。また、その新規事業が想定どおりに伸張しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)技術革新への対応について

 当社グループが事業を展開するIT業界では、技術革新のスピードが速く、利用者のニーズも常に変化しております。当社グループはこれらの変化に対応すべく、新技術の研究開発や新機能の付加に関して他社に先駆けて行うようにしておりますが、OS等の新バージョンへの対応や新機能の付加の遅れ、さらに、新たな端末への対応が遅れた場合、又は当社グループのサービスに代わる代替サービスが登場した場合等には、当社グループのサービスの競争力が剥落し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 当社グループの事業領域において、第三者の特許が成立した場合に、当社グループの事業展開に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。若しくは、当社グループの特許が第三者から侵害された場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、特許の有効期限が切れた後にサービスがコモディティ化してしまう可能性があります。

 

(9)法的規制について

 当社グループの事業は、主として、特定商取引に関する法律、割賦販売法、個人情報の保護に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)、消費者契約法による法的規制を受けております。また、当社グループの事業の一部においては、関連する法令として、医師法、医療法、薬事法、改正航空法等の規制の影響を受ける場合があります。

当社グループは、コンプライアンス体制の強化及び整備に努めておりますが、万一、これらの法的規制に抵触する等の問題が発生した場合、又はこれらの法的規制の改正等により新たな規制が加わった場合などは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)小規模組織であることについて

 当社は、現在従業員数が240名(2020年3月末現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社は今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針ですが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)内部管理体制の強化について

 当社グループは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題の一つとして位置付けております。当社は成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。このことから、創業以来当社は配当を実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針です。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期については未定です。

 

(13)業績の下半期への偏重について

 当社グループは、ソフトウェア開発やシステム構築を顧客企業向けに行っていることから、年度の初めに予算が確定し、同年度内にて当社グループの製品等を完成させるため、下半期に検収時期が偏重する傾向にあります。また、顧客企業の年度内の予算消化としてライセンスを下半期に一括購入いただける場合もあります。そのため、検収時期の遅れにより売上計上時期が延期される場合や、年度末の予算消化に係る駆け込み需要が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)研究開発費について

 当社グループは、単なる受託開発ではなく、自社で開発した技術をライセンス提供するというビジネスモデルを展開しており、その根幹を支える研究開発に多くの予算を投入しております。研究開発は、調査やレポートをもとに、利用者のニーズや競合他社の動向等を予測の上、方針を決定しておりますが、予測が大きく外れた場合や、研究開発に係る方針を転換しなければいけない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)海外展開について

 当社グループは、今後、積極的に海外へ事業展開を行っていく方針です。海外展開を行っていく上で、各国の法令、規則、社会情勢及び利用者のニーズに対応できず、スムーズに事業を推進して行くことが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各国で反日活動等のカントリーリスクが顕在化した場合には、当社グループの海外展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)優秀な人材の確保・育成について

 当社グループの事業展開において、新規のサービスを提供するなど、ソフトウェア開発やシステム構築には高度な技術スキルを有する人材が必要とされております。そのため、プログラミング勉強会等、様々なイベントを当社グループで実施することにより優秀な学生との接点を持つ機会を作り、より効率的な採用活動を行うとともに、技術革新のスピードに対応したスキルを身につけられるような育成を行っているほか、一部派遣社員の受け入れにより必要人員を確保しております。しかし、優秀な人材の獲得や育成が想定通りに進まない場合や、優秀な派遣社員が確保できない場合、若しくは派遣料が変動した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)IoTプラットフォームサービスにおけるOEM売上及び販売パートナー売上について

 当社グループのIoTプラットフォームサービスにおいては、自社販売にとどまらず、OEM提供による売上や販売パートナーを通じた売上が多くを占めております。当社グループでは、現状のOEM提供先や販売パートナーのニーズを随時確認し、迅速に対応するとともに、利用者へのサポート体制を強化することで、更なる関係強化を図っておりますが、OEM提供先や販売パートナーが、競合他社への乗り換えや営業施策の変更により当社グループ製品の販売を停止した場合などは、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)敷金・保証金について

 当社グループは、OPTiM TOKYO(東京本社)をはじめ事務所等に関して賃借しております。その際、契約先会社に関しては諸手続きを経て与信確認を行い、リスクを軽減しておりますが、契約先会社の状況で敷金・保証金(本書提出日現在において8契約総額:335,803千円)が返済されない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)発明報酬の支払について

 当社グループでは、特許技術による製品開発を行うことで、技術的優位性のある製品、サービス提供を行っております。そこで、当社では役職員による知的財産につながる発明を促進するため、知的財産権管理規程において、発明の特許申請時に役職員に支払う出願時支払金、特許登録時に支払う登録時支払金、そして特許が製品化され、利益につながった場合に支払う利益発生時支払金等を定めております。このうち、利益発生時支払金に関しては、毎期、特許に関する利益が発生する限り支払いが発生します。当連結会計年度における、出願時支払金の金額は344千円、登録時支払金の金額は1,345千円、利益発生時支払金の金額は1,283千円です。役職員により、特許に関する所有権等に関する訴えが起こされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)プラットフォーマーとの契約等について

 当社グループが提供するIoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービス等については、Apple Inc.やGoogle Inc.をはじめとする大手プラットフォーム事業者との間で、契約を締結若しくは規約に同意した上で、プラットフォーム事業者を介して、サービスを提供している場合があります。そのため、プラットフォーム事業者の事業戦略の転換、方針の変更等にともない、当社グループのサービスの提供が困難となった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(21)新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

 当社グループは、政府が発令しました新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、全オフィスを対象としてリモートワークを行う取り組みを実施するなど業務遂行への影響は軽微であると判断しております。また当社グループの売上の中心であるストック型のライセンス収入は、堅調に推移しております。

 一方で、長期にわたる全世界的規模での新型コロナウイルスの経済的影響が懸念されております。当社グループにおいても特に新サービスにおいては、この影響がどれくらいの範囲に及ぶのか、完全には予測できない状況です。

 万が一、今後も感染拡大が長期化し、終息へ向かわない場合、景気自体の減衰につながり、当社グループへも影響が及ぶ可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や世界経済の不確実性などから先行きの不透明感が覗くものの、企業収益の向上や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の蔓延による国内外の経済活動の停滞懸念など、先行きは依然として不透明な状態が続いております。

このような市場環境の中、当社グループは、第4次産業革命において中心的な役割を果たす企業となるため、前期よりAI・IoT・Robotics分野においてさらなる積極的な事業展開及び研究開発投資を実施してまいりました。

積極的な研究開発投資を支える既存サービスは堅調に推移しており、拡大を続けているMDM・EMM市場において「Optimal Biz」が、ID数・金額の割合で4年連続国内MDM・EMM市場シェア1位の評価を獲得しております(出典:株式会社富士キメラ総研 出典:2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧)。

また、研究開発投資の成果として、「OPTiM AI Camera Mobile」、「OPTiM AI Camera Lite」、「OPTiM AI Creator」、「OPTiM AI Research」、「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice Recorder」の6つのAIサービスを発表しました。さらに、医療向けの新たなプラットフォームとして、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」を開発し、提供開始しております。これらの新規サービスならびにプラットフォームは、2019年10月24日と25日に開催したイベント「OPTiM INNOVATION 2019」にて一般公開を行い、大変好評をいただきました。

AI・IoT・Roboticsを活用した各産業における活動も順調に進んでおり、農業分野においては兵庫県丹波県民局ならびに兵庫県立農林水産技術総合センターとスマート農業を活用した特産物の生産力強化に向けた共同事業の実施や、長崎県五島市において、日本で初めて農地作付確認業務に固定翼ドローン「OPTiM Hawk」とAIによる判別を使用した実証事業を行いました(出典:2019年6月28日時点、当社調べ。ドローン空撮による農作物作付確認において、AIによる自動判別を取り入れる実証を「事業」として行う試みとして)。

医療分野においては、国立大学法人佐賀大学と共同で「AMIAS」を用いた医療画像診断支援AIの臨床研究を推進する取り組みを開始し、国内外の医療向け画像診断AIプログラムメーカーへ臨床研究のプラットフォームを提供するなどしております。また、「先端医療×AI・IoT」領域で業務提携を行ったシスメックス株式会社と、デジタル医療の事業化を加速することを目的に、デジタル医療に関するプラットフォームとアプリケーションを活用したソリューションサービスの企画、開発、運営を担う合弁会社の設立に向け基本合意を行いました。さらに、次世代医療用ロボットのAI化に向けた業務提携に関する覚書を、株式会社メディカロイドと締結し、高度なAI・IoT技術を応用した次世代手術支援ロボットシステムの開発を進めております。

Robotics分野においては、川崎重工業株式会社と精密機械・ロボット分野のAI・IoT活用における業務提携に関する覚書を締結しました。この業務提携により、さまざまな産業での活躍が期待される精密機械・ロボットをネットワークに接続し、得られる情報をAIが解析するプラットフォームを構築することで、精密機械・ロボット分野におけるAI・IoT技術を活かした、新たなビジネスソリューションの早期開発・事業化とグローバル展開を目指してまいります。

金融分野においては、株式会社佐賀銀行と地域の第4次産業革命への対応を加速することを目的とし、合弁事業に関する基本合意書を締結しました。これにより、地方銀行ならびに地域のデジタルトランスフォーメーションを行い、当社グループAIソリューションの販売やファンドの設立などを通じて、第4次産業革命の推進を目指します。

また、これらの取り組みや、西日本におけるAI・IoT・Roboticsを活用した「○○×IT」戦略をさらに加速させるため、兵庫県神戸市に新たな拠点「OPTiM KOBE」を開設しました。

さらに、海外での事業展開として、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)国営最大手通信グループのVietnam Posts and Telecommunications Groupと、ベトナムにおいてAIサービス及びスマート農業分野における業務提携に関する覚書を締結しました。これにより、「OPTiM AI Camera」などのAIサービスをカスタマイズした上で、ベトナムの各種店舗や施設へ導入し、マーケティング、セキュリティなどの領域で支援するサービス展開を目指します。スマート農業事業に関しては、米を中心に農産物の一大産地であるベトナムに、ピンポイント農薬散布テクノロジー及びピンポイント施肥テクノロジーを導入することで農産物の生産性と品質を向上させ、安心・安全な農産物の安定的な生産体系の構築を目指します。Remote分野における海外での事業展開では、東京農業大学と日立キャピタルグループの日立トリプルウィン株式会社が、ロシア連邦(以下、ロシア)において日本式いちご生産を行う実証実験に、現場管理支援サービス「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。

なお、これらAI・IoT・Roboticsに関連する取り組みが評価され、2019年9月に株式会社ミック経済研究所が発刊した調査レポートにおいて、当社グループのAIソリューションが、業種別売上高動向の「農林水産業」部門、「医療」部門、ユーザー従業員規模別売上高動向の「ユーザー従業員数300名未満の売上動向」部門、測定・観察・探索市場動向の「測定・観察・探索ベンダーシェア」部門の4部門において、シェア1位の評価を頂いております(出典:株式会社ミック経済研究所「AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望「2019年度版」)。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計の残高は、4,604,239千円となりました。主な内訳は現金及び預金が1,263,910千円、受取手形及び売掛金が1,552,215千円、繰延税金資産が742,106千円です。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計の残高は、1,565,053千円となりました。主な内訳は支払手形及び買掛金が482,958千円、未払法人税等が265,306千円です。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計の残高は、3,039,185千円となりました。主な内訳は資本金が443,439千円、資本剰余金が727,570千円、利益剰余金が1,872,893千円です。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高6,728,792千円、営業利益256,981千円、経常利益259,448千円、親会社株主に帰属する当期純利益117,222千円となりました。

 なお、当社グループの事業は、ライセンス販売・保守サポートサービス(オプティマル)事業のみの単一事業であるため、セグメントごとの記載を省略しておりますが、サービス別の内訳は次のとおりです。

 

(IoTプラットフォームサービス)

当連結会計年度においても、主力となる「Optimal Biz」につきましては、順調にライセンス数を増やしており、複数の第三者調査機関による調査レポートにおいて、引き続き市場シェア1位を維持しております。(株式会社ミック経済研究所発刊:『「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望 2019年度版」、「EMM市場とモバイルOS別動向」、「モバイル管理ソフトの市場動向」』、IDC Japan株式会社発刊:『「国内システム/サービス管理ソフトウェア市場シェア、2018年:SaaSとITオペレーション分析の本格化」、「国内エンタープライズモビリティ管理ソフトウェア市場 ベンダー別 売上額実績/シェア」の2018年国内EMMベンダー別売上額実績』、株式会社テクノ・システム・リサーチ発刊:『「2019-2020年版 エンドポイント管理市場のマーケティング分析」』、株式会社富士キメラ総研:『2016年、2017年、2018年、2019年、ネットワークセキュリティビジネス調査総覧』。)

機能面では、Googleが2019年9月4日に一般公開を開始した「Android 10」対応するなど、新たなバージョンのOSへの対応を迅速に行い、幅広い環境で活用できるよう機能拡充を行っております。

AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」を活用したプラットフォームとして、新たに医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供を開始しました。サービスについてもさらに研究開発が進み、「OPTiM AI Camera」のエントリーサービスとなる「OPTiM AI Camera Mobile」ならびに「OPTiM AI Camera Lite」、独自のAI画像認識モデルを作成できる「OPTiM AI Creator」、AIによる詳細な顧客分析、店頭におけるピンポイントでのマーケティングを実現する「OPTiM AI Research」ならびに「OPTiM AI Signage」、「OPTiM AI Voice」をバージョンアップしたサービスとなる「OPTiM AI Voice Recorder」など、一挙6サービスの発表を行いました。この中で、「OPTiM AI Camera Mobile」につきましては、2020年1月30日より月額1,950円(税込)で、Google Playにて提供開始しております。「OPTiM AI Camera」と連携する、ビデオ管理システム(Video Management System、以下 VMS)との連携も進んでおり、世界シェアNo.1メーカー(出典:IHS Markit2019年6月発表調査レポート)であるGenetec Inc.の総合セキュリティプラットフォーム「Genetec Security Center」のVMSサービス「Omnicast」との連携や、国内クラウド録画サービスシェアNo.1メーカー(出典:株式会社テクノ・システム・リサーチ「2018年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」、2017年クラウド録画サービスカメラシェア)であるセーフィー株式会社のVMSサービス「Safie」との接続検証を完了しました。さらに、国内ビデオ管理システム市場No.1メーカー(出典:株式会社富士経済発表、「2017、2018 セキュリティ関連市場の将来展望」)であるパナソニックネットソリューションズ株式会社のVMSサービス「ArgosView」と接続検証を進めることについて合意しております。

また「OPTiM AI Camera」について、さまざまな分野で導入が進んでおり、医療分野においては、聖路加国際病院を研究の場として、「OPTiM AI Camera」を用いた手指衛生モニタリング手法の評価を行う共同研究を開始しております。またRobotics分野においては、川崎重工業株式会社へ「OPTiM AI Camera」を提供し、同社が「2019国際ロボット展(iREX2019)」にて出展したブースにおいて、来場者の人流解析を実施しました。さらに、羽田空港国際線ターミナル出国エリア内にて、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が、経済産業省ならびに株式会社羽田未来総合研究所と連携して行った、「クールジャパン商材のプロモーション&デジタルマーケティング」の取り組みに、「OPTiM AI Camera」を提供するなど、多種多様な分野での活用が開始されています。

AI・IoT・Roboticsを活用した農業分野において、これまでオプティムでは、スマート農業ソリューションを無償提供し、収穫物を全量買取する「スマートアグリフードプロジェクト」を展開してきましたが、大規模な生産法人や企業を対象として、スマート農業に対する課題解決をワンストップで支援する「スマート農業プロフェッショナルサービス」の提供を開始しました。また、「スマート農業アライアンス」の取り組みとして実施している「スマートアグリフードプロジェクト」の成果として、2018年度から販売された「スマート米」の2019年度産、「スマート米2020」の販売も行いました。「スマート米2020」では、2018年度産で販売した、「さがびより」・「にこまる」・「ヒノヒカリ」・「まっしぐら」の品種に加え、新たに「夢しずく」・「つがるロマン」・「コシヒカリ」の3品種を加えた合計7品種のラインナップで提供しております。医療分野においては、医療画像診断支援AI統合オープンプラットフォーム「AMIAS」の提供開始や「眼底画像診断支援システム OPTiM Doctor Eye」が医療機器プログラムとしての認証取得を行っております。さらに、建設分野においては、九州最大手のゼネコンである松尾建設株式会社とAI・IoT技術などを活用した取り組みを推進して行くことを目的として、「建設×IT 戦略的包括提携」を締結いたしました。

 

(リモートマネジメントサービス)

リモートマネジメントサービスにつきましては、遠隔作業支援「Remote Action」、「Optimal Second Sight」、遠隔作業支援から作業管理まで行う「Smart Field」の拡販を継続して行っており、東京農業大学と日立トリプルウィン株式会社がロシアにて実施した日本式いちご生産を行う実証実験に「Smart Field」を提供しました。本実証実験の成果については、2019年9月3日からロシア・ウラジオストク市で開催された「第5回東方経済フォーラム」にて発表されております。さらに佐賀県警察へ、「Optimal Second Sight」を提供し、近年日本にてしばしば発生している激甚な自然災害において、スムーズな救援活動及び現場把握の災害対策の支援機器として、活用頂いております。これは、2018年10月12日に締結した、「AI・IoTを活用した地域の安全安心にまつわる防犯技術等の研究開発・運用に関する包括連携協定」にて合意している、「AI・IoTを活用した災害対策等に関すること」を構築する取り組みの一環となります。また、Atos株式会社へ提供をしている、「Optimal Second Sight」のOEMサービスである「Generation-Eye(G-eye)」が、国土交通省が提供している新技術情報提供システムNETIS(New Technology Information System)に登録されました。NETISに登録されることで、国および地方公共団体などの発注者や施工業者、コンサルタントなどの方々へ情報が共有され、全国での活用が期待できます。さらに、公共工事の受注の際に、NETISに登録されている技術の活用提案をすることで、工事成績評定にて加点されたり、総合評価方式において加点されるなど、受注に際して有利となります。

 

(サポートサービス)

パソコン市場の成長性が鈍化しており、売上高は減少傾向にございます。しかし、MVNO市場においても自動化やサポート効率化のニーズは強いため、引き続きサービスの拡大を進めております。

 

(その他サービス)

「パソコンソフト使い放題」、「ビジネスソフト使い放題(パソコンソフト使い放題の法人向けサービス)」ともに、既存の販売パートナーでの販売が堅調に進んでおります。人気雑誌読み放題サービス「タブホ」においては、通常の販売だけではなく、法人向けサービスとなる「タブホスポット」の販売に関しても好調に推移しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,263,910千円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は430,637千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益259,448千円、仕入債務の増加額216,314千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は365,711千円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出249,993千円、有形固定資産の取得による支出194,876千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は250千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入250千円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当社グループは単一セグメントのため、サービスごとに記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

IoTプラットフォームサービス

5,342,095

リモートマネジメントサービス

756,751

サポートサービス

145,394

その他サービス

484,551

合計

6,728,792

(注)1.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

KDDI株式会社

1,987,838

29.5

株式会社小松製作所

1,266,002

18.8

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

 

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、6,728,792千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスの売上高が5,342,095千円、リモートマネジメントサービスの売上高が756,751千円となり、ライセンス収入及びカスタマイズ収入並びに保守収入が増加したことによるものです。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は、2,623,569千円となりました。これは主に、IoTプラットフォームサービスのカスタマイズ収入の増加にともない売上原価が増加したことによるものです。

 この結果、売上総利益は4,105,222千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3,848,240千円となりました。これは主に、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるために成果を掴みつつある「OPTiM Cloud IoT OS」等の研究開発投資によるものです。

 この結果、営業利益は256,981千円となりました。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は9,401千円となりました。これは主に、受取手数料及び受取保険金によるものです。

 当連結会計年度における営業外費用は6,934千円となりました。これは主に、投資事業組合運用損によるものです。

 この結果、経常利益は259,448千円となりました。

 

(特別損益)

 当連結会計年度における特別利益の発生はありません。

 当連結会計年度における特別損失の発生はありません。

 この結果、税金等調整前当期純利益は259,448千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における法人税等合計は、142,169千円となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は117,222千円となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び検討内容

当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向や技術革新への対応等があります。当社グループが事業展開するMDM・EMM市場は堅調に拡大を続けており、その市場のなかでの当社グループの位置づけも優位な状況であることは変わっておりません。一方で、世界の大きな潮流は、AI・IoT・Roboticsを活用した「第4次産業革命」へと加速度をあげて移行しております。この時代の大きな転換点において当社グループは、MDM・EMM市場において培った技術をAI・IoT・Robotics分野に昇華させることで、「第4次産業革命」において中心的な役割を果たす企業となるべく、引き続き研究開発投資が必要であると考えております。具体的には、ここ数年取り組んでまいりました、各業界・産業とITを融合させる「○○×IT」によりITの力で業界・産業基盤を再構築する取り組みを引き続き推進し、技術革新への対応を進め、知的財産権の取得等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存です。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高の増加が研究開発投資の源泉であり、将来的な利益の源泉となるものと考えており、売上高の増加、ならびに研究開発投資の成果として知的財産権(特許権)を重視しております。

当連結会計年度における売上高は6,728,792千円を達成しました。売上高の多くを占めるストック型のライセンス収入については、IoTプラットフォームサービスを中心にライセンス数を順調に積み上げることができ、大幅な成長となっております。

知的財産権(特許権)については、2019年6月特許庁発行の「経営における知的財産戦略事例集」に「新事業創造に資する知財戦略」の筆頭例として掲載されました。また、取り組みの成果である「ピンポイント農薬散布・施肥テクノロジー」の基本特許(特許第6326009号)は、令和元年度九州地方発明表彰で文部科学大臣賞を受賞しました。

今後も、「第4次産業革命」実現の中心的な企業になるべく、さらなる研究開発体制の強化、知的財産権獲得による競争優位の確保に取り組んでまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、研究開発投資に向けた労務費及び外注費等です。必要な運転資金については、手元資金及び事業から創出される資金によることを基本としておりますが、事業拡大に向けた大型のM&Aの実行に追加的に資金が必要となる場合は、金融機関からの借入等をはじめとした資金調達手段を実施する可能性があります。

なお、当社グループは、政府が発令しました新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、全オフィスを対象としてリモートワークを行う取り組みを実施するなど業務遂行への影響は軽微であると判断しております。また当社グループの売上の中心であるストック型のライセンス収入は、堅調に推移しております。そのため、当社グループでは研究開発投資を継続させることを計画しております。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の27.5%を占める1,263,910千円となっており、有利子負債の残高はありません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に係る仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)製品・サービスについての契約

サービス区分

相手先の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

Skycatch新地形Viewer及びDBに関する個別契約

Skycatch社により開発された、新地形Viewer及びDBに関するプロジェクト管理支援及び、本件の技術移転に関する対応業務

2019年7月から
2019年11月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

次世代位置情報DB開発に関する個別契約

LANDLOGプラットフォームの「位置情報」に関する、「高速」「高精細」「運用コスト安」なDBのプロトタイプの開発

2019年7月から
2019年9月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

スマコン現場管理LANDLOG移管に関する個別契約

スマートコンストラクションの現場管理をLANDLOGプラットフォームに移管するための初期対応業務

2019年8月から
2019年11月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

GembaCAM向けAI開発に関する個別契約

建設現場のカメラを利用し、建機の行動分析を実現することを目的としたAI検討と各種機能の精度の確認

2019年8月から
2019年10月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

次世代位置情報製品版開発

LANDLOGプラットフォームにて開発を行った位置情報DBプロトタイプを製品化するための開発

2019年12月から
2020年3月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

次世代スマートコンストラクションアプリ開発STEP1

次世代スマートコンストラクションアプリへの連携に向けた「CESIUM地形ビューア」アプリと「スマコン公開用WebAPI」の開発

2019年12月から
2020年1月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

スマートコンストラクション現場管理LANDLOG移管STEP2

スマートコンストラクションの現場管理をLANDLOGプラットフォームに移管するための対応業務における、メイン対応・多言語化・影響アプリ改修

2019年12月から
2020年3月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

スマートコンストラクション現場管理LANDLOG移管STEP2

スマートコンストラクションの現場管理をLANDLOGプラットフォームに移管するための対応業務における、TMSのLANDLOG移管対応

2019年12月から
2020年3月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

BIコックピット製品開発

3D地図等のグラフィカルなUIで経営者としての判断に必要なデータを可視化するBIツールの開発

2019年12月から
2020年3月まで

リモートマネジメントサービス

株式会社小松製作所

外付けICT建機パネル向けリモートサポート開発

外付けICT建機パネルの追加機種対応及び、外部システム連携のためのAPI開発を含む新機能開発

2019年12月から
2020年3月まで

IoTプラットフォームサービス

株式会社小松製作所

次世代スマートコンストラクションアプリ開発STEP2

CESIUMを次世代スマコンと位置付け、スマコンとして稼働するために必要な機能の追加開発

2020年2月から
2020年3月まで

IoTプラットフォームサービス

シスメックス株式会社

ネットワークサービス及びその提供プラットフォームの開発

手術支援ロボット及びIoTテクノロジーを活用した手術室向け及び手術室を有する施設向けサービス、及びその提供プラットフォームの開発

2019年11月から
2020年6月まで

共通

Apple Inc.

iOS Developer Program

License Agreement

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する規約

契約期間の定めはありません。

Google Inc.

マーケットデベロッパー販売/配布契約書

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する規約

契約期間の定めはありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、新規サービスの研究開発及び既存サービスの機能強化のための活動が中心です。当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は1,966,127千円です。ただし、販売費及び一般管理費における研究開発費は1,938,335千円となっております。これは、研究開発に係る受託収入を、販売費及び一般管理費の控除項目として処理したことによるものです。

当社グループでは、以下のテーマに沿って研究開発活動を実施しております。

 

(1)IoT/AI プラットフォーム研究開発

 IoTデバイスマネジメント、人工知能による解析ができる独自のプラットフォーム技術を確立することを目的に、センサーやカメラなどを含むIoTデバイスやスマートデバイスなどをマネジメントし、デバイスから収集したデータを人工知能によって解析するプラットフォームの研究を実施しております。また、プラットフォーム上で動作する汎用的な独自ソフトの研究も実施しております。

 

(2)インダストリー向けIoT/AI/ロボティクス研究開発

 インダストリー毎(農業、水産業、医療、建設などの各種産業分野毎)に最適化したIoTデバイス接続技術や人工知能技術、ドローンを含むロボット技術の研究を実施しております。

 農業においてはAI・IoTによる生産性の向上を目指して、ドローンによる空撮画像をAIで解析することで病害虫の被害を発見し、問題のある部分にのみドローンを用いてピンポイントで農薬を散布する技術等を開発し、さらなる精度の向上に向けて研究等を進めております。

 医療においては、遠隔医療、在宅医療サービスの高度化や眼底画像のAIによる診断支援の研究等を進めております。